(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055179
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
E06B1/56 B
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161894
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
(72)【発明者】
【氏名】筒井 淳司
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011KA06
2E011KB03
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KD26
2E011KD28
2E011KE04
2E011KE10
2E011KF01
2E011KH01
(57)【要約】
【課題】既設枠の納まりによらずに、容易に施工できる改装建具を提供すること。
【解決手段】改装建具1は、建物100の開口部11に設けられる既設枠23と、既設枠23の内周側に配置される新設枠33と、を備え、開口部11において既設枠23及び新設枠33の間に配置され既設枠23及び新設枠33に固定されるアタッチメント43を備え、新設枠33とアタッチメント43とを接続すると共にアタッチメント43に対する新設枠33の位置を位置決めする位置決め部材7と、を備え、位置決め部材7は、L字状に形成され、アタッチメント43の見込面に沿って延びると共にアタッチメント43の見込面に固定可能な第1板部71と、第1板部71に接続され新設枠33の見付面に沿って延びると共に第1板部71がアタッチメント43の見込面に引っ掛けて固定された状態において新設枠33の見付面に固定される第2板部72と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に配置される新設枠と、を備える改装建具であって、
前記開口部において前記既設枠及び前記新設枠の間に配置され前記既設枠及び前記新設枠に固定されるアタッチメントを備え、
前記新設枠と前記アタッチメントとを接続すると共に前記アタッチメントに対する前記新設枠の位置を位置決めする位置決め部材と、を備え、
前記位置決め部材は、L字状に形成され、前記アタッチメントの見込面に沿って延びると共に前記アタッチメントの見込面に固定可能な第1板部と、前記第1板部に接続され前記新設枠の見付面に沿って延びると共に前記第1板部が前記アタッチメントの見込面に固定された状態において前記新設枠の見付面に固定される第2板部と、を有する、改装建具。
【請求項2】
前記位置決め部材は、前記新設枠及び前記アタッチメントの室内側の端部側に設けられる、請求項1に記載の改装建具。
【請求項3】
前記第1板部及び前記アタッチメントのいずれか一方は、引っ掛け突出部を有し、
前記第1板部及び前記アタッチメントのいずれか他方は、前記引っ掛け突出部が挿入された状態でスライド移動されることで引っ掛け可能な引っ掛け穴部を有する、請求項1又は2に記載の改装建具。
【請求項4】
前記アタッチメントは、室外側の端部に配置され前記新設枠の室外側の端部の少なくとも一部を覆うカバー部を有し、
前記カバー部と前記新設枠との間には、気密材が配置される、請求項1又は2に記載の改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部をリフォーム等で改装する方法として開口部に新たな建具を設置するカバー工法が採用されている。カバー工法において、建物の開口部に設けられる既設枠と、既設枠の内周側に配置される新設枠と、既設枠と新設枠との間に配置されるアタッチメントと、を備える改装建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアタッチメントにおいては、既設枠とアタッチメントとを室外側の見付面においてネジ固定すると共に、新設枠とアタッチメントとを室内側の見付面においてネジ固定している。そのため、室内側からの作業で施工できる改装建具が望まれる。また、既設枠が額縁部材に隠れるように収容されて取り付けられるような納まりの場合には、現場において、既設枠の室内側の見込面にネジ固定することが難しい。そのため、既設枠の納まりによらずに、容易に施工できる改装建具が望まれる。
【0005】
本開示は、既設枠の納まりによらずに、容易に施工できる改装建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建物の開口部に設けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に配置される新設枠と、を備える改装建具であって、前記開口部において前記既設枠及び前記新設枠の間に配置され前記既設枠及び前記新設枠に固定されるアタッチメントを備え、前記新設枠と前記アタッチメントとを接続すると共に前記アタッチメントに対する前記新設枠の位置を位置決めする位置決め部材と、を備え、前記位置決め部材は、L字状に形成され、前記アタッチメントの見込面に沿って延びると共に前記アタッチメントの見込面に引っ掛けて固定可能な第1板部と、前記第1板部に接続され前記新設枠の見付面に沿って延びると共に前記第1板部が前記アタッチメントの見込面に固定された状態において前記新設枠の見付面に固定される第2板部と、を有する、改装建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本実施形態の第1構造例の改装建具の上側の部分の縦断面図である。
