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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055180
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240411BHJP
   H01M 4/64 20060101ALI20240411BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALN20240411BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20240411BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M4/64 A
H01M50/449
H01M50/46
H01M50/184 Z
H01M10/0525
H01M10/0585
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161896
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕介
【テーマコード(参考)】
5H011
5H017
5H021
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011AA13
5H011FF01
5H011GG01
5H011HH02
5H011JJ02
5H011JJ12
5H011KK00
5H017AA03
5H017AS03
5H017CC01
5H017DD05
5H017HH05
5H021AA06
5H021BB04
5H021CC04
5H021EE30
5H021HH03
5H021HH10
5H028AA08
5H028BB01
5H028BB15
5H028CC08
5H028CC11
5H028CC19
5H028CC20
5H028HH05
5H029AJ12
5H029AK03
5H029AL07
5H029BJ12
5H029BJ17
5H029CJ28
5H029DJ03
5H029DJ04
5H029HJ04
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】エネルギー密度の低下や封止部の破損を抑制しつつ、その内部が大気圧よりも低圧に減圧された場合における短絡を抑制することが可能な蓄電モジュールを提供すること。
【解決手段】蓄電モジュール1は、複数のバイポーラ電極100と、最外正極電極200と、最外負極電極300と、第1封止部410と、第2封止部420と、内側封止部430と、第1絶縁部材500と、第2絶縁部材600と、内側絶縁部材710と、を備える。各正極集電箔111の周縁部には、正極未塗工部111aが形成されており、各負極集電箔112の周縁部には、負極未塗工部112aが形成されている。第1絶縁部材500は、第1外側絶縁部515を含み、第2絶縁部材600は、第2外側絶縁部615を含み、内側絶縁部材710は、内側絶縁部712を含む。第1外側絶縁部515の厚み及び第2外側絶縁部615の厚みは、内側絶縁部712の厚みよりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層された複数のバイポーラ電極と、
前記複数のバイポーラ電極の積層方向における前記複数のバイポーラ電極の外側の一方に配置された最外正極電極と、
前記積層方向における前記複数のバイポーラ電極の外側の他方に配置された最外負極電極と、
前記最外正極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外正極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に形成される第1外側領域が大気圧よりも低圧となった状態で前記第1外側領域を封止する第1封止部と、
前記最外負極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外負極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に形成される第2外側領域が大気圧よりも低圧となった状態で前記第2外側領域を封止する第2封止部と、
前記積層方向に互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極間に形成される内側領域が大気圧よりも低圧となった状態で前記内側領域を封止する内側封止部と、
前記最外正極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外正極電極と対向する前記バイポーラ電極との間を絶縁する第1絶縁部材と、
前記最外負極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外負極電極と対向する前記バイポーラ電極との間を絶縁する第2絶縁部材と、
前記積層方向に互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極間を絶縁する内側絶縁部材と、を備え、
前記複数のバイポーラ電極の各々は、
正極集電箔及び負極集電箔を含む集電体と、
前記集電体における前記正極集電箔に設けられた正極活物質層と、
前記集電体における前記負極集電箔に設けられた負極活物質層と、を有し、
前記最外正極電極は、
正極集電箔と、
前記正極集電箔に設けられた正極活物質層と、を有し、
前記最外負極電極は、
負極集電箔と、
前記負極集電箔に設けられた負極活物質層と、を有し、
