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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055177
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】染毛剤または脱色剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/65 20060101AFI20240411BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20240411BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240411BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61K8/65
A61K8/64
A61Q5/10
A61Q5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161889
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】土井 南美
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB012
4C083AB032
4C083AB082
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB282
4C083AB352
4C083AB362
4C083AB412
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC552
4C083AC692
4C083AC782
4C083AC892
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD431
4C083AD432
4C083AD452
4C083AD642
4C083CC35
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD27
4C083EE05
4C083EE26
4C083EE27
(57)【要約】
【課題】染毛後または脱色後の洗い流し後の風乾時の毛髪の指通りが良く、仕上がり後の毛髪のツヤおよびなめらかさが良い染毛剤または脱色剤組成物を提供することができる。
【解決手段】(A)加水分解コラーゲンまたはその誘導体、(B)加水分解コンキオリン、(C)加水分解ローヤルゼリータンパクを含有する染毛剤または脱色剤組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)加水分解コラーゲンまたはその誘導体、(B)加水分解コンキオリン、(C)加水分解ローヤルゼリータンパクを含有する染毛剤または脱色剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は染毛剤または脱色剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
髪色を変化させる方法として、一般的によく知られているものに、染毛剤または脱色剤組成物がある。これらは例えば、アルカリ剤を含有する第1剤組成物と酸化剤を含有する第2剤組成物といった、複数の剤から構成されており、使用時に混合し毛髪に適用することで、毛髪内部に各成分が浸透し効果を発揮する仕組みとなっている。髪色の変化を手軽に楽しむことができる反面、毛髪内部に化学成分を作用させることになるため、毛髪へダメージを与えてしまうことが課題であった。
【0003】
毛髪へのダメージを軽減するために、従来技術としてたんぱく加水分解物を配合した染毛剤または脱色剤組成物がある。特許文献1では染毛後の毛髪の状態について、特許文献2では、染毛後または脱色後の洗い流し時および仕上がり後の毛髪の状態について検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-182371号公報
【特許文献2】特開2008-285415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では染毛後または脱色後の洗い流し後の風乾時の毛髪の指通りについては検討されておらず、また仕上がり後の毛髪のツヤやなめらかさも満足いくものではなく、いまだ改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、(A)加水分解コラーゲンまたはその誘導体、(B)加水分解コンキオリン、(C)加水分解ローヤルゼリータンパクを含有する染毛剤または脱色剤組成物が上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、染毛後または脱色後の洗い流し後の風乾時の毛髪の指通りが良く、仕上がり後の毛髪のツヤおよびなめらかさが良い染毛剤または脱色剤組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0009】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物には、(A)加水分解コラーゲンまたはその誘導体を含有する。これにより、染毛後または脱色後の洗い流し後の風乾時の毛髪の指通りを良くすることができる。
【0010】