【
図3】位置決め部材をアタッチメント縦枠に取り付ける場合を示す斜視図である。
【
図4】位置決め部材をアタッチメント縦枠にスライドして取り付ける場合を示す図である。
【
図5】位置決め部材をアタッチメント縦枠及び新設縦枠に取り付ける場合を示す図である。
【
図6】本実施形態の第2構造例の改装建具の上側の部分の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態の第1構造例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の改装建具1は、例えば、マンション等のビルなどの建物100の開口部11に設けられる。
図1は、改装建具1を室内側から見た様子を示している。改装建具1は、すでに設置されている既設枠2に、新設枠3を取り付ける改修を行って形成される。
【0009】
本明細書において、「見付方向」とは、建物100の壁に形成された開口部11に納められた改装建具1における障子12の面材の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見付面」は、改装建具1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、改装建具1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、改装建具1の見込方向の室外側を室外側X1とし、改装建具1の見込方向の室内側を室内側X2とする。改装建具1の見付方向における横方向を左右方向とする。
【0010】
改装建具1は、
図1に示すように、建物100の開口部11に設置された既設枠2の内周側に、アタッチメント4(
図2参照)を介して、新設枠3を取り付けることで構成される。改装建具1は、既設枠2と、新設枠3と、アタッチメント4(
図2参照)と、を有する。新設枠3の内側には、障子12,12が開閉可能に納められる。
【0011】
既設枠2は、窓枠10と一体若しくは別体で構成され、開口部11に設けられる枠体である。既設枠2は、矩形の枠状に形成される。既設枠2は、アルミニウム製、アルミ樹脂複合製又は樹脂製の形材により構成される。既設枠2は、既設上枠21と、既設下枠22と、左右一対の既設縦枠23と、を有する。
【0012】
既設上枠21は、開口部11の上方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。既設下枠22は、開口部11の下方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の既設縦枠23は、開口部11の左右方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0013】
新設枠3は、アタッチメント4(
図2参照)を介して、既設枠2の内周側に配置される。新設枠3は、矩形の枠状に形成される。新設枠3は、アルミニウム製の形材により構成される。新設枠3は、新設上枠31と、新設下枠32と、左右一対の新設縦枠33と、を有する。
【0014】
新設上枠31は、開口部11の上方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。新設下枠32は、開口部11の下方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の新設縦枠33は、開口部11の左右方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0015】
図2に示すように、アタッチメント4は、既設枠2と新設枠3の間に配置され、新設枠3を既設枠2に固定するための部材である。アタッチメント4は、アタッチメント上枠(図示せず)と、アタッチメント下枠(図示せず)と、左右一対のアタッチメント縦枠43(
図2参照)と、を有する。アタッチメント上枠、アタッチメント下枠及び左右一対のアタッチメント縦枠43は、それぞれ、例えば、アルミニウム製の形材により構成される。
【0016】
アタッチメント上枠、アタッチメント下枠、左右一対のアタッチメント縦枠43は、それぞれ、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に沿って配置される。アタッチメント上枠、アタッチメント下枠、左右一対のアタッチメント縦枠43は、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向において、間隔を空けて複数配置されてもよいし、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に延びる1部材により構成されていてもよい。