各前記集電体における前記正極集電箔の周縁部及び前記最外正極電極における前記正極集電箔の周縁部には、前記正極活物質層が設けられていない正極未塗工部が形成されており、
各前記集電体における前記負極集電箔の周縁部及び前記最外負極電極における前記負極集電箔の周縁部には、前記積層方向に前記正極未塗工部と対向しており前記負極活物質層が設けられていない負極未塗工部が形成されており、
前記最外正極電極における前記正極未塗工部と当該正極未塗工部と対向する前記負極未塗工部との間の領域が前記第1外側領域を構成し、
前記最外負極電極における前記負極未塗工部と当該負極未塗工部と対向する前記正極未塗工部との間の領域が前記第2外側領域を構成し、
互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極のうち前記積層方向に対向する前記正極未塗工部と前記負極未塗工部との間の領域が前記内側領域を構成し、
前記第1絶縁部材は、前記第1外側領域に配置された第1外側絶縁部を含み、
前記第2絶縁部材は、前記第2外側領域に配置された第2外側絶縁部を含み、
前記内側絶縁部材は、前記内側領域に配置された内側絶縁部を含み、
前記第1外側絶縁部の厚み及び前記第2外側絶縁部の厚みは、前記内側絶縁部の厚みよりも大きい、蓄電モジュール。
【請求項2】
前記第1絶縁部材は、前記最外正極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外正極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に配置された第1セパレータを含み、
前記第1セパレータは、
前記最外正極電極における前記正極活物質層と前記バイポーラ電極における前記負極活物質層との間に介在する第1介在部と、
前記第1介在部につながっており前記第1外側領域に配置された第1周縁部と、を有し、
前記第1外側絶縁部は、
前記第1周縁部と、
前記第1セパレータとは別部材からなり前記第1外側領域に配置された第1絶縁膜と、を有し、
前記第2絶縁部材は、前記最外負極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外負極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に配置されており、前記第1セパレータの厚みと同じ厚みを有する第2セパレータを含み、
前記第2セパレータは、
前記最外負極電極における前記負極活物質層と前記バイポーラ電極における前記正極活物質層との間に介在する第2介在部と、
前記第2介在部につながっており前記第2外側領域に配置された第2周縁部と、を有し、
前記第2外側絶縁部は、
前記第2周縁部と、
前記第2セパレータとは別部材からなり前記第2外側領域に配置された第2絶縁膜と、を有し、
前記内側絶縁部材は、前記積層方向に互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極間に配置されており、前記第1セパレータの厚みと同じ厚みを有する内側セパレータを含み、
前記内側セパレータは、前記バイポーラ電極における前記正極活物質層と前記バイポーラ電極における前記負極活物質層との間に介在する内側介在部と、
前記内側介在部につながっており前記内側領域に配置された内側周縁部と、を有し、
前記内側絶縁部は、前記内側周縁部で構成されている、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記第1絶縁膜は、前記第1外側領域のうち前記積層方向における前記第1周縁部の内側に配置されており、
前記第2絶縁膜は、前記第2外側領域のうち前記積層方向における前記第2周縁部の内側に配置されている、請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記第1絶縁膜は、前記第1封止部を構成する材料と同一材料からなるとともに、前記第1封止部と一体的に形成されており、
前記第2絶縁膜は、前記第2封止部を構成する材料と同一材料からなるとともに、前記第2封止部と一体的に形成されている、請求項3に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
前記第1絶縁部材は、前記最外正極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外正極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に配置された第1セパレータを含み、
前記第1セパレータは、
前記最外正極電極における前記正極活物質層と前記バイポーラ電極における前記負極活物質層との間に介在する第1介在部と、
前記第1介在部につながっており前記第1外側領域に配置された第1周縁部と、を有し、
前記第1外側絶縁部は、前記第1周縁部で構成されており、
前記第2絶縁部材は、前記最外負極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外負極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に配置されており、前記第1セパレータの厚みと同じ厚みを有する第2セパレータを含み、
前記第2セパレータは、
前記最外負極電極における前記負極活物質層と前記バイポーラ電極における前記正極活物質層との間に介在する第2介在部と、
前記第2介在部につながっており前記第2外側領域に配置された第2周縁部と、を有し、
前記第2外側絶縁部は、前記第2周縁部で構成されており、
前記内側絶縁部材は、前記積層方向に互いに隣接する一対のバイポーラ電極間に配置されており、前記第1セパレータの厚みよりも小さな厚みを有する内側セパレータを含み、
