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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055202
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】固定ピース
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20240411BHJP
   B23B 31/36 20060101ALI20240411BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B24B45/00 B
B23B31/36 Z
B23Q11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161929
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】502267800
【氏名又は名称】株式会社かいわ
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山添 重幸
【テーマコード(参考)】
3C032
3C034
【Fターム(参考)】
3C032GG15
3C034AA20
3C034BB01
3C034BB52
3C034BB62
(57)【要約】
【課題】壁部に疵がつくことを防止でき、対向する一対の壁部を有する溝に固定し易い固定ピースを提供すること。
【解決手段】対向する一対の壁部を有する溝内に固定される固定ピース8は、一対の壁部の間に、一対の壁部と直交する面内に固定ねじを挿入する開口部が形成され、固定ねじの螺合方向の先端が縮径する有底の雌ねじ穴85と、雌ねじ穴85のねじ軸を通り、一方の壁部側と他方の壁部側に分割される第1ピース部材86及び第2ピース部材87と、第1ピース部材86及び第2ピース部材87を、それぞれの壁部に接近、離間可能な隙間を有して連結する連結部と、を備え、連結部は、連結解除を規制する解除規制構造を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の壁部を有する溝内に固定される固定ピースであって、
前記一対の壁部の間に、前記一対の壁部と直交する面内に固定ねじを挿入する開口部が形成され、前記固定ねじの螺合方向の先端が縮径する有底の雌ねじ穴と、
前記雌ねじ穴のねじ軸を通り、一方の壁部側と他方の壁部側に分割される第1ピース部材及び第2ピース部材と、
前記第1ピース部材及び前記第2ピース部材を、それぞれの壁部に接近、離間可能な隙間を有して連結する連結部と、を備え、
前記連結部は、連結解除を規制する解除規制構造を有する、
固定ピース。
【請求項2】
前記解除規制構造は、前記第1ピース部材が前記壁部から前記雌ねじ穴に向かって次第に幅広となる凸部を有し、前記第2ピース部材が前記壁部から前記雌ねじ穴に向かって次第に幅狭となる凹部を有し、前記第2ピース部材が前記第1ピース部材を挟持する、
請求項1に記載の固定ピース。
【請求項3】
前記解除規制構造は、前記第1ピース部材及び前記第2ピース部材を前記一対の壁部の対向方向から挟持する補助ピース部材を有する、
請求項1に記載の固定ピース。
【請求項4】
前記第1ピース部材及び前記第2ピース部材の少なくともいずれかを分割する複数のピース片を備え、
それぞれの前記ピース片の間を連結する連結部は、前記解除規制構造を有する、
請求項1に記載の固定ピース。
【請求項5】
回転体に着脱自在に装着されるバランサに固定され、前記バランサの回転軸回りに形成された溝に挿入され、前記回転体の回転バランスを調整するバランスピースである、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の固定ピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する一対の壁部を有する溝内に固定される固定ピースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対向する一対の壁部を有する溝内に固定ピースを固定することはよく行われる。
