(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055211
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】スタンディング容器
(51)【国際特許分類】
B65D 30/16 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
B65D30/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161960
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000161884
【氏名又は名称】アスカカンパニー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515209149
【氏名又は名称】菅野包装資材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170025
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 一
(72)【発明者】
【氏名】岸 葉月
(72)【発明者】
【氏名】井上 高幸
(72)【発明者】
【氏名】東 徳明
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA55
3E064BC18
3E064EA12
3E064EA30
3E064FA04
3E064FA05
3E064HF08
3E064HG01
3E064HG05
3E064HL06
3E064HN65
3E064HS07
3E064HU10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内容物が少なくなったとしても、自立可能で、且つ、取り扱い性に優れたスタンディング容器を提供する。
【解決手段】両側端接合部13は、正面シート10の両側端部10aと背面シート11の両側端部11aと底面シート12の両側端部12aとをそれぞれ接合している。上端接合部14は、正面シートの上端部10bと背面シート11の上端部11bとの間に口部17を設けられた状態で、正面シートの上端部と背面シートの上端部とを接合している。一方の係合部15は、上端接合部の左右方向の一方の上方側端部14aに設けられ、他方の係合部16は、上端接合部の左右方向の他方の上方側端部14bに設けられる。一方の上方側端部と他方の上方側端部が、本容器の中央部の付近に向かって折り返され、一方の係合部が、他方の係合部に係合されることで、一方の上方側端部と他方の上方側端部とのそれぞれが折り返された状態で保持される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面シートと、
背面シートと、
底面シートと、
前記正面シートの両側端部と前記背面シートの両側端部と前記底面シートの両側端部とをそれぞれ接合する両側端接合部と、
前記正面シートの上端部と前記背面シートの上端部との間に口部を設けられた状態で、前記正面シートの上端部と前記背面シートの上端部とを接合する上端接合部と、
前記上端接合部の左右方向の一方の上方側端部に設けられた一方の係合部と、
前記上端接合部の左右方向の他方の上方側端部に設けられ、前記一方の係合部と係合可能である他方の係合部と、
を備え、
前記一方の上方側端部が、本容器の中央部の付近に向かって折り返され、前記他方の上方側端部が、本容器の中央部の付近に向かって折り返され、前記一方の係合部が、前記他方の係合部に係合されることで、前記一方の上方側端部と前記他方の上方側端部とのそれぞれが折り返された状態で保持される、
スタンディング容器。
【請求項2】
前記一方の係合部は、突起部から構成され、
前記他方の係合部は、貫通孔で構成され、前記一方の係合部の突起部の先端部を挿通可能であり、
前記一方の係合部の突起部が前記他方の係合部の貫通孔に挿通されることで、前記一方の係合部が前記他方の係合部に係合される、
請求項1に記載のスタンディング容器。
【請求項3】
前記一方の係合部は、突起部と、当該突起部の基端部に接続された基板部とから構成され、前記一方の上方側端部に設けられた貫通孔に前記突起部の先端部を挿通することで、前記一方の上方側端部に設けられ、
前記他方の係合部は、貫通孔で構成され、前記一方の係合部の突起部の先端部を挿通可能であり、
前記一方の係合部は、本容器とは別体で構成され、前記一方の係合部の突起部が前記他方の係合部の貫通孔に挿通されることで、前記一方の係合部が前記他方の係合部に係合される、
