(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055257
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】冷凍コンテナ
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20240411BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20240411BHJP
F25B 9/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
F25D23/00 302M
F25B9/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162037
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 亮
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和貴
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊光
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA01
3L045BA02
3L045CA03
3L045DA01
3L045EA01
3L045PA04
3L045PA05
3L345AA05
3L345AA30
3L345BB02
3L345CC01
3L345GG17
3L345GG23
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制可能であるとともに、庫内気体を脱臭可能な冷凍コンテナを提供する。
【解決手段】コンテナ本体の内部の気体である庫内気体を冷却可能に構成された冷凍コンテナであって、コンテナ本体と、コンテナ本体の内部にそれぞれ設けられた吸込口及び吹出口を有する循環ラインと、コンテナ本体の内部から吸込口を介して循環ラインに吸引された気体である循環気体を圧縮するように構成された圧縮機と、圧縮機において圧縮された循環気体を冷却するように構成された熱交換器と、熱交換器で冷却された循環気体を膨張させるように構成された膨張機と、循環気体に対して脱臭作用を有する物質を放出するように構成された脱臭装置と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ本体の内部の気体である庫内気体を冷却可能に構成された冷凍コンテナであって、
前記コンテナ本体と、
前記コンテナ本体の内部にそれぞれ設けられた吸込口及び吹出口を有する循環ラインと、
前記循環ラインに設けられ、前記コンテナ本体の内部から前記吸込口を介して前記循環ラインに吸引された前記気体である循環気体を圧縮するように構成された圧縮機と、
前記循環ラインに設けられ、前記圧縮機において圧縮された前記循環気体を冷却するように構成された熱交換器と、
前記循環ラインに設けられ、前記熱交換器で冷却された前記循環気体を膨張させるように構成された膨張機と、
前記循環気体に対して脱臭作用を有する物質を放出するように構成された脱臭装置と、を備える、
冷凍コンテナ。
【請求項2】
前記熱交換器は、
前記循環ラインの前記圧縮機と前記膨張機の間に設けられ、前記循環気体が流れる高温側熱交換部と、
前記循環ラインの前記吸込口と前記圧縮機の間に設けられ、前記循環気体が流れる低温側熱交換部と、を含み、
前記低温側熱交換部を流れる前記循環気体によって、前記高温側熱交換部を流れる前記循環気体を冷却するように構成され、
前記冷凍コンテナは、
前記循環ラインの前記圧縮機よりも下流側、且つ前記高温側熱交換部よりも上流側に設けられた冷却器であって、前記循環気体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器をさらに備え、
前記脱臭装置は、前記循環ラインの前記冷却器と前記高温側熱交換部の間に設けられた、
請求項1に記載の冷凍コンテナ。
【請求項3】
前記熱交換器は、
前記循環ラインの前記圧縮機と前記膨張機の間に設けられ、前記循環気体が流れる高温側熱交換部と、
前記循環ラインの前記吸込口と前記圧縮機の間に設けられ、前記循環気体が流れる低温側熱交換部と、を含み、
前記低温側熱交換部を流れる前記循環気体によって、前記高温側熱交換部を流れる前記循環気体を冷却するように構成され、
前記脱臭装置は、前記循環ラインの前記低温側熱交換部と前記圧縮機の間に設けられた、
請求項1に記載の冷凍コンテナ。
【請求項4】
前記冷凍コンテナは、前記庫内気体を-40℃以下に冷却可能に構成された、
請求項3に記載の冷凍コンテナ。
【請求項5】
前記熱交換器は、
前記循環ラインの前記圧縮機と前記膨張機の間に設けられ、前記循環気体が流れる高温側熱交換部と、
前記循環ラインの前記吸込口と前記圧縮機の間に設けられ、前記循環気体が流れる低温側熱交換部と、を含み、
前記低温側熱交換部を流れる前記循環気体によって、前記高温側熱交換部を流れる前記循環気体を冷却するように構成され、
前記冷凍コンテナは、
前記循環ラインの前記圧縮機よりも下流側、且つ前記高温側熱交換部よりも上流側に設けられた冷却器であって、前記循環気体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器と、
前記循環ラインの前記圧縮機と前記高温側熱交換部との間から前記庫内気体よりも高温の前記循環気体を抜き出して前記コンテナ本体に導くための暖気導入ラインと、をさらに備える、
請求項1に記載の冷凍コンテナ。
【請求項6】
前記暖気導入ラインに設けられ、前記暖気導入ラインを流れる前記気体の流量を調整可能に構成された少なくとも1つの暖気流量調整装置をさらに備え、
前記脱臭装置は、前記少なくとも1つの暖気流量調整装置が開状態のときに、前記脱臭作用を有する物質を放出するように構成された、
請求項5に記載の冷凍コンテナ。
【請求項7】
前記脱臭装置は、前記暖気導入ラインに設けられた、
請求項5又は6に記載の冷凍コンテナ。
【請求項8】
前記暖気導入ラインの下流端は、前記循環ラインの前記膨張機と前記吹出口との間に接続された、
請求項7に記載の冷凍コンテナ。
【請求項9】
前記暖気導入ラインの下流端は、前記循環ラインの前記熱交換器と前記膨張機との間に接続された、
請求項7に記載の冷凍コンテナ。
【請求項10】
前記庫内気体及び前記循環気体は、空気を含み、
前記脱臭装置は、前記空気からオゾンを発生させるように構成されたオゾン発生装置を含む、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の冷凍コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンテナ本体の内部の気体を冷却可能に構成された冷凍コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍コンテナは、庫内に収容される貨物等の物品を冷凍又は冷蔵する冷凍機能を備えたコンテナである。
【0003】
従来の冷凍コンテナには、作動流体を循環させるクローズドサイクルを有し、クローズドサイクルを循環する作動流体の蒸発と凝縮作用を用いる冷凍機が使用されることがある(特許文献1参照)。特許文献1記載の冷凍コンテナでは、CAコンテナ専用の機器、冷凍機を構成する機器(蒸発器)、庫内空気を循環させるための機器(ファン及びモータ)が庫内に設けられるため、庫内の荷貨スペースが狭くなる。また、庫内にモータ等の発熱体が配置されるので、庫内に高温部が生じたり温度ムラが生じたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2635536号公報
【特許文献2】特開平10-197138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷凍コンテナの庫内を脱臭するために冷凍コンテナに脱臭装置を付加する場合には、脱臭装置は、コンテナの庫内に置かれることになる(特許文献2参照)。脱臭装置をコンテナの庫内に置く場合には、脱臭装置の使用流体(例えば、水)がコンテナ庫内の比較的低温の空気にさらされるため、使用流体の凍結リスクが増加する虞がある。庫内温度が超低温になる場合には、脱臭装置を使用可能な最低温度に制限が生じてしまうという問題がある。
【0006】
