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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055186
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】瀝青テープ貼付装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/52 20060101AFI20240411BHJP
   E01C 23/00 20060101ALI20240411BHJP
   E01C 5/12 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
E01C19/52
E01C23/00 Z
E01C5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161903
(22)【出願日】2022-10-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)2021年10月6日にハイウェイテクノフェア2021-高速道路を支える最先端技術-にて「打継部止水目地材(ロードケアシール)」と題して発表
(71)【出願人】
【識別番号】391013106
【氏名又は名称】株式会社パーカーコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】502020939
【氏名又は名称】三井住建道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】久米 佑基
(72)【発明者】
【氏名】山口 康輔
(72)【発明者】
【氏名】酒井 宏和
【テーマコード(参考)】
2D051
2D052
2D053
【Fターム(参考)】
2D051AC04
2D051AG01
2D051AH06
2D051DA13
2D052AB01
2D052AD13
2D053AA13
2D053AB09
2D053AD03
(57)【要約】
【課題】アスファルト舗装の端面に送られて貼付される瀝青テープの上下の位置を調整でき、最適な位置に変更できる簡便なテープ高さの調整機構を開発し、立面である端面への瀝青テープの貼り付け位置を所望のものに簡便にできるようにした、実用性に優れる瀝青テープ貼付装置の提供。
【解決手段】走行用キャスタ、瀝青テープの保持部、アスファルト舗装の端面の所望の位置にテープを送るテープ送りガイド機構、貼付する際に瀝青テープを押し付けるテープ押さえバーを有し、瀝青テープの保持部とテープ送りガイド機構とが関連して動くようにした一連一体に構成された治具が、シャフトで水平に支持されたテープ送りガイド調整板を有し、該調整板に、瀝青テープの保持部とテープ送りガイド機構を構成する支持用部材とが、独立に固定されてなり、シャフトはリニアブッシュで上下に摺動して調整板の位置が上下に可動できるように構成された瀝青テープ貼付装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工済のアスファルト舗装に隣接させて、別のアスファルト舗装を施工する際に使用される、互いに隣接するアスファルト舗装の継ぎ目における止水を目的として行われる、前記施工済の舗装面と、前記別の舗装を施工する前の路面の、段差のある2つの面上を、前記継ぎ目を構成することになる前記施工済のアスファルト舗装の端面に沿って長手方向に走行しながら、該端面に、巻回された長尺の瀝青テープを巻き解しつつ貼付をするための瀝青テープ貼付装置であって、
前記走行をするためのキャスタと、前記瀝青テープの保持部と、該保持部から前記施工済のアスファルト舗装の端面の所望の位置に前記瀝青テープを送るためのテープ送りガイド機構と、前記端面に前記瀝青テープを貼付する際に、瀝青テープを前記端面に押し付けるためのテープ押さえバーと、を有してなり、
少なくとも、前記瀝青テープの保持部と、前記テープ送りガイド機構とが関連して動くように、一連一体に構成された治具を有してなり、
該治具は、シャフトで水平に支持されたテープ送りガイド調整板を有し、該調整板に、前記瀝青テープの保持部と、前記テープ送りガイド機構を構成する支持用部材とが、それぞれ独立に固定されてなり、且つ、前記シャフトはリニアブッシュで上下に摺動し、該摺動によって前記調整板の位置が上下に可動できるように構成された、
前記施工済のアスファルト舗装の端面に貼付する際の前記瀝青テープの上下の位置を調整し、変更できる機構を有してなることを特徴とする瀝青テープ貼付装置。
【請求項2】