請求項1に記載のスタンディング容器。
【請求項4】
前記一方の係合部は、突起部と、当該突起部の基端部に接続された基板部とから構成され、前記一方の上方側端部に設けられた貫通孔に前記突起部の先端部を挿通することで、前記一方の上方側端部に設けられ、
前記他方の係合部は、貫通孔で構成され、前記一方の係合部の突起部の先端部を挿通可能であり、
前記一方の係合部の突起部が前記他方の係合部の貫通孔に挿通されることで、前記一方の係合部が前記他方の係合部に係合され、
前記一方の係合部の基板部から折り曲げ可能で、且つ、前記一方の係合部の突起部に挿通可能な貫通孔を有する挟み部を更に備え、
前記一方の係合部の突起部に前記他方の係合部の貫通孔が装着された後に、前記挟み部の貫通孔が前記一方の係合部の突起部に装着される、
請求項1に記載のスタンディング容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンディング容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、容器や包装袋を折り曲げて機能性を持たせる技術は多種存在する。例えば、特開2005-239211号公報(特許文献1)には、樹脂フィルムを主体とした素材で形成され、両側端縁が接着シールされている包装袋に二つの収納部を有する包装袋が開示されている。この包装袋では、包装袋の一方の側端縁接着シール部と他方の側端縁接着シール部を円筒状に重ね合わせて係止するための係止部が、一方の側端縁接着シール部と他方の側端縁接着シール部に一対または一対以上具備している。これにより、係止部を用いて包装袋を円筒状にすることで、三方シール又は四方シール、或いは三方シール袋又は四方シール袋など平袋の下部を前後に広げて、底部に矩形状の扁平な底面を形成した自立包装袋、或いは袋の底部にガセット部を有する自立包装袋(スタンディング包装袋)等、各種包装形態の包装袋として使用することができ、更に、一つの包装袋に別々に収納されている二種類の収納物を容易に且つ確実に混合でき、片手で安定して注出することができるとしている。
【0003】
又、特開2015-54695号公報(特許文献2)には、パウチ容器と、スリーブとを備える複合容器が開示されている。この複合容器のパウチ容器は、積層フィルムの周縁を熱接着部で熱接着して袋状に形成される収納部の上端に内容物を注出する注出部を取り付けている。スリーブは、上下面を開口した筒状に形成して、収納部が挿入され、樹脂製である。複合容器は、スリーブの下面を接地して立設される。この複合容器では、パウチ容器が熱接着部の一部を側方に突出した突出部を有し、スリーブが突出部に係合する係止孔を周面に有する。そして、複合容器は、注出部を収納部の左右方向の一方に偏った位置に取り付け、パウチ容器が収納部を左右方向の中央部で二つ折りして、スリーブに挿入され、突出部が係止孔により係止される。これにより、パウチ容器の脱落を防止して複合容器の陳列時や収納時のスペースを小さくできるとともに、内容物が減少しても複合容器を自立させることができる。又、この時、注出部が収納部の左右方向の一方に偏って取り付けられるため、収納部を容易に二つ折りすることができ、複合容器の廃棄時にパウチ容器及びスリーブを容易に折り畳んで減容化することができる。従って、市場流通性及び利便性のよい複合容器を実現することができるとしている。
【0004】
又、特開2016-69061号公報(特許文献3)には、対向配置された正面シートと背面シートとを有し、正面シートと背面シートとの両サイドをシールしたサイドシール部と、底部をシールした底シール部と、天部をシールした天シール部とが形成され、正面シートと背面シートとの間に収納部が設けられている包装袋が開示されている。この包装袋では、包装袋の上部に、注出口が設けられ、天シール部の注出口近傍に天係合部が形成され、サイドシール部のいずれか一方に、天係合部と係合可能な側部係合部が形成される。そして、天係合部を側部係合部に向かって折り返したときに、注出口も追随して折り返されて、天係合部と側部係合部とが係合されることで、折り返された状態が保持される。これにより、注出口近辺の天係合部を摘み、側部係合部に向かって折り返すことで、注出口も天係合部の折り返しと追随して折り返されるため、注出口の部分を直接指先で持って折曲げる必要がなく、液体や粉体等の内容物を注出した後に注出口に残る内容物が指に付着するという従来の不具合が生じない。更に、天係合部を側部係合部で係合することで、包装袋が折り返された状態で保持され、しっかりと再封することができる。更に、天係合部を係合させる係合部が側部に形成されていることにより、簡易に天係合部を折り返すことが可能であるだけではなく、残存する内容物の容量によって係合させる側部係合部の高さ方向の位置を調整することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-239211号公報
