(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055172
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】光学照準装置
(51)【国際特許分類】
F41G 1/387 20060101AFI20240411BHJP
F41G 1/14 20060101ALI20240411BHJP
F41G 1/12 20060101ALI20240411BHJP
F41G 1/027 20060101ALI20240411BHJP
F41G 1/01 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F41G1/387
F41G1/14
F41G1/12
F41G1/027
F41G1/01
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161883
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】305013149
【氏名又は名称】有限会社 ディオン光学技研
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】西窪 泰利
(72)【発明者】
【氏名】吉江 守正
(57)【要約】
【課題】 第1のレチクルと第2のレチクルとのずれを目立たなくすることと、把握し易くすることとを両立できる光学照準装置を提供する。
【解決手段】
第1のレチクルと第2のレチクルとを重ねて構成される光学照準装置は、第1のレチクルが垂直と水平の両方又はいずれか一方の第1のスタジア線と目盛と数字とを有し、第1のスタジア線は第1のレチクルの中心部分の外側に配置され、中心部分に配置されないように設置されており、第2のレチクルが垂直と水平の両方又はいずれか一方の第2のスタジア線を有し、第2のスタジア線は第2のレチクルの中心を通るように全面に亘って設置されることを特徴とする。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸上に配列された対物レンズと接眼レンズと第1の焦点面と第2の焦点面とを有し、
前記第1の焦点面は前記対物レンズの側に配置され、第1のレチクルを備えており、
前記第2の焦点面は前記接眼レンズの側に配置され、第2のレチクルを備えており、
前記接眼レンズから前記対物レンズに向かって前記光軸に沿って見ると前記第1のレチクルと前記第2のレチクルとが重なるレチクルが構成される光学照準装置であって、
前記第1のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第1のスタジア線と目盛と数字とを有し、
前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの中心部分の外側に配置され、中心部分に配置されないように設置されており、
前記第2のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第2のスタジア線を有し、
前記第2のスタジア線は前記第2のレチクルの中心を通るように全面に亘って設置されることを特徴とする光学照準装置。
【請求項2】
前記第2のスタジア線は前記第2のレチクルの中心部分の外側に線幅が太い幅広部分を有することを特徴とする請求項1に記載の光学照準装置。
【請求項3】
標的像とともに前記第1のレチクルを拡大させるように構成される倍率変更機構をさらに有し、前記第2のスタジア線の前記幅広部分の線幅は最大に拡大した前記第1のレチクルにおける前記第1のスタジア線の線幅よりも太く形成されることを特徴とする請求項2に記載の光学照準装置。
【請求項4】
標的像とともに前記第1のレチクルを拡大させるように構成される倍率変更機構をさらに有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びているとともに、前記第2のスタジア線の前記幅広部分は前記第2のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びており、前記第2のレチクルにおける前記幅広部分の中心側の端部は、最大に拡大した前記第1のレチクルにおける前記第1のスタジア線の中心側の端部よりも中心側に配置されることを特徴とする請求項2に記載の光学照準装置。
【請求項5】
標的像とともに第1のレチクルを拡大させるように構成される倍率変更機構をさらに有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びているとともに、前記第2のスタジア線の前記幅広部分は前記第2のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びており、最大に拡大した前記第1のレチクルにおける前記第1のスタジア線の中心側の端部は、前記第2のレチクルにおける前記幅広部分の中心側の端部よりも径方向外側に配置されることを特徴とする請求項2に記載の光学照準装置。
【請求項6】
第1のレチクルと第2のレチクルとを重ねて構成される光学照準装置用のレチクルであって、
前記第1のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第1のスタジア線と目盛と数字とを有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの中心部分の外側に配置され、中心部分に配置されないように設置されており、
