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特開2024-5526画像比較システム、画像比較方法、及び画像比較プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005526
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】画像比較システム、画像比較方法、及び画像比較プログラム
(51)【国際特許分類】
   C25D 21/12 20060101AFI20240110BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C25D21/12 C
G01N21/84 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105736
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】394016519
【氏名又は名称】株式会社山本鍍金試験器
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 渡
(72)【発明者】
【氏名】小岩 仁子
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB20
2G051AC22
2G051CC07
2G051FA01
(57)【要約】
【課題】めっき試験の試験結果に対し、判断材料となる情報を容易に提供することができる。
【解決手段】画像比較システム300は、めっき試験の結果を示す金属片の表面状態画像を取得する取得部111と、新規に取得した表面状態画像について、めっき試験の試験条件を取得する条件取得部113と、表面状態画像、及び試験条件を記憶する記憶部120と、新規に取得された表面状態画像の試験条件と、少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、記憶部120から抽出する抽出部114と、新規に取得された表面状態画像および抽出部114によって抽出された他の表面状態画像を、比較可能に表示部160に表示させる表示制御部115と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき試験の結果を示す金属片の表面状態画像を取得する取得部と、
新規に取得した前記表面状態画像について、前記めっき試験の試験条件を取得する条件取得部と、
前記表面状態画像、及び前記試験条件を記憶する記憶部と、
前記新規に取得された表面状態画像の試験条件と、少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、前記記憶部から抽出する抽出部と、
前記新規に取得された表面状態画像、及び前記抽出部によって抽出された他の表面状態画像を、比較可能に表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする画像比較システム。
【請求項2】
前記抽出部が前記他の表面状態画像を複数抽出した場合、当該抽出部によって抽出された複数の前記他の表面状態画像のうち、いずれか1つの前記他の表面の状態について詳細表示指示を受け付ける詳細表示受付部を、更に備え、
前記表示制御部は、
受け付けられた前記詳細表示指示に基づいて、前記新規に取得された表面状態画像と、前記他の表面状態画像とを、比較可能に表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像比較システム。
【請求項3】
前記記憶部には、前記他の表面状態画像と、前記新規に取得された表面状態画像のそれぞれについて、前記金属片の表面の状態、前記試験条件、対処方法、対処結果及び備考欄の少なくとも一つを含む詳細情報が関連付けて記憶されており、
前記他の表面状態画像、及び前記新規に取得された表面状態画像のそれぞれについて、前記詳細情報を前記記憶部から抽出する詳細情報抽出部を、更に備え、
前記表示制御部は、
前記詳細情報抽出部によって抽出された、前記他の表面状態画像の前記詳細情報と、前記新規に取得された表面状態画像の前記詳細情報とを、比較可能に表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像比較システム。
【請求項4】
可視光により撮像する可視光カメラと、
所定の偏光により撮像する偏光カメラと、を含み、
前記可視光カメラと前記偏光カメラは、
前記金属片の表面の状態を撮像して前記新規の表面状態画像を取得する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像比較システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、
前記新規の表面状態画像である前記可視光カメラによって撮像された可視光画像、及び/又は前記偏光カメラによって撮像された偏光画像を、前記表示部に表示させ、
前記新規の表面状態画像である前記可視光画像、及び前記偏光画像のうちいずれかが選択されると、前記他の表面状態画像である可視光画像および偏光画像のうち対応するものを、前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像比較システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、
前記偏光画像の端部又は前記金属片の端部からの距離に基づいて、前記金属片の表面における凹凸の度合いを解析し、前記表示部に表示させる凹凸度合解析部を、
更に備えることを特徴とする請求項5に記載の画像比較システム。
【請求項7】
前記めっき試験は、ハルセル試験である、
請求項1に記載の画像比較システム。
【請求項8】
前記金属片の表面を複数の領域に区分けする外観領域区分部を、更に備え、
前記外観領域区分部は、
前記複数の領域に区分けされた各領域において、前記試験結果が良好か否かの判定を受け付ける、
更に備えることを特徴とする請求項7に記載の画像比較システム。
【請求項9】
前記新たに取得された表面状態画像又は前記他の表面状態画像において、画像の端部又は画像における前記金属片の端部からの位置情報を取得して、取得した前記位置情報における電流密度を、前記表示部に表示させる電流密度表示部を、
更に備えることを特徴とする請求項7に記載の画像比較システム。
【請求項10】
前記抽出部は、
前記試験条件とは異なる基準の複数の項目を有し、前記複数の項目の中から1つの優先項目の選択を受け付けて、該当する前記他の表面状態画像を優先して抽出する、
請求項1に記載の画像比較システム。
【請求項11】
前記抽出部は、
前記新規に取得された表面状態画像の前記試験条件と、前記少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、当該他の表面状態画像が撮像された撮像日に基づいて、抽出し、
前記表示制御部は、
前記抽出部が抽出した前記撮像日に基づく前記他の表面状態画像の有無をカレンダーに表示する日付呼出部を、更に備え、
前記日付呼出部は、
前記カレンダーに表示された前記他の表面状態画像が有る日が選択されると、当該選択された日に撮像された前記他の表面状態画像を、前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像比較システム。
【請求項12】
前記表示制御部は、
前記抽出部によって抽出された前記他の表面状態画像のうちいずれか1つと、前記新規に取得された表面状態画像とを、重畳表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像比較システム。
【請求項13】
前記1つの他の表面状態画像と、前記新規に取得された表面状態画像のうちいずれか一方の画像を透過させる透過画像生成部を、
更に備える請求項12に記載の画像比較システム。
【請求項14】
