(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055163
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】粘性剤塗布装置、搭載装置、及び基板装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240411BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01L21/52 G
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161869
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 博子
(72)【発明者】
【氏名】池田 明博
(72)【発明者】
【氏名】沢田 寛
【テーマコード(参考)】
5E353
5F047
【Fターム(参考)】
5E353BB08
5E353EE62
5E353HH08
5E353HH61
5E353KK01
5E353KK11
5E353MM03
5E353MM08
5E353QQ11
5F047AA17
5F047BA34
5F047BA53
5F047BB11
5F047CA08
5F047FA02
5F047FA08
5F047FA15
5F047FA17
5F047FA21
5F047FA28
5F047FA32
(57)【要約】
【課題】対象物への粘性剤の転写不良を抑制する。
【解決手段】粘性剤塗布装置は、回転方向に回転する回転部に載せられた粘性剤の厚さを予め定められた厚さで一定にする一定部と、該粘性剤の厚さについて良否状態を検出する検出部と、該検出部が良状態を検出した場合に該粘性剤に接触して下面に該粘性剤を付けて移動し、該下面に付けた該粘性剤を対象物に転写する転写部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転方向に回転する回転部に載せられた粘性剤の厚さを予め定められた厚さで一定にする一定部と、
該粘性剤の厚さについて良否状態を検出する検出部と、
該検出部が良状態を検出した場合に該粘性剤に接触して下面に該粘性剤を付けて移動し、該下面に付けた該粘性剤を対象物に転写する転写部と、
を備える粘性剤塗布装置。
【請求項2】
前記検出部は、
前記一定部に対する前記回転方向の下流側であって、前記転写部に対する前記回転方向の上流側において、前記良否状態を検出する
請求項1に記載の粘性剤塗布装置。
【請求項3】
前記検出部は、
前記粘性剤の上方に設けられた光源と、
前記光源からの光が前記粘性剤に当たって反射した光が入射され、前記粘性剤を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記粘性剤の厚さについて良否状態を判断する判断部と、
を有する
請求項1に記載の粘性剤塗布装置。
【請求項4】
前記撮像部は、撮像方向が前記回転部における前記粘性剤が載せられた載せ面に対して傾斜している
請求項3に記載の粘性剤塗布装置。
【請求項5】
前記判断部は、前記回転方向の一部の範囲の前記粘性剤を前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記粘性剤の厚さについて良否状態を判断し、
前記撮像部は、撮像方向が前記範囲における前記載せ面に対して傾斜し、且つ、平面視にて前記範囲における前記回転方向に対する交差方向側から撮像する
請求項4に記載の粘性剤塗布装置。
【請求項6】
前記判断部は、
前記転写部の移動に伴って輝度が変化する範囲以外の範囲において前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記粘性剤の厚さについて良否状態を判断する
請求項3に記載の粘性剤塗布装置。
【請求項7】
前記判断部は、
前記画像における前記回転部の半径方向に沿った輝度のばらつきが、予め定められた閾値以上である場合に、前記粘性剤の厚さについて否状態と判断する
請求項3に記載の粘性剤塗布装置。
【請求項8】
前記判断部は、
前記画像の予め定められた範囲における輝度が、予め定められた基準値以上である場合に、前記粘性剤の厚さについて否状態と判断する
請求項3に記載の粘性剤塗布装置。
【請求項9】
部品を位置決めする部品位置決め部と、
前記対象物としての基板を位置決めする基板位置決め部と、
前記粘性剤としての接合剤を、前記基板位置決め部に位置決めされた基板に転写する請求項1~8のいずれか1項に記載の粘性剤塗布装置と、
前記粘性剤塗布装置で転写された接合剤上に、前記部品位置決め部で位置決めされた前記部品を移送する移送機構と、
を備えた搭載装置。
【請求項10】
請求項9に記載の搭載装置の前記部品位置決め部によって前記部品を位置決めする部品位置決め工程と、
前記基板位置決め部によって前記基板を位置決めする基板位置決め工程と、
前記粘性剤塗布装置の回転部に載せられた接合剤を、前記転写部によって前記基板位置決め部に位置決めされた前記基板に転写する接合剤転写工程と、
前記転写部で転写された接合剤上に、前記部品位置決め工程で位置決めされた前記部品を前記移送機構によって移送する移送工程と、
を有する基板装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性剤塗布装置、搭載装置、及び基板装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ペーストを充填させるための凹部を有するテーブルと、前記凹部の底面より一定高さ上方に設けられたブレードと、前記凹部にペーストを充填させるように前記テーブルと前記ブレードとを相対的に移動させる駆動手段と、上下動及び水平往復動可能で、前記凹部に充填されたペーストに接触加圧して下面にペーストを付け、リードフレーム等のボンディング部にペーストを転写させる転写パッドと、を備えていることを特徴とするダイボンダーにおけるペースト塗布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粘性剤塗布装置としては、回転方向に回転する回転部に載せられた粘性剤の厚さを予め定められた厚さで一定にする一定部と、該粘性剤に接触して下面に該粘性剤を付けて移動し、該下面に付けた該粘性剤を対象物に転写する転写部と、を備える粘性剤塗布装置が考えられる。
【0005】
当該粘性剤塗布装置では、例えば、回転部に載せられた粘性剤に異物が混入し、当該異物が一定部に引っ掛かると、粘性剤の厚さが薄くなったり不均一になったりする不良状態が発生する場合がある。この不良状態の粘性剤を、転写部が対象物へ転写した場合では、対象物において粘性剤の転写不良が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、回転部に載せられた粘性剤の厚さについての良否状態が不明である状況において、転写部が粘性剤を対象物に転写する場合に比べ、対象物への粘性剤の転写不良を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様は、回転方向に回転する回転部に載せられた粘性剤の厚さを予め定められた厚さで一定にする一定部と、該粘性剤の厚さについて良否状態を検出する検出部と、該検出部が良状態を検出した場合に該粘性剤に接触して下面に該粘性剤を付けて移動し、該下面に付けた該粘性剤を対象物に転写する転写部と、を備える。
【0008】
第2態様では、第1態様において、前記検出部は、前記一定部に対する前記回転方向の下流側であって、前記転写部に対する前記回転方向の上流側において、前記良否状態を検出する。
【0009】
第3態様では、第1態様において、前記検出部は、前記粘性剤の上方に設けられた光源と、前記光源からの光が前記粘性剤に当たって反射した光が入射され、前記粘性剤を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記粘性剤の厚さについて良否状態を判断する判断部と、を有する。
【0010】
第4態様では、第3態様において、前記撮像部は、撮像方向が前記回転部における前記粘性剤が載せられた載せ面に対して傾斜している。
【0011】
