(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055201
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 3/407 20060101AFI20240411BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B41J3/407
B41J2/01 305
B41J2/01 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161928
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】宮本 義照
(72)【発明者】
【氏名】渥美 英敏
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056FA10
2C056FB04
2C056FB09
2C056HA29
2C056HA37
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】少なくとも一部の外周形状が円柱状の被印刷物の主走査方向の移動を抑制する。
【解決手段】プリンタ10は、少なくとも一部の外周形状が円柱状の第2被印刷物5Bにインクを吐出するインクヘッド34と、第2被印刷物5Bを支持する支持部材70と、を備え、支持部材70は、収容ケース71と、主走査方向Yに延びる第1シャフト72と、第1シャフト72に設けられた第1支持ローラ74と、主走査方向Yに延びる第2シャフト76と、第2シャフト76に設けられた第2支持ローラ78と、第1シャフト72を回転させる駆動機構80と、収容ケース71の前面71Bに設けられ、主走査方向Yに延びる溝71Mと、溝71Mに沿って主走査方向Yに移動可能に設けられ、第2被印刷物5Bの主走査方向Yの両端部に当接して第2被印刷物5Bの主走査方向Yの移動を抑制する一対のストッパー90と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部の外周形状が円柱状の被印刷物にインクを吐出し、かつ、主走査方向に移動可能なインクヘッドと、
前記被印刷物を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、
収容ケースと、
前記収容ケースに回転可能に設けられ、前記主走査方向に延びる第1シャフトと、
前記第1シャフトに設けられ、前記被印刷物を回転可能に支持する複数の第1支持ローラと、
前記収容ケースに設けられ、前記主走査方向に延び、前記主走査方向と直交する副走査方向に関して前記第1シャフトから所定の距離だけ離れて配置された第2シャフトと、
前記第2シャフトに設けられ、前記被印刷物を回転可能に支持する複数の第2支持ローラと、
前記第1シャフトを回転させる駆動機構と、
前記収容ケースの前面であって前記第1シャフトおよび前記第2シャフトよりも前方に位置する前面に設けられ、前記主走査方向に延びるガイド部と、
前記ガイド部に沿って前記主走査方向に移動可能に設けられ、前記被印刷物の前記主走査方向の両端部に当接して前記被印刷物の前記主走査方向の移動を抑制する一対のストッパーと、を備えている、プリンタ。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記収容ケースの前記前面に形成された溝であり、
前記ストッパーは、前記溝に挿入される突起を有する、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ストッパーは、前記溝に挿入された締結部材が挿入される挿入孔を有し、かつ、前記挿入孔に前記締結部材が挿入されることによって前記収容ケースの前記前面に固定されるように構成されている、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記突起と前記挿入孔とは前記主走査方向に並ぶ、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記ストッパーは、
前記第1シャフトおよび前記第2シャフトよりも下方に位置する本体部と、
前記本体部から上方に延び、前記被印刷物に当接する当接部と、を備えている、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記当接部は、前記本体部に対して回転可能に設けられている、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記当接部は、上下方向に延びる軸を中心に回転可能に構成されている、請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記当接部の上端は、前記第1支持ローラおよび前記第2支持ローラに支持された前記被印刷物の上下方向の中心より下方に位置する、請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記当接部は、樹脂材料から形成されている、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記ストッパーは、前記本体部から上方かつ前記主走査方向に延び、かつ、前記当接部よりも前方に位置し、かつ、前記主走査方向に移動するときに作業者によって把持される把持部を有し、