前記テープ送りガイド機構が、前記瀝青テープの保持部から、前記施工済のアスファルト舗装の端面の近傍に前記瀝青テープを送るための、瀝青テープを送る方向を変えるための方向転換用テープ送りガイドが2箇所以上に設けられた支持用部材Aと、前記施工済のアスファルト舗装の端面の所望の位置に前記瀝青テープが貼付されるように、前記端面に対向する位置における前記瀝青テープの上下の位置を調整して、該瀝青テープが貼付される位置決めをするための位置調整用テープ送りガイドを支持するための支持用部材Bと、を有してなる請求項1に記載の瀝青テープ貼付装置。
【請求項3】
前記支持用部材Aは、長尺な棒状部材の両端部のそれぞれに、前記方向転換用テープ送りガイドが設けられており、且つ、前記長尺な棒状部材が、棒状部材を少なくとも2本繋げてなり、該繋げた部分で折り曲げ可能な構造を有する請求項2に記載の瀝青テープ貼付装置。
【請求項4】
前記位置調整用テープ送りガイドを支持するための前記支持用部材Bは、上下動可能に形成されており、さらに、前記位置調整用テープ送りガイドの角度を調整するための角度微調整用部材を有してなる請求項2又は3に記載の瀝青テープ貼付装置。
【請求項5】
さらに、直角に交わる立面及び底面の2つ平面を有する鏝(こて)を有し、該鏝が、前記走行の際に、前記テープ押さえバーで前記施工済のアスファルト舗装の端面に押さえ付けられた瀝青テープを、前記鏝の立面でも前記端面に押し付けると同時に、前記鏝の底面で、前記別のアスファルト舗装を施工する前の路面又は該路面上に一部延伸した瀝青テープを有する路面を押し付けるように構成された請求項1又は2に記載の瀝青テープ貼付装置。
【請求項6】
前記瀝青テープは、巻き解した時の幅が50mm~100mmであり、前記アスファルト舗装の端面を構成する基層又は表層に前記瀝青テープが貼付された際に、前記瀝青テープの幅が前記基層又は前記表層の幅よりも広い場合には、該瀝青テープは、長手方向に連続して折り曲げた状態で、前記舗装を施工する前の路面上に一部延伸されて貼付される請求項1又は2に記載の瀝青テープ貼付装置。
【請求項7】
前記キャスタは、前記走行の際に、前記施工済のアスファルト舗装の舗装面を走行するための車輪機構Bと、前記別のアスファルト舗装を施工する前の路面を走行するための車輪機構Aとを有し、前記車輪機構A及びBは、それぞれ独立に車輪を有し、且つ、少なくとも前記車輪機構Bは、前記車輪を支持するための支持体が上下動できる構造を有してなり、前記施工済アスファルト舗装の舗装面と、前記別のアスファルト舗装を施工する前の路面とに段差がある場合にも、水平を保って走行できるように構成されている請求項1又は2に記載の瀝青テープ貼付装置。
【請求項8】
さらに、前記走行をさせるための押し棒が配設されてなる請求項1又は2に記載の瀝青テープ貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瀝青テープ貼付装置に関する。さらに詳しくは、舗装工事において生じるアスファルト舗装の継ぎ目に、走行させながら簡易な構造の装置で、瀝青テープを施工済のアスファルト舗装の端面に貼り付ける作業を簡便にすることができ、しかも、貼り付ける瀝青テープの位置を、アスファルト舗装の端面に対してより好適なものになるように調整することができる、瀝青テープを所望の状態に簡便に貼り付け可能な、実用価値の高い瀝青テープ貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装は、コンクリート舗装と比べて初期費用が安く、養生が不要で施工後すぐに交通開放が可能であり、また、成形が容易なため舗装表面の平坦化が容易であり、簡易な方法で補修が可能であるといったメリットがあるので、広く普及している。一方、高温になると変形し易く、轍掘れができやすく、寿命が短いといったデメリットもあり、個々の舗装道路の環境や交通量にもよるが、良好な道路状態を保つためには補修が必要である。補修工事は、問題のある傷んだ箇所を含む範囲の既存のアスファルト舗装を切削して剥がし、この切削部分に新たなアスファルト舗装をすることで行われている。切削部分への新たなアスファルト舗装は、補修する必要のない、施工済の既存のアスファルト舗装に隣接して施工されて、既存の舗装と一体化され、段差のないアスファルト舗装となるように施工されている。このため、既存の施工済のアスファルト舗装と、隣接して施工された新たなアスファルト舗装との間には継ぎ目が生じる。そして、この継ぎ目には、後述するように、止水処理が必要になる。
【0003】
ここで、アスファルト舗装は下記の各層が積層されてなる積層構造をしており、補修工事は、通常、最表層の表層とその下の基層とを切削して剥がし、切削した部分に新たなアスファルト舗装を施工することで行われている。アスファルト舗装は、均一に締め固められた「路床」と呼ばれる地盤の上に、一般的には、人工的に粒径を調整した砕石を用いて「路盤」を造り、この路盤の上にアスファルト混合物で「基層」を施工し、最後に、アスファルト混合物を用いてアスファルト舗装の路面になる「表層」を「基層」の上に施工している(図6(a)参照)。基層と表層との違いは、「基層」を、表層の施工に用いられるアスファルト混合物よりもアスファルトの量が少なめのアスファルト混合物で施工する点であり、同様にアスファルト舗装して、基層を施工した後、その上に表層を施工して積層させている。