コンテナ庫内のおける上記使用流体の凍結を回避するために、脱臭装置に対して断熱処理を施すと、脱臭装置が大型化し、庫内の荷貨スペースが狭くなる。また、使用流体の凍結リスクを回避するために、脱臭装置をコンテナの庫外に置く場合には、脱臭装置において脱臭された気体をコンテナの庫内に吸い込むための動力源や配管等が別途必要となるため、庫内の荷貨スペースが狭くなる。
【0007】
上述した事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制可能であるとともに、庫内気体を脱臭可能な冷凍コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナは、
コンテナ本体の内部の気体である庫内気体を冷却可能に構成された冷凍コンテナであって、
前記コンテナ本体と、
前記コンテナ本体の内部にそれぞれ設けられた吸込口及び吹出口を有する循環ラインと、
前記循環ラインに設けられ、前記コンテナ本体の内部から前記吸込口を介して前記循環ラインに吸引された前記気体である循環気体を圧縮するように構成された圧縮機と、
前記循環ラインに設けられ、前記圧縮機において圧縮された前記循環気体を冷却するように構成された熱交換器と、
前記循環ラインに設けられ、前記熱交換器で冷却された前記循環気体を膨張させるように構成された膨張機と、
前記循環気体に対して脱臭作用を有する物質を放出するように構成された脱臭装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制可能であるとともに、庫内気体を脱臭可能な冷凍コンテナが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの概略的な斜視図である。
【
図2】
図1に示される冷凍コンテナを別の方向から視た概略的な斜視図である
【
図3】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機の回路を模式的に示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナを
図2中の矢印Aで示す方向から視た図である。
【
図5】
図4に示される冷凍コンテナを
図2中の矢印Bで示す方向から視た図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの脱臭装置の概略図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機の回路を模式的に示す図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナを
図2中の矢印Aで示す方向から視た図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機の回路を模式的に示す図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナを
図2中の矢印Aで示す方向から視た図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの暖気流量調整装置の概略断面図である。
【
図12】本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナの冷凍機の回路を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
(冷凍コンテナの構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ100の概略的な斜視図である。
図2は、
図1に示される冷凍コンテナ100を別の方向から視た概略的な斜視図である。
図2では、冷凍コンテナ100を構成する幾つかの壁を省略することで、冷凍コンテナ100の内部を示している。
【0013】
冷凍コンテナ100は、
図1及び
図2に示されるように、貨物などの物品を収容可能な内側空間2を有するコンテナ本体1を備える。冷凍コンテナ100は、コンテナ本体1の内部(すなわち、内側空間2)の空気などの気体を冷却可能に構成されている。コンテナ本体1は、内側空間2を形成する複数の壁4~9を有する。複数の壁4~9の各々により、コンテナ本体1の内側空間2と外側空間3とが仕切られる。複数の壁4~9は、天井壁4、底壁5、一対の短側壁6,7、及び、一対の長側壁8,9を含む。
【0014】
コンテナ本体1は、貨物などの輸送に用いられる輸送用コンテナであってもよい。コンテナ本体1は、10ftコンテナ、20ftコンテナ又は40ftコンテナなどの標準的な輸送コンテナであってもよい。
【0015】
図3は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ100の冷凍機(冷凍サイクル)の回路を模式的に示す図である。
図4は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ100を
図2中の矢印Aで示す方向(コンテナ本体1の長手方向)から視た図である。
図5は、
図4に示される冷凍コンテナ100を、コンテナ本体1の内部から
図2中の矢印Bで示す方向(
図4とは反対方向)から視た図である
【0016】
図2~
図5に示されるように、コンテナ本体1の内側空間2には、空気などの気体をコンテナ本体1の内部に吹き出すための吹出口16(開口)を含む吹出部14と、コンテナ本体1の内部の空気などの気体を吸い込むための吸込口20(開口)を含む吸込部18と、が設けられている。なお、
図3~
図5では吹出部14及び吸込部18の図示は省略している。
【0017】
(冷凍機)
図3~
図5に示されるように、冷凍コンテナ100は、上述の吸込口20及び吹出口16を有する循環ライン22と、圧縮機24と、熱交換器26と、膨張機28と、を備える。圧縮機24、熱交換器26及び膨張機28の各々は、循環ライン22に設けられる。循環ライン22、圧縮機24、熱交換器26及び膨張機28は、コンテナ本体1の内部の気体である庫内気体を取り出して熱媒体として使用する冷凍機(冷凍サイクル)30を構成する。冷凍コンテナ100は、冷凍機30により庫内気体の温度を調整可能である。
【0018】
循環ライン22は、吸込口20から吹出口16まで延びる通路であり、吸込口20を介してコンテナ本体1の内部から吸引された気体である循環気体が流れるようになっている。圧縮機24は、コンテナ本体1の内部から吸込口20を介して循環ライン22に吸引された気体(循環気体)を圧縮するように構成される。圧縮機24を駆動させることで、コンテナ本体1の内部の気体(庫内気体)が吸込口20を介して循環ライン22に吸引される。圧縮機24において圧縮された循環気体は、圧縮機24に導入される前よりも昇温昇圧され、高温高圧の気体となる。
【0019】
熱交換器26は、圧縮機24において圧縮された高温高圧の循環気体を冷却するように構成される。膨張機28は、熱交換器26において冷却された循環気体を膨張させるように構成される。膨張機28において膨張された低温の循環気体は、循環ライン22により吹出口16に導かれ、吹出口16を介して循環ライン22からコンテナ本体1の内部に吹き出されるようになっている。
【0020】
循環ライン22は、吸込口20から吸引された循環気体を圧縮機24に導くための吸引気体ライン22Aと、圧縮機24において圧縮された循環気体を膨張機28に導くための圧縮気体ライン22Bと、膨張機28において膨張された循環気体を吹出口16に導くための膨張気体ライン22Cと、を含む。
【0021】
(熱交換器)
熱交換器26は、吸引気体ライン22Aを流れる循環気体と圧縮気体ライン22Bを流れる循環気体との間で熱交換を行うように構成される。圧縮気体ライン22Bを流れる循環気体は、圧縮機24において圧縮されることで、吸引気体ライン22Aを流れる循環気体よりも高温となっている。熱交換器26における熱交換により、圧縮気体ライン22Bを流れる循環気体が、吸引気体ライン22Aを流れる循環気体により冷却されるとともに、吸引気体ライン22Aを流れる循環気体が、圧縮気体ライン22Bを流れる循環気体により加熱される。換言すると、熱交換器26は、吸引気体ライン22Aに設けられる循環気体が流れる低温側熱交換部261と、圧縮気体ライン22Bに設けられる循環気体が流れる高温側熱交換部262と、を含み、高温側熱交換部262を流れる循環気体から低温側熱交換部261を流れる循環気体に熱の移動が行われるようになっている。
【0022】
(冷却器)
冷凍コンテナ100は、
図3及び
