(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055227
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】床頭台連携コンテンツ配信方法、システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240411BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161988
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520262814
【氏名又は名称】ベターライフジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100210804
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 一
(74)【代理人】
【識別番号】100198498
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 靖
(72)【発明者】
【氏名】長峯 善智
(72)【発明者】
【氏名】木舟 光史
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】ユーザがベッドサイドで使用する装置をより確実に特定する。
【解決手段】
本発明は、コンピュータシステムが実行する床頭台連携コンテンツ配信方法であって次のステップを備える。床頭台連携ステップは、他のシステムと連携してユーザIDと床頭台IDとの対応関係Aを取得する。装置管理ステップは、床頭台IDと『配信装置の装置ID』との対応関係Bを管理する。諾否管理ステップは、ユーザIDと『コンテンツ配信の諾否情報』との対応関係Cを管理する。情報処理ステップは、ユーザIDを対応関係Aに照会して床頭台IDを取得し、この床頭台IDを対応関係Bに照会して装置IDを取得し、ユーザIDを対応関係Cに照会して諾否情報を取得し、装置IDに対応する諾否情報を求める。設定ステップは、装置IDが示す配信装置に、装置IDに対応する諾否情報に基づくコンテンツ配信の使用権限を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムが、床頭台で利用されるコンテンツ配信の装置(以下「配信装置」という)の制御を実行する床頭台連携コンテンツ配信方法であって、
他のシステムとデータ連携して、『ユーザに固有のユーザID』と『前記床頭台に固有の床頭台ID』との対応関係(以下「対応関係A」という)を取得する床頭台連携ステップと、
前記床頭台IDと『前記配信装置に固有の装置ID』との対応関係(以下「対応関係B」という)を管理する装置管理ステップと、
前記ユーザによる前記配信装置のコンテンツ配信にかかる諾否情報について、前記ユーザの前記ユーザIDと前記諾否情報との対応関係(以下「対応関係C」という)を管理する諾否管理ステップと、
前記ユーザIDを前記対応関係Aに照会して前記床頭台IDを取得し、取得した前記床頭台IDを前記対応関係Bに照会して前記装置IDを取得し、前記ユーザIDを前記対応関係Cに照会して前記諾否情報を取得することによって、前記装置IDに対応する前記諾否情報を求める情報処理ステップと、
前記装置IDが示す前記配信装置に対し、前記装置IDに対応する前記諾否情報に基づく前記コンテンツ配信の使用権限を設定する設定ステップと、
を備えたことを特徴とする床頭台連携コンテンツ配信方法。
【請求項2】
請求項1記載の病院情報連携コンテンツ配信方法であって、
前記情報処理ステップは、
「前記床頭台連携ステップにおける前記対応関係Aのデータ変更」、「前記装置管理ステップにおける前記対応関係Bのデータ変更」、および「前記諾否管理ステップにおける前記対応関係Cのデータ変更」の少なくとも一つを契機として、対応する前記諾否情報が前回から変化した前記装置IDを検出し、
前記設定ステップは、
前記諾否情報が前回から変化した前記装置IDが示す装置に対し、前記諾否情報の変化に基づく使用権限の設定変更を行う
ことを特徴とする床頭台連携コンテンツ配信方法。
【請求項3】
請求項1記載の床頭台連携コンテンツ配信方法であって、
前記装置管理ステップは、前記床頭台で利用する利用装置についても、前記床頭台IDと『前記利用装置に固有の前記装置ID』とを前記対応関係Bとして管理し、
前記諾否管理ステップは、前記ユーザによる前記利用装置の使用諾否にかかる前記諾否情報について、前記ユーザの前記ユーザIDと前記諾否情報とを前記対応関係Cとして管理し、
前記情報処理ステップは、前記ユーザIDを前記対応関係Aに照会して前記床頭台IDを取得し、取得した前記床頭台IDを前記対応関係Bに照会して前記装置IDを取得し、前記ユーザIDを前記対応関係Cに照会して前記諾否情報を装置ごとに取得することによって、前記装置IDが示す前記利用装置に対応する前記諾否情報を求め、
前記設定ステップは、前記装置IDが示す前記利用装置に対し、前記装置IDに対応する前記諾否情報に基づく装置の使用権限を設定する、
ことを特徴とする床頭台連携コンテンツ配信方法。
【請求項4】
請求項3記載の床頭台連携コンテンツ配信方法であって、
前記装置管理ステップは、
前記床頭台に配置される認証部を介して、前記床頭台に配置される装置との間で認証処理を行って前記装置IDを収集する装置認証ステップと、
前記認証処理によって収集された前記装置IDに基づいて、前記床頭台IDと前記装置IDとの前記対応関係Bの登録または更新を行う登録更新ステップとを備える
ことを特徴とする床頭台連携コンテンツ配信方法。
【請求項5】
コンピュータシステムが、床頭台で利用されるコンテンツ配信の装置(以下「配信装置」という)の制御を実行する床頭台連携コンテンツ配信システムであって、
他のシステムとデータ連携して、『ユーザに固有のユーザID』と『前記床頭台に固有の床頭台ID』との対応関係(以下「対応関係A」という)を取得する床頭台連携部と、
前記床頭台IDと『前記配信装置に固有の装置ID』との対応関係(以下「対応関係B」という)を管理する装置管理部と、
前記ユーザによる前記配信装置のコンテンツ配信にかかる諾否情報について、前記ユーザの前記ユーザIDと前記諾否情報との対応関係(以下「対応関係C」という)を管理する諾否管理部と、
前記ユーザIDを前記対応関係Aに照会して前記床頭台IDを取得し、取得した前記床頭台IDを前記対応関係Bに照会して前記装置IDを取得し、前記ユーザIDを前記対応関係Cに照会して前記諾否情報を取得することによって、前記装置IDに対応する前記諾否情報を求める情報処理部と、