本発明に用いられる前記(A)加水分解コラーゲンとしては、例えば、ウシ(Bos taurus Linnaeus(Bovidae))またはブタ(Sus scrofa domesticus Erxleben(Suidae))の骨、皮を酸、アルカリ、酵素それぞれ単独あるいは組み合わせの存在下で加水分解して得られるものや、ティラピア属(Tilapia(Cichlidae))、カワスズメ属(Oreochromis(Cichlidae))などに属する、ティラピアと通称される魚類の骨、皮または鱗を酸、アルカリ、酵素それぞれ単独あるいは組み合わせの存在下で加水分解して得られるもの等がある。具体的な商品としては、例えば「Promois W-32R(株式会社成和化成製)」、「Promois W-32U(株式会社成和化成製)」、「Promois W-42U(株式会社成和化成製)」、「ファルコニックス CTP(BG)(一丸ファルコス株式会社製)」等が挙げられる。
【0011】
本発明に用いられる前記(A)加水分解コラーゲンの誘導体としては、例えば、加水分解コラーゲンをシリル化、アシル化、カチオン化、アルキルカチオン化させたもの等を用いることができる。具体的な商品としては、例えばシリル化したものは「Promois W-52SIG(株式会社成和化成製)」等、カチオン化したものは「Promois W-42Q(株式会社成和化成製)」等、アルキルカチオン化したものは「Promois W-42CAQ(株式会社成和化成製)」等が挙げられる。
【0012】
本発明に用いられる前記(A)成分のうち、染毛後または脱色後の洗い流し後の風乾時の毛髪の指通りを向上させる観点から、加水分解コラーゲンをアシル化したイソステアロイル加水分解コラーゲン・アミノメチルプロパンジオール塩を用いることが好ましい。具体的な商品としては、例えば「Promois EU-118D(株式会社成和化成製)」等が挙げられる。
【0013】
本発明に用いられる前記(A)成分の染毛剤または脱色剤組成物における固形残分の含有量は、好ましくは0.0000083~0.042%、より好ましくは0.000083~0.0083%、さらに好ましくは0.00042~0.0042%がよい。前記(A)成分が0.0000083%未満または0.042%を超える場合、染毛後または脱色後の洗い流し後の風乾時の毛髪の指通りが悪くなる恐れがある。
【0014】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物には、(B)加水分解コンキオリンを含有する。これにより、仕上がり後の毛髪にツヤを付与することができる。
【0015】
本発明に用いられる前記(B)成分は、真珠母貝((アコヤガイ)Pinctada fucata (Gould, 1850)(Pteriidae))の真珠層に含まれる硬たん白質であるコンキオリンを加水分解したものであり、水溶液として用いることができる。具体的な商品としては、例えば「Promois PEARL-P(株式会社成和化成製)」、「Promois BLACK PEARL-F(株式会社成和化成製)」、「真珠たん白抽出液-J(丸善製薬株式会社製)」、「真珠たん白抽出液BG-J(丸善製薬株式会社製)」等が挙げられる。
【0016】
本発明で用いられる前記(B)成分の染毛剤または脱色剤組成物における固形残分の含有量は、好ましくは0.000001~0.0005%、より好ましくは0.000003~0.0001%、さらに好ましくは0.000005~0.00005%がよい。前記(B)成分が0.000001%未満または0.0005%を超える場合、仕上がり後の毛髪のツヤが悪くなる恐れがある。
【0017】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物には、(C)加水分解ローヤルゼリータンパクを含有する。これにより、仕上がり後の毛髪になめらかさを付与することができる。
【0018】
本発明に用いられる前記(C)成分は、「ローヤルゼリー」中に含まれるタンパク質のタンパク分解酵素による加水分解物であり、水溶液として用いることができる。ここで、「ローヤルゼリー」とは、セイヨウミツバチ(Apis mellifera Linnaeus(Apidae))またはトウヨウミツバチ(Apis cerana Fabricius(Apidae))等の頭部等にある分泌腺から分泌される物質である。具体的な商品としては、例えば「ロイヤルビオサイトPX(片倉コープアグリ株式会社製)」、「ロイヤルビオサイトBG(片倉コープアグリ株式会社製)」等が挙げられる。
【0019】
本発明で用いられる前記(C)成分の染毛剤または脱色剤組成物における固形残分の含有量は、好ましくは0.000001~0.0005%、より好ましくは0.000003~0.0001%、さらに好ましくは0.000005~0.00005%がよい。前記(C)成分が0.000001%未満または0.0005%を超える場合、仕上がり後の毛髪のなめらかさが悪くなる恐れがある。
【0020】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物は、酸化染料とアルカリ剤を含有する第1剤組成物と酸化剤を含有する第2剤組成物、またはアルカリ剤を含有する第1剤組成物と酸化剤を含有する第2剤組成物とから構成され、用時に混合して用いられる。
【0021】
本発明による染毛剤組成物の第1剤組成物には、酸化染料を含有することができる。これにより、毛髪を染めることができる。
【0022】
本発明に用いる前記酸化染料とは、染料中間体やカップラー等の酸化染毛剤に用いられる染料を意味する。
【0023】