第5態様では、第4態様において、前記判断部は、前記回転方向の一部の範囲の前記粘性剤を前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記粘性剤の厚さについて良否状態を判断し、前記撮像部は、撮像方向が前記範囲における前記載せ面に対して傾斜し、且つ、平面視にて前記範囲における前記回転方向に対する交差方向側から撮像する。
【0012】
第6態様では、第3態様において、前記判断部は、前記転写部の移動に伴って輝度が変化する範囲以外の範囲において前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記粘性剤の厚さについて良否状態を判断する。
【0013】
第7態様では、第3態様において、前記判断部は、前記画像における前記回転部の半径方向に沿った輝度のばらつきが、予め定められた閾値以上である場合に、前記粘性剤の厚さについて否状態と判断する。
【0014】
第8態様では、第3態様において、前記判断部は、前記画像の予め定められた範囲における輝度が、予め定められた基準値以上である場合に、前記粘性剤の厚さについて否状態と判断する。
【0015】
第9態様は、部品を位置決めする部品位置決め部と、前記対象物としての基板を位置決めする基板位置決め部と、前記粘性剤としての接合剤を、前記基板位置決め部に位置決めされた基板に転写する第1態様~第8態様のいずれか1つに記載の粘性剤塗布装置と、前記粘性剤塗布装置で転写された接合剤上に、前記部品位置決め部で位置決めされた前記部品を移送する移送機構と、を備えている。
【0016】
第10態様は、第9態様に記載の搭載装置の前記部品位置決め部によって前記部品を位置決めする部品位置決め工程と、前記基板位置決め部によって前記基板を位置決めする基板位置決め工程と、前記粘性剤塗布装置の回転部に載せられた接合剤を、前記転写部によって前記基板位置決め部に位置決めされた前記基板に転写する接合剤転写工程と、前記転写部で転写された接合剤上に、前記部品位置決め工程で位置決めされた前記部品を前記移送機構によって移送する移送工程と、を有している。
【発明の効果】
【0017】
第1態様の構成によれば、粘性剤の厚さについての良否状態が不明である状況において、転写部が粘性剤を対象物に転写する場合に比べ、対象物への粘性剤の転写不良が抑制される。
【0018】
第2態様の構成によれば、検出部が、一定部に対する回転方向の上流側であって、転写部に対する回転方向の下流側において、良否状態を検出する場合に比べ、一定部で生じた粘性剤の否状態の検出精度が向上する。
【0019】
第3態様の構成によれば、光源を有さない検出部を用いる場合に比べ、粘性剤の厚さのばらつきを検出する精度が向上する。
【0020】
第4態様の構成によれば、撮像部の撮像方向が、回転部における粘性剤が載せられた載せ面に対して直交する場合に比べ、粘性剤の厚さのばらつきを検出する精度が向上する。
【0021】
第5態様の構成によれば、撮像部が、前記範囲における回転方向の一方側から撮像する場合に比べ、回転方向に沿って形成される凹部又は凸部を検出する精度が向上する。
【0022】
第6態様の構成によれば、判断部が、転写部の移動に伴って輝度が変化する範囲において撮像部が撮像した画像に基づき、粘性剤の厚さについて良否状態を判断する場合に比べ、粘性剤の厚さのばらつきを検出する精度が向上する。
【0023】
第7態様の構成によれば、判断部が、画像における輝度が予め定められた基準値以上であるか否かのみで、粘性剤の厚さについて良否状態を判断する場合に比べ、粘性剤の厚さの半径方向に沿ったばらつきを検出する精度が向上する。
【0024】
第8態様の構成によれば、判断部が、画像における前記回転部の半径方向に沿った輝度のばらつきのみで、粘性剤の厚さについて良否状態を判断する場合に比べ、予め定められた範囲における粘性剤の厚さの低下を検出する精度が向上する。
【0025】
第9態様の構成によれば、粘性剤の厚さについての良否状態が不明である状況において、転写部が、粘性剤を対象物に転写する粘性剤塗布装置を用いる場合に比べ、基板に対する部品の接合不良が抑制される。
【0026】
第10態様の構成によれば、粘性剤の厚さについての良否状態が不明である状況において、転写部が、粘性剤を対象物に転写する粘性剤塗布装置を用いる場合に比べ、基板装置の製造不良が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態に係る製造装置を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る接合剤塗布装置を示す側断面図である。
【
図3】本実施形態に係る接合剤塗布装置を示す平面図である。
【
図4】本実施形態に係る接合剤塗布装置を示す断面図である。
【
図5】本実施形態に係る接合剤塗布装置において、皿回転方向に沿った凹部が接合剤に形成された場合を示す平面図である。
【
図6】本実施形態に係る接合剤塗布装置において、皿回転方向に沿った凹部が接合剤に形成された場合を示す側断面図である。
【
図7】本実施形態に係る接合剤塗布装置において、皿回転方向に沿って接合剤に形成された凹部と、撮像画像の画素列の輝度と、の関係を示す側断面図である。
【
図8】本実施形態に係る接合剤塗布装置において、皿回転方向に沿った幅広の凹部が接合剤に形成された場合を示す平面図である。
【
図9】本実施形態に係る接合剤塗布装置において、皿回転方向に沿って接合剤に形成された幅広の凹部と、撮像画像の画素列の輝度と、の関係を示す側断面図である。
【
図10】本実施形態に係る接合剤塗布装置において、接合剤が予め定められ基準厚さで一定である場合における撮像画像の画素列の輝度を示す側断面図である。
【
図11】本実施形態に係る第一処理において、検出範囲の各画素の輝度を数値化した状態について説明するための図である。
【
図12】本実施形態に係る第二処理において、検出範囲の各画素の輝度を数値化した状態について説明するための図である。
【
図13】本実施形態に係る、半導体素子のプリント配線基板への搭載に用いられるコレットの構成を示す斜視図である。
【
図15】本実施形態に係るプリント配線基板に半導体素子が搭載された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0029】
<製造装置10>
本実施形態に係る製造装置10の構成を説明する。
図1は、製造装置10の構成を示す斜視図である。
【0030】
以下の説明で用いる+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向(上方)及び-Z方向(下方)は、図中に示す矢印方向である。また、以下の説明では、「X方向」を、「+X方向及び-X方向の両方」又は「+X方向及び-X方向のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。また、「Y方向」を、「+Y方向及び-Y方向の両方」又は「+Y方向及び-Y方向のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。また、「Z方向」を、「+Z方向及び-Z方向の両方」又は「+Z方向及び-Z方向のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。
【0031】
また、図中の「○」の中に「×」が記載されたものは、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味し、図中の「○」の中に「・」が記載されたものは、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0032】
製造装置10は、プリント配線基板装置(基板装置の一例)を製造する製造装置である。具体的には、製造装置10は、
図1に示されるように、半導体素子12(部品の一例)を供給する供給部13と、半導体素子12を位置決めする素子位置決め部20(部品位置決め部の一例)と、プリント配線基板44(対象物の一例、基板の一例)を位置決めする基板位置決め部40と、を備えている。
【0033】