前記装置IDが示す前記配信装置に対し、前記装置IDに対応する前記諾否情報に基づく前記コンテンツ配信の使用権限を設定する設定部と、
を備えたことを特徴とする床頭台連携コンテンツ配信システム。
【請求項6】
コンピュータシステムに、請求項1~4のいずれか一項記載の床頭台連携コンテンツ配信方法を実行させる
ことを特徴とする床頭台連携コンテンツ配信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床頭台連携コンテンツ配信方法、床頭台連携コンテンツ配信システム、および床頭台連携コンテンツ配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院において、ベッドサイドの装置の使用可否などを制御する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、『他のシステムから患者とベッド番号との対応関係を取得し、取得した対応関係に基づいて患者が使用中のベッドを特定し、特定したベッドのベッドサイドにある装置の使用・不使用を患者別に自動的に設定する』旨の技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、ベッド番号を基準にベッドサイドの装置を特定する。このような特定が成り立つためには、『ベッド』と『ベッドサイドの装置』の組み合わせが一定に固定される必要がある。
しかしながら、病院では『ベッド』も『ベッドサイドの装置』も独立して可搬されるため、両者の組み合わせは必ずしも一定しない。
そのため、特許文献1の技術では、患者とベッド番号の対応関係からベッド番号までは正しく辿れても、そのベッド番号からベッドサイドの装置を正しく特定できないケースが生じる。
その場合、患者がベッドサイドで使用する装置の使用権限を正しく設定できないという問題が生じる。
【0006】
なお、特許文献1には、このような問題についての開示や示唆はなく、そのための解決手段の開示はない。
【0007】
そこで、本発明は、ユーザがベッドサイドで使用する装置をより確実に特定するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、コンピュータシステムが、床頭台で利用されるコンテンツ配信の装置(以下「配信装置」という)の制御を実行する床頭台連携コンテンツ配信方法であって、次のステップを備える。
床頭台連携ステップは、他のシステムとデータ連携して、『ユーザに固有のユーザID』と『前記床頭台に固有の床頭台ID』との対応関係(以下「対応関係A」という)を取得する。
装置管理ステップは、前記床頭台IDと『前記配信装置に固有の装置ID』との対応関係(以下「対応関係B」という)を管理する。
諾否管理ステップは、前記ユーザによる前記配信装置のコンテンツ配信にかかる諾否情報について、前記ユーザの前記ユーザIDと前記諾否情報との対応関係(以下「対応関係C」という)を管理する。
情報処理ステップは、前記ユーザIDを前記対応関係Aに照会して前記床頭台IDを取得し、取得した前記床頭台IDを前記対応関係Bに照会して前記装置IDを取得し、前記ユーザIDを前記対応関係Cに照会して前記諾否情報を取得することによって、前記装置IDに対応する前記諾否情報を求める。
設定ステップは、前記装置IDが示す前記配信装置に対し、前記装置IDに対応する前記諾否情報に基づく前記コンテンツ配信の使用権限を設定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザがベッドサイドで使用する装置をより確実に特定することが可能になる。
【0010】
ここで述べた以外の課題、構成および効果については、後述する実施形態の説明で明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施例1の全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、床頭台連携コンテンツ配信システム100の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、入院者に対する入院時の処理を示す流れ図(前半)である。
【
図4】
図4は、入院者に対する入院時の処理を示す流れ図(後半)である。
【
図5】
図5は、利用装置92Xに対する使用権限の設定動作を説明するブロック図である。
【
図6】
図6は、転床者に対する転床時の処理を示す流れ図である。
【
図7】
図7は、配信装置800の権限設定に関する構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、配信装置800の権限設定の動作を説明する流れ図である。
【
図9】
図9は、配信装置800の選局関係の機能ブロックを説明する図である。
【
図10】
図10は、配信装置800の操作画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、配信装置800の視聴制限の動作を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例について図面を参照しながら説明する。
なお、ここでの説明では、動作の主体を明確にするため、請求項中の『〇△ステップ』に相当する動作を、『〇△部』を主体にした動作として記述する。
【実施例0013】
《全体構成について》
実施例1は、病院やリハビリ施設などの医療関連機関や、老人ホームなどの介護関連機関や、個人宅の療養空間などを設置対象とした実施例である。
図1は、実施例1の全体構成を示す図である。
【0014】
図1において、実施例1の全体構成は、床頭台連携コンテンツ配信システム100、療養支援システム200、配信制御部300、自動精算システム400、および療養エリア900を概略備える。これらの各構成は、必要に応じて有線または無線のネットワークNNを介して通信接続される。
【0015】
これらの構成のうち、療養エリア900には、ベッド910、および床頭台920が配置される。
【0016】
ベッド910には、不図示のセンサー類や医療機器や介護機器などが付設される。これらベッド付設の機器類は、療養支援システム200に通信接続される。療養支援システム200は、ベッド付設の機器類をコントロールすることによって、医療機関などとの連携や、ユーザの療養支援を実現する。
【0017】
床頭台920は、配信装置800、冷蔵庫922、貴重品収納部923、媒体再生装置924、リモート電源タップ925、および通信アダプタ926などを備える。