例えば、特許文献1には、回転体に着脱自在に装着されるバランサに、回転方向に沿って溝を形成し、溝内に固定ピースとなるバランスピースを取り付けて、回転バランスを調整する技術が開示されている。バランスピースは、溝内で固定される必要があるが、特許文献1に開示された従来技術では、バランスピースの回転軸方向に沿った雌ねじ孔を形成し、雌ねじ孔にねじ軸に直交する方向に孔を開け、その孔に一部を雌ねじ孔に露出させた状態で鋼球を埋め込んでおく。雌ねじ孔にイモネジ等の固定ねじを螺合させると、鋼球が溝の壁部に押し出され、その際の押付力によりバランスピースが固定される。
【0003】
また、特許文献1の実施形態として開示された技術では、バランスピースに回転軸方向に沿った貫通雌ねじ孔を形成しておき、バランスピースを押板で回転軸方向から押さえつける。貫通ねじ孔にイモネジを螺合させると、イモネジの先端がバランスピースの底部から露出して、イモネジの先端が溝の底部を押さえつけ、その際の押付力によりバランスピースが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-175164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術及び実施形態では、バランスピースを鋼球の先端で溝の壁部に押し付けたり、イモネジの先端で溝の底に押し付けたりしているため、バランサの溝部に疵がつく可能性があるという課題がある。また、バランスピースの一方の壁部側と他方の壁部側の複数のピース部材に分割し、イモネジをバランスピースに形成された雌ねじ孔に螺合することにより、それぞれのピース部材を壁部に押し付けることも考えられるが、イモネジ螺合時にピース部材を組み合わせる必要があり、固定作業が難しいという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、壁部に疵がつくことを防止でき、対向する一対の壁部を有する溝に固定し易い固定ピースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の固定ピースは、対向する一対の壁部を有する溝内に固定される固定ピースであって、前記一対の壁部の間に、前記一対の壁部と直交する面内に固定ねじを挿入する開口部が形成され、前記固定ねじの螺合方向の先端が縮径する有底の雌ねじ穴と、前記雌ねじ穴のねじ軸を通り、一方の壁部側と他方の壁部側に分割される第1ピース部材及び第2ピース部材と、前記第1ピース部材及び前記第2ピース部材を、それぞれの壁部に接近、離間可能な隙間を有して連結する連結部と、を備え、前記連結部は、連結解除を規制する解除規制構造を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、固定ピースが、先端が縮径する有底の雌ねじ穴を備えることにより、固定ねじを螺合すると、第1ピース部材及び第2ピース部材が互いに離間する方向に押し出され、それぞれの壁部に押付力を作用させることができる。従って、第1ピース部材及び第2ピース部材全体で壁部への押付力を作用させることができるため、壁部に疵がつくことを防止できる。また、連結部が解除規制構造を有することにより、第1ピース部材及び第2ピース部材の連結時に連結が解除されることを防止できるため、固定ピースを溝内に固定し易くなり、固定作業を簡単化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る工作機械の構造を示す断面図である。
図2】第1実施形態におけるナット(バランサ)の構造を示す斜視図である。
図3】第1実施形態における固定ピース(バランスピース)の構造を示す斜視図である。
図4】第1実施形態における固定ピース(バランスピース)の構造を示す分解斜視図である。
図5】第1実施形態における第1ピース部材及び第2ピース部材の螺合状態を示す断面図であり、図5(A)は固定ねじが浅く螺合している状態であり、図5(B)は固定ねじの螺合が進み、壁部に当接した状態である。
図6】第1実施形態における固定ねじの変形となる螺合状態を示す断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る固定ピースの構造を示す上面図(図7(A))及び図7(A)のB-B線における断面図である。
図8】実施形態の変形となる固定ピースの構造を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の第1実施形態に係る工作機械1が示されている。工作機械1は、被加工物の表面を研削する研削盤であり、工作機械1の回転軸2に着脱自在の砥石3を装着して研削作業を行う。装着に際しては、砥石3を回転軸2とともに回転する固定フランジ4と、バランサとなるナット5とで挟持し、締付ねじ6を螺合することにより、回転体となるフランジ付き砥石を組み立てる。組み立てられたフランジ付き砥石は、固定フランジ4を回転軸2にねじ7を螺合させて回転軸2に固定される。
