(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055208
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】運動判定装置、運動判定方法、運動判定プログラム、及び運動判定システム
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20240411BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240411BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A63B71/06 M
A61B5/11
A61B5/107 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161937
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 裕梨
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB31
4C038VB40
(57)【要約】
【課題】理想的な運動が行われているか否かの判定を可能とすることを目的とする。
【解決手段】運動判定装置は、利用者のスクワット運動を判定する運動判定装置である。運動判定装置は、利用者の腰付近に配置されたセンサの出力に基づいて、利用者の腰付近の動きを検出する姿勢検出部と、センサによる検出結果に基づいて、利用者がスクワット運動を行ったときの利用者の運動姿勢を判定する運動状態判定部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者のスクワット運動を判定する運動判定装置であって、
前記利用者の腰付近に配置されたセンサの出力に基づいて、前記利用者の腰付近の動きを検出する姿勢検出部と、
前記センサによる検出結果に基づいて、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときの前記利用者の運動姿勢を判定する運動状態判定部と、
を備える運動判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運動判定装置であって、
前記センサは、前記利用者の腰付近の前後方向の動きを検出する、
運動判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の運動判定装置であって、
前記運動状態判定部は、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときに前記姿勢検出部が検出する前記利用者の腰付近の前後方向の動きに基づく後方移動量と、予め設定されている理想的な姿勢で前記スクワット運動を行ったときの腰付近の基準後方移動量との比較に基づいて前記運動姿勢が理想的であるか否かを判定する、
運動判定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の運動判定装置であって、
前記利用者に配置された他のセンサの出力に基づいて、前記他のセンサが配置された位置における前記利用者の上下方向の動きを検出する高さ判定部をさらに備え、
前記運動状態判定部は、前記利用者の腰付近の前後方向の動きと、前記利用者の上下方向の動きとに基づいて、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときの前記利用者の前記運動姿勢を判定する、
運動判定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の運動判定装置であって、
前記高さ判定部は、前記利用者に配置された気圧センサの出力に基づいて前記利用者の上下方向の動きを検出する、
運動判定装置。
【請求項6】
請求項4に記載の運動判定装置であって、
前記運動状態判定部は、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときに前記高さ判定部が検出する前記利用者の上下方向の動きに基づく下方移動量と、予め設定されている理想的な姿勢で前記スクワット運動を行ったときの前記利用者の基準下方移動量との比較に基づいて前記運動姿勢が理想的であると判定する、
運動判定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の運動判定装置であって、
前記運動状態判定部は、前記スクワット運動を行ったときに、前記姿勢検出部が検出する後方移動量が前記基準後方移動量以上であり、かつ前記高さ判定部が検出する下方移動量が前記基準下方移動量以上である場合に、前記運動姿勢が理想的であると判定する、
運動判定装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の運動判定装置であって、
前記運動状態判定部は、前記運動姿勢が理想的でないと判定した場合に、その旨を報知する、
運動判定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の運動判定装置であって、
前記運動状態判定部は、前記スクワット運動を行ったときに、前記姿勢検出部が検出する前記利用者の腰付近の前方移動量が、予め設定されている誤った姿勢で前記スクワット運動を行ったときの臀部の基準前方移動量以上である場合に、膝が出ていることを報知する、
運動判定装置。
【請求項10】
請求項8に記載の運動判定装置であって、
前記運動状態判定部は、前記スクワット運動を行ったときに、前記姿勢検出部が検出する前記利用者の腰付近の前方移動量が、予め設定されている誤った姿勢で前記スクワット運動を行ったときの臀部の基準前方移動量未満である場合に、臀部を後方に引くことで理想的な姿勢になることを報知する、
運動判定装置。
【請求項11】
利用者のスクワット運動を判定する運動判定方法であって、
前記利用者の腰付近に配置されたセンサの出力に基づいて、前記利用者の腰付近の動きを検出する姿勢検出ステップと、
前記センサによる検出結果に基づいて、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときの前記利用者の運動姿勢を判定する運動状態判定ステップと、
を備える運動判定方法。
【請求項12】
利用者のスクワット運動を判定するコンピュータを、
前記利用者の腰付近に配置されたセンサの出力に基づいて、前記利用者の腰付近の動きを検出する姿勢検出手段と、
前記センサによる検出結果に基づいて、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときの前記利用者の運動姿勢を判定する運動状態判定手段、
として機能させる運動判定プログラム。
【請求項13】
利用者のスクワット運動を判定する運動判定システムであって、
前記利用者の腰付近に配置されたセンサの出力に基づいて、前記利用者の腰付近の動きを検出する姿勢検出部と、
前記センサによる検出結果に基づいて、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときの前記利用者の運動姿勢を判定する運動状態判定部と、
前記運動状態判定部により判定された判定結果に基づいて、当該判定結果を報知する報知部と、
を備える運動判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動判定装置、運動判定方法、運動判定プログラム、及び運動判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運動判定システムが開示されている。
【0003】
この運動判定システムは、腕の動作等を測定して、スクワット動作が正しく行われているか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の運動判定システムにあっては、腕の動作等に基づいてスクワット動作を判定している。このため、この運動判定システムでは、骨盤の中心点の前後の動きを知ることができず、「スクワット動作は正しい」という判定結果が得られても、膝が必要以上に前方へ出た運動姿勢の可能性がある。
【0006】
骨盤の中心点が前方に移動し膝が必要以上に前方へ出た運動姿勢では、体の後ろ側の筋肉よりも前側の筋肉への負荷が大きくなり、前後の筋肉をバランスよく鍛えることができず、理想的なスクワットとは言い難い。
【0007】
そこで、スクワット等の運動を行う際に、前後の筋肉をバランスよく鍛える為の理想的な運動が行われているか否かを、どのように判定するかが技術的課題とされていた。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、理想的な運動が行われているか否かの判定を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様の運動判定装置は、利用者のスクワット運動を判定する運動判定装置であって、前記利用者の腰付近に配置されたセンサの出力に基づいて、前記利用者の腰付近の動きを検出する姿勢検出部と、前記センサによる検出結果に基づいて、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときの前記利用者の運動姿勢を判定する運動状態判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
この態様によれば、利用者の腰付近に配置されたセンサの出力に基づいて、スクワット運動を行った際の利用者の骨盤の中心点の動きを知ることができる。
【0011】
そして、スクワット運動を行ったときの利用者の骨盤の中心点の移動方向を、センサからの信号によって取得できるので、骨盤の中心点の移動方向に基づいて、利用者の膝が必要以上に前方へ出ているか否かを推測することできる。
【0012】