図4に示されるように、循環ライン22の圧縮機24と熱交換器26(高温側熱交換部262)の間に設けられた冷却器32をさらに備えていてもよい。冷却器32は、圧縮気体ライン22Bの熱交換器26よりも上流側に設けられ、圧縮気体ライン22B(循環ライン22)を流れる循環気体と、該循環気体よりも低温の冷却液(例えば、水)との間で熱交換を行うように構成される。冷却器32における熱交換により、圧縮気体ライン22Bを熱交換器26に向かって流れる循環気体が、冷却液により冷却される。熱交換器26(高温側熱交換部262)には、冷却器32において冷却された循環気体が圧縮気体ライン22Bを通じて導入される。
【0023】
図3及び
図4に示される実施形態では、冷凍コンテナ100は、冷却液を循環させるための冷却液循環ライン34をさらに備える。冷却器32には、冷却液循環ライン34を介して冷却液が供給されるようになっている。具体的には、冷却液循環ライン34には、冷却液を冷却するための冷却装置36を構成するラジエータ38と、冷却液循環ライン34において冷却液を送るためのポンプ42と、が設けられている。冷却装置36は、ラジエータ38と、ラジエータ38を空冷するためのファン40と、を含む。冷却器32において圧縮気体ライン22Bを流れる循環気体との熱交換により温度が上昇した冷却液は、ポンプ42により冷却液循環ライン34に送られて、ラジエータ38を含む冷却装置36により冷却されるようになっている。冷却装置36により冷却された冷却液は、冷却液循環ライン34を介して冷却器32に供給される。なお、冷却液循環ライン34を循環する冷媒は、液状に限定されずにガス状であってもよい。冷却液循環ライン34を循環する冷媒は、例えば、R-1234ZEなどのフッ素系冷媒(冷媒ガス)であってもよいし、例えば、グリコール水などの不凍液であってもよい。冷却液循環ライン34を循環する冷媒は、水よりも凝固点が低い方が好ましい。
【0024】
(圧縮機、膨張機)
幾つかの実施形態では、膨張機28は、回転シャフト44を介して圧縮機24に連結されていてもよい。
図3及び
図4に示される実施形態では、冷凍コンテナ100は、圧縮機24を駆動させる駆動力を発生させるように構成された電動モータ46をさらに備える。圧縮機24は、電動モータ46により駆動されて循環気体を圧縮するように構成された電動圧縮機を含む。圧縮機24及び膨張機28は、圧縮機24を駆動させるための電動モータ46の出力シャフトである回転シャフト44を介して互いに同軸上に配置され、回転シャフト44にそれぞれ接続されている。電動モータ46は、図示しない電源(発電機等)から電流が供給されるようになっており、電源から供給された電流により駆動して回転シャフト44、圧縮機24及び膨張機28を駆動させるようになっている。膨張機28では、気体が膨張する際に発生する膨張エネルギーの一部が回収され、回収された膨張エネルギーによって圧縮機24の駆動が補助されるようになっている。
【0025】
図4に示されるように、吸引気体ライン22A、圧縮気体ライン22B及び膨張気体ライン22Cの各々は、配管によって形成される。なお、循環ライン22を形成する各配管は、複数の配管部分がフランジ等を介して接続されたものであってもよい。
【0026】
図4に示される実施形態では、吸引気体ライン22Aを形成する配管は、吸込口20と熱交換器26の入口との間に設けられる配管23Aと、熱交換器26の出口と圧縮機24との間に設けられる配管23Bと、を含む。圧縮気体ライン22Bを形成する配管は、圧縮機24の出口と冷却器32の入口との間に設けられる配管23Cと、冷却器32の出口と熱交換器26の入口との間に設けられる配管23Dと、熱交換器26の出口と膨張機28の入口との間に設けられる配管23Eと、を含む。膨張気体ライン22Cを形成する配管は、膨張機28の出口と吹出口16との間に設けられる配管23Fと、を含む。
【0027】
(脱臭装置)
図6は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ100の脱臭装置70の概略図である。
図7、
図9及び
図12の各々は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ100の冷凍機30の回路を模式的に示す図である。
図8は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ100(
図7に示される冷凍コンテナ100)を
図2中の矢印Aで示す方向から視た図である。
図10は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ100(
図7に示される冷凍コンテナ100)を
図2中の矢印Aで示す方向から視た図である。
幾つかの実施形態に係る冷凍コンテナ100は、
図3、
図4、
図7~
図10、
図12に示されるように、上述したコンテナ本体1と、上述した循環ライン22と、上述した圧縮機24と、上述した熱交換器26と、上述した膨張機28と、循環気体に対して脱臭作用を有する物質を放出するように構成された脱臭装置70と、を備える。冷凍コンテナ100は、上述した冷却器32をさらに備えていてもよい。
【0028】
(オゾン発生装置)
脱臭装置70は、脱臭作用を有する物質を循環気体から発生させるように構成されることが好ましい。
図6に示される実施形態では、庫内気体及び循環気体は、空気を含み、脱臭装置70は、循環気体に含まれる空気からオゾンを発生させるように構成されたオゾン発生装置70Aを含む。オゾン発生装置70Aは、互いに対向して配置された一対の電極71、72と、一対の電極71、72間の配置された誘導体73と、を含む。一対の電極71、72間に循環気体に含まれる空気を導き、不図示の印加装置により一対の電極71、72間に交流高電圧を印加した際に放電現象が生じ、この放電現象により発生する電子により空気中の酸素がオゾンに変換されるようになっている。なお、オゾン発生装置70Aは、循環気体に含まれる空気に放射線を照射することで、オゾンを生成するように構成されていてもよい。
【0029】
脱臭装置70は、循環気体に含まれる水分、又は、脱臭装置70に貯留される水の少なくとも一方に、高電圧を印可したり、超音波を照射すること等により、水分由来の脱臭作用を有する物質を生成するように構成されていてもよい。水分由来の脱臭作用を有する物質は、帯電微粒子であってもよい。
【0030】
脱臭装置70は、オゾンや水分由来の脱臭作用を有する物質を循環気体に対して放出することで、循環気体の除菌、脱臭を行うようになっている。上述した循環ライン22や後述する暖気導入ライン50を流れる循環気体(空気)は、乾燥しているため、脱臭作用を有する物質を生成し易く、脱臭作用を有する物質による脱臭効果が高い。
【0031】
上記の構成によれば、循環ライン22にそれぞれ設けられる圧縮機24、熱交換器26及び膨張機28を含み、コンテナ本体1の内部の気体(庫内気体)を熱媒体として使用する冷凍機30が構築される。コンテナ本体1の内部の気体は、吹出口16での圧力と、吸込口20での圧力との差によって、吹出口16から吸込口20に至るまで自然循環するため、庫内空気を循環させるためのファンが不要である。このため、コンテナ本体1の内部にファン及びファンモータを設けることによる庫内温度の上昇が生じない。よって、庫内温度を所期の温度に維持しやすい。また、コンテナ本体1の内部にファン及びファンモータが設けられないため、コンテナ本体1の内部の荷貨スペースを広く確保することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制可能であるとともに、庫内温度を安定的に維持することが可能な冷凍コンテナ100が得られる。
【0032】
上記の構成によれば、脱臭装置70により、循環気体に対して脱臭作用を有する物質を放出することで、循環気体を脱臭できる。そして、脱臭装置70により脱臭した循環気体をコンテナ本体1の内部に戻すことで、庫内気体を脱臭できる。この場合には、脱臭装置70により庫内気体を直接脱臭する場合とは異なり、脱臭装置70をコンテナ本体1の外部に設けることができるため、コンテナ本体1の内部の荷貨スペースを広く確保することができる。脱臭装置70をコンテナ本体1の外部に設ける際には、循環ライン22や暖気導入ライン50などのコンテナ本体1の内部から取り出された気体(循環気体)が流れるラインに設けることが好ましい。この場合には、コンテナ本体1と脱臭装置70との間における気体の流路として、循環ライン22や暖気導入ライン50などを利用できるため、冷凍コンテナ100の構造のコンパクト化、軽量化が図れる。
【0033】
幾つかの実施形態では、上述した庫内気体及び循環気体は、空気を含み、上述した、脱臭装置70は、
図6に示されるような、循環気体に含まれる空気からオゾンを発生させるように構成されたオゾン発生装置70Aを含む。
【0034】