前記第2のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第2のスタジア線を有し、前記第2のスタジア線は前記第2のレチクルの中心を通るように全面に亘って設置されることを特徴とする光学照準装置用のレチクル。
【請求項7】
前記第2のスタジア線は中心部分の外側に線幅が太い幅広部分を有することを特徴とする請求項6に記載の光学照準装置用のレチクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学照準装置に関する。特に、ライフル銃等の小火器に用いることに好適な光学照準装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から光学系に対物側に配置された第1の焦点面と接眼側に配置された第2の焦点面との2つの焦点面を有し、この第1の焦点面に第1のレチクル(reticle)が設けられ、第2の焦点面に第2のレチクルが設けられており、これら第1のレチクルと第2のレチクルとが重なるように表示されるレチクルを備えた光学照準装置が考案されている。この種類の光学照準装置は、例えば、特許文献1と2に記載されている。ここで、レチクルは光学照準装置の視野内に設けられた指標のための印である。
【0003】
特許文献1に記載の光学照準装置(火器に使用するテレスコープサイト)は第1のレチクルが点、軍人像、照準点(目盛)又は垂直線であり、第2のレチクルが十字線である。特許文献2に記載の光学照準装置(照準望遠鏡)は第1のレチクルが距離横目盛と距離縦目盛(十字状)と弾道ドロップ補正用目盛であり、第2のレチクルが照準細線と横方向の照準細線(十字状)である。
【0004】
図17は垂直と水平の第1のスタジア線を備えた第1のレチクルと、垂直と水平の第2のスタジア線を備えた第2のレチクルと、がずれた状態を示すレチクルのパターン図である。
図17に示すように、この特許文献1と2に記載の光学照準装置は、第1のレチクルに垂直と水平の第1のスタジア線82a,82bが設けられ、第2のレチクルに垂直と水平の第2のスタジア線83a,83bが設けられるので、光学照準装置を組み立てる際に第1のレチクルと第2のレチクルとがずれてしまうと、レチクル80は垂直の第1のスタジア線82aと第2のスタジア線83aとが二重に表示されるとともに、水平の第1のスタジア線82bと第2のスタジア線83bとが二重に表示されるので、レチクル80が見にくくなってしまうという問題があった。このレチクル80は第1のレチクルに目盛84と数字85が設けられている。
【0005】
図18は第1のスタジア線を備えてない第1のレチクルと、垂直と水平の第2のスタジア線を備えた第2のレチクルと、がずれた状態を示すレチクルのパターン図である。
図18に示すように、この問題点を解決するために、第2のレチクルに垂直と水平の第2のスタジア線を設け、第1のレチクルに垂直と水平の第1のスタジア線を設けないレチクルを備えた光学照準装置が考案されており、例えば、特許文献3に記載されている。この特許文献3に記載の光学照準装置(光学照準装置用の二重焦点面レチクル)のレチクル90は、第1のレチクルと第2のレチクルがずれたとしても、レチクル90に第2のレチクルにおける垂直と水平の第2のスタジア線93a,93bのみが表示されるので、第2のスタジア線93b,93bが二重に表示されることがなく、レチクル90を見易くできる。このレチクル90は第1のレチクルに目盛94と数字95が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57-154215号公報
【特許文献2】特公平04-34128号公報
【特許文献3】特許第6797141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に記載されたレチクル90は、第1のレチクルに第1のスタジア線が存在しないため、第2のレチクルの第2のスタジア線のみが表示されるので、第1のレチクルと第2のレチクルとのずれを把握しにくいという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、第1のレチクルと第2のレチクルとのずれを目立たなくすることと、把握し易くすることとを両立できる光学照準装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、光軸上に配列された対物レンズと接眼レンズと第1の焦点面と第2の焦点面とを有し、前記第1の焦点面は前記対物レンズの側に配置され、第1のレチクルを備えており、前記第2の焦点面は前記接眼レンズの側に配置され、第2のレチクルを備えており、前記接眼レンズから前記対物レンズに向かって前記光軸に沿って見ると前記第1のレチクルと前記第2のレチクルとが重なるレチクルが構成される光学照準装置であって、前記第1のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第1のスタジア線と目盛と数字とを有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの中心部分の外側に配置され、中心部分に配置されないように設置されており、前記第2のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第2のスタジア線を有し、前記第2のスタジア線は前記第2のレチクルの中心を通るように全面に亘って設置されることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、光軸上に配列された対物レンズと接眼レンズと第1の焦点面と第2の焦点面とを有し、前記第1の焦点面は前記対物レンズの側に配置され、第1のレチクルを備えており、前記第2の焦点面は前記接眼レンズの側に配置され、第2のレチクルを備えており、前