【0018】
配信装置800は、コンテンツ配信される映像音声を再生する機能を備える。
冷蔵庫922は、主にユーザが飲食物の冷蔵冷凍保存のために使用される。
貴重品収納部923は、ユーザが貴重品などを保管するために使用され、ロック機能を有する。
媒体再生装置924は、児童向けに映像コンテンツなどを配信装置800で再生するために使用される。
リモート電源タップ925は、複数口のコンセントを備え、コンセントごとに電源供給のオンオフ切り替えを通信接続によって制御する機能を備える。
【0019】
通信アダプタ926は、例えば有線LAN接続やBLUETOOTH(登録商標)やWi-Fi(登録商標)や近距離無線や電力線通信などの通信範囲を限定可能な通信手段を備える。通信アダプタ926は、この通信手段を用いて、床頭台連携コンテンツ配信システム100と床頭台920付近の装置類との通信接続を仲介する。この仲介の処理において、通信アダプタ926は、付近の装置類を通信によって認証する『認証部』として機能する。
【0020】
なお以降では、説明を簡明にするため、床頭台920に配置される多種多様な装置類を、配信装置800と、それ以外の利用装置92Xとに大別して説明する場合がある。
【0021】
《床頭台連携コンテンツ配信システム100の構成について》
次に、床頭台連携コンテンツ配信システム100の内部を機能別に説明する。
図2は、床頭台連携コンテンツ配信システム100の機能ブロック図である。
【0022】
図2において、床頭台連携コンテンツ配信システム100は、床頭台連携部110、装置管理部120、諾否管理部130、情報処理部140、設定部150、および課金部160を備える。
【0023】
この内、床頭台連携部110は、他のシステム(例えば療養支援システム200)とデータ連携することによって、『療養エリア900のユーザに固有に付与されるユーザID』と『ユーザが使用する床頭台920に固有に付与される床頭台ID』との対応関係(以下「対応関係A」という)を取得する。このような対応関係Aは、療養支援システム200の他に、施設側の入退院管理や電子カルテなどのシステムとデータ連携することによって取得してもよい。対応関係Aのデータ連携を行うタイミングについては、一定間隔ごと、イベントごと(入退院や転床など)、対応関係Aのデータ変更ごと、または常時など、適宜に選択できる。
【0024】
装置管理部120は、『床頭台ID』と『床頭台920に配置される配信装置800や利用装置92Xそれぞれに固有に付与される装置ID』との対応関係(以下「対応関係B」という)を管理する。
【0025】
さらに、装置管理部120は、装置認証部121、および登録更新部122を備える。
【0026】
装置管理部120内の装置認証部121は、床頭台920に配置される通信アダプタ926などの認証部を介して、床頭台920付近の装置類(配信装置800や利用装置92Xなど)との間で、通信による認証処理を実施し、装置類の装置IDを特定する。
【0027】
登録更新部122は、装置認証部121の認証処理によって特定された装置IDに基づいて、床頭台IDと装置IDとの対応関係Bの登録または更新を行う
【0028】
なお、装置管理部120は、入力端末や他のシステムなどと連携して、対応関係Bの登録または更新を行ってもよい。
【0029】
諾否管理部130は、配信装置800や利用装置92Xの使用・不使用のユーザ意思(諾否情報)をユーザIDごとに取得して、対応関係(以下「対応関係C」という)として管理する。
【0030】
このような諾否情報は、パソコンやタブレット端末や専用端末装置やユーザ所有の情報端末(スマホアプリ)などの入力端末などを介して入力される。そのための入力端末は、ユーザに対応可能な場所(施設の受け付けやナースセンターやユーザの手許など)や、システム管理室などに配置される。ここでの諾否情報の入力は、例えば、施設側やシステム管理側の担当者が行ってもよいし、ユーザ自身がセルフサービスやアンケート入力形式で行ってもよい。
【0031】
情報処理部140は、ユーザIDを対応関係Aに照会して床頭台IDを取得する。情報処理部140は、取得した床頭台IDを対応関係Bに照会して装置IDを取得する。情報処理部140は、ユーザIDを対応関係Cに照会して諾否情報を取得する。これらの段階的な照会処理によって、情報処理部140は、装置IDごとの諾否情報を求める。
【0032】
設定部150は、装置IDが示す配信装置800に対し、諾否情報に基づくコンテンツ配信の使用権限を設定する。また、装置IDが示す利用装置92Xに対しては、諾否情報に基づいて装置の使用権限を設定する。
【0033】
課金部160は、ユーザIDごとに、配信装置800および利用装置92Xの使用にかかる課金情報を管理する。
【0034】
なお、上述した床頭台連携コンテンツ配信システム100については、ハードウェアとしてCPU(Central Processing Unit)やメモリなどを備えたコンピュータシステムなどによって構成される。このハードウェアは、コンピュータ可読媒体に記憶された床頭台連携コンテンツ配信ブログラムを実行することにより、床頭台連携コンテンツ配信方法を実行する。
【0035】
このようなハードウェアの一部または全部については、専用の装置、機械学習マシン、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、PLD(programmable logic device)などで代替してもよい。
【0036】
また、ハードウェアやプログラムの一部または全部をネットワーク上のサーバに集中または分散してクラウドシステムを構成することにより、複数のクライアント先に対して床頭台連携コンテンツ配信方法のサービスを提供してもよい。
【0037】
《入院時の処理動作の説明》
続いて、入院時や入所時のユーザ(以下「入院者」という)に対する床頭台連携コンテンツ配信システム100の動作について説明する。なお、ベッド910や床頭台920を個人宅などへ販売またはレンタルするなどのケースにおいては、『入院時』とはベッド910や床頭台920が個人宅に設置導入される段階に該当し、『入院者』とはベッド910や床頭台920の使用を開始するユーザに該当する。
【0038】
図3および
図4は、入院時の処理動作を説明する流れ図である。
以下、
図3および
図4に示すステップ番号の順に説明する。
【0039】
ステップS101: 床頭台連携部110は、ネットワークNNを介して、療養支援システム200と通信接続を行う。
【0040】