前記内側セパレータは、前記バイポーラ電極における前記正極活物質層と前記バイポーラ電極における前記負極活物質層との間に介在する内側介在部と、
前記内側介在部につながっており前記内側領域に配置された内側周縁部と、を有し、
前記内側絶縁部は、前記内側周縁部で構成されている、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-128898号公報には、複数のバイポーラ電極と、互いに隣接するバイポーラ電極間に配置された複数のセパレータと、互いに隣接するバイポーラ電極間に形成される空間を封止する封止部と、その空間に配置された電解液と、を備える蓄電モジュールが開示されている。セパレータは、積層方向から見た場合に、バイポーラ電極における電極層と重なる重畳部と、電極層に重ならない露出部と、を有している。露出部が存在する領域は、充放電時に生じるガスを収容する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-128898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2021-128898号公報に記載される蓄電モジュールでは、蓄電モジュール内が大気圧未満となるまで減圧される場合があり、この場合、積層方向において最も外側に配置された電極は、蓄電モジュールの内部と外部との差圧に起因して内側に変形することがある。最も外側の電極のうちこの変形する領域、つまり、セパレータの露出部が存在する領域に金属片等の異物が存在する場合、その異物がセパレータを貫通することによって露出部を挟むように配置された一対の電極同士が互いに接触する懸念がある。
【0005】
上記のような短絡を回避するために、各セパレータの厚みを大きくすることが考えられる。しかしながら、そのようにすると、露出部が存在する領域のうち充放電時に生じるガスを収容可能な領域の体積が小さくなるため、当該領域の圧力が高くなることによって封止部が破損する懸念がある。また、この領域の高圧下を回避するためには、電極層の面積を小さくすることが考えられるが、そのようにすると、エネルギー密度が低下する。
【0006】
本開示の目的は、エネルギー密度の低下や封止部の破損を抑制しつつ、その内部が大気圧よりも低圧に減圧された場合における短絡を抑制することが可能な蓄電モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面に従った蓄電モジュールは、互いに積層された複数のバイポーラ電極と、前記複数のバイポーラ電極の積層方向における前記複数のバイポーラ電極の外側の一方に配置された最外正極電極と、前記積層方向における前記複数のバイポーラ電極の外側の他方に配置された最外負極電極と、前記最外正極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外正極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に形成される第1外側領域が大気圧よりも低圧となった状態で前記第1外側領域を封止する第1封止部と、前記最外負極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外負極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に形成される第2外側領域が大気圧よりも低圧となった状態で前記第2外側領域を封止する第2封止部と、前記積層方向に互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極間に形成される内側領域が大気圧よりも低圧となった状態で前記内側領域を封止する内側封止部と、前記最外正極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外正極電極と対向する前記バイポーラ電極との間を絶縁する第1絶縁部材と、前記最外負極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外負極電極と対向する前記バイポーラ電極との間を絶縁する第2絶縁部材と、前記積層方向に互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極間を絶縁する内側絶縁部材と、を備え、前記複数のバイポーラ電極の各々は、正極集電箔及び負極集電箔を含む集電体と、前記集電体における前記正極集電箔に設けられた正極活物質層と、前記集電体における前記負極集電箔に設けられた負極活物質層と、を有し、前記最外正極電極は、正極集電箔と、前記正極集電箔に設けられた正極活物質層と、を有し、前記最外負極電極は、負極集電箔と、前記負極集電箔に設けられた負極活物質層と、を有し、各前記集電体における前記正極集電箔の周縁部及び前記最外正極電極における前記正極集電箔の周縁部には、前記正極活物質層が設けられていない正極未塗工部が形成されており、各前記集電体における前記負極集電箔の周縁部及び前記最外負極電極における前記負極集電箔の周縁部には、前記積層方向に前記正極未塗工部と対向しており前記負極活物質層が設けられていない負極未塗工部が形成されており、前記最外正極電極における前記正極未塗工部と当該正極未塗工部と対向する前記負極未塗工部との間の領域が前記第1外側領域を構成し、前記最外負極電極における前記負極未塗工部と当該負極未塗工部と対向する前記正極未塗工部との間の領域が前記第2外側領域を構成し、互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極のうち前記積層方向に対向する前記正極未塗工部と前記負極未塗工部との間の領域が前記内側領域を構成し、前記第1絶縁部材は、前記第1外側領域に配置された第1外側絶縁部を含み、前記第2絶縁部材は、前記第2外側領域に配置された第2外側絶縁部を含み、前記内側絶縁部材は、前記内側領域に配置された内側絶縁部を含み、前記第1外側絶縁部の厚み及び前記第2外側絶縁部の厚みは、前記内側絶縁部の厚みよりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、エネルギー密度の低下や封止部の破損を抑制しつつ、その内部が大気圧よりも低圧に減圧された場合における短絡を抑制することが可能な蓄電モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態における蓄電モジュールを概略的に示す断面図である。