記接眼レンズから前記対物レンズに向かって前記光軸に沿って見ると前記第1のレチクルと前記第2のレチクルとが重なるレチクルが構成される光学照準装置であって、前記第1のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第1のスタジア線と目盛と数字とを有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの中心部分の外側に配置され、中心部分に配置されないように設置されており、前記第2のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第2のスタジア線を有し、前記第2のスタジア線は前記第2のレチクルの中心を通るように全面に亘って設置されることにより、前記レチクルの中心部分には前記第2のスタジア線のみが配置され、前記レチクルの中心部分の外側には前記第1のスタジア線と前記第2のスタジア線との両方が配置されるので、前記第1のレチクルと前記第2のレチクルとのずれを、前記レチクルの中心部分では目立たなくすることができるとともに、前記レチクルの中心部分の外側では容易に把握できる。
【0011】
本発明において、前記第2のスタジア線は前記第2のレチクルの中心部分の外側に線幅が太い幅広部分を有することが好ましい。この発明によれば、前記第2のスタジア線は前記第2のレチクルの中心部分の外側に線幅が太い幅広部分を有することにより、前記レチクルの中心部分の外側において、前記第2のスタジア線の前記幅広部分を前記第1のスタジア線と重ねることができるので、前記第1のレチクルと前記第2のレチクルとのずれをより目立たなくすることができる。
【0012】
本発明において、標的像とともに前記第1のレチクルを拡大させるように構成される倍率変更機構をさらに有し、前記第2のスタジア線の前記幅広部分の線幅は最大に拡大した前記第1のレチクルにおける前記第1のスタジア線の線幅よりも太く形成されることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、標的像とともに前記第1のレチクルを拡大させるように構成される倍率変更機構をさらに有し、前記第2のスタジア線の前記幅広部分の線幅は最大に拡大した前記第1のレチクルにおける前記第1のスタジア線の線幅よりも太く形成されることにより、前記第2のスタジア線の前記幅広部分の線幅は最大に拡大した前記第1のスタジア線の線幅よりも太いので、拡大した前記第1のスタジア線と前記第2のスタジア線の前記幅広部分とが重なる状態から拡大した前記第1のスタジア線がはみ出ることを防止又は低減でき、前記第1のレチクルと前記第2のレチクルとのずれをより目立たなくすることができる。
【0014】
本発明において、標的像とともに前記第1のレチクルを拡大させるように構成される倍率変更機構をさらに有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びているとともに、前記第2のスタジア線の前記幅広部分は前記第2のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びており、前記第2のレチクルにおける前記幅広部分の中心側の端部は、最大に拡大した前記第1のレチクルにおける前記第1のスタジア線の中心側の端部よりも中心側に配置されることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、標的像とともに前記第1のレチクルを拡大させるように構成される倍率変更機構をさらに有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びているとともに、前記第2のスタジア線の前記幅広部分は前記第2のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びており、前記第2のレチクルにおける前記幅広部分の中心側の端部は、最大に拡大した前記第1のレチクルにおける前記第1のスタジア線の中心側の端部よりも中心側に配置されることにより、拡大した前記第1のスタジア線を径方向外側の端部から中心側の端部まで全長に亘って前記幅広部分と重ねることができるので、拡大した前記第1のスタジア線が前記幅広部分から突出することを防止でき、前記第1のレチクルと前記第2のレチクルとのずれをより目立たなくすることができる。
【0016】
本発明において、標的像とともに第1のレチクルを拡大させるように構成される倍率変更機構をさらに有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びているとともに、前記第2のスタジア線の前記幅広部分は前記第2のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びており、最大に拡大した前記第1のレチクルにおける前記第1のスタジア線の中心側の端部は、前記第2のレチクルにおける前記幅広部分の中心側の端部よりも径方向外側に配置されることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、標的像とともに第1のレチクルを拡大させるように構成される倍率変更機構をさらに有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びているとともに、前記第2のスタジア線の前記幅広部分は前記第2のレチクルの外周縁から中心に向かって径方向に伸びており、最大に拡大した前記第1のレチクルにおける前記第1のスタジア線の中心側の端部は、前記第2のレチクルにおける前記幅広部分の中心側の端部よりも径方向外側に配置されることにより、拡大した前記第1のスタジア線を径方向外側の端部から中心側の端部まで全長に亘って前記幅広部分と重ねることができるので、拡大した前記第1のスタジア線が前記幅広部分から突出することを防止でき、前記第1のレチクルと前記第2のレチクルとのずれをより目立たなくすることができる。