ここで、骨盤の中心点が前方に移動し膝が必要以上に前方へ出ている運動姿勢では、体の後ろ側の筋肉よりも前側の筋肉への負荷が大きくなり、前後の筋肉をバランスよく鍛えることができず、理想的な運動姿勢とはいえない。一方、骨盤の中心点が後方に移動し膝が必要以上に前方へ出ない運動姿勢は、体の前後の筋肉をバランスよく鍛えることができるので、理想的な運動姿勢ということができる。
【0013】
このため、センサの出力から骨盤の中心点の移動方向を取得し、利用者がスクワット運動を行ったときの利用者の運動姿勢を推測することで、理想的な運動が行われているか否かを判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る運動判定装置を用いた運動測定システムを示す図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態に係る運動測定システムの使用例を示す図である。
【
図3】
図3は、運動判定装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、端末装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、理想的な運動姿勢を示す説明図である。
【
図6】
図6は、誤った運動姿勢を示す説明図である。
【
図8】
図8は、運動判定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、姿勢検出センサにより検出される結果を示す信号の説明図である。
【
図11】
図11は、動作検出センサにより検出される結果を示す信号の説明図である。
【
図12】
図12は、理想の姿勢と判定した場合の表示例を示す図である。
【
図13】
図13は、誤った姿勢と判定した場合の表示例を示す図である。
【
図14】
図14は、利用者へのアドバイスの表示例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の第二実施形態に係る運動判定装置を示す図である。
【
図16】
図16は、第二実施形態に係る動作検出センサにより検出される結果を示す信号の説明図である。
【
図17】
図17は、本発明の第三実施形態に係る運動判定装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の各実施形態について説明する。
【0016】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る運動判定装置10を用いた運動判定システム12を示す図である。
図2は、第一実施形態に係る運動判定システム12の使用例を示す図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、運動判定システム12は、運動判定装置10と、運動判定装置10と通信可能に接続される端末装置14とを備える。端末装置14は、運動判定装置10により判定された判定結果に基づいて、当該判定結果を報知する。
【0018】
(運動判定装置)
運動判定装置10は、利用者16のスクワット運動18(
図5参照)を判定する装置である。運動判定装置10は、利用者16の腰付近20に取り付けて使用する。腰付近20とは、利用者16の腹部38及び臀部を含み、脇下は含まない。
【0019】
運動判定装置10の装置本体22は、横長の矩形板状に形成されている。装置本体22は、厚み方向の一方側が表面24を構成し、厚み方向の他方側が裏面を構成する。
【0020】
装置本体22の長手方向の一端30からは、ベルト32が延びている。ベルト32の先端には、バックル34が設けられている。バックル34は、装置本体22の長手方向の他端36に設けられた係合穴(図示省略)に係脱可能である。
【0021】
これにより、運動判定装置10を腰付近20の一例である腹部38に取付ける際には、装置本体22の裏面を腹部38に密着させる。そして、ベルト32を腰に巻き、ベルト32の先端のバックル34を係合穴に係合する。これにより、運動判定装置10は、裏面が腹部38側に配置された状態で利用者16の腹部38に取付けられる。
【0022】
このとき、運動判定装置10は、表面24が利用者16の前方を向く。また、運動判定装置10は、長手方向が利用者16の左右方向に延在するとともに、短手方向が直立した利用者16の上下方向(垂直方向)に延在する。
【0023】
装置本体22の表面24には、液晶モニタ40とスタートスイッチ42とが設けられている(
図1参照)。スタートスイッチ42は、スクワット運動18の判定を開始する際に使用する。また、液晶モニタ40は、スクワット運動18の開始の指示及び判定結果等を表示する。
【0024】
運動判定装置10の装置本体22には、少なくとも利用者16の前後方向の動きを検出するセンサである姿勢検出センサ50と、少なくとも利用者16の前後方向以外の方向の動きを検出する他のセンサである動作検出センサ52とが内蔵されている。
【0025】
(ハードウエア構成)
[運動判定装置]
図3は、運動判定装置10のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図4は、端末装置14のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
運動判定装置10は、運動判定装置10が取付けられた利用者16のスクワット運動18を判定するコンピュータで構成される。
【0027】
図3に示すように、運動判定装置10は、プロセッサ100を中心に構成されており、プロセッサ100には、姿勢検出センサ50及び動作検出センサ52が接続されている。また、プロセッサ100には、記憶部110、入力部112、表示部114、報知部116、時計部118、及び通信部120が接続されている。
【0028】
プロセッサ100としては、汎用プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はDSP(digital signal processor)などが挙げられる。また、プロセッサ100としては、専用プロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。
【0029】
記憶部110は、記憶手段を構成する。この記憶部110は、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体を構成し、記憶部110は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置を含む。記憶装置は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等で構成することができる。
【0030】
記憶部110を構成する例えばROMには、運動判定装置10の処理手順を示す運動判定プログラム、及び運動判定プログラムで用いる閾値等のデータが記憶されている。記憶部110に記憶される閾値は、運動姿勢を判定する為の第一閾値140及び第三閾値144と、運動動作を判定する為の第二閾値142とが挙げられる(
図10及び
図11参照)。
【0031】
プロセッサ100は、記憶部110に記憶された運動判定プログラムに従って各処理を実行する。これにより、運動判定方法が実施される。記憶部110は、本実施形態の情報処理装置の機能を実現する運動判定プログラムを格納する記憶媒体として機能する。
【0032】
入力部112は、プロセッサ100への入力機器を構成し、入力機器としては、前述したスタートスイッチ42が挙げられる。
【0033】
表示部114は、表示装置で構成され、表示装置としては、例えば前述した液晶モニタ40が挙げられる。
【0034】
報知部116は、スピーカで構成され、例えばスクワット運動18の開始指示及び判定結果を音声で出力する。
【0035】
時計部118は、現在時刻をプロセッサ100に出力し、プロセッサ100は、例えば判定結果を判定日時と共に記憶部110に記憶することができる。
【0036】
通信部120は、データを無線又は有線で送受信する為のインターフェースを構成する。通信部120は、プロセッサ100と外部装置との間でデータの送受信を可能とする。プロセッサ100は、通信部120を介して、外部装置から運動判定プログラム等を受信して記憶部110に記憶することができる。また、プロセッサ100は、通信部120を介して、判定結果等を外部装置である前述の端末装置14に送信することができる。
【0037】
(姿勢検出センサ)
図2に示すように、姿勢検出センサ50は、運動判定装置10が利用者16の腰付近20である腹部38に取付けられることによって、利用者16の腹部38に取付けられて腹部38に配置される。
【0038】
ここで、配置されるとは、センサである姿勢検出センサ50が利用者16の体のどこかに固定されている状態を示す。本実施形態において、運動判定装置10が利用者16の腰付近20である腹部38に取付けられることによって、姿勢検出センサ50は腹部38に固定される。
【0039】
姿勢検出センサ50は、少なくとも運動判定装置10の装置本体22の厚み方向の動きを検出する。これにより、姿勢検出センサ50は、利用者16に取付けられた状態で、取付けられた位置における利用者16の前後方向の動きを検出可能である。
【0040】
姿勢検出センサ50は、X方向130と、Y方向132と、Z方向134との加速度を検出する三軸の加速度センサで構成される。
【0041】
ここで、直立した利用者16の左右方向をX方向130、上下方向(垂直方向)をY方向132、前後方向をZ方向134とする。利用者16が正面を向いた状態において、正面と背面との方向が前後方向であるZ方向134を示す。
【0042】
この場合、装置本体22の裏面を腹部38側に配置して利用者16に取付けた状態において、姿勢検出センサ50は、利用者16の左右方向の加速度をX方向加速度として検出する。また、姿勢検出センサ50は、利用者16の上下方向の加速度をY方向加速度として検出する。さらに、姿勢検出センサ50は、利用者16の前後方向の加速度をZ方向加速度として検出する。
【0043】