療養支援システム200は、ベッド910に付設されたセンサー類や、医療機器や、ウェアラブル端末などを制御して生体情報のデータ管理や必要な警報を行うことによって、療養状態の見守り支援を行うためのシステムである。
【0041】
ステップS102: 療養支援システム200は、ユーザお一人お一人について生体情報のデータ管理や警報を取り違いなく行うため、設置先や委託先などのシステムから入院者に関する必要な情報が適宜に入力される。
【0042】
床頭台連携部110は、これら情報の一部を、療養支援システム200と連携することによって、入院者に固有に割り当てられるユーザIDと、入院者がベッドサイドで使用する床頭台920に固有の床頭台IDとを取得する。床頭台連携部110は、ユーザIDと床頭台IDを対応付けて、対応関係A(入院者分)のデータを生成する。
【0043】
ステップS103: 装置管理部120内の装置認証部121は、入院者の使用する床頭台920の通信アダプタ926を介して、床頭台920付近に配置される装置類(配信装置800、冷蔵庫922、貴重品収納部923、媒体再生装置924、リモート電源タップ925、通信アダプタ926、ユーザ持ち込みの装置など)との間で認証処理を行う。
【0044】
ここで、認証機能を有しない装置類の場合、装置認証部121は、装置本体に貼付や内蔵された無線タグなどの無線回路(装置IDと装置関連情報を保有)と、通信アダプタ926との間で無線通信を行うことによって、装置類の認証処理を済ませてもよい。
【0045】
装置認証部121は、以上の認証処理の結果に基づいて、装置類(配信装置800、冷蔵庫922、貴重品収納部923、媒体再生装置924、リモート電源タップ925、ユーザ持ち込みの装置など)の装置IDを個別に特定する。
【0046】
ステップS104: 装置管理部120内の登録更新部122は、特定された装置ごとの装置IDを、入院者が使用する床頭台920の床頭台IDに対応付ける。登録更新部122は、対応付けの結果を、最新の対応関係B(入院者分)として登録または更新する。
【0047】
ステップS105: 諾否管理部130は、適宜なタイミングで、入力端末などからの入力操作に応じて、入院者について装置ごとの使用・不使用の諾否情報を取得する。
【0048】
ステップS106: 諾否管理部130は、取得した『装置ごとの諾否情報』をユーザIDに対応付ける。諾否管理部130は、対応付けの結果を対応関係C(入院者分)として管理する。
【0049】
ステップS107: 情報処理部140は、入院者のユーザIDを対応関係Aに照会して、入院者が使用する床頭台920の床頭台IDを取得する。
【0050】
ステップS108: 情報処理部140は、取得した床頭台IDを対応関係Bに照会して、床頭台920に配置される装置類(配信装置800、冷蔵庫922、貴重品収納部923、媒体再生装置924、リモート電源タップ925、通信アダプタ926、ユーザ持ち込みの装置など)の装置IDをそれぞれ取得する。
【0051】
ステップS110: 情報処理部140は、入院者のユーザIDを対応関係Cに照会して、床頭台920に配置される装置類(配信装置800、冷蔵庫922、貴重品収納部923、媒体再生装置924、リモート電源タップ925、通信アダプタ926、ユーザ持ち込みの装置など)ごとに諾否情報を取得する。
【0052】
ステップS111: 情報処理部140は、入院者の使用する床頭台920に配置される装置類ごとに、装置IDと諾否情報の組み合わせ群(入院者分)を生成する。
【0053】
ステップS112: 設定部150は、生成された組み合わせ群(入院者分)から装置IDをピックアップする。
【0054】
ステップS113: 設定部150は、ピックアップした装置IDの種別が配信装置800のものか否かを判定する。装置IDが配信装置800のものの場合、設定部150はステップS114に動作を移行する。一方、装置IDの種別が配信装置800以外の場合、設定部150はステップS115に動作を移行する。
【0055】
ステップS114: 設定部150は、装置IDが示す配信装置800に対して、装置IDに対応する諾否情報(コンテンツ配信の使用権限)を設定する。ここでの配信装置800の設定動作には、例えばB-CAS技術のEMMパケットを使用する。(このEMMパケットの設定動作の詳細については後述する。)ここでの設定動作を完了すると、設定部150は、ステップS116に動作を移行する。
【0056】
ステップS115: 設定部150は、装置IDが示す利用装置92X(通信アダプタ926を除く)に対して、装置IDに対応する諾否情報(装置使用の権限)を設定する。
【0057】
この設定動作について、
図5を参照して説明する。
図5において、床頭台連携コンテンツ配信システム100は、ネットワークNNおよび通信アダプタ926(有線LAN接続でもよい)を介して、制御対象のリモート電源タップ925に通信接続する。このリモート電源タップ925の各コンセントは、制御対象の冷蔵庫922、貴重品収納部923、媒体再生装置924、およびユーザの持ち込み装置などに電源供給を行う。
床頭台連携コンテンツ配信システム100は、リモート電源タップ925の各コンセントに対して電源供給のオンオフをリモート制御することによって、諾否情報に基づく使用権限を装置別に設定する。(なお、リモート電源タップ925の各コンセントに装置の種別シールを貼付するなどして各装置を接続するコンセントを一意に固定することが好ましい。この場合、装置IDが示す装置種別の情報から、各装置がどのコンセントに接続され、どのコンセントをリモート制御すればよいかが特定可能になる。)
なお、通信による機能制御が可能な利用装置92Xについては、利用装置92Xの機能制御によって使用権限を設定してもよい。
以上の設定動作を完了すると、設定部150は、ステップS116に動作を移行する。
【0058】
ステップS116: 設定部150は、生成された組み合わせ群(入院者分)について、装置IDのピックアップが完了したか否かを判定する。装置IDのピックアップが完了していない場合、設定部150は動作をステップS112に戻す。装置IDのピックアップが完了した場合、設定部150は動作をステップS117に進める。
【0059】
ステップS117: 課金部160は、ユーザIDごとに紐付けた課金情報を、予め定められた課金ルールに従って管理する。ここでの課金ルールとしては、例えば、定額課金、使用分の従量課金など施設側で予め定めることができる。課金部160は、ユーザIDごとの課金情報を、必要に応じて療養支援システム200などを介して、自動精算システム400へ適時(毎日定時や退院時など)に出力する。
以上の一連の動作によって、入院者に対する入院時の権限設定の処理が完了する。
【0060】