取得部が、めっき試験の結果を示す金属片の表面状態画像を取得するステップと、
条件取得部が、新規に取得された前記表面状態画像について、前記めっき試験の試験条件を取得するステップと、
抽出部が、前記新規に取得された表面状態画像の試験条件と、少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、記憶部から抽出するステップと、
表示制御部が、前記新規に取得された表面状態画像、及び前記他の表面状態画像を、比較可能に表示部に表示させるステップと、
を含むことを特徴とする画像比較方法。
【請求項15】
コンピュータに、
めっき試験の結果を示す金属片の表面状態画像を取得する手順、
新規に取得された表面状態画像について、前記めっき試験の試験条件を取得する手順、
前記新規に取得された表面状態画像の試験条件と、少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、記憶部から抽出する手順、
前記新規に取得された表面状態画像、及び前記他の表面状態画像を、比較可能に表示部に表示させる手順、
を実行させることを特徴とする画像比較プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像比較システム、画像比較方法、及び画像比較プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、めっきに関する試験としてハルセル試験が実施されている。ハルセル試験は、電気めっきにおける工程管理のための基本的な試験として、国際的にも幅広く使用されている。
【0003】
めっき工程において皮膜状態に影響を及ぼす因子は、多種多用に存在するため、想定外の要因であることも少なくない。ハルセル試験は、化学分析では補いきれないような外観変化の原因をいち早く見つけることができるため、有益である。
【0004】
しかしながら、ハルセル試験では、電着による金属皮膜を作業者が目視で確認し、判断する。そのため、ハルセル試験は、作業者の人為的能力に依存する部分が存在する。特に、技術者の減少もあり、技術の伝承、及び将来に向けた技術の活用において、技術者不足が懸念されている。
【0005】
ここで、ハルセル試験に関連する技術として、例えば、表面検査装置が特許文献1に開示されている。特許文献1の表面検査装置の要約書には、「検査対象物の表面の欠陥を検査する表面検査装置10は、面状の発光領域20aを有し、面状の発光領域20aから検査対象物50の表面に対して、拡散光を照射する照明装置20と、照明装置20が照明した検査対象物50の表面を撮像して撮像画像を生成する撮像装置30と、撮像画像30に基づいて、検査対象物50の表面の欠陥の有無を判定する判定装置40と、を有する。照明装置20は、撮像装置30の光軸の検査対象物50の表面における正反射方向と、発光領域の中心における発光領域の法線とが一致するように、配置される。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-179331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された表面検査装置は、表面に電気めっき処理が施された鋼板を検査対象物として、表面の粗度が比較的大きい検査対象物の表面に生じた汚れ欠陥の適切な検出を可能としている。特に、特許文献1の表面検査装置では、照明装置の発光領域が面状であることにより、検査対象物の表面に凹凸があっても明部と暗部とが形成されることを抑制している。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された表面検査装置を使用しても、作業者が検査対象面の試験結果を目視で確認する必要があり、検査対象物の撮像画像に基づいて、試験結果を判断する必要がある。
【0009】
そのため、特許文献1に記載された表面検査装置により汚れ欠陥を検出できたとしても、作業者が試験結果の良し悪しを判断することができなければ、汚れ欠陥を検出した意味が見出せない。特に、技術の伝承、及び将来に向けた技術の活用という観点では、作業者は、熟練者によって蓄積された技術を試験結果の判断に活かすことができていない。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、めっき試験の試験結果に対し、判断材料となる情報を容易に提供することができる、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明の上記課題は、下記の構成により解決される。
本発明に係る画像比較システムは、めっき試験の結果を示す金属片の表面状態画像を取得する取得部と、新規に取得した前記表面状態画像について、前記めっき試験の試験条件を取得する条件取得部と、前記表面状態画像、及び前記試験条件を記憶する記憶部と、前記新規に取得された表面状態画像の試験条件と、少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、前記記憶部から抽出する抽出部と、前記新規に取得された表面状態画像、及び前記抽出部によって抽出された他の表面状態画像を、比較可能に表示部に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、めっき試験の試験結果に対し、判断材料となる情報を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】ハルセル試験の構成を示した説明図である。
図1B】ハルセル水槽を示した説明図である。
図2】本実施形態に係る画像比較システムの全体構成を示した説明図である。
図3】本実施形態に係る画像比較システムの主なハードウェアの構成を示す説明図である。
図4】本実施形態に係る情報処理装置のCPUの機能を示した機能ブロック図である。
図5A】本実施の形態に係る画像比較システムの動作を示したフローチャートである(その1)。
図5B】本実施の形態に係る画像比較システムの動作を示したフローチャートである(その2)。
図5C】本実施の形態に係る画像比較システムの動作を示したフローチャートである(その3)。
図6】ハルセル試験画像比較システムの表示画面を示した説明図である。
図7】表紙ページを示す画面を示した説明図である。
図8】撮像する金属片の表面状態画像を示した表示画面である。
図9】金属片の表面状態画像について、試験条件を入力する入力画面である。
図10A】入力画面の記入項目の上半分を示した説明図である。
図10B】入力画面の記入項目の下半分を示した説明図である。
図11】表面状態画像のデータ比較を行う際の優先項目を示した表示画面である。
図12】右側に、日付の新しい順に他の表面状態画像を抽出した表示画面である。
図13】5つの領域に対応する他の表面状態画像を抽出した表示画面である。
図14】領域に表示された可視光画像と、領域に表示された可視光画像を比較した表示画面である。
図15】可視光画像と可視光画像とを重ね合わせた重畳表示を示した表示画面である。
図16】偏光画像における表面の凹凸の度合いを示すグラフを表示した表示画面である。
図17】過去データを呼び出して、カレンダーに他の表面状態画像の有無を表示した表示画面である。
図18A】ニッケルを使用する場合の表面の粗さについて、用語を定義したものである。
図18B】ニッケルを使用する場合の色、光沢について、用語を定義したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<本実施形態の概要>
本実施形態に係る画像比較システムは、電気めっきによるめっき試験を行った金属片について表面状態を撮像して、その金属片の表面状態画像を取得する。作業者は、取得した表面状態画像を観察し、その表面の状態を判定する。めっき試験の一例として、ハルセル試験を適用し、金属片における連続した電流密度での析出状態を対象とする。なお、本実施形態に係る画像比較システムは、めっき試験のハルセル試験に限定されるものではなく、例えば、均一性試験、密着性試験など、作業者が目視で判定を行う試験に適用することができる。