【0017】
図2により、既設縦枠23、新設縦枠33及びアタッチメント縦枠43の固定構造について説明する。
【0018】
既設縦枠23は、
図2に示すように、建物100の開口部11の左右方向の両端部に取り付けられている。既設縦枠23は、室内外方向に延びる室内外方向延在板231と、室内外方向延在板231の室外側X1の端部から左右方向の内側に延びる室外側延出板232と、室内外方向延在板231の室内側X2の端部から左右方向の内側に延びる室内側延出板233と、室内外方向延在板231の室内外方向の途中から左右方向の内側に突出する中間突出板234と、室内外方向延在板231の室外側X1の端部から左右方向の外側に突出する室外側L字片236と、室内外方向延在板231の室内側X2の端部から左右方向の外側に突出する室内側L字片235と、室内側X2の端部に設けられるL字接続部材237と、を有する。
【0019】
既設縦枠23は、開口部11の左右方向の両端部において、室内側X2の端部が、L字状のL字接続部材237を介して、建物100の側縁部材102に固定されていると共に、室外側L字片236及び室内側L字片235において、建物100に固定されている。なお、本実施形態では、既設縦枠23の室内側X2の端部に別体のL字接続部材237を接続したが、これに限定されない。L字接続部材237を設けずに、既設縦枠23と一体で既設縦枠23から突出するリブを設けてもよい。
【0020】
アタッチメント縦枠43は、既設縦枠23と新設縦枠33とを接続する。アタッチメント縦枠43は、
図2に示すように、開口部11の左右方向の両端部において、既設縦枠23及び新設縦枠33の間に配置され、上下方向に延びる長尺の部材である。アタッチメント縦枠43は、既設縦枠23の内周側に接続される。アタッチメント縦枠43は、既設縦枠23の左右方向の内側に配置され、既設縦枠23に固定される。
【0021】
アタッチメント縦枠43は、室内外方向に延びる。アタッチメント縦枠43は、室内外方向に延びる室内外方向延在板431と、室内外方向延在板431の室内側X2の端部から室内側X2に延出する室内側端部延出部432(室内側延出部)と、室内外方向延在板431の室内外方向の途中の室外側X1の端部側において左右方向の外側に突出するL字突出片433と、を有する。
【0022】
室内外方向延在板431は、室内外方向の途中において、ネジ131により、既設縦枠23の室内外方向延在板231に固定される。L字突出片433は、既設縦枠23の室外側延出板232の室内側X2の面に沿って、左右方向の外側に突出する。
【0023】
室内外方向延在板431は、室外側X1の端部側に配置される段差部434を有する。段差部434は、外側板部435と、内側板部437と、段差436と、を有する。外側板部435は、室外側X1の端部において室内外方向に延びる板状に形成される。内側板部437は、外側板部435の室内側X2に段差436を介して接続され、外側板部435よりも左右方向の内側において、室内外方向に延びる板状に形成される。
【0024】
室内外方向延在板431の室外側X1の端部には、縦枠カバー部53が固定される。縦枠カバー部53は、L字状のL字固定片531と、L字固定片531の室外側X1の端部に接続されるL字カバー部532と、を有する。
【0025】
L字固定片531は、室内側X2及び左右方向の外側に向けて開放するL字状に形成される。L字固定片531は、室内外方向に延びる固定片531aと、固定片531aの室外側X1の端部から左右方向の外側に延びる延在片531bと、を有する。
【0026】
固定片531aは、アタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431の室外側X1の端部側に配置される段差部434の外側板部435の左右方向の内側の面に沿って配置される。縦枠カバー部53をアタッチメント縦枠43に取り付ける場合には、縦枠カバー部53を、室外側X1から、アタッチメント縦枠43に向けて室内外方向に移動させることで、縦枠カバー部53のL字固定片531の固定片531aを、アタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431の段差部434の外側板部435の左右方向の内側の面に沿って、室外側X1から室内側X2に移動させて、縦枠カバー部53をアタッチメント縦枠43に係合させて取り付けることができる。固定片531aは、ネジ132により、アタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431に固定される。
【0027】
延在片531bは、アタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431の室外側X1の端部において、固定片531aの室外側X1の端部から、左右方向の外側に屈曲して、左右方向の外側に延びる。固定片531aの室内側X2の面には、気密材533が取り付けられる。気密材533は、延在片531bの室内側X2の面と、既設縦枠23の室外側延出板232の室外側X1の面との間に配置される。