この姿勢検出センサ50により検出される結果を示す信号を用いることによって利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢を把握することが可能となる。
【0044】
具体的に説明すると、姿勢検出センサ50のZ方向加速度と時間とに基づいて、利用者16の腹部38の前後方向の移動量を取得することができる。そして、前後方向の移動量から腹部38が後方へ移動したことを知ることで、利用者16がお尻を後方へ引いたことがわかる。また、腹部38が前方へ移動したことを知ることで、利用者16がお尻を前方に移動したことがわかる。
【0045】
理想的な姿勢でスクワット運動18を行うと、お尻が後方に突き出され、骨盤の中心点が後方へ移動する。このため、膝は、必要以上に前方へ出ることはない。このような理想的な姿勢でスクワット運動18を行うことにより、利用者16は、体の大腿部等の前後の筋肉をバランスよく鍛えることができる。
【0046】
一方、誤った姿勢でスクワット運動18を行うと、お尻が前方へ移動して、骨盤の中心点が前方へ移動する。このため、膝は、必要以上に前方へ出てしまう。このような誤った姿勢でスクワット運動18を行うと、大腿部等の後ろ側の筋肉よりも前側の筋肉への負荷が大きくなり、利用者16は、前後の筋肉をバランスよく鍛えることができない。
【0047】
このため、運動判定装置10は、姿勢検出センサ50により検出された結果を示す信号に基づいて、骨盤の中心点の移動方向及び移動量を取得することで、利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢が理想的であるか否かを判定することができる。
【0048】
運動姿勢が理想的であるか否かの判定は、スクワット運動18を行ったときに姿勢検出センサ50により検出される後方移動量と、理想的な姿勢でスクワット運動18を行ったときに姿勢検出センサ50による検出が予測される後方移動量の基準値(基準後方移動量)との比較に基づいて行われる。また、運動姿勢の判定は、姿勢検出センサ50による検出結果と、記憶部110に記憶された第一閾値140及び第三閾値144(
図10参照)との比較によって行われる。
【0049】
第一閾値140は、運動姿勢が理想的であるかを判定する為の閾値である。第三閾値144は、運動姿勢が誤った姿勢であるかを判定する為の閾値である。第一閾値140及び第三閾値144について、具体的に説明する。
【0050】
図5は、理想的な運動姿勢を示す説明図である。
図6は、誤った運動姿勢を示す説明図である。
図7は、各部の重心を示す説明図である。
【0051】
図5に示すように、理想的な運動姿勢では、利用者16を横から見て、身体重心点150が踵152よりも前方にあり、かつ下半身の重心である下半身質量中心点154が身体重心点150よりも後方にある。さらに、理想的な運動姿勢では、上半身の重心である上半身質量中心点156が身体重心点150よりも前方にある。この理想的な運動姿勢では、膝159の内側の角度βが、90度となる。
【0052】
なお、スクワット運動18をする時の、膝下(すね)の角度は、どのような利用者16であっても大体同じ角度になる。このため、垂直に延びる垂線158と大腿部上面160との角度αから膝159の内側の角度βを推測してもよい。
【0053】
図7に示すように、身体重心点150は、利用者16が直立した状態で、下半身の重心である下半身質量中心点154と上半身の重心である上半身質量中心点156とを結ぶ線の中点とする。
【0054】
第一閾値140は、例えば直立状態から前述した理想的な運動姿勢となるようにスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50で検出される結果を示す信号を基準として定める。第一閾値140は、理想的な運動姿勢となるようにスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50で検出される結果を示す信号に余裕代を持たせた値とする。
【0055】
図6に示すように、誤った運動姿勢では、利用者16を横から見て、身体重心点150が踵152よりも前方にあり、かつ下半身質量中心点154が身体重心点150よりも前方にあり、かつ上半身質量中心点156が身体重心点150よりも後方ある。
【0056】
第三閾値144は、例えば直立状態から前述した誤った運動姿勢となるようにスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50で検出される結果を示す信号を基準として定める。第三閾値144は、誤った運動姿勢となるようにスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50で検出される結果を示す信号に余裕代を持たせた値とする。
【0057】
(動作検出センサ)
図2に示すように、動作検出センサ52は、運動判定装置10の装置本体22が利用者16の腰付近20である腹部38に取付けられることによって、利用者16の腰付近20である腹部38に取付けられて配置される。動作検出センサ52は、利用者16に取付けられた状態で、取付けられた位置における利用者16の上下方向(垂直方向)の動きを検出する。
【0058】
動作検出センサ52は、一例として気圧センサで構成される。気圧センサは、大気の圧力を検出するセンサである。動作検出センサ52により検出される結果を示す信号に基づいて、動作検出センサ52が取付けられた腹部38の位置における利用者16の上下方向の動きを検出可能である。
【0059】
動作検出センサ52で取得した気圧に基づいて地表からの高さを求める式を(式1)に示す。
【0060】
地表からの高さ(m)=(気圧[hPa]-1013)/(-0.1) ・・・(式1)
【0061】
高さ0mである地表の気圧は、約1013hPaである。気圧は、高さが1m増すごとに、約0.1hPa低くなる。
【0062】
上記(式1)を用いることによって、動作検出センサ52が取付けられた腹部38及び骨盤の中心点の高さを把握することができる。
【0063】
直立状態からスクワット運動18を行ったときの高さの変化量から腹部38及び骨盤の中心点の下方移動量を取得することができ、下方移動量からスクワット運動18において足を折り曲げた際のスクワット運動18の深さを把握することができる。下方移動量が大きいほど、深くしゃがみこんでおり、スクワット運動18が深いといえる。
【0064】
この運動姿勢(運動動作)が理想的であるか否かの判定は、スクワット運動18を行ったときに動作検出センサ52により検出される下方移動量と、理想的な姿勢でスクワット運動18を行ったときに動作検出センサ52により検出が予測される下方移動量の基準値(基準下方移動量)との比較に基づいて行われる。また、運動姿勢(運動動作)の判定は、動作検出センサ52による検出結果と、前述した第二閾値142(
図11参照)との比較によって行われる。
【0065】
第二閾値142は、運動姿勢(運動動作)が理想的であるかを判定する為の閾値である。第二閾値142について、具体的に説明する。
【0066】
図5に示すように、利用者16の横から見て、骨盤中心点162が足の付け根の高さ位置164よりも下がった状態を、理想的な運動姿勢(運動動作)とする。
【0067】
第二閾値142は、例えば直立状態から前述した理想的な運動姿勢(運動動作)となるようにスクワット運動18を行った際に動作検出センサ52で検出される結果を示す信号を基準として定める。第二閾値142は、理想的な運動姿勢(運動動作)となるようにスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50で検出される結果を示す信号に余裕代を持たせた値とする。
【0068】
そして、姿勢検出センサ50により検出される結果を示す信号と、動作検出センサ52により検出される結果を示す信号とに基づいて、利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢(運動動作)が理想的であるか否かを判定する。
【0069】
(機能ブロックの説明)
図3には、運動判定装置10のプロセッサ100の制御によって実施される運動判定装置10の機能の一例が示されている。
【0070】
図3に示すように、運動判定装置10のプロセッサ100の制御によって実施される機能としては、姿勢検出部168と、運動状態判定部170と、高さ判定部172とを有する。各部168、170、172の機能は、プロセッサ100が記憶部110から読み出した運動判定プログラムを実行することでプロセッサ100によって実現される。
【0071】
姿勢検出部168は、プロセッサ100によって実現される。プロセッサ100は、利用者16の腰付近20に配置されたセンサの出力に基づいて、利用者16の腰付近20の動きを検出する。利用者16の腰付近20に配置されたセンサとしては、姿勢検出センサ50が用いられる。
【0072】
運動状態判定部170は、プロセッサ100によって実現される。プロセッサ100は、姿勢検出センサ50により検出される結果を示す信号に基づいて、利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢を判定する。運動姿勢を判定は、運動姿勢が理想的であるか否かの判定を含む。
【0073】
高さ判定部172は、プロセッサ100によって実現される。プロセッサ100は、利用者16に配置された他のセンサの出力に基づいて、他のセンサが配置された位置における利用者16の上下方向の動きを検出する。利用者16に配置された他のセンサとしては、動作検出センサ52が用いられる。
【0074】
プロセッサ100は、スクワット運動18を行ったときに姿勢検出センサ50により検出される後方移動量と、理想的な姿勢でスクワット運動18を行ったときに姿勢検出センサ50による検出が予測される後方移動量の基準値(基準後方移動量)との比較に基づいて、運動姿勢が理想的であるか否かを判定する。
【0075】
理想的な姿勢でスクワット運動18を行ったときに姿勢検出センサ50による検出が予測される後方移動量は、例えば予め実験を行うことで取得する。
【0076】