【0018】
本発明は、第1のレチクルと第2のレチクルとを重ねて構成される光学照準装置用のレチクルであって、前記第1のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第1のスタジア線と目盛と数字とを有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの中心部分の外側に配置され、中心部分に配置されないように設置されており、前記第2のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第2のスタジア線を有し、前記第2のスタジア線は前記第2のレチクルの中心を通るように全面に亘って設置されることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、第1のレチクルと第2のレチクルとを重ねて構成される光学照準装置用のレチクルであって、前記第1のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第1のスタジア線と目盛と数字とを有し、前記第1のスタジア線は前記第1のレチクルの中心部分の外側に配置され、中心部分に配置されないように設置されており、前記第2のレチクルは垂直と水平の両方又はいずれか一方の第2のスタジア線を有し、前記第2のスタジア線は前記第2のレチクルの中心を通るように全面に亘って設置されることにより、前記レチクルの中心部分には前記第2のスタジア線のみが配置され、前記レチクルの中心部分の外側には前記第1のスタジア線と前記第2のスタジア線との両方が配置されるので、前記第1のレチクルと前記第2のレチクルとのずれを、前記レチクルの中心部分では目立たなくすることができるとともに、前記レチクルの中心部分の外側では把握し易くできる。
【0020】
本発明において、前記第2のスタジア線は中心部分の外側に線幅が太い幅広部分を有することが好ましい。この発明によれば、前記第2のスタジア線は中心部分の外側に線幅が太い幅広部分を有することにより、前記レチクルの中心部分の外側において、前記第2のスタジア線の前記幅広部分と前記第1のスタジア線とを重ねることができるので、前記第1のレチクルと前記第2のレチクルとのずれを目立たなくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上、説明したように本発明によれば、第1のレチクルと第2のレチクルとを重ねて構成されるレチクルを備えた光学照準装置は、第1のレチクルの第1のスタジア線が中心部分の外側に配置され、中心部分に配置されないように設置されており、第2のレチクルの第2のスタジア線が中心を通るように全面に亘って設置されるので、レチクルの中心部分では第1のレチクルと第2のレチクルとのずれを目立たなくすることができるとともに、レチクルの中心部分の外側では第1のレチクルと第2のレチクルとのずれを容易に把握することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る実施形態の光学照準装置を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の光学照準装置の光学系を示す模式図である。
【
図4】
図3の一点鎖線E1で囲む範囲内を示す拡大図である。
【
図5】レチクルをズームインして最大に拡大した際の第1のレチクルを示すパターン図である。
【
図6】
図5の一点鎖線E2で囲む範囲内を示す拡大図である。
【
図8】
図7の一点鎖線F1で囲む範囲内を示す拡大図である。
【
図9】第1のレチクルと第2のレチクルとが一致した状態を示すレチクルのパターン図である。
【
図10】
図9の一点鎖線G1で囲む範囲内を示す拡大図である。
【
図11】
図9のレチクルをズームインして最大に拡大した状態を示すレチクルのパターン図である。
【
図12】
図11の一点鎖線G2で囲む範囲内を示す拡大図である。
【
図13】第1のレチクルと第2のレチクルとがずれた状態を示すレチクルのパターン図である。
【
図14】
図13の一点鎖線H1で囲む範囲内を示す拡大図である。
【
図15】
図13のレチクルをズームインして最大に拡大した状態を示すレチクルのパターン図である。
【
図16】
図15の一点鎖線H2で囲む範囲内を示す拡大図である。
【
図17】垂直と水平の第1のスタジア線を備えた第1のレチクルと、垂直と水平の第2のスタジア線を備えた第2のレチクルと、がずれた状態を示すレチクルのパターン図である。
【
図18】第1のスタジア線を備えてない第1のレチクルと、垂直と水平の第2のスタジア線を備えた第2のレチクルと、がずれた状態を示すレチクルのパターン図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態の光学照準装置をについて詳細に説明する。
図1は本発明に係る実施形態の光学照準装置を示す斜視図である。