本発明に用いる前記酸化染料としては、特に限定されないが、例えば、パラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、5-アミノオルトクレゾール、レゾルシン、2,6-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1-ナフトールおよびそれらの塩類等が挙げられ、その他「医薬部外品原料規格2021 統合版」(2021年10月発行、薬事日報社)に収載されたものも適宜用いることができる。これらの染料は1種または2種以上を含有することができる。
【0024】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物の第1剤組成物には、アルカリ剤を含有する。これにより、毛髪の脱色および染毛効果を高めることができる。
【0025】
本発明に用いる前記アルカリ剤としては、特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム、アルギニン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。その中でも、脱色および染毛効果の観点から、モノエタノールアミンおよびアンモニアが好ましい。
【0026】
本発明に用いる前記アルカリ剤の染毛剤または脱色剤組成物における含有量は、好ましくは0.1~8%がよい。前記アルカリ剤の含有量が0.1%未満の場合、充分な脱色および染毛効果を得られない恐れがある。また、前記アルカリ剤の含有量が8%を超える場合、毛髪へのダメージが著しくなる恐れがある。
【0027】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物の第2剤組成物には、酸化剤を含有する。これにより、毛髪に含まれるメラニン色素を分解し、毛髪を脱色することができる。
【0028】
本発明に用いる前記酸化剤としては特に限定されないが、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、臭素酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。その中でも、脱色効果の観点から、過酸化水素が好ましい。
【0029】
本発明に用いる前記酸化剤の染毛剤または脱色剤組成物における含有量は、好ましくは2~6%がよい。前記酸化剤の含有量が2%未満の場合、充分な脱色効果を得られない恐れがある。また、前記酸化剤の含有量が6%を超える場合、毛髪へのダメージが著しくなる恐れがある。
ある。
【0030】
本発明による脱色剤組成物は、場合により第3剤組成物を備えることができ、前記第3剤組成物には、過硫酸塩を含有する。これにより、毛髪に含まれるメラニン色素の分解を促進し、より毛髪を脱色することができる。
【0031】
本発明に用いる前記過硫酸塩としては、特に限定されないが、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
【0032】
本発明に用いる前記過硫酸塩の脱色剤組成物における含有量は、好ましくは4~30%がよい。前記過硫酸塩の含有量が4%未満の場合、充分な脱色効果を得られない恐れがある。また、前記過硫酸塩の含有量が30%を超える場合、毛髪へのダメージが著しくなる恐れがある。
【0033】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物に含有される(A)加水分解コラーゲンまたはその誘導体、(B)加水分解コンキオリン、(C)加水分解ローヤルゼリータンパクは、第1剤組成物、第2剤組成物または第3剤組成物のいずれに含有されていてもよい。
【0034】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記(A)~(C)成分の他に通常化粧品、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分を配合することができる。例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、HC染料、高級アルコール、シリコーン、高級脂肪酸、炭化水素油、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、水溶性高分子、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、抗菌剤、薬効成分、アミノ酸類、安定化剤、香料、動植物油、ビタミン類、植物抽出液、無機塩等を用いることができ、これらは目的に応じて1種または2種以上を含有することができる。
【0035】
本発明による第1剤組成物、第2剤組成物および第3剤組成物は、ポリ容器、チューブ容器、エアゾール容器、パウチ容器等の各種容器に充填され、使用時まで保存される。
【0036】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物は、2剤式の場合は、毛髪の脱色および染毛効果の観点から、第1剤組成物と第2剤組成物とを好ましくは1:1~1:3、より好ましくは1:2の比率で用時混合して用いるとよい。3剤式の場合は、毛髪の脱色効果の観点から、第1剤組成物と第2剤組成物と第3剤組成物とを好ましくは1:1~2:0.2~1、より好ましくは1:1.6:0.6の比率で用時混合して用いるとよい。
【0037】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物の剤型は、クリーム状、乳液状または泡状であることが好ましい。