【0011】
図2には、バランサとなるナット5が示されている。ナット5は円形状の金属板から構成され、外周縁に沿って円形状の溝51が形成されている。溝51は、円形状の金属板から起立する一対の壁部52、53を有し、溝51内には、固定ピースとなるバランスピース8が固定される。バランスピース8は、溝51内に複数個(本実施形態では3個)固定される。溝51内にバランスピース8を固定するのは、砥石3の製造時、砥石3の砥粒が偏析し、砥石3の回転中心と、砥石3の重心位置にずれが生じるため、回転中心と重心位置を一致させ、工作機械1の回転軸2を回転させたときに、砥石3に振動が生じることを防止するためである。
【0012】
砥石3の回転中心と重心位置のバランス調整は、例えば、平行棒式バランス調整台上でフランジ付き砥石を揺動させ、揺動が停止した際に鉛直下方に向く砥石3の最も重い位置を確認する。次に、砥石3の鉛直上方位置にマーキングを行い、バランスピース8を仮固定する。最後に、バランスピース8の位置を調整しながら平行棒式バランス調整台上でフランジ付き砥石の揺動を繰り返し、フランジ付き砥石が停止することなく、転動するようになるまでバランスピース8の位置を調整し、回転バランス調整を終了する。
【0013】
図3及び図4には、本実施形態に係るバランスピース8の構造が示されている。図3はバランスピース8を組み合わせた状態を示す斜視図であり、図4はバランスピース8の分解斜視図である。バランスピース8は、図3に示すように、ナット5の溝51の壁部52、53に沿った円弧状の外周面81、82、外周面81、82間を結ぶ側面83、及び壁部52、53に直交する方向に位置する上面84を備える。上面84の略中央には、雌ねじ穴85が形成されている。雌ねじ穴85は、後述する固定ねじ9が挿入される開口部を有し、固定ねじ9の螺合方向の先端が縮径した有底の穴である。
【0014】
バランスピース8は、雌ねじ穴85のねじ軸を通り、ナット5の壁部52、53側に分割された第1ピース部材86及び第2ピース部材87を備える。第1ピース部材86は、ナット5の半径方向内側の一方の壁部52(図2参照)側に配置され、第2ピース部材87は、ナット5の半径方向外側の他方の壁部53(図2参照)側に配置される。第1ピース部材86及び第2ピース部材87の分割面が連結部を構成する。なお、図3では図示を略したが、雌ねじ穴85を通る第1ピース部材86の分割面と、第2ピース部材87の分割面との間には、第1ピース部材86を壁部52に接近、離間可能とし、第2ピース部材87を壁部53に接近、離間可能とする隙間が形成されている。
【0015】
第1ピース部材86は、図4に示すように、壁部52と対向する外周面81から雌ねじ穴85を分割する分割面に向かって次第に幅広となる上面視で逆台形状の凸部を有する。第2ピース部材87は、両端に脚部87Aが設けられ、両端の脚部87Aの間に凹部が形成される。凹部は、雌ねじ穴85の分割面から脚部87Aの先端に向かって次第に幅狭となっている。第1ピース部材86及び第2ピース部材87はそれぞれの凸部及び凹部で連結される。第2ピース部材87の両端の脚部87Aは、第1ピース部材86を両側面から挟持することにより、連結部における連結解除を規制する解除規制構造として機能する。
【0016】
次に、本実施形態の作用を図5に基づいて説明する。図5(A)に示すように、雌ねじ穴85の開口部に固定ねじ9を挿入し、固定ねじ9を回転させ、雌ねじ穴85に固定ねじ9を螺合させる。螺合が進むと、図5(B)に示すように、固定ねじ9の先端部分は、第1ピース部材86及び第2ピース部材87の縮径部分を押し広げる。第1ピース部材86の外周面及び第2ピース部材87の外周面は、壁部52、53に当接し、第1ピース部材86及び第2ピース部材87が壁部52、53内に固定される。一方、固定ねじ9の基端部分では、第1ピース部材86及び第2ピース部材87を接近させる方向に力が作用し、固定ねじ9を締め付け、固定ねじ9の螺合が緩むことを防止する楔として機能する。
【0017】
なお、雌ねじ穴85と固定ねじ9の螺合形態はこれに限られない。例えば、図6(A)に示すように、固定ねじ9Aの先端に鋼球9Bを予め挿入しておき、固定ねじ9Aの螺合深さが進むと、鋼球9Bによって第1ピース部材86及び第2ピース部材87を互いに離間する方向に押し出す形態としてもよい。また、図6(B)に示すように、固定ねじ9Cとして先端が尖った形状のものとし、先端形状により第1ピース部材86及び第2ピース部材87を互いに離間する方向に押し出す形態としてもよい。
