(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055210
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】乗客コンベアシステムおよびデータ収集方法
(51)【国際特許分類】
B66B 27/00 20060101AFI20240411BHJP
B66B 23/12 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B66B27/00 C
B66B23/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161958
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小浜 吉弘
(72)【発明者】
【氏名】森下 真年
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英明
(72)【発明者】
【氏名】大西 友治
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321CB01
3F321EA11
3F321EB10
(57)【要約】
【課題】乗客コンベアに係るデータを適切に収集し得る乗客コンベアシステムを提供する。
【解決手段】循環移動する無端状に連結された複数のステップを備える乗客コンベアを含んで構成される乗客コンベアシステムであって、複数のステップのうちの所定のステップに設けられ、乗客コンベアの機器の情報を取得するセンサとの無線通信により、センサのデータを収集するデータ収集装置と、データ収集装置により収集されたセンサのデータをデータ収集装置との無線通信により受信し、受信したデータをもとに乗客コンベアの異常を検出する異常検出装置と、を設けるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環移動する無端状に連結された複数のステップを備える乗客コンベアを含んで構成される乗客コンベアシステムであって、
前記複数のステップのうちの所定のステップに設けられ、前記乗客コンベアの機器の情報を取得するセンサとの無線通信により、前記センサのデータを収集するデータ収集装置と、
前記データ収集装置により収集された前記センサのデータを前記データ収集装置との無線通信により受信し、受信したデータをもとに前記乗客コンベアの異常を検出する異常検出装置と、
を備える乗客コンベアシステム。
【請求項2】
前記データ収集装置は、
前記センサに到達するまでの時間を測定し、前記センサに接近したと判断したときに前記センサのデータを収集し、
前記異常検出装置に到達するまでの時間を測定し、前記異常検出装置に接近したと判断したときに前記センサのデータを前記異常検出装置に送信する、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項3】
前記乗客コンベアを複数含んで構成され、
前記乗客コンベアは、無線通信が可能な無線中継器と前記データ収集装置とを備え、
前記無線中継器は、自乗客コンベアの三角ガードに設けられ、
前記データ収集装置は、自乗客コンベアに係るデータを収集し、収集したデータを自乗客コンベアの無線中継器に送信し、
前記無線中継器は、自乗客コンベアに係るデータを他乗客コンベアの無線中継器に送信する、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項4】
前記異常検出装置は、前記複数の乗客コンベアの各々の異常を監視するための監視システムに通信回線を介して接続され、
前記複数の乗客コンベアの各々は、前記異常検出装置を備え、
前記複数の乗客コンベアには、第1の乗客コンベアと第2の乗客コンベアとが含まれ、
前記第2の乗客コンベアのデータ収集装置は、前記第2の乗客コンベアの異常検出装置により検出された前記第2の乗客コンベアの異常に係るデータを収集し、収集した異常に係るデータを前記第2の乗客コンベアの無線中継器に送信し、
前記第2の乗客コンベアの無線中継器は、前記第2の乗客コンベアのデータ収集装置から受信した異常に係るデータを前記第1の乗客コンベアの無線中継器に送信し、
前記第1の乗客コンベアのデータ収集装置は、前記第2の乗客コンベアの異常に係るデータを前記第1の乗客コンベアの無線中継器から収集し、収集した異常に係るデータを前記第1の乗客コンベアの異常検出装置に送信し、
前記第1の乗客コンベアの異常検出装置は、前記第2の乗客コンベアの異常に係るデータを前記監視システムに送信する、
請求項3に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項5】
前記複数の乗客コンベアには、前記異常検出装置を備える第1の乗客コンベアと、前記異常検出装置を備えない第2の乗客コンベアとが含まれ、
前記第2の乗客コンベアのデータ収集装置は、前記第2の乗客コンベアのセンサにより取得された前記センサのデータを前記第2の乗客コンベアの無線中継器に送信し、
前記第2の乗客コンベアの無線中継器は、前記第2の乗客コンベアのセンサのデータを前記第1の乗客コンベアの無線中継器に送信し、
前記第1の乗客コンベアのデータ収集装置は、前記第1の乗客コンベアの無線中継器から前記第2の乗客コンベアのセンサのデータを収集し、収集したデータを前記異常検出装置に送信し、
前記異常検出装置は、前記第2の乗客コンベアのセンサのデータを前記第1の乗客コンベアのデータ収集装置から受信し、受信したデータをもとに前記第2の乗客コンベアの異常を検出する、
請求項3に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項6】
循環移動する無端状に連結された複数のステップを備える乗客コンベアを含んで構成される乗客コンベアシステムにおけるデータ収集方法であって、
前記複数のステップのうちの所定のステップに設けられるデータ収集装置が、前記乗客コンベアの機器の情報を取得するセンサとの無線通信により、前記センサのデータを収集することと、
異常検出装置が、前記データ収集装置により収集された前記センサのデータを前記データ収集装置との無線通信により受信し、受信したデータをもとに前記乗客コンベアの異常を検出することと、
を含むデータ収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、乗客コンベアに係るデータを収集する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレーターは、エスカレーターの異常を検出する装置として、非常停止ボタン、ステップチェーン切断検出装置、ハンドレールストップ検出装置等、多くの監視用センサを有している。監視用センサは、ステップ、チェーン等の駆動箇所を含むエスカレーター内部にも設置される。
【0003】