製造装置10は、さらに、半導体素子12を接合するための接合剤G(粘性剤の一例)をプリント配線基板44に塗布する接合剤塗布装置110(粘性剤塗布装置の一例)と、供給部13から素子位置決め部20へ半導体素子12を移送する移送装置50と、素子位置決め部20で位置決めされた半導体素子12を基板位置決め部40で位置決めされたプリント配線基板44へ移送する移送装置60(移送機構の一例)と、を備えている。
【0034】
また、製造装置10は、製造装置10の各構成部分(具体的には、供給部13、素子位置決め部20、基板位置決め部40、接合剤塗布装置110、移送装置50、及び移送装置60)の動作(すなわち駆動)を制御する制御部90を備えている。なお、
図1では、制御部90の複数の制御対象を代表して、移送装置60の移動機構63に対して、制御部90からの矢印を図示している。
【0035】
製造装置10では、半導体素子12をプリント配線基板44に搭載する搭載装置100が、素子位置決め部20と、基板位置決め部40と、接合剤塗布装置110と、移送装置60と、を有して構成されている。
【0036】
<半導体素子12>
製造装置10(具体的には搭載装置100)によってプリント配線基板44に搭載(すなわち実装)される半導体素子12としては、例えば、長尺に形成された断面四角形状の半導体素子(例えば、LEDチップ)が用いられる(
図13参照)。具体的には、半導体素子12は、例えば、幅(すなわちY方向長さ)125μm、長さ(すなわちX方向長さ)6mm、高さ(すなわちZ方向長さ)300μmとされている。さらに、半導体素子12は、断面形状が平行四辺形をしている(
図14参照)。また、半導体素子12の表面(具体的には上面)には、回路パターンや発光素子等の機能部11(
図15参照)が設けられている。
【0037】
<供給部13>
図1に示されるように、供給部13は、ウエハ14を保持する保持部15と、保持部15をX方向及びY方向へ移動させる移動機構17と、を備えている。供給部13では、保持部15が保持するウエハ14が切断されることにより、ウエハ14から複数の半導体素子12が切り出されるようになっている。また、供給部13では、移動機構17が保持部15をX方向及びY方向へ移動させることで、搭載対象の半導体素子12を移送装置50による予め定められたピックアップ位置に位置させるようになっている。
【0038】
なお、供給部13は、さらに、半導体素子12が載せられる台としてのトレイと、該トレイをX方向及びY方向へ移動させる移動機構と、該トレイへウエハ14から半導体素子12を移送する移送機構と、を有する構成であってもよい。この構成では、移送機構がウエハ14からトレイに半導体素子12を移送し、移動機構がトレイをX方向及びY方向へ移動させることで、トレイに載せられた半導体素子12を移送装置50による予め定められたピックアップ位置に位置させるようになっている。
【0039】
<移送装置50>
図1に示されるように、移送装置50は、吸引ノズル54で半導体素子12を吸引する吸引器52と、吸引器52を移動させる移動機構53と、を備えている。移送装置50では、吸引器52が、供給部13におけるピックアップ位置に位置する半導体素子12を吸引ノズル54で吸引することで半導体素子12を吸引ノズル54に保持する。そして、移送装置50では、半導体素子12を吸引ノズル54に保持した状態で、移動機構53によって吸引器52が矢印50A方向に移動することで、後述の位置決め台30のプレート34上に半導体素子12を移送して、該プレート34上の仮置き位置に半導体素子12を仮置きするようになっている。なお、移送装置50の移動機構53としては、例えば、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能な三軸ロボットが用いられる。
【0040】
<素子位置決め部20>
図1に示されるように、素子位置決め部20は、半導体素子12が載せられる台としての位置決め台30と、位置決め台30上に仮置きされた半導体素子12を予め定められた位置決め位置に位置決めする位置決め部材22と、位置決め部材22をX方向及びY方向へ移動させる移動機構29と、を備えている。
【0041】
位置決め台30は、上部に開口部33を有する円筒部32と、円筒部32の開口部33に設けられたプレート34と、円筒部32の内部空間の空気を吸引して該内部空間を負圧にする吸引装置36と、を備えている。プレート34には、複数の吸引孔38が形成されている。この複数の吸引孔38は、プレート34を貫通しており、円筒部32の内部空間と通じている。
【0042】
位置決め部材22は、
図1に示されるように、板状をしており、本体部22Aと、本体部22Aから+X方向に延び出た一対の爪部22Bと、を備えて構成されている。一対の爪部22Bは、その間に半導体素子12を配置可能にY方向に離れて設けられている。この一対の爪部22Bと本体部22Aとによって、位置決め部材22は、平面視(-Z方向視)にてコの字状(Uの字状)に構成されている。なお、位置決め部材22は、プレート34に吸着されて移動抵抗を受けないように、プレート34に対して非接触な状態を保って移動するようになっている。
【0043】
位置決め部材22では、半導体素子12の側面12A(
図14参照)の一方に対して、爪部22Bを突き当てて、半導体素子12を移動させ、予め定められた位置に半導体素子12を位置決め(位置出し)するようになっている。
【0044】
また、本実施形態では、一対の爪部22Bのいずれか一方を選択して半導体素子12の位置決めを行うようになっている。従って、位置決め部材22としては、一対の爪部22Bの一方を有さない構成であってもよい。
【0045】
<基板位置決め部40>
図1に示されるように、基板位置決め部40は、プリント配線基板44をX方向に搬送する一対の搬送部材42(例えば、コンベア)を備えている。一対の搬送部材42は、その間にプリント配線基板44が導入可能にY方向に離れて配置されている。
【0046】
基板位置決め部40では、一対の搬送部材42の間に導入されたプリント配線基板44が、一対の搬送部材42に対してX方向、Y方向、Z方向に位置決めされるようになっている。そして、一対の搬送部材42がプリント配線基板44をX方向に搬送することで、プリント配線基板44は、Y方向に位置決めされた状態で、後述のコレット70及び転写ピン142に対してX方向へ相対移動するようになっている。
【0047】
<接合剤塗布装置110>
接合剤塗布装置110は、半導体素子12を接合するための接合剤Gをプリント配線基板44に塗布する装置である。この接合剤塗布装置110は、
図2、
図3及び
図4に示されるように、回転皿122と、調整部材130と、転写ピン142と、移動機構144と、検出部150と、を備えている。なお、
図2は、
図3の2A-2A線断面図であり、
図2における回転皿122は
図3の2B-2B線で切断した場合の構成を示すものである。
【0048】
<接合剤G>
接合剤Gは、粘性剤の一例である。接合剤塗布装置110によって塗布される接合剤Gとしては、例えば、銀(Ag)を含むエポキシ系の接着剤が用いられる。この接合剤Gは、例えば、ペースト状(粘度が比較的高い液状)とされている。
【0049】
<回転皿122>
回転皿122は、回転部の一例であり、接合剤Gを載せられる回転部材である。この回転皿122は、
図1及び
図2に示されるように、上面側に溝部124を有する円盤状に構成されている。
【0050】
溝部124は、
図3に示されるように、平面視にて円環状に形成されている。この円環状の溝部124によって、接合剤Gが収容される収容空間(収容部)が形成されている。この収容空間は、
図2に示されるように、溝部124の底壁124Aと、溝部124の外周側の溝壁124B(以下、外周壁124Bという)と、溝部124の内周側の溝壁124C(以下、内周壁124Cという)と、で囲まれた空間となっている。この収容空間に収容された接合剤Gは、外周壁124Bと内周壁124Cとの間で、溝部124の底壁124Aの表面124Gに載せられた状態となっている。
【0051】
この回転皿122は、駆動部128によって、一方向(
図3における時計周り方向(矢印A方向))へ一定の速度で回転するようになっている。以下、回転皿122の回転方向を皿回転方向Aという場合がある。底壁124Aの表面124Gは、載せ面の一例である。
【0052】