【0015】
[ハルセル試験]
まず、ハルセル試験について説明する。ハルセル試験は、少量のめっき液を用いて、ハルセル水槽で陰極(テストピース)にめっき処理を行うことにより、めっき浴の状態を観察する試験方法である。めっき液には、例えば、銅、ニッケル、亜鉛などを適用することができる。
【0016】
図1Aは、ハルセル試験の構成を示した説明図である。ハルセル試験400(めっき装置)は、ハルセル水槽401、ハルセル水槽401の左側の側壁402に設けられた陽極板CP、ハルセル水槽401の右側の側壁403に設けられた陰極板(テストピースとしての金属片OB)、電圧計404、電流計405、及び電源装置(整流部)406を備えて構成されている。
【0017】
本実施形態のハルセル試験400では、ハルセル水槽401、電源装置406、陽極板CPおよび陰極板(金属片OB)を使用して、金属片OBにめっき処理を行うことにより、めっき後の金属片OBの表面状態(陰極板の表面に析出しためっきの状態)を観察する。陽極板CPには、例えば、無酸素銅、電解ニッケルなどを使用でき、陰極板(金属片OB)には、例えば、鉄、黄銅などを使用することができる。ハルセル試験400は、少量のめっき液を用いて短時間で簡単に浴状態を観察するために、ハルセル水槽401と呼ばれる水槽を用いて行われる。
【0018】
図1Bは、ハルセル水槽を示した説明図である。ハルセル水槽401は、台形型の形状を有しており、左側の側壁402に対し、右側の側壁403を斜めに配置した構造を有している。ハルセル水槽401は、右側の側壁403を斜めに配置することで、陽極板CPと陰極板(金属片OB)の極間距離を変化させ、電流分布状態に勾配を持たせている。
【0019】
したがって、ハルセル試験400は、ハルセル水槽401の陰極板(金属片OB)において、台形の上辺側の側壁402と側壁403の極間距離が近いほど電流密度が高く、台形の下辺側の側壁402と側壁403の極間距離が遠いほど電流密度が低くなる。このように、ハルセル試験400では、陰極板を構成する金属片OBにおいて、広い電流密度範囲のめっき被膜を得ることができるので、一度に幅広い電流密度領域の観察を行うことができる。
【0020】
<画像比較システムの全体構成>
図2は、本実施形態に係る画像比較システムの全体構成を示した説明図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像比較システム300は、情報処理装置100、及び撮像部200を備えて構成されている。
【0021】
作業者は、陰極板を構成する金属片OBにめっき試験を施すことにより、金属片OBの表面にめっき試験の結果が形成される。金属片OBは土台FDに載置され、作業者は、土台FDに載置された金属片OBを、撮像部200を用いて写真撮影する。
【0022】
なお、本実施形態では、撮像部200により、金属片OBの表面の写真撮影を行って、金属片OBの表面状態画像を生成することを撮像という。本実施形態におけるめっき試験は、ハルセル試験であり、めっき浴内に設けられた金属片OBに対し、電流密度が所定の範囲内で連続して変わる電流を流して、めっきを析出させた結果を撮像する。
【0023】
情報処理装置100は、撮像部200によって撮像された複数の表面状態画像を取得し、ソフトウェア(アプリケーション)により金属片OBの表面状態画像に試験条件や現場での現象を紐づける。これにより、情報処理装置100は、金属片OBの現在の浴状態や今後起こり得るめっき不良の予測などを行うことができる。
【0024】
<本実施形態の詳細>
[画像比較システムのハードウェアの構成]
図3は、本実施形態に係る画像比較システムの主なハードウェアの構成を示す説明図である。
【0025】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、記憶部120、ROM(Read Only Memory)130、RAM(Random Access Memory)140、入力部150、表示部160、及び内部バス195を備えて構成されている。情報処理装置100は、例えば、ノートパソコン、パーソナルコンピュータ、又はタブレット(tablet)端末で構成され、特に限定されるものではない。
【0026】
CPU110、記憶部120、ROM130、及びRAM140は、記憶部120、又はROM130に格納されている制御プログラム(不図示)を、CPU110が実行することにより、アプリケーション170として機能する。
【0027】
CPU110は、中央処理装置であり、記憶部120又はROM130に格納された制御プログラムを実行することで、図4に示す各処理を具現化する。
【0028】
記憶部120は、大容量の記憶装置であり、例えば、不揮発性メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)、ハードディスクドライブなどで構成される。記憶部120は、例えば、制御プログラム、金属片OBの表面状態画像、ハルセル試験の試験条件などを記憶する。
【0029】
RAM140は、CPU110により実行制御される各種処理において、ROM130から制御プログラムが読み出され、CPU110で実行可能な各種プログラム、入力データ、出力データ、及びパラメータを一時的に記憶するワークエリアとして機能する。
【0030】
入力部150は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キーなどを備えた入力装置を備えて構成される。入力部150は、押下操作されたキーの押下信号や操作信号を、入力信号としてCPU110に出力する。CPU110は、入力部150からの押下信号や操作信号に基づいて、各種処理を実行する。
【0031】
表示部160は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)のモニタで構成される。表示部160は、CPU110から入力される表示信号の指示に従って、金属片OBの表面状態画像を表示する。なお、表示部160、及び入力部150は、タッチパネルディスプレイを採用することもできる。
【0032】
内部バス195は、情報処理装置100における各構成要素に対して、電気的に相互に接続する。
【0033】
撮像部200は、可視光により撮像する可視光カメラ201と、所定の偏光により撮像する偏光カメラ202を含んで構成されている。可視光カメラ201と偏光カメラ202は、それぞれ金属片OBの表面の状態を撮像し、新規の表面状態画像を取得する。
【0034】
可視光カメラ201は、可視光画像を生成することにより、作業者は、例えば、金属片OBにおいて被膜の色味、焦げた場合の暗色化を判断する。可視光画像には、光学画像やデジタル画像が含まれる。
【0035】
偏光カメラ202は、所定の偏光方向を有する各偏光子により、所定の偏光方向の光を透過させた偏光情報を撮像する。偏光カメラ202は、偏光画像を生成することにより、作業者は、例えば、焼け焦げ、ビリ(膨れ)、ピット(巨視的な穴)などの表面凹凸(0.1mm程度)を判断する。なお、撮像部200で撮像した撮像画像には、可視光画像と、偏光画像とが含まれる。
【0036】
[情報処理装置の機能ブロックの構成]
次に、本実施形態に係る情報処理装置100のCPU110の処理について、図4を用いて説明する。以下、同一の部材には同一の符号を付し、説明を適宜、省略する。
【0037】
図4は、本実施形態に係る情報処理装置100のCPU110の機能を示した機能ブロック図である。CPU110は、記憶部120に格納された制御プログラムを実行することにより、取得部111、登録部112、条件取得部113、抽出部114、表示制御部115、詳細表示受付部116などを具現化する。
【0038】
表示制御部115は、凹凸度合解析部115a、及び日付呼出部115bを備えて構成されている。また、詳細表示受付部116は、詳細情報抽出部116aを備えて構成されている。