図2】各領域が減圧された状態を概略的に示す断面図である。
図3】本開示の第2実施形態における蓄電モジュールを概略的に示す断面図である。
図4】実施例及び比較例とその評価結果とを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態における蓄電モジュールを概略的に示す断面図である。図1に示されるように、蓄電モジュール1は、複数のバイポーラ電極100と、最外正極電極200と、最外負極電極300と、第1封止部410と、第2封止部420と、内側封止部430と、第1絶縁部材500と、第2絶縁部材600と、内側絶縁部材710と、を備えている。
【0012】
複数のバイポーラ電極100は、互いに積層されている。各バイポーラ電極100は、集電体110と、正極活物質層120と、負極活物質層130と、を有している。
【0013】
集電体110は、金属からなり、例えば矩形状に形成されている。集電体110は、正極集電箔111と、負極集電箔112と、を有している。正極集電箔111は、例えばアルミニウムからなる。負極集電箔112は、例えば銅箔からなる。負極集電箔112は、導電性接着材によって正極集電箔111に接着されている。
【0014】
正極活物質層120は、集電体110における一方の面、すなわち、正極集電箔111の表面に設けられている。負極活物質層130は、集電体110における他方の面、すなわち、負極集電箔112の表面に設けられている。
【0015】
複数のバイポーラ電極100は、一のバイポーラ電極100における正極活物質層120と、前記一のバイポーラ電極100に隣接するバイポーラ電極100における負極活物質層130と、が互いに対向するように積層されている。
【0016】
正極集電箔111の周縁部には、正極活物質層120が設けられていない正極未塗工部111aが形成されている。負極活物質層130の周縁部には、負極活物質層130が設けられていない負極未塗工部112aが形成されている。負極未塗工部112aは、複数のバイポーラ電極100の積層方向(図1における上下方向)に正極未塗工部111aと対向している。
【0017】
最外正極電極200は、積層方向における複数のバイポーラ電極100の外側の一方に配置されている。最外正極電極200は、正極集電箔111と、正極集電箔111に設けられた正極活物質層120と、を有している。最外正極電極200における正極集電箔111及び正極活物質層120の構成は、バイポーラ電極100におけるそれと同じである。
【0018】
最外負極電極300は、積層方向における複数のバイポーラ電極100の外側の他方に配置されている。最外負極電極300は、負極集電箔112と、負極集電箔112に設けられた負極活物質層130と、を有している。最外負極電極300における負極集電箔112及び負極活物質層130の構成は、バイポーラ電極100におけるそれと同じである。
【0019】
第1封止部410は、最外正極電極200と複数のバイポーラ電極100のうち最外正極電極200と対向するバイポーラ電極100(以下、「バイポーラ電極102」と表記する。)との間に形成される第1外側領域R1(図1を参照)が大気圧よりも低圧となった状態で第1外側領域R1を封止している。第1外側領域R1は、最外正極電極200における正極未塗工部111aと当該正極未塗工部111aと対向する負極未塗工部112aとの間に形成された領域である。この第1外側領域R1は、電解液で満たされている。第1外側領域R1が大気圧よりも低圧であるため、図1に示されるように、最外正極電極200における正極未塗工部111aは、積層方向における内側に向かって変形している。
【0020】
第1封止部410は、絶縁材料(樹脂等)からなる。第1封止部410は、第1外側領域R1からの電解液の漏出及び外部から第1外側領域R1への水分の浸入を防止する機能や、第1外側領域R1を挟むように配置された正極未塗工部111a及び負極未塗工部112a間の間隔を確保する機能を有している。
【0021】
第2封止部420は、最外負極電極300と複数のバイポーラ電極100のうち最外負極電極300と対向するバイポーラ電極100(以下、「バイポーラ電極103」と表記する。)との間に形成される第2外側領域R2(図1を参照)が大気圧よりも低圧となった状態で第2外側領域R2を封止している。第2外側領域R2は、最外負極電極300における負極未塗工部112aと当該負極未塗工部112aと対向する正極未塗工部111aとの間に形成された領域である。この第2外側領域R2は、電解液で満たされている。第2外側領域R2の圧力は、第1外側領域R1の圧力と同じである。第2外側領域R2が大気圧よりも低圧であるため、図1に示されるように、最外負極電極300における負極未塗工部112aは、積層方向における内側に向かって変形している。第2封止部420の構成は、第1封止部410のそれと同じである。
【0022】