【0004】
施工する道路の幅などにもよるが、新たにアスファルト舗装で道路を造る場合にも、道路幅よりも狭い一の舗装を長手方向の所定距離間に施工した後、施工した舗装に隣接させて、同様に道路幅よりも狭い別の舗装を長手方向に施工し、さらに、このような施工を順次繰り返すことで道路幅全体の舗装を完成させる施工が行われることもある。このような施工をした場合も、先に説明した補修工事の場合と同様に互いに隣接するアスファルト舗装間に継ぎ目が生じるため、止水処理が必要になる。
【0005】
上記したように、補修工事や新たに建設されたアスファルト舗装道路では、互いに隣接するアスファルト舗装の間に継ぎ目が生じる。そして、この継ぎ目から雨水等の流体が浸入し、アスファルトに経時的な劣化を生じさせ、このことに起因して舗装に大きな裂け目が生じることがある。特に地震等の際には、アスファルト舗装道路が分断されるといった大被害を発生させる原因になる場合がある。このため、アスファルト舗装の工事の際に、継ぎ目の止水処理を確実に行なうことが重要になる。
【0006】
上記に対応するため、補修工事等において、施工済の既存のアスファルト舗装に隣接させて別の(次の)アスファルト舗装を施工する場合、アスファルト舗装をする前に、継ぎ目になる部分に瀝青テープを用いた下記の止水処理が行われている。すなわち、継ぎ目を構成することになる施工済のアスファルト舗装の端面の長手方向(走行方向)に、瀝青テープを貼り付けた後にアスファルト舗装をして、互いに隣接するアスファルト舗装の継ぎ目に瀝青テープを配置させる止水処理がされている。具体的には、積層構造のアスファルト舗装の端面を構成している、「基層」及び「表層」の端面部分に、現場によっては「表層」の端面部分に、瀝青テープを貼り付ける作業が行われている(図6参照)。先述したように、舗装の「継ぎ目」の止水のための処理は、アスファルト舗装の長寿命化や、災害による被害の拡大防止に繋がるので確実に行われることが望まれる。アスファルト舗装の端面への瀝青テープの貼り付け作業は、従来から、作業者による手作業で行われている。この作業は、作業者が道路面にしゃがみ込む(屈み込む)状態で行われており、作業者にとって肉体的な負担の大きいものであり、作業負担を軽減する措置が望まれる。
【0007】
これに対し、出願人らは、特許文献1で、上記した瀝青テープの貼り付け作業を簡便に行うことができ、作業者の肉体的負担の軽減を図ることができる瀝青テープ貼付装置の提案をしている。具体的には、この装置を用いることで、作業者は、施工が既に完了しているアスファルト舗装面と、隣接するアスファルト舗装を施工する前の路面の、段差のある2つの面上を、継ぎ目を構成することになる施工済のアスファルト舗装の端面に沿って長手方向に装置を走行させながら、該端面に巻回された長尺の瀝青テープを巻き解しつつ瀝青テープを貼り付けることができる。その際、作業者は、立った状態で装置を押して、施工済のアスファルト舗装の端面に沿って走行させることで、瀝青テープの貼り付けを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6145426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、上記した従来の装置に対して、作業者が、瀝青テープ貼付装置を走行させるだけの簡便な作業で、より確実に、所望の状態に瀝青テープを貼付できる装置にするためには、下記の点を改良することが望まれ、改良できれば、例えば、施工現場によって異なる、瀝青テープを貼付するアスファルト舗装の端面の「基層」や「表層」の高さの違いにも好適に適用できるようになり、凡用性にも優れる、実用性の高い、より有用な瀝青テープ貼付装置の提供が可能になるとの認識をもった。
【0010】
補修工事をする際には、先に説明したように、通常、補修箇所を含むアスファルト舗装の表層と基層を切削して剥がして、基層の下の路盤を露出させる。現場によっては、基層を設けない場合もあり、基層や表層の高さも一様ではない。すなわち、瀝青テープ貼付装置で、止水処理のために瀝青テープを貼り付ける、施工済のアスファルト舗装の端面の高さ(補修工事の場合は、切削された路面との段差)は一様でなく、現場によって異なり、40mm~100mmまでの様々な高さがある。
【0011】