【0039】
また、CPU110は、記憶部120に格納された制御プログラムを実行することにより、外観領域区分部117、電流密度表示部118、及び透過画像生成部119を具現化する。
【0040】
取得部111は、めっき試験の結果を示す金属片OBの表面状態画像を、撮像部200から取得する。取得部111は、可視光カメラ201から可視光画像を取得するとともに、偏光カメラ202から偏光画像を取得する。
【0041】
登録部112は、取得部111で取得された金属片OBの表面状態画像を記憶部120に格納する。
【0042】
条件取得部113は、新規に取得した表面状態画像について、めっき試験の試験条件を取得する。条件取得部113は、例えば、後述する図9等に示すような試験条件の入力画面を表示部160に表示する。条件取得部113は、入力部150から入力された試験条件を、新規に取得した表面状態画像に関連付けて記憶部120に記憶する。
【0043】
抽出部114は、新規に取得された表面状態画像の試験条件を参照して、予め記憶部120に記憶された表面状態画像のうち少なくとも一部の試験条件が新規に取得された表面状態画像の試験条件と一致する他の表面状態画像を、記憶部120から抽出する。抽出部114は、例えば、後述する図10Aのハルセル条件551において、めっきの種類、全電流([A])、試験時間([分])、温度([℃])、攪拌、作業者、撮影者のうち少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、記憶部120から抽出する。ハルセル条件551は、例えば、めっきの種類がニッケル(Ni)であり、全電流が5(A)であり、試験時間が5分で、めっき液の温度が50℃であり、攪拌は無しとなっている。
【0044】
また、抽出部114は、試験条件とは異なる基準の複数の項目を有し、複数の項目の中から1つの項目の選択を受け付けて、該当する他の表面状態画像を優先して抽出することができる。抽出部114は、例えば、後述する図11の優先項目の中から1つの優先項目を受け付けて、他の表面状態画像を抽出し、図12に示すように、表示制御部115により、抽出された他の表面状態画像を表示させることができる。
【0045】
表示制御部115は、新規に取得された表面状態画像、及び抽出部114によって抽出された他の表面状態画像を、比較可能に表示部160に表示させる。また、表示制御部115は、新規の表面状態画像である可視光カメラ201によって撮像された可視光画像、及び/又は偏光カメラ202によって撮像された偏光画像を、表示部160に表示させることができる。この場合、表示制御部115は、新規の表面状態画像である可視光画像、及び偏光画像のうちいずれかが選択されると、他の表面状態画像である可視光画像、及び偏光画像のうち対応するものを、表示部160に表示させる。
【0046】
表示制御部115は、例えば、後述する図13のように、新規の表面状態画像である可視光画像532、及び偏光画像537を、表示画面590に表示させる。この場合、表示制御部115は、抽出部114によって抽出された他の表面状態画像である可視光画像、又は偏光画像を、比較可能に表示させることができる。
【0047】
凹凸度合解析部115aは、偏光画像の端部又は金属片の端部からの距離に基づいて、金属片OBの表面における凹凸の度合いを解析して表示部160に表示させる。凹凸度合解析部115aは、例えば、後述する図16のグラフ621のように、偏光画像537の表面における凹凸の度合いを解析する。
【0048】
日付呼出部115bは、抽出部114と連動することで、抽出部114が抽出した撮像日に基づく他の表面状態画像の有無をカレンダーに表示する。例えば、抽出部114が、新規に取得された表面状態画像の試験条件と、少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、当該他の表面状態画像が撮像された撮像日に基づいて、抽出する。日付呼出部115bは、例えば、後述する図17のように、抽出部114が抽出した撮像日に基づく他の表面状態画像の有無を、表示部160のカレンダー640に表示する。これにより、日付呼出部115bは、カレンダーに表示された他の表面状態画像が有る日が選択されると、当該選択された日に撮像された他の表面状態画像を、表示部160に表示させることができる。
【0049】
詳細表示受付部116は、抽出部114が他の表面状態画像を複数抽出した場合、当該抽出部114によって抽出された複数の他の表面状態画像のうち、いずれか1つの他の表面の状態について詳細表示指示を受け付ける。詳細表示受付部116は、例えば、後述する図12のように、抽出部114により他の表面状態画像580a~585aが複数抽出された場合、作業者の選択により新規に取得した表面状態画像と比較したい他の表面状態画像の詳細表示指示を受け付ける。この場合、表示制御部115は、後述する図14に示すように、新規に取得した表面状態画像と、選択された他の表面状態画像とを、比較可能に表示部160に表示させることができる。
【0050】
詳細情報抽出部116aは、他の表面状態画像、及び新規に取得された表面状態画像のそれぞれについて、詳細情報を記憶部120から抽出する。記憶部120には、他の表面状態画像と、新規に取得された表面状態画像のそれぞれについて、金属片OBの表面の状態、試験条件、対処方法、対処結果及び備考欄の少なくとも一つを含む詳細情報が関連付けられている。表示制御部115は、例えば、図14のように、詳細情報抽出部116aによって抽出された、可視光画像532の入力画面542(新規に取得された表面状態画像の詳細情報)と、可視光画像572aの入力画面611(他の表面状態画像の詳細情報)とを、対比可能に表示させることができる。
【0051】
外観領域区分部117は、金属片OBの表面を複数の領域に区分けする。外観領域区分部117は、複数の領域に区分けされた各領域において、試験結果が良好か否かの判定を受け付ける。そのため、作業者は、区分けされた領域ごとに試験結果が良好か否かの判定を入力する。外観領域区分部117は、例えば、後述する図9の領域534,539のように、金属片OBの表面を5つの領域に区分けする。作業者は、図10Bの入力画面542のエリア別項目554のように、5つの領域ごとに合否を判定することができる。
【0052】
電流密度表示部118は、新たに取得された表面状態画像又は他の表面状態画像において、画像の端部又は画像における金属片OBの端部からの位置情報を取得して、取得した位置情報における電流密度を、表示部160に表示させる。電流密度表示部118は、例えば、図9のスケール540に示すように、表面状態画像上で線535の位置が指定されると、その位置における電流密度を表示させる。なお、電流密度を算出する方法は、例えば、ハルセル水槽の一次元電流分布モデルの関係式や、ハルセル早見表などにより算出される。
【0053】
表示制御部115は、抽出部114によって抽出された他の表面状態画像のうちいずれか1つと、新規に取得された表面状態画像とを、重畳表示させることができる。この場合、表示制御部115は、他の表面状態画像と、新規に取得された表面状態画像との一部を重畳させてもよい。
【0054】
透過画像生成部119は、1つの他の表面状態画像と、新規に取得された表面状態画像のうちいずれか一方の画像を透過させる。これにより、表示制御部115は、透過された一方の撮像画像と他方の撮像画像とを重畳表示させることができる。表示制御部115は、例えば、後述する図15に示すように、領域571に表示された可視光画像532と、領域572に表示された可視光画像572aのいずれか一方が透過画像に変更され、半透明にした状態で重畳表示させることができる。
【0055】
<画像比較システムの動作>
図5Aから図5Cは、本実施の形態に係る画像比較システムの動作を示したフローチャートである。本実施の形態に係る画像比較システムの動作は、図2から図4及び表示画面である図7から図18Bを適宜参照しながら説明する。