【0038】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物は、塗布時の使用性の観点から、25℃の条件下での粘度は、クリーム状および乳液状の場合は1,500~25,000mPa・s、泡状の場合は1~1,500mPa・sであることが好ましい。
【0039】
本発明における25℃の条件下での粘度は、常法にて調製し、得られた染毛剤または脱色剤組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、ヘリカルスタンド付きB型粘度計(モデル;デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)を用いて、粘度が1,500~25,000mPa・sの場合はM4号ローターにて1分間、回転速度12rpmで、粘度が1~1,500mPa・sの場合はM2号ローターにて1分間、回転速度12rpmで測定したものである。
【0040】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物の第1剤組成物の剤型は、クリーム状または液状であることが好ましい。
【0041】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物の第1剤組成物の25℃の条件下での粘度は、クリーム状の場合は5,000~25,000mPa・s、液状の場合は1~5,000mPa・sであることが好ましい。
【0042】
本発明における25℃の条件下での粘度は、常法にて調製し、得られた染毛剤または脱色剤組成物の第1剤組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、ヘリカルスタンド付きB型粘度計(モデル;デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)を用いて、粘度が5,000~25,000mPa・sの場合はM4号ローターにて1分間、回転速度12rpmで、粘度が1~5,000mPa・sの場合はM3号ローターにて1分間、回転速度12rpmで測定したものである。
【0043】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物の第2剤組成物の剤型は、クリーム状または乳液状または液状であることが好ましい。
【0044】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物の第2剤組成物の25℃の条件下での粘度は、クリーム状および乳液状の場合は300~20,000mPa・s、液状の場合は1~300mPa・sであることが好ましい。
【0045】
本発明における25℃の条件下での粘度は、常法にて調製し、得られた染毛剤または脱色剤組成物の第2剤組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、ヘリカルスタンド付きB型粘度計(モデル;デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)を用いて、粘度が300~20,000mPa・sの場合はM4号ローターにて1分間、回転速度30rpmで、粘度が1~300mPa・sの場合はM1号ローターにて1分間、回転速度12rpmで測定したものである。
【0046】
本発明による脱色剤組成物の第3剤組成物の剤型は、粉体状であることが好ましい。
【0047】
本発明による染毛剤または脱色剤組成物は、脱色および染毛効果の観点から、20℃の条件下でpHが5~12であることが好ましい。
【0048】
本発明における20℃の条件下でのpHは、常法にて調製し、得られた染毛剤または脱色剤組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71:堀場製作所製)にて測定したものである。
【実施例0049】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0050】
本明細書に示す評価試験において、染毛剤または脱色剤組成物に含まれる成分および、その含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製し、得られた第1剤組成物と第2剤組成物と、場合により第3剤組成物とを各々の比率で用時混合することで得られた染毛剤または脱色剤組成物を用いて評価試験を行った。
【0051】
本明細書に示す発明において、「風乾時の毛髪の指通り」、「仕上がり後の毛髪のツヤ」および「仕上がり後の毛髪のなめらかさ」について評価した。
【0052】
本明細書に示す評価試験において、「風乾時の毛髪の指通り」、「仕上がり後の毛髪のツヤ」および「仕上がり後の毛髪のなめらかさ」は、得られた染毛剤または脱色剤組成物の100gを毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775N」)の毛髪に塗布し、20分間放置した後、40℃のぬるま湯ですすぎ、シャンプーでよく洗浄し、タオルで水分を拭き取った後、ドライヤーで乾燥するという工程を専門のパネラーで行い、それぞれを比較評価した。
【0053】
「風乾時の毛髪の指通り」の評価基準
◎:毛髪の指通りにまったく引掛かりがなく、とても良い
〇:毛髪の指通りにほとんど引掛かりがなく、良い
△:毛髪の指通りにやや引掛かりがあるが問題ない程度で、良い
×:毛髪の指通りに引掛かりがあり、悪い
【0054】
「仕上がり後の毛髪のツヤ」の評価基準