上記の構成によれば、オゾン発生装置70Aにより、循環ライン22や暖気導入ライン50を流れる循環気体(空気)からオゾンを生成でき、生成されたオゾンにより循環気体の除菌、脱臭を行うことができる。この場合には、コンテナ本体1と脱臭装置70との間における気体の流路として、循環ライン22や暖気導入ライン50などを利用できるため、冷凍コンテナ100の構造のコンパクト化、軽量化が図れる。また、脱臭作用を有する物質を水分由来のものではなく、オゾンとすることで、膨張機28における凍結を抑制できる。
【0035】
幾つかの実施形態では、
図3及び
図4に示されるように、上述した脱臭装置70は、循環ライン22(圧縮気体ライン22B)の冷却器32と高温側熱交換部262の間に設けられている。脱臭装置70は、
図4に示されるように、配管23Dに設置されていてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、循環ライン22の冷却器32と高温側熱交換部262の間は、冷凍機30の運転時において、常温(0℃以上60℃以下)の循環気体が流れるようになっている。脱臭装置70を循環ライン22における常温の循環気体が流れる部分(常温環境部)に設けることで、脱臭作用を有する物質が低温環境である膨張機28に導かれるのを抑制できる。これにより、脱臭作用を有する物質の膨張機28における効果低下や凍結を抑制できるため、脱臭装置70から放出される脱臭作用を有する物質の量を少なくしても、有効に脱臭効果が得られる。
【0037】
幾つかの実施形態では、
図7及び
図8に示されるように、上述した脱臭装置70は、循環ライン22(吸引気体ライン22A)の低温側熱交換部261と圧縮機24の間に設けられている。脱臭装置70は、
図4に示されるように、配管23Bに設置されていてもよい。
【0038】
上記の構成によれば、循環ライン22の低温側熱交換部261と圧縮機24の間は、冷凍機30の運転時において、常温(0℃以上60℃以下)の循環気体が流れるようになっている。脱臭装置70を循環ライン22における常温の循環気体が流れる部分(常温環境部)に設けることで、脱臭作用を有する物質が低温環境である膨張機28に導かれるのを抑制できる。これにより、脱臭作用を有する物質の膨張機28における効果低下や凍結を抑制できるため、脱臭装置70から放出される脱臭作用を有する物質の量を少なくしても、有効に脱臭効果が得られる。また、循環ライン22の低温側熱交換部261と圧縮機24の間は、循環ライン22の冷却器32と高温側熱交換部262の間に比べて圧力が低いため、循環気体に対して脱臭作用を有する物質を放出し易い。
【0039】
幾つかの実施形態では、
図7及び
図8に示されるように、上述した脱臭装置70は、循環ライン22(吸引気体ライン22A)の低温側熱交換部261と圧縮機24の間に設けられている。そして、上述した冷凍コンテナ100の冷凍機30は、庫内気体を-40℃以下に冷却可能に構成されている。
【0040】
上記の構成によれば、循環ライン22の低温側熱交換部261と圧縮機24の間を流れる循環気体は、庫内気体を-40℃以下の超低温に冷却するような冷凍コンテナ100においても、常温の乾燥空気になるため、脱臭作用を有する物質を生成し易く、脱臭作用を有する物質による脱臭効果が高い。
【0041】
(暖気導入ライン)
幾つかの実施形態では、
図9、
図10及び
図12に示されるように、上述した冷凍コンテナ100は、暖気導入ライン50をさらに備える。暖気導入ライン50は、循環ライン22の圧縮機24と熱交換器26(高温側熱交換部262)の間から庫内気体よりも高温の循環気体を抜き出してコンテナ本体1に導くための流路の少なくとも一部を形成する。
図10に示されるように、暖気導入ライン50の各々は、配管によって形成される。なお、暖気導入ライン50を形成する各配管は、複数の配管部分がフランジ等を介して接続されたものであってもよい。
【0042】
循環ライン22の圧縮機24と熱交換器26(高温側熱交換部262)の間を流れる循環気体は、圧縮機24において圧縮されることで温度及び圧力が上昇しているため、庫内気体よりも高温高圧になる。この庫内気体よりも高温高圧になった循環気体を、暖気導入ライン50を介してコンテナ本体1の内部に導くことにより、庫内温度を昇温できる。
【0043】
上記の構成によれば、暖気導入ライン50により、圧縮機24により庫内気体よりも高温になった循環気体をコンテナ本体1の内部に戻すことで、庫内温度を上げることができる。冷凍コンテナ100は、コンテナ本体1の外部に暖気導入ライン50を備えることで、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制しつつ、庫内温度の調整可能な範囲を高温側に拡大できる。
【0044】
(暖気流量調整装置)
図11は、本開示の一実施形態に係る冷凍コンテナ100の暖気流量調整装置52の概略断面図である。幾つかの実施形態では、
図9~
図12に示されるように、上述した冷凍コンテナ100は、暖気導入ライン50に設けられ、暖気導入ライン50を流れる循環気体の流量を調整可能に構成された少なくとも1つの暖気流量調整装置(暖気流量調整弁)52をさらに備える。暖気流量調整装置52は、暖気導入ライン50に配置された弁体の開度を変更することで、暖気流量調整装置52よりも下流側(下流端502側)に導かれる循環気体の流量を調整可能に構成される。なお、暖気流量調整装置52は、全閉と全開に開度調整可能な開閉弁でもよいし、全閉と全開とこれらの間の少なくとも1つの中間開度に開度調整可能な開度調整弁でもよい。
【0045】
図9及び
図10に示される実施形態では、冷凍機30の運転中において、暖気流量調整装置52を閉じる(弁体の開度を小さくする)と、圧縮気体ライン22Bを流れる循環気体は、膨張機28に導かれ、膨張機28における膨張により降温した後に、コンテナ本体1の内部に導かれる。冷凍機30の運転中において、暖気流量調整装置52を開く(弁体の開度を大きくする)と、膨張機28の入口における圧力損失が暖気導入ライン50や暖気流量調整装置52よりも大きなものとなる。そして、圧縮気体ライン22Bを流れる循環気体は、暖気導入ライン50の上流端501での圧力と、下流端502での圧力との差によって、暖気導入ライン50を介してコンテナ本体1の内部に導かれる。このため、暖気導入ライン50を介してコンテナ本体1の内部に循環気体を導くためのファンは不要である。
【0046】
上記の構成によれば、暖気流量調整装置52により暖気導入ライン50を流れる暖気(循環気体)の流量を調整することで、コンテナ本体1の内部の昇温制御が可能となる。この場合には、上記昇温制御を簡単なものにすることができる。なお、電動モータ46の出力(回転数)を増減させると、圧縮機24から吐き出されて圧縮気体ライン22Bを流れる循環気体の流量が増減する。このため、コンテナ本体1の内部の昇温を制御するためのパラメータとして、暖気流量調整装置52の開度だけでなく、電動モータ46の出力(回転数)を含めることが好ましい。
【0047】
図12に示される実施形態では、上述した冷凍コンテナ100は、暖気導入ライン50がバイパスする循環ライン22に設けられ、該循環ライン22を流れる循環気体の流量を調整可能に構成された少なくとも1つの循環気体流量調整装置(循環気体流量調整弁)29をさらに備える。暖気導入ライン50がバイパスする循環ライン22とは、循環ライン22における、暖気導入ライン50の上流端501が接続される接続位置P1と、暖気導入ライン50の下流端502が接続される接続位置P3との間の部分である。
図12に示される実施形態では、循環気体流量調整装置29は、循環ライン22の熱交換器26(高温側熱交換部262)と接続位置P3との間に設けられているが、循環ライン22の接続位置P1と、熱交換器26(高温側熱交換部262)との間に設けられていてもよい。
【0048】
循環気体流量調整装置29は、暖気導入ライン50がバイパスする循環ライン22に配置された弁体の開度を変更することで、循環気体流量調整装置29よりも下流側(膨張機28側)に導かれる循環気体の流量を調整可能に構成される。なお、循環気体流量調整装置29は、全閉と全開に開度調整可能な開閉弁でもよいし、全閉と全開とこれらの間の少なくとも1つの中間開度に開度調整可能な開度調整弁でもよい。
【0049】