監視用センサから有線で測定データを取り出す場合、配線がチェーン等、付近の駆動箇所に巻き込まれてしまうおそれがある。この点、無線により測定データを無線センサ端末からデータ収集装置、さらに電話回線、インターネット回線等による通信回線を介し、遠隔地に存在する監視システムに送信する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、エスカレーターの故障の予兆を検出するために、ハンドレール駆動装置、下部機械室の歯車(下部ギヤ)等、様々な場所にセンサが設置される。上部機械室の異常検出装置は、当該センサにより取得された測定データをもとに、エスカレーターの故障を診断する。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、無線通信の距離および機械的な電波干渉に対する影響が考慮されていない。また、下部機械室の測定データを上部機械室へ無線通信する必要もあり、安定した通信品質を担保することが難しい。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、乗客コンベアに係るデータを適切に収集し得る乗客コンベアシステム等を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、循環移動する無端状に連結された複数のステップを備える乗客コンベアを含んで構成される乗客コンベアシステムであって、前記複数のステップのうちの所定のステップに設けられ、前記乗客コンベアの機器の情報を取得するセンサとの無線通信により、前記センサのデータを収集するデータ収集装置と、前記データ収集装置により収集された前記センサのデータを前記データ収集装置との無線通信により受信し、受信したデータをもとに前記乗客コンベアの異常を検出する異常検出装置と、を設けるようにした。
【0009】
上記構成では、循環移動するステップにデータ収集装置が設けられているので、例えば、データ収集装置は、循環移動する際に、センサとの通信品質が良い位置においてセンサのデータを受信し、異常検出装置との通信品質が良い位置においてセンサのデータを異常検出装置に送信することができる。上記構成によれば、通信品質が悪くてセンサのデータを収集できないことにより、異常検出装置が乗客コンベアの異常を検出できない事態を回避することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乗客コンベアに係るデータを適切に収集し得る乗客コンベアシステムを実現することができる。上記以外の課題、構成、および効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態によるエスカレーターシステムの一例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態によるエスカレーターシステムの一例を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態によるフローチャートの一例を示す図である。
【
図4】第2の実施の形態によるエスカレーターシステムの一例を示す図である。
【
図5】第2の実施の形態によるエスカレーターシステムの一例を示す図である。
【
図6】第2の実施の形態による通信経路を説明するための図である。
【
図7】第2の実施の形態によるフローチャートの一例を示す図である。
【
図8】第3の実施の形態によるエスカレーターシステムの一例を示す図である。
【
図9】第3の実施の形態によるエスカレーターシステムの一例を示す図である。
【
図10】第4の実施の形態によるエスカレーターシステムの一例を示す図である。
【
図11】第4の実施の形態によるエスカレーターシステムの一例を示す図である。
【
図12】第4の実施の形態による通信経路を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を詳述する。ただし、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
本実施の形態は、乗客コンベアのステップを活用してデータを収集する乗客コンベアシステムに関する。なお、乗客コンベアは、エスカレーター、オートライン等である。
【0014】
本乗客コンベアシステムにおいては、乗客コンベアのステップにデータ収集装置が設けられる。データ収集装置は、乗客コンベアに設置された各種のセンサとの通信品質が高くなった際(例えば、所定の距離内になった際、電波強度が所定値以上になった際)に乗客コンベアに係るデータを収集する。また、データ収集装置は、乗客コンベアに係るデータを監視センタの監視システムに通知する通信装置(異常検出装置であってもよい)との通信品質が高くなった際に測定データを通信装置に提供する。
【0015】
上記構成によれば、通信品質が高い状態で乗客コンベアに係るデータが送受信されるので、監視システムにおける遠隔監視が可能となる。
【0016】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、1つ以上の通信インターフェースデバイスでよい。1つ以上の通信インターフェースデバイスは、1つ以上の同種の通信インターフェースデバイスであってもよいし、2つ以上の異種の通信インターフェースデバイスであってもよい。
【0017】
また、以下の説明では、「メモリ」は、1つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも1つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし、不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、1つ以上の記憶デバイスの一例である1つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば、補助記憶デバイス)でよく、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、または、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0019】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくとも永続記憶装置でよい。