前記把持部の上端は、前記第1シャフトよりも上方に位置する、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記ストッパーは、前記収容ケースの前記前面に着脱可能に設けられている、請求項1または2に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。詳しくは、少なくとも一部の外周形状が円柱状の被印刷物を回転させて印刷するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、インクジェットヘッドと、被印刷体(即ち被印刷物)を回転可能に保持する被印刷体保持部と、被印刷体保持部を移動させる保持部駆動部とを備えたインクジェットプリンタが開示されている。被印刷体保持部には、被印刷体として円筒状部分を有する立体物が回転可能に支持されており、保持部駆動部によって被印刷体保持部を移動させて、被印刷体に画像等が印刷される。上記インクジェットプリンタの被印刷体保持部は、被印刷体を保持する3つのシャフトを備え、各シャフトにはスリップ防止用のゴムリングが複数個取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のインクジェットプリンタにおいて、円筒状の被印刷物がゴムリングに支持された状態でシャフトが回転すると、被印刷物が軸方向(インクジェットヘッドが移動する方向、即ち主走査方向。)に移動してしまう虞がある。被印刷物が軸方向に移動してしまうと、被印刷物の適切な位置にインクジェットヘッドからインクを吐出することができなくなり、画像の品質が低下してしまう虞がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくとも一部の外周形状が円柱状の被印刷物の主走査方向の移動を抑制することができるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプリンタは、少なくとも一部の外周形状が円柱状の被印刷物にインクを吐出し、かつ、主走査方向に移動可能なインクヘッドと、前記被印刷物を支持する支持部材と、を備えている。前記支持部材は、収容ケースと、前記収容ケースに回転可能に設けられ、前記主走査方向に延びる第1シャフトと、前記第1シャフトに設けられ、前記被印刷物を回転可能に支持する複数の第1支持ローラと、前記収容ケースに設けられ、前記主走査方向に延び、前記主走査方向と直交する副走査方向に関して前記第1シャフトから所定の距離だけ離れて配置された第2シャフトと、前記第2シャフトに設けられ、前記被印刷物を回転可能に支持する複数の第2支持ローラと、前記第1シャフトを回転させる駆動機構と、前記収容ケースの前面であって前記第1シャフトおよび前記第2シャフトよりも前方に位置する前面に設けられ、前記主走査方向に延びるガイド部と、前記ガイド部に沿って前記主走査方向に移動可能に設けられ、前記被印刷物の前記主走査方向の両端部に当接して前記被印刷物の前記主走査方向の移動を抑制する一対のストッパーと、を備えている。
【0007】
本発明のプリンタによると、一対のストッパーは、被印刷物の主走査方向の両端部に当接して被印刷物の主走査方向の移動を抑制する。これにより、第1支持ローラおよび第2支持ローラに回転可能に支持された被印刷物が第1シャフトの回転によって回転するときに、被印刷物が主走査方向に移動することが抑制される。また、ストッパーは、ガイド部に沿って主走査方向に移動可能に設けられているため、被印刷物の長さ(ここでは主走査方向の長さ)に応じて、ストッパーの位置を変更することができる。これにより、主走査方向の長さが異なる複数種類の被印刷物を支持することができると共に、主走査方向に被印刷物が移動することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少なくとも一部の外周形状が円柱状の被印刷物の主走査方向の移動を抑制することができるプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るプリンタを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るプリンタの内部構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係るプリンタの内部構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係るテーブル上に支持部材が配置された状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るテーブル上に支持部材が配置された状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る支持部材の正面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る支持部材の一部を示す側面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係るストッパーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るプリンタ10の内部構造を示す斜視図である。ここでは、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。また、符号X、Y、Zは、それぞれ副走査方向、主走査方向、高さ方向を示している。例えば主走査方向Yは左右方向である。副走査方向Xは、主走査方向Yと平面視において交差しており、ここでは直交している。副走査方向Xは、例えば前後方向である。高さ方向Zは上下方向である。ただし、これら方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、本発明、および、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
【0012】
プリンタ10は、インクジェット式のプリンタである。ただし、プリンタ10の印刷の方式は特に限定されない。プリンタ10は、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。
【0013】
本実施形態に係るプリンタ10は、後述のテーブル48(
図2参照)に支持された第1被印刷物5A(
図2参照)に印刷することが可能である。更に、プリンタ10は、後述の支持部材70(
図4参照)を使用して、第2被印刷物5B(