◎:毛髪にパサつきがまったくなく、とてもツヤが良い
〇:毛髪にパサつきがほとんどなく、ツヤが良い
△:毛髪にパサつきが少しあるが問題ない程度で、ツヤも良い
×:毛髪にパサつきがあり、ツヤが悪い
【0055】
「仕上がり後の毛髪のなめらかさ」の評価基準
◎:毛髪にごわつきがまったくなく、とてもなめらかさが良い
〇:毛髪にごわつきがほとんどなく、なめらかさが良い
△:毛髪にごわつきが少しあるが問題ない程度で、なめらかさも良い
×:毛髪にごわつきがあり、なめらかさが悪い
【0056】
以下に染毛剤剤組成物の実施例1から実施例20および比較例1から比較例3を記載する。
【0057】
以下の実施例1から実施例20および比較例1から比較例3は、得られた第1剤組成物と第2剤組成物とを1:2の比率で用時混合することで得られた染毛剤組成物を用いて評価を行った。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
(実施例)
評価試験の実施例1から実施例20の結果から、(A)加水分解コラーゲンまたはその誘導体、(B)加水分解コンキオリン、(C)加水分解ローヤルゼリータンパクを含有する染毛剤組成物の成分の種類および含有量を様々に代えたとしても良好な結果が得られた。
【0062】
(比較例)
比較例1から比較例3では、(A)加水分解コラーゲンまたはその誘導体、(B)加水分解コンキオリン、(C)加水分解ローヤルゼリータンパクを含有しない染毛剤組成物について評価した。この結果、前記(A)~(C)成分を含有しない染毛剤組成物は良好な評価結果は得られなかった。
【0063】
以下に染毛剤組成物の実施例21および実施例22を記載する。
【0064】
以下の実施例21および実施例22により得られた第1剤組成物と第2剤組成物とを1:2の比率で用時混合することで得られた染毛剤組成物は、「風乾時の毛髪の指通り」、「仕上がり後の毛髪のツヤ」、「仕上がり後の毛髪のなめらかさ」について良好な結果を得られた。
【0065】
(実施例21)
<染毛剤組成物>
<第1剤組成物>
成分 含有量(%)
イソステアロイル加水分解コラーゲン
・アミノメチルプロパンジオール塩※1 0.010
加水分解コンキオリン液※2 0.001
加水分解ローヤルゼリータンパク液※3 0.001
塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール 0.050
トルエン-2,5-ジアミン液(53%) 0.250
パラアミノフェノール 0.060
5-アミノオルトクレゾール 0.060
レゾルシン 0.160
セタノール 3.000
ステアリルアルコール 2.500
流動パラフィン 3.000
メチルポリシロキサン 2.000
ポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.) 1.300
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 0.500
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 2.200
塩化ベへニルトリメチルアンモニウム 2.400
エタノール 0.600
アルモンド油 0.010
ブドウ種子油 0.010
濃グリセリン 4.000
L-アスコルビン酸 0.500
亜硫酸ナトリウム 0.500
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.200
ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム液(41.5%) 1.000
香料 0.800
モノエタノールアミン液(80%) 5.000
アンモニア水(28%) 3.570
混合果実抽出液 0.010
加水分解シルク液 0.010
精製水 66.298
合計 100.000
粘度(25℃) 12,900mPa・s
pH(20℃) 11.09
<第2剤組成物>
成分 含有量(%)
セタノール 1.30
セチル硫酸ナトリウム 0.60
プロピレングリコール 10.00
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.14
フェノキシエタノール 0.04
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 0.02
リン酸 0.04
リン酸水素二ナトリウム 0.10
過酸化水素水(35%) 16.60
精製水 71.16
合計 100.00
粘度(25℃) 560mPa・s
pH(20℃) 2.47
混合粘度(25℃) 6,510mPa・s
混合pH(20℃) 9.89
【0066】
(実施例22)
<染毛剤組成物>
<第1剤組成物>
成分 含有量(%)
イソステアロイル加水分解コラーゲン
・アミノメチルプロパンジオール塩※1 0.010
加水分解コンキオリン液※2 0.001
加水分解ローヤルゼリータンパク液※3 0.001
塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール 0.240
トルエン-2,5-ジアミン液(53%) 1.400
パラアミノフェノール 0.080
メタアミノフェノール 0.200
レゾルシン 0.320
セタノール 3.000
ステアリルアルコール 2.500
流動パラフィン 3.000
メチルポリシロキサン 2.000
ポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.) 1.300