図1に示すように、光学照準装置10は例えばライフルスコープであり、スコープ本体11と対物レンズ部12と接眼レンズ部13と調節部14とズームリング部15とフォーカス調節部16とを有する。このスコープ本体11は一方向に伸びる円筒状である。対物レンズ部12と接眼レンズ部13とは円筒状であり、スコープ本体11の一端部と他端部とにそれぞれ取り付けられている。これら対物レンズ部12とスコープ本体11と接眼レンズ部13との内部を光軸Oが順次通過している。調節部14とフォーカス調節部16とはダイヤルを備えた円筒体であり、スコープ本体11の長手方向の中間部分に設けられ、光軸Oの回りに互いに角度間隔を空けて配列され、スコープ本体11から外側へ突出している。この調節部14は図示しない銃身の軸線と光学照準装置の光軸Oとを一致させたり、射撃目標までの距離と銃弾の落下位置とを合わせたり、風による銃弾の流れを調整したりするためのものであり、ダイヤルを回転させることにより調節可能に構成されている。フォーカス調節部16は焦点調整を行うためのものであり、ダイヤルを回転させることにより調整可能に構成されている。
図1では調節部14が2つあり、フォーカス調節部16が1つある。ズームリング部15は光軸Oの回りに回転可能なタイヤルを備えた円環状であり、スコープ本体11の接眼レンズ部13の側に配置されている。このズームリング部15は標的像をズームイン(zoom-in)して拡大するためのものである。
【0024】
図2は本実施形態の光学照準装置の光学系を示す模式図である。
図2に示すように、光学系20は光学照準装置10の内部に設けられており、光学照準装置10の長手方向、つまり、光軸Oに沿って対物レンズ部12から接眼レンズ部13まで、対物レンズ21とフォーカスレンズ22と第1の焦点面23とコンデンサーレンズ24とエレクターレンズ25と第2の焦点面26と接眼レンズ27とが順次配列されている。このうち、対物レンズ21は対物レンズ部12の中に配置され、接眼レンズ27は接眼レンズ部13の中に配置され、フォーカスレンズ22と第1の焦点面23とコンデンサーレンズ24とエレクターレンズ25と第2の焦点面26とはスコープ本体11の中に配置されている。この光学系20は光が対物レンズ21から入射してフォーカスレンズ22と第1の焦点面23とコンデンサーレンズ24とエレクターレンズ25と第2の焦点面26と接眼レンズ27とを順次通って使用者の眼に入るように構成されている。
【0025】
この状態において、光学系20の第1の焦点面23と第2の焦点面26とで光が合焦して結像するようになっている。この第1の焦点面23には第1のレチクル30が設けられ、第2の焦点面26には第2のレチクル40が設けられている。第1の焦点面23は対物レンズ21の側に配置され、第2の焦点面26は接眼レンズ27の側に配置される。すなわち、第1のレチクル30は対物レンズ21の側に配置され、第2のレチクル40は接眼レンズ27の側に配置されている。この第1のレチクル30と第2のレチクル40は指標のための印である。
【0026】
図1に戻って、光学照準装置10はズームリング部15を回転することにより標的像が拡大可能に構成されている。具体的には、ズームリング部15を回転すると、第1の焦点面23と第2の焦点面26の間のエレクターレンズ25が調節され、光学照準装置10の倍率が変化するようになっている。この倍率は1~4倍まで変化可能ないわゆる4倍比でもよいし、1~8倍まで変化可能ないわゆる8倍比でもよいし、1~10倍まで変化可能ないわゆる10倍比でもよい。このズームリング部15を回転してエレクターレンズ25を調節する機構は上述した倍率変更機構に相当する。また、光学照準装置10はフォーカス調節部16を回転すると、フォーカスレンズ22が光軸Oに沿って前後動可能に構成されている。
【0027】
ここで、
図3~
図16の中において、矢印Upで示す方向を上側とする。(
図3~
図16では紙面の上側である。)矢印Dwで示す方向を下側とする。(
図3~
図16では紙面の下側である。)矢印Upと矢印Dwで示す方向を垂直方向とする。矢印Rtで示す方向を右側とする。(
図3~
図16では紙面に向かって右側である。)矢印Ltで示す方向を左側とする。(
図3~
図16では紙面に向かって左側である。)矢印Rtと矢印Ltで示す方向を水平方向とする。これら方向は相対的な位置関係を示すものであり、重力方向に対する絶対的な位置関係を示すものではない。なお、
図3~
図16では中心部分S,S′を分かり易くするために二点鎖線で囲んでハッチングを施している。
図12と
図14と
図16では分かり易くするために第2のスタジア線42a,42b,42cの幅広部分42aa,42ba,42caにハッチングを施している。
【0028】
図3は第1のレチクルを示すパターン図である。
図4は
図3の一点鎖線E1で囲む範囲内を示す拡大図である。
図3と
図4に示すように、第1のレチクル30は円形であり、第1のスタジア線32a,32b,32cと目盛33と数字34とを有する。この第1のスタジア線32a,32b,32cは第1のレチクル30の径方向に伸びる複数本の線であり、中心C1の回りに角度間隔を開けて配列されている。目盛33は第1のスタジア線32a,32b,32cに対して交差する複数の短い線であり、第1のスタジア線32a,32b,32cに沿って所定間隔を空けて配置されている。数字34は目盛33に隣接配置され、第1のスタジア線32a,32b,32cに沿って所定間隔を空けて配置されている。
【0029】
図3と
図4では、第1のスタジア線32a,32b,32cが3本ある。このうち、2本の第1のスタジア線32a,32bは矢印Ltと矢印Rtで示す水平方向(左右方向)に伸びており、中心C1に対して矢印Ltで示す左側と矢印Rtで示す右側とにそれぞれ配置されている。残り1本のスタジア線32cは矢印Upと矢印Dwで示す垂直方向(上下方向)に伸びており、中心C1に対して矢印Dwで示す下側に配置されている。これにより、第1のスタジア線32a,32b,32cは全体としてT字状に配列されている。このうち、水平方向に伸びる2本の第1のスタジア線32a,32bは上述した水平の第1のスタジア線に相当し、垂直方向に伸びる1本の第1のスタジア線32cは上述した垂直の第1のスタジア線に相当する。なお、第1のスタジア線32a,32b,32cの本数はこれに限定されず、十字状に配列された4本でもよいし、水平方向に伸びる2本のみでもよいし、垂直方向に伸びる2本のみでもよい。