図4参照)に印刷することも可能である。ここで、
図2では、第1被印刷物5Aがテーブル48に支持された状態が示されている。
図2に示す第1被印刷物5Aは、少なくとも一部に主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった平面を有するものである。第1被印刷物5Aは、例えば記録紙である。ただし、第1被印刷物5Aは、記録紙に限定されない。例えば第1被印刷物5Aには、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、金属板、ガラス板、木材板などの比較的に厚みを有するものが含まれる。また、第1被印刷物5Aは、例えばスマートフォンケースなどの立体物であってもよい。なお、
図3では、第1被印刷物5Aの図示を省略している。
【0014】
図4に示すように、第2被印刷物5Bは、少なくとも一部の外周形状が円柱状の立体物である。ここで、第2被印刷物5Bの上記一部とは、支持部材70(詳しくは後述の第1支持ローラ74および第2支持ローラ78)と接する部分のことをいう。第2被印刷物5Bには、内部に空間を有する立体物、例えば円筒形状や円管形状の立体物が含まれる。第2被印刷物5Bの種類は特に限定されないが、例えばビンやコップなどである。また、第2被印刷物5Bを形成する材料も特に限定されない。第2被印刷物5Bは、ガラス製であってもよいし、樹脂製であってもよいし、木製であってもよい。本実施形態では、第2被印刷物5Bは、「少なくとも一部の外周形状が円柱状の被印刷物」の一例である。
【0015】
図2に示すように、プリンタ10は、ベース部材60と、ベース部材60に取り付けられた本体ケース12(
図1参照)と、キャリッジ移動機構20と、インクヘッドユニット30と、テーブル移動機構38と、テーブルユニット40とを備えている。プリンタ10は、キャリッジ移動機構20およびインクヘッドユニット30を支持する本体フレーム14を備えている。
【0016】
図1に示すように、本体ケース12の前部の中央には、フロントカバー13Cが設けられている。フロントカバー13Cは、本体ケース12に対して開閉可能に構成されている。フロントカバー13Cには、窓13Wが設けられている。窓13Wは、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。作業者は、窓13Wから本体ケース12の内部を視認することができる。ベース部材60(
図2参照)は、本体ケース12の下部に取り付けられている。ベース部材60は、本体ケース12を支持する。
【0017】
図2に示すように、ベース部材60は、底面を構成する底壁61と、底壁61より左方かつ上方に位置する左壁62と、底壁61より右方かつ上方に位置する右壁63と、底壁61と左壁62とを接続し上下方向Zに延びる左側壁64と、底壁61と右壁63とを接続し上下方向Zに延びる右側壁65と、を含む。テーブルユニット40は、底壁61上を副走査方向Xに移動する。左壁62および右壁63は、本体フレーム14を支持する。
【0018】
図2に示すように、本体フレーム14は、ベース部材60に設けられている。本体フレーム14は、ベース部材60の左壁62から上方に延びる左ベース壁15Lと、ベース部材60の右壁63から上方に延びる右ベース壁15Rと、左ベース壁15Lの上端と右ベース壁15Rの上端とを接続する支持壁16とを有する。左ベース壁15Lは、テーブルユニット40よりも左方に位置する。右ベース壁15Rは、テーブルユニット40よりも右方に位置する。支持壁16は、主走査方向Yに延びる。支持壁16は、ベース部材60より上方に配置されている。プリンタ10には、テーブルユニット40が通過可能に構成され、副走査方向Xに貫通する開口14Hが形成されている。開口14Hは、本体フレーム14とベース部材60とで囲まれて形成されている。
【0019】
図2に示すように、プリンタ10は、支持壁16に設けられたガイドレール18を備えている。ガイドレール18は、主走査方向Yに延びている。ガイドレール18は、支持壁16の前面に沿って設けられている。ガイドレール18は、開口14Hより上方に配置されている。ガイドレール18は、テーブルユニット40より上方に配置されている。ガイドレール18には、インクヘッドユニット30の後述するヘッドキャリッジ32が摺動自在に設けられている。ガイドレール18は、ヘッドキャリッジ32の主走査方向Yへの移動をガイドするものである。
【0020】
図2に示すように、キャリッジ移動機構20は、テーブルユニット40の後述するテーブル48に対してヘッドキャリッジ32を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。キャリッジ移動機構20は、ヘッドキャリッジ32を主走査方向Yに移動させる。なお、キャリッジ移動機構20の構成は特に限定されない。キャリッジ移動機構20は、左側のプーリ21と、右側のプーリ22と、無端状のベルト23と、ヘッドキャリッジモータ24とを備えている。左側のプーリ21は、ガイドレール18の左端より左方に設けられている。右側のプーリ22は、ガイドレール18の右端より右方に設けられている。左側のプーリ21および右側のプーリ22は、本体フレーム14に固定されている。ベルト23は、左側のプーリ21と右側のプーリ22とに巻き掛けられている。右側のプーリ22には、ヘッドキャリッジモータ24が接続されている。ただし、ヘッドキャリッジモータ24は、左側のプーリ21に接続されていてもよい。ここでは、ヘッドキャリッジモータ24が駆動して、右側のプーリ22が回転することで、左側のプーリ21と右側のプーリ22との間においてベルト23が走行する。
【0021】
インクヘッドユニット30は、本体ケース12(
図1参照)の内方に配置されている。
図2に示すように、インクヘッドユニット30は、テーブルユニット40より上方に配置されている。インクヘッドユニット30は、インクヘッド34と、インクヘッド34が搭載されるヘッドキャリッジ32と、ヘッドキャリッジ32に取り付けられたケース31と、光照射装置35とを備えている。