また、プロセッサ100は、動作検出センサ52をさらに用いて運動姿勢が理想的であるか否かを判定する。プロセッサ100は、姿勢検出センサ50により検出される結果を示す信号と、動作検出センサ52により検出される結果を示す信号とに基づいて、利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢が理想的であるか否かを判定する。
【0077】
姿勢検出センサ50によって主にスクワット運動18中の運動姿勢が取得される。また、動作検出センサ52によって主にスクワット運動18中の上下方向の動きの大きさが取得される。
【0078】
プロセッサ100は、スクワット運動18を行ったときに動作検出センサ52により検出される下方移動量と、理想的な姿勢でスクワット運動18を行ったときに動作検出センサ52により検出が予測される下方移動量の基準値(基準下方移動量)との比較に基づいて運動姿勢が理想的であるか否かを判定する。
【0079】
理想的な姿勢でスクワット運動18を行ったときに動作検出センサ52による検出が予測される下方移動量は、例えば予め実験を行うことで取得する。
【0080】
運動姿勢が理想的であるか否かを判定には、閾値が用いられる。
【0081】
具体的に説明すると、理想的な姿勢でスクワット運動18を行ったときに姿勢検出センサ50により検出が予測される後方移動量の基準値(基準後方移動量)を第一閾値140とする。また、理想的な姿勢でスクワット運動18を行ったときに動作検出センサ52により検出が予測される下方移動量の基準値(基準下方移動量)を第二閾値142とする。
【0082】
この場合、プロセッサ100は、スクワット運動18を行ったときに、姿勢検出センサ50により検出される後方移動量が第一閾値140以上であり、かつ動作検出センサ52により検出される下方移動量が第二閾値142以上である場合に、運動姿勢が理想的であると判定する。
【0083】
そして、プロセッサ100は、判定結果を表示部114及び報知部116並びに端末装置14を利用して利用者16に報知する。また、プロセッサ100は、運動姿勢が理想的でないと判定した場合に、その旨を表示部114及び報知部116並びに端末装置14を介して利用者16に報知する。
【0084】
運動姿勢が理想的でないと判定した場合の報知について、具体的に説明する。
【0085】
誤った姿勢でスクワット運動18を行ったときに姿勢検出センサ50により検出が予測される前方移動量の基準値(基準前方移動量)を第三閾値144とする。この場合、プロセッサ100は、スクワット運動18を行ったときに、姿勢検出センサ50により検出される前方移動量が第三閾値144以上であり、かつ動作検出センサ52により検出される下方移動量が第二閾値142以上である場合に、膝が出ている旨を表示部114及び報知部116並びに端末装置14を利用して利用者16に報知する。
【0086】
また、プロセッサ100は、スクワット運動18を行ったときに姿勢検出センサ50により検出される後方移動量が第一閾値140を超え、かつ、姿勢検出センサ50により検出される前方移動量が第三閾値144未満である場合に、臀部(お尻)を後方に引くことで理想的な姿勢になることを利用者16に報知する。
【0087】
また、プロセッサ100は、スクワット運動18を行ったときに姿勢検出センサ50により検出される後方移動量が第一閾値140を超え、かつ、スクワット運動18を行ったときに動作検出センサ52により検出される下方移動量が第二閾値142未満である場合に、臀部(お尻)を後方に引くことで理想的な姿勢になることを報知する。利用者16への報知には、表示部114及び報知部116並びに端末装置14が用いられる。
【0088】
[端末装置]
図1に示すように、端末装置14は、例えばスマートフォンで構成される。
【0089】
図4に示すように、端末装置14は、プロセッサ200を中心に構成されている。プロセッサ200には、記憶部210、入力部212、表示部214、報知部216、時計部218、及び通信部220が接続されている。
【0090】
プロセッサ200としては、汎用プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はDSP(digital signal processor)などが挙げられる。また、プロセッサ200としては、専用プロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。
【0091】
記憶部210は、記憶手段を構成する。この記憶部210は、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体を構成する。記憶部210は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置を含む。記憶装置は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等で構成することができる。
【0092】
記憶部210を構成する例えばROMには、端末装置14の処理手順を示すアプリケーションプログラム、及びアプリケーションプログラムで用いるデータが記憶されている。
【0093】
プロセッサ200は、記憶部210に記憶されたアプリケーションプログラムに従って各処理を実行する。記憶部210は、アプリケーションプログラムを格納する記憶媒体として機能する。
【0094】
入力部212は、プロセッサ200への入力機器を構成し、入力機器としては、表示装置と入力装置とが組み合わされたタッチパネル222(
図1参照)の入力装置で構成される。
【0095】
表示部214は、表示装置で構成され、表示装置としては、タッチパネル222の表示装置で構成される。
【0096】
報知部216は、例えばスピーカで構成され、時計部218は、現在時刻をプロセッサ200に出力する。
【0097】
通信部220は、データを無線又は有線で送受信する為のインターフェースを構成する。通信部220は、プロセッサ200と外部装置との間でデータの送受信を可能とする。プロセッサ200は、通信部220を介して、外部装置からアプリケーションプログラム等を受信して記憶部210に記憶することができる。また、プロセッサ200は、通信部220を介して、運動判定装置10と通信し、運動判定装置10から受信した判定結果等を表示部214に表示するとともに、報知部216で報知する。
【0098】
(動作説明)
運動判定装置10を腹部38に取付けた利用者16がスクワット運動18を行ってトレーニングする場合の運動判定システム12及び運動判定装置10の動作を、
図8から
図11を用いるとともに、プロセッサ100が実行する処理手順に従って説明する。
【0099】
図8は、運動判定装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
図9は、
図8に続く動作を示すフローチャートである。
【0100】
プロセッサ100が記憶部110に記憶された運動判定プログラムの姿勢判定処理を実行すると、プロセッサ100は、入力部112を構成するスタートスイッチ42が押されたか否かを判断する(ステップS1)。プロセッサ100は、スタートスイッチ42が押されるまでスタートスイッチ42の検出を続ける。プロセッサ100は、スタートスイッチ42が押された場合に、姿勢検出センサ50による測定を開始するとともに(ステップS2)、動作検出センサ52による測定を開始する(ステップS3)。
【0101】
そして、プロセッサ100は、姿勢検出センサ50からの信号と動作検出センサ52からの信号とが安定状態にあるか否かを判断する(ステップS4)。安定状態の判断方法としては、姿勢検出センサ50からの信号の変動が所定の範囲内であり、かつ動作検出センサ52からの信号の変動が所定の範囲内である場合に安定状態とする方法が挙げられる。
【0102】
図10は、姿勢検出センサ50により検出される結果を示す信号の説明図である。
図10には、理想的な運動姿勢でスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50から得られる信号Aと、誤った姿勢でスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50から得られる信号Bとが示されている。
【0103】
図11は、動作検出センサ52により検出される結果を示す信号の説明図である。
図11には、理想的な運動姿勢(運動動作)でスクワット運動18を行った際に動作検出センサ52から得られる信号Cが示されている。
【0104】
図10に示すように、利用者16がスクワット運動18を開始する準備段階において、直立した直立状態300では、姿勢検出センサ50からの信号は、大きな変動が認められず安定している。直立状態300において利用者16が静止していれば、姿勢検出センサ50は加速度を検出しない。このため、直立状態300において、姿勢検出センサ50からの信号は、誤差は含むものの略一定の値となる。
【0105】
図11に示すように、直立状態300では、動作検出センサ52からの信号も、大きな変動が認められず安定している。直立状態300において利用者16が静止していれば、動作検出センサ52が検出する気圧は、ほとんど変化しない。このため、直立状態300において、動作検出センサ52からの信号は、誤差は含むものの略一定の値となる。
【0106】
図8に示すステップS4において、姿勢検出センサ50及び動作検出センサ52からの信号が安定状態にある場合、プロセッサ100は、安定した各信号を姿勢基準値として取得し、取得した基準値を、例えば記憶部110に記憶する(ステップS5)。ここで、姿勢検出センサ50からの安定した信号を姿勢基準値とするとともに、動作検出センサ52からの安定した信号を動作基準値とする。
【0107】
そして、
図9を参照してスクワット運動18の判定処理について説明する。ステップS5を終了すると、プロセッサ100は、表示部114を構成する液晶モニタ40に「膝を曲げてください」と表示する。また、プロセッサ100は、報知部116から「膝を曲げてください」と音声出力する。これにより、利用者16に対してスクワット運動18の開始を指示する(ステップS6)。