回転皿122は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属材料などで形成されている。このように、本実施形態では、回転皿122は、光を反射する材料にて形成されている。
【0053】
<調整部材130>
調整部材130は、一定部の一例であり、接合剤Gの厚さを調整する部材である。この調整部材130は、
図4に示されるように、回転皿122に載せられた接合剤Gの厚さを予め定められた厚さ(以下、基準厚さという場合がある)で一定にする。本実施形態では、調整部材130は、腕部132と、接触部134と、を有している。
【0054】
腕部132は、
図3及び
図4に示されるように、-X方向に延びると共に、先端部132Aが回転皿122上に配置されている。接触部134は、腕部132の先端部132Aから回転皿122の底壁124Aに向かって下方(-Z方向)へ突出している。接触部134が、回転皿122に載せられた接合剤Gに接触した状態において、回転皿122が皿回転方向Aへ回転することで、接合剤Gの厚さを基準厚さ(例えば、0.05mm以上0.1mm以下の範囲)で一定にする。
【0055】
<検出部150>
検出部150は、接合剤Gの厚さについて良否状態を検出する構成部である。この検出部150は、調整部材130に対する皿回転方向Aの下流側であって、転写ピン142に対する皿回転方向Aの上流側において、接合剤Gの厚さについて良否状態を検出する(
図3参照)。
【0056】
本実施形態では、検出部150は、後述のように、接合剤Gの厚さのばらつきが基準値以上である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態(不良状態)と検出し、接合剤Gの厚さのばらつきが基準値未満である場合には、接合剤Gの厚さについて良状態(良好状態)と検出する。
【0057】
また、検出部150は、後述のように、接合剤Gの厚さ(例えば厚さの平均値)が基準厚さ未満である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態(不良状態)と検出し、接合剤Gの厚さが、基準厚さ以上である場合には、接合剤Gの厚さについて良状態(良好状態)と検出する。
【0058】
具体的には、検出部150は、
図4に示されるように、光源152と、カメラ154と、判断装置156と、を有している。光源152は、回転皿122に載せられた接合剤Gの上方(+Z方向)に設けられている。この光源152は、回転皿122に載せられた接合剤Gを照明する。なお、光源152は、少なくとも、後述の検出範囲154Sを照明すればよい。
【0059】
カメラ154は、撮像部の一例であり、
図4に示されるように、光源152からの光HAが接合剤Gに当たって反射した反射光HAが入射され、回転皿122に載せられた接合剤Gを撮像する。このカメラ154は、
図3に示されるように、回転皿122における皿回転方向Aの一部の範囲(以下、検出範囲154Sという)の接合剤Gを含む接合剤Gを撮像する。なお、カメラ154による回転皿122に載せられた接合剤Gの撮像は、接触部134により接合剤Gの厚さを一定にする動作を継続するため、回転皿122の回転中に行うことが望ましい。
【0060】
検出範囲154Sは、接合剤Gの厚さについて良否状態を検出する対象となる範囲である。検出範囲154Sは、
図3に示されるように、皿回転方向Aに対する交差方向(具体的には、X方向)の長さが、皿回転方向Aに沿う方向(具体的には、Y方向)の長さよりも長くなるように設定されている。また、検出範囲154Sの皿回転方向Aに対する交差方向(具体的には、X方向)の長さは、転写ピン142の短手方向(具体的には、Y方向)の長さよりも長くなるように設定されている。さらに、検出範囲154Sの皿回転方向Aに沿う方向(具体的には、Y方向)の長さは、転写ピン142の長手方向(具体的には、X方向)の長さよりも短くなるように設定されている。その理由は、後述するように、異物が調整部材130の接触部134に引っ掛かるなどすると、
図5及び
図6に示されるように、異物によって接合剤Gに皿回転方向Aに沿う方向に凹部G1が形成される場合があり、この場合は、皿回転方向Aに沿う方向(具体的には、Y方向)の一部のみカメラ154で撮像すれば、凹部G1を検出できるからである。つまり、検出範囲154Sは、転写ピン142が回転皿122に載せられた接合剤Gに接触する転写領域の全てを含む範囲に設定されていない。このため、後述する判断装置156による判断処理(第一処理及び第二処理)に要する時間が短縮される。カメラ154は、検出範囲154Sを含む当該検出範囲154S以上の範囲を撮像範囲とする。
【0061】
検出範囲154Sは、調整部材130(調整部材130の接触部134)に対する皿回転方向Aの下流側であって、転写ピン142に対する皿回転方向Aの上流側に設定されている。さらに、検出範囲154Sは、転写ピン142の移動に伴って輝度が変化する範囲(以下、変化範囲142Hという)以外の範囲に設定されている。変化範囲142Hは、例えば、転写ピン142及び転写ピン142を支持する支持体(図示省略)による影が形成される、又は転写ピン142及び当該支持体に当たった光の反射光が当たる範囲である。
【0062】
本実施形態では、例えば、カメラ154は、検出範囲154Sよりも大きい範囲を撮像範囲としており、カメラ154の撮像範囲の画像から検出範囲154Sの画像が抽出される。このように、カメラ154の撮像範囲の画像から検出範囲154Sの画像が抽出される場合では、カメラ154の撮像範囲としては、調整部材130(調整部材130の接触部134)に対する皿回転方向Aの上流側であって、転写ピン142に対する皿回転方向Aの下流側の範囲を含んでいてもよい。また、カメラ154の撮像範囲としては、変化範囲142Hを含んでいてもよい。
【0063】
また、
図6に示されるように、カメラ154は、撮像方向SAが回転皿122における接合剤Gが載せられた表面124Gに対して傾斜している。さらに、カメラ154は、
図3に示されるように、平面視にて検出範囲154Sにおける皿回転方向Aに対する交差方向(具体的には、+X方向)側から撮像する。表面124Gは、載せ面の一例である。なお、カメラ154の撮像方向SAは、例えば、当該交差方向の一例としての-X方向であってもよい。
【0064】
図4に示される判断装置156は、判断部の一例であり、カメラ154が撮像した画像(以下、撮像画像という)に基づき、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する。本実施形態では、判断装置156は、例えば、プログラムが記憶されたROM(ロム)やストレージ等で構成された記憶部と、プログラムに従って動作するプロセッサと、を有するコンピュータで構成されている。判断装置156では、プロセッサが、当該記憶部に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する判断処理を行う。
【0065】
ここで、判断装置156は、接合剤Gの厚さに応じて、カメラ154へ入射される反射光HAの輝度が変化することを利用して、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する。例えば、異物が接合剤Gに混入し、当該異物が調整部材130の接触部134に引っ掛かったり、当該異物が接触部134と回転皿122の底壁124Aとの間に挟まったりすると、
図5及び
図6に示されるように、異物によって接合剤Gに皿回転方向Aに沿った凹部G1が形成される場合がある。当該異物は、例えば、半導体素子12の破片などが挙げられる。
【0066】
接合剤Gに皿回転方向Aに沿って凹部G1が形成された場合では、
図7に示されるように、凹部G1の-X方向側の斜面G1Aが、カメラ154に対向するため、画像の画素列における輝度が相対的に高くなり、凹部G1の+X方向側の斜面G1Bは、カメラ154の撮像方向に沿うため、画像の画素列における輝度が相対的に低くなる。なお、
図7では、画像の画素列において、輝度が相対的に高い部分を白抜きで示し、輝度が相対的に低い部分を黒ベタで示し、白抜き部分と黒ベタ部分との間の輝度を有する部分をドットで示している。
【0067】