【0020】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、1つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいし、マルチコアでもよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも1つのプロセッサデバイスは、処理の一部または全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0021】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、1つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、1つ以上のハードウェア回路(例えば、FPGAまたはASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置および/またはインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配付計算機または計算機が読み取り可能な記憶媒体(例えば、非一時的な記憶媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が1つの機能にまとめられたり、1つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0022】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数または順序を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は、文脈毎に用いられ、1つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0023】
次に、本発明の幾つかの実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は、単数でも複数でも構わない。
【0024】
なお、以下の説明では、図面において同一要素については、同じ番号を付し、説明を適宜省略する。また、同種の要素を区別しないで説明する場合には、枝番を含む参照符号のうちの共通部分(枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、センサを特に区別しないで説明する場合には、「センサ102」と記載し、個々のセンサを区別して説明する場合には、「第1のセンサ102-1」、「第2のセンサ102-2」のように記載することがある。
【0025】
(I)第1の実施の形態
図1において、100は、全体として第1の実施の形態によるエスカレーターシステムを示す。
図1および
図2を用いてエスカレーターシステム100について説明する。
【0026】
エスカレーターシステム100は、エスカレーター101のターミナルギヤ(上部ギヤ、下部ギヤ)、ハンドレール駆動装置等の各機器の情報を取得するために設けられたセンサ102の測定データを、異常検出装置103に集約する。異常検出装置103は、各機器の状態を診断し、異常があった際には、電話回線104および遠隔監視網105を介して、異常を検出したことを示す情報を監視システム106に通知する。
【0027】
エスカレーター101は、建築構造物に設置されるフレームと、当該フレーム内に設けられて循環移動する無端状に連結された複数のステップとを備えている。複数のステップには、無端状のチェーンが連結されていて、チェーンが回転駆動することで、複数のステップが循環移動する。また、複数のステップのうちの少なくとも1つには、データ収集装置200を備える収集ステップ107が設けられている。データ収集装置200は、各センサ102の測定データを収集し、収集した測定データを異常検出装置103に送信する。
【0028】
より具体的には、データ収集装置200は、収集データを記憶する第1の記憶部201と、通信用データを記憶する第2の記憶部202と、データの収集に係る制御(時間のカウント等)を行う制御部203と、外部(センサ102、異常検出装置103等)との通信を行う通信部204とを備える。なお、制御部203が実行する処理については、
図3を用いて説明する。
【0029】
本実施の形態における収集データとしては、センサ102により取得された測定データを例に挙げて説明する。通信用データは、センサ102との通信品質が高い地点で通信を行うために規定されたデータである。通信用データは、例えば、収集ステップ107が上部機械室または下部機械室で反転したときからセンサ102に到達する(センサ102に最も近づく)までにかかる時間を示すデータである。なお、通信用データは、例えば、所定の通信強度を示すデータであってもよい。
【0030】
データ収集装置200の機能(第1の記憶部201、第2の記憶部202、制御部203、通信部204等)は、例えば、プロセッサが永続記憶装置に格納されたプログラムをメモリに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。なお、データ収集装置200の1つの機能は、複数の機能に分けられていてもよいし、複数の機能は、1つの機能にまとめられていてもよい。また、データ収集装置200の機能の一部は、別の機能として設けられてもよいし、他の機能に含められていてもよい。また、データ収集装置200の機能の一部は、データ収集装置200と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0031】
センサ102は、測定対象の機器の定量的な情報を取得(センシング)する素子、装置等である。センサ102は、センシングに係る制御を行う制御部211と、外部(データ収集装置200、異常検出装置103等)との通信を行う通信部212とを備える。エスカレーターシステム100では、第1のセンサ102-1と、第2のセンサ102-2と、第3のセンサ102-3とが設けられている。第1のセンサ102-1は、下部機械室に設けられている機器(例えば、下部ギヤ)の情報を取得する。第2のセンサ102-2は、ハンドレール駆動装置の情報を取得する。第3のセンサ102-3は、上部機械室に設けられている機器(制御盤、モータ、上部ギヤ等)の情報を取得する。
【0032】
センサ102の機能(制御部211、通信部212等)は、例えば、プロセッサが永続記憶装置に格納されたプログラムをメモリに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。
【0033】
異常検出装置103は、収集データを記憶する記憶部221と、収集データをもとに異常判定等を行う制御部222と、外部(センサ102、監視システム106、収集ステップ107等)との通信を行う通信部223とを備える。
【0034】
異常検出装置103の機能(記憶部221、制御部222、通信部223等)は、例えば、プロセッサが永続記憶装置に格納されたプログラムをメモリに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。
【0035】
本実施の形態では、センサ102としては、第1のセンサ102-1と、第2のセンサ102-2と、第3のセンサ102-3との3系統が設けられている。実際には、4系統以上であってもよいし、号機により数が異なってもよい。また、第3のセンサ102-3については、異常検出装置103へのデータ通信を示す矢印の記載がある様に、センサ102と異常検出装置103との位置関係によっては、必ずしも収集ステップ107を必須とする必要はない。また、遠隔監視網105に接続される電話回線104は、アナログ電話回線、PHS回線、LTE回線、インターネット回線等であってもよく、異常検出装置103が遠隔監視網105に接続される回線の種類は問わず、適用可能である。
