(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055228
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ヘルメット装着用表示具
(51)【国際特許分類】
A42B 3/04 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A42B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161989
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】391007563
【氏名又は名称】ユニット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076266
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 泉
(72)【発明者】
【氏名】黒田 雄一郎
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107CA02
3B107EA17
(57)【要約】
【課題】各作業関係者がどこに視線を向けているかを周囲の作業関係者に一目瞭然とする。
【解決手段】シート部3の前方側部分に前方表示色部分3a、後方側部分に後方表示色部分3bを設ける。シート部3の四隅に設けた取付具4により、当該シート部3をヘルメット2の表面に沿わせた状態でヘルメット2に取り付ける。前方表示色部分3aと後方表示色部分3bが見えている割合により、各作業関係者がどこに視線を向けているかが周囲の作業関係者が一目で分かるようになる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメットの表面に沿うようにして前記ヘルメットに被せることができるシート部と、
前記シート部の前方側部分に設けられた前方表示色部分と、
前記シート部の後方側部分に設けられた後方表示色部分と、
前記シート部の四隅にそれぞれ取り付けられており、前記シート部を前記ヘルメットの表面に沿わせた状態で該ヘルメットに取り付けることができるようになっている取付具とを有してなるヘルメット装着用表示具。
【請求項2】
前記前方表示色部分は青色である請求項1記載のヘルメット装着用表示具。
【請求項3】
前記シート部の左右側部は全体に比較的に大きく円弧状に凹陥した形状をなしており、前記シート部の前端部は円弧状に小さく凹陥した形状をなしており、前記シート部の後端部は円弧状に小さく突出した形状をなしている請求項1または2記載のヘルメット装着用表示具。
【請求項4】
前記取付具は、前記ヘルメットの縁に引っ掛けられることより、前記シート部を前記ヘルメットに取り付けるようになっている請求項1乃至3のいずれかに記載のヘルメット装着用表示具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業関係者がヘルメットに装着することにより、各作業関係者がどこを向いているかを周りの人が容易に確実に知ることができるようにするヘルメット装着用表示具に関する。
【背景技術】
【0002】
重機作業における人との接触事故が減らず、工事現場における重点施策の一つとなっている。原因の一つとして、作業員同士のコミュニケーションミスなどによる、思い込みやうっかりミスがある。
【0003】
工事現場では騒音が激しく、言葉でのコミュニケーションが難しい。また、重機オペレータ(操作者)からは、周辺で作業している人の状態が分かりづらい(重機の方を見ているか否か等が分かりづらい)。お互いに相手は自分の存在に気付いてると思いがちである。このため、例えば、重機オペレーターは作業員の存在に気づいていないのに、作業員は重機オペレーターが自分の方を見ていると思い込んで近づいてしまい、事故が生じてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような思い込みや勘違いなどからミスコミュニケーションが発生し、事故へとつながる事がよくあった。現状では、重機オペレーターが注意深く作業員を見て、気をつけるように努めるしかなかった。
【0006】
また、特許文献1のように、電子機器をヘルメットに取り付けて、作業関係者相互のコミュニケーションを図ることも従来から提案されていたが、コストが非常に高くなる上、まず電子機器上で複数の通信先から通信相手を選択した上で、所望の通信相手と交信する必要があり、素早くコミュニケーションを取ることができないという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、各作業関係者がヘルメットに装着することにより、各作業関係者がどこに視線を向けているかを周囲の作業関係者に一目瞭然とすることができるヘルメット装着用表示具を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるヘルメット装着用表示具は、
ヘルメットの表面に沿うようにして前記ヘルメットに被せることができるシート部と、
前記シート部の前方側部分に設けられた前方表示色部分と、
前記シート部の後方側部分に設けられた後方表示色部分と、
前記シート部の四隅にそれぞれ取り付けられており、前記シート部を前記ヘルメットの表面に沿わせた状態で取り付けることができるようになっている取付具とを有してなるものである。
【0010】
作業関係者が本発明によるヘルメット装着用表示具をヘルメットに装着していれば、当該作業関係者が周りの人の方に視線を向けているときは、周りの人からは、前方表示色部分のみが見えるか、または前方表示色部分が主として見える一方、当該作業関係者が反対方向に視線を向けていたり、当該作業関係者が下を向いており、周りの人の方に視線を向けていないときは、後方表示色部が主として見えるので、周りの人から当該作業者が自分を認識しているか否かがよく分かる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のヘルメット装着用表示具は、