【0018】
本実施形態によれば、バランスピース8が、先端が縮径する有底の雌ねじ穴85を備えることにより、固定ねじ9を螺合すると、第1ピース部材86及び第2ピース部材87が互いに離間する方向に押し出され、それぞれの壁部52、53に押付力を作用させることができる。従って、第1ピース部材86及び第2ピース部材87全体で壁部52、53への押付力を作用させることができるため、壁部52、53に疵がつくことを防止できる。また、連結部が解除規制構造を有することにより、第1ピース部材86及び第2ピース部材87の連結時に連結が解除することを防止できるため、バランスピース8を溝51内に固定し易くなり、固定作業を簡単化できる。
【0019】
また、第1ピース部材86が外周面81から雌ねじ穴85を分割する端面に向かって次第に幅広となる逆台形状の凸部を有し、第2ピース部材87が両端の脚部87Aの間に雌ねじ穴85の分割面から脚部87Aの先端に向かって次第に幅狭となる凹部を有している。従って、簡単な形状で解除規制構造を実現できるため、バランスピース8の製造容易化を図ることができる。
【0020】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明では、すでに説明した部分と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。図7には、第2実施形態に係るバランスピース20が示されている。図7(A)は、バランスピース20の上面図であり、図7(B)は、図7(A)のB-B線における断面図である。
【0021】
前述した第1実施形態では、第1ピース部材86及び第2ピース部材87の形状の組み合わせによって解除規制構造を実現していた。これに対して、第2実施形態に係るバランスピース20は、図7(A)、(B)に示すように、第1ピース部材22及び第2ピース部材23を補助ピース部材25、26によって、壁部52、53の対向方向から挟持することにより、第1ピース部材22及び第2ピース部材23の連結部の解除規制を行っている点が相違する。
【0022】
バランスピース20には、略中央の分割面に沿った円弧上に雌ねじ穴21が2か所形成されている。バランスピース20を分割した第1ピース部材22は、分割面の内側となる溝の壁部52側に配置される。第2ピース部材23は、分割面の外側となる溝の壁部53側に配置される。図7(B)に示すように、内側の壁部52には凹部52Aが2か所形成され、外側の壁部53には凹部53Aが2か所形成されている。凹部52Aには、第1ピース部材22の内側端面に形成された突条部22A(図7(A)では図示略)が係合する。同様に凹部53Aには、第2ピース部材23の外側端面に形成された突条部23A(図7(A)では図示略)が係合する。
【0023】
第1ピース部材22及び第2ピース部材23の両端部は、組み合わせた状態で分割面の円弧方向の外側に向かって次第に拡幅する逆テーパー形状を有している。第1ピース部材22及び第2ピース部材23の両端部には、補助ピース部材25、26が設けられている。補助ピース部材25、26は、溝の壁部52、53に直交する方向から、第1ピース部材22及び第2ピース部材23の両端部の逆テーパー部分を挟持する。補助ピース部材25、26は、第1ピース部材22及び第2ピース部材23の分割面に沿って、内側補助ピース部材25と外側補助ピース部材26に分割されている。なお、図示を略したが、内側補助ピース部材25の壁部52と当接する内側端面、及び外側補助ピース部材26の壁部53と当接する外側端面にも突条部が形成されており、それぞれの突条部が凹部52A、53Aと係合する。
【0024】
バランスピース20の2か所に形成された雌ねじ穴21に固定ねじ9を挿入し、雌ねじ穴21に固定ねじ9を螺合させると、固定ねじ9の先端部分が雌ねじ穴21の縮径部分に当接し、第1ピース部材22及び内側補助ピース部材25を壁部52に押し付ける方向に移動させる。同時に第2ピース部材23及び外側補助ピース部材26も壁部53に押し付ける方向に移動させる。本実施形態によっても、第1実施形態で述べた第1の作用及び効果と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0025】