【0028】
L字カバー部532は、既設縦枠23よりも室外側X1に突出して配置され、室内側X2及び左右方向の内側に向けて開放するL字状に形成される。L字カバー部532は、新設縦枠33の室外側X1及び左右方向の外側に配置される。L字カバー部532は、新設縦枠33の室外側X1の端部の少なくとも一部を覆うように配置される。
【0029】
室内側端部延出部432には、後述する位置決め部材7が接続される。位置決め部材7は、アタッチメント縦枠43の室内側X2の端部の左右方向の内側の見込面と新設縦枠室内側中空部332の室内側X2の見付面とを接続して、アタッチメント縦枠43に対する新設縦枠33の位置を位置決めする。
【0030】
室内側端部延出部432には、
図3に示すように、上下方向に離れて配置される一対のスライド固定用穴部432aが(引っ掛け穴部)形成される。一対のスライド固定用穴部432aは、室内側端部延出部432の厚さ方向に貫通して形成される。スライド固定用穴部432aは、
図3に示すように、大径穴432bと、一対のスライド溝432cと、を有する。大径穴432bは、円形状に形成される。スライド溝432cは、大径穴432bから上下方向の両側に延びると共に大径穴432bの径よりも幅が狭く形成される。
【0031】
新設縦枠33は、
図2に示すように、アタッチメント縦枠43の内周側(アタッチメント縦枠43の左右方向の内側)に、スペーサ部材631を介して、取り付けられる。新設縦枠33は、アタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431の左右方向の内側の面との間に、板状のスペーサ部材631を挟んだ状態で、スペーサ部材631の左右方向の内側の面に配置される。
【0032】
新設縦枠33は、新設縦枠室外側中空部331と、新設縦枠室内側中空部332と、室外側開放部333と、を有する。
【0033】
新設縦枠室外側中空部331及び新設縦枠室内側中空部332は、いずれも室内外方向に延びる細長い長方形状の中空状に形成され、室内外方向に並んで配置される。新設縦枠室外側中空部331が室外側X1に配置され、新設縦枠室内側中空部332が室内側X2に配置されている。
【0034】
新設縦枠室外側中空部331は、ネジ133により、アタッチメント縦枠43に固定される。ネジ133は、新設縦枠室外側中空部331における左右方向の内側の内側板部331aの貫通孔331bを挿通させて、左右方向の内側から外側に向けて順に、新設縦枠室外側中空部331の左右方向の外側の外側板部331c、スペーサ部材631及びアタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431を貫通する。これにより、ネジ132は、新設縦枠室外側中空部331の左右方向の外側の外側板部331c、スペーサ部材631及びアタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431を共締めにより固定することで、新設縦枠室外側中空部331をアタッチメント縦枠43に固定する。
【0035】
室外側開放部333は、新設縦枠33の室外側X1の端部において、室外側X1に向けて開放して形成される。室外側開放部333には、気密材配置部材334が取り付けられる。気密材配置部材334の室外側X1には、気密材335が取り付けられる。気密材335は、新設縦枠33の室外側X1の端部の室外側X1の面と、縦枠カバー部53のL字カバー部532の左右方向の内側(見付方向の内側)に延びる左右方向延在カバー部532aの室内側X2の面との間に配置される。これにより、室外側X1において、アタッチメント縦枠43の縦枠カバー部53と新設縦枠33との間には、気密材335が配置される。
【0036】
新設縦枠室内側中空部332の室内側X2の面には、位置決め部材7が固定される。位置決め部材7は、新設縦枠33及びアタッチメント縦枠43の室内側X2の端部側に設けられる。位置決め部材7は、アタッチメント縦枠43の室内側X2の端部の左右方向の内側の見込面と新設縦枠室内側中空部332の室内側X2の見付面とを接続する。位置決め部材7は、アタッチメント縦枠43に対する新設縦枠33の位置を位置決めする。位置決め部材7の詳細については後述する。
【0037】
新設縦枠33の室内側X2の左右方向の内側の部分には、樹脂アングル部材632が取り付けられる。樹脂アングル部材632には、縦枠室内側化粧カバー633が取り付けられる。縦枠室内側化粧カバー633は、室外側X1及び左右方向の外側が開放されたL字状に形成され、アタッチメント縦枠43の室内側X2の端部側及び新設縦枠33の室内側X2の端部側を覆うように配置される。
【0038】
位置決め部材7の詳細について説明する。位置決め部材7は、室内側X2及び左右方向の内側に向けて開放するL字状に形成される。位置決め部材7は、室内外方向に延びる室内外方向延在位置決め板71(第1板部)と、左右方向に延びる新設枠固定板72(第2板部)と、を有する。
【0039】