内側封止部430は、積層方向に互いに隣接する一対のバイポーラ電極100間に形成される内側領域R3(図1を参照)が大気圧よりも低圧となった状態で内側領域R3を封止している。内側領域R3は、互いに隣接する一対のバイポーラ電極100のうち積層方向に対向する正極未塗工部111aと負極未塗工部112aとの間の領域である。この内側領域R3は、電解液で満たされている。内側封止部430の構成は、第1封止部410のそれと同じである。内側領域R3の圧力は、第1外側領域R1の圧力と同じである。
【0023】
第1絶縁部材500は、最外正極電極200とバイポーラ電極102との間を絶縁している。第1絶縁部材500は、第1セパレータ510と、第1絶縁膜520と、を有している。
【0024】
第1セパレータ510は、最外正極電極200とバイポーラ電極102との間に配置されている。第1セパレータ510は、絶縁材料からなり、イオンの透過を許容する。第1セパレータ510として、ポリオレフィン微多孔膜(ポリエチレンの単層構造や、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリプロピレンの3層構造など)が挙げられる。なお、ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に、セラミック層が設けられてもよい。第1セパレータ510は、第1介在部511と、第1周縁部512と、を有している。
【0025】
第1介在部511は、最外正極電極200における正極活物質層120とバイポーラ電極102における負極活物質層130との間に介在している。
【0026】
第1周縁部512は、第1介在部511の外縁につながっている。第1周縁部512は、第1外側領域R1に配置されている。第1周縁部512の外端部は、第1封止部410に保持されている。図1に示されるように、第1周縁部512は、積層方向における内側に向かって変形している正極未塗工部111aに押されることにより、積層方向における内側に向かって変形している。
【0027】
第1絶縁膜520は、第1セパレータ510とは別部材からなる。第1絶縁膜520は、第1外側領域R1に配置されている。第1絶縁膜520の厚みは、例えば、第1セパレータ510の厚みと同じかそれよりも大きく設定される。第1絶縁膜520は、第1外側領域R1のうち積層方向における第1周縁部512の内側に配置されることが好ましい。なお、図1では、第1周縁部512と第1絶縁膜520との間に金属片等の異物10が示されている。
【0028】
第1周縁部512と第1絶縁膜520は、第1外側領域R1に配置された第1外側絶縁部515を構成している。第1外側絶縁部515は、第1外側領域R1を挟むように配置された正極未塗工部111a及び負極未塗工部112a間を絶縁している。
【0029】
第2絶縁部材600は、最外負極電極300とバイポーラ電極103との間を絶縁している。第2絶縁部材600は、第2セパレータ610と、第2絶縁膜620と、を有している。
【0030】
第2セパレータ610は、最外負極電極300とバイポーラ電極103との間に配置されている。第2セパレータ610の構成は、第1セパレータ510の構成と同じである。すなわち、第2セパレータ610の厚みは、第1セパレータ510の厚みと同じである。第2セパレータ610は、第2介在部611と、第2周縁部612と、を有している。
【0031】
第2介在部611は、最外負極電極300における負極活物質層130とバイポーラ電極103における正極活物質層120との間に介在している。
【0032】
第2周縁部612は、第2介在部611の外縁につながっている。第2周縁部612は、第2外側領域R2に配置されている。第2周縁部612の外端部は、第2封止部420に保持されている。図1に示されるように、第2周縁部612は、積層方向における内側に向かって変形している負極未塗工部112aに押されることにより、積層方向における内側に向かって変形している。
【0033】
第2絶縁膜620は、第2セパレータ610とは別部材からなる。第2絶縁膜620は、第2外側領域R2に配置されている。第2絶縁膜620の構成は、第1絶縁膜520の構成と同じである。第2絶縁膜620は、第2外側領域R2のうち積層方向における第2周縁部612の内側に配置されることが好ましい。
【0034】
第2周縁部612と第2絶縁膜620は、第2外側領域R2に配置された第2外側絶縁部615を構成している。第2外側絶縁部615は、第2外側領域R2を挟むように配置された正極未塗工部111a及び負極未塗工部112a間を絶縁している。
【0035】
内側絶縁部材710は、積層方向に互いに隣接する一対のバイポーラ電極100間を絶縁している。内側絶縁部材710は、積層方向に互いに隣接する一対のバイポーラ電極100間に配置された内側セパレータ(以下、「内側セパレータ710」と表記する。)で構成されている。内側セパレータ710は、第1セパレータ510の厚みと同じ厚みを有している。内側セパレータ710は、内側介在部711と、内側周縁部712と、を有している。
【0036】
内側介在部711は、一のバイポーラ電極100における正極活物質層120と、前記一のバイポーラ電極100に隣接するバイポーラ電極100における負極活物質層130と、の間に介在している。
【0037】
内側周縁部712は、内側介在部711につながっている。内側周縁部712は、内側領域R3に配置されている。内側周縁部712は、内側絶縁部(以下、「内側絶縁部712」と表記することもある。)を構成している。
【0038】
図1に示されるように、第1外側絶縁部515の厚み及び第2外側絶縁部615の厚みは、内側絶縁部712の厚みよりも大きい。なお、「第1外側絶縁部515の厚み」は、第1外側絶縁部515の総厚み、すなわち、第1周縁部512の厚みと第1絶縁膜520の厚みとの和を意味する。「第2外側絶縁部615の厚み」についても同様である。
【0039】
次に、蓄電モジュール1の製造方法について説明する。
【0040】