なお、接合剤Gに皿回転方向Aに沿って凸部が形成された場合においても、画像の画素列における輝度がばらつくため、接合剤Gの厚さについて良否状態が判断可能である。
【0068】
また、例えば、比較的大きい異物が接合剤Gに混入し、当該異物が調整部材130の接触部134に引っ掛かったり、当該異物が接触部134と回転皿122の底壁124Aとの間に挟まったりすると、
図8に示されるように、接合剤Gの厚さが基準厚さよりも薄くなって、幅広の凹部G2が皿回転方向Aに沿って形成される場合がある。比較的大きい異物が接合剤Gに混入する場合としては、例えば、半導体素子12が丸ごと、混入する場合が挙げられる。
【0069】
ここで、接合剤Gに皿回転方向Aに沿って凹部G2が形成された場合(
図9参照)では、凹部G2が形成されていない場合(すなわち、接合剤Gが基準厚さで一定である場合(
図10参照))に対して、画像の画素列の全体における輝度が相対的に高くなる。これは、接合剤Gの厚みが薄くなることで、回転皿122の表面124Gで反射した反射光HAが接合剤Gを透過しやすくなるためであると推測される。つまり、光源152から出射した光HAは、一部が接合剤Gに当たって反射して反射光HA(カメラ154に入射する反射光HA)の一部を構成し、一部が接合剤Gを通過して回転皿122で反射して再度接合剤Gを通過して反射光HA(カメラ154に入射する反射光HA)の一部を構成する。前者の反射光HAの輝度よりも後者の反射光HAの輝度が高いため、画像の画素列の全体における輝度が相対的に高くなると推測される。
【0070】
なお、
図9では、画像の画素列において、輝度が相対的に高い部分を白抜きで示し、
図10では、画像の画素列において、輝度が、
図9における輝度より低い部分をドットで示している。
【0071】
また、接合剤Gに皿回転方向Aに沿って幅広の凸部が形成された場合においても、画像の画素列の全体における輝度が相対的に低くなるため、接合剤Gの厚さについて良否状態が判断可能である。
【0072】
そして、本実施形態では、判断装置156は、具体的には、判断処理の一例として、以下の第一処理と第二処理とを実行する。
【0073】
第一処理では、判断装置156は、まず、カメラ154から撮像画像を取得し、当該撮像画像から検出範囲154Sの画像(画素)を抽出すると共に、検出範囲154Sの各画素の輝度を数値化する(
図11参照)。なお、
図11における各セル(すなわち各枠)が各画素に対応する。
【0074】
次に、第一処理では、判断装置156は、数値化した輝度について、Y方向に沿った一列の平均値を、X方向毎に算出する。算出された第一平均値(例えば131(一点鎖線参照))と第二平均値(例えば90)との差が、予め定められた閾値(例えば30)以上である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態(不良状態)と判断する。算出された一の平均値と他の平均値との差が、予め定められた閾値未満である場合に、接合剤Gの厚さについて良状態(良好状態)と判断する。
【0075】
第二平均値は、第一平均値の画素からX方向へ離れた複数の画素(例えば
図11において二点鎖線で囲まれた複数の画素)の中から抽出された最小値(例えば90)とすることが可能である。また、算出された平均値のうち、第一平均値を最大値とし、第二平均値を最小値としてもよい。
【0076】
このように、判断装置156は、撮像画像における回転皿122の半径方向に沿った輝度のばらつきが、予め定められた閾値以上である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態と判断し、当該ばらつきが、予め定められた閾値未満である場合に、接合剤Gの厚さについて良状態と判断する。
【0077】
一方、第二処理では、第一処理と同様に、判断装置156は、まず、カメラ154から撮像画像を取得し、当該撮像画像から検出範囲154Sの画像(画素)を抽出すると共に、検出範囲154Sの各画素の輝度を数値化する(
図12参照)。当該動作は、第一処理と共通の動作として行ってもよい。換言すると、第一処理で行った一部の処理(カメラ154から撮像画像を取得し、当該撮像画像から検出範囲154Sの画像(画素)を抽出すると共に、検出範囲154Sの各画素の輝度を数値化する)の結果は、そのまま第二処理で用いても良い。なお、
図12における各セル(すなわち各枠)が各画素に対応する。
【0078】
第二処理では、判断装置156は、数値化した輝度について、検出範囲154Sの全範囲の平均値(例えば113)を算出する。そして、算出された平均値が、予め定められた基準値(例えば110)以上である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態(不良状態)と判断する。算出された平均値が、予め定められた基準値未満である場合に、接合剤Gの厚さについて良状態(良好状態)と判断する。
【0079】
このように、判断装置156は、撮像画像の予め定められた範囲における輝度が、予め定められた基準値以上である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態と判断し、当該輝度が、予め定められた基準値未満である場合に、接合剤Gの厚さについて良状態と判断する。なお、検出部150は、カメラ154が接合剤Gの撮像画像を取得し、判断装置156が当該撮像画像の一部である検出範囲154Sの画像について第一処理及び第二処理を行って接合剤Gの厚さについての良否状態の判断を出した後、カメラ154が撮像画像を取得した接合剤Gが転写領域に到達する位置に設定(設置)される。換言すると、検出部150が検出範囲154Sに位置する接合剤Gの厚さについての良否状態を検出するまでの時間は、検出範囲154Sに位置する接合剤Gを、検出範囲154Sから転写領域まで回転皿122の回転により搬送する時間よりも短い。
【0080】
<転写ピン142及び移動機構144>
転写ピン142は、転写部の一例であり、検出部150が良状態を検出した場合に接合剤Gに接触して下面142Aに接合剤Gを付けて移動し、該下面142Aに付けた接合剤Gをプリント配線基板44に転写する(
図2参照)。プリント配線基板44は、対象物の一例である。
【0081】
転写ピン142は、水平方向に長さを有するブロック状(直方体状)に形成された転写部材である。この転写ピン142は、接合剤Gが付けられる下面142Aを有している。
【0082】
移動機構144は、基板位置決め部40で位置決めされたプリント配線基板44と回転皿122との間で転写ピン142を移動させる機構である。この移動機構144は、転写ピン142をY方向及び上下方向(Z方向)に移動させるようになっている。移動機構144が転写ピン142を下方(-Z方向)に移動させることにより、転写ピン142は、溝部124の上方(+Z方向)の開口から溝部124内に降下して、回転皿122に載せられた接合剤Gを下面142Aに付着させるようになっている。転写ピン142は、具体的には、溝部124における径方向中央部の予め定められた転写領域に降下するように設定されている。
【0083】
また、移動機構144が転写ピン142をY方向に移動させることにより、転写ピン142がプリント配線基板44に対してY方向へ相対移動するようになっている。すなわち、本実施形態では、移動機構144によって転写ピン142がY方向に移動し、基板位置決め部40の搬送部材42によってプリント配線基板44がX方向に移動することで、転写ピン142をプリント配線基板44に対してX方向、Y方向に相対移動させるようになっている。
【0084】
移動機構144が転写ピン142をプリント配線基板44に対して、X方向、Y方向に相対移動させた後、転写ピン142を下方(-Z方向)に降下させることで、転写ピン142は、下面142Aに付着させた接合剤Gをプリント配線基板44に塗布するようになっている。すなわち、転写ピン142は、回転皿122に収容された接合剤Gをプリント配線基板44に転写するようになっている。なお、移動機構144としては、例えば、Y方向及びZ方向に移動可能な二軸ロボットが用いられる。
【0085】