【0108】
このスクワット運動18の開始の指示は、プロセッサ100が通信部120を介して端末装置14と通信することで行ってもよい。この場合、端末装置14の表示部214には「膝を曲げてください」と表示され、報知部216からは「膝を曲げてください」と音声出力される。
【0109】
利用者16がスクワット運動18を開始すると、各検出センサ50,52からの信号が変化する。各検出センサ50,52からの信号が変化したことに基づいて、プロセッサ100は、スクワット運動18が開始されたことを認識することができる。
【0110】
プロセッサ100は、姿勢検出センサ50より入力した信号から姿勢基準値を減算して姿勢基準値からの変化量を算出し、算出した変化量を姿勢信号変化量とする(ステップS7)。
【0111】
図10に示すように、姿勢検出センサ50が前方へ移動した場合、姿勢検出センサ50からの信号は姿勢基準値よりも大きく、算出した姿勢信号変化量はプラスの値となる。このため、算出した姿勢信号変化量がプラスの場合、姿勢検出センサ50の前方への移動を示し、姿勢信号変化量の絶対値は、前方移動量を示す。
【0112】
また、姿勢検出センサ50が後方へ移動した場合、姿勢検出センサ50からの信号は姿勢基準値よりも小さく、算出した姿勢信号変化量はマイナスの値となる。このため、算出した姿勢信号変化量がマイナスの場合、姿勢検出センサ50の後方への移動を示し、姿勢信号変化量の絶対値は、前方移動量を示す。
【0113】
また、プロセッサ100は、動作検出センサ52より入力した信号から動作基準値を減算して動作基準時からの変化量を算出し、算出した変化量を動作信号変化量とする(ステップS8)。
【0114】
図11に示すように、動作検出センサ52が下方へ移動した場合、検出される気圧は上がるので、動作検出センサ52からの信号は動作基準値よりも大きく、算出した動作信号変化量はプラスの値となる。このため、算出した動作信号変化量がプラスの場合、動作検出センサ52の下方への移動を示し、動作信号変化量の絶対値は、下方移動量を示す。
【0115】
また、動作検出センサ52が上方へ移動した場合、検出される気圧は下がるので、動作検出センサ52からの信号は動作基準値よりも小さく、算出した動作信号変化量はマイナスの値となる。このため、算出した動作信号変化量がマイナスの場合、動作検出センサ52の上方への移動を示し、動作信号変化量の絶対値は、上方移動量を示す。
【0116】
そして、プロセッサ100は、動作検出センサ52からの信号のピーク値(信号波形の山部分)が記憶部110に記憶された第二閾値142以上であるか否かを判断する(ステップS100)。
【0117】
ステップS100において、動作検出センサ52からの信号のピーク値(信号波形の山部分)が第二閾値142未満と判断した場合、スクワット運動18が深く行われていないため、プロセッサ100は、ステップS6へ分岐して、膝を曲げる旨を促す。また、ステップS100において、動作検出センサ52からの信号のピーク値(信号波形の山部分)が第二閾値142以上と判断した場合、スクワット運動18が深く行われているので、プロセッサ100は、次のステップS9へ進む。
【0118】
ステップS9において、プロセッサ100は、姿勢検出センサ50からの信号のピーク値(信号波形の谷部分)毎に、ピーク値が記憶部110に記憶された第一閾値140以下であるか否かを判断する(ステップS9)。
【0119】
ここで、
図10に示すように、姿勢検出センサ50からの信号は、移動方向を含まずに移動量のみを示すものである。直立状態300の姿勢基準値よりも大きい値は、姿勢検出センサ50の前方への移動量を示し、直立状態300の動作基準値よりも小さい値は、姿勢検出センサ50の後方への移動量を示す。
【0120】
このため、「姿勢検出センサ50からの信号のピーク値(信号波形の谷部分)が第一閾値140以下」なる旨は、移動方向を考慮した場合において「姿勢検出センサ50により検出される後方移動量が第一閾値140以上」と同じことを示す。
【0121】
姿勢検出センサ50からの信号のピーク値は、スクワット運動18が行われる毎に現れる。このため、ステップS9による判断を何回行ったかを、例えば記憶部110に記憶することで、スクワット運動18の回数をカウントすることができる。
【0122】
第一閾値140は、直立状態300から理想的な運動姿勢となるようにスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50で検出される結果を示す信号を基準として定められた閾値である。
【0123】
姿勢検出センサ50からの信号のピーク値が第一閾値140以下の場合、姿勢検出センサ50が取付けられた腹部38は、直立状態300から後方へ移動されている。このとき、利用者16のお尻は後方に突き出され、骨盤の中心点が後方へ移動するので、膝が必要以上に前方へ出ることはない。このため、理想的な姿勢でスクワット運動18が行われていると推測できる。
【0124】
また、第二閾値142は、直立状態300から理想的な運動姿勢(運動動作)となるようにスクワット運動18を行った際に動作検出センサ52で検出される結果を示す信号を基準として定められた閾値である。
【0125】
ステップS100で判断したように、動作検出センサ52からの信号のピーク値は、第二閾値142以上であり、動作検出センサ52が取付けられた腹部38は、直立状態300から下方へ移動されている。このため、利用者16の骨盤中心点162は、足の付け根の高さ位置164よりも下げられており、理想的な運動姿勢(運動動作)であると推測できる。
【0126】
図10に示すように、理想的な姿勢でスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50から得られる信号Aは、ピーク値(信号波形の谷部分)が第一閾値140以下となる。一方、誤った姿勢でスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50から得られる信号Bは、ピーク値(信号波形の谷部分)が第一閾値140を超える。
【0127】
また、
図11に示すように、理想的な姿勢であって十分に深いスクワット運動18を行った際に動作検出センサ52から得られる信号Cは、ピーク値(信号波形の山部分)が第二閾値142以上となる。
【0128】
このため、ステップS9において、姿勢検出センサ50からの信号のピーク値が第一閾値140以下と判断した場合、動作検出センサ52からの信号のピーク値が第二閾値142以上であり(ステップS100)、姿勢検出センサ50からの信号のピーク値が第一閾値140以下となる。この場合、プロセッサ100は、理想的な姿勢でスクワット運動18が行われたと判定する(ステップS10)。
【0129】
そして、プロセッサ100は、予め設定された目標回数分、スクワット運動18が行われたか否かを判断する(ステップS11)。ここで、本実施形態において、目標回数には、例えば5回が設定されているものとする。また、目標回数分、スクワット運動18が行われたか否かの判断は、ステップS9による判断が何回行われたかによって判断するものとする。
【0130】
ステップS11において、スクワット運動18の回数が目標回数に満たない場合、プロセッサ100は、ステップS6を実行する。また、ステップS11において、スクワット運動18の回数が目標回数に達していた場合、プロセッサ100は、表示部114を構成する液晶モニタ40に「理想のフォームでスクワットができています」と表示するとともに、報知部116から「理想のフォームでスクワットができています」と音声出力する(ステップS12)。
【0131】
図12は、理想の姿勢と判定した場合の表示例を示す図である。運動判定装置10の液晶モニタ40には「理想のフォームでスクワットができています」と表示される。
【0132】
また、ステップS12において、プロセッサ100は、通信部120を介して端末装置14と通信することで、端末装置14の表示部214に「理想のフォームでスクワットができています」と表示するとともに、報知部216から「理想のフォームでスクワットができています」と音声出力し、姿勢判定処理を終了する。
【0133】
前述したステップS9において、姿勢検出センサ50からの信号のピーク値が第一閾値140未満の場合、プロセッサ100は、ステップS13の判断を行う。
【0134】
ステップS13において、プロセッサ100は、姿勢検出センサ50からの信号のピーク値(信号波形の山部分)が記憶部110に記憶された第三閾値144以上であるか否かを判断する。
【0135】
ここで、第三閾値144は、直立状態300から誤った運動姿勢となるようにスクワット運動18を行った際に姿勢検出センサ50で検出される結果を示す信号を基準として定められた閾値である。
【0136】
姿勢検出センサ50からの信号のピーク値が第三閾値144以上の場合、姿勢検出センサ50が取付けられた腹部38は前方へ移動しており、利用者16のお尻は前方へ移動する。すると、骨盤の中心点は前方へ移動し、膝が必要以上に前方へ出る誤った姿勢であることが推測される。また、ステップS100において、動作検出センサ52からの信号のピーク値が第二閾値142以上である判断されており、誤った姿勢で腰が十分に落とされていることとなる。
【0137】
このような誤った姿勢でスクワット運動18を行うと、利用者16は、大腿部等において後ろ側の筋肉よりも前側の筋肉への負荷が大きくなり、前後の筋肉をバランスよく鍛えることができない。
【0138】
このため、ステップS100において動作検出センサ52からの信号のピーク値が第二閾値142以上であり、ステップS13において、姿勢検出センサ50からの信号のピーク値が第三閾値144以上の場合、プロセッサ100は、誤った姿勢でスクワット運動18が行われている判定する(ステップS14)。
【0139】
そして、プロセッサ100は、表示部114を構成する液晶モニタ40に「膝が出ています」と表示するとともに、報知部116から「膝が出ています」と音声出力して、スクワット運動中の利用者16に注意を促す(ステップS15)。