図12に示される実施形態では、冷凍機30の運転中において、循環気体流量調整装置29を開き(弁体の開度を大きくする)、暖気流量調整装置52を閉じる(弁体の開度を小さくする)と、圧縮気体ライン22Bを流れる循環気体は、膨張機28に導かれ、膨張機28における膨張により降温した後に、コンテナ本体1の内部に導かれる。冷凍機30の運転中において、循環気体流量調整装置29を閉じ(弁体の開度を小さくする)、暖気流量調整装置52を開く(弁体の開度を大きくする)と、暖気導入ライン50がバイパスする循環ライン22に設けられた循環気体流量調整装置29における圧力損失が暖気導入ライン50や暖気流量調整装置52よりも大きなものとなる。そして、圧縮気体ライン22Bを流れる循環気体は、暖気導入ライン50の上流端501での圧力と、下流端502での圧力との差によって、暖気導入ライン50を介してコンテナ本体1の内部に導かれる。このため、暖気導入ライン50を介してコンテナ本体1の内部に循環気体を導くためのファンは不要である。
【0050】
上記の構成によれば、暖気流量調整装置52及び循環気体流量調整装置29により暖気導入ライン50を流れる暖気(循環気体)の流量を調整することで、コンテナ本体1の内部の昇温制御が可能となる。この場合には、上記昇温制御を簡単なものにすることができる。
【0051】
(第1暖気流量調整装置、第2暖気流量調整装置)
幾つかの実施形態では、
図9~
図11に示されるように、上述した少なくとも1つの暖気流量調整装置(暖気流量調整弁)52は、暖気導入ライン50に設けられる第1の暖気流量調整装置(暖気流量調整弁)53と、暖気導入ライン50の第1の暖気流量調整装置53よりも下流側(下流端502側)に設けられる第2の暖気流量調整装置(暖気流量調整弁)54と、を含む。なお、暖気導入ライン50及び少なくとも1つの暖気流量調整装置52(53、54)は、上述した
図1~
図8に示される上述した実施形態にも適用可能である。
【0052】
第1の暖気流量調整装置53及び第2の暖気流量調整装置54の各々は、暖気導入ライン50に配置された弁体531、541の開度を変更することで、暖気流量調整装置52(53、54)よりも下流側(下流端502側)に導かれる循環気体の流量を調整可能に構成される。なお、第1の暖気流量調整装置53及び第2の暖気流量調整装置54の各々は、全閉と全開に開度調整可能な開閉弁でもよいし、全閉と全開とこれらの間の少なくとも1つの中間開度に開度調整可能な開度調整弁でもよい。
【0053】
上記の構成によれば、暖気導入ライン50に2つの暖気流量調整装置53、54を設けることで、暖気導入ライン50における遮熱性を向上できる。これにより、2つの暖気流量調整装置53、54の閉止時における、暖気導入ライン50の第2の暖気流量調整装置54よりも下流側への入熱を抑制できる。
【0054】
図11に示される実施形態では、第1の暖気流量調整装置53及び第2の暖気流量調整装置54の夫々は、フランジ部532、542を有する。フランジ部542は、フランジ部532との間に断熱材であるパッキン521を挟み込んだ状態で、締結部材522を介してフランジ部532に締結される。2つの暖気流量調整装置53、54の間にパッキン521を配置することで、暖気導入ライン50における遮熱性を向上できる。これにより、2つの暖気流量調整装置53、54の閉止時における、暖気導入ライン50の第2の暖気流量調整装置54よりも下流側への入熱を抑制できる。
【0055】
(暖気導入ラインの接続位置)
幾つかの実施形態では、上述した暖気導入ライン50の上流端501は、
図9、
図10及び
図12に示されるように、圧縮気体ライン22B(循環ライン22)の冷却器32と熱交換器26(高温側熱交換部262)の間に位置する接続位置P1において、圧縮気体ライン22B(配管23D)に接続されている。この場合には、暖気導入ライン50には、冷却器32において冷却された循環気体が導入されるようになっている。
【0056】
図示される実施形態では、暖気導入ライン50を形成する配管は、配管23D(圧縮気体ライン22B)の接続位置P1と暖気流量調整装置52の入口との間に設けられる配管55を含む。配管55は、上述した上流端501を有する。
【0057】
或る実施形態では、圧縮機24において昇圧された循環気体は、100℃以上の高温になる。そして、冷却器32において冷却された循環気体は、0℃以上60℃以下の常温になる。この場合には、常温高圧の循環気体が、暖気導入ライン50を介してコンテナ本体1の内部に導入される。
【0058】
上記の構成によれば、圧縮機24により高温になった循環気体を、冷却器32において冷却することで、暖気導入ライン50を介してコンテナ本体1に導入される循環気体(暖気)と、庫内気体との間の温度差を低減できる。上記温度差を低減することで、上記暖気による庫内気体の温度上昇を緩やかにできるため、コンテナ本体1の内部の熱歪による損傷を抑制できる。
【0059】
なお、幾つかの実施形態では、上述した暖気導入ライン50の上流端501は、圧縮気体ライン22B(循環ライン22)の圧縮機24と冷却器32の間において、圧縮気体ライン22B(配管23C)に接続されていてもよい。或る実施形態では、圧縮機24において昇圧された循環気体は、100℃以上の高温になる。この場合には、冷却器32において冷却されていない高温高圧の循環気体が、暖気導入ライン50を介してコンテナ本体1の内部に導入される。
【0060】
仮に、冷却器32を通過した循環気体を暖気として、コンテナ本体1の内部に導入する場合には、コンテナ本体1の内部の昇温制御において、冷却器32による温度変化を考慮する必要がある。上記の構成によれば、圧縮機24により高温になった循環気体を暖気として、冷却器32を通過せずに、コンテナ本体1の内部に導入する。この場合には、コンテナ本体1の内部の昇温制御において、冷却器32による温度変化を考慮しなくても良いので、上記昇温制御を簡単なものにすることができる。
【0061】
幾つかの実施形態では、
図9及び
図10に示されるように、上述した暖気導入ライン50の下流端502は、循環ライン22の膨張機28と吹出口16との間(膨張気体ライン22C)に位置する接続位置P2において、膨張気体ライン22C(配管23F)に接続されている。暖気導入ライン50を流れる循環気体は、膨張気体ライン22Cの接続位置P2よりも下流側を介してコンテナ本体1の内部に導入される。
【0062】
図示される実施形態では、暖気導入ライン50を形成する配管は、上述した配管55と、暖気流量調整装置52の出口と配管23F(膨張気体ライン22C)の接続位置P2との間に設けられる配管56と、を含む。配管56は、上述した下流端502を有する。
【0063】
上記の構成によれば、暖気(暖気導入ライン50を流れる循環気体)の流路として、吹出口16などの循環ライン22の一部(膨張気体ライン22Cの接続位置P2と吹出口16の間)を利用できる。この場合には、コンテナ本体1の内部に暖気を導入するための専用の吹出口を設ける必要がなく、冷凍コンテナ100の構造のコンパクト化、軽量化が図れる。
【0064】
また、上記の構成によれば、暖気導入ライン50がバイパスする循環ライン22は、該循環ライン22に設けられた膨張機28により圧力損失が大きなものとなるため、暖気導入ライン50(暖気流量調整装置52)が開いているときに、暖気導入ライン50側に大量の循環気体を導くことができる。これにより、脱臭作用を有する物質が循環ライン22を介して低温環境である膨張機28に導かれるのを効果的に抑制できる。また、暖気導入ライン50を通過する循環気体は、暖気導入ライン50がバイパスする循環ライン22を通過する循環気体よりも高温となる。よって、上記の構成によれば、暖気導入ライン50を介して、コンテナ本体1の内部に比較的高温の循環気体を大量に導くことができるため、コンテナ本体1の内部の加熱能力を大きなものとすることができる。また、本構成では、上述した循環気体流量調整装置29を設けなくてもよい。
【0065】
幾つかの実施形態では、
図12に示されるように、上述した暖気導入ライン50の下流端502は、圧縮気体ライン22B(循環ライン22)の熱交換器26(高温側熱交換部262)と膨張機28との間に位置する接続位置P3において、圧縮気体ライン22Bに接続されている。暖気導入ライン50を流れる循環気体は、圧縮気体ライン22Bの接続位置P3よりも下流側、膨張機28及び膨張気体ライン22Cを介してコンテナ本体1の内部に導入される。
【0066】
図示される実施形態では、暖気導入ライン50を形成する配管は、上述した配管55と、暖気流量調整装置52の出口と圧縮気体ライン22Bの接続位置P3との間に設けられる配管56Aと、を含む。配管56Aは、上述した下流端502を有する。
【0067】
上記の構成によれば、暖気(暖気導入ライン50を流れる循環気体)の流路として、吹出口16などの循環ライン22の一部(循環ライン22の接続位置P3と吹出口16の間)を利用できる。この場合には、コンテナ本体1の内部に暖気を導入するための専用の吹出口を設ける必要がなく、冷凍コンテナ100の構造のコンパクト化、軽量化が図れる。