【0030】
この第1のスタジア線32a,32b,32cは第1のレチクル30の外周縁31から中心C1に向かって伸びており、中心C1まで到達しておらず、互いに連結していない。このため、第1のスタジア線32a,32b,32cは第1のレチクル30の中心部分Sに配置されていない。言い換えると、第1のスタジア線32a,32b,32cは中心部分Sの内側に配置されておらず、中心部分Sの外側に配置されている。
図3と
図4では、この中心部分Sは中心C1から径方向外側へ目盛33の数字34が「3」までの範囲である。この中心部分Sはこれに限定されず、中心C1から径方向外側へ目盛33の数字34が「4」~「10」のいずれの範囲まででもよいし、「11」以上の範囲まででもよい。
【0031】
図7は第2のレチクルを示すパターン図である。
図8は
図7の一点鎖線F1で囲む範囲内を示す拡大図である。
図7と
図8に示すように、第2のレチクル40は円形であり、第2のスタジア線42a,42b,42c,42dを有する。この第2のスタジア線42a,42b,42c,42dは第2のレチクル40の径方向に伸びる複数本の線であり、中心C2の回りに角度間隔を空けて配列されている。
【0032】
図7と
図8では、第2のスタジア線42a,42b,42c,42dが4本ある。このうち、2本の第2のスタジア線42a,42bは水平方向に伸びており、中心C2の左側と右側とにそれぞれ配置されている。残り2本の第2のスタジア線42c,42dは垂直方向に伸びており、中心C2の矢印Upで示す上側と下側とにそれぞれ配置されている。これにより、第2のスタジア線42a,42b,42c,42dは全体として十字状に配列されている。このうち、水平方向に伸びる2本の第2のスタジア線42a,42bは上述した水平の第2のスタジア線に相当し、垂直方向に伸びる2本の第2のスタジア線42c,42dは上述した垂直の第2のスタジア線に相当する。なお、第2のスタジア線42a,42b,42c,42dの本数はこれに限定されず、T字状に配列された3本でもよいし、水平方向に伸びる2本のみでもよいし、垂直方向に伸びる2本のみでもよい。
【0033】
この第2のスタジア線42a,42b,42c,42dは第2のレチクル40の全面に亘って形成されている。より具体的には、第2のスタジア線42a,42b,42c,42dは第2のレチクル40の外周縁41から中心C2まで伸びており、中心C2にて互いに接続している。このため、第2のレチクル40に第1のレチクル30の中心部分Sと同じ中心部分Sを設置すると、第2のスタジア線42a,42b,42c,42dは第2のレチクル40の中心部分Sの内側と外側の双方に配置されるようになっている。
【0034】
図9は第1のレチクルと第2のレチクルとが一致した状態を示すレチクルのパターン図である。
図13は第1のレチクルと第2のレチクルとがずれた状態を示すレチクルのパターン図である。
図9と
図13に示すように、光学照準装置10を接眼レンズ部13から対物レンズ部12に向かって光軸Oに沿って見ると、第1のレチクル30と第2のレチクル40とが重なるレチクル50,60が表示される。
【0035】
このレチクル50,60では、第1のレチクル30の第1のスタジア線32a,32b,32cと目盛33と数字34と、第2のレチクル40の第2のスタジア線42a,42b,42c,42dとが重なった状態で表示される。この状態において、第1のスタジア線32aと第2のスタジア線42aとが重なり、第1のスタジア線32bと第2のスタジア線42bとが重なり、第1のスタジア線32cと第2のスタジア線42cとが重なる。このため、第1のスタジア線32a,32b,32cと第2のスタジア線42a,42b,42c,42dとは全体として十字状に表示される。
【0036】
図10は
図9の一点鎖線G1で囲む範囲内を示す拡大図である。
図14は
図13の一点鎖線H1で囲む範囲内を示す拡大図である。
図10より
図14の方が分かり易いが、
図10と
図14に示すように、この状態において、レチクル50,60の中心Cに第1のレチクル30の中心部分Sと同じ中心部分Sを設置すると、この中心部分Sの内側には第2のスタジア線42a,42b,42c,42dのみが配置され、第1のスタジア線32a,32b,32cが配置されない。これに対して、中心部分Sの外側には第1のスタジア線32a,32b,32cと第2のスタジア線42a,42b,42c,42dとの両方が配置される。
【0037】
このとき、第1のレチクル30と第2のレチクル40とが一致していると
図9と
図10に示すレチクル50となる。
図10に示すように、このレチクル50では中心部分Sの外側で第1のスタジア線32a,32b,32cと第2のスタジア線42a,42b,42cとがそれぞれ重なり、一本の線となる。これに対して、第1のレチクル30と第2のレチクル40とがずれていると
図13と
図14に示すレチクル60となる。
図14に示すように、このレチクル60では中心部分Sの外側で第1のスタジア線32a,32b,32cと第2のスタジア線42a,42b,42cとがそれぞれ僅かにずれた位置に配置され、二重の線(二本の線)となる。しかしながら、レチクル50,60の中心部分Sの内側は第2のスタジア線42a,42b,42c,42dのみが配置され、第1のスタジア線32a,32b,32cが配置されないので、第1のレチクル30と第2のレチクル40とがずれていたとしても、レチクル60の中心部分Sのスタジア線を二重の線にすることなく、一本の線に維持される。
【0038】
図11は