【特許文献2】特開2015-54695号公報
【特許文献3】特開2016-69061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、スタンディングパウチ、パウチ容器、自立容器、スタンディング包装袋等と呼ばれるスタンディング容器では、内容物が多い場合、容器全体の形状が保持されるため、ユーザはスタンディング容器を自立させて、様々な場所に置いたり、片手で掴んで持ったりすることが出来る。
【0007】
一方、内容物が少なくなると、容器全体の形状が押しつぶされて、平たくなるため、ユーザはスタンディング容器を自立させることが出来ない。そのため、スタンディング容器を置くための大きな場所が必要になったり、ユーザが片手で掴んで持ち難くなったりする。更に、ディスペンサー付きスタンディング容器では、内容物が少なくなると、容器全体の形状が平たくなって、ストロー部が底面まで行かずに内容物を最後まで吸い出し難くなる。
【0008】
このように、スタンディング容器では、内容物が少ないと、取り扱い性が悪化するという課題がある。
【0009】
ここで、特許文献1に記載の技術では、係止部を用いて包装袋を円筒状にすることが出来るものの、二種類の収納物の混合を目的としており、スタンディング容器を前提としておらず、スタンディング容器にそのまま適用することが出来ないという課題がある。
【0010】
又、特許文献2に記載の技術では、突出部と係止孔とを用いてパウチ容器を二つ折りに出来るものの、この技術でも、スタンディング容器を前提としておらず、スタンディング容器にそのまま適用することが出来ないという課題がある。
【0011】
又、特許文献3に記載の技術では、正面シートと背面シートと底シール部とを備えて、スタンディング袋を想定しており、天係合部を側部係合部に向かって折り返すことで、注出口の部分を直接指先で持って折曲げる必要がなくなるものの、スタンディング袋全体として、嵩高い形状のままであり、ユーザが片手で掴んで持つことが出来ないという課題がある。
【0012】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、内容物が少なくなったとしても、自立可能で、且つ、取り扱い性に優れたスタンディング容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るスタンディング容器は、正面シートと、背面シートと、底面シートと、両側端接合部と、上端接合部と、一方の係合部と、他方の係合部と、を備える。両側端接合部は、前記正面シートの両側端部と前記背面シートの両側端部と前記底面シートの両側端部とをそれぞれ接合する。上端接合部は、前記正面シートの上端部と前記背面シートの上端部との間に口部を設けられた状態で、前記正面シートの上端部と前記背面シートの上端部とを接合する。一方の係合部は、前記上端接合部の左右方向の一方の上方側端部に設けられる。他方の係合部は、前記上端接合部の左右方向の他方の上方側端部に設けられ、前記一方の係合部と係合可能である。前記一方の上方側端部が、本容器の中央部の付近に向かって折り返され、前記他方の上方側端部が、本容器の中央部の付近に向かって折り返され、前記一方の係合部が、前記他方の係合部に係合されることで、前記一方の上方側端部と前記他方の上方側端部とのそれぞれが折り返された状態で保持される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、内容物が少なくなったとしても、自立可能で、且つ、取り扱い性に優れたスタンディング容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るスタンディング容器の一例を示す正面斜視図と、一方の係合部と他方の係合部の係合の一例を示す係合概念図と、である。
【
図2】本発明に係るスタンディング容器の一例を示す背面斜視図と、一方の上方側端部が折り返される際の一例を示す背面斜視図と、である。
【
図3】本発明に係るスタンディング容器において、一方の上方側端部が折り返された後の一例を示す背面斜視図と、他方の上方側端部が折り返されて、一方の係合部と他方の係合部とが係合された際の一例を示す背面斜視図と、である。
【