本実施形態では、判断装置156が良状態と判断した場合に、良状態と判断された検出範囲154Sに存在した接合剤Gが転写ピン142の転写領域まで移動した後に、駆動部128による回転皿122の回転を一時的に停止する。そして、転写ピン142は、良状態と判断された検出範囲154Sに存在した接合剤Gを下面に付けて移動し、当該接合剤Gを、プリント配線基板44に転写する。なお、転写ピン142が良状態と判断された検出範囲154Sに存在した接合剤Gを下面に付けて上方(+Z方向)に上昇した後、上記一時的な回転皿の停止は解消される(駆動部128による回転皿122の回転が再開される)。
【0086】
<移送装置60>
図1に示されるように、移送装置60は、半導体素子12を保持する保持具としてのコレット70と、コレット70が装着されコレット70が半導体素子12を保持するための吸引力を発生させる吸引器62と、吸引器62及びコレット70をプリント配線基板44に対して相対移動させる移動機構63と、を備えている。
【0087】
吸引器62は、具体的には、コレット70が装着される吸引ノズル64を有している。コレット70は、
図13に示されるように、コレット本体72と、吸引ノズル64と接続される接続部74と、半導体素子12の第一稜線12Eに突き当たる第一面81を有する突当部76と、半導体素子12の第二稜線12Bに突き当たる第二面82を有する突当部86と、を備えている。
【0088】
コレット本体72の+X方向端部には、半導体素子12の+X方向側の稜線に突き当たる突当部としての突当爪80が設けられている。この突当爪80が半導体素子12の+X方向側の稜線に突き当たることにより、半導体素子12がX方向で位置決めされるようになっている。突当爪80は、半導体素子12の+X方向側の端面に突き当たるようになっていても良い。
【0089】
接続部74は、
図13に示されるように、円筒状に形成されており、円筒状の吸引ノズル64に挿し込まれることで接続されるようになっている。接続部74には、吸引ノズル64と通じる接続口74Aが形成されている。第二面82と第一面81との間には、
図14に示されるように、接続口74Aと通じる吸引口78が形成されている。
【0090】
コレット70では、半導体素子12の上面の第二稜線12Bが第二面82に突き当たり、且つ、半導体素子12の上面の第一稜線12Eが第一面81に突き当たることにより、半導体素子12がY方向及びZ方向で位置決めされるようになっている。
【0091】
コレット70では、吸引器62により、吸引口78を通じて半導体素子12が吸引されて、Y方向、Z方向及びX方向で位置決めされた状態の半導体素子12が保持されるようになっている。
【0092】
そして、移送装置60では、半導体素子12をコレット70に保持した状態で、移動機構63によって吸引器62が矢印60A方向(
図1参照)に移動することで、プリント配線基板44に転写された接合剤G上に半導体素子12を移送して、プリント配線基板44に半導体素子12を搭載する。なお、移動機構63としては、例えば、Y方向及びZ方向に移動可能な二軸ロボットが用いられる。
【0093】
<プリント配線基板装置の製造方法>
本実施形態に係るプリント配線基板装置の製造方法では、
図1に示されるように、まず、供給部13において、移動機構17が保持部15をX方向及びY方向へ移動させることで、搭載対象の半導体素子12を予め定められたピックアップ位置に位置させる(位置調整工程)。
【0094】
次に、供給部13のピックアップ位置に位置する半導体素子12を、移送装置50が位置決め台30のプレート34上に移送して、プレート34上の仮置き位置に半導体素子12を仮置きする(仮置工程)。
【0095】
次に、プレート34上の仮置き位置に仮置きされた半導体素子12を、位置決め部材22によって、プレート34上の予め定められた位置決め位置に移動させて位置決め(位置出し)する(部品位置決め工程の一例としての素子位置決め工程)。
【0096】
次に、基板位置決め部40において、一対の搬送部材42がプリント配線基板44を位置決めする(基板位置決め工程)。なお、この基板位置決め工程は、素子位置決め工程の後に行う必要は無く、素子位置決め工程の前又は同時に行っても良い。
【0097】
次に、回転皿122に載せられた接合剤Gを、転写ピン142によって、基板位置決め部40で位置決めされたプリント配線基板44に転写する(接合剤転写工程)。
【0098】
次に、転写ピン142で転写された接合剤G上に、素子位置決め工程で位置決めされた半導体素子12を移送装置60によって移送する(移送工程)。
【0099】
なお、本移送工程では、複数の半導体素子12が、
図15に示されるように、プリント配線基板44に対して千鳥状に配置される。すなわち、上記位置調整工程、仮置工程、素子位置決め工程、塗布工程、保持工程、搭載工程が、半導体素子12の数に応じて行われる。なお、本実施形態では、例えば、複数の半導体素子12をY方向一方側(
図15の下側)に間隔をおいて一列に配置した後、複数の半導体素子12をY方向他方側(
図15の上側)に間隔をおいて一列に配置するようになっている。
【0100】
すなわち、本実施形態では、複数の半導体素子12を、例えば、プリント配線基板44の長手方向一端44Aから数えて奇数番目にあたる搭載位置T1、T3、T5・・・に配置した後、当該一端44Aから数えて偶数番目にあたる搭載位置T2、T4・・・に配置することで、千鳥状に配置する。
【0101】
次に、接合剤Gを固化させる(固化工程)。具体的には、例えば、接合剤Gを、例えば、1~2時間、110~120℃で加熱することで、接合剤Gを固化させる。これにより、プリント配線基板装置が製造される。
【0102】
本製造方法では、接合剤転写工程に先立って、検出部150によって、接合剤Gの厚さについて良否状態を検出する工程(検出工程)を実行する。そして、検出工程では、検出部150が接合剤Gの厚さのばらつきが基準値以上である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態(不良状態)と検出し、接合剤Gの厚さのばらつきが基準値未満である場合には、接合剤Gの厚さについて良状態(良好状態)と検出する。
【0103】
また、検出部150は、後述のように、接合剤Gの厚さ(例えば厚さの平均値)が基準厚さ未満である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態(不良状態)と検出し、接合剤Gの厚さが、基準厚さ以上である場合には、接合剤Gの厚さについて良状態(良好状態)と検出する。
【0104】
そして、検出工程において、接合剤Gの厚さについて良状態と検出した場合に、接合剤転写工程を実行する。なお、検出工程において、接合剤Gの厚さについて否状態と検出した場合は、製造装置10を停止して、回転皿122から異物を取り除いた後、プリント配線基板装置の製造を再開する。
【0105】
<本実施形態に係る作用>
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0106】
本実施形態では、転写ピン142は、検出部150が良状態を検出した場合に回転皿122中の接合剤Gに接触して下面142Aに接合剤Gを付けて移動し、該下面142Aに付けた接合剤Gをプリント配線基板44に転写する。
【0107】
このため、回転皿122中の接合剤Gの厚さについての良否状態が不明である状況において、転写ピン142が接合剤Gをプリント配線基板44に転写する場合に比べ、プリント配線基板44への接合剤Gの転写不良が抑制される。この結果、プリント配線基板44に対する半導体素子12の接合不良が抑制され、プリント配線基板装置の製造不良が抑制される。なお、転写不良とは、例えば、プリント配線基板44に転写される接合剤Gの転写量が不足したり、当該転写量にムラが生じたりする等の不良である。
【0108】
また、本実施形態では、検出部150は、調整部材130(調整部材130の接触部134)に対する皿回転方向Aの下流側であって、転写ピン142に対する皿回転方向Aの上流側において、接合剤Gの厚さについて良否状態を検出する。
【0109】
ここで、検出部150は、調整部材130(調整部材130の接触部134)に対する皿回転方向Aの上流側であって、転写ピン142に対する皿回転方向Aの下流側において、接合剤Gの厚さについて良否状態を検出する場合(以下、形態Aという)では、転写ピン142による転写跡が残る位置で検出が行われるため、例えば、検出された接合剤Gの凹凸が、調整部材130によるものなのか、転写ピン142によるものなのかがわかりづらくなる。この結果、調整部材130で生じた接合剤Gの否状態の検出精度が低下する。