【0056】
画像比較システム300の情報処理装置100は、アプリケーション170が実行されると、ハルセル試験画像比較システムが起動する(図5AのステップS001、図6)。
【0057】
図6は、ハルセル試験画像比較システムの表示画面を示した説明図である。図6に示すように、画像比較システム300の表示画面500には、選択ボタン501,502が表示されている。選択ボタン501は、ハルセル管理用の画像比較を行う場合の選択ボタンであり、選択ボタン502は、ハルセル以外での利用に画像比較を行う場合の選択ボタンである。
【0058】
作業者は、ハルセル管理用として利用する場合(ステップS002のYes)、入力部150により選択ボタン501を選択することで、表紙ページを示す画面510が表示部160に表示される(ステップS003、図7)。
【0059】
一方、ハルセル試験以外で利用する場合(ステップS002のNo)、作業者は、入力部150により選択ボタン502を選択することで、他の管理アプリケーションを起動させる(ステップS004)。画像比較システム300は、起動した他の管理アプリケーションと連動し、ステップS003に進む。
【0060】
図7は、表紙ページを示す画面を示した説明図である。図7に示すように、画面510には、4つの操作ボタン511~514が表示されている(ステップS003)。
【0061】
操作ボタン511は、写真撮影を実行するボタンである。操作ボタン512は、過去のデータを確認するボタンである。操作ボタン513は、登録情報を変更するボタンである。操作ボタン514は、用語の定義を確認するためのボタンである。
【0062】
図5Aに戻り、説明を続ける。画像比較システム300は、作業者による操作の選択を待ち受けており(ステップS003)、写真撮影を実行する操作ボタン511が選択されると、図5BのステップS005に進む。
【0063】
ステップS005では、作業者は、専用の土台FDに金属片OBを設置して、撮像部200により可視光画像および偏光画像を撮像する。また、作業者は、土台FDをスライドさせ、可視光画像と偏光画像とをそれぞれ個別に撮像してもよい。
【0064】
図8は、撮像する金属片の表面状態画像を示した表示画面である(ステップS005)。図8に示すように、画像比較システム300の表示画面520には、領域521に金属片522の表面状態画像が表示される。表示画面520には、撮影ボタン523が設けられ、作業者が撮影ボタン523を押下することで、金属片522の表面状態画像が撮像される。
【0065】
図9は、金属片の表面状態画像について、試験条件を入力する入力画面である(ステップS006)。入力画面530には、領域531,536に、金属片522の表面状態画像が表示されている。入力画面542は、作業者が試験内容を入力する。
【0066】
領域531には、金属片522の可視光画像532が表示されている。領域531には、スイッチ533が設けられ、スイッチ533をONにすることで、可視光画像532を、A~Eの5つの領域534に分けて表示する。可視光画像532のサイズは、例えば、10×20[mm]とする。
【0067】
領域536には、金属片522の偏光画像537が表示されている。領域536にも同様にスイッチ538が設けられ、スイッチ538をONにすることで、偏光画像537を、A~Eの5つの領域539に分けて表示する。偏光画像537は可視光画像532と同一のサイズであり、領域541には、領域534と領域539が抽出されて表示される。
【0068】
5つの領域534,539は、金属片522の底部から、25[mm]から35[mm]の間に枠線で表示される。
【0069】
線535は、作業者によるマウスの操作により、可視光画像532上で左右に移動する。線535は、可視光画像532の左端からの距離又は可視光画像532における金属片OBの端部からの距離と、その位置における電流密度をスケール540に表示する。
【0070】
この場合、電流密度表示部118は、可視光画像532又は偏光画像537において画像の端部又は画像における金属片OBの端部からの位置情報を取得して、取得した位置情報における電流密度(A/dm)を、スケール540に表示させる。
【0071】
図10A,10Bは、入力画面の記入項目を示した説明図である。図10Aは、入力画面の記入項目の上半分を示したものであり、図10Bは、入力画面の記入項目の下半分を示したものである(ステップS006)。
【0072】
図10Aに示す入力画面542の撮影条件550では、撮影日、曜日、天気、気温([℃])、湿度([%])、その他などの項目が記載されている。作業者は、例えば、金属片522を撮影した日付として、2020年5月11日、火曜日、天気は晴れ、気温は、25[℃]、湿度は、60[%]などと記入する。
【0073】
入力画面542のハルセル条件551では、ハルセル試験を行った、めっきの種類、全電流([A])、試験時間([分])、温度([℃])、攪拌、作業者、撮影者などを入力する。作業者は、例えば、めっきの種類をNi(ワット)、全電流は、5[A]、試験時間は、5[分]、温度は、50[℃]、攪拌なし、作業者および撮影者とも、XYZなどと入力する。
【0074】
これにより、抽出部114は、例えば、ハルセル条件551において、めっきの種類、全電流([A])、試験時間([分])、温度([℃])、攪拌、作業者、撮影者のうち少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、記憶部120から抽出する。
【0075】
入力画面542の合否項目552では、試験結果の合否について、プルダウンボタンにより入力する。作業者は、例えば、合格と入力する。
【0076】
入力画面542の全体項目553では、金属片522の全体の状態を記入するようになっており、例えば、良好か不良か、光沢の有無、色味の有無などを入力する。また、問題点として、焦げ、くもり、ピット、色味、その他などを入力する。また、不良原因として、めっき液については、添加剤の濃度、浴組成、不純物の混入、その他などを入力する。また、不良原因としての前処理については、脱脂不良、酸洗浄不良、水洗不良、その他などを入力する。不良原因としての後処理については、水洗不良、乾燥不良、その他などを入力する。なお、全体項目553での入力は、チェックボックスにチェックを入れる形式で入力する。
【0077】
図10Bの入力画面542のエリア別項目554では、図9のA~Eの5つの領域534ついて、エリア別に電流密度範囲(ASD=A/dm)、特長、合否などを入力する。電流密度については、可視光画像532のスイッチ533をONにすることで、電流密度が自動的に算出され、A~Eの各エリアに自動的に入力されてもよい。
【0078】
外観領域区分部117は、金属片522の表面を5つの領域(複数の領域)に区分けし、当該5つの領域に区分けされた各領域において、試験結果の判定を受け付ける。
【0079】
例えば、Aについては、電流密度範囲(ASD)が30-18と自動入力され、コゲが有る、とプルダウンにより入力する。Bについては、電流密度範囲(ASD)が18-9と自動入力され、光沢が有る、とプルダウンにより入力する。Cについては、電流密度範囲(ASD)が9-5と自動入力され、ピットが有る、とプルダウンにより入力する。Dについては、電流密度範囲(ASD)が5-1.8と自動入力され、くもりがある、とプルダウンにより入力する。Eについては、電流密度範囲(ASD)が1.8-0.2と自動入力され、特長が無い旨をプルダウンにより入力する。また、A~Eの各エリアについて、いずれも合否をプルダウンにより入力する。
【0080】
入力画面542の対処方法の入力欄555aでは、対処方法やその方法を行った結果などが作業者により入力される。また、作業者は、ボタン555bを押下すると、ハルセルの技術が集積されたハルセル技術集が参照可能に表示される。
【0081】
入力画面542の対処結果の入力欄556は、ハルセル試験で不良が出た場合、作業者のコメントが入力される。また、作業者は、ボタン558を押下すると、不良発生時の製品写真や対処後の金属片OBの写真などを追加することができる。