図4】本発明に係るスタンディング容器において、一方の係合部と他方の係合部との構成が異なる場合のスタンディング容器の二例を示す背面図である。
【
図5】本発明に係るスタンディング容器において、一方の係合部にフック部を設けた場合の一例を示す背面図と、フック部を有する一方の係合部と他方の係合部とが係合された際の一例を示す背面斜視図と、である。
【
図6】本発明に係るスタンディング容器において、一方の係合部に挟み部を設けた場合の一例を示す背面図と、フック部と挟み部とを有する一方の係合部と他方の係合部とが係合された場合の一例を示す背面斜視図と、である。
【
図7】本発明に係るスタンディング容器において、口部に保持部と段差部とを設けた場合で、一方の係合部と他方の係合部とが係合された場合の一例を示す背面図と、左側面斜視図と、である。
【
図8】カップ部を有する一方の係合部の一例を示す平面図と正面図と、カップ部を有する一方の係合部と他方の係合部とが係合された場合の一例を示す背面図と左側面図と、である。
【
図9】カップ部を有する一方の係合部と他方の係合部とが係合された場合の一例を示す背面斜視図と左側面図とである。
【
図10】スライド部を有する一方の係合部の一例を示す平面図と底面図と正面図と、スライド部を有する一方の係合部と他方の係合部とが係合された場合の一例を示す背面斜視図と左側面図と、である。
【
図11】口部用貫通孔と突出部とを有する一方の係合部の一例を示す平面図と正面図と、口部用貫通孔と突出部とを有する一方の係合部と他方の係合部とが係合された場合の一例を示す背面斜視図と左側面図と、である。
【
図12】口部用貫通孔を有する一方の係合部の一例を示す平面図と正面図と、口部用貫通孔を有する一方の係合部と他方の係合部とが係合された場合の一例を示す背面図と左側面図と背面斜視図、である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0017】
本発明に係るスタンディング容器1は、
図1-
図2に示すように、正面シート10と、背面シート11と、底面シート12と、両側端接合部13と、上端接合部14と、一方の係合部15と、他方の係合部16と、を備える。
【0018】
ここで、両側端接合部13は、正面シート10の両側端部10aと背面シート11の両側端部11aと底面シート12の両側端部12aとをそれぞれ接合している。尚、両側端接合部13は、正面シート10と背面シート11とを対向させて、底面シート12を正面シート10と背面シート11との下端部に配置した状態で接合しており、これは、一般的なスタンディング容器を構成する接合形態と同等である。
【0019】
又、上端接合部14は、正面シート10の上端部10bと背面シート11の上端部11bとの間に口部17を設けられた状態で、正面シート10の上端部10bと背面シート11の上端部11bとを接合している。
【0020】
又、一方の係合部15は、上端接合部14の左右方向の一方(右側)の上方側端部14aに設けられ、他方の係合部16は、上端接合部14の左右方向の他方(左側)の上方側端部14bに設けられ、一方の係合部15と係合可能である。
【0021】
ここでは、
図1に示すように、一方の係合部15は、円錐状の突起部15aと、突起部15aの基端部に接続された基板部15bとから構成され、一方の上方側端部14aに設けられた円形の貫通孔14a1に突起部15aの先端部を挿通することで、一方の上方側端部14aに設けられ、他方の係合部16は、円形の貫通孔で構成され、一方の係合部15の突起部15aの先端部を挿通可能である。一方の係合部15は、本容器1とは別体で構成されている。
【0022】
そして、本発明では、
図2に示すように、先ず、一方の上方側端部14aが、本容器1の中央部(ここでは、背面シート11の中央部11c)の付近(例えば、背面シート11の中央部11cの上方付近)に向かって折り返される。ここでは、一方の係合部15のうち、突起部15aが外部に表れ、基板部15bが内部に隠れるように、一方の上方側端部14aが、折り返される。
図3に示すように、次に、他方の上方側端部14bが、本容器1の中央部(ここでは、背面シート11の中央部11c)の付近に向かって折り返される。ここでは、他方の上方側端部14bが、折り返されることで、他方の係合部16が、一方の係合部15の突起部15aに覆い被される。
【0023】
そして、本発明では、一方の係合部15が、他方の係合部16に係合されることで、一方の上方側端部14aと他方の上方側端部14bとのそれぞれが折り返された状態で保持される。ここでは、一方の係合部15の突起部15aの先端部が、他方の係合部16の貫通孔に挿通されて、一方の係合部15が他方の係合部16に係合される。