また、第1ピース部材22の突条部22Aと壁部52の凹部52Aとを係合し、第2ピース部材23の突条部23Aと壁部53の凹部53Aとを係合することにより、固定ねじ9を螺合させていなくても、第1ピース部材22及び第2ピース部材23の連結が維持される。従って、第1ピース部材22、第2ピース部材23、内側補助ピース部材25、及び外側補助ピース部材26を溝内にセットした段階で連結を維持することができるため、これらの構造も解除規制構造として機能させることができ、固定ねじ9による固定作業を一層簡単に行うことができる。
【0026】
なお、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形も含み得る。前述した第2実施形態では、バランスピース20に雌ねじ穴21が2か所形成され、補助ピース部材25、26も分割されていたが、本発明はこれに限られない。
【0027】
例えば、図8(A)に示すバランスピース100のように、第1ピース部材101及び第2ピース部材102を雌ねじ穴100Aの軸に沿って円弧状に分割し、第1ピース部材101及び第2ピース部材102の両端を、一体の補助ピース部材103で挟持してもよい。この場合、補助ピース部材103の挟持面103Aと、第1ピース部材101及び第2ピース部材102との間に隙間を形成しておき、第1ピース部材101及び第2ピース部材102を互いに離間可能とするのが好ましい。
【0028】
また、図8(B)に示すバランスピース110のように、中央部に補助ピース部材113を配置し、その両端に第1ピース部材111A、111B及び第2ピース部材112A、112Bを係合させるような構造としてもよい。さらに、図8(C)に示すバランスピース130のように、図8(A)の変形例において、補助ピース部材103と第1ピース部材101及び第2ピース部材102との分割面に雌ねじ穴110Aを形成してもよい。
【0029】
また、図8(D)に示すバランスピース140のように、図8(C)の変形例において、一体化された補助ピース部材103を分割面に沿って分割し、内側補助ピース部材141A、141Bと、外側補助ピース部材142A、142Bとし、第1ピース部材101及び第2ピース部材102を挟持する構成としてもよい。
【0030】
さらに、図8(E)に示すバランスピース150のように、第1ピース部材に相当する部分をピース片151A、151Bに分割し、第2ピース部材に相当する部分をピース片152A、152Bに分割してもよい。それぞれのピース片151A、151B、152A、152Bには、直線部153A及び膨出部153Bからなる連結突起と、これに応じた形状の連結凹部が形成され、それぞれの連結突起及び連結凹部の間には、図示を略したが、隙間が形成される。雌ねじ穴100Aに固定ねじを螺合させると、各ピース片151A、151B、152A、152Bは、全体に離間する方向に移動し、溝の壁部に押付力を作用させることができる。
【0031】
また、前述した第1実施形態では、第2ピース部材87の両端の脚部87Aが次第に幅狭になって、第1ピース部材86を挟持していたが、本発明はこれに限られない。例えば、脚部の先端に内側に突出する爪部を設け、第1ピース部材を挟持するようにしてもよい。これらの変形例によっても第1実施形態で述べた第1の作用及び効果と同様の作用及び効果を享受できる。
【0032】
前述した実施形態及び変形例では、固定ピースはフランジ付き砥石に用いるバランス調整用のバランスピースとして用いられていたが、本発明はこれに限られない。例えば、鉄骨造の建築物の横架材として用いられるH型鋼において、上フランジ及び下フランジによって形成される溝内に本発明に係る固定ピースを固定し、鉛直方向に作用する荷重を支持する補強材や、床版のがたつき防止剤としてもよい。この場合、H型鋼の溝が直線状となるので、固定ピースの形状は、直方体形状となる。これらによっても、第1実施形態で述べた基本的な作用及び効果と同様の作用及び効果を享受できる。その他、本発明の実施の際の部分及び構造等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の部分等としてもよい。
【符号の説明】
【0033】
2 回転軸
5 ナット(バランサ)
8、20、100、110、130、140、150 バランスピース(固定ピース)
9、9A、9C 固定ねじ
21、85、100A、110A 雌ねじ穴
22、86、101、111A、111B 第1ピース部材
23、87、102、112A、112B 第2ピース部材
25、26、103、113、141A、141B、142A、142B 補助ピース部材
51 溝
52、53 壁部
151A、151B、152A、152B ピース片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8