【0140】
また、ステップS15において、プロセッサ100は、通信部120を介して端末装置14と通信することで、端末装置14の表示部214に「膝が出ています」と表示するとともに、報知部216から「膝が出ています」と音声出力して、スクワット運動中の利用者16に注意を促す。
【0141】
そして、プロセッサ100は、予め設定された目標回数分、スクワット運動18が行われたか否かを判断する(ステップS16)。判断方法は、ステップS11と同様とする。
【0142】
ステップS16において、スクワット運動18の回数が目標回数に満たない場合、プロセッサ100は、ステップS6を実行する。また、ステップS16において、スクワット運動18の回数が目標回数に達していた場合、プロセッサ100は、表示部114を構成する液晶モニタ40に「膝が出ています」と表示するとともに、報知部116から「膝が出ています」と音声出力して、スクワット運動中に膝が出ていた旨を利用者16に対して報知する(ステップS17)。
【0143】
図13は、誤った姿勢と判定した場合の表示例を示す図である。運動判定装置10の液晶モニタ40には「膝が出ています」と表示される。
【0144】
また、ステップS17において、プロセッサ100は、通信部120を介して端末装置14と通信することで、端末装置14の表示部214に「膝が出ています」と表示するとともに、報知部216から「膝が出ています」と音声出力して、姿勢判定処理を終了する。
【0145】
ステップS13において、姿勢検出センサ50からの信号のピーク値が第三閾値144未満の場合、動作検出センサ52からの信号のピーク値が第二閾値142以上であって(ステップS100)、姿勢検出センサ50からの信号のピーク値が第三閾値144未満となる。この場合、プロセッサ100は、理想的な姿勢及び誤った姿勢以外の姿勢でスクワット運動18が行われた判定する(ステップS18)。
【0146】
この場合、姿勢検出センサ50が取付けられた腹部38は前方に移動され、後方へのお尻の突き出し量が少ないこと推測される。
【0147】
このため、プロセッサ100は、表示部114を構成する液晶モニタ40に「もう少しお尻を引いてください」と表示するとともに、報知部116から「もう少しお尻を引いてください」と音声出力して、スクワット運動中の利用者16に助言を行う(ステップS19)。
【0148】
また、ステップS19において、プロセッサ100は、通信部120を介して端末装置14と通信することで、端末装置14の表示部214に「もう少しお尻を引いてください」と表示するとともに、報知部216から「もう少しお尻を引いてください」と音声出力して、スクワット運動中の利用者16に助言を行う。
【0149】
そして、プロセッサ100は、予め設定された目標回数スクワット運動が行われたか否かを判断する(ステップS20)。判断方法は、ステップS11と同様とする。
【0150】
ステップS20において、スクワット運動18の回数が目標回数に満たない場合、プロセッサ100は、ステップS6を実行する。また、ステップS20において、スクワット運動18の回数が目標回数に達していた場合、プロセッサ100は、表示部114を構成する液晶モニタ40に「お尻を引くともっとよくなります」と表示するとともに、報知部116から「お尻を引くともっとよくなります」と音声出力して、スクワット運動中にお尻を引くと理想の運動姿勢になる旨を利用者16に対して報知する(ステップS21)。
【0151】
図14は、利用者16へのアドバイスの表示例を示す図である。運動判定装置10の液晶モニタ40には「お尻を引くともっとよくなります」と表示される。
【0152】
また、ステップS21において、プロセッサ100は、通信部120を介して端末装置14と通信することで、端末装置14の表示部214に「お尻を引くともっとよくなります」と表示するとともに、報知部216から「お尻を引くともっとよくなります」と音声出力して、姿勢判定処理を終了する。
【0153】
第一態様の運動判定装置は、利用者のスクワット運動を判定する運動判定装置であって、前記利用者の腰付近に配置されたセンサの出力に基づいて、前記利用者の腰付近の動きを検出する姿勢検出部と、前記センサによる検出結果に基づいて、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときの前記利用者の運動姿勢を判定する運動状態判定部と、を備える。
【0154】
第二態様の運動判定装置は、第一態様に記載の運動判定装置であって、前記センサは、前記利用者の腰付近の前後方向の動きを検出する。
【0155】
第三態様の運動判定装置は、第一態様又は第二態様に記載の運動判定装置であって、前記運動状態判定部は、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときに前記姿勢検出部が検出する前記利用者の腰付近の前後方向の動きに基づく後方移動量と、予め設定されている理想的な姿勢で前記スクワット運動を行ったときの腰付近の基準後方移動量との比較に基づいて前記運動姿勢が理想的であるか否かを判定する。
【0156】
第四態様の運動判定装置は、第一態様から第三態様のいずれか一つに記載の運動判定装置であって、前記利用者に配置された他のセンサの出力に基づいて、前記他のセンサが配置された位置における前記利用者の上下方向の動きを検出する高さ判定部をさらに備え、前記運動状態判定部は、前記利用者の腰付近の前後方向の動きと、前記利用者の上下方向の動きとに基づいて、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときの前記利用者の前記運動姿勢を判定する。
【0157】
第五態様の運動判定装置は、第四態様に記載の運動判定装置であって、前記高さ判定部は、前記利用者に配置された気圧センサの出力に基づいて前記利用者の上下方向の動きを検出する。
【0158】
第六態様の運動判定装置は、第四態様又第五態様に記載の運動判定装置であって、前記運動状態判定部は、前記利用者が前記スクワット運動を行ったときに前記高さ判定部が検出する前記利用者の上下方向の動きに基づく下方移動量と、予め設定されている理想的な姿勢で前記スクワット運動を行ったときの前記利用者の基準下方移動量との比較に基づいて前記運動姿勢が理想的であると判定する。
【0159】
第七態様の運動判定装置は、第六態様に記載の運動判定装置であって、前記運動状態判定部は、前記スクワット運動を行ったときに、前記姿勢検出部が検出する後方移動量が、予め設定されている理想的な姿勢で前記スクワット運動を行ったときの腰付近の基準後方移動量以上であり、かつ前記高さ判定部が検出する下方移動量が前記基準下方移動量以上である場合に、前記運動姿勢が理想的であると判定する。
【0160】
第八態様の運動判定装置は、第一態様から第七態様のいずれかの態様に記載の運動判定装置であって、前記運動状態判定部は、前記運動姿勢が理想的でないと判定した場合に、その旨を報知する。
【0161】
第九態様の運動判定装置は、第八態様に記載の運動判定装置であって、前記運動状態判定部は、前記スクワット運動を行ったときに、前記姿勢検出部が検出する前記利用者の腰付近の前方移動量が、予め設定されている誤った姿勢で前記スクワット運動を行ったときの臀部の基準前方移動量以上であり、かつ前記高さ判定部が検出する下方移動量が前記基準下方移動量以上である場合に、膝が出ていることを報知する。
【0162】
第十態様の運動判定装置は、第八態様に記載の運動判定装置であって、前記運動状態判定部は、前記スクワット運動を行ったときに前記姿勢検出部が検出する前記利用者の腰付近の前記前方移動量が前記基準前方移動量未満で、かつ、前記スクワット運動を行ったときに前記高さ判定部が検出する下方移動量が前記基準下方移動量以上である場合に、臀部を後方に引くことで理想的な姿勢になることを報知する。
【0163】
第十一態様の運動判定装置は、第八態様に記載の運動判定装置であって、前記運動状態判定部は、前記スクワット運動を行ったときに、前記姿勢検出部が検出する前記利用者の腰付近の前方移動量が、予め設定されている誤った姿勢で前記スクワット運動を行ったときの臀部の基準前方移動量以上である場合に、膝が出ていることを報知する。
【0164】
第十二態様の運動判定装置は、第八態様に記載の運動判定装置であって、前記運動状態判定部は、前記スクワット運動を行ったときに、前記姿勢検出部が検出する前記利用者の腰付近の前方移動量が、予め設定されている誤った姿勢で前記スクワット運動を行ったときの臀部の基準前方移動量未満である場合に、臀部を後方に引くことで理想的な姿勢になることを報知する。
【0165】
(作用及び効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0166】
本実施形態における運動判定装置10は、利用者16のスクワット運動18を判定する運動判定装置10であって、利用者16の腰付近20に配置されたセンサである姿勢検出センサ50の出力に基づいて、利用者16の腰付近20の動きを検出する姿勢検出部168と、姿勢検出センサ50による検出結果に基づいて、利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢を判定する運動状態判定部170と、を備える。ここで、「姿勢検出センサ50による検出結果に基づいて利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢を判定する」とは、「利用者16の腰付近20に配置されたセンサである姿勢検出センサ50の出力に基づいて利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢を判定する」ことを意味する。
【0167】
この構成によれば、利用者16の腰付近20に配置された姿勢検出センサ50の出力に基づいて、スクワット運動18を行った際の利用者16の骨盤の中心点の動きを知ることができる。
【0168】