【0024】
これにより、内容物が少なくなったとしても、自立可能で、且つ、取り扱い性に優れたスタンディング容器を提供することが可能となる。即ち、本発明では、一方の係合部15と他方の係合部16との係合により、一方の上方側端部14aと他方の上方側端部14bとのそれぞれが折り返された状態となり、本容器1の上方両端部が円筒状になり、本容器1の全体形状が、
図3に示すように、略円錐状となる。そのため、本容器1は、内容物が少なくなり、平たくなったとしても、一方の係合部15と他方の係合部16との係合により、本容器1を略円錐状にすることで、自立可能な形状にすることが可能となり、様々な場所に置いたり、片手で掴んで持ったりすることが出来る。
【0025】
又、本発明の口部17が、内容物を吸い出し可能なディスペンサーである場合、内容物が少なくなったとしても、本容器1を略円錐状にすることで、ディスペンサーのストロー部(吸い出し部)を本容器1の底面シート12に接近させることが可能となり、内容物を最後まで吸い出すことが出来るようになる。
【0026】
ここで、正面シート10と背面シート11とのそれぞれの形状に特に限定は無いが、例えば、単純な正方形や長方形でも良いし、
図4に示すように、上端部の左右方向の長さが下端部の左右方向の長さよりも長い逆台形でも良いし、両側端接合部13(正面シート10と背面シート11との両方の側端部)のそれぞれに円弧状のくびれ部13aを設けた逆台形でも構わない。つまり、容器全体の形状を、上端部の左右方向の長さが長い逆台形とする。このように、正面シート10と背面シート11とのそれぞれを逆台形にすることで、一方の係合部15と他方の係合部16との係合により、本容器1の全体形状が、略円錐状から略円筒状になり、本容器1が自立し易くなるとともに、ユーザが片手で掴んで持つことが可能となる。
【0027】
又、一方の係合部15と他方の係合部16とは、相互に係合可能な構成であれば、特に限定は無く、一方の係合部15と他方の係合部16の構成が逆であっても良く、例えば、一方の係合部15は、円形の貫通孔で、他方の係合部16は、突起部と基板部とから構成されても構わない。尚、
図1では、突起部15aが円錐状であり、基板部15bが円盤状であるが、これらに限定する必要はなく、例えば、突起部15aが多角錐状であり、基板部15bが多角盤状であっても良い。ここでの突起部15aの形状は、傘が円錐状や多角錐状のキノコ形状を意味する。又、他方の係合部16の貫通孔の形状に特に限定は無く、円形の他に楕円形でも多角形でも構わない。
【0028】
又、一方の係合部15と他方の係合部16は、更に、他の構成であっても構わない。例えば、
図4に示すように、一方の係合部15は、略円弧形状の切り込みであり、他方の係合部16は、一方の係合部15の略円弧形状の切り込みで、一方の上方側端部14aに接続する接続部(略円弧形状の基端部)に対向した位置に設けられた略楕円状の切り込みであっても良い。この場合、一方の係合部15の略円弧形状の切り込みが、他方の係合部16の略楕円状の切り込みに引っ掛けられて、一方の係合部15の略円弧形状の切り込みの接続部が他方の係合部16の略楕円状の切り込みに挿通され、一方の係合部15と他方の係合部16とが相互に係合されても良い。このように構成することで、一方の係合部15と他方の係合部16とは、本容器1(正面シート10と背面シート11と底面シート12)の一方の上方側端部14aと他方の上方側端部14bとのそれぞれに切り込みを設けるだけで済むため、別体としての素材が不要で、簡単に実施可能となる。ここで、略円弧形状の切り込みの形状に特に限定は無いが、略円弧形状の他に、半円形状や略円形状、三角形状、四角形形状、五角形形状、多角形形状、釣鐘形状、きのこ形状、ドーナツ形状、星形状など、係合可能な形状を採用することが出来る。
【0029】
又、既存の素材を用いて一方の係合部15と他方の係合部16とが構成される場合、例えば、
図4に示すように、一方の係合部15は、雄型のホックとし、他方の係合部16は、雌型のホックとしても構わないし、その他に、雄型と雌型の面ファスナー、フック部と引っ掛け部、突出部と溝部など、係合可能な構成を採用することが出来る。この場合、既存の素材を活用することで、簡単に実施可能となる。
【0030】
ここで、一方の係合部15と他方の係合部16の設置形態に特に限定は無く、一方の係合部15と他方の係合部16との種類に応じて適宜設計される。例えば、