図6に、補修工事をする際に、既存のアスファルト舗装を切削して補修する部分を剥がして、新たなアスファルト舗装を行うための路面(路盤)を露出させた場合に生じる、具体的な段差の構造を説明するための断面の模式図を示した。また、図6中に、継ぎ目となるアスファルト舗装の端面に、幅60mmの一般的な瀝青テープを貼り付けた状態を例示した。図6に示したように、施工済のアスファルト舗装の端面に現れる積層構造は、基層の厚みが35mm~60mm程度、表層の厚みが40mm~50mm程度である。
【0012】
補修部分のアスファルト舗装を切削後、切削した部分に、アスファルト舗装に隣接して新たにアスファルト舗装を施工する場合、図6の(a)、(c)~(f)に示した断面構造を有する段差の例では、まず、アスファルト舗装の端面の基層部分に瀝青テープを貼り付け、貼り付け作業の終了後、アスファルト混合物で基層の施工を行う。次に、アスファルト舗装の端面の表層部分に瀝青テープを貼り付け、貼り付け作業の終了後、先に施工した基層の上に、アスファルト混合物を用いて表層の施工を行って、積層構造を有するアスファルト舗装を完成させる(不図示)。上記したいずれの場合も、瀝青テープ貼付装置を用いて瀝青テープを端面に貼り付ける際には、段差のある2つ面を安定に装置を走行させる必要があり、その際には走行する際に装置全体の平行度(水平)を保つ必要がある。
【0013】
上記した瀝青テープの貼り付け作業に、出願人が既に提案している従来の瀝青テープ貼付装置を用いた場合は、図8に示したように、施工済のアスファルト舗装(A1)の舗装した路面と、隣接する次に新たにアスファルト舗装する路面(A2)の、段差のある2つの面を走行させる際に、路面(A2)の走行用の車輪(キャスタ)の支持具の長さを、段差の高さに合わせて伸ばす(上下動させる)ことで、装置全体の平行度(水平)を実現していた。また、従来の瀝青テープ貼付装置では、段差の側壁(立面)の、施工済のアスファルト舗装(A1)の端面への瀝青テープの貼り付け位置の調整を、上記支持具が設けられているフレームに設置させた調整機構で行っていた。このため、端面への瀝青テープの貼り付け高さの調整は、前記支持具の上下動に連動して行われることになる。
【0014】
このように、従来の瀝青テープ貼付装置では、走行用の車輪(キャスタ)の支持具の位置を上下に可動させることで瀝青テープの保持位置が上下して、瀝青テープの高さ調整が行われていた。しかし、本発明者らの検討によれば、段差である端面に確実に瀝青テープを貼り付けるようにするために設けた「テープ位置決めガイド」が同時に上下することがないので、瀝青テープを送る際に高さの差異が出てしまうという問題があった。このような理由で、従来の瀝青テープ貼付装置では、現場の条件によっては、安定して確実なテープの貼り付けを行うことができないといった問題があった。また、別の問題として、従来の瀝青テープ貼付装置では、テープ高さの調整機構を、施工が完了したアスファルト舗装の端面に対して平行に調整することができないため、貼り付け高さを調整する基準がわからないといった問題もあった。
【0015】
さらに、上記で用いる瀝青テープの幅形状と、瀝青テープを貼り付ける、施工が完了したアスファルト舗装の端面の表層や基層の高さとの関連で、下記のような別の課題もあった。まず。例えば、幅が60mmの一般的な瀝青テープに対し、図6に例示したように、路盤からの貼り付け高さは50mm以下であることがほとんどである。この場合に、立面である端面に貼り付ける場所がない瀝青テープの残り代は、折り曲げて、切削された路盤に延伸させた状態にするので、瀝青テープは、L字に貼り付けられることになる(図6(a)、(b)、(d)~(f)参照)。これに対して、従来の瀝青テープ貼付装置には、アスファルト舗装の端面への瀝青テープの貼付動作中にテープ押えバーによる瀝青テープを押さえる動作が組み込まれているが、折り曲げられて路盤上に延伸した部分の瀝青テープに対しては、貼り付けを補助するような動作が考慮されていない。このため、従来の瀝青テープ貼付装置を用いて瀝青テープの貼り付けを行った場合には、延伸した瀝青テープが剥がれないようにする後処理が必要になることがある。その場合の作業は、作業者が、断面がL字の鏝(こて)で、瀝青テープを貼り付けた後に直角にならして路盤へ貼り付けて行くといったものになる。この作業には人員を要し、また、しゃがんだ体勢での手作業になるため、できるかぎり治具を用いて、立面である端面への瀝青テープの貼り付けと共に、路盤に延伸した瀝青テープの貼り付けを確実に行うことができる装置の開発が望まれる。
【0016】