《転床時の処理動作の説明》
次に、転床時(転科・転棟・装置機材の交換時などを含む)のユーザ(以下「転床者」という)に対する床頭台連携コンテンツ配信システム100の動作について説明する。
【0061】
図6は、転床時の処理動作を説明する流れ図である。
以下、
図6に示すステップ番号の順に説明する。
【0062】
ステップS201: 床頭台連携部110は、ネットワークNNを介して、療養支援システム200と通信接続を行う。
【0063】
療養支援システム200は、ユーザお一人お一人について生体情報のデータ管理や警報を取り違いなく行うため、設置先や委託先のなどのシステムから転床者に関する必要な情報が適宜に入力される。
【0064】
ステップS202: 床頭台連携部110は、これら情報の一部を、療養支援システム200と連携することによって、転床者に固有に割り当てられるユーザIDと、転床者がベッドサイドで使用する床頭台920に固有の床頭台IDとを取得する。床頭台連携部110は、ユーザIDと床頭台IDを対応付けて、対応関係A(転床者分)をデータ生成する。
【0065】
ステップS203: 装置管理部120内の装置認証部121は、転床者の使用する床頭台920の通信アダプタ926を介して、床頭台920付近に配置される装置類(配信装置800、冷蔵庫922、貴重品収納部923、媒体再生装置924、リモート電源タップ925、通信アダプタ926、ユーザ持ち込みの装置など)との間で認証処理を行う。
【0066】
ここで、認証機能を有しない装置類の場合、装置認証部121は、装置本体に貼付や内蔵された無線タグなどの無線回路(装置IDと装置関連情報を保有)と、通信アダプタ926との間で無線通信を行うことによって、装置類の認証処理を済ませてもよい。
【0067】
装置認証部121は、以上の認証処理の結果に基づいて、装置類(配信装置800、冷蔵庫922、貴重品収納部923、媒体再生装置924、リモート電源タップ925、通信アダプタ926、ユーザ持ち込みの装置など)の装置IDを個別に特定する。
【0068】
ステップS204: ステップS203で特定される装置IDに前回から変化がある場合、装置管理部120内の登録更新部122は、変化した装置IDを、転床者が使用する床頭台920の床頭台IDに対応付けしなおす。登録更新部122は、対応付けしなおした結果に基づいて、対応関係B(転床者分)を最新状態に更新する。
なお、転床者と床頭台920との組み合わせが変わらず、かつ床頭台920の装置構成が変わらない場合、上述したステップS202~S204を省略してもよい。
【0069】
ステップS205: 諾否管理部130は、適宜なタイミングで、入力端末などからの入力操作に応じて、転床者について装置ごとに使用・不使用の諾否情報を取得する。ここで、新たな諾否情報を取得した場合、諾否管理部130は、転床者のユーザIDと、装置ごとの諾否情報との対応関係C(転床者分)を最新状態に更新する。
【0070】
ステップS206: 情報処理部140は、転床者の対応関係A~Cに前回から変化があったか否かを判定する。
【0071】
転床者の対応関係A~Cに前回から変化がない場合、転床者の転床と同時に、転床前に使用していた床頭台920も転床先にそのまま移動したものと推察される。この場合、床頭台920に配置されていた配信装置800や利用装置92Xも一緒に転床先に移動する。そのため、情報処理部140は、転床者について装置類の新たな権限設定は不要であると判断して、転床時の処理を完了する。
【0072】
一方、転床者の対応関係A~Cの少なくとも一つに前回から変化があった場合、情報処理部140は、転床者について装置類の新たな権限設定が必要であると判断して、ステップS207に動作を進める。
【0073】
ステップS207: 情報処理部140は、対応関係A~Cの前回変化した対応付けデータを辿ることによって、転床者について『諾否情報が前回から変化した装置ID』を抽出する。
【0074】
ステップS208: 設定部150は、ステップS207で抽出された装置IDごとに、装置IDが示す装置に対して、装置IDに対応する新たな諾否情報に基づく権限設定を行う。(権限設定に関する動作は、先に説明したステップS113~S115と同様の動作であるため、ここでの重複説明を省略する。)
【0075】
ステップS209: 課金部160は、先に説明したステップS117と同様に、ユーザIDごとに紐付けた課金情報の処理を行う。
以上の一連の動作によって、転床者に対する転床時の権限設定の処理が完了する。
【0076】
《コンテンツ配信の権限設定について》
続いて、ステップS114で簡略に説明したコンテンツ配信の権限設定について説明する。
【0077】
図7は、コンテンツ配信の権限設定に関する機能ブロック図である。
図7において、配信制御部300は、分配器310、施設内コンテンツ320、視聴制限部330、および配信部340を備える。
【0078】
この内、視聴制限部330は、チューナー331、デマルチプレクサ332、EMMパケットエンコーダ333、マルチプレクサ334、および変調器335を備える。
【0079】
また、配信部340は、混合器341、および分配器ネットワーク342を備える。
【0080】
分配器310は、受信アンテナや同軸ケーブルなどから受信した放送信号B1(地上波デジタル放送、衛星放送、ラジオ放送など)を、分配先である視聴制限部330のチューナー331の個数だけ分配し、インピーダンス整合を取って出力する。なお、一般に、衛星放送の放送電波に使用される12GHz帯などの高周波帯域については、そのままではケーブル配線上での減衰損失が大きいため、電波のアンテナ受信時に所定の中間周波数に周波数変換される。
【0081】
施設内コンテンツ320は、施設内で独自コンテンツを放送するためのコンテンツサーバー(クラウド上または施設内に配置)である。例えば、病院内の施設ガイドや、入院時の説明など、ユーザに説明が必要な独自コンテンツを視聴制限部330へ供給する。通常、これらのコンテンツについては、視聴課金の対象外に設定されるため、ユーザは視聴制限なく無料で視聴することができる。
【0082】
視聴制限部330のチューナー331は、受信した放送信号を放送チャンネルごとに復調して、放送チャンネルごとのトランスポートストリーム(以下『TS』ともいう)を生成する。そのため、チューナー331は、必要な放送チャンネル数を略同時に復調するために必要な数だけ設けられる。なお、同時に複数チャンネルを復調可能なチューナー331を使用することによって、必要なチューナー331の数を削減してもよい。
【0083】