まず、各バイポーラ電極100と、最外正極電極200と、最外負極電極300と、が準備され、それらがセパレータ510,610,710を介して積層されるとともに、第1外側領域R1に第1絶縁膜520が配置され、第2外側領域R2に第2絶縁膜620が配置される。
【0041】
そして、各正極未塗工部111a及び各負極未塗工部112aに各封止部410~430が熱溶着され、注液口より各領域R1~R3に電解液が注入される。図2は、例えば、各領域R1~R3に電解液が注入された状態を示している。
【0042】
次いで、蓄電モジュール1が所定電圧まで充電され、電解液溶媒や添加物の分解による負極へのSEI被膜の形成が行われ、その副生成物であるガスが蓄電モジュール1外に排出される。
【0043】
その後、減圧雰囲気(大気圧よりも低圧の雰囲気)下において注液口が封止される(減圧封止工程)。これにより蓄電モジュール1が完成する。この蓄電モジュール1が減圧雰囲気下から大気圧下に移動された際、図1に示されるように、最外正極電極200における正極未塗工部111a及び最外負極電極300における負極未塗工部112aが積層方向における内側に向かって変形する。
【0044】
以上に説明したように、本実施形態における蓄電モジュール1では、第1外側領域R1、第2外側領域R2及び内側領域R3が大気圧よりも低圧であることにより、最外正極電極200における正極未塗工部111a及び最外負極電極300における負極未塗工部112aが積層方向における内側に向かって変形するものの、第1外側絶縁部515の厚み及び第2外側絶縁部615の厚みが内側絶縁部712の厚みよりも大きいため、例えば第1外側領域R1に金属片等の異物10が存在したとしても、その異物10が第1外側絶縁部515を貫通することが抑制される。
【0045】
また、内側絶縁部712の厚みが第1外側絶縁部515の厚み及び第2外側絶縁部615の厚みよりも小さいことにより、充放電時に生じるガスを収容する体積が内側領域R3に確保されるため、当該内側領域R3が高圧になることが抑制される。よって、内側封止部430の破損が抑制されるとともに、内側領域R3の高圧下を回避するためにバイポーラ電極100における各未塗工部111a,112aを広げること、すなわち、エネルギー密度の低下が抑制される。
【0046】
上記実施形態において、第1絶縁膜520は、第1封止部410を構成する材料と同一材料からなるとともに、第1封止部410と一体的に形成されてもよく、第2絶縁膜620は、第2封止部420を構成する材料と同一材料からなるとともに、第2封止部420と一体的に形成されてもよい。この態様では、第1外側領域R1内での第1絶縁膜520の位置ずれ及び第2外側領域R2内での第2絶縁膜620の位置ずれが抑制される。
【0047】
また、第1絶縁膜520は、積層方向における第1周縁部512の外側に配置され、第2絶縁膜620は、積層方向における第2周縁部612の外側に配置されてもよい。
【0048】
(第2実施形態)
次に、図3を参照しながら、本開示の第2実施形態における蓄電モジュール1について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0049】
本実施形態では、第1セパレータ510の厚み及び第2セパレータ610の厚みは、内側セパレータ710の厚みよりも大きい。また、第1外側絶縁部515は、内側周縁部712の厚みよりも大きな厚みを有する第1周縁部512のみで構成されており、第2外側絶縁部615は、内側周縁部712の厚みよりも大きな厚みを有する第2周縁部612のみで構成されている。
【実施例0050】
次に、蓄電モジュール1の実施例について、比較例とともに説明する。実施例1-1~実施例1-8は、第2実施形態の実施例であり、実施例2-1~実施例5-3は、第1実施形態の実施例である。各実施例及び比較例では、以下の構成を有する蓄電モジュールが用いられた。
【0051】
正極集電箔:アルミニウム箔の片面に正極を設けたもの。
正極:PVdFバインダーと導電材とをNMP又は水溶媒でスラリー化したもの。
負極集電箔:銅箔の片面に負極を設けたもの。
負極:SBRとCMCと必要に応じて導電材とを水溶媒でスラリー化したもの。
正極活物質層:Li(NiMnCo)O、LiFePOなど。
負極活物質層:天然黒鉛、人造黒鉛など。
セパレータ:ポリオレフィン微多孔膜(ポリエチレンの単層とセラミック層とを有する膜)。
第1絶縁膜:LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ポリイミド。
【0052】
各実施例及び比較例において、蓄電モジュール1における第1外側領域R1のうち積層方向における第1周縁部512の内側に5個の異物10を配置した状態で蓄電モジュール1の製造時における減圧封止工程と同じ環境で第1外側領域R1を減圧していき、最外正極電極200及びバイポーラ電極102間の抵抗値を測定しながら、第1外側絶縁部515が破れることによって最外正極電極200の正極集電箔111とバイポーラ電極102の負極集電箔112とが導通したときの大気圧からの減圧度(大気圧からの差圧)を評価した。図4は、各実施例と比較例の評価結果を示す表である。なお、異物は、L字型(長手方向0.6mm、短手方向0.4mm)の金属片である。また、第1絶縁膜520によるバイポーラ電極102の負極未塗工部112aの被覆率は、95%である。
【0053】
図4における実施例1-1~1-8に示されるように、第1外側絶縁部515が第1周縁部512のみで構成される例では、第1周縁部512の厚みが大きくなるにしたがって減圧度が大きくなることが確認された。
【0054】