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 0.500
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 2.200
塩化ベへニルトリメチルアンモニウム 2.400
エタノール 0.600
アルモンド油 0.010
ブドウ種子油 0.010
濃グリセリン 4.000
L-アスコルビン酸 0.500
亜硫酸ナトリウム 0.500
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.200
ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム液(41.5%) 1.000
香料 0.300
モノエタノールアミン液(80%) 0.500
混合果実抽出液 0.010
加水分解シルク液 0.010
精製水 73.208
合計 100.000
粘度(25℃) 10,930mPa・s
pH(20℃) 8.97
<第2剤組成物>
成分 含有量(%)
セタノール 1.30
セチル硫酸ナトリウム 0.60
プロピレングリコール 10.00
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.14
フェノキシエタノール 0.04
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 0.02
リン酸 0.04
リン酸水素二ナトリウム 0.10
過酸化水素水(35%) 16.60
精製水 71.16
合計 100.00
粘度(25℃) 560mPa・s
pH(20℃) 2.47
混合粘度(25℃) 7,410mPa・s
混合pH(20℃) 6.43
【0067】
以下に染毛剤組成物の実施例23を記載する。
【0068】
以下の実施例23により得られた第1剤組成物と第2剤組成物とを1:1の比率で用時混合することで得られた染毛剤組成物は、「風乾時の毛髪の指通り」、「仕上がり後の毛髪のツヤ」、「仕上がり後の毛髪のなめらかさ」について良好な結果を得られた。
【0069】
(実施例23)
<染毛剤組成物>
<第1剤組成物>
成分 含有量(%)
イソステアロイル加水分解コラーゲン
・アミノメチルプロパンジオール塩※1 0.010
加水分解コンキオリン液※2 0.001
加水分解ローヤルゼリータンパク液※3 0.001
塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール 0.030
トルエン-2,5-ジアミン液(53%) 1.000
パラアミノフェノール 0.050
メタアミノフェノール 0.050
レゾルシン 0.300
セタノール 3.000
ステアリルアルコール 2.500
流動パラフィン 3.000
メチルポリシロキサン 2.620
高重合メチルポリシロキサン(1) 0.180
ポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.) 1.300
ポリオキシエチレンセチルエーテル(13E.O.) 0.180
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 0.500
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 2.200
塩化ベへニルトリメチルアンモニウム 2.400
エタノール 0.600
アルモンド油 0.010
ブドウ種子油 0.010
ホホバ油 0.010
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.500
ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム液(41.5%) 1.000
香料 0.800
フェノキシエタノール 0.030
濃グリセリン 0.090
モノエタノールアミン液(80%) 8.000
アンモニア水(28%) 1.000
混合果実抽出液 0.010
精製水 68.618
合計 100.000
粘度(25℃) 13,750mPa・s
pH(20℃) 10.89
<第2剤組成物>
成分 含有量(%)
セタノール 0.75
流動パラフィン 0.20
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.24
エタノール 0.10
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.) 0.26
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(30E.O.) 0.20
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.20
水酸化カリウム 0.05
過酸化水素水(35%) 16.60
精製水 81.40
合計 100.00
粘度(25℃) 1,090mPa・s
pH(20℃) 2.61
混合粘度(25℃) 3,870mPa・s
混合pH(20℃) 9.78
【0070】
以下に脱色剤組成物の実施例24を記載する。
【0071】
以下の実施例24により得られた第1剤組成物と第2剤組成物とを1:2の比率で用時混合することで得られた脱色剤組成物は、「風乾時の毛髪の指通り」、「仕上がり後の毛髪のツヤ」、「仕上がり後の毛髪のなめらかさ」について良好な結果を得られた。
【0072】