したがって、本発明の目的は、従来の瀝青テープ貼付装置を、アスファルト舗装の端面に送られて貼付される瀝青テープの上下の位置を調整でき、より確実に最適な位置になるように変更することができる簡便なテープ高さの調整機構を開発して、立面である端面への瀝青テープの貼り付け位置を所望するものに簡便にできるように改良し、より良好で確実な継ぎ目の止水処理を実現できる、実用性に優れる有用な瀝青テープ貼付装置を提供することである。また、本発明の目的は、継ぎ目の止水処理に用いる瀝青テープの幅の形状や、アスファルト舗装の現場における瀝青テープを貼り付ける対象の、施工済のアスファルト舗装の端面の高さに影響を受けることが少なく、追加の手作業を行うことを可能な限りなくすことができる、アスファルト舗装の継ぎ目の止水処理おいて極めて重要な瀝青テープの貼付作業を、簡便に、確実に、良好な状態に行うことができる、凡用性及び実用性に優れる瀝青テープ貼付装置の提供を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、以下の瀝青テープ貼付装置を提供する。
[1]施工済のアスファルト舗装に隣接させて、別のアスファルト舗装を施工する際に使用される、互いに隣接するアスファルト舗装の継ぎ目における止水を目的として行われる、前記施工済の舗装面と、前記別の舗装を施工する前の路面の、段差のある2つの面上を、前記継ぎ目を構成することになる前記施工済のアスファルト舗装の端面に沿って長手方向に走行しながら、該端面に、巻回された長尺の瀝青テープを巻き解しつつ貼付をするための瀝青テープ貼付装置であって、
前記走行をするためのキャスタと、前記瀝青テープの保持部と、該保持部から前記施工済のアスファルト舗装の端面の所望の位置に前記瀝青テープを送るためのテープ送りガイド機構と、前記端面に前記瀝青テープを貼付する際に、瀝青テープを前記端面に押し付けるためのテープ押さえバーと、を有してなり、
少なくとも、前記瀝青テープの保持部と、前記テープ送りガイド機構とが関連して動くように、一連一体に構成された治具を有してなり、
該治具は、シャフトで水平に支持されたテープ送りガイド調整板を有し、該調整板に、前記瀝青テープの保持部と、前記テープ送りガイド機構を構成する支持用部材とが、それぞれ独立に固定されてなり、且つ、前記シャフトはリニアブッシュで上下に摺動し、該摺動によって前記調整板の位置が上下に可動できるように構成された、
前記施工済のアスファルト舗装の端面に貼付する際の前記瀝青テープの上下の位置を調整し、変更できる機構を有してなることを特徴とする瀝青テープ貼付装置。
【0018】
上記した本発明の瀝青テープ貼付装置の好ましい形態としては、下記が挙げられる。
[2]前記テープ送りガイド機構が、前記瀝青テープの保持部から、前記施工済のアスファルト舗装の端面の近傍に前記瀝青テープを送るための、瀝青テープを送る方向を変えるための方向転換用テープ送りガイドが2箇所以上に設けられた支持用部材Aと、前記施工済のアスファルト舗装の端面の所望の位置に前記瀝青テープが貼付されるように、前記端面に対向する位置における前記瀝青テープの上下の位置を調整して、該瀝青テープが貼付される位置決めをするための位置調整用テープ送りガイドを支持するための支持用部材Bと、を有してなる上記[1]に記載の瀝青テープ貼付装置。
[3]前記支持用部材Aは、長尺な棒状部材の両端部のそれぞれに、前記方向転換用テープ送りガイドが設けられており、且つ、前記長尺な棒状部材が、棒状部材を少なくとも2本繋げてなり、該繋げた部分で折り曲げ可能な構造を有する上記[2]に記載の瀝青テープ貼付装置。
[4]前記位置調整用テープ送りガイドを支持するための前記支持用部材Bは、上下動可能に形成されており、さらに、前記位置調整用テープ送りガイドの角度を調整するための角度微調整用部材を有してなる上記[2]又は[3]に記載の瀝青テープ貼付装置。
【0019】
[5]さらに、直角に交わる立面及び底面の2つ平面を有する鏝(こて)を有し、該鏝が、前記走行の際に、前記テープ押さえバーで前記施工済のアスファルト舗装の端面に押さえ付けられた瀝青テープを、前記鏝の立面でも前記端面に押し付けると同時に、前記鏝の底面で、前記別のアスファルト舗装を施工する前の路面又は該路面上に一部延伸した瀝青テープを有する路面を押し付けるように構成された上記[1]~[4]のいずれかに記載の瀝青テープ貼付装置。
【0020】
[6]前記瀝青テープは、巻き解した時の幅が50mm~100mmであり、前記アスファルト舗装の端面を構成する基層又は表層に前記瀝青テープが貼付された際に、前記瀝青テープの幅が前記基層又は前記表層の幅よりも広い場合には、該瀝青テープは、長手方向に連続して折り曲げた状態で、前記舗装を施工する前の路面上に一部延伸されて貼付される上記[1]~[5]のいずれかに記載の瀝青テープ貼付装置。
【0021】
[7]前記キャスタは、前記走行の際に、前記施工済のアスファルト舗装の舗装面を走行するための車輪機構Bと、前記別のアスファルト舗装を施工する前の路面を走行するための車輪機構Aとを有し、前記車輪機構A及びBは、それぞれ独立に車輪を有し、且つ、少なくとも前記車輪機構Bは、前記車輪を支持するための支持体が上下動できる構造を有してなり、前記施工済アスファルト舗装の舗装面と、前記別のアスファルト舗装を施工する前の路面とに段差がある場合にも、水平を保って走行できるように構成されている上記[1]~[6]のいずれかに記載の瀝青テープ貼付装置。