【0068】
また、上記の構成によれば、暖気導入ライン50の下流端502が、循環ライン22の膨張機28よりも上流側に接続されているため、循環ライン22の膨張機28よりも下流側に接続される場合に比べて、暖気導入ライン50から循環ライン22の膨張機28よりも下流側への入熱を抑制でき、冷凍コンテナ100の冷凍運転時における冷却性能の利得が大きくなる。
【0069】
また、上記の構成によれば、暖気導入ライン50の下流端502が、循環ライン22の膨張機28よりも上流側に接続されているため、暖気導入ライン50から直接、循環ライン22の膨張機28よりも下流側に入熱されることはない。このような本構成では、暖気導入ライン50に2つの暖気流量調整装置53、54を設けなくてもよい。
【0070】
また、
図12に示される実施形態では、冷凍機30の運転中において、循環気体流量調整装置29を閉じる(弁体の開度を全閉にする)ことで、循環ライン22を循環する循環気体が、暖気導入ライン50に設けられた脱臭装置70を確実に通過することになるため、脱臭装置70による脱臭効果が効果的に得られる。
【0071】
なお、幾つかの実施形態では、上述した暖気導入ライン50の下流端502には、空気などの気体をコンテナ本体1の内部に吹き出すための専用の吹出口(開口、不図示)が形成されていてもよい。なお、上述した吸込部18は、吸込口20及び上記専用の吹出口を含んでいてもよい。暖気導入ライン50を流れる循環気体は、記専用の吹出口に導かれ、記専用の吹出口を介して暖気導入ライン50からコンテナ本体1の内部に吹き出されるようになっている。
【0072】
幾つかの実施形態では、
図9、
図10及び
図12に示されるように、上述した冷凍コンテナ100は、上述した脱臭装置70と、上述した暖気導入ライン50と、上述した少なくとも1つの暖気流量調整装置52と、を備え、上述した脱臭装置70は、上述した少なくとも1つの暖気流量調整装置52が開状態のときに、脱臭作用を有する物質を放出するように構成されている。なお、少なくとも1つの暖気流量調整装置52が、複数の暖気流量調整装置52(53、54など)を含む場合には、複数の暖気流量調整装置52の全てが開状態のときに、脱臭作用を有する物質を放出するように構成されていてもよい。
【0073】
上述した脱臭装置70は、上述した少なくとも1つの暖気流量調整装置52が閉状態のときに、脱臭作用を有する物質を放出しないように構成されている。また、上述した脱臭装置70は、上述した少なくとも1つの暖気流量調整装置52が開状態のときに、脱臭作用を有する物質を放出可能となればよく、上述した少なくとも1つの暖気流量調整装置52が開状態のときに脱臭作用を有する物質を連続的に放出しなくてもよい。
【0074】
上記の構成によれば、少なくとも1つの暖気流量調整装置52が開状態のときは、脱臭装置70から放出された脱臭作用を有する物質は、暖気導入ライン50に導かれる。これにより、脱臭作用を有する物質が低温環境である膨張機28に導かれるのを抑制できる。これにより、脱臭作用を有する物質の膨張機28における効果低下や凍結を抑制できるため、脱臭装置70から放出される脱臭作用を有する物質の量を少なくしても、有効に脱臭効果が得られる。
【0075】
幾つかの実施形態では、
図9、
図10及び
図12に示されるように、上述した脱臭装置70は、暖気導入ライン50に設けられている。
図9、
図10及び
図12に示される実施形態では、脱臭装置70は、暖気導入ライン50の暖気流量調整装置52よりも上流側(上流端501側)に設置されている。
【0076】
上記の構成によれば、脱臭装置70を暖気導入ライン50に設けることで、脱臭作用を有する物質が低温環境である膨張機28に導かれるのを抑制できる。これにより、脱臭作用を有する物質の膨張機28における効果低下や凍結を抑制できるため、脱臭装置70から放出される脱臭作用を有する物質の量を少なくしても、有効に脱臭効果が得られる。また、下流端502が循環ライン22の膨張機28よりも下流側に接続された暖気導入ライン50に脱臭装置70を設けた場合には、脱臭作用を有する物質がコンテナ本体1の内部に導かれるため、脱臭作用を有する物質により庫内気体を直接除菌、脱臭できる。
【0077】
(冷凍機を構成する機器の配置)
幾つかの実施形態では、
図1、
図4、
図8及び
図10に示されるように、循環ライン22にそれぞれ設けられる、圧縮機24、冷却器32、熱交換器26及び膨張機28の各々は、コンテナ本体1の外側空間3において、コンテナ本体1の内側空間2と外側空間3とを仕切る隔壁10に沿って配置されている。
【0078】
図示される実施形態では、循環ライン22に設けられる上述の機器は、隔壁10としての短側壁7に沿って配置されている。なお、
図1においては、循環ライン22に設けられる上述の機器のうち幾つかが、二点鎖線で模式的に示されている。
【0079】
図1、
図4、
図8及び
図10に示されるように、上述した冷凍コンテナ100は、コンテナ本体1の外側空間3に設けられる上述の機器を上方、下方及び側方から囲うように設けられるカバー12を備えていてもよい。
【0080】
なお、
図4及び
図5に示されるように、吸込口20と熱交換器26との間の配管23Aは、短側壁7(隔壁10)に設けられた貫通孔25を挿通するように設けられてもよい。また、膨張機28と吹出口16との間の配管23Fは、短側壁7(隔壁10)に設けられた貫通孔27を挿通するように設けられてもよい。
【0081】
上記の構成によれば、圧縮機24、冷却器32、熱交換器26、及び膨張機28の各々が、コンテナ本体1の外側空間3に設置される。すなわち、これらの機器がコンテナ本体1の内側空間2に設けられないため、コンテナ内部の荷貨スペースを広く確保することができる。また、上記の構成では、コンテナ本体1の内側空間2に蒸発器等の熱交換器を設ける必要がないため、このような熱交換器の除霜をするためのデフロスト運転をする必要がない。よって、庫内温度を所期の温度に維持しやすい。また、上記の構成では、コンテナ本体1の外側空間3にて隔壁10に沿った比較的狭いスペースに冷凍機30を構成する機器が配置される。このように、コンテナ本体1に付加する冷凍機30の設置領域が小さいため、冷凍機30を含む冷凍コンテナ100を輸送用等のコンテナとして好適に使用可能である。なお、
図1、
図4、
図8及び
図10に示される実施形態以外(例えば、
図12に示される実施形態)にも本構成は適用可能である。
【0082】
(暖気導入ラインの配置)
幾つかの実施形態では、
図1、
図4、
図8及び
図10に示されるように、循環ライン22にそれぞれ設けられる、圧縮機24、冷却器32、熱交換器26及び膨張機28の各々は、コンテナ本体1の外側空間3において、コンテナ本体1の内側空間2と外側空間3とを仕切る隔壁10に沿って配置されている。そして、循環ライン22及び暖気導入ライン50も、外側空間3において隔壁10に沿って配置されている。
【0083】
上述した暖気導入ライン50は、
図4、
図8及び
図10に示されるような、隔壁10の外側空間3に面する外側面101に対する垂直方向視において、循環ライン22の熱交換器26と膨張機28とを繋ぐ冷却気体ライン22Dに対して交差しないように配置されている。
【0084】
図示される実施形態では、圧縮機24及び膨張機28は、水平方向に沿って並んで配置されている。熱交換器26及び冷却気体ライン22Dは、圧縮機24及び膨張機28よりも鉛直方向における上側(一方側)に配置され、冷却器32及び暖気導入ライン50は、圧縮機24及び膨張機28よりも鉛直方向における下側(他方側)に配置されている。換言すると、冷却器32及び暖気導入ライン50は、鉛直方向において、圧縮機24及び膨張機28を挟んで熱交換器26及び冷却気体ライン22Dとは反対側に配置されている。
【0085】
上記の構成によれば、暖気導入ライン50を流れる循環気体(暖気)から冷却気体ライン22Dを流れる循環気体(冷気)への入熱を削減でき、これにより、冷凍コンテナ100の性能向上が図れる。なお、
図1、
図4、
図8及び
図10に示される実施形態以外(例えば、
図12に示される実施形態)にも本構成は適用可能である。
【0086】
幾つかの実施形態では、上述した熱交換器26又は冷却器32の少なくとも一方は、プレート式熱交換器又はマイクロチャネル熱交換器を含んでもよい。プレート式熱交換器又はマイクロチャネル熱交換器は、アルミニウム又はチタンを含む材料から形成されたものであってもよい。
【0087】
幾つかの実施形態では、吸込口20には、