【0022】
図2に示すように、ヘッドキャリッジ32は、ベルト23に取り付けられている。ヘッドキャリッジ32は、ガイドレール18に摺動自在に係合している。ヘッドキャリッジ32は、テーブル48より上方に配置されている。ヘッドキャリッジモータ24の駆動によってベルト23が走行して、ヘッドキャリッジ32が主走査方向Yに移動することに伴い、ヘッドキャリッジ32に搭載されたインクヘッド34および光照射装置35は主走査方向Yに移動する。
【0023】
図3に示すように、インクヘッド34は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。インクヘッド34は、それぞれ、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。インクヘッド34は、テーブル48に載置された第1被印刷物5A(
図2参照)および支持部材70に支持された第2被印刷物5B(
図4参照)にインクを吐出可能に構成されている。インクヘッド34は、インクを吐出しかつ副走査方向Xに並ぶ複数のノズル(図示せず)を備えている。インクヘッド34のノズルから吐出されるインクは、例えば、光硬化性インクである。光硬化性インクとしては、例えば、紫外線硬化インクが挙げられる。紫外線硬化インクは、紫外線が照射されると硬化する性質を有する。本実施形態では、インクヘッドユニット30は、3つのインクヘッド34を備えているが、これに限定されない。
【0024】
光照射装置35は、第1被印刷物5Aおよび第2被印刷物5Bに吐出された光硬化性インク(例えば紫外線硬化インク)に光(例えば紫外線)を照射する装置である。
図3に示すように、光照射装置35は、インクヘッド34より左方に配置されている。光照射装置35は、ヘッドキャリッジ32(
図2参照)に固定されている。本実施形態では、光照射装置35は、インクヘッド34より左方に配置されているが、これに限定されない。光照射装置35は、インクヘッド34より右方に配置されていてもよい。また、インクヘッド34の左方および右方のそれぞれに光照射装置35が設けられていてもよい。
【0025】
図3に示すように、テーブルユニット40は、テーブル移動機構38の後述する第1スライドレール51および第2スライドレール52に沿って副走査方向Xに移動可能に構成されている。テーブルユニット40は、第1被印刷物5Aまたは後述する支持部材70が載置されるテーブル48と、テーブル48を副走査方向Xに移動可能に支持するテーブルキャリッジ49と、を備えている。テーブル48は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも短い矩形状に形成されている。なお、テーブル48は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長くてもよく、副走査方向Xの長さと主走査方向Yの長さが同一であってもよい。
図2に示すように、テーブル48は、支持壁16より下方に配置されている。テーブル48は、インクヘッドユニット30より下方に配置されている。テーブル48は、テーブルキャリッジ49の上端部に設けられている。テーブルキャリッジ49は、第1スライドレール51(
図3も参照)および第2スライドレール52(
図3参照)に摺動可能に支持されている。テーブルキャリッジ49は、第1スライドレール51および第2スライドレール52に沿って副走査方向Xに移動可能に設けられている。テーブルキャリッジ49は、図示しない昇降機構によって、テーブル48を上下方向Zに移動可能に構成されている。
【0026】
テーブル移動機構38は、テーブルユニット40のテーブル48を副走査方向Xに移動させる機構である。
図3に示すように、テーブル移動機構38は、テーブルユニット40を副走査方向Xに移動可能に支持する第1スライドレール51および第2スライドレール52と、テーブルユニット40を副走査方向Xに移動させる移動装置41と、を備えている。第1スライドレール51および第2スライドレール52は、副走査方向Xに延びる。第1スライドレール51および第2スライドレール52は、平行に配置されている。第1スライドレール51および第2スライドレール52は、それぞれベース部材60の左側壁64(
図2参照)および右側壁65(
図2参照)に設けられている。
【0027】
図3に示すように、移動装置41は、ベース部材60の底壁61上に配置されている。移動装置41は、前側のプーリ42と、後側のプーリ43と、無端状のベルト44と、駆動モータ45とを備えている。前側のプーリ42は、底壁61の前側に設けられている。後側のプーリ43は、底壁61の後側に設けられている。ベルト44は、前側のプーリ42と後側のプーリ43とに巻き掛けられている。後側のプーリ43には、駆動モータ45が接続されている。ただし、駆動モータ45は、前側のプーリ42に接続されていてもよい。ここでは、駆動モータ45が駆動して、後側のプーリ43が回転することで、前側のプーリ42と後側のプーリ43との間においてベルト44が走行する。テーブルキャリッジ49(
図2も参照)は、ベルト44に取り付けられている。このため、駆動モータ45の駆動によってベルト44が走行すると、テーブルキャリッジ49は第1スライドレール51および第2スライドレール52に沿って、副走査方向Xに移動する。即ち、移動装置41は、テーブル48を副走査方向Xに移動させることができる。
【0028】
ところで、上述のように、本実施形態に係るプリンタ10は、第1被印刷物5A(
図2参照)の他に、少なくとも一部の外周形状が円柱形状の第2被印刷物5B(
図4参照)に対して印刷を行うことが可能である。第2被印刷物5Bは、テーブル48に固定された支持部材70(
図4参照)に支持される。
【0029】
図4に示すように、支持部材70は、第2被印刷物5Bを支持する。支持部材70は、テーブル48に着脱可能に固定される。支持部材70は、テーブル48の移動に伴って、副走査方向Xおよび上下方向Zに移動可能に構成されている。支持部材70は、第2被印刷物5Bに印刷を行うときにはテーブル48に固定され、第1被印刷物5A(