【0082】
入力画面542の備考欄557では、特異的な結果が出た場合、作業者によりコメントが入力される。作業者は、ボタン559を押下すると、過去に撮像された表面状態画像が、比較可能に表示される。この場合、表面状態画像は、良い例(標準)、悪い例、閾値例、要注意、その他など作業者に設定された項目に従い、表示される。
【0083】
図5Bに戻り、説明を続ける。ステップS006において、撮影した写真の試験条件の入力が終了すると、ステップS007に進み、比較するデータの選択を待ち受ける。なお、図5AのステップS003において、過去データの確認を選択した場合も、ステップS007に移動する。
【0084】
図11は、表面状態画像のデータ比較を行う際の優先項目を示した表示画面である(ステップS007)。画像比較システム300の表示画面560には、めっきの種類を選択する選択ボタン568と、優先項目を選択する項目選択ボタン561~567が表示されている。
【0085】
選択ボタン568は、めっきの種類をプルダウンで選択するボタン(入力欄)である。本実施形態では、めっきの種類として、Cu(硫酸銅)がプルダウンで選択されている。
【0086】
項目選択ボタン561~567は、試験条件とは異なる基準の複数の項目を示している。抽出部114は、項目選択ボタン561~567により、複数の項目の中から1つの項目の選択を受け付けて、該当する他の表面状態画像を優先して抽出することができる。
【0087】
項目選択ボタン561は、他の表面状態画像を、日付により抽出する。項目選択ボタン562は、他の表面状態画像を、曜日により抽出する。項目選択ボタン563は、他の表面状態画像を、エリア判断により抽出する。項目選択ボタン564は、他の表面状態画像を、良好と判断された撮像画像のみ抽出する。項目選択ボタン565は、他の表面状態画像を、不良の種類により抽出する。項目選択ボタン566は、他の表面状態画像を、その他の条件により抽出する。
【0088】
図5Bに戻り、説明を続ける。画像比較システム300は、項目選択ボタン561により日付が選択されると、図5CのステップS008に進み、他の表面状態画像を表示する。
【0089】
図12は、右側に、日付の新しい順に他の表面状態画像を抽出した表示画面である(ステップS008)。表示画面570では、右側に、過去の撮像結果として、6~10枚程度の表面状態画像(撮像画像)が表示されている。
【0090】
図12に示す領域571には、撮像部200で撮像された、新規に取得された可視光画像532が表示されている。領域572には、可視光画像572aが表示されている。また、領域573には、表面状態画像573aが表示されている。なお、領域572と領域573は、例えば、めっきの種類が「Cu(硫酸銅)」の場合に、予め設定された表面状態画像が表示される。
【0091】
領域572及び領域573は、作業者が予め設定した表面状態画像が表示されるようになっており、例えば、めっきの種類ごとに、毎回設定された表面状態画像が表示される。このため、領域572及び領域573には、「めっきの種類」が「Cu(硫酸銅)」の場合に毎回同一の表面状態画像が表示されるので、例えば、撮影日の欄に色を付することで、表示固定画像であることを示してもよい。
【0092】
このように、領域572には、「めっきの種類」ごとに毎回表示されるように設定された可視光画像572aが表示され、可視光画像572aは、例えば、建浴直後の標準写真が表示される。また、領域573には、比較の参考として、「めっきの種類」ごとに作業者に予め設定された表面状態画像573aが毎回表示され、表面状態画像573aは、例えば、合否判定の閾値となる撮像画像や試験結果の悪い撮像画像が表示される。
【0093】
領域580には、日付の新しい順として、前回撮像した表面状態画像580aが表示されている。領域581には、前々回撮像した表面状態画像581aが表示されている。また、領域582,583には、不良が発生した際の注意すべき表面状態画像582a,583aが表示されている。また、領域584,585には、不良が発生した際の悪い例を示す表面状態画像584a,585aが表示されている。
【0094】
表示画面570に表示される優先順位は、設定ボタン586において、手動を選択することで任意に設定でき、作業者によって設定された優先順位で表示される。優先順位は、例えば、日付の新しい順、記録された特定条件の写真、建浴前後の写真、不良が発生した際の写真、及びその前後の写真などを設定することができる。また、自動を選択することで、人工知能(AI:Artificial Intelligence)により、今回、新規に取得した可視光画像532に類似する撮像画像が自動的に抽出される。
【0095】
図5Bに戻り、説明を続ける。画像比較システム300は、ステップS007において、項目選択ボタン563により、エリア判断によるデータ比較が選択された場合、図5CのステップS009に進み、他の表面状態画像を表示する。
【0096】
図13は、5つの領域に対応する他の表面状態画像を抽出した表示画面である(ステップS009)。図13に示すように、表示画面590には、新規に取得した表面状態画像を示す可視光画像532及び偏光画像537が、左側に表示されるとともに、5つの領域534,539に適合する表面状態画像680~688が、右側に表示される。
【0097】
エリア設定591では、5つの領域534,539のうち、適合するエリアを設定することができ、判別内容に従って、合否の件数、不良の件数、及び特長の件数が抽出される。領域600~608には、他の表面状態画像680~688の可視光画像が表示されており、偏光画像537が選択されると、領域600~608に表示された他の表面状態画像680~688を、可視光画像から偏光画像に切り替える。また、可視光画像532が選択されると、領域600~608には、対応する可視光画像が表示される。
【0098】
図5Cに戻り、説明を続ける。画像比較システム300は、ステップS008(図12)又はS009において(図13)、他の表面状態画像が選択されると、新規に取得された表面状態画像と、選択された他の表面状態画像を、直接比較する(ステップS010)。
【0099】
図14は、領域571に表示された可視光画像532と、領域572に表示された可視光画像572aを比較した表示画面である(ステップS010)。可視光画像572aは、過去に撮像された他の表面状態画像であって、作業者に選択された可視光画像である。
【0100】
図14に示すように、画像比較システム300は、可視光画像532と可視光画像572aとを対比するとともに、可視光画像532の入力画面542と、可視光画像572aの入力画面611とを、対比可能に表示する。
【0101】
また、詳細情報抽出部116aは、可視光画像572aと可視光画像532のそれぞれについて、金属片の表面の状態、試験条件、対処方法、対処結果、及び備考欄の各情報を記憶部120から抽出する。これにより、表示制御部115は、詳細情報抽出部116aによって抽出された、金属片の表面の状態、試験条件、対処方法、対処結果、及び備考欄の各情報を、表示部160の表示画面610に、表示させることができる。
【0102】
なお、作業者に選択されなかった他の表面状態画像680~683などの一部は、表示画面610の右側に表示される。また、表示画面610には、重畳表示ボタン612、グラフ表示ボタン613,614が設けられている。
【0103】
図5Cに戻り、説明を続ける。画像比較システム300は、ステップS011において、重畳表示ボタン612が選択されると(ステップS011の重ね合わせ表示)、ステップS012に進み、可視光画像532と可視光画像572aとを重畳表示する。一方、グラフ表示ボタン613,614が選択されると(ステップS011のグラフ表示)、画像比較システム300は、領域571又は領域572の表面の度合いを示すグラフを表示する(ステップS013)。