図5に示されるような、異物を除去するためのフィルタ部21が設けられる。フィルタ部21は、複数の孔又はメッシュを有する部材等を含み、これらの孔やメッシュ等により形成される複数の開口を有する。
【0088】
幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、コンテナ本体1の外側にて圧縮機24、冷却器32、熱交換器26、及び膨張機28が設置される領域と、コンテナ本体1の内側空間2とを仕切る隔壁10(
図1に示す例ではコンテナ本体1の短側壁7)は、コンテナ本体1の長手方向に直交する平面に沿って延在する。
【0089】
上述の実施形態では、コンテナ本体1の長手方向に直交する平面に沿って延在する比較的小さい壁である隔壁10(短側壁7)に沿った比較的狭いスペースに冷凍機30を構成する機器(圧縮機24、熱交換器26、膨張機28)が配置される。このため、コンテナ本体1に付加する冷凍機30の設置領域を小さくすることができ、該冷凍機30を含む冷凍コンテナ100を輸送用等のコンテナとして好適に使用可能である。
【0090】
一実施形態では、圧縮機24、冷却器32、熱交換器26、及び膨張機28は、外側空間3にて、コンテナ本体1の長手方向における隔壁10からの長さL1が、コンテナ本体1の長さL0の1/10以下の範囲内に配置されてもよい(
図1参照)。
【0091】
この場合、冷凍機30を構成する機器の設置領域が、コンテナ本体1の長さL0の1/10以下の範囲内である。よって、コンテナ本体1に付加する冷凍機30の設置領域が小さいため、該冷凍機30を含む冷凍コンテナ100を輸送用等のコンテナとして好適に使用可能である。
【0092】
例えばコンテナ本体1が20ftコンテナ(長さL0:約6.1m、幅W0:約2.4m、高さH0:約2.6m)の場合、上述の設置領域の長さ(L1)が、610mm以下であってもよい。
【0093】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0094】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0095】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0096】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る冷凍コンテナ(100)は、
コンテナ本体(1)の内部の気体である庫内気体を冷却可能に構成された冷凍コンテナ(100)であって、
前記コンテナ本体(1)と、
前記コンテナ本体(1)の内部にそれぞれ設けられた吸込口(20)及び吹出口(16)を有する循環ライン(22)と、
前記循環ライン(22)に設けられ、前記コンテナ本体(1)の内部から前記吸込口(20)を介して前記循環ライン(22)に吸引された前記気体である循環気体を圧縮するように構成された圧縮機(24)と、
前記循環ライン(22)に設けられ、前記圧縮機(24)において圧縮された前記循環気体を冷却するように構成された熱交換器(26)と、
前記循環ライン(22)に設けられ、前記熱交換器(26)で冷却された前記循環気体を膨張させるように構成された膨張機(28)と、
前記循環気体に対して脱臭作用を有する物質を放出するように構成された脱臭装置(70)と、を備える。
【0097】
上記1)の構成によれば、循環ライン(22)にそれぞれ設けられる圧縮機(24)、熱交換器(26)及び膨張機(28)を含み、コンテナ本体(1)の内部の気体(庫内気体)を熱媒体として使用する冷凍機(30)が構築される。コンテナ本体(1)の内部の気体は、吹出口(16)での圧力と、吸込口(20)での圧力との差によって、吹出口(16)から吸込口(20)に至るまで自然循環するため、循環気体を循環させるためのファンが不要である。このため、コンテナ本体(1)の内部にファン及びファンモータを設けることによる庫内温度の上昇が生じない。よって、庫内温度を所期の温度に維持しやすい。また、コンテナ本体(1)の内部にファン及びファンモータが設けられないため、コンテナ本体(1)の内部の荷貨スペースを広く確保することができる。したがって、上記1)の構成によれば、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制可能であるとともに、庫内温度を安定的に維持することが可能な冷凍コンテナ(100)が得られる。
【0098】
上記1)の構成によれば、脱臭装置(70)により、循環気体に対して脱臭作用を有する物質を放出することで、循環気体を脱臭できる。そして、脱臭装置(70)により脱臭した循環気体をコンテナ本体(1)の内部に戻すことで、庫内気体を脱臭できる。この場合には、脱臭装置(70)により庫内気体を直接脱臭する場合とは異なり、脱臭装置(70)をコンテナ本体(1)の外部に設けることができるため、コンテナ本体(1)の内部の荷貨スペースを広く確保することができる。脱臭装置(70)をコンテナ本体(1)の外部に設ける際には、循環ライン(22)や暖気導入ライン(50)などのコンテナ本体(1)の内部から取り出された気体(循環気体)が流れるラインに設けることが好ましい。この場合には、コンテナ本体(1)と脱臭装置(70)との間における気体の流路として、循環ライン(22)や暖気導入ライン(50)などを利用できるため、冷凍コンテナ(100)の構造のコンパクト化、軽量化が図れる。
【0099】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記熱交換器(26)は、
前記循環ライン(22)の前記圧縮機(24)と前記膨張機(28)の間に設けられ、前記循環気体が流れる高温側熱交換部(262)と、
前記循環ライン(22)の前記吸込口(20)と前記圧縮機(24)の間に設けられ、前記循環気体が流れる低温側熱交換部(261)と、を含み、
前記低温側熱交換部(261)を流れる前記循環気体によって、前記高温側熱交換部(262)を流れる前記循環気体を冷却するように構成され、
前記冷凍コンテナ(100)は、
前記循環ライン(22)の前記圧縮機(24)よりも下流側、且つ前記高温側熱交換部(262)よりも上流側に設けられた冷却器(32)であって、前記循環気体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器(32)をさらに備え、
前記脱臭装置(70)は、前記循環ライン(22)の前記冷却器(32)と前記高温側熱交換部(262)の間に設けられた。
【0100】
上記2)の構成によれば、循環ライン(22)の冷却器(32)と高温側熱交換部(262)の間は、冷凍機(30)の運転時において、常温(0℃以上60℃以下)の循環気体が流れるようになっている。脱臭装置(70)を循環ライン(22)における常温の循環気体が流れる部分(常温環境部)に設けることで、脱臭作用を有する物質が低温環境である膨張機(28)に導かれるのを抑制できる。これにより、脱臭作用を有する物質の膨張機(28)における効果低下や凍結を抑制できるため、脱臭装置(70)から放出される脱臭作用を有する物質の量を少なくしても、有効に脱臭効果が得られる。
【0101】
3)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記熱交換器(26)は、
前記循環ライン(22)の前記圧縮機(24)と前記膨張機(28)の間に設けられ、前記循環気体が流れる高温側熱交換部(262)と、
前記循環ライン(22)の前記吸込口(20)と前記圧縮機(24)の間に設けられ、前記循環気体が流れる低温側熱交換部(261)と、を含み、
前記低温側熱交換部(261)を流れる前記循環気体によって、前記高温側熱交換部(262)を流れる前記循環気体を冷却するように構成され、
前記脱臭装置(70)は、前記循環ライン(22)の前記低温側熱交換部(261)と前記圧縮機(24)の間に設けられた。
【0102】
上記3)の構成によれば、循環ライン(22)の低温側熱交換部(261)と圧縮機(24)の間は、冷凍機(30)の運転時において、常温(0℃以上60℃以下)の循環気体が流れるようになっている。脱臭装置(70)を循環ライン(22)における常温の循環気体が流れる部分(常温環境部)に設けることで、脱臭作用を有する物質が低温環境である膨張機(28)に導かれるのを抑制できる。これにより、脱臭作用を有する物質の膨張機(28)における効果低下や凍結を抑制できるため、脱臭装置(70)から放出される脱臭作用を有する物質の量を少なくしても、有効に脱臭効果が得られる。また、循環ライン(22)の低温側熱交換部(261)と圧縮機(24)の間は、循環ライン(22)の冷却器(32)と高温側熱交換部(262)の間に比べて圧力が低いため、循環気体に対して脱臭作用を有する物質を放出し易い。