図2参照)に印刷を行うときにはテーブル48から取り外される。支持部材70は、上面の一部が開口した矩形状の収容ケース71と、主走査方向Yに延びる第1シャフト72と、第1シャフト72に設けられた複数の第1支持ローラ74と、主走査方向Yに延びる第2シャフト76と、第2シャフト76に設けられた複数の第2支持ローラ78と、第1シャフト72を回転させる駆動機構80と、一対のストッパー90(
図5も参照)と、を有している。
【0030】
図5に示すように、収容ケース71の全体は、平面視でテーブル48と重なる。即ち、収容ケース71は、平面視でテーブル48の外部に突出しない。収容ケース71は、底面71Aと、底面71Aの前端から上方に延びる前面71Bと、底面71Aの左端から上方に延びる左面71Cと、底面71Aの右端から上方に延びる右面71Dと、底面71Aの後端から上方に延び、かつ、左面71Cの後端と右面71Dの後端とを接続する後面71Eと、後面71Eの上端から前方に延び、左面71Cの一部と右面71Dの一部とを接続する上面71Fと、を有する。前面71Bは、第1シャフト72および第2シャフト76よりも前方に位置する。前面71Bの上端部71BTは前方に向けて曲がっている。収容ケース71は、上面71Fの前方に開口71Hを有する。上面71Fは、第1シャフト72より後方に位置する。
図7に示すように、上面71Fは、第1支持ローラ74および第2支持ローラ78より上方に位置する。上面71Fには、第1被印刷物5A(
図2参照)が載置される。第1被印刷物5Aとしては、例えば、記録紙である。上面71Fに載置された第1被印刷物5Aには、インクヘッドからインクが吐出されてテスト印刷(例えばテストパターンの印刷)が行われる。テスト印刷は、例えば、第2被印刷物5Bに印刷を行う前に行われる。なお、テスト印刷の際には、支持部材70には第1被印刷物5Aのみが載置され、第2被印刷物5Bは載置されない。
図7は、収容ケース71の右面71Dおよび駆動機構80の一部を省略した支持部材70の側面図である。
【0031】
図6に示すように、収容ケース71の前面71Bには、主走査方向Yに延びる溝71Mが形成されている。溝71Mは、前面71Bを副走査方向Xに貫通して形成されている。なお、溝71Mは、前面71Bにおいて後方から前方に向けて凹む凹状の溝であってもよい。溝71Mは、第1シャフト72および第2シャフト76と平行に設けられている。溝71Mにはストッパー90の後述する突起95(
図8参照)および締結部材99(
図4参照)が挿入され、溝71Mはストッパー90の主走査方向Yの移動をガイドする。締結部材99は、例えば、ビスやねじである。溝71Mは、前面71Bの上下方向Zの中央位置よりも上方に位置する。溝71Mは、第1シャフト72および第2シャフト76よりも下方に位置する。溝71Mは、第1支持ローラ74および第2支持ローラ78よりも下方に位置する。本実施形態では、溝71Mは、右側に位置する右側溝71MRと、右側溝71MRよりも左方に位置する左側溝71MLとを含む。右側溝71MRと左側溝71MLとの間には溝が形成されていない。前面71Bにおいて、主走査方向の一端(例えば右端)から他端(例えば左端)まで連続する一つの溝を形成した場合、前面71Bの剛性が低下する。このため、第1シャフト72および第2シャフト76や第2被印刷物5Bの支持剛性を確保するために補強等が必要になる。これに対して、溝71Mを連続しない右側溝71MRと左側溝71MLとで構成し、かつ、右側溝71MRと左側溝71MLとの間に補強部位を確保することで、第1シャフト72および第2シャフト76や第2被印刷物5Bの支持剛性を確保される。ここで、右側溝71MRおよび左側溝71MLの主走査方向Yの長さは同じである。このように主走査方向Yの長さを同じに設定することで、剛性のある補強部位を主走査方向Yの中央部分に設けることができ、第1シャフト72および第2シャフト76や第2被印刷物5Bを安定して支持することができる。右側溝71MRおよび左側溝71MLの上下方向Zの位置は同じである。なお、右側溝71MRおよび左側溝71MLとは一体であってもよい。即ち、1つの溝71Mであってもよい。また、溝71Mは3以上であってもよい。溝71Mは、ガイド部の一例である。なお、
図6では説明の便宜上ストッパー90および第2被印刷物5Bの図示を省略している。
【0032】
図5に示すように、第1シャフト72および第2シャフト76は、主走査方向Yに延びる。第1シャフト72および第2シャフト76は、収容ケース71に回転可能に支持されている。本実施形態では、第1シャフト72の左端部および第2シャフト76の左端部は、収容ケース71の左面71Cに回転可能に支持され、第1シャフト72の右端部および第2シャフト76の右端部は、収容ケース71の右面71Dに回転可能に支持されている。第1シャフト72および第2シャフト76は、収容ケース71の開口71Hを介して外部に露出する。第2シャフト76は、副走査方向Xに関して第1シャフト72から所定の距離LX1だけ離れて配置されている。即ち、第1シャフト72と第2シャフト76との相対的な位置関係は一定である。第1シャフト72と第2シャフト76とは、平行に配置されている。
図7に示すように、第1シャフト72の直径RZ1と第2シャフト76の直径RZ2とは同じになるように設定されている。なお、第1シャフト72の直径RZ1と第2シャフト76の直径RZ2とは異なっていてもよい。例えば、第1シャフト72の直径RZ1は第2シャフト76の直径RZ2より小さくてもよい。第1シャフト72の中心72Cは、第2シャフト76の中心76Cより下方に位置する。これにより、第1シャフト72に設けられた第1支持ローラ74の上端の位置と、第2シャフト76に設けられた第2支持ローラ78の上端の位置とを同じにしている。
【0033】