図1に示すように、一方の係合部15が、突起部15aと基板部15bとで構成され、他方の係合部16が、貫通孔で構成される場合、一方の係合部15は本容器1と別体で構成される。一方の係合部15の突起部15aが一方の上方側端部14aの貫通孔14aに挿通されることで、一方の係合部15が一方の上方側端部14aに設置され、他方の係合部16の貫通孔が他方の上方側端部14bに開口されることで、他方の係合部16が他方の上方側端部14bに設置される。このように、一方の係合部15が本容器1と別体で構成されると、一方の係合部15と本容器1のそれぞれの製造を独立させることが可能となり、実施が容易となる。例えば、本容器1を製造する容器製造メーカーが、本容器1の一方の上方側端部14aに貫通孔14aを開口するとともに、他方の上方側端部14bに貫通孔を開口し、口部17を製造する口部製造メーカーが、別体の一方の係合部15を製造し、これらの本容器1と一方の係合部15とを組み合わせることで、本発明を構成することが出来る。
【0031】
一方、一方の係合部15が本容器1と一体で構成されても良い。例えば、一方の係合部15の突起部15aを一方の上方側端部14aに熱溶着や接着剤による接着等の方法で設置しても構わない。
【0032】
又、本発明では、一方の係合部15又は他方の係合部16のいずれかに、所定の引っ掛け場所に吊り下げ可能なフック部18を更に備えても構わない。例えば、
図5Aに示すように、一方の係合部15が、突起部15aと基板部15bとを有するとともに、基板部15bの上端部から、逆Uの字状に延出したフック部18を有し、他方の係合部16は、一方の係合部15の突起部15aが挿通可能な円形の貫通孔で構成される。この場合、一方の係合部15の突起部15aが外部に表れるように、一方の上方側端部14aが折り返され、続いて、他方の上方側端部14bが折り返されて、他方の係合部16の貫通孔が一方の係合部15の突起部15aに装着される。すると、一方の係合部15から延出されたフック部18が、丁度、口部17付近から上方に延出されるように表れるため、ユーザは、例えば、この状態で、フック部18を、洗面台や風呂場の平面部や溝部等の引っ掛け場所に引っ掛けることが可能となる。
【0033】
ここで、本発明では、
図6に示すように、一方の係合部15の突起部15aに他方の係合部16の貫通孔が装着されることで、一方の係合部15を他方の係合部16に係合させる場合、一方の係合部15の基板部15bから折り曲げ可能で、且つ、一方の係合部15の突起部15aに挿通可能な貫通孔19aを有する挟み部19を更に備え、一方の係合部15の突起部15aに他方の係合部16の貫通孔が装着された後に、挟み部19の貫通孔19aが一方の係合部15の突起部15aに装着されるように構成しても良い。これにより、一方の係合部15と挟み部19とで他方の係合部15の貫通孔を挟み込んで係合させることで、一方の上方側端部14aと他方の上方側端部14bとのそれぞれが折り返された状態を強固にして、ユーザによる取り扱い性を更に向上させることが可能となる。又、挟み部19が設けられることで、挟み部19の貫通孔19aを一方の係合部15の突起部15aに装着した後に、挟み部19が外部に表れることから、様々な機能を付与することが可能となる。
【0034】
尚、
図6では、挟み部19が基板部15bの上端部から延出するように設けられ、挟み部19が基板部15bの上方から外部に折り曲げられるように構成されているが、これに限定する必要は無く、例えば、挟み部19を基板部15bの下端部から延出するように設けて、挟み部19を基板部15bの下方から外部に折り曲げられるように構成しても構わない。挟み部19の設置位置は、適宜設計変更される。
【0035】
又、一方の係合部15の突起部15aに他方の係合部16の貫通孔が装着されることで、一方の係合部15を他方の係合部16に係合させる場合、本発明では、口部17に装着され、当該口部17から本容器1の中央部(ここでは、背面シート11の中央部11c)の付近(ここでは、背面シート11の中央部11cの上方付近)まで延出された保持部20と、本容器1の中央部の付近に対向する保持部20の位置に設けられ、一方の係合部15と他方の係合部16のいずれか又は両方が引っ掛け可能な段差部20aとを更に備え、一方の係合部15と他方の係合部16との係合の後に、一方の係合部15と他方の係合部16のいずれか又は両方が段差部20aに引っ掛けられるように構成しても良い。例えば、