デマルチプレクサ332は、トランスポートストリームに多重される放送コンテンツ(MPEGパケット)、ECMパケット、EMMパケットをそれぞれ抽出する。
【0084】
EMMパケットエンコーダ333は、床頭台連携コンテンツ配信システム100の管理データに基づいて独自のEMMパケットのデータを作成し、マルチプレクサ334に供給する。
【0085】
マルチプレクサ334は、独自のEMMパケットが交換、挿入、または新規追加される形で、EMMパケット、放送コンテンツ、ECMパケットを多重し、トランスポートストリームとして出力する。
【0086】
変調器335は、多重後のトランスポートストリームを施設内の自主放送の割当チャンネルに再変調する。そのため、変調器335は、必要な割当チャンネル数を略同時に変調するために必要な数だけ設けられる。なお、同時に複数チャンネルを変調可能な変調器335を使用することによって、必要な変調器335の数を削減してもよい。
【0087】
配信部340は、割当チャンネルに変調された放送信号を複数の配信装置800に配信する。このような機能のため、例えば、配信部340は、混合器341、および分配器ネットワーク342を内部に備える。
【0088】
この配信部340の内部構成の内、混合器341は、割当チャンネルごとの変調信号を多重化することにより、コンテンツ配信BZを出力する。
【0089】
分配器ネットワーク342は、コンテンツ配信BZを複数ケーブルに分配して伝送し、施設内の各ユーザ(療養エリア900)の配信装置800それぞれにコンテンツ配信BZを供給する。
【0090】
図8は、配信装置800の権限設定の動作を説明する流れ図である。
以下、
図8に示すステップ番号に沿って説明する。
【0091】
ステップS301: 床頭台連携コンテンツ配信システム100内の設定部150は、EMMパケットエンコーダ333に対して、配信装置800の装置IDと共に、視聴の制限用および制限解除用のEMM作成要求をチャンネル単位に出力する。
EMM作成要求を受けると、EMMパケットエンコーダ333は、権限設定を行う配信装置800の装置IDを送信先に指定して、次のEMMパケットを生成する。
(1)視聴不可のチャンネルに『視聴制限メッセージ画面』を表示するEMMパケット
(2)視聴可のチャンネルに『視聴制限メッセージ画面』を解除するEMMパケット
【0092】
ステップS302: 視聴制限部330内のチューナー331は、受信した放送信号B1を放送チャンネルごとに復調し、トランスポートストリームを得る。デマルチプレクサ332は、放送チャンネルごとにトランスポートストリームに多重される放送コンテンツ、ECMパケット、およびEMMパケットをそれぞれ抽出する。
【0093】
ステップS303: マルチプレクサ334は、ステップS301で生成されたEMMパケットを、対象である放送チャンネルのトランスポートストリーム内におけるEMMパケットの箇所に交換、挿入または新規追加する形で多重する。
【0094】
ステップS304: 変調器335は、トランスポートストリームを放送チャンネルごとに、施設内の自主放送の割当チャンネルの周波数帯に再変調する(チャンネル変換)。
【0095】
ステップS305: 混合器341は、割当チャンネルごとにチャンネル変換された複数の放送信号を多重化し、コンテンツ配信BZを生成する。
【0096】
ステップS306: 分配器ネットワーク342は、コンテンツ配信BZを高周波伝送ケーブルを介して、複数の配信装置800へ分配し伝送する。
【0097】
以上のような一連の処理により、コンテンツ配信側において実施される視聴権限の設定が完了する。
【0098】
続いて、配信装置800において実施される視聴制限の動作について説明する。
図9は、配信装置800の選局関係の機能ブロックを説明する図である。
図9において、配信装置800は、チューナー810、制御部820、デマルチプレクサ821、MULTI2解除部822、マークアップ処理部823、B-CASデバイス840、映像音声処理部850、表示モニタ860、スピーカ870、リモコン受光部880、およびネット接続部890を備える。リモコン受光部880は、赤外線通信などによってリモコン端末881と通信接続される。ネット接続部890は、アクセスポイント891を介してLANやインターネットなどのネットワークNNに通信接続される。
【0099】
リモコン受光部880は、リモコン端末881から受信した001~012などのリモコンチャンネル番号(仮想チャンネル)を制御部820へ出力する。制御部820は、このリモコンチャンネル番号を施設内の自主放送の割当チャンネル(物理チャンネル)に振り分け、割当チャンネルの選局指示としてチューナー810へ出力する。
【0100】
ここでのリモコンチャンネル番号から割当チャンネルへの振り分けは、下記の3段階の変換を順に経由して行われる。
(1)リモコンチャンネル番号001~012(仮想チャンネル)の入力
(2)『放送事業体ごとの放送チャンネル(物理チャンネル)』に変換
(3)『施設内の自主放送の割当チャンネル(物理チャンネル)』に変換
そのため、配信装置800のユーザは、システム独自の割当チャンネルを意識せずに、普段通りに放送チャンネルを選局する感覚でリモコン端末881を操作することによって、システム独自の割当チャンネルの選局指示を行うことが可能になる。
【0101】
なお、施設内の独自コンテンツの割当チャンネルについては、対応する放送チャンネルが存在しないため、リモコン端末881の単独操作のみでは選局操作が分かりにくい。
【0102】
その場合、ユーザは、リモコン端末881のデータ画面表示ボタンを押すことによって、配信装置800の表示モニタ860に操作画面を表示することができる。なお、操作画面は、配信装置800の電源オン時に表示モニタ860にデフォルト表示してもよい。
【0103】
図10は、この操作画面の一例を示す図である。
このような操作画面は、マークアップ処理部823が、BML(Broadcast Markup Language)やHTML5(Hyper Text Markup Language 5)などのマークアップ言語を用いて表示する画面である。
【0104】
操作画面に向かって左側には、『施設ガイド』、『入院の説明』、『テレビを観る』、『ラジオを流す』、および『インターネットを使う』などの主項目が選択可能に配列表示される。操作画面に向かって右側には、選択中の主項目に応じた詳細項目が選択可能に配列表示される。
【0105】
ここでは、『施設ガイド』、『入院の説明』、『インターネットを使う』などの主項目と、その階層下の詳細項目が、施設内の独自コンテンツに割り当て可能である。
【0106】