図9のレチクルをズームインして最大に拡大した状態を示すレチクルのパターン図である。
図15は
図13のレチクルをズームインして最大に拡大した状態を示すレチクルのパターン図である。
図11と
図15に示すように、レチクル50,60をズームインして最大に拡大するとレチクル50′,60′となる。このレチクル50′,60′では標的像とともに第1のレチクル30の大きさが拡大される。
【0039】
ここで、
図5はレチクルをズームインして最大に拡大した際の第1のレチクルを示すパターン図である。
図6は
図5の一点鎖線E2で囲む範囲内を示す拡大図である。
図5と
図6に示すように、第1のレチクル30′は第1のレチクル30をズームインして最大に拡大したものである。この第1のレチクル30′は第1のレチクル30と同様に第1のスタジア線32a′,32b′,32c′と目盛33′と数字34′とを有する。これら第1のスタジア線32a′,32b′,32c′と目盛33′と数字34′とは第1のレチクル30の第1のスタジア線32a,32b,32cと目盛33と数字34とに比べて大きさが拡大しており、線幅が太くなっている。
【0040】
また、この第1のレチクル30′は第1のレチクル30と同様に中心部分S′を有する。この中心部分S′は第1のスタジア線32a′,32b′,32c′が配置されていない部分であり、第1のレチクル30の中心部分Sより範囲が広がっている。つまり、レチクル50,60をズームインして拡大すると、第1のレチクル30の第1のスタジア線32a,32b,32cが配置されていない部分の範囲が拡大するようになっている。
【0041】
図11と
図15に戻って、これに対して、第2のレチクル40はレチクル50,60をズームインして拡大させても拡大せずに大きさが維持される。このため、レチクル50′,60′の第2のレチクル40とレチクル50,60の第2のレチクル40とは同一物である。すなわち、レチクル50′,60′の第2のスタジア線42a,42b,42c,42dとレチクル50,60の第2のスタジア線42a,42b,42c,42dとは大きさと線幅が同一である。このため、レチクル50′,60′は
図5に示す拡大した第1のレチクル30′と
図7に示す第2のレチクル40とを重ねたものとなる。
【0042】
さらに、
図7と
図8に戻って、第2のレチクル40の第2のスタジア線42a,42b,42cは幅広部分42aa,42ba,42caを有する。この幅広部分42aa,42ba,42caは第2のスタジア線42a,42b,42cの線幅が太くなっている部分であり、第2のスタジア線42a,42b,42cの径方向外側に設けられている。換言すると、幅広部分42aa,42ba,42caは第2のレチクル40の外周縁41から中心C2に向かって伸びている。このため、第2のスタジア線42a,42b,42cは第2のレチクル40の外側が太くなっており、中心C2の側が細くなっている。
【0043】
図7では、幅広部分42aa,42ba,42caは4本の第2のスタジア線42a,42b,42c,42dのうちの3本の第2のスタジア線42a,42b,42cに設けられている。この3本の第2のスタジア線42a,42b,42cは第2のレチクルの中心C2の左側と右側と下側とに配置されており、第1のスタジア線32a,32b,32cと対応する位置(重なる位置)にそれぞれ配置されている。これにより、幅広部分42aa,42ba,42caは第1のスタジア線32a,32b,32cと第2のスタジア線42a,42b,42cとのずれを目立たなくすることができる。これに対して、残り1本の第2のスタジア線42dには幅広部分が設けられていない。この第2のスタジア線42dは第1のスタジア線32a,32b,32cに対応する位置(重なる位置)に配置されていないためである。
【0044】
図12は
図11の一点鎖線G2で囲む範囲内を示す拡大図である。
図16は
図15の一点鎖線H2で囲む範囲内を示す拡大図である。
図12と
図16に示すように、第2のスタジア線42a,42b,42cの幅広部分42aa,42ba,42caの線幅は、拡大した第1のスタジア線32a′,32b′,32c′の線幅より太く構成されている。これにより、レチクル50′,60′において、拡大した第1のスタジア線32a′,32b′,32c′を第2のスタジア線42a,42b,42cの幅広部分42aa,42ba,42caからはみ出しにくくすることができる。
【0045】
また、レチクル50′,60′において、第2のスタジア線42a,42b,42cの幅広部分42aa,42ba,42caの中心側の端部P2は、拡大した第1のスタジア線32a′,32b′,32c′の中心側の端部P1よりも中心側(内側)に配置されている。言い換えると、第1のスタジア線32a′,32b′,32c′の中心側の端部P1は、幅広部分42aa,42ba,42caの中心側の端部P2よりも径方向外側(中心Cから離反する側)に配置されている。これにより、レチクル50′,60′において、第2のスタジア線42a,42b,42cの幅広部分42aa,42ba,42caが拡大した第1のスタジア線32a′,32b′,32c′を径方向外側の端部から中心側の端部P1まで全長に亘って全て覆うことができ、拡大した第1のレチクル30′と第2のレチクル40とのずれを目立たなくすることができる。
【0046】
上述のように構成された光学照準装置10は、ズームリング部15を回転すると、レチクル50,60のうち、第2のレチクル40は大きさと線幅が維持された状態で、第1のレチクル30は標的像とともに大きさと線幅が拡大する。
【0047】