図4に示すように、第1支持ローラ74は、回転する第1シャフト72に対して第1シャフト72によって支持される第2被印刷物5Bが滑ることを抑制する滑り止め部材である。第1支持ローラ74は、第1シャフト72に着脱可能に設けられている。即ち、第1支持ローラ74の位置は、変更可能である。第1支持ローラ74は、第2被印刷物5Bを支持する。第2支持ローラ78は、回転する第2シャフト76に対して第2シャフト76によって支持される第2被印刷物5Bが滑ることを抑制する滑り止め部材である。第2支持ローラ78は、第2シャフト76に着脱可能に設けられている。即ち、第2支持ローラ78の位置は、変更可能である。第2支持ローラ78は、第2被印刷物5Bを支持する。
図5に示すように、第1支持ローラ74および第2支持ローラ78は、主走査方向Yに関して同じ位置に配置されている。本実施形態では、第1支持ローラ74の直径RX(
図7参照)と第2支持ローラ78の直径RY(
図7参照)とは、異なる。第1支持ローラ74の直径RXは、第2支持ローラ78の直径RYより大きい。第1支持ローラ74および第2支持ローラ78は、直径が異なる点を除き同じ構成である。
【0034】
図5に示すように、駆動機構80は、収容ケース71に設けられている。駆動機構80は、第1シャフト72および第2シャフト76を回転させるように構成されている。駆動機構80は、第1シャフト72および第2シャフト76を回転させることによって、第2被印刷物5Bを回転させるように構成されている。駆動機構80は、駆動モータ80Aと、駆動モータ80Aに連結された第1ギア81と、第1ギア81と噛み合う第2ギア82と、第2ギア82と一体的に形成された第3ギア83と、第3ギア83と噛み合う第4ギア84と、第4ギア84と一体的に形成される支持軸85と、第1アイドラプーリ86と、第2アイドラプーリ87と、搬送ベルト88とを備えている。駆動モータ80Aは、収容ケース71に収容されている。駆動モータ80Aは、第1シャフト72より後方に配置されている。駆動モータ80Aは、上面71Fより下方に位置する。第1ギア81は、収容ケース71の外部に位置する。第1ギア81は、収容ケース71の右面71Dより右方に位置する。第2ギア82および第3ギア83は、収容ケース71の右面71Dから右方に延びる回転軸80Bに設けられている。第4ギア84は、収容ケース71の右面71Dから右方に延びる支持軸85に設けられている。第1アイドラプーリ86および第2アイドラプーリ87は、収容ケース71の右面71Dから右方に延びる。第1シャフト72は、支持軸85と第2アイドラプーリ87との間に位置する。第2シャフト76は、第1アイドラプーリ86と第2アイドラプーリ87との間に位置する。搬送ベルト88は、支持軸85、第1アイドラプーリ86、第2シャフト76の右端部76R、第2アイドラプーリ87および第1シャフト72の右端部72Rに巻きかけられている。駆動モータ80Aを駆動させることによって、搬送ベルト88が走行して第1シャフト72および第2シャフト76が回転するように構成されている。これにより、第1シャフト72および第2シャフト76に支持された第2被印刷物5Bは、例えば
図4の矢印Rの方向に回転する。本実施形態では、第1支持ローラ74の直径が第1支持ローラ74よりも前方に配置された第2支持ローラ78の直径より大きいため、駆動機構80は、第2被印刷物5Bの所定の部分が第2支持ローラ78に接触してから第1支持ローラ74に接触するように第2被印刷物5Bを前回転させるように構成されている。即ち、
図4の矢印Rの方向(主走査方向Yに関して右方から左方を見たときの反時計回りの方向)に第1シャフト72および第2シャフト76を回転させることによって、第2被印刷物5Bを回転させている。
【0035】
図5に示すように、ストッパー90は、第2被印刷物5Bの主走査方向Yの一方の端部である左端部5BLに当接する左側ストッパー90Lと、第2被印刷物5Bの主走査方向Yの他方の端部である右端部5BRに当接する右側ストッパー90Rと、を含む。左側ストッパー90Lおよび右側ストッパー90Rは、同じ構成である。ストッパー90は、第2被印刷物5Bの主走査方向Yの移動を抑制する。即ち、左側ストッパー90Lは、第2被印刷物5Bが左方に移動することを抑制し、右側ストッパー90Rは、第2被印刷物5Bが右方に移動することを抑制する。ストッパー90は、収容ケース71の溝71M(
図4参照)に沿って主走査方向Yに移動可能に設けられている。ストッパー90は、第1シャフト72より前方に配置されている。ストッパー90は、収容ケース71の前面71Bに着脱可能に構成されている。
【0036】
図8に示すように、ストッパー90は、本体部91と、第2被印刷物5Bに当接する当接部92と、当接部92を回転可能に支持する軸93と、突起95と、挿入孔96と、把持部97とを有する。ストッパー90が収容ケース71の前面71Bに取り付けられた状態では、本体部91は、収容ケース71の前面71Bより後方に配置される。本体部91は、第1シャフト72および第2シャフト76より下方に位置する。本体部91は、前後方向に延びるベース壁91Aと、ベース壁91Aの前側の部分から下方に延びる縦壁91Bと、を含む。
図7に示すように、本体部91のベース壁91Aには、軸93の後述する軸部93Bが挿入されるネジ孔91AHが形成されている。ネジ孔91AHは、ベース壁91Aを上下方向Zに貫通する。ベース壁91Aは、第2支持ローラ78より下方に位置する。
図5に示すように、ベース壁91Aの一部は、平面視で第2シャフト76と重なる。ベース壁91Aは、平面視で第1シャフト72と重ならない。
【0037】
図8に示すように、当接部92は、本体部91から上方に延びている。当接部92は、筒状に形成されている。当接部92は、本体部91に回転可能に支持されている。これにより、第2被印刷物5Bの回転動作を阻害し得る当接部92による摩擦力(抵抗力)を低減することができる。当接部92は、本体部91のベース壁91Aに設けられた上下方向Zに延びる軸93を中心に回転可能に支持されている。