図7に示すように、一方の係合部15の突起部15aに、他方の係合部16の貫通孔が装着されることで、一方の係合部15を他方の係合部16に係合させる場合、保持部20は、口部17に装着可能又は取付可能なL字状の枠体であり、段差部20aは、口部17から本容器1の中央部(背面シート11の中央部11c)の付近に対向する保持部20の位置まで上下方向に楕円状に開口された長尺の貫通孔である。この貫通孔20aにより、保持部20に段差が生じて、一方の係合部15の突起部15aを引っ掛けることが可能となる。そして、一方の係合部15の突起部15aが外部に表れるように、一方の上方側端部14aが折り返され、続いて、他方の上方側端部14bが折り返されて、他方の係合部16の貫通孔が一方の係合部15の突起部15aに装着される。すると、一方の係合部15が、保持部20の段差部20aに対向するため、ユーザが、この段差部20aに一方の係合部15の突起部15aを引っ掛けることで、一方の上方側端部14aと他方の上方側端部14bとのそれぞれが折り返された状態を強固にして、ユーザによる取り扱い性を更に向上させることが可能となる。尚、段差部20aの構成に特に限定は無いが、楕円状の貫通孔の他に、一方の係合部15の突起部15aに対向するピンポイントの位置に設けた円状の貫通孔でも良いし、一方の係合部15の突起部15aが引っ掛かり可能な溝部で構成しても構わない。
【0036】
ところで、一方の係合部15に挟み部19を設ける場合、本発明では、更に他の構成を採用することが出来る。例えば、
図8に示すように、挟み部19を基板部15bの下端部から延出するように設け、貫通孔19aを設ける場合、挟み部19の先端部にカップ部21を設けても良い。ここで、基板部15bも挟み部19も長尺状に構成されている。カップ部21の構成に特に限定は無いが、例えば、カップ部21の先端部を延出させた延出部21aを設けて、口部17のディスペンサーから吐出される内容物を延出部21aで受けて、カップ部21に内容物を漏れずに貯めるようにしても良い。又、基板部15bと挟み部19との間の裏面と、挟み部19とカップ部21との間の裏面とのそれぞれに溝部22を設けて、折り曲げ容易に構成しても良い。一方の係合部15が本容器1と別体で構成されている場合は、例えば、
図8に示すように、一方の係合部15の突起部15aが上方に位置するように、本容器1の中央部(ここでは、背面シート11の中央部11c)に一方の係合部15を設置し、一方の上方側端部14aの貫通孔14a1が一方の係合部15の突起部15aに挿通されるように、一方の上方側端部14aを折り返す。次に、他方の上方側端部14bの他方の係合部16の貫通孔が一方の係合部15の突起部15aに挿通されるように、他方の上方側端部14bを折り返すことで、
図8-
図9に示すように、一方の係合部15が他方の係合部16に係合される。そして、一方の係合部15の突起部15aに挟み部19の貫通孔19aを挿通されるように、挟み部19を下方から上方に向かって折り曲げて、カップ部21を上方に位置させて、更に、カップ部21を下方に向かって折り曲げる。このように、カップ部21(又は演出部21a)が口部17のディスペンサーの付近に表れることで、例えば、内容物が、所定の容量を要する液体洗剤や洗口液等である場合、カップ部21を活用して、所定の容量で内容物を容易に計量することが可能となる。
【0037】
又、他の構成として、例えば、
図10に示すように、挟み部19を基板部15bの下端部から延出するように設け、貫通孔19aを設ける場合、突起部15aの設置面と反対側の挟み部19の反対面に、挟み部19の上下方向に沿って外部に延出された凸状のスライド部23aを設け、別体として、スライド部23aが装着可能な凹状の把持部23bを備えた板部24を設けても良い。又、基板部15bと挟み部19との間の裏面に溝部22を設けている。これにより、
図10に示すように、一方の係合部15が他方の係合部16に係合されると、一方の係合部15の突起部15aに挟み部19の貫通孔19aを挿通されるように、挟み部19を下方から上方に向かって折り曲げると、スライド部23aが外部に表れる。一方で、板部24を洗面台や風呂場の壁部に接着剤等で接着するとともに、スライド部23aに把持部23bを装着することで、ユーザが所望の位置に板部24を取り付けることで、本容器1を設置することが可能となる。
【0038】
又、他の構成として、例えば、
図11に示すように、挟み部19を基板部15bの下端部から延出するように設け、貫通孔19aを設ける場合、挟み部19の先端部付近に、口部17を挿通可能な口部用貫通孔25を設け、挟み部19の先端部の両側端部で、突起部15aの設置面と反対側の挟み部19の反対面に、人の指を引っ掛け可能な突出部26を設けても良い。ここで、口部用貫通孔25に特に限定は無いが、例えば、円形に構成されるとともに、口部用貫通孔25から延出して挟み部19の貫通孔19aと接続(連通)した長尺の貫通孔を有する。突出部26の形状に特に限定は無いが、例えば、L字状に突出され、人の人差し指と中指とで挟み込んで引っ掛けることが可能である。これにより、