室内外方向延在位置決め板71は、アタッチメント縦枠43の左右方向の内側の見込面に沿って延びる。室内外方向延在位置決め板71は、アタッチメント縦枠43の左右方向の内側の見込面に引っ掛けて固定可能である。
【0040】
室内外方向延在位置決め板71には、
図3に示すように、アタッチメント縦枠43の室内側端部延出部432側に頭部732が位置するように2つのピン部材73が取り付けられている。2つのピン部材73は、上下方向に離れて配置され、それぞれ、新設枠固定板72に貫通して取り付けられ左右方向に延びる軸部731と、軸部731の左右方向の外側の端部に接続される頭部732と、を有する。
【0041】
位置決め部材7の室内外方向延在位置決め板71をアタッチメント縦枠43の室内側端部延出部432に取り付ける場合には、
図3に示すように、室内外方向延在位置決め板71に取り付けたピン部材73の頭部732を、アタッチメント縦枠43の室内側端部延出部432に形成されるスライド固定用穴部432aの大径穴432bに挿通させて、
図4に示すように、ピン部材73の軸部731を、大径穴432bから、大径穴432bの径よりも幅が狭いスライド溝432cに移動させることで、位置決め部材7の室内外方向延在位置決め板71をアタッチメント縦枠43の室内側端部延出部432に取り付ける。これにより、室内外方向延在位置決め板71は、アタッチメント縦枠43の室内側端部延出部432の左右方向の内側の見込面にピン部材73により固定される。
【0042】
新設枠固定板72は、
図2に示すように、室内外方向延在位置決め板71の室外側X1の端部に接続される。新設枠固定板72は、新設縦枠33の室内側X2の見付面に沿って延びる。新設枠固定板72は、室内外方向延在位置決め板71がアタッチメント縦枠43の左右方向の内側の見込面に引っ掛けて固定された状態において、新設縦枠33の室内側X2の見付面にネジ固定される。
【0043】
新設枠固定板72は、ネジ134により、新設縦枠室内側中空部332の室内側X2の見付面に固定される。ネジ134は、頭部134aと、頭部134aから室外側X1に直線状に延びる軸部134bと、を有する。ネジ134は、頭部134aが、室内外方向延在位置決め板71の室内側X2の面に配置され、軸部134bが、室内側X2から室外側X1に向けて順に、新設枠固定板72及び新設縦枠室内側中空部332の室内側X2の端面板332aを貫通する。
【0044】
ネジ134により、位置決め部材7を新設縦枠33に固定する場合には、
図5に示すように、位置決め部材7の室内外方向延在位置決め板71をアタッチメント縦枠43の室内側端部延出部432に引っ掛けて取り付けた後に、室内側X2から、新設縦枠33の室内側X2の見付面において、ネジ134により、新設枠固定板72及び新設縦枠室内側中空部332の室内側X2の端面板332aを共締めにより固定することで、位置決め部材7の室内外方向延在位置決め板71を新設縦枠33に固定する。このようにして、室内側X2から、新設縦枠33の室内側X2の見付面において、ネジ134により、位置決め部材7を新設縦枠33に容易に固定できる。
【0045】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の改装建具1においては、位置決め部材7は、L字状に形成され、アタッチメント縦枠43の見込面に沿って延びると共にアタッチメント縦枠43の見込面に引っ掛けて固定可能な室内外方向延在位置決め板71と、新設縦枠33の見付面に沿って延びると共に室内外方向延在位置決め板71がアタッチメント縦枠43の見込面に固定された状態において新設縦枠33の見付面に固定される新設枠固定板72と、を有する。そのため、アタッチメント縦枠43の見込面に位置決め部材7の室内外方向延在位置決め板71を引っ掛けて固定できるため、既設縦枠23が額縁部材に隠れるように収容されて取り付けられるような納まりの場合においても、アタッチメント縦枠43を既設縦枠23に容易に固定できる。これにより、既設縦枠23の納まりによらずに、容易に施工できる。
【0046】
また、本実施形態においては、位置決め部材7は、新設縦枠33及びアタッチメント縦枠43の室内側X2の端部側に設けられる。これにより、室内側X2から、新設縦枠33の室内側X2の見付面において、ネジ固定の作業を行うことができる。よって、室内側X2から、位置決め部材7を取り付ける作業を行うことができるため、容易に施工できる。
【0047】
また、本実施形態においては、室内外方向延在位置決め板71には、ピン部材73が貫通して設けられ、アタッチメント縦枠43は、ピン部材73の頭部732が挿入された状態でスライド移動されることで引っ掛け可能なスライド固定用穴部432aを有する。これにより、室内外方向延在位置決め板71のピン部材73の頭部732を、アタッチメント縦枠43のスライド固定用穴部432aに引っ掛けるだけで、簡単に、室内外方向延在位置決め板71をアタッチメント縦枠43に固定できる。よって、室内外方向延在位置決め板71をアタッチメント縦枠43の見込面に固定する作業が容易である。
【0048】
また、本実施形態においては、L字カバー部532と新設縦枠33との間には、気密材335が配置される。これにより、室外側X1において、縦枠カバー部53と新設縦枠33との間の気密性を確保できる。