【0110】
これに対して、本実施形態では、検出部150は、調整部材130(調整部材130の接触部134)に対する皿回転方向Aの下流側であって、転写ピン142に対する皿回転方向Aの上流側において、接合剤Gの厚さについて良否状態を検出するので、形態Aに比べ、調整部材130で生じた接合剤Gの否状態の検出精度が向上する。
【0111】
また、本実施形態では、
図4に示されるように、検出部150は、接合剤Gの上方に設けられた光源152と、光源152からの光HAが接合剤Gに当たって反射した反射光HAが入射され、接合剤Gを撮像するカメラ154と、カメラ154が撮像した画像に基づき、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する判断装置156と、を有している。
【0112】
このため、光源152を有さない検出部150を用いる場合に比べ、接合剤Gの厚さのばらつき(すなわち接合剤Gの凹凸)が、光源152の光HAによって、明暗の差として現れやすいため、接合剤Gの厚さのばらつきを検出する精度が向上する。
【0113】
また、本実施形態では、
図6に示されるように、カメラ154は、撮像方向SAが回転皿122における接合剤Gが載せられた表面124Gに対して傾斜している。
【0114】
このため、カメラ154の撮像方向SAが、回転皿122における接合剤Gが載せられた表面124Gに対して直交する場合に比べ、接合剤Gの厚さのばらつき(すなわち接合剤Gの凹凸)が、明暗の差として現れやすいため、接合剤Gの厚さのばらつきを検出する精度が向上する。
【0115】
また、本実施形態では、
図3に示されるように、カメラ154は、平面視にて検出範囲154Sにおける皿回転方向Aに対する交差方向(具体的には、+X方向)側から撮像する。
【0116】
このため、カメラ154は、平面視にて検出範囲154Sにおける皿回転方向Aの一方(具体的には、+Y方向)側から撮像する場合に比べ、皿回転方向Aに沿って接合剤Gに形成される凹部G1又は凸部が、明暗の差として現れやすいため、当該凹部G1又は凸部を検出する精度が向上する。
【0117】
また、本実施形態では、判断装置156は、転写ピン142の移動に伴って輝度が変化する変化範囲142H以外の範囲においてカメラ154が撮像した撮像画像に基づき、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する。
【0118】
このため、判断装置156が、転写ピン142の移動に伴って輝度が変化する変化範囲142Hにおいてカメラ154が撮像した撮像画像に基づき、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する場合に比べ、接合剤Gの厚さのばらつきを検出する精度が向上する。
【0119】
また、本実施形態では、判断装置156は、撮像画像における回転皿122の半径方向に沿った輝度のばらつきが、予め定められた閾値以上である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態と判断し、当該ばらつきが、予め定められた閾値未満である場合に、接合剤Gの厚さについて良状態と判断する。
【0120】
このため、判断装置156が、撮像画像における輝度が予め定められた基準値以上であるか否かのみで、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する場合に比べ、接合剤Gの厚さの半径方向に沿ったばらつきを検出する精度が向上する。
【0121】
また、本実施形態では、判断装置156は、撮像画像の予め定められた範囲における輝度が、予め定められた基準値以上である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態と判断し、当該輝度が、予め定められた基準値未満である場合に、接合剤Gの厚さについて良状態と判断する。
【0122】
このため、判断装置156が、撮像画像における回転皿122の半径方向に沿った輝度のばらつきのみで、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する場合に比べ、予め定められた範囲における接合剤Gの厚さの低下を検出する精度が向上する。
【0123】
<変形例>
本実施形態では、一定部の一例として、腕部132と、接触部134と、を有する調整部材130を用いたが、一定部の一例としては、調整部材130に限られない。一定部の一例としては、例えば、下方へ延び且つX方向を厚み方向とする板体であってもよく、回転皿122に載せられた接合剤Gの厚さを予め定められた厚さで一定にする機能を有する構成部であればよい。
【0124】
また、本実施形態では、検出部の一例として、光源152と、カメラ154と、判断装置156と、を有する検出部150を用いたが、検出部の一例としては、検出部150に限られない。検出部の一例としては、例えば、光源152を有さない検出部、又は、カメラ154に替えて光センサを有する検出部などであってもよく、接合剤Gの厚さについて良否状態を検出する機能を有する構成部であればよい。
【0125】
また、本実施形態では、転写部の一例として、ブロック状に形成された転写ピン142を用いたが、転写部の一例としては、転写ピン142に限られない。転写部の一例としては、例えば、円柱状又は角柱状の転写部材であってもよく、検出部150が良状態を検出した場合に接合剤Gに接触して下面に接合剤Gを付けて移動し、該下面に付けた接合剤Gを対象物に転写する機能を有する構成部であればよい。
【0126】
また、本実施形態では、検出部150は、調整部材130に対する皿回転方向Aの下流側であって、転写ピン142に対する皿回転方向Aの上流側において、接合剤Gの厚さについて良否状態を検出していたが、これに限られない。例えば、検出部150が、調整部材130に対する皿回転方向Aの上流側であって、転写ピン142に対する皿回転方向Aの下流側において、接合剤Gの厚さについて良否状態を検出する構成であってもよい。
【0127】
また、本実施形態では、
図6に示されるように、カメラ154は、撮像方向SAが回転皿122における接合剤Gが載せられた表面124Gに対して傾斜していたが、これに限られない。例えば、カメラ154の撮像方向SAが、回転皿122における接合剤Gが載せられた表面124Gに対して直交する構成であってもよい。
【0128】
また、本実施形態では、カメラ154は、平面視にて検出範囲154Sにおける皿回転方向Aに対する交差方向(具体的には、+X方向)側から撮像していたが、これに限られない。例えば、カメラ154が、平面視にて検出範囲154Sにおける皿回転方向Aの一方(具体的には、+Y方向)側から撮像する構成であってもよい。
【0129】
また、本実施形態では、判断装置156は、転写ピン142の移動に伴って輝度が変化する変化範囲142H以外の範囲においてカメラ154が撮像した撮像画像に基づき、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断していたが、これに限られない。例えば、判断装置156が、転写ピン142の移動に伴って輝度が変化する変化範囲142Hにおいてカメラ154が撮像した撮像画像に基づき、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する構成であってもよい。
【0130】
また、本実施形態では、断装置156は、撮像画像における回転皿122の半径方向に沿った輝度のばらつきが、予め定められた閾値以上である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態と判断し、当該ばらつきが、予め定められた閾値未満である場合に、接合剤Gの厚さについて良状態と判断していたが、これに限られない。例えば、断装置156が、撮像画像における輝度が予め定められた基準値以上であるか否かのみで、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する構成であってもよい。