【0036】
図3は、測定データ取集処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【0037】
収集ステップ107に設けられたデータ収集装置200は、あらかじめ定められた所定の方法に従い、各センサ102との距離および異常検出装置103との距離をカウント(測定)しているものとする。
【0038】
例えば、データ収集装置200には、エスカレーター101の稼動中(収集ステップ107が一定速度で循環移動している際)に、収集ステップ107が上部機械室または下部機械室で反転したときから、収集ステップ107と各センサ102との距離が最も近づいたときまでの時間が測定されて通信用データとして登録されている。データ収集装置200は、エスカレーター101の稼働中は、収集ステップ107が上部機械室または下部機械室で反転したときからの時間を測定し、収集ステップ107と各センサ102との距離が近づくタイミング(所定の距離まで接近するタイミング)を把握する。
【0039】
なお、エスカレーター101が緊急停止した場合は、データ収集装置200は、データ収集を停止する。その後、収集ステップ107が一定速度で循環移動するようになると、データ収集装置200は、カウント値を初期化し、収集ステップ107が上部機械室または下部機械室で反転したときからの時間を測定し、データ収集を行う。付言するならば、データ収集装置200は、収集ステップ107が1周するごとに、カウント値をリセットしてもよい。また、データ収集装置200については、上部機械室および下部機械室で反転するごとに、各センサ102との距離および異常検出装置103との距離を測定するように構成してもよい。
【0040】
ステップS301では、データ収集装置200は、収集ステップ107が循環移動して第1のセンサ102-1に第1の距離まで接近したか否かを判定する。データ収集装置200は、接近したと判定した場合、ステップS302に処理を移し、接近していないと判定した場合、ステップS303に処理を移す。
【0041】
ここで、データ収集装置200は、ステップS301の距離による判定に加えてまたは代えて、通信強度を測定し、通信強度が所定の値以上となった場合に、第1のセンサに接近したと判定してもよい。なお、以下に示す距離による判定についても同様であってもよい。
【0042】
ステップS302では、データ収集装置200は、第1のセンサ102-1との無線通信により、第1のセンサ102-1から測定データを収集する。
【0043】
ステップS303では、データ収集装置200は、収集ステップ107が循環移動して第2のセンサ102-2に第2の距離まで接近したか否かを判定する。データ収集装置200は、接近したと判定した場合、ステップS304に処理を移し、接近していないと判定した場合、ステップS305に処理を移す。
【0044】
ステップS304では、データ収集装置200は、第2のセンサ102-2との無線通信により、第2のセンサ102-2から測定データを収集する。
【0045】
ステップS305では、データ収集装置200は、収集ステップ107が循環移動して第3のセンサ102-3に第3の距離まで接近したか否かを判定する。データ収集装置200は、接近したと判定した場合、ステップS306に処理を移し、接近していないと判定した場合、ステップS307に処理を移す。
【0046】
ステップS306では、データ収集装置200は、第3のセンサ102-3との無線通信により、第3のセンサ102-3から測定データを収集する。
【0047】
ステップS307では、データ収集装置200は、収集ステップ107が循環移動して異常検出装置103に第4の距離まで接近したか否かを判定する。データ収集装置200は、接近したと判定した場合、ステップS308に処理を移し、接近していないと判定した場合、ステップS301に処理を戻す。
【0048】
ステップS308では、データ収集装置200は、異常検出装置103との無線通信により、ステップS302、ステップS304およびステップS306において収集した収集データを異常検出装置103に送信する。
【0049】
また、エスカレーターシステム100では、異常検出装置103は、監視診断処理(ステップS311からステップS313の処理)を繰り返し実行している。
【0050】
ステップS311では、異常検出装置103は、データ収集装置200から収集データを受信し、受信した収集データもとにエスカレーター101の各機器の異常を診断する。
【0051】
ステップS312では、異常検出装置103は、診断の結果、エスカレーター101に異常があるか否かを判定する。異常検出装置103は、エスカレーター101に異常がある(例えば、故障の予兆を検出した)と判定した場合、ステップS313に処理を移し、異常がないと判定した場合、処理を終了する。
【0052】
ステップS313では、異常検出装置103は、エスカレーター101に異常があることを示す情報を監視システム106に送信(通報)する。なお、監視システム106において異常があることが出力されると、作業者の出動指示、作業計画等、必要な処置が施される。付言するならば、異常検出装置103は、エスカレーター101に異常がないことを示す情報を監視システム106に送信してもよい。
【0053】
このようにして、各センサ102および異常検出装置103に収集ステップ107が接近した際にデータ送受信を実施することにより、通信品質の高いデータ収集を可能とし、エスカレーター101の異常監視に活用される。
【0054】
なお、上述した第1の距離、第2の距離、第3の距離、および第4の距離は、全てが同じ値であってもよいし、一部が同じ値であってもよいし、全てが異なる値であってもよい。
【0055】
(II)第2の実施の形態
本実施の形態では、三角ガードまたは三角ガード付近に設けられる無線中継器を用いて号機間でデータの送受信が行われる点が第1の実施の形態と主に異なる。なお、三角ガードは、建物のはり、天井等と、エスカレーターの移動手すりとの間に生じる三角部に、利用者が挟まれてしまう事態を防ぐために、エスカレーターに設けられる部材(固定式保護板、可動式警告板等)である。
【0056】
図4および
図5を用いて、本実施の形態のエスカレーターシステム400について説明する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同じ構成については同じ符号を用い、その説明を適宜に省略する。
【0057】
エスカレーターシステム400の三角ガード401には、無線中継器500が設けられている。例えば、第1のエスカレーター101A(A号機)の無線中継器500Aと第2のエスカレーター101B(B号機)の無線中継器500Bとは、無線通信を行い、号機間で収集データの送受信を行う。本実施の形態では、収集データには、収集ステップ107により収集されたセンサ102の測定データと、異常検出装置103により診断された結果を示す診断結果データとの少なくとも1つが含まれる。