【0049】
次に、一実施形態の第2構造例について説明する。第2構造例は、第1構造例と比べて、縦枠カバー部53Aをアタッチメント縦枠43Aに取り付ける場合において、縦枠カバー部53Aとアタッチメント縦枠43Aとが係合する方向が異なる。第2構造例の説明において、第1構造例と同様の構成については説明を省略する。
【0050】
第2構造例は、
図6に示すように、アタッチメント縦枠43Aは、第1実施形態の第1構造例の室内外方向延在板431に代えて、室内外方向延在板431Aを有する。室内外方向延在板431Aは、室外側X1の端部側に配置される段差部434Aと、段差部434Aの外側板部435aの室外側X1の端部から左右方向の内側に突出する内側突出突起438と、を有する。段差部434Aの外側板部435aは、第1実施形態の段差部434の外側板部435よりも室外側X1の長さが短く形成される。段差部434Aの段差436と内側突出突起438との間には、左右方向の内側に向けて開放する内側開放凹部439が形成される。
【0051】
縦枠カバー部53AのL字固定片531Aは、第1構造例のL字固定片531の室内外方向に延びる固定片531aに代えて、固定片531cを有する。固定片531cは、段差状に係止される段差部538と、外側突出突起539と、を有する。段差部538は、外側板部538aと、内側板部538cと、段差538bと、を有する。
【0052】
外側板部538aは、室内側X2の端部において室内外方向に延びる板状に形成される。外側板部538aは、アタッチメント縦枠43Aの室内外方向延在板431Aの内側開放凹部439に配置される。
【0053】
内側板部538cは、外側板部538aの室外側X1に段差538bを介して接続され、外側板部538aよりも左右方向の内側において、室内外方向に延びる板状に形成される。
【0054】
外側突出突起539は、段差538bの室外側X1において内側板部538cの左右方向の外側の面から左右方向の外側に突出する。段差538bと外側突出突起539との間には、左右方向の外側に向けて開放する外側開放凹部540が形成される。外側開放凹部540には、アタッチメント縦枠43Aの室内外方向延在板431Aの室外側X1の端部に形成される内側突出突起438が配置される。
【0055】
縦枠カバー部53Aをアタッチメント縦枠43Aに取り付ける場合には、縦枠カバー部53Aを、アタッチメント縦枠43Aに向けて左右方向の内側から外側に移動させることで、縦枠カバー部53Aの段差部538の外側板部538aをアタッチメント縦枠43Aの内側開放凹部439に係合させると共に、縦枠カバー部53Aの上方開放凹部531eにアタッチメント縦枠43Aの室内外方向延在板431Aの内側突出突起438を係合させて、縦枠カバー部53Aをアタッチメント縦枠43Aに係合させて取り付けることができる。
【0056】
以上のように、第1構造例と第2構造例とにおいて、
図2に示す第1構造例では縦枠カバー部53Aを室内外方向に移動させることで、縦枠カバー部53Aをアタッチメント縦枠43Aに係合させて取り付けるのに対して、
図6に示す第2構造例においては、縦枠カバー部53Aを左右方向(見付方向)に移動させることで縦枠カバー部53Aをアタッチメント縦枠43Aに係合させて取り付けている。そのため、第1構造例と第2構造例とにおいて、縦枠カバー部53,53Aをアタッチメント縦枠43,43Aに係合させて取り付ける方向が異なっている。
【0057】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0058】
例えば、前記実施形態においては、改装建具1を引違い窓タイプの改装サッシに適用した場合について説明した。しかし、これに限定されない。改装建具を、例えば、回転軸を中心に戸体が回転して開閉する開閉式の改装建具や、縦辷り出し式の改装建具に適用してもよい。また、改装建具を、例えば、枠に対して開閉しないで固定してガラスが取り付けられるFIX式の改装建具に適用してもよい。
【0059】
前記実施形態においては、アタッチメントを、アタッチメント縦枠とした場合について説明したが、これに限定されない。アタッチメントは、アタッチメント上枠でもよいし、アタッチメント下枠でもよい。
【0060】
前記実施形態においては、位置決め部材7にピン部材の頭部(引っ掛け部)を設けると共に、アタッチメント縦枠43にスライド固定用穴部(引っ掛け穴部)を設けたが、これに限定されない。これとは逆に、位置決め部材7にスライド固定用穴部(引っ掛け穴部)を設けると共に、アタッチメント縦枠43にピン部材の頭部(引っ掛け部)を設けてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 改装建具、2 既設枠、3 新設枠、4 アタッチメント、7 位置決め部材、11 開口部、23 既設縦枠(既設枠)、33 新設縦枠(新設枠)、43 アタッチメント縦枠(アタッチメント)、71 室内外方向延在位置決め板(第1板部)、72 新設枠固定板(第2板部)、100 建物、432a スライド固定用穴部(引っ掛け穴部)、732 ピン部材の頭部(引っ掛け部)