[8]さらに、前記走行をさせるための押し棒が配設されてなる上記[1]~[7]のいずれかに記載の瀝青テープ貼付装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来の瀝青テープ貼付装置を、アスファルト舗装の端面に送られて貼付される瀝青テープの上下の位置を調整して、所望する最適な位置になるように変更することができる簡便で有用な機構が開発されたことで、立面である端面への瀝青テープの貼り付け位置を所望するものに簡便にできるように改良された、より良好で確実な継ぎ目の止水処理を実現できる実用性に優れる有用な瀝青テープ貼付装置が提供される。また、本発明の好ましい形態によれば、継ぎ目の止水処理に用いる瀝青テープの幅の形状、アスファルト舗装の現場における瀝青テープを貼り付ける対象である、施工済のアスファルト舗装の端面の高さの違いに影響を受けることが少なく、追加の手作業を可能な限り少なくして作業者の負担を、この点でも軽減できる、アスファルト舗装の継ぎ目の止水処理おいて重要な作業である瀝青テープの貼付を、簡便に、確実に、良好な状態に行うことができる凡用性及び実用性に優れる瀝青テープ貼付装置の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一例の瀝青テープ貼付装置の全体の構成を説明するための模式図である。
図2】本発明の一例の瀝青テープ貼付装置を構成する、施工済のアスファルト舗装の端面の所望の位置に瀝青テープを送るためのテープ送りガイド機構の構造を説明するための模式図である。
図3図2に示した本発明の一例の瀝青テープ貼付装置のテープ送りガイド機構を瀝青テープ側から見た場合の模式図である。図2と同様に、テープ送りガイド機構の構造を説明するための模式図である。
図4A】本発明の一例の瀝青テープ貼付装置の構造を説明するための模式図である。使用時における、段差のある2つの面上を走行する状態の装置を、進行方向の前方から見た模式図である。
図4B図4Aを立体的に表現した図である。
図5A】搬送時などにおける、図4Aの瀝青テープ貼付装置が、段差のない2つの面上を走行する状態の装置を、進行方向の前方から見た模式図である。
図5B図5Aを立体的に表現した図である。
図6】アスファルト舗装の修復工事において、本発明の瀝青テープ貼付装置を用いて瀝青テープを貼付する場合に対象となる、施工済のアスファルト舗装と切削した隣接する路面との段差におけるアスファルト舗装の積層構造の例示を示す模式的な断面図と、貼付した瀝青テープの状態を説明するための図である。
図7】基層と表層の積層構造を有するアスファルト舗装の修復工事において、隣接するアスファルト舗装の継ぎ目に瀝青テープを配置するようにしてアスファルト舗装をする施工手順を説明するための図である。
図8】従来の瀝青テープ貼付装置の構造の概略と、瀝青テープの貼付作業時における作業者の瀝青テープ貼付装置の使用状態とを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一例の瀝青テープ貼付装置の構成を示す図面を参照しながら、好ましい実施形態を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0025】
まず、本発明の瀝青テープ貼付装置を用いて瀝青テープを貼付する対象になる、施工済のアスファルト舗装の端面の構造について説明する。図6に示したように、施工済のアスファルト舗装(A1)は、舗装の目的や舗装する現場の条件によっても異なるが、その多くは、基層と表層とを有する積層構造をしている。地均しした路盤(A2)の表面である路面に形成される基層は、アスファルト舗装の路面になる表層を形成する際に用いられるアスファルト混合物よりも、アスファルトの混合量が少なめのアスファルト混合物からなる。基層が設けられているアスファルト舗装の補修工事をする場合を例にとって、図7を参照して工事の手順を説明する。
【0026】
まず、施工済のアスファルト舗装の補修部分を含む補範囲を決定する。決定した補修箇所を、表層の下の基層部分まで切削して表層と共に剥がして路盤を露出させる。次に、切削した部分に基層、表層の順に、アスファルト混合物を用いてアスファルト舗装を行う。図7に示したように、基層のアスファルト舗装を行う前に、本発明の瀝青テープ貼付装置を用いて、切削することで生じた施工済のアスファルト舗装基層の端面に瀝青テープを貼り付ける作業を行って、瀝青テープを確実に貼り付ける。貼付後、基層形成用のアスファルト混合物を用いてアスファルト舗装をして基層を形成する。基層の形成後、形成した基層面と、隣接する施工済のアスファルト舗装の表面との段差のある2面に、本発明の瀝青テープ貼付装置を走行させて、施工済のアスファルト舗装の端面の表層に瀝青テープを貼り付ける。貼付後、表層形成用のアスファルト混合物を用いてアスファルト舗装をして表層を形成して、アスファルト舗装を完成させる。本発明の瀝青テープ貼付装置を用いることで、瀝青テープを貼り付ける作業における作業者への負荷を低減できると同時に、瀝青テープを確実に貼り付けることを実現して、互いに隣接するアスファルト舗装の継ぎ目における良好な止水処理を可能にできる。