図5に示すように、当接部92は、副走査方向Xに関して、第1シャフト72と第2シャフト76との間に配置されている。当接部92は、第1シャフト72よりも前方に配置されている。当接部92は、第2シャフト76よりも後方に配置されている。
図7に示すように、当接部92の上端92Tは、第1支持ローラ74および第2支持ローラ78よりも上方に位置する。当接部92の上端92Tは、第1支持ローラ74および第2支持ローラ78に支持された第2被印刷物5Bの上下方向Zの中心5BCより下方に位置する。当接部92は、第2被印刷物5Bが
図7の矢印R(主走査方向Yに関して右方から左方を見たときの反時計回りの方向)の方向に回転するとき、第2被印刷物5Bの上下方向Zの中心5BCより上側では平面視で反時計回りに回転し、第2被印刷物5Bの上下方向Zの中心5BCより下側では平面視で時計回りに回転する。よって、当接部92の上端92Tが第2被印刷物5Bの上下方向Zの中心5BCより上方に位置すると、当接部92において中心5BCより上側と下側とで回転する向きが異なってしまう。即ち、当接部92の上端92T側の部分(即ち第2被印刷物5Bの上下方向Zの中心5BCより上方に位置する部分)が、当接部92における第2被印刷物5Bの上下方向Zの中心5BCより下方に位置する部分の回転動作を阻害してしまう。これに対して、当接部92の上端92Tが第1支持ローラ74および第2支持ローラ78に支持された第2被印刷物5Bの上下方向Zの中心5BCより下方に位置するように、当接部92の上下方向Zの長さが設定されるため、当接部92の上端92T側の部分により当接部92の回転動作が阻害されることを抑制することができる。よって、
図7の矢印Rの方向に第2被印刷物5Bを回転させる場合に、右側ストッパー90Rの当接部92は、
図5の矢印R1の方向(平面視で時計回りの方向)に回転し、かつ、左側ストッパー90Lの当接部92は、
図5の矢印R2の方向(平面視で反時計回りの方向)に回転する。当接部92は、例えば、樹脂材料から形成されている。当接部92は、例えば、自己潤滑性を有する。当接部92は、例えば、ポリアセタール(POM)から形成されている。軸93は、頭部93Aと、頭部93Aに接続された軸部93Bとを含む。頭部93Aは、当接部92の上下方向Zの移動を抑制する部位である。軸部93Bは、当接部92を回転可能に支持しかつベース壁91Aに固定される部位である。軸部93Bは、ネジ孔91AHに挿入される。
【0038】
図8に示すように、本体部91の縦壁91Bには、突起95が形成されている。突起95は、縦壁91Bから前方に向けて突出する。突起95は、溝71M(
図6参照)に挿入される。溝71Mに挿入された突起95によって、ストッパー90の主走査方向Yの移動がガイドされる。
【0039】
図8に示すように、本体部91の縦壁91Bには、挿入孔96が形成されている。挿入孔96は、縦壁91Bを副走査方向Xに貫通する。挿入孔96には、溝71Mに挿入された締結部材99(
図4参照)が挿入される。突起95と挿入孔96は、主走査方向Yに並ぶ。突起95は、挿入孔96の左方に配置されているが、右方に形成されていてもよい。ストッパー90は、挿入孔96に締結部材99が挿入されることによって、収容ケース71の前面71Bに固定される。ここで、溝71Mには、突起95と挿入孔96に挿入された締結部材99とが挿入され、かつ、突起95と挿入孔96とが主走査方向Yに並ぶため、ストッパー90の位置ずれを抑制することができる。例えば、溝71Mに突起95のみが挿入される場合、突起95を中心として本体部91が回転し得る。これに対し、溝71Mに突起95と締結部材99とが挿入される場合、突起95と締結部材99との2点により本体部91の回転が規制されるため、ストッパー90が溝71Mに対して位置決めされる。即ち、突起95と締結部材99とによって、ストッパー90の位置ずれを抑制することができる。
【0040】
図8に示すように、把持部97は、本体部91の前端部から上方に延びる一対の第1部分97Aと、第1部分97Aを連結する第2部分97Bとを有する。第2部分97Bは、主走査方向Yに延びる。第2部分97Bは、作業者によって把持される部位である。第2部分97Bは、例えば、ストッパー90を溝71Mに沿って主走査方向Yに移動させるときに作業者によって把持される。把持部97は、当接部92より前方に位置する。
図7に示すように、把持部97の上端97Tは、第1シャフト72および第2シャフト76よりも上方に位置する。把持部97の上端97Tは、当接部92の上端92Tより下方に位置する。
図5に示すように、ストッパー90が収容ケース71前面71Bに取り付けられた状態では、把持部97は、平面視で前面71Bの上端部71BTと重なる。
【0041】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、一対のストッパー90は、第2被印刷物5Bの主走査方向Yの左端部5BLおよび右端部5BRに当接して第2被印刷物5Bの主走査方向Yの移動を抑制する。これにより、第1支持ローラ74および第2支持ローラ78に回転可能に支持された第2被印刷物5Bが第1シャフト72の回転によって回転するときに、第2被印刷物5Bが主走査方向Yに移動することが抑制される。また、ストッパー90は、溝72Mに沿って主走査方向Yに移動可能に設けられているため、第2被印刷物5Bの長さLY(ここでは主走査方向Yの長さ)に応じて、ストッパー90の位置を変更することができる。これにより、主走査方向Yの長さが異なる複数種類の第2被印刷物5Bを支持することができると共に、主走査方向Yに第2被印刷物5Bが移動することを抑制することができる。
【0042】
本実施形態のプリンタ10では、ストッパー90は、溝71Mに挿入される突起95を有する。上記態様によれば、溝71Mに突起95を挿入することにより、ストッパー90を主走査方向Yに沿って容易に移動させることができる。
【0043】