(イ)作業関係者がヘルメットに装着することにより、各作業関係者がどこに視線を向けているかを周囲の作業関係者に一目瞭然とすることができる、
(ロ)コストが安価である、
等の優れた効果を得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のヘルメット装着用表示具の一実施例を平らに広げた状態で示す平面図(表面図)である。
【
図2】前記実施例のヘルメット装着用表示具を平らに広げた状態で示す底面図(裏面図)である。
【
図3】前記実施例のヘルメット装着用表示具の取付具を示す斜視図である。
【
図4】前記実施例のヘルメット装着用表示具の取付具を示す断面図である。
【
図5】前記実施例のヘルメット装着用表示具をヘルメットに装着した状態を上方から見た場合を示す図である(装着者は水平方向を見ている)。
【
図6】前記実施例のヘルメット装着用表示具をヘルメットに装着した状態を前方から見た場合を示す図である(装着者は水平方向を見ている)。
【
図7】前記実施例のヘルメット装着用表示具をヘルメットに装着した状態を斜め前方から見た場合を示す図である(装着者は水平方向を見ている)。
【
図8】前記実施例のヘルメット装着用表示具をヘルメットに装着した状態を後方から見た場合を示す図である(装着者は水平方向を見ている)。
【
図9】前記実施例のヘルメット装着用表示具を、装着者が下を向いている状態を前方から見た場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例0014】
図1~9は、本発明の一実施例を示している。
図1および2はこのヘルメット装着用表示具1を平らに広げた状態を示している一方、
図5~9はこのヘルメット装着用表示具1をヘルメット2に装着した状態を示している。
【0015】
ヘルメット装着用表示具1は、柔軟なシート状材料からなり、作業用ヘルメット2の表面に沿わされた状態となるようにヘルメット2に被せることができるシート部3と、当該シート部3の四隅にそれぞれ取り付けられた取付具4とを有している。
【0016】
図5~9に示されているように、4つの取付具4をヘルメット2の縁に引っ掛けることより、シート部3をヘルメット2の表面に沿わせた状態でヘルメット2に取り付けることができるようになっている。
【0017】
前記シート部3は、ヘルメット2に装着したときに全体がヘルメット2に密着するように、
図1および2によく示されているように、全体に左右側部が比較的に大きく円弧状に凹陥した形状をなしている。シート部3の前端部は円弧状に小さく凹陥した形状をなしている一方、シート部3の後端部は円弧状に小さく突出した形状をなしている。
【0018】
また、前記シート部3は、該シート部3の前方側部分に設けられた大略三日月状をなす前方表示色部分3aと、この前方表示色部分3a以外の部分に設けられた後方表示色部分3bとを有してなる。本実施例では、前方表示色部分3aは青色、後方表示色部分3bは赤色とされている。ただし、前方表示色部分3aと後方表示色部分3bとはそれぞれ他の色にすることも可能である。また、前方表示色部分3aと後方表示色部分3bとは互いに紛らわしい色であってはならない。図面では、前記前方表示色部分3aには細かい格子模様、前記後方表示色部分3bには粗い格子模様が施されている。
【0019】
本実施例では、前方表示色部分3aと後方表示色部分3bとは、前方表示色部分3aの形状をなしていて色彩が前方表示色であるシート材と、後方表示色部分3bの形状ををなしていて色彩が後方表示色である別のシート材とを縫い合わせることにより製造されている。
【0020】
各取付具4は、
図3および4に示されるように、シート材取付部4aと、引掛け部4bとを有してなる。前記シート材取付部4aは1対の平面状の対向部4a1を有しており、これらの対向部4a1間にシート部3の四隅を挿入された上、止具4a2を挿通されることにより、シート部3に取り付けられている。止具4a2はシート部3の四隅に挿通された後、対向部4a1に固定されている。
【0021】
図5はヘルメット2にヘルメット装着用表示具1を装着した作業関係者が前方を見ている状態の平面図、
図6はヘルメット2にヘルメット装着用表示具1を取り付けた作業関係者が前方を見ているのを水平方向から見た正面図、
図7はヘルメット2にヘルメット装着用表示具1を取り付けた作業関係者が斜め前方を見ているのを水平方向から見た場合の図である(作業関係者は図示していない)。
【0022】
他者から見た状態が
図6または7のようであり、前方表示色部分3aのみが見えている場合または前方表示色部分3aが見えている割合が大きく、後方表示色部分3bの見えている割合が小さい場合は、当該作業関係者は前方を見ていることが分かる。
【0023】
図8はヘルメット2にヘルメット装着用表示具1を取り付けた作業関係者が後方を見ている状態の背面図、
図9はヘルメット2にヘルメット装着用表示具1を取り付けた作業関係者が下方を見ているのを水平方向前方から見た状態の図である。
【0024】
図8および9の場合のようにヘルメット2にヘルメット装着用表示具1を取り付けた作業関係者が前方を見ていない場合は、後方表示色部分3bのみが見えるようになるか、または後方表示色部分3bの見えている割合が大きくなる。
【0025】
このように各作業関係者がヘルメット装着用表示具1をヘルメット2に装着することにより、各作業関係者がどこに視線を向けているかを周囲の作業関係者が一目で分かるようになる。
以上のように本発明によるヘルメット装着用表示具は、作業関係者がヘルメットに装着することにより、各作業関係者がどこに視線を向けているかを周囲の作業関係者が一目で分かるようにすることができ、有用である。