ユーザは、リモコン端末881の十字キー、選択キー、および戻るキーなどを使用して、主項目および詳細項目を段階的に選択することができる。
【0107】
制御部820は、マークアップ処理部823から操作画面の選択結果を、施設内の自主放送の割当チャンネル(物理チャンネル)に振り分け、割当チャンネルの選局指示としてチューナー810へ出力する。
【0108】
このように操作画面(
図10参照)を使用することにより、ユーザは、対応する放送チャンネルが存在する割当チャンネルの他に、施設内に限って放送される独自コンテンツについても、チャンネル番号を意識せずに画面上から選局指示を行うことが可能になる。
【0109】
図11は、配信装置800の視聴制限の動作を説明する流れ図である。
以下、
図11に示すステップ番号に沿って説明する。
【0110】
ステップS401: 配信装置800の制御部820は、リモコン端末881や操作画面(
図10参照)を介して、先に述べたように割当チャンネルの選局指示を受け付ける。
チューナー810は、この選局指示された割当チャンネルの周波数帯についてコンテンツ配信BZを復調し、割当チャンネルのトランスポートストリームを得る。
【0111】
ステップS402: デマルチプレクサ821は、トランスポートストリームからEMMパケットを分離して、配信装置800が搭載するB-CASデバイス840に伝達する。
【0112】
ステップS403: B-CASデバイス840は、EMMパケットに含まれる装置ID(非暗号箇所)が、自己の装置IDに一致するか否かを判定する。一致しない場合、B-CASデバイス840はステップS408に動作を移行する。一方、一致した場合、B-CASデバイス840はステップS404に動作を進める。
【0113】
ステップS404: B-CASデバイス840は、EMMパケットをB-CASデバイス840固有のマスターキーKmで暗号解除する。
【0114】
ステップS405: 暗号解除されたEMMパケットにEMMメッセージの表示開始が含まれる場合、制御部820はステップS406に動作を進める。一方、EMMメッセージの解除指示が含まれる場合、制御部820はステップS407に動作を進める。それ以外の場合、制御部820はステップS408に動作を移行する。
【0115】
ステップS406: 制御部820は、選局中の割当チャンネルの表示画面に対して、EMMメッセージの表示を開始する。このとき、割当チャンネルが視聴制限対象であれば、視聴制限のメッセージ画面が表示されることになり、視聴が制限される。
【0116】
ステップS407: 制御部820は、EMMメッセージの視聴制限の解除指示に従って、視聴可のチャンネルに対してEMMメッセージを非表示にする。その結果、選局中の割当チャンネルの表示画面に、視聴を阻止する視聴制限のメッセージ画面は表示されなくなり、ユーザにおいて当該チャンネルの視聴が可能になる。
ステップS408: 制御部820は、EMMパケットを用いた視聴制限の処理を完了し、その他の処理に移行する。
以上の一連の処理によって、配信装置800におけるコンテンツ配信の視聴制限と制限解除が適宜に実施される。
【0117】
《実施例1の効果など》
本実施例1は、上述した作用によって次の効果を奏する。
【0118】
(1)上述した特許文献1の技術では、ベッド(ベッド番号)を基準にして、ベッドサイドに配置された装置を特定し、装置の使用権限(使用・不使用)を設定していた。しかしながら、『ベッド』と『ベッドサイドの装置』とは独立して可搬されるため、両者の組み合わせは必ずしも一定しない。そのため、特許文献1の技術では、患者とベッド番号の対応関係からベッド(ベッド番号)までは正しく辿れても、そのベッド番号からベッドサイドの装置を必ずしも特定できない。
それに対して、本実施例1では、床頭台連携部110が、他のシステムと連携して、ユーザ固有のユーザIDと、ユーザが使用する床頭台920の床頭台IDとの対応関係Aを取得する。また、装置管理部120において、床頭台IDと、その床頭台920に設置される配信装置800や利用装置92Xの装置IDとの対応関係を管理する。そのため、情報処理部140において、対応関係Aおよび対応関係Bのデータ照会を行うことによって、『ユーザが使用する床頭台920に配置された装置(配信装置800や利用装置92X)』を特定できる。この場合、床頭台920に配置された装置は、床頭台920と一緒に可搬される可能性が高くなるため、両者の組み合わせは殆どの場合で一定である。
したがって、本実施例1は、床頭台920(床頭台ID)を基準に情報管理を行うことによって、ユーザがベッドサイドで使用する装置をより確実にかつ安定して特定できるという点で優れている。
【0119】
(2)本実施例1では、対応関係A~Cのデータ変更が少なくとも一つあることを契機として、装置の使用権限の書き換えタイミングを決定する。
そのため、本実施例1は、情報管理する対応関係A~Cのデータ変更を監視することで、装置の使用権限の書き換えタイミングを適時に決定できるという点で優れている。
【0120】
(3)一般に、床頭台920にはユーザの私物が保管される。そのため、ユーザが転床する場合、私物の保管・移動の手間や紛失などのトラブルを避けるため、病院施設や介護施設などではユーザの転床先のベッドサイドまで床頭台920を移動する場合が多い。
このように、ユーザの転床時に床頭台920を一緒に移動した場合、本実施例1の対応関係A(ユーザID⇔床頭台ID)、対応関係B(床頭台ID⇔装置ID)、対応関係C(ユーザID⇔諾否情報)にデータ変更は生じない。そのため、ユーザの転床時において、装置の使用権限の書き換えは原則不要になる。したがって、本実施例1は、情報管理する対応関係A~Cのデータ変更を監視して装置の使用権限の書き換えタイミングを決定することによって、転床時における無用な使用権限の書き換え処理を削減できる点で優れている。
【0121】
(4)また、本実施例1は、配信装置800の他にも、利用装置92X(冷蔵庫922、貴重品収納部923、媒体再生装置924、リモート電源タップ925、および通信アダプタ926、ユーザ持ち込みの装置など)についても、同様の情報管理を可能にしたという点で優れている。
【0122】
(5)さらに、本実施例1は、床頭台920に配置される認証部(通信アダプタ926など)を介して、床頭台920付近の装置と通信による認証処理を行って、装置IDを収集する。本実施例1は、収集された装置IDに基づいて、対応関係B(床頭台ID⇔装置ID)の登録または更新を行う。
したがって、本実施例1は、対応関係B(床頭台ID⇔装置ID)の登録または更新が自動化されるという点で優れている。
【0123】