本実施形態においては、レチクル50,60は第1のレチクル30と第2のレチクル40とを重ねて構成されており、第1のレチクル30には第1のスタジア線32a,32b,32cと目盛33と数字34とが設けられ、第1のスタジア線32a,32b,32cは第1のレチクルの中心部分の外側に配置され、中心部分に配置されないように設置されており、第2のレチクル40には第2のスタジア線42a,42b,42c,42dが設けられ、第2のスタジア線42a,42b,42c,42dは第2のレチクルの中心を通るように全面に亘って設置されることにより、レチクル50,60の中心部分Sに第2のスタジア線42a,42b,42c,42dのみが配置され、レチクル50,60の中心部分Sの外側に第1のスタジア線32a,32b,32cと第2のスタジア線42a,42b,42c,42dとの両方が配置されるので、レチクル50,60の中心部分Sでは第1のレチクル30と第2のレチクル40とのずれを目立たなくすることができるとともに、レチクル50,60の中心部分Sの外側では第1のレチクル30と第2のレチクル40とのずれを容易に把握できる。
【0048】
この実施形態においては、レチクル50,60を拡大してレチクル50′,60′にしても、第2のレチクル40における第2のスタジア線42a,42b,42c,42dは大きさと線幅が維持され、この拡大したレチクル50′,60′の中心部分S′の内側に第2のスアジア線42a,42b,42c,42dのみが配置されることにより、第1のスタジア線32a,32b,32cがレチクル50,60の中心部分Sの内側に配置される場合に比べて、光学照準装置10をズームインして標的像を拡大させる際に、レチクル50,60の中心部分Sにおいて第1のスタジア線32a,32b,32cの線幅が太くなって標的像を隠してしまうことを防止できる。このため、本実施形態の光学照準装置10は約100m先の直径約6mmの穴に約5発の弾丸を撃ち込むベンチレスト射撃競技(benchrest shooting)に好適に使用できる。
【0049】
本実施形態においては、第2のレチクル40における3本の第2のスタジア線42a,42b,42cは、第1のレチクル30における第1のスタジア線32a,32b,32cに対応する位置にそれぞれ配置されており、径方向外側に線幅が太い幅広部分42aa,42ba,42caが設けられていることにより、レチクル50,60において、第2のスタジア線42a,42b,42cの幅広部分42aa,42ba,42caと第1のスタジア線32a,32b,32cとをそれぞれ重ねることができ、第1のレチクル30と第2のレチクル40とのずれをより目立たなくすることができる。
【0050】
この実施形態においては、第2のスタジア線42a,42b,42cの幅広部分42aa,42ba,42caの線幅は、拡大した第1のスタジア線32a′,32b′,32c′の線幅よりも太く形成されているので、拡大した第1のスタジア線32a′,32b′,32c′と第2のスタジア線42a,42b,42cとが重なるレチクル50′,60′において、拡大した第1のスタジア線32a′,32b′,32c′を第2のスタジア線42a,42b,42cの幅広部分42aa,42ba,42caからはみ出しにくくすることができる。
【0051】
本実施形態においては、第2のスタジア線42a,42bの幅広部分42aa,42ba,42caの中心側の端部P2は、拡大した第1のスタジア線32a′,32b′,32c′の中心側の端部P1よりも中心側に配置されているので、第2のスタジア線42a,42b,42cの幅広部分42aa,42ba,42caが拡大した第1のスタジア線32a′,32b′,32c′を全長に亘って覆うことができ、拡大した第1のレチクル30′と第2のレチクル40とのずれをより目立たなくすることができる。
【0052】
尚、本実施形態の光学照準装置10は、上述の図示例のみに限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、本実施形態では、光学照準装置10はライフルスコープであるが、これに限定されず、望遠鏡や双眼鏡でもよい。
【0053】
なお、本実施形態では、第2のスタジア線42a,42b,42cの幅広部分42aa,42ba,42caが同一の線幅で径方向に伸びているが、この幅広部分42aa,42ba,42caの線幅は径方向に同一でなくてもよい。例えば、幅広部分42aa,42ba,42caは線幅が中心C2から径方向外側に向かって漸次幅広となるように径方向に伸びていてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、第1のスタジア線32a,32b,32cと第2のスタジア線42a,42b,42c,42dとの両方は実線として図示されているが、第1のスタジア線32a,32b,32cと第2のスタジア線42a,42b,42c,42dとのいずれか一方又は両方は実線ではなく、点線や破線や一点鎖線や二点鎖線でもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…光学照準装置、11…スコープ本体、12…対物レンズ部、13…接眼レンズ部、14…調節部、15…ズームリング部、16…フォーカス調節部、20…光学系、21…対物レンズ、22…フォーカスレンズ、23…第1の焦点面、24…コンデンサーレンズ、25…エレクターレンズ、26…第2の焦点面、27…接眼レンズ、30,30′…第1のレチクル、31,41…外周縁、32a,32b,32c,32a′,32b′,32c′…第1の延長線、33,33′…目盛、34,34′…数字、40…第2のレチクル、42a,42b,42c,42d…第2の延長線、42aa,42ba,42ca…幅広部分、50,50′,60,60′…レチクル、E1,E2,F1,G1,G2,H1,H2…一点鎖線、C,C1,C2…中心、O…光軸、P1,P2…端部、S,S′…中心部分、Up,Dw,Rt,Lt…矢印。