図11に示すように、一方の係合部15が他方の係合部16に係合され、挟み部19を下方から上方に向かって折り曲げて、一方の係合部15の突起部15aを挟み部19の貫通孔19aに挿通させると、口部用貫通孔25と突出部26が上方に位置する。そこで、口部用貫通孔25を口部17に挿通させることで、突出部26が口部17の両側面に配置される。そのため、ユーザは、突出部26を人差し指と中指とで挟み込んで引っ掛けることで、片手で本容器1を簡単に持つことが可能となる。ここで、挟み部19の素材に特に限定は無いが、例えば、ゴムやエラストマー等の伸縮可能な弾性体で構成することで、口部用貫通孔25を口部17に挿通させ易くすることが出来る。又、突出部26は、挟み部19の先端部の両側端部のそれぞれに設けているが、一方だけに設けても構わない。
【0039】
又、他の構成として、例えば、
図12に示すように、挟み部19を基板部15bの下端部から延出するように設け、貫通孔19aを設ける場合、挟み部19の上下方向の長さをより長く構成し、挟み部19の先端部付近に口部用貫通孔25を設けても良い。ここで、口部用貫通孔25は、上述と同様に、円形に構成され、口部用貫通孔25から延出して挟み部19の貫通孔19aと接続した長尺の貫通孔を有する。又、突起部15aが設けられた面を表面とすると、その反対面を裏面とし、基板部15bと挟み部19との間の裏面と、挟み部19のうち、口部用貫通孔25と長尺の貫通孔との間の裏面とのそれぞれに溝部22を設けている。これにより、
図12に示すように、一方の係合部15が他方の係合部16に係合され、挟み部19を下方から上方に向かって折り曲げて、一方の係合部15の突起部15aを挟み部19の貫通孔19aに挿通させると、口部用貫通孔25が上方に位置する。そこで、口部用貫通孔25を口部17に挿通させると、挟み部19の上下方向の長さが長いことから、口部用貫通孔25と挟み部19の貫通孔19aとの間に空間Sが設けられる。そのため、ユーザは、この空間Sに人差し指等の指を挿通して引っ掛けることで、片手で本容器1を簡単に持つことが可能となる。尚、挟み部19の素材は、弾性体で構成されると好ましい。
【0040】
さて、正面シート10と、背面シート11と、底面シート12と、一方の係合部15と、他方の係合部16とを構成する樹脂に特に限定は無く、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等を挙げることが出来る。
【0041】
又、両側端接合部13と、上端接合部14との接合方法に特に限定はないが、例えば、熱圧着、拡散接合、接着剤を用いた接着等を挙げることが出来る。
【0042】
又、両側端接合部13の接合形態について、一般的なスタンディング容器を構成する接合形態であれば、特に限定はないが、例えば、
図1に示すように、正面シート10と背面シート11との下方両端部と、底面シート12の両端部とを広めに接合して、底面シート12の中央部を碗状に形成しても良い。
【0043】
又、上端接合部14の接合形態に特に限定はないが、例えば、一方の係合部15と他方の係合部16とが設けられる一方の上方側端部14aと他方の上方側端部14bとを広めに接合して、一方の上方側端部14aと他方の上方側端部14bとの強度を高め、一方の係合部15と他方の係合部16との脱落や破れを防止しても良い。又、一方の上方側端部14aと他方の上方側端部14bとを広めに接合することで、一方の上方側端部14aと他方の上方側端部14bとのそれぞれに剛性を付与して、ユーザが折り返し易くしても構わない。一方の上方側端部14aと他方の上方側端部14bとは、
図1に示すように、左右方向に延びた長方形状に広めに接合されている。
【0044】
尚、本発明では、例えば、ディスペンサー付きスタンディング容器を想定したが、これに限らず、口部にディスペンサーが設けられていない通常のスタンディング容器に幅広く適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明に係るスタンディング容器は、食品調味料、薬品、化粧品、シャンプー、リンス、液体せっけんなど、液体の内容物を収容するスタンディング容器に有用であり、内容物が少なくなったとしても、自立可能で、且つ、取り扱い性に優れたスタンディング容器として有効である。
【符号の説明】
【0046】
1 スタンディング容器
10 正面シート
11 背面シート
12 底面シート
13 両側端接合部
14 上端接合部
15 一方の係合部
16 他方の係合部