【0058】
無線中継器500は、号機データ(自号機の収集データおよび他号機の収集データ)を記憶する記憶部501と、収集データの中継に係る制御(例えば、フラグの制御)を行う制御部502と、外部(自号機の収集ステップ107、他号機の無線中継器500等)との通信を行う通信部503とを備える。
【0059】
無線中継器500の機能(記憶部501、制御部502、通信部503等)は、例えば、プロセッサが永続記憶装置に格納されたプログラムをメモリに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。
【0060】
なお、無線中継器500は、三角ガード401の板部に設けられてもよいし、三角ガード401が建物等に設置される設置部に設けられてもよいし、三角ガード401に内蔵されてもよいし、三角ガード401が建物等に設置されている付近(枠体、欄干、壁601等)に設けられてもよい。また、エスカレーター101は、A号機とB号機との2系統を含んで構成されているが、3系統以上であってもよい。
【0061】
図6は、エスカレーターシステム400の近接号機に対する通信経路を説明するための図であり、上下に近接号機が存在する場合の一例を示す図である。
【0062】
エスカレーター101を建物の壁601(壁面)に沿って設置する際は、建物の上下を通して隙間602が設けられることを示している。本図に示す隙間602を、三角ガード401による近接号機との通信経路に使用することで、通信経路上の機器の干渉が無く通信品質を確保することが可能となる。
【0063】
なお、近接号機は、近接している号機である。例えば、近接号機としては、第1の号機と、第1の号機の無線中継器500と無線通信可能な無線中継器500を備える第2の号機とが挙げられる。この場合、第1の号機と第2の号機とが隣接して設けられていてもよいし、第1の号機と第2の号機との間に1つ以上の他の号機が設けられていてもよい。
【0064】
図7は、号機通信処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【0065】
本実施の形態では、データ収集装置200には、エスカレーター101の稼動中に、収集ステップ107が上部機械室または下部機械室で反転したときから、収集ステップ107と三角ガード401との距離が最も近づいたときまでの時間が測定されて通信用データとして登録されている。データ収集装置200は、エスカレーター101の稼働中は、収集ステップ107と三角ガード401との距離が近づくタイミング(所定の距離まで接近するタイミング)を把握する。
【0066】
以下では、B号機の異常検出装置103Bにより診断された診断結果データが、A号機の異常検出装置103Aに伝達され、異常検出装置103Aより電話回線104Aおよび遠隔監視網105を介して監視システム106に通報されるケースについて説明する。
【0067】
ステップS711では、データ収集装置200Bは、収集ステップ107Bが循環移動して異常検出装置103Bに第1の距離まで接近したか否かを判定する。データ収集装置200Bは、接近したと判定した場合、ステップS712に処理を移し、接近していないと判定した場合、ステップS711の処理を繰り返す。
【0068】
ステップS712では、データ収集装置200Bは、異常検出装置103Bとの無線通信により、診断結果データを異常検出装置103Bから収集(取得)する。
【0069】
ステップS713では、データ収集装置200Bは、収集ステップ107Bが循環移動して三角ガード401Bに第2の距離まで接近したか否かを判定する。データ収集装置200Bは、接近したと判定した場合、ステップS714に処理を移し、接近していないと判定した場合、ステップS713の処理を繰り返す。
【0070】
ステップS714では、データ収集装置200Bは、無線中継器500Bとの無線通信により診断結果データを無線中継器500Bに送信し、処理を終了する。
【0071】
ステップS721では、無線中継器500Bは、収集ステップ107Bから診断結果データを受信すると、A号機の無線中継器500Aとの無線通信により、無線中継器500Aに診断結果データを送信し、処理を終了する。A号機の無線中継器500Aは、B号機の無線中継器500Bから診断結果データを受信した場合、診断結果データの伝達準備を行う。例えば、無線中継器500Aは、他号機から診断結果データを受信したことを示すデータを生成(中継フラグをON)にする。
【0072】
ステップS731では、データ収集装置200Aは、収集ステップ107Aが循環移動して三角ガード401Aに第3の距離まで接近したか否かを判定する。データ収集装置200Aは、接近したと判定した場合、ステップS732に処理を移し、接近していないと判定した場合、ステップS731の処理を繰り返す。
【0073】
ステップS732では、データ収集装置200Aは、無線中継器500Aとの無線通信により、B号機の診断結果データを無線中継器500Aから取得する。この際、データ収集装置200Aは、はじめに無線中継器500Aの状態(中継フラグ)を確認し、伝達準備状態(中継フラグがON)となっていた場合、診断結果データを無線中継器500Aに要求する。データ収集装置200Aは、他号機の診断結果データを受信した場合、診断結果データの伝達準備を行う。例えば、データ収集装置200Aは、他号機から診断結果データを収集したことを示すデータを生成(収集フラグをON)にする。
【0074】
ステップS733では、データ収集装置200Aは、収集ステップ107Aが循環移動して異常検出装置103Aに第4の距離まで接近したか否かを判定する。データ収集装置200Aは、接近したと判定した場合、ステップS734に処理を移し、接近していないと判定した場合、ステップS733の処理を繰り返す。
【0075】
ステップS734では、データ収集装置200Aは、異常検出装置103Aとの無線通信により、B号機の診断結果データを異常検出装置103Aに送信する。この際、データ収集装置200Aは、はじめにデータ収集装置200の状態(収集フラグ)を確認し、伝達準備状態(収集フラグがON)となっていた場合、B号機の診断結果データを異常検出装置103Aに送信する。
【0076】
ステップS741では、異常検出装置103Aは、B号機の診断結果データを受信し、受信したB号機の診断結果データが異常を示すデータであるかを確認する。
【0077】
ステップS742では、異常検出装置103Aは、確認の結果、エスカレーター101Bに異常があるか否かを判定する。異常検出装置103は、エスカレーター101Bに異常があると判定した場合、ステップS743に処理を移し、異常がないと判定した場合、処理を終了する。
【0078】
ステップS743では、異常検出装置103Aは、エスカレーター101Bに異常があることを示す情報を監視システム106に送信(通報)する。なお、監視システム106において異常があることが出力されると、作業者の出動指示、作業計画等、必要な処置が施される。付言するならば、異常検出装置103は、エスカレーター101Bに異常がないことを示す情報を監視システム106に送信してもよい。