【0104】
図15は、可視光画像532と可視光画像572aとの重畳表示を示した表示画面である(ステップS012)。画像比較システム300は、領域571に表示された可視光画像532と、領域572に表示された可視光画像572aのいずれか一方を、透過画像に変更し、半透明にした状態で重畳表示する。
【0105】
透過画像生成部119は、例えば、可視光画像572aを透過画像に変更することで、表示制御部115は、透過された可視光画像572aと、可視光画像532とを重ね合わせて表示させる。なお、表示制御部115は、可視光画像572aを透過画像に変更せず、そのまま重畳表示をさせてもよい。
【0106】
表示画面620には、表示モード変更ボタン631~633を備えている。表示モード変更ボタン631~633は、領域571の表面状態画像と、領域572の表面状態画像の種別を変更して重畳表示することができる。例えば、表示モード変更ボタン631は、領域571の表面状態画像と領域572の表面状態画像を、それぞれ可視光画像を示す光学画像で重畳表示する。また、表示モード変更ボタン632は、領域571の表面状態画像と領域572の表面状態画像を、それぞれ偏光画像に変更して、重畳表示する。また、表示モード変更ボタン633は、領域571の表面状態画像を光学画像にし、領域572の表面状態画像を偏光画像に変更して、重畳表示する。
【0107】
図16は、偏光画像における表面の凹凸の度合いを示すグラフを表示した表示画面である(ステップS013)。図16では、表示画面630にグラフ621が表示されている。
【0108】
凹凸度合解析部115aは、例えば、偏光画像537の端部からの距離に基づいて、金属片OBの表面における凹凸の度合いを解析し、グラフ621を表示画面630に表示させている。グラフ621は、偏光画像537において、色の濃淡、RGBの度合い、粒の数などを計測してグラフ化したものである。表示画面630は、グラフ621を表示することで、通常の可視光画像532では分かりづらい表面の凹凸を判別することができる。特に、偏光画像は、金属片OBの表面に対して、見た目と異なる状況を検出することができるため、より正確な判断を行うことができる。
【0109】
なお、粒の数は、目視でカウントした数を入力してもよく、また自動判別してもよい。また、グラフ621の横軸は、5つ領域534,539のエリア、各撮像画像の左端からの距離、又は電流密度の3つから選択することができる。これにより、グラフ621は、作業者の選択により、横軸を、偏光画像537の端部又は金属片OBの端部からの距離、もしくは電流密度(A/dm)から相互に切り替えることができる。また、グラフ621の横軸及び縦軸は、例示であり、これらに限定するものではない。
【0110】
本実施形態では、画像比較システム300は、図5CのステップS012による重畳表示(重ね合わせ表示)か、又は、ステップS011によるグラフ表示を実行すると、図5Aから図5Cの処理を終了する。
【0111】
<カレンダーの日付による過去データの呼び出し処理(オプション)>
図14の表示画面610、及び図16の表示画面630において、オプションとして、カレンダーの日付から過去データを呼び出す処理を実行するカレンダー表示ボタン615が設けられている。
【0112】
図17は、過去データを呼び出して、カレンダーに他の表面状態画像の有無を表示した表示画面である(ステップS031)。図17に示すように、カレンダー640には、他の表面状態画像が蓄積されている日が、枠線で視覚的に表示されている。
【0113】
抽出部114は、新規に取得された表面状態画像の試験条件と、少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、他の表面状態画像が撮像された撮像日に基づいて、抽出する。日付呼出部115bは、抽出部114が抽出した撮像日に基づく他の表面状態画像の有無を、カレンダー640に表示する。
【0114】
これにより、日付呼出部115bは、カレンダーに表示された他の表面状態画像が有る日が選択されると、当該選択された日に撮像された他の表面状態画像を、表示部160に表示させることができる。
【0115】
<登録情報の変更>
図7の表紙ページを示す画面510において、登録情報の変更を実行する操作ボタン513が選択されると(図5AのステップS003の登録情報変更)、ステップS101に進む。
【0116】
ステップS101では、例えば、図9に示した入力画面530を表示する。作業者は、入力画面530において、過去に撮像したデータの修正や内容の変更を行うことができる。具体的には、図10A,10Bに示す入力画面542において、入力された試験条件を変更(または訂正)することができる。さらに、画像比較システム300は、登録情報を変更することもできる。
【0117】
例えば、図10A,10Bに示す入力画面542において、撮影条件550やハルセル条件551の変更や訂正だけではなく、全体項目553やエリア別項目554において、記入する項目を追加することができる。全体項目553において選択する項目や、エリア別項目554において選択する項目を追加することで、画像比較システム300は、試験結果を詳細に反映することができ、登録されている情報のアップデートを図ることができる。画像比較システム300は、入力画面542において情報を入力すると、処理を終了する。
【0118】
<用語定義の設定>
図7の表紙ページを示す画面510において、用語定義を実行する操作ボタン514が選択されると(図5AのステップS003の用語定義)、ステップS201に進む。
【0119】
ステップS201では、用語定義表を表示し、例えば、めっきの種類別に、表面の状態の言い表し方(表現方法)を定義する。
【0120】
図18Aは、ニッケルを使用する場合の表面の粗さについて、用語を定義したものである。また、図18Bは、ニッケルを使用する場合の色、光沢について、用語を定義したものである。
【0121】
図18Aの用語定義表660では、めっきの種類、用語、評価基準、被覆率、数値、参考写真の各欄が設けられている。めっきの種類として、ニッケルを使用する場合に、例えば、「ガサガサ」と表現した場合、評価基準は、粒子の大きさで判断し、粒子の径1[mm]以上のものが、全体(例えば、10×20[mm])の70[%]を覆う状態、又は、全体において100個以上ある状態と定義する。また、「ガサガサ」に対応する参考写真を貼付することで、「ガサガサ」という表現の状態を作業者にイメージし易くする。
【0122】
なお、この表現は例示であり、これに限定されるものではない。また、数値は、初期値が設定されており、作業者の自己判断で目視や自動判断による数値を入力してもよい。また、作業者が参考写真を選択した場合、「ガサガサ」という表現に関連する他の写真を表示してもよい。
【0123】
また、「剥がれ」と表現した場合、評価基準は、剥がれた面積で判断し、50[%]以上の面積が剥がれた状態と定義する。また、「剥がれ」に対応する参考写真を貼付することで、「剥がれ」という表現の状態を、作業者にイメージし易くする。
【0124】
また、「ピット」と表現した場合、評価基準は、巨視的な穴や窪みを示すピットが、5個以上含まれている状態と定義する。また、「ピット」に対応する参考写真を貼付することで、「ピット」という表現の状態を、作業者にイメージし易くする。
【0125】
また、「ヤケ」と表現した場合、評価基準は、色味で判断する。この場合、作業者は、参考写真を参照して、色味が参考写真と同一、又は類似するか否かを判断する。
【0126】
また、「コゲ」と表現した場合、評価基準は、色や光沢で判断する。作業者は、参考写真を参照して、60[%]以上コゲで覆われていた場合、「コゲ」と判断する。
【0127】
図18Bの用語定義表661では、めっきの種類、用語、評価基準、被覆率、目視、参考写真の各欄が設けられている。めっきの種類として、ニッケルを使用する場合であって、例えば、「光沢」と表現した場合、被覆率が100[%]であり、目視でとても明るい状態と定義する。また、「光沢」に対応する参考写真を貼付することで、「光沢」という表現の状態を、作業者にイメージし易くすることができる。