また、実施例2-1~5-3では、比較例と同じ構成を有するセパレータと、互いに厚みの異なる第1絶縁膜520と、が用いられた。これらの実施例に示されるように、第1外側絶縁部515が第1周縁部512と第1絶縁膜520とにより構成される例においても、第1外側絶縁部515の厚み(第1絶縁膜520の厚み)が大きくなるにしたがって減圧度が大きくなることが確認された。
【0055】
上述した例示的な実施形態及び実施例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0056】
[態様1]
互いに積層された複数のバイポーラ電極と、
前記複数のバイポーラ電極の積層方向における前記複数のバイポーラ電極の外側の一方に配置された最外正極電極と、
前記積層方向における前記複数のバイポーラ電極の外側の他方に配置された最外負極電極と、
前記最外正極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外正極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に形成される第1外側領域が大気圧よりも低圧となった状態で前記第1外側領域を封止する第1封止部と、
前記最外負極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外負極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に形成される第2外側領域が大気圧よりも低圧となった状態で前記第2外側領域を封止する第2封止部と、
前記積層方向に互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極間に形成される内側領域が大気圧よりも低圧となった状態で前記内側領域を封止する内側封止部と、
前記最外正極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外正極電極と対向する前記バイポーラ電極との間を絶縁する第1絶縁部材と、
前記最外負極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外負極電極と対向する前記バイポーラ電極との間を絶縁する第2絶縁部材と、
前記積層方向に互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極間を絶縁する内側絶縁部材と、を備え、
前記複数のバイポーラ電極の各々は、
正極集電箔及び負極集電箔を含む集電体と、
前記集電体における前記正極集電箔に設けられた正極活物質層と、
前記集電体における前記負極集電箔に設けられた負極活物質層と、を有し、
前記最外正極電極は、
正極集電箔と、
前記正極集電箔に設けられた正極活物質層と、を有し、
前記最外負極電極は、
負極集電箔と、
前記負極集電箔に設けられた負極活物質層と、を有し、
各前記集電体における前記正極集電箔の周縁部及び前記最外正極電極における前記正極集電箔の周縁部には、前記正極活物質層が設けられていない正極未塗工部が形成されており、
各前記集電体における前記負極集電箔の周縁部及び前記最外負極電極における前記負極集電箔の周縁部には、前記積層方向に前記正極未塗工部と対向しており前記負極活物質層が設けられていない負極未塗工部が形成されており、
前記最外正極電極における前記正極未塗工部と当該正極未塗工部と対向する前記負極未塗工部との間の領域が前記第1外側領域を構成し、
前記最外負極電極における前記負極未塗工部と当該負極未塗工部と対向する前記正極未塗工部との間の領域が前記第2外側領域を構成し、
互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極のうち前記積層方向に対向する前記正極未塗工部と前記負極未塗工部との間の領域が前記内側領域を構成し、
前記第1絶縁部材は、前記第1外側領域に配置された第1外側絶縁部を含み、
前記第2絶縁部材は、前記第2外側領域に配置された第2外側絶縁部を含み、
前記内側絶縁部材は、前記内側領域に配置された内側絶縁部を含み、
前記第1外側絶縁部の厚み及び前記第2外側絶縁部の厚みは、前記内側絶縁部の厚みよりも大きい、蓄電モジュール。
【0057】
この蓄電モジュールでは、第1外側領域、第2外側領域及び内側領域が大気圧よりも低圧であることにより、最外正極電極における正極未塗工部及び最外負極電極における負極未塗工部が積層方向における内側に向かって変形するものの、第1外側絶縁部の厚み及び第2外側絶縁部の厚みが内側絶縁部の厚みよりも大きいため、例えば第1外側領域に金属片等の異物が存在したとしても、その異物が第1外側絶縁部を貫通することが抑制される。
【0058】
また、内側絶縁部の厚みが第1外側絶縁部の厚み及び第2外側絶縁部の厚みよりも小さいことにより、充放電時に生じるガスを収容する体積が内側領域に確保されるため、当該内側領域が高圧になることが抑制される。よって、内側封止部の破損が抑制されるとともに、内側領域の高圧下を回避するためにバイポーラ電極における各未塗工部を広げること、すなわち、エネルギー密度の低下が抑制される。
【0059】
[態様2]
前記第1絶縁部材は、前記最外正極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外正極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に配置された第1セパレータを含み、
前記第1セパレータは、
前記最外正極電極における前記正極活物質層と前記バイポーラ電極における前記負極活物質層との間に介在する第1介在部と、
前記第1介在部につながっており前記第1外側領域に配置された第1周縁部と、を有し、
前記第1外側絶縁部は、
前記第1周縁部と、
前記第1セパレータとは別部材からなり前記第1外側領域に配置された第1絶縁膜と、を有し、