【0079】
このようにして、収集ステップ107が異常検出装置103に接近した際に診断結果データが収集され、診断結果データは、三角ガード401を経由して、他号機の収集ステップ107、異常検出装置103に送信される。これにより、例えば、電話回線104の接続不良が発生した場合等に、他号機との通信品質の高いデータ送受信を可能とし、エスカレーター101の異常監視に活用される。
【0080】
図7では、異常検出装置103で異常有無を判定した診断結果データを他号機に伝達するケースについて説明したが、データ収集装置200により収集したセンサ102の測定データを、他号機の測定データとして送受信してもよい。なお、この場合、例えば、異常検出装置103Aは、B号機の測定データをもとに、エスカレーター101Bの異常有無を判定し、診断結果データを監視システム106に送信してもよい。また、例えば、異常検出装置103Aは、監視システム106にB号機の測定データを送信してもよい。
【0081】
(III)第3の実施の形態
エスカレーターの導入において電話回線を設ける場合は、購入コスト、設置コスト、維持コスト等がかかるといった問題がある。
【0082】
ここで、建物内に複数のエスカレーターが収められている場合に、各号機のデータ収集装置を接続する通信線を不要とするため、上下に隣接する号機に対して、無線通信により診断結果データを送信する方法が提案されている(特開2001-240357号公報)。
【0083】
しかしながら、上記特許文献に記載の技術では、エスカレーターに設置される様々なセンサの測定データを収集することが困難である。
【0084】
この点、本実施の形態では、収集ステップおよび三角ガード(通信品質の高い通信)を利用して、異常検出装置103および/または電話回線104を削減することができる。以下、図面を用いて本実施の形態について説明する。
【0085】
図8および
図9は、本実施の形態のエスカレーターシステム800に係る構成の一例を示す図である。本実施の形態では、遠隔監視網105と異常検出装置103とに接続される電話回線104は、所定の号機の電話回線104のみである。本実施の形態では、電話回線104が接続された号機を親号機と記すことがある。以下では、エスカレーター101L(L号機)を親号機として説明する。なお、
図8では、各エスカレーター101の号機に設置されている各センサ102については図示を省略する。
【0086】
エスカレーターシステム800では、子号機(M号機およびN号機)のセンサ102の測定データは、収集ステップ107M,107Nにより三角ガード401M,401Nに送信される。三角ガード401M,401Nは、親号機の三角ガード401Lを目指し、直接あるいは中間の号機を経由して自身の号機の測定データを送信する。親号機の三角ガード401Lは、子号機からの測定データを受信したことにより、収集ステップ107Lが接近した際に、収集ステップ107Lに子号機の測定データを送信する。収集ステップ107Lは、異常検出装置801に接近した際に、異常検出装置801に子号機の測定データを送信する。
【0087】
このようにして、収集ステップ107が三角ガード401に接近した際と、収集ステップ107が異常検出装置103に接近した際とに、データを送受信する特徴に加え、子号機の測定データを親号機の異常検出装置103に集約する構成とする。これにより、通信品質を高く確保しながら、子号機分の異常検出装置103および電話回線104の購入コスト、設置コストおよび維持コストを削減することが可能となる。
【0088】
なお、
図8および
図9では、異常検出装置103と電話回線104の員数を削減する構成を示したが、異常検出装置103は、各号機に設け、診断結果データを親号機に集約する構成とし、電話回線104のみコスト削減することとしてもよい。その場合に、子号機の収集データは、センサ102の測定データではなく、子号機の異常検出装置103で得られた診断結果データを集約する方法としてもよい。
【0089】
上述の実施の形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
【0090】
(A)通信回線が不要
複数の乗客コンベア(エスカレーター101L、エスカレーター101M等)を含んで構成される乗客コンベアシステム(例えば、エスカレーターシステム800)であって、上記乗客コンベアに係るデータ(測定データ、診断結果データ等)を、通信回線(電話回線104、遠隔監視網105等)を介して監視システム(例えば、監視システム106)に送信する通信装置(例えば、異常検出装置801)を備え、上記乗客コンベアは、自乗客コンベアに係るデータを収集するデータ収集装置(データ収集装置200L、データ収集装置200M等)と、無線通信が可能な無線中継器(無線中継器500L、無線中継器500M等)と、を備え、上記複数の乗客コンベアには、上記通信装置を備える第1の乗客コンベア(エスカレーター101L)と、上記通信装置を備えない第2の乗客コンベア(エスカレーター101M)とが含まれ、上記第2の乗客コンベアの第2の無線中継器(例えば、無線中継器500M)は、上記第2の乗客コンベアに係るデータ(測定データ、診断結果データ等)を上記第2の乗客コンベアの第2のデータ収集装置(例えば、データ収集装置200M)から受信し、受信したデータを上記第1の乗客コンベアの第1の無線中継器(例えば、無線中継器500L)に送信し、上記第1の乗客コンベアの第1のデータ収集装置(データ収集装置200L)は、上記第2の乗客コンベアに係るデータを上記第1の無線中継器から収集し、収集したデータを上記通信装置に送信する。
【0091】
上記構成によれば、例えば、第2の乗客コンベアに係るデータは、第1の乗客コンベアに伝達されて監視システムに送信されるので、第2の乗客コンベアの通信回線を削減することができる。
【0092】
(B)異常検出装置が不要
上記(A)に記載の乗客コンベアシステムであって、上記通信装置は、上記複数の乗客コンベアの各々の異常を検出する異常検出部(例えば、異常検出装置801)を備え、上記第2のデータ収集装置は、上記第2の乗客コンベアの機器の情報を取得する第2のセンサ(例えば、センサ102-1M、センサ102-2M、センサ102-3M)のデータを収集し、収集した上記第2のセンサのデータを上記第2の無線中継器に送信し、上記第2の無線中継器は、上記第2のセンサのデータを上記第1の無線中継器に送信し、上記第1の無線中継器は、上記第2のセンサのデータを上記第1のデータ収集装置に送信し、上記第1のデータ収集装置は、上記第2のセンサのデータを上記異常検出部に送信し、上記異常検出部は、上記第2のセンサのデータをもとに上記第2の乗客コンベアの異常を検出し、検出した異常に係るデータを上記監視システムに送信する。
【0093】