【0103】
4)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記冷凍コンテナ(100)は、前記庫内気体を-40℃以下に冷却可能に構成された。
【0104】
上記4)の構成によれば、循環ライン(22)の低温側熱交換部(261)と圧縮機(24)の間を流れる循環気体は、庫内気体を-40℃以下の超低温に冷却するような冷凍コンテナ(100)においても、常温の乾燥空気になるため、脱臭作用を有する物質を生成し易く、脱臭作用を有する物質による脱臭効果が高い。
【0105】
5)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記熱交換器(26)は、
前記循環ライン(22)の前記圧縮機(24)と前記膨張機(28)の間に設けられ、前記循環気体が流れる高温側熱交換部(262)と、
前記循環ライン(22)の前記吸込口(20)と前記圧縮機(24)の間に設けられ、前記循環気体が流れる低温側熱交換部(261)と、を含み、
前記低温側熱交換部(261)を流れる前記循環気体によって、前記高温側熱交換部(262)を流れる前記循環気体を冷却するように構成され、
前記冷凍コンテナ(100)は、
前記循環ライン(22)の前記圧縮機(24)よりも下流側、且つ前記高温側熱交換部(262)よりも上流側に設けられた冷却器(32)であって、前記循環気体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器(32)と、
前記循環ライン(22)の前記圧縮機(24)と前記高温側熱交換部(262)との間から前記庫内気体よりも高温の前記循環気体を抜き出して前記コンテナ本体(1)に導くための暖気導入ライン(50)と、をさらに備える。
【0106】
上記5)の構成によれば、暖気導入ライン(50)により、圧縮機(24)において庫内気体よりも高温になった循環気体をコンテナ本体(1)の内部に戻すことで、庫内温度を上げることができる。冷凍コンテナ(100)は、コンテナ本体(1)の外部に暖気導入ライン(50)を備えることで、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制しつつ、庫内温度の調整可能な範囲を高温側に拡大できる。庫内温度の調整可能な範囲を高温側に拡大することで、脱臭作用を有する物質が低温環境に置かれて効果低下や凍結を招くのを抑制できる。
【0107】
6)幾つかの実施形態では、上記5)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記暖気導入ライン(50)に設けられ、前記暖気導入ライン(50)を流れる前記気体の流量を調整可能に構成された少なくとも1つの暖気流量調整装置(52)をさらに備え、
前記脱臭装置(70)は、前記少なくとも1つの暖気流量調整装置(52)が開状態のときに、前記脱臭作用を有する物質を放出するように構成された。
【0108】
上記6)の構成によれば、少なくとも1つの暖気流量調整装置(52)が開状態のときは、脱臭装置(70)から放出された脱臭作用を有する物質は、暖気導入ライン(50)に導かれる。これにより、脱臭作用を有する物質が低温環境である膨張機28に導かれるのを抑制できる。これにより、脱臭作用を有する物質の膨張機28における効果低下や凍結を抑制できるため、脱臭装置70から放出される脱臭作用を有する物質の量を少なくしても、有効に脱臭効果が得られる。
【0109】
7)幾つかの実施形態では、上記5)又は上記6)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記脱臭装置(70)は、前記暖気導入ライン(50)に設けられた。
【0110】
上記7)の構成によれば、脱臭装置(70)を暖気導入ライン(50)に設けることで、脱臭作用を有する物質が低温環境である膨張機(28)に導かれるのを抑制できる。これにより、脱臭作用を有する物質の膨張機(28)における効果低下や凍結を抑制できるため、脱臭装置(70)から放出される脱臭作用を有する物質の量を低減しても、有効な脱臭効果が得られる。
【0111】
8)幾つかの実施形態では、上記7)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記暖気導入ライン(50)の下流端(502)は、前記循環ライン(22)の前記膨張機(28)と前記吹出口(16)との間に接続された。
【0112】
上記8)の構成によれば、暖気(暖気導入ライン50を流れる循環気体)の流路として、吹出口(16)などの循環ライン(22)の一部を利用できる。この場合には、コンテナ本体(1)の内部に暖気を導入するための専用の吹出口を設ける必要がなく、冷凍コンテナ(100)の構造のコンパクト化、軽量化が図れる。
【0113】
また、上記8)の構成によれば、暖気導入ライン(50)がバイパスする循環ライン(22)は、該循環ライン(22)に設けられた膨張機(28)により圧力損失が大きなものとなるため、暖気導入ライン(50)が開いているときに、暖気導入ライン(50)側に大量の循環気体を導くことができる。これにより、脱臭作用を有する物質が循環ライン(22)を介して低温環境である膨張機(28)に導かれるのを効果的に抑制できる。また、暖気導入ライン(50)を通過する循環気体は、暖気導入ライン(50)がバイパスする循環ライン(22)を通過する循環気体よりも高温となる。よって、上記8)の構成によれば、暖気導入ライン(50)を介して、コンテナ本体(1)の内部に比較的高温の循環気体を大量に導くことができるため、コンテナ本体(1)の内部の加熱能力を大きなものとすることができる。
【0114】
9)幾つかの実施形態では、上記7)に記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記暖気導入ライン(50)の下流端(502)は、前記循環ライン(22)の前記熱交換器(26)と前記膨張機(28)との間に接続された。
【0115】
上記9)の構成によれば、暖気(暖気導入ライン50を流れる循環気体)の流路として、吹出口(16)などの循環ライン(22)の一部を利用できる。この場合には、コンテナ本体(1)の内部に暖気を導入するための専用の吹出口を設ける必要がなく、冷凍コンテナ(100)の構造のコンパクト化、軽量化が図れる。
【0116】
また、上記9)の構成によれば、暖気導入ライン(50)の下流端が、循環ライン(22)の膨張機(28)よりも上流側に接続されているため、循環ライン(22)の膨張機(28)よりも下流側に接続される場合に比べて、暖気導入ライン(50)から循環ライン(22)の膨張機(28)よりも下流側への入熱を抑制でき、冷凍コンテナ(100)の冷凍運転時における冷却性能の利得が大きくなる。
【0117】
10)幾つかの実施形態では、上記1)から上記9)までの何れかに記載の冷凍コンテナ(100)であって、
前記庫内気体及び前記循環気体は、空気を含み、
前記脱臭装置(70)は、前記空気からオゾンを発生させるように構成されたオゾン発生装置(70A)を含む。
【0118】
上記10)の構成によれば、オゾン発生装置(70A)により、循環ライン(22)や暖気導入ライン(50)を流れる循環気体(空気)からオゾンを生成でき、生成されたオゾンにより循環気体の除菌、脱臭を行うことができる。この場合には、コンテナ本体(1)と脱臭装置(70)との間における気体の流路として、循環ライン(22)や暖気導入ライン(50)などを利用できるため、冷凍コンテナ(100)の構造のコンパクト化、軽量化が図れる。また、脱臭作用を有する物質を水分由来のものではなく、オゾンとすることで、膨張機(28)における凍結を抑制できる。
【符号の説明】
【0119】
1 コンテナ本体
2 内側空間
3 外側空間
4 天井壁
5 底壁
6,7 短側壁
8,9 長側壁
10 隔壁
12 カバー
14 吹出部
16 吹出口
18 吸込部
20 吸込口
21 フィルタ部
22 循環ライン
22A 吸引気体ライン
22B 圧縮気体ライン
22C 膨張気体ライン
23A~23F 配管
24 圧縮機
25,27 貫通孔
26 熱交換器
28 膨張機
29 循環気体流量調整装置
30 冷凍機
32 冷却器
34 冷却液循環ライン
36 冷却装置
38 ラジエータ
40 ファン
42 ポンプ
44 回転シャフト
46 電動モータ
50 暖気導入ライン
52 暖気流量調整装置
53 第1の暖気流量調整装置
54 第2の暖気流量調整装置
70 脱臭装置
100 冷凍コンテナ