前記第2絶縁部材は、前記最外負極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外負極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に配置されており、前記第1セパレータの厚みと同じ厚みを有する第2セパレータを含み、
前記第2セパレータは、
前記最外負極電極における前記負極活物質層と前記バイポーラ電極における前記正極活物質層との間に介在する第2介在部と、
前記第2介在部につながっており前記第2外側領域に配置された第2周縁部と、を有し、
前記第2外側絶縁部は、
前記第2周縁部と、
前記第2セパレータとは別部材からなり前記第2外側領域に配置された第2絶縁膜と、を有し、
前記内側絶縁部材は、前記積層方向に互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極間に配置されており、前記第1セパレータの厚みと同じ厚みを有する内側セパレータを含み、
前記内側セパレータは、前記バイポーラ電極における前記正極活物質層と前記バイポーラ電極における前記負極活物質層との間に介在する内側介在部と、
前記内側介在部につながっており前記内側領域に配置された内側周縁部と、を有し、
前記内側絶縁部は、前記内側周縁部で構成されている、態様1に記載の蓄電モジュール。
【0060】
この態様では、第1セパレータ、第2セパレータ及び内側セパレータが互いに同じ厚みを有しているため、互いに同じセパレータを用いることが可能となる。また、第1セパレータ全体の厚み及び第2セパレータ全体の厚みが内側セパレータの厚みよりも大きい場合に比べて、第1介在部の厚みと第2介在部の厚みを小さくなる。
【0061】
[態様3]
前記第1絶縁膜は、前記第1外側領域のうち前記積層方向における前記第1周縁部の内側に配置されており、
前記第2絶縁膜は、前記第2外側領域のうち前記積層方向における前記第2周縁部の内側に配置されている、態様2に記載の蓄電モジュール。
【0062】
この態様では、最外正極電極における正極未塗工部及び最外負極電極における負極未塗工部の積層方向における内側への変形によって各絶縁膜の位置がずれることが抑制される。また、各絶縁膜が各外側領域のうち積層方向における各周縁部の外側に配置された場合に比べ、最外正極電極おける正極未塗工部及び最外負極電極における負極未塗工部の前記変形に起因する第1周縁部及び第2周縁部の破損が抑制される。
【0063】
[態様4]
前記第1絶縁膜は、前記第1封止部を構成する材料と同一材料からなるとともに、前記第1封止部と一体的に形成されており、
前記第2絶縁膜は、前記第2封止部を構成する材料と同一材料からなるとともに、前記第2封止部と一体的に形成されている、態様3に記載の蓄電モジュール。
【0064】
この態様では、第1外側領域内での第1絶縁膜の位置ずれ及び第2外側領域内での第2絶縁膜の位置ずれが抑制される。
【0065】
[態様5]
前記第1絶縁部材は、前記最外正極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外正極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に配置された第1セパレータを含み、
前記第1セパレータは、
前記最外正極電極における前記正極活物質層と前記バイポーラ電極における前記負極活物質層との間に介在する第1介在部と、
前記第1介在部につながっており前記第1外側領域に配置された第1周縁部と、を有し、
前記第1外側絶縁部は、前記第1周縁部で構成されており、
前記第2絶縁部材は、前記最外負極電極と前記複数のバイポーラ電極のうち前記最外負極電極と対向する前記バイポーラ電極との間に配置されており、前記第1セパレータの厚みと同じ厚みを有する第2セパレータを含み、
前記第2セパレータは、
前記最外負極電極における前記負極活物質層と前記バイポーラ電極における前記正極活物質層との間に介在する第2介在部と、
前記第2介在部につながっており前記第2外側領域に配置された第2周縁部と、を有し、
前記第2外側絶縁部は、前記第2周縁部で構成されており、
前記内側絶縁部材は、前記積層方向に互いに隣接する一対の前記バイポーラ電極間に配置されており、前記第1セパレータの厚みよりも小さな厚みを有する内側セパレータを含み、
前記内側セパレータは、前記バイポーラ電極における前記正極活物質層と前記バイポーラ電極における前記負極活物質層との間に介在する内側介在部と、
前記内側介在部につながっており前記内側領域に配置された内側周縁部と、を有し、
前記内側絶縁部は、前記内側周縁部で構成されている、態様1に記載の蓄電モジュール。
【0066】
この態様では、各セパレータの厚みを調整することによって上記態様1が奏する効果と同じ効果が得られる。
【0067】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 蓄電モジュール、10 異物、100 バイポーラ電極、110 集電体、111 正極集電箔、111a 正極未塗工部、112 負極集電箔、112a 負極未塗工部、120 正極活物質層、130 負極活物質層、200 最外正極電極、300 最外負極電極、410 第1封止部、420 第2封止部、430 内側封止部、500 第1絶縁部材、510 第1セパレータ、511 第1介在部、512 第1周縁部、515 第1外側絶縁部、520 第1絶縁膜、600 第2絶縁部材、610 第2セパレータ、611 第2介在部、612 第2周縁部、615 第2外側絶縁部、620 第2絶縁膜、710 内側絶縁部材(内側セパレータ)、711 内側介在部、712 内側周縁部(内側絶縁部)、R1 第1外側領域、R2 第2外側領域、R3 内側領域。
図1
図2
図3
図4