上記構成によれば、例えば、第2の乗客コンベアのセンサのデータが第1の乗客コンベアの異常検出部に伝達され、第2の乗客コンベアの異常が検出されるので、第2の乗客コンベアの異常検出部を削減することができる。
【0094】
(C)移動体による収集
上記(A)に記載の乗客コンベアシステムであって、上記複数の乗客コンベアの各々のデータ収集装置は、自乗客コンベアのセンサと上記通信装置とに接近し得る移動体に搭載される。
【0095】
上記移動体は、収集ステップ107であってもよいし、収集ステップ107が取り付けられるチェーンであってもよいし、収集ステップ107と共に循環移動するハンドレールであってもよいし、エスカレーター101の乗客(駅員、作業員等)であってもよい。
【0096】
上記構成では、例えば、データ収集装置は、移動体がセンサに接近した際にセンサのデータを受信し、移動体が通信装置に接近した際にセンサのデータを送信することができるので、センサのデータを安定して送受信することができる。
【0097】
(D)上下の号機間でのデータ通信
上記(A)に記載の乗客コンベアシステムであって、上記複数の乗客コンベアは、上下に近接している乗客コンベア(例えば、エスカレーター101L、エスカレーター101M)であり、上記複数の乗客コンベアの各々の無線中継器は、自乗客コンベアの三角ガード(例えば、三角ガード401)または上記三角ガード付近(枠体、欄干、壁601)に設けられる。
【0098】
なお、無線中継器500Lと無線中継器500Mとがデータ通信を行い、無線中継器500Mと無線中継器500Nとがデータ通信を行うといったように隣接するエスカレーター101間においてデータ通信を行う例を示したが、この構成に限らない。例えば、無線中継器500Lと無線中継器500Nとがデータ通信を行うといったように近接するエスカレーター101間においてデータ通信が行われてもよい。
【0099】
上記構成では、例えば、上下に近接する乗客コンベアと建物の壁との隙間を用いてデータ通信することができる。上記構成によれば、例えば、障害物により電波が反射、吸収等される事態を低減することができ、通信品質を確保して上下の号機間でデータ通信することができる。
【0100】
(IV)第4の実施の形態
図10および
図11は、第4の実施の形態のエスカレーターシステム1000に係る構成の一例を示す図である。本実施の形態では、エスカレーター101の号機が上下(縦)だけでなく、左右(横)にも隣接して設置された場合の構成を示している。なお、
図10および
図11については、W号機~Z号機に設置されている各センサ102については、図示を省略する。
【0101】
本実施の形態では、エスカレーター101(エスカレーター101W、エスカレーター101X、エスカレーター101Y、およびエスカレーター101Z)は、他号機との通信に関し、収集ステップ107と三角ガード401との距離により、データ収集装置200(データ収集装置200W、データ収集装置200X、データ収集装置200Y、およびデータ収集装置200Z)と各センサ102とが通信を行う特徴に加え、三角ガード401(三角ガード401W、三角ガード401X、三角ガード401Y、および三角ガード401Z)を活用することにより左右に隣接した号機との接続、および三角ガード401がメッシュ状に接続することにより障害に強い無線通信を可能とする。三角ガード401は、上下については上述の通り、さらに左右の近接の号機に対しても、電波干渉の無い空間上で通信が可能となる。
【0102】
このようにして、上下の近接号機の三角ガード401だけでなく、左右の号機の三角ガード401も活用して他号機の収集データの通信を行うことにより、一本道の通信経路の場合に比べて中間機器の通信障害に対して強くなる効果が得られる。
【0103】
図12は、上下に加えて左右に近接号機が存在する場合の通信経路を説明するための図である。
図12では、隣接するエスカレーター101同士の間に、建物の上下を通して隙間1200が設けられる例を示している。本図で示す隙間1200を、三角ガード401による左右の近接号機との通信経路に使用することで、通信経路上の機器の干渉が無く通信品質を確保することが可能となる。
【0104】
なお、本実施の形態では、異常検出装置103を各号機に設け、診断結果データを親号機に集約する構成としてもよい。その場合に、子号機の収集データは、センサ102の測定データではなく、各号機の異常検出装置103で得られた診断結果データを集約する方法としてもよい。
【0105】
上述の実施の形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
【0106】
(E)左右の号機間でのデータ通信
上記(A)に記載の乗客コンベアシステムであって、上記複数の乗客コンベアは、左右に近接している乗客コンベア(例えば、エスカレーター101W、エスカレーター101X)であり、上記複数の乗客コンベアの各々の無線中継器(例えば、無線中継器500W、無線中継器500X)は、自乗客コンベアの三角ガード(例えば、三角ガード401W、三角ガード401X)または上記三角ガード付近に設けられる。
【0107】
上記構成では、例えば、左右に近接する乗客コンベアの開放空間を用いてデータ通信することができる。上記構成によれば、例えば、障害物により電波が反射、吸収等される事態を低減することができ、通信品質を確保して左右の号機間でデータ通信することができる。
【0108】
(V)その他の実施の形態
なお、異常検出装置103によるエスカレーター101の異常を判定する機能については上述の限りではなく、監視システム106内にその機能を有してもよい。その場合、エスカレーター101の各センサ102の測定データを、監視システム106に送信する必要があるため、通信コストの上昇は考えられるが、異常検出装置の機能削減に伴う装置コストの低減が見込まれる。また、異常判定に係る機能改善について、設置済みの異常検出装置103を代替することなく、監視システム106内の異常判定機能のみ入れ替えるだけで可能となる。
【0109】
(VI)付記
上述の実施の形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
【0110】
上述の実施の形態においては、本発明を乗客コンベアシステムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0111】
また、上述の実施の形態において、プログラムの一部またはすべては、プログラムソースから、データ収集装置を実現するコンピュータのような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、ネットワークで接続されたプログラム配布サーバまたはコンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。また、上述の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0112】
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0113】
