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  • 特開-捕獲システムおよび捕獲方法 図1
  • 特開-捕獲システムおよび捕獲方法 図2
  • 特開-捕獲システムおよび捕獲方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055171
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】捕獲システムおよび捕獲方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/10 20060101AFI20240411BHJP
   A01M 1/14 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A01M1/10 A
A01M1/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161882
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】522120613
【氏名又は名称】レイメイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100118094
【弁理士】
【氏名又は名称】殿元 基城
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】森田 聖悟
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA17
2B121BA02
2B121BA03
2B121BA41
2B121EA03
2B121EA30
(57)【要約】
【課題】捕獲効率の高い捕獲システムを提供する。
【解決手段】長さ方向に沿う一対の長さ方向辺と長さ方向に直交する幅方向に沿う一対の幅方向辺とを有し水平面に平行な一対の上板11および下板12と、一対の上板11および下板12の一方の一対の長さ方向辺を接続する壁板13とを有し、一対の上板11および下板12と壁板13とで誘導空間20を形成する誘導部材10と、誘導空間20を歩行する捕獲対象物の触角が触れ得る壁板13内の領域に長さ方向に沿って配置される粘着材30と、捕獲対象物のエサを有し誘導部材10の長さ方向に沿って所定間隔ごとに誘導空間20に配置される捕獲器50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に沿う一対の長さ方向辺と前記長さ方向に直交する幅方向に沿う一対の幅方向辺とを有し水平面に平行な一対の上板および下板と、前記一対の上板および下板の一方の前記一対の長さ方向辺を接続する壁板とを有し、前記一対の上板および下板と前記壁板とで誘導空間を形成する誘導部材と、
少なくとも前記誘導空間を歩行する捕獲対象物の触角が触れ得る前記壁板内の領域に配置される粘着材と、
前記捕獲対象物のエサを有し前記誘導部材の前記長さ方向に沿って所定間隔ごとに前記誘導空間に配置される捕獲器と、を備える捕獲システム。
【請求項2】
前記粘着材は、前記長さ方向に沿って連続的に配置される、請求項1記載の捕獲システム。
【請求項3】
前記粘着材は、前記下板から上方に1cmの位置を少なくとも含む位置に配置される、請求項1記載の捕獲システム。
【請求項4】
壁際を歩行する捕獲対象物の触角が触れ得る壁面内の領域に粘着材を配置する工程と、
前記捕獲対象物のエサを有する捕獲器を、前記粘着材の近傍に配置する工程と、
前記触角で前記粘着材を感知させることで前記捕獲対象物を前記粘着材を避けるように横行させ、横行した前記捕獲対象物を前記捕獲器に誘導して捕獲する工程と、を備える捕獲方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴキブリなどの捕獲対象物を捕獲する捕獲システムおよび捕獲方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ゴキブリを捕獲するための捕獲具として、屈曲した厚紙などからなる取付片などの表裏面に、粘着剤を塗布したものが知られている。この捕獲具は、壁とカウンターなどの角部を歩くゴキブリの習性を利用したもので、ゴキブリの通り道に設置し、粘着剤によりゴキブリを捕獲することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3-012767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゴキブリは、主として触角を用いて探索しつつ、ほふく横行する。また、ゴキブリは、粘着材があると、いち早くこれを触角で察知し、逃避してしまうという習性がある。このため、上記特許文献1の捕獲具のように粘着材による捕獲を目的とする捕獲具を設置しても、ゴキブリを効率よく捕獲できないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、捕獲効率の高い捕獲システムおよび捕獲方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る捕獲システムは、上述した課題を解決するために、長さ方向に沿う一対の長さ方向辺と前記長さ方向に直交する幅方向に沿う一対の幅方向辺とを有し水平面に平行な一対の上板および下板と、前記一対の上板および下板の一方の前記一対の長さ方向辺を接続する壁板とを有し、前記一対の上板および下板と前記壁板とで誘導空間を形成する誘導部材と、少なくとも前記誘導空間を歩行する捕獲対象物の触角が触れ得る前記壁板内の領域に配置される粘着材と、前記捕獲対象物のエサを有し前記誘導部材の前記長さ方向に沿って所定間隔ごとに前記誘導空間に配置される捕獲器と、を備える。
また、本発明に係る捕獲方法は、壁際を歩行する捕獲対象物の触角が触れ得る壁面内の領域に粘着材を配置する工程と、前記捕獲対象物のエサを有する捕獲器を、前記粘着材の近傍に配置する工程と、前記触角で前記粘着材を感知させることで前記捕獲対象物を前記粘着材を避けるように横行させ、横行した前記捕獲対象物を前記捕獲器に誘導して捕獲する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る捕獲システムおよび捕獲方法においては、高い捕獲効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における捕獲システムの使用状態を示す説明図。
図2】誘導部材の外観斜視図。
図3】ジョイントの使用状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る捕獲システム1および捕獲方法の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態における捕獲システム1の使用状態(捕獲方法の実施状態)を示す説明図である。