(実施例24)
<脱色剤組成物>
<第1剤組成物>
成分 含有量(%)
イソステアロイル加水分解コラーゲン
・アミノメチルプロパンジオール塩※1 0.010
加水分解コンキオリン液※2 0.001
加水分解ローヤルゼリータンパク液※3 0.001
セタノール 2.000
ステアリルアルコール 2.000
流動パラフィン 3.000
メチルポリシロキサン 2.620
高重合メチルポリシロキサン(1) 0.180
ポリオキシエチレンセチルエーテル(2E.O.) 0.700
ポリオキシエチレンセチルエーテル(13E.O.) 0.180
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 1.900
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 2.200
塩化ベへニルトリメチルアンモニウム 2.400
エタノール 0.600
アルモンド油 0.010
ブドウ種子油 0.010
ホホバ油 0.010
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.500
ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム液(41.5%) 1.000
香料 0.800
フェノキシエタノール 0.030
濃グリセリン 0.090
アンモニア水(28%) 8.000
混合果実抽出液 0.010
精製水 71.748
合計 100.000
粘度(25℃) 9,400mPa・s
pH(20℃) 11.22
<第2剤組成物>
成分 含有量(%)
セタノール 0.75
流動パラフィン 0.20
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.24
エタノール 0.10
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.) 0.26
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(30E.O.) 0.20
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.20
水酸化カリウム 0.05
過酸化水素水(35%) 16.60
精製水 81.40
合計 100.00
粘度(25℃) 1,090mPa・s
pH(20℃) 2.61
混合粘度(25℃) 2,580mPa・s
混合pH(20℃) 9.86
【0073】
以下に脱色剤組成物の実施例25を記載する。
【0074】
以下の実施例25により得られた第1剤組成物と第2剤組成物と第3剤組成物とを1:1.6:0.6の比率で用時混合することで得られた脱色剤組成物は、「風乾時の毛髪の指通り」、「仕上がり後の毛髪のツヤ」、「仕上がり後の毛髪のなめらかさ」について良好な結果を得られた。
【0075】
(実施例25)
<第1剤組成物>
成分 含有量(%)
イソステアロイル加水分解コラーゲン
・アミノメチルプロパンジオール塩※1 0.010
加水分解コンキオリン液※2 0.001
加水分解ローヤルゼリータンパク液※3 0.001
セタノール 0.100
ステアリルアルコール 4.000
流動イソパラフィン 10.000
流動パラフィン 5.000
メチルポリシロキサン 2.000
メチルフェニルポリシロキサン 3.000
高重合メチルポリシロキサン(1) 0.100
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2E.O.) 1.600
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(15E.O.) 1.400
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.450
エタノール 1.050
アルモンド油 0.010
ブドウ種子油 0.010
ホホバ油 0.010
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.500
香料 0.800
アンモニア水(28%) 6.250
混合果実抽出液 0.010
精製水 61.698
合計 100.000
粘度(25℃) 9,120mPa・s
pH(20℃) 11.03
<第2剤組成物>
成分 含有量(%)
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.20
水酸化カリウム 0.05
過酸化水素水(35%) 16.60
精製水 83.15
合計 100.00
粘度(25℃) 2mPa・s
pH(20℃) 2.85
<第3剤組成物>
成分 含有量(%)
過硫酸カリウム 60.22
過硫酸アンモニウム 11.30
過硫酸ナトリウム 6.25
無水ケイ酸 2.92
エデト酸二ナトリウム 0.80
無水メタケイ酸ナトリウム 13.00
硫酸マグネシウム 4.00
ステアリン酸亜鉛 0.50
グンジョウ 0.01
軽質流動イソパラフィン 1.00
合計 100.00
pH(20℃) 10.76(10%水溶液)
混合粘度(25℃) 4,100mPa・s
混合pH(20℃) 10.17
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、染毛後または脱色後の洗い流し後の風乾時の毛髪の指通りが良く、仕上がり後の毛髪のツヤおよびなめらかさが良い染毛剤または脱色剤組成物を提供することができる。