そして、スクワット運動18を行ったときの利用者16の骨盤の中心点の移動方向を、姿勢検出センサ50からの信号によって取得できるので、骨盤の中心点の移動方向に基づいて、利用者16の膝が必要以上に前方へ出ているか否かを推測することできる。
【0169】
ここで、骨盤の中心点が前方に移動し膝が必要以上に前方へ出る運動姿勢では、体の後ろ側の筋肉よりも前側の筋肉への負荷が大きくなり、前後の筋肉をバランスよく鍛えることができず、理想的な運動姿勢とはいえない。一方、骨盤の中心点が後方に移動し膝が必要以上に前方へ出ない運動姿勢は、体の前後の筋肉をバランスよく鍛えることができるので、理想的な運動姿勢ということができる。
【0170】
このため、姿勢検出センサ50の出力から骨盤の中心点の移動方向を取得し、利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢を推測することで、理想的な運動が行われているか否かを判定することが可能となる。
【0171】
そして、利用者16の腰付近20に配置された状態で取付けられる姿勢検出センサ50を用いることによって、体の前後の筋肉をバランスよく鍛える為の理想的な運動か否かの判定を可能とするという技術的課題を解決することができる。
【0172】
また、本実施形態における運動判定システム12は、運動判定装置10と、運動判定装置10により判定された判定結果に基づいて、判定結果を報知する端末装置14とを備える。
【0173】
この構成によれば、判定結果を端末装置14で確認することができる。このため、例えば利用者16の腰付近20に取付けられる運動判定装置10のみに判定結果が表示される場合と比較して、判定結果の確認が容易となる。
【0174】
また、本実施形態における運動判定システム12は、利用者16のスクワット運動18を判定する運動判定システム12であって、利用者16の腰付近20に配置されたセンサである姿勢検出センサ50の出力に基づいて、利用者16の腰付近20の動きを検出する姿勢検出部168と、姿勢検出センサ50による検出結果に基づいて、利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢を判定する運動状態判定部170と、運動状態判定部170により判定された判定結果に基づいて、当該判定結果を報知する報知部116、216と、を備える。
【0175】
この構成によれば、判定結果を報知部116、216から報知される報知内容によって確認することができる。これにより、利用者16は、端末装置14の報知部216から報知される報知内容によっても判定結果を確認することができる。このため、例えば利用者16の腰付近20に取付けられる運動判定装置10のみに判定結果が表示される場合と比較して、判定結果の確認が容易となる。
【0176】
また、本実施形態において、センサである姿勢検出センサ50は、利用者16の腰付近20の前後方向の動きを検出する。
【0177】
この構成によれば、腰付近に配置される姿勢検出センサ50によって利用者16の前後方向の動きを検出することができるので、スクワット運動18時の利用者16の骨盤の中心点の前後の動きを直接取得することができる。
【0178】
このため、センサからの出力を演算して骨盤の中心点の前後の動きを取得する場合と比較して、演算処理を簡素化することができる。
【0179】
また、本実施形態において、運動状態判定部170は、利用者16がスクワット運動18を行ったときに姿勢検出部168が検出する利用者16の腰付近20の前後方向の動きに基づく後方移動量と、予め設定されている理想的な姿勢でスクワット運動18を行ったときの腰付近の基準後方移動量(140)との比較に基づいて運動姿勢が理想的であるか否かを判定する。
【0180】
この構成によれば、センサである姿勢検出センサ50により検出される信号を演算して運動姿勢が理想的であるか否かを判定する場合のように、姿勢検出センサ50の信号から運動姿勢を推定する為の演算式を作成する必要がない。また、運動姿勢が理想的であるか否かの判定に演算式を用いないので、処理速度の向上が可能となる。
【0181】
また、本実施形態の運動判定装置10は、利用者16に配置された他のセンサである動作検出センサ52の出力に基づいて、動作検出センサ52が配置された位置における利用者16の上下方向の動きを検出する高さ判定部172をさらに備え、運動状態判定部170は、利用者16の腰付近の前後方向の動きと、利用者16の上下方向の動きとに基づいて、利用者16がスクワット運動18を行ったときの利用者16の運動姿勢を判定する。
【0182】
この構成によれば、利用者16の運動姿勢を判定する際に、姿勢検出センサ50からの信号に加えて、利用者16の上下方向の動きを検出する動作検出センサ52からの信号が用いられる。
【0183】
これにより、運動姿勢の判定にあたり、利用者16の上下方向の動きを加えることで、スクワット運動18において、骨盤中心点162が理想位置まで下げられているかを判断することができる。したがって、運動姿勢がより理想的であるか否かを判定することが可能となる。
【0184】
また、本実施形態において、高さ判定部172は、利用者16に配置された気圧センサの出力に基づいて利用者16の上下方向の動きを検出する。
【0185】
この構成によれば、上下方向の動きを検出する動作検出センサ52を加速度センサで構成する場合と比較して、上下方向(垂直方向)の移動量を直接取得することができるので、演算処理を簡素化することができる。これにより、上下方向の移動量を得る為の処理速度が構造する。
【0186】
また、本実施形態において、運動状態判定部170は、利用者16がスクワット運動18を行ったときに高さ判定部172が検出する利用者16の上下方向の動きに基づく下方移動量と、予め設定されている理想的な姿勢でスクワット運動18を行ったときの利用者16の基準下方移動量(142)との比較に基づいて運動姿勢が理想的であると判定する。
【0187】
この構成によれば、動作検出センサ52により検出される信号を演算して運動姿勢(運動動作)が理想的であるか否かを判定する場合のように、動作検出センサ52の信号から運動姿勢(運動動作)を推定する為の演算式を作成する必要がない。また、運動姿勢(運動動作)が理想的であるか否かの判定に演算式を用いないので、処理速度の向上が可能となる。
【0188】
また、本実施形態において、運動状態判定部170は、スクワット運動18を行ったときに、姿勢検出部168が検出する後方移動量が基準後方移動量(140)以上であり、かつ高さ判定部172が検出する下方移動量が基準下方移動量(142)以上である場合に、運動姿勢が理想的であると判定する。
【0189】
この構成によれば、基準後方移動量(140)及び基準下方移動量(142)を予め定めておくことで、比較処理が容易となり、運動姿勢の判定の高速化が可能となる。
【0190】
また、本実施形態において、運動状態判定部170は、運動姿勢が理想的でないと判定した場合に、その旨を報知する。
【0191】
この構成によれば、利用者16に対して、スクワット運動18の運動姿勢が理想的でないことを知らせることができる。これにより、利用者16に対して、理想的な運動姿勢への修正を促すことができるので、スクワット運動18によるトレーニング効果を高めることが可能となる。
【0192】
また、本実施形態において、運動状態判定部170は、スクワット運動18を行ったときに、姿勢検出部168が検出する利用者16の腰付近の前方移動量が、予め設定されている誤った姿勢でスクワット運動18を行ったときの臀部の基準前方移動量(144)以上である場合に、膝が出ていることを報知する。
【0193】
この構成によれば、利用者16に対して、膝が出ていることを知らせることができるので、スクワット運動18を理想的な運動姿勢に近づけることが可能となる。
【0194】
また、本実施形態において、運動状態判定部170は、スクワット運動18を行ったときに、姿勢検出部168が検出する利用者16の腰付近20の前方移動量が、予め設定されている誤った姿勢でスクワット運動18を行ったときの臀部の基準前方移動量(144)未満である場合に、臀部を後方に引くことで理想的な姿勢になることを報知する。
【0195】
この構成によれば、利用者16に対して、臀部(お尻)を後方に引くことで理想的な姿勢になることを知らせることができるので、スクワット運動18を理想的な運動姿勢に近づけることが可能となる。
【0196】
<第二実施形態>
次に、
図15及び
図16を用いて、第二実施形態に係る運動判定装置402について説明する。
【0197】
図15は、本発明の第二実施形態に係る運動判定装置402を示す図である。
図16は、第二実施形態に係る動作検出センサ432により検出される結果を示す信号の説明図である。
【0198】
本実施形態に係る運動判定装置402は、第一実施形態と比較して、運動判定装置402が互いに通信する姿勢検出装置410と動作検出装置412とで構成される点が異なる。本実施形態は、運動判定装置402を姿勢検出装置410と動作検出装置412とで構成した場合でも、利用者16の運動姿勢を判定できる例を示す実施形態である。
【0199】
本実施形態について、第一実施形態と同一又は同等部分については、第一実施形態と同符号を付して説明を割愛するとともに、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0200】
この運動判定装置402は、姿勢検出装置410と動作検出装置412とで構成される。姿勢検出装置410は、利用者16の腰付近20に取付けられる装置である。動作検出装置412は、利用者16の大腿部414に取付けられる装置である。
【0201】
各装置410,412は、横長の矩形板状に形成され、厚み方向の一方側が表面410A,412Aを構成し、厚み方向の他方側が裏面を構成する。各装置410,412の長手方向の一端410C,412Cからは、ベルト422,424が延びている。各ベルト422,424の先端には、バックル426,428が設けられている。各バックル426,428は、各装置410,412の長手方向の他端410D、412Dに設けられた係合穴(図示省略)に係脱可能である。
【0202】