【0011】
本実施形態における捕獲システム1および捕獲方法は、例えば飲食店などの店舗において使用され得るが、特に使用場所は限定されない。また、捕獲システム1は、ゴキブリを捕獲対象物5の一例とする。以下の説明においては、捕獲対象物5が店舗などで最も捕獲対象となるチャバネゴキブリである例を用いて説明する。捕獲システム1は、例えば、店舗室内の壁際2の床3上に設置される。捕獲システム1は、誘導部材10と、粘着材30と、捕獲器50と、からなる。
【0012】
誘導部材10は、断面略コ字状の長尺部材である。誘導部材10は、例えば所要の強度や耐食性を有する材料からなり、例えばSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼からなる。図2は、誘導部材10の外観斜視図である。誘導部材10は、上板11と、下板12と、壁板13と、を有する。
【0013】
上板11および下板12(一対の上板11および下板12)は、長さ方向(図1の前後方向)に沿う一対の長さ方向辺17と、長さ方向に直交する幅方向(図1の左右方向)に沿う一対の幅方向辺18と、を有する板状部材である。
【0014】
壁板13は、上板11および下板12の一方の(図1においては左方の)一対の長さ方向辺17を接続する板状部材である。
【0015】
設置時においては、上板11および下板12は、水平面(床3)に平行となる。壁板13は、壁4に平行となる。誘導部材10は、一対の上板11および下板12と壁板13とで、長さ方向に沿って一の側方(図1の右方)が開口した、誘導空間20を形成する。
【0016】
誘導部材10は、一枚の板状部材が長さ方向に沿って幅方向の二箇所で折り曲げられることにより、形成されてもよいし、上板11、下板12および壁板13の三つの部材を溶接などで接合することにより形成されてもよい。誘導部材10は、例えば幅方向(左右)×上下方向×長さ方向の寸法が30cm×30cm×300cmである。
【0017】
粘着材30は、露出する面(表面)に粘着性を有する所定の幅を有するテープ状部材である。粘着材30は、誘導部材10の壁板13の誘導空間20を向く面に、長さ方向に沿って連続的に(切れ目なく)配置される。粘着材30は、誘導空間20を歩行するゴキブリの触角が触れ得る領域に配置される。例えば、粘着材30は、下板12から上方に1cmの位置を含むように配置される。粘着材30の幅は特に限定されず、壁板13の面全体を覆ってもよいが、効果的に作用するのは触角が触れ得る領域であるため、下板12から上方に1cmの位置から上下に所定長さ配置されていればよい。
【0018】
誘導部材10は、複数を連結することにより壁4に沿って多く配置されるのが、捕獲効率の観点から好ましい。誘導部材10を切れ目なく連結するために、図3に示すように、ジョイント部材40を用いて二つの誘導部材10を連結することができる。また、壁4のコーナー部分において、二つの誘導部材10を直交させて連結させる際にも、ジョイント部材40を用いてもよい。
【0019】
ジョイント部材40が誘導部材10と異なる点は、長さ方向の寸法が二つの誘導部材10を連結するのに必要な寸法(例えば100cm)となっている点であり、その他においては誘導部材10と略同一である。
【0020】
捕獲器50は、内部に空間を有する箱状部材である。捕獲器50は、例えば、飲食店などの水が使用される環境下でも耐え得るよう、防水仕様であることが好ましい。捕獲器50は、内部に、捕獲対象物5のエサと、エサの臭いに誘引されて内部に侵入した捕獲対象物5を捕獲する粘着材などを収容する。捕獲器50は、誘導部材10の長さ方向に沿って所定間隔ごとに誘導空間20に配置される。捕獲器50は、例えば1mごとに配置されるのが好ましい。
【0021】
次に、本実施形態における捕獲システム1および捕獲方法の作用について説明する。
【0022】
捕獲対象物5は、店舗の閉店後など、人がいなくなった後にエサを求めて床3上などを歩行する。捕獲対象物5は、習性から壁際2などの角部分に沿って歩行することが知られている。捕獲システム1は、その習性を利用して、店舗などの床3上に設置され、誘導空間20を形成する。なお、捕獲システム1は、誘導部材10の壁板13が壁際2と同様の環境を作り出すことができるため、壁際2のみならず、床3のいかなる場所に設置されてもよい。
【0023】
捕獲対象物5は、捕獲器50のエサの臭いに誘引され、誘導空間20内に侵入する。捕獲対象物5は、角部分を形成する壁板13に沿って歩行するが、触角が触れ得る位置には粘着材30が配置されている。捕獲対象物5は、触角で粘着材30を感知すると、習性からこれを避けるように横行する。
【0024】
このとき、横行する経路上であって、粘着材30の近傍には、捕獲器50が所定間隔毎に配置されている。捕獲対象物5は、さらにエサの臭いに誘引されて捕獲器50内部に侵入する。これにより、捕獲対象物5は、捕獲器50内部の粘着材により捕獲される。
【0025】
このように、本実施形態における捕獲システム1および捕獲方法は、チャバネゴキブリを一例とする捕獲対象物5の習性を利用して、殺虫剤などの駆除剤を用いることなく、捕獲対象物5を自動的に捕獲することができる。このため、捕獲システム1は、従来からの課題である、粘着材30を避ける習性を克服することができ、高い捕獲効率を得ることができる。
【0026】
また、捕獲システム1および捕獲方法は、駆除剤を全く用いないため、駆除剤を用いることのできない環境においても安全に設置することができる。また、捕獲システム1は、駆除剤を全く用いないため、捕獲対象物5の駆除剤に対する抵抗性に対する課題をも解決することができる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0028】
例えば、捕獲システム1の設置場所および捕獲方法の実施場所は、床3上のみならず、棚上など、捕獲対象物5が歩行する可能性のあるいずれの場所であってもよい。
誘導部材10は、壁板13と上板11および下板12が直交している態様に限定されず、本発明の作用を奏することができれば、どのような角度で構成されていてもよい。
粘着材30が長さ方向に沿って連続的に配置されている例を説明したが、捕獲対象物5の触角が触れ得る位置に配置されていれば、所定間隔毎に断続的に配置されていてもよいし、壁板13に点在していてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 捕獲システム
2 壁際
3 床
4 壁
5 捕獲対象物
10 誘導部材
11 上板
12 下板
13 壁板
17 方向辺
18 幅方向辺
20 誘導空間
30 粘着材
40 ジョイント部材
50 捕獲器
図1
図2
図3