【0027】
以下、図面を参照して本発明の瀝青テープの貼付装置について説明する。本発明の装置は、施工済のアスファルト舗装に隣接させて、別のアスファルト舗装を施工する際に使用される、互いに隣接するアスファルト舗装の継ぎ目における止水を目的として行われる瀝青テープの貼付を、作業者がより簡便に安定して行うことができるように改良された瀝青テープの貼付装置である。具体的には、作業者が、前記施工済の舗装面と前記別の舗装を施工する前の路面の段差のある2つの面上を、押し棒を用いて瀝青テープの貼付装置を、前記継ぎ目を構成することになる前記施工済のアスファルト舗装の端面に沿って長手方向にキャスタで走行させるという簡便な操作で、該端面の所望の位置に、巻回された長尺の瀝青テープを巻き解しつつ貼付することができる。図6に示したように、工事する場所によって段差のある2つの面の形態は様々であり、使用する瀝青テープの幅によって貼り付け状態が異なる場合も生じる。これに対し、本発明の瀝青テープの貼付装置によれば、いずれの場合も、瀝青テープを確実に良好な状態に貼り付けることを実現でき、また、瀝青テープを貼り付ける作業における作業者への負荷を大幅に低減できる。
【0028】
本発明の瀝青テープの貼付装置を特徴づける、施工済のアスファルト舗装の端面に沿って長手方向にキャスタで走行させることで、該端面に巻回された長尺の瀝青テープを巻き解しつつ安定して良好な状態に貼付をすることを可能にできる、瀝青テープを送るためのテープ送りガイド機構と、前記端面に瀝青テープを貼付する際に、瀝青テープを前記端面に押し付けるためのテープ押さえバーについて図面を参照して説明する。
【0029】
図2は、本発明の一例の瀝青テープ貼付装置を構成する、施工済のアスファルト舗装の端面の所望の位置に瀝青テープを送るためのテープ送りガイド機構の構造を説明するための模式図である。また、図3は、図2に示した本発明の一例の瀝青テープ貼付装置のテープ送りガイド機構を瀝青テープ側から見た場合の模式図である。これらの図に示したように、本発明の装置は、瀝青テープの保持部と、テープ送りガイド機構とが関連して動くように、一連一体に構成された治具を有してなる。そして、該治具は、シャフトで水平に支持されたテープ送りガイド調整板を有し、該調整板に、前記瀝青テープの保持部と、前記テープ送りガイド機構を構成する支持用部材とが、それぞれ独立に固定されてなり、且つ、前記シャフトはリニアブッシュで上下に摺動し、該摺動によって前記調整板の位置が上下に可動できるように構成されている。
【0030】
テープ送りガイド調整板に、テープ送りガイド機構を構成する支持用部材Aが設けられており、該支持用部材Aには、瀝青テープの保持部から、前記施工済のアスファルト舗装の端面の近傍に前記瀝青テープを送るための、瀝青テープを送る方向を変えるための方向転換用テープ送りガイドが2箇所以上に設けられている。前記シャフトは、リニアブッシュで上下に摺動する構成のものであり、該摺動によって前記調整板の位置が上下に可動できるように構成されているため、施工済のアスファルト舗装の端面に貼付する際の前記瀝青テープの上下の位置を調整し、変更することができる。また、支持用部材Aを、方向転換用テープ送りガイドの位置を微調整できる構造の好ましい形態にすれば、施工済のアスファルト舗装の端面に瀝青テープを配置させる際に、方向転換用テープ送りガイドの位置を施工場所に応じた状態に、より容易に安定に設置できるので、瀝青テープを、より好適な所望の位置に配置した状態で貼付させることができるようになる。方向転換用テープ送りガイドの位置を微調整できる構造としては、例えば、図2に示したような、支持用部材Aの位置を全体に前後にスライドさせることができるようにした構造や、方向転換用テープ送りガイドが取り付けられている支持用部材A自体に可動域を設けることなどが挙げられる。可動域を設ける具体的な方法としては、例えば、図2に示したように、支持用部材Aの構造を、長尺な棒状部材の両端部のそれぞれに方向転換用テープ送りガイドが設けられており、且つ、前記長尺な棒状部材が、棒状部材を少なくとも2本繋げてなり、該繋げた部分で折り曲げ可能な構造にすることなどが挙げられる。
【0031】