【0131】
また、本実施形態では、判断装置156は、撮像画像の予め定められた範囲における輝度が、予め定められた基準値以上である場合に、接合剤Gの厚さについて否状態と判断し、当該輝度が、予め定められた基準値未満である場合に、接合剤Gの厚さについて良状態と判断していたが、これに限られない。例えば、判断装置156が、撮像画像における回転皿122の半径方向に沿った輝度のばらつきのみで、接合剤Gの厚さについて良否状態を判断する構成であってもよい。
【0132】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0133】
<付記>
(((1)))
回転方向に回転する回転部に載せられた粘性剤の厚さを予め定められた厚さで一定にする一定部と、
該粘性剤の厚さについて良否状態を検出する検出部と、
該検出部が良状態を検出した場合に該粘性剤に接触して下面に該粘性剤を付けて移動し、該下面に付けた該粘性剤を対象物に転写する転写部と、
を備える粘性剤塗布装置。
【0134】
(((2)))
前記検出部は、
前記一定部に対する前記回転方向の下流側であって、前記転写部に対する前記回転方向の上流側において、前記良否状態を検出する
(((1)))に記載の粘性剤塗布装置。
【0135】
(((3)))
前記検出部は、
前記粘性剤の上方に設けられた光源と、
前記光源からの光が前記粘性剤に当たって反射した光が入射され、前記粘性剤を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記粘性剤の厚さについて良否状態を判断する判断部と、
を有する
(((1)))又は(((2)))に記載の粘性剤塗布装置。
【0136】
(((4)))
前記撮像部は、撮像方向が前記回転部における前記粘性剤が載せられた載せ面に対して傾斜している
(((3)))に記載の粘性剤塗布装置。
【0137】
(((5)))
前記判断部は、前記回転方向の一部の範囲の前記粘性剤を前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記粘性剤の厚さについて良否状態を判断し、
前記撮像部は、撮像方向が前記範囲における前記載せ面に対して傾斜し、且つ、平面視にて前記範囲における前記回転方向に対する交差方向側から撮像する
(((4)))に記載の粘性剤塗布装置。
【0138】
(((6)))
前記判断部は、
前記転写部の移動に伴って輝度が変化する範囲以外の範囲において前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記粘性剤の厚さについて良否状態を判断する
(((3)))~(((5)))のいずれか1つに記載の粘性剤塗布装置。
【0139】
(((7)))
前記判断部は、
前記画像における前記回転部の半径方向に沿った輝度のばらつきが、予め定められた閾値以上である場合に、前記粘性剤の厚さについて否状態と判断する
(((3)))~(((6)))のいずれか1つに記載の粘性剤塗布装置。
【0140】
(((8)))
前記判断部は、
前記画像の予め定められた範囲における輝度が、予め定められた基準値以上である場合に、前記粘性剤の厚さについて否状態と判断する
(((3)))~(((7)))のいずれか1つに記載の粘性剤塗布装置。
【0141】
(((9)))
部品を位置決めする部品位置決め部と、
前記対象物としての基板を位置決めする基板位置決め部と、
前記粘性剤としての接合剤を、前記基板位置決め部に位置決めされた基板に転写する(((1)))~(((8)))のいずれか1つに記載の粘性剤塗布装置と、
前記粘性剤塗布装置で転写された接合剤上に、前記部品位置決め部で位置決めされた前記部品を移送する移送機構と、
を備えた搭載装置。
【0142】
(((10)))
(((9)))に記載の搭載装置の前記部品位置決め部によって前記部品を位置決めする部品位置決め工程と、
前記基板位置決め部によって前記基板を位置決めする基板位置決め工程と、
前記粘性剤塗布装置の回転部に載せられた接合剤を、前記転写部によって前記基板位置決め部に位置決めされた前記基板に転写する接合剤転写工程と、
前記転写部で転写された接合剤上に、前記部品位置決め工程で位置決めされた前記部品を前記移送機構によって移送する移送工程と、
を有する基板装置の製造方法。
【0143】
(((1)))の構成によれば、粘性剤の厚さについての良否状態が不明である状況において、転写部が粘性剤を対象物に転写する場合に比べ、対象物への粘性剤の転写不良が抑制される。
【0144】
(((2)))の構成によれば、検出部が、一定部に対する回転方向の上流側であって、転写部に対する回転方向の下流側において、良否状態を検出する場合に比べ、一定部で生じた粘性剤の否状態の検出精度が向上する。
【0145】
(((3)))の構成によれば、光源を有さない検出部を用いる場合に比べ、粘性剤の厚さのばらつきを検出する精度が向上する。
【0146】
(((4)))の構成によれば、撮像部の撮像方向が、回転部における粘性剤が載せられた載せ面に対して直交する場合に比べ、粘性剤の厚さのばらつきを検出する精度が向上する。
【0147】
(((5)))の構成によれば、撮像部が、前記範囲における回転方向の一方側から撮像する場合に比べ、回転方向に沿って形成される凹部又は凸部を検出する精度が向上する。
【0148】
(((6)))の構成によれば、判断部が、転写部の移動に伴って輝度が変化する範囲において撮像部が撮像した画像に基づき、粘性剤の厚さについて良否状態を判断する場合に比べ、粘性剤の厚さのばらつきを検出する精度が向上する。
【0149】
(((7)))の構成によれば、判断部が、画像における輝度が予め定められた基準値以上であるか否かのみで、粘性剤の厚さについて良否状態を判断する場合に比べ、粘性剤の厚さの半径方向に沿ったばらつきを検出する精度が向上する。
【0150】
(((8)))の構成によれば、判断部が、画像における前記回転部の半径方向に沿った輝度のばらつきのみで、粘性剤の厚さについて良否状態を判断する場合に比べ、予め定められた範囲における粘性剤の厚さの低下を検出する精度が向上する。
【0151】
(((9)))の構成によれば、粘性剤の厚さについての良否状態が不明である状況において、転写部が、粘性剤を対象物に転写する粘性剤塗布装置を用いる場合に比べ、基板に対する部品の接合不良が抑制される。
【0152】
(((10)))の構成によれば、粘性剤の厚さについての良否状態が不明である状況において、転写部が、粘性剤を対象物に転写する粘性剤塗布装置を用いる場合に比べ、基板装置の製造不良が抑制される。
【符号の説明】
【0153】
10 製造装置
11 機能部
12 半導体素子(部品の一例)
12A 側面
12B 第二稜線
12E 第一稜線
13 供給部
14 ウエハ
15 保持部
17 移動機構
20 素子位置決め部(部品位置決め部の一例)
22 位置決め部材
22A 本体部
22B 爪部
29 移動機構
30 位置決め台
32 円筒部
33 開口部
34 プレート
36 吸引装置
38 吸引孔
40 基板位置決め部
42 搬送部材
44 プリント配線基板(対象物の一例、基板の一例)
44A 長手方向一端
50 移送装置
52 吸引器
53 移動機構
54 吸引ノズル
60 移送装置(移送機構の一例)
62 吸引器
63 移動機構
64 吸引ノズル
70 コレット
72 コレット本体
74 接続部
74A 接続口
76 突当部
78 吸引口
80 突当爪
81 第一面
82 第二面
86 突当部
90 制御部
100 搭載装置
110 接合剤塗布装置(粘性剤塗布装置の一例)
122 回転皿(回転部の一例)
124 溝部
124A 底壁
124B 溝壁(外周壁)
124C 溝壁(内周壁)
124G 表面(載せ面の一例)
128 駆動部
130 調整部材(一定部の一例)
132 腕部
132A 先端部
134 接触部
142 転写ピン(転写部の一例)
142A 下面
142H 変化範囲
144 移動機構
150 検出部
152 光源
154 カメラ(撮像部の一例)
154S 検出範囲
156 判断装置(判断部の一例)
A 皿回転方向
G 接合剤(粘性剤の一例)
G1 凹部
G1A 斜面
G1B 斜面
G2 凹部
T1、T2、T3、T4、T5搭載位置