上述した実施の形態は、例えば、以下の特徴的な構成を有する。
【0114】
(1)
循環移動する無端状に連結された複数のステップを備える乗客コンベア(例えば、エスカレーター101)を含んで構成される乗客コンベアシステム(エスカレーターシステム100、エスカレーターシステム400、エスカレーターシステム800、エスカレーターシステム1000等)であって、上記複数のステップのうちの所定のステップ(例えば、収集ステップ107)に設けられ、上記乗客コンベアの機器の情報を取得するセンサ(例えば、センサ102)との無線通信により、上記センサのデータ(例えば、測定データを)を収集するデータ収集装置(例えば、データ収集装置200)と、上記データ収集装置により収集された上記センサのデータを上記データ収集装置との無線通信により受信し、受信したデータをもとに上記乗客コンベアの異常を検出する異常検出装置(異常検出装置103、異常検出装置801等)と、を備える。
【0115】
上記構成では、循環移動するステップにデータ収集装置が設けられているので、例えば、データ収集装置は、循環移動する際に、センサとの通信品質が良い位置においてセンサのデータを受信し、異常検出装置との通信品質が良い位置においてセンサのデータを異常検出装置に送信することができる。上記構成によれば、通信品質が悪くてセンサのデータを収集できないことにより、異常検出装置が乗客コンベアの異常を検出できない事態を回避することができる。
【0116】
(2)
上記データ収集装置は、上記センサに到達するまでの時間を測定し、上記センサに接近したと判断したときに上記センサのデータを収集し(例えば、ステップS301~ステップS306参照)、上記異常検出装置に到達するまでの時間を測定し、上記異常検出装置に接近したと判断したときに上記センサのデータを上記異常検出装置に送信する(例えば、ステップS312およびステップS313参照)。
【0117】
上記構成では、例えば、データ収集装置は、ステップがセンサに接近した際にセンサのデータを受信し、ステップが異常検出装置に接近した際にセンサのデータを送信することができる。上記構成によれば、センサのデータを安定して伝達することができる。
【0118】
(3)
上記乗客コンベアシステムは、上記乗客コンベアを複数含んで構成され(
図4~
図12参照)、上記乗客コンベアは、無線通信が可能な無線中継器(例えば、無線中継器500)と上記データ収集装置とを備え、上記無線中継器は、自乗客コンベアの三角ガード(例えば、三角ガード401)に設けられ、上記データ収集装置は、自乗客コンベアに係るデータ(例えば、診断結果データ)を収集し、収集したデータを自乗客コンベアの無線中継器に送信し(例えば、ステップS711~ステップS714参照)、上記無線中継器は、自乗客コンベアに係るデータを他乗客コンベアの無線中継器に送信する(例えば、ステップS721参照)。
【0119】
上記構成では、例えば、乗客コンベアと建物の壁との隙間を用いてデータ通信することができるので、障害物により電波が反射、吸収等される事態を低減することができ、通信品質を確保して号機間でデータ通信することができる。
【0120】
(4)
上記異常検出装置は、上記複数の乗客コンベアの各々の異常を監視するための監視システム(例えば、監視システム106)に通信回線(電話回線104、遠隔監視網105等)を介して接続され、上記複数の乗客コンベアの各々は、上記異常検出装置を備え(例えば、
図4、
図5参照)、上記複数の乗客コンベアには、第1の乗客コンベアと第2の乗客コンベアとが含まれ、上記第2の乗客コンベアのデータ収集装置は、上記第2の乗客コンベアの異常検出装置により検出された上記第2の乗客コンベアの異常に係るデータを収集し、収集した異常に係るデータを上記第2の乗客コンベアの無線中継器に送信し(例えば、ステップS711~ステップS714参照)、上記第2の乗客コンベアの無線中継器は、上記第2の乗客コンベアのデータ収集装置から受信した異常に係るデータを上記第1の乗客コンベアの無線中継器に送信し(例えば、ステップS721参照)、上記第1の乗客コンベアのデータ収集装置は、上記第2の乗客コンベアの異常に係るデータを上記第1の乗客コンベアの無線中継器から収集し、収集した異常に係るデータを上記第1の乗客コンベアの異常検出装置に送信し(例えば、ステップS731~ステップS734参照)、上記第1の乗客コンベアの異常検出装置は、上記第2の乗客コンベアの異常に係るデータを上記監視システムに送信する(例えば、ステップS741~ステップS743参照)。
【0121】
上記構成によれば、例えば、自乗客コンベアの異常検出装置は、通信回線に不具合が発生して異常に係るデータを送信できない場合でも、他乗客コンベアの異常検出装置を介して異常に係るデータを監視システムに送信することができる。
【0122】
(5)
上記複数の乗客コンベアには、上記異常検出装置を備える第1の乗客コンベア(例えば、エスカレーター101L)と、上記異常検出装置を備えない第2の乗客コンベア(例えば、エスカレーター101M)とが含まれ、上記第2の乗客コンベアのデータ収集装置(例えば、データ収集装置200M)は、上記第2の乗客コンベアのセンサにより取得された上記センサのデータを上記第2の乗客コンベアの無線中継器(例えば、無線中継器500M)に送信し、上記第2の乗客コンベアの無線中継器は、上記第2の乗客コンベアのセンサのデータを上記第1の乗客コンベアの無線中継器(例えば、無線中継器500L)に送信し、上記第1の乗客コンベアのデータ収集装置(例えば、データ収集装置200L)は、上記第1の乗客コンベアの無線中継器から上記第2の乗客コンベアのセンサのデータを収集し、収集したデータを上記異常検出装置(例えば、異常検出装置801)に送信し、上記異常検出装置は、上記第2の乗客コンベアのセンサのデータを上記第1の乗客コンベアのデータ収集装置から受信し、受信したデータをもとに上記第2の乗客コンベアの異常を検出する。
【0123】
上記構成によれば、例えば、購入コスト、設置コスト、維持コスト等、第2の乗客コンベア用の異常検出装置に係るコストを削減することができる。
【0124】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【0125】
「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という形式におけるリストに含まれる項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができると理解されたい。同様に、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」の形式においてリストされた項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができる。
【符号の説明】
【0126】
100……エスカレーターシステム、101……エスカレーター、102……センサ、107……収集ステップ。