本発明の瀝青テープの貼付装置では、装置をキャスタで走行させることに伴い、上記で説明したテープ送りガイド機構の支持用部材Aに設けた2個以上のテープ送りガイドを介して、瀝青テープが、施工済のアスファルト舗装の端面に送られる。本発明においては上記に加えて、テープ送りガイド機構として、テープ送りガイド調整板に、図2及び図3に示した、位置調整用テープ送りガイドを支持するための支持用部材Bを設けることも好ましい形態である。位置調整用テープ送りガイドを支持するための支持用部材Bは、上下動可能に形成されており、さらに、支持している位置調整用テープ送りガイドの角度を調整するための角度微調整用部材を有する構造のものなどにすることがより好ましい。このような支持用部材Bを、瀝青テープを貼り付ける端面に至る直前に設けることで、送られてくる瀝青テープを、被貼付面である端面のより好適な位置に配置させることができるようになる。
【0032】
上記したような構成のテープ送りガイド機構を設けてなる本発明の瀝青テープの貼付装置によれば、作業者が、押し棒を用いて装置を走行させるだけで、被貼付面である施工済のアスファルト舗装の端面に送られた瀝青テープは、所望の好適な位置に送られ、その位置で、瀝青テープ押さえバーによって端面に押し付けられる結果、良好な状態に安定して貼着される。
【0033】
本発明の瀝青テープの貼付装置は、図1に示したように、瀝青テープ押さえバーによって端面に押し付けられて貼着した後に、さらに、直角に交わる立面及び底面の2つ平面を有する鏝(こて)を設けることも好ましい形態である。このように構成することで、鏝(こて)が、前記テープ押さえバーで、施工済のアスファルト舗装の端面に押さえ付けられた瀝青テープを、前記鏝の立面でも前記端面に押し付けると同時に、前記鏝の底面で前記別のアスファルト舗装を施工する前の路面又は該路面上に一部延伸した瀝青テープを有する路面を押し付けるようすることができる。図6の(a)、(b)、(d)~(f)に示したように、瀝青テープをL字の状態で貼り付ける場合などに特に有効である。
【0034】
本発明の瀝青テープの貼付装置は、キャスタで走行できるものであればよく、その機構は特に限定されない。本発明者らの検討によれば、本発明の瀝青テープの貼付装置における走行できる機構を下記のようにすることで、より利用し易い構成のものになる。以下、この点について、図4及び図5を参照して説明する。
【0035】
本発明の瀝青テープの貼付装置の好ましい形態によれば、段差のある2つの面上を、装置の水平を保った状態で安定した走行をすることができる。具体的には、アスファルト舗装を施す路盤(路面)側を走行させるための車輪機構Aと、該路盤よりも高い、段差のある施工済のアスファルト舗装された面側を走行させるための車輪機構Bの2つの機構を有し、車輪機構Bを、車輪の上下動が可能な機構を有する構成とすることが挙げられる。図4に示したように、このように構成することで、段差のある2つの面上を、装置の水平を保った安定した状態で走行をさせながら、瀝青テープを、段差の端面に、所望する良好な状態に安定して貼付することができる。
【0036】
また、例えば、施工現場までの間の段差のない舗装面上や、アスファルト舗装が完了した後の段差のない舗装面上に対しては、図5に示したように、車輪機構Bがもつ上下動可能な機構を利用して、車輪の位置を車輪機構Aと同じにすることで、段差のない路面上を安定して走行させることができる。このため、本発明の瀝青テープの貼付装置は、移動や搬入や撤去が容易にでき、この点で利便性に優れ、様々な施工現場において利用し易いといったメリットがある。具体的には、例えば、長距離にわたってアスファルト舗装の修理を行った場合などでは、修理完了後に本発明の瀝青テープの貼付装置を搬入した修理を開始した位置まで戻す必要があるが、その場合に、段差のない路面上を安定して走行させて戻すことができる。本発明の瀝青テープの貼付装置が、このような利点を有するのは、本発明の装置では、瀝青テープの保持部から、施工済のアスファルト舗装の端面の所望の位置に瀝青テープを送るためのテープ送りガイド機構と、段差のある2つの面の上を安定した状態で装置を走行させるためのキャスタを構成する車輪機構とを切り離した構造としており、連動させていないことによる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の瀝青テープ貼付装置は、アスファルト舗装を必要とする建設業、農業等の各種産業の、図6に示したような種々の現場において活用されることが期待でき、作業の効率を向上させるとともに、作業者の負荷を低減することが期待できる。
【符号の説明】
【0038】
100:従来の瀝青テープ貼付装置
A1:段差(施工済のアスファルト舗装)
A2:これからアスファルト舗装する路面
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8