(6)さらに、本実施例1では、課金部160によって、ユーザのユーザIDと、そのユーザの課金情報を管理する。そのため、本実施例1は、ユーザIDによる使用権限の設定管理と併せて、ユーザIDによる課金管理も連携して行うことができる点で優れている。
【0124】
(7)本実施例1では、受信した放送コンテンツを、施設内の自主放送の割当チャンネルにチャンネル変換して配信する。施設内の配信装置800であれば、施設内の自主放送の割当チャンネルを選局できるように予め設定される。そのため、配信制御部300では、割当チャンネルから復調されたEMMパケットを用いて、施設内の配信装置800に対して個別に制限および解除を実施することが可能になる。
【0125】
(8)さらに、本実施例1では、施設内の配信装置800を外部から持ち込まれた放送受信の装置に繋ぎ替えられてしまった場合、それだけでは施設独自の割当チャンネルを選局できないために視聴は不可になる。
一般に、初期設定を完了したテレビなどは、チャンネル設定を誤って書き換えられないように、説明書を読まなければチャンネル設定できない。
そのため、外部から持ち込まれた放送受信の装置を施設独自の割当チャンネルを選局できるようにチャンネル設定する操作はハードルが高い。したがって、外部から放送受信の装置を持ち込むことによる視聴制限逃れを難しくすることができる。
【0126】
《補足事項など》
なお、上述した実施形態のユーザIDは、病院施設や介護施設やお客様リストなどにおいてユーザを一意に特定可能なID情報であればよい。ユーザIDの一例としては、病院の診察券のID番号やその読み取りデータや、介護の施設であれば入居者証のID番号やその読み取りデータや、ベッド910や床頭台920の販売やレンタルであれば店舗などの顧客IDなどでもよい。
また、病院や介護の現場では、ユーザを特定するID情報を取得するための個人識別媒体として、リストバンドなどが使用される。このような個人識別媒体の読み取りデータをユーザIDとしてもよい。
【0127】
また、個人番号カード、保険証、免許証、携帯電話の電話番号、電子メールのメールアドレス、機械読み取り可能な生体認証情報、顔認証情報などから特定される個人IDを、ユーザIDに代用することも可能である。
【0128】
なお、上述した実施形態では、認証部として通信アダプタ926を採用し、通信手段による認証処理を実施している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。認証部としては、装置IDを収集可能な手段であれば採用可能である。例えば、認証部にカメラを採用して、撮影画像の被写体分類や、文字の機械読み取りや、AIによる認証処理や、バーコードやQRコード(登録商標)などのコード読み取りを用いた認証処理を実施してもよい。
【0129】
また、上述した実施形態では、他の装置IDと同様に、通信アダプタ926の装置IDを求めている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。床頭台920に通信アダプタ926が固定されるなど、床頭台920と通信アダプタ926が一意に対応する状況では、通信アダプタ926(認証部)の装置IDと、床頭台920の床頭台IDを一つ(または変換可能)にできる。この場合、通信アダプタ926の装置IDを別途求める必要はなくなる。さらに、床頭台IDを用いて通信アダプタ926を一意に特定して、装置類の認証処理や権限設定をすぐに実施できるという点で優れている。
【0130】
さらに、上述した実施例1では、B-CASデバイス840(B-CASカードやB-CASチップなどのB-CAS方式のデバイス)を使用して視聴制限を行う場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、コンテンツ保護専用方式やACAS方式はもちろん、その他の視聴制限技術を使用して視聴制限を行ってもよい。
【0131】
また、上述した実施例1では、配信装置800としてデジタルテレビの場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。モニタ装置やノートパソコンやタブレットやスマートフォンなどを利用してもよい。
【0132】
また、上述した実施例1では、施設内のケーブル配線を介してコンテンツ配信を行う場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。Wi-Fiなどの無線を介してコンテンツ配信を行ってもよい。
【0133】
さらに、上述した実施例1では、装置ごとに装置IDを付与している。しかしながら本発明はこれに限定されない。例えば、リモート電源タップ925の装置ID(床頭台IDでも代用可)と、コンセント口の番号との組み合わせデータから、利用装置92Xの装置IDを構成してもよい。この場合、利用装置92Xの装置IDから、リモート電源タップ925とコンセント口とを直に特定して、利用装置92Xの電源制御(オンオフ)を実現することが可能になる。
【0134】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。さらに、実施例1の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
92X...利用装置、100...床頭台連携コンテンツ配信システム、110...床頭台連携部、120...装置管理部、121...装置認証部、122...登録更新部、130...諾否管理部、140...情報処理部、150...設定部、160...課金部、200...療養支援システム、300...配信制御部、310...分配器、320...施設内コンテンツ、330...視聴制限部、331...チューナー、332...デマルチプレクサ、333...EMMパケットエンコーダ、334...マルチプレクサ、335...変調器、340...配信部、341...混合器、342...分配器ネットワーク、400...自動精算システム、800...配信装置、810...チューナー、820...制御部、821...デマルチプレクサ、822...MULTI2解除部、823...マークアップ処理部、840...B-CASデバイス、850...映像音声処理部、860...表示モニタ、870...スピーカ、880...リモコン受光部、881...リモコン端末、890...ネット接続部、891...アクセスポイント、900...療養エリア、910...ベッド、920...床頭台、922...冷蔵庫、923...貴重品収納部、924...媒体再生装置、925...リモート電源タップ、926...通信アダプタ、NN...ネットワーク