本実施形態のプリンタ10では、ストッパー90は、溝71Mに挿入された締結部材99が挿入される挿入孔96を有し、かつ、挿入孔96に締結部材99が挿入されることによって収容ケース71の前面71Bに固定されるように構成されている。上記態様によれば、ストッパー90を収容ケース71の前面71Bに容易に固定することができる。また、突起95が挿入される溝71Mを締結部材99が挿入される溝としても利用することができるため、締結部材99専用の溝や貫通孔等を収容ケース71の前面71Bに別途形成しなくてもよい。
【0044】
本実施形態のプリンタ10では、突起95と挿入孔96とは主走査方向Yに並ぶ。上記態様によれば、例えば、挿入孔96に締結部材99を仮挿入した状態でストッパー90を主走査方向Yに移動させることで、突起95と締結部材99とによってストッパー90の位置ずれが抑制される。
【0045】
本実施形態のプリンタ10では、ストッパー90は、第1シャフト72および第2シャフト76よりも下方に位置する本体部91と、本体部91から上方に延び、第2被印刷物5Bに当接する当接部92と、を備えている。上記態様によれば、当接部92は、第2被印刷物5Bの下方から第2被印刷物5Bに当接するため、第2被印刷物5Bが主走査方向Yに移動することがよりよく抑制される。
【0046】
本実施形態のプリンタ10では、当接部92は、本体部91に対して回転可能に設けられている。上記態様によれば、第2被印刷物5Bが回転するときに、当接部92も合わせて回転するため、当接部92と第2被印刷物5Bとの間に発生する摩擦力をより低減することができる。
【0047】
本実施形態のプリンタ10では、当接部92は、上下方向Zに延びる軸93を中心に回転可能に構成されている。上記態様によれば、当接部92の回転方向と第2被印刷物5Bの回転方向とが少なくとも一部で一致するため、当接部92と第2被印刷物5Bとの間に発生する摩擦力を低減することができる。
【0048】
本実施形態のプリンタ10では、当接部92の上端92Tは、第1支持ローラ74および第2支持ローラ78に支持された第2被印刷物5Bの上下方向Zの中心5BCより下方に位置する。上記態様によれば、当接部92の回転方向と第2被印刷物5Bの回転方向とが一致するため、当接部92と第2被印刷物5Bとの間に発生する摩擦力をより低減することができる。
【0049】
本実施形態のプリンタ10では、当接部92は、樹脂材料から形成されている。上記態様によれば、当接部92と第2被印刷物5Bとの間に発生する摩擦力を低減することができる。即ち、第2被印刷物5Bを適切に回転させることができる。
【0050】
本実施形態のプリンタ10では、ストッパー90は、本体部91から上方かつ主走査方向Yに延び、かつ、当接部92よりも前方に位置し、かつ、主走査方向Yに移動するときに作業者によって把持される把持部97を有し、把持部97の上端97Tは、第1シャフト72よりも上方に位置する。上記態様によれば、ストッパー90を溝71Mに沿って主走査方向Yに移動させるときに、作業者は把持部97を把持することで容易に移動させることができる。さらに、把持部97の上端97Tが第1シャフト72よりも上方に位置するため、作業者は把持部97を容易に把持することができる。
【0051】
本実施形態のプリンタ10では、ストッパー90は、収容ケース71の前面71Bに着脱可能に設けられている。上記態様によれば、ストッパー90が不要な場合には収容ケース71から取り外すことができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0053】
上述した実施形態では、収容ケース71の前面71Bにはガイド部として溝71Mが形成されていたが、これに限定されない。ガイド部は、前面71Bから後方に突出しかつ主走査方向Yに延びる突状部や前面71Bの上端に設けられかつ主走査方向Yに延びる突状部であってもよい。この場合、ストッパー90には、突状部に係合する溝が主走査方向Yに沿って形成される。
【0054】
上述した実施形態では、当接部92は、上下方向Zに延びる軸93を中心に回転可能に構成されているが、これに限定されない。例えば、当接部92は、副走査方向Xに延びる軸93を中心に回転可能に構成されていてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、第1シャフト72および第2シャフト76は、回転可能に収容ケース71に支持されていたが、これに限定されない。例えば、第2シャフト76は、回転不能に収容ケース71に支持されていてもよい。このとき、駆動機構80は、第1シャフト72を回転させることによって、第1シャフト72および第2シャフト76に支持された第2被印刷物5Bを回転させるように構成されている。また、第2支持ローラ78は、第2シャフト76に回転可能に設けられていてもよい。
【0056】
上述した実施形態では、第1支持ローラ74および第2支持ローラ78は、主走査方向Yに関して同じ位置に配置されているが、これに限定されない。第1支持ローラ74および第2支持ローラ78は、主走査方向Yに関して偏倚して配置(即ち互いにずれて配置)されていてもよい。
【0057】
上述した実施形態では、第1支持ローラ74の直径と第2支持ローラ78との直径は、異なっていたが、同じであってもよい。これにより、第1シャフト72および第2シャフト76をより容易に同期させて回転させることができる。
【0058】
上述した実施形態では、支持部材70は、第1シャフト72および第2シャフト76を備えていたが、第1支持ローラ74や第2支持ローラ78と同様の支持ローラを着脱可能に備えた他のシャフトを1つ以上さらに備えていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
5A 第1被印刷物
5B 第2被印刷物(被印刷物)
10 プリンタ
34 インクヘッド
48 テーブル
70 支持部材
71収容ケース
71B 前面
71M 溝
72 第1シャフト
74 第1支持ローラ
76 第2シャフト
78 第2支持ローラ
80 駆動機構
90 ストッパー
91 本体部
92 当接部
95 突起
96 挿入孔
97 把持部
99 締結部材