腰付近20に取付けられる姿勢検出装置410のベルト422の長さは、大腿部414に取付けられる動作検出装置412のベルト424よりも長い。これにより、各装置410,412の取付位置の間違えを抑制する。
【0203】
姿勢検出装置410を腰付近20の一例である腹部38に取付ける際には、姿勢検出装置410の裏面を腹部38に密着させる。そして、ベルト422を腰に巻き、ベルト422の先端のバックル426を姿勢検出装置410の係合穴に係合する。これにより、姿勢検出装置410は、裏面が腹部38側に配置された状態で利用者16の腹部38に取付けられる。
【0204】
動作検出装置412を大腿部414に取付ける際には、動作検出装置412の裏面を大腿部414の前面に密着させる。そして、ベルト424を大腿部414に巻き、ベルト424の先端のバックル428を動作検出装置412の係合穴に係合する。これにより、動作検出装置412は、裏面が大腿部414の前面側に配置された状態で利用者16の大腿部414に取付けられる。
【0205】
姿勢検出装置410は、検出センサである姿勢検出センサ430を備える。姿勢検出センサ430は、第一実施形態と同様に、三軸の加速度センサで構成される。
【0206】
姿勢検出装置410には、第一実施形態の運動判定装置10と同様に構成されているが、動作検出センサ52を備えない点が第一実施形態の運動判定装置10と異なる。また、姿勢検出装置410は、動作検出装置412と無線通信し、動作検出装置412との間でデータを遣り取りする。
【0207】
動作検出装置412は、他の検出センサである動作検出センサ432を備える。動作検出装置412は、姿勢検出装置410と無線通信し、当該動作検出センサ432により検出される結果を示す信号のデータを姿勢検出装置410に送信する。
【0208】
動作検出センサ432は、三軸の加速度センサで構成される。動作検出センサ432は、取付られた腹部38における上下方向の動きを検出する。動作検出センサ432を構成する三軸の加速度センサは、加速する方向によって出力が変化する。このため、動作検出センサ432により検出される結果を示す信号によって、動作検出センサ432が取付けられた大腿部414の傾斜角度を測定することができる。
【0209】
図16には、利用者16がスクワット運動18を行い大腿部414が曲げられたときに動作検出センサ432により検出される結果を示す信号Dが示されている。この信号Dは、利用者16がスクワット運動18を行い大腿部414が曲げられたときの大腿部414の傾斜角度を示し、大腿部414の傾斜角度は、大腿部414が曲げられたときに変化する動作検出センサ432からの信号に基づいて取得される。
【0210】
信号Dは、大きくなるに従って大腿部414の傾斜角度が大きくなることを示す。信号Dが大きい場合には、スクワット運動18が深く行われている。
【0211】
そして、運動姿勢(運動動作)が理想的であるかを判定する為の第二閾値440は、例えば、80度とする。
【0212】
具体的に説明すると、理想的な運動姿勢(運動動作)でスクワット運動18を行った場合、垂直に延びる垂線158と大腿部上面160とが成す角度αは、90度となる(
図5参照)。このため、理想的な運動姿勢(運動動作)でスクワット運動18を行った場合、動作検出センサ432からの信号に基づいて得られる傾斜角度(角度α)は90度となり、第二閾値440は、この90度に余裕代を持たせた値である80度とする。
【0213】
ここで、前述したように、スクワット運動18をする時の、膝下(すね)の角度は、どのような利用者16であっても大体同じ角度になる。このため、垂直に延びる垂線158と大腿部上面160との角度αから膝159の内側の角度βを推測することができる。
【0214】
膝159の内側の角度βを用いて運動姿勢を判断する場合について説明する。理想的な運動姿勢において、膝159の内側の角度βは、90度となる。そして、膝159の内側の角度βは、この90度に余裕代を持たせた値である100度以下であれば、理想的な運動姿勢であるということができる。このため、膝159の内側の角度βを用いて運動姿勢を判断する場合、膝159の内側の角度βが、100度以下であるか否かに基づいて、理想的な運動姿勢であるか否かを判断することができる。
【0215】
そして、姿勢検出装置410は、姿勢検出センサ430により検出される結果を示す信号と、動作検出装置412の動作検出センサ432により検出される結果を示す信号とに基づいて、スクワット運動18を行ったときの運動姿勢が理想的である否かを判定する。
【0216】
具体的に説明すると、姿勢検出装置410のプロセッサ100は、姿勢検出センサ430からの信号のピーク値が第一閾値140以下であり(
図10参照)、かつ動作検出センサ432から得られた傾斜角度のピーク値(信号波形の山部分)が第二閾値440以上であるか否か(
図16参照)に基づいて、運動姿勢が理想的であるか否かを判定する。
【0217】
(作用及び効果)
本実施形態においても、第一実施形態と同一又は同等部分については、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0218】
<第三実施形態>
次に、
図17を用いて、第三実施形態に係る運動判定装置500について説明する。
図17は、本発明の第三実施形態に係る運動判定装置500を示す図である。
【0219】
本実施形態に係る運動判定装置500は、第一実施形態と比較して、動作検出センサ52を備えない点が異なり、動作検出センサ52を備えない場合でも、利用者16の運動姿勢を判定できる例を示す実施形態である。
【0220】
本実施形態について、第一実施形態と同一又は同等部分については、第一実施形態と同符号を付して説明を割愛するとともに、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0221】
この運動判定装置500を使用する際には、スクワット運動18を開始する直前に利用者16がスタートスイッチ42をオン操作する。これにより、運動判定装置500のプロセッサ100は、スクワット運動18が開始されることを認識する。
【0222】
ここで、当該運動判定装置500は、利用者16がスタートスイッチ42をオン操作した場合、利用者16は膝を深く曲げてスクワット運動18を開始することを前提として測定を行う。
【0223】
運動判定装置500のプロセッサ100は、スクワット運動18の開始を認識した状態において、姿勢検出センサ50からの信号のピーク値が第一閾値140以下である場合、理想の運動姿勢と判定する。また、プロセッサ100は、姿勢検出センサ50からの信号のピーク値が第三閾値144以上の場合、誤った姿勢と判定する。
【0224】
(作用及び効果)
この運動判定装置500は、動作検出センサ52を備えないので、スクワット運動18が理想的な深さで行われているか否かを判断することはできないが、スクワット運動18が理想的な姿勢で行われているか否かは判定することができる。
【0225】
したがって、第一実施形態と同様に、理想的な運動が行われているか否かを判定することが可能となる。
【0226】
<第四実施形態>
次に、第四実施形態に係る運動判定装置について説明する。
【0227】
第四実施形態に係る運動判定装置は、例えば第一実施形態の運動判定装置10の姿勢検出センサ50がジャイロセンサで構成され、動作検出センサ52が三軸(X軸、Y軸、Z軸)の加速度センサで構成されることによって構成される(例えば
図2参照)。
【0228】
このような構成において、ジャイロセンサで構成される姿勢検出センサ50の出力値から腰付近20の角度を取得する。具体的に説明すると、単位時間T当たりの姿勢検出センサ50の出力(rad/s)を積分することで腰付近20の角度を取得する。
【0229】
その際、動作検出センサ52の各軸の出力値が、どの方向への移動に関する加速度(m/s2)かをそれぞれ取得する。具体的に説明すると、単位時間T当たりの動作検出センサ52から得たX軸の加速度(m/s2)、Y軸の加速度(m/s2)、及びZ軸の加速度(m/s2)について、それぞれ二回積分して各軸方向の移動距離mをそれぞれ取得する。
【0230】
そして、運動の始まりから終わりまで腰付近20の角度と各軸方向の移動距離mを連続的に取得して分析することで、各検出センサ50、52が配置された腰付近20が前後方向にどれだけ移動し、かつ上下方向にどれだけ移動したか取得する。具体的に説明すると、単位時間T毎に取得される腰付近20の角度(rad)から、その時点の動作検出センサ52の三軸(X軸、Y軸、Z軸)がそれぞれどの方向の加速度なのか把握することができる。そのため、単位時間T毎に単位時間Tだけ前の動作検出センサ52の位置からの、上下方向の移動距離m及び前後方向の移動距離mを取得することができる。
【0231】
これを繰り返すことで、スクワット運動18の開始から終了までの腰付近20の上下方向と前後方向の移動量(又は膝を曲げる動作での腰付近20の下方向と前後方向の移動量)を算出する。
【0232】
(作用及び効果)
この運動判定装置では、各センサ50、52から取得した腰付近20の上下方向と前後方向の移動量とからスクワット運動18を行った際の利用者16の姿勢等を知ることができる。このため、第四実施形態の運動判定装置であっても、第一実施形態と同様に、理想的な運動が行われているか否かを判定することが可能となる。
【0233】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0234】
10,402,500 運動判定装置
12 運動判定システム
14 端末装置
16 利用者
18 スクワット運動
20 腰付近
50,430 姿勢検出センサ
52,432 動作検出センサ
100 プロセッサ
114 表示部
116 報知部
120 通信部
140 第一閾値(基準後方移動量)
142,440 第二閾値(基準下方移動量)
144 第三閾値(基準前方移動量)
170 処理部
214 表示部
216 報知部
220 通信部
222 タッチパネル
410 姿勢検出装置
412 動作検出装置
414 大腿部