【0128】
なお、この表現は例示であり、これに限定されるものではない。また、作業者が参考写真を選択した場合、「光沢」という表現に関連する他の写真を表示してもよい。
【0129】
また、「半光沢」と表現した場合、評価基準は、被覆率が90[%]であり、目視でやや明るい状態と定義する。また、「半光沢」に対応する参考写真を貼付することで、「半光沢」という表現の状態を、作業者にイメージし易くすることができる。
【0130】
また、「くもり」と表現した場合、評価基準は、被覆率が70[%]であり、目視において、「もや」がかかってる状態と定義する。また、「くもり」に対応する参考写真を貼付することで、「くもり」という表現の状態を、作業者にイメージし易くすることができる。
【0131】
また、「白色」と表現した場合、評価基準は、被覆率が50[%]であり、目視において白っぽい状態と定義する。また、「白色」に対応する参考写真を貼付することで、「白色」という表現の状態を、作業者にイメージし易くすることができる。用語の定義の入力、又は確認が終了すると、処理を終了する。
【0132】
以上説明したように、画像比較システム300は、取得部111、条件取得部113、抽出部114、及び表示制御部115を備えて構成されている。取得部111は、めっき試験の結果を示す金属片OBの表面状態画像を取得する。抽出部114は、新規に取得された表面状態画像の試験条件と、少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、記憶部120から抽出する。表示制御部115は、新規に取得された表面状態画像、及び抽出部114によって抽出された他の表面状態画像を、比較可能に表示部160に表示させる。
【0133】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、抽出部114により、新規に取得された表面状態画像の試験条件と、少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を抽出することができ、新規に取得した金属片OBの表面状態画像と、抽出部114によって抽出された他の表面状態画像を、比較可能に表示させる。試験条件の一部とは、例えば、ハルセル試験のハルセル条件551が該当する。そのため、めっきの種類や試験時間などの試験条件が一致するものを抽出することができるので、めっき試験の試験結果に対し、判断材料となる情報を、作業者に容易に提供することができる。
【0134】
また、画像比較システム300は、抽出部114が他の表面状態画像を複数抽出した場合、当該抽出部114によって抽出された複数の他の表面状態画像のうち、いずれか1つの他の表面の状態について詳細表示指示を受け付ける詳細表示受付部116を、更に備え、表示制御部115は、受け付けられた詳細表示指示に基づいて、新規に取得された表面状態画像と、他の表面状態画像とを、比較可能に表示部に表示させる。
【0135】
かかる構成によれば、詳細表示受付部116は、抽出部114により他の表面状態画像が複数抽出された場合に、新規に取得した表面状態画像と比較したい他の表面状態画像について詳細表示指示を1つ受け付ける。作業者は、比較したい他の表面状態画像を1つ選択するだけで、新規に取得された表面状態画像と、他の表面状態画像とを比較可能に表示することができる。これにより、画像比較システム300は、新規に取得した表面状態画像と、選択された他の表面状態画像とを容易に比較することができる。
【0136】
また、画像比較システム300は、記憶部120には、他の表面状態画像と、新規に取得された表面状態画像のそれぞれについて、金属片OBの表面の状態、試験条件、対処方法、対処結果及び備考欄の少なくとも一つを含む詳細情報が関連付けて記憶されており、他の表面状態画像、及び新規に取得された表面状態画像のそれぞれについて、詳細情報を記憶部120から抽出する詳細情報抽出部116aを更に備えて構成されている。表示制御部115は、詳細情報抽出部116aによって抽出された、他の表面状態画像の詳細情報と、新規に取得された表面状態画像の詳細情報とを、比較可能に表示部160に表示させる。
【0137】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、詳細情報抽出部116aにより、他の表面状態画像と、新規に取得された表面状態画像のそれぞれについて、記憶部120から詳細情報を抽出し、他の表面状態画像と、新規に取得された表面状態画像のそれぞれについて、金属片OBの表面の状態、試験条件、対処方法、対処結果、及び備考欄の少なくとも一つを含む詳細情報を、表示部160に表示させることができる。これにより、画像比較システム300は、他の表面状態画像と、新規に取得された表面状態画像の詳細情報を容易に比較することができる。
【0138】
また、画像比較システム300は、可視光により撮像する可視光カメラ201と、所定の偏光により撮像する偏光カメラ202と、を含んで構成されている。可視光カメラ201と偏光カメラ202は、金属片OBの表面の状態を撮像して、新規の表面状態画像を取得する。
【0139】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、可視光カメラ201から可視光画像532を取得するとともに、偏光カメラ202から、偏光画像537を取得する。これにより、画像比較システム300は、表面状態画像について、可視光画像532を表示させることができるとともに、偏光画像537を表示させることができる。したがって、作業者は、表面状態画像について、可視光画像532と偏光画像537とを表示して試験結果を確認することができる。
【0140】
また、画像比較システム300は、表示制御部115により、新規の表面状態画像である可視光カメラ201によって撮像された可視光画像532、及び/又は偏光カメラ202によって撮像された偏光画像537を、表示部160に表示させる。画像比較システム300は、表示制御部115により、新規の表面状態画像である可視光画像532、及び偏光画像537のうちいずれかが選択されると、他の表面状態画像である可視光画像、及び偏光画像のうち対応するものを、表示部160に表示させる。
【0141】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、表示制御部115により、可視光画像532および偏光画像537を、表示画面590に表示させることができるとともに、可視光画像532、及び偏光画像537のうちいずれかが選択されると、他の表面状態画像である可視光画像および偏光画像のうち対応する画像を表示させる。これにより、作業者は、試験結果に対し、他の表面状態画像である可視光画像および偏光画像のうち対応するものを容易に参照することができる。
【0142】
また、画像比較システム300は、表示制御部115に、偏光画像の端部又は金属片OBの端部からの距離に基づいて、金属片OBの表面における凹凸の度合いを解析し、表示部160に表示させる凹凸度合解析部115aを、更に備えている。
【0143】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、凹凸度合解析部115aにより、偏光画像を用いて金属片OBの表面における凹凸の度合いを解析することができる。これにより、画像比較システム300は、凹凸度合解析部115aにより目視では判断できない金属片OBの表面の状態を、グラフ化や数値化により可視化することができる。
【0144】
また、画像比較システム300のめっき試験は、ハルセル試験とすることができる。
【0145】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、表面状態画像として金属片OBに、連続した電流密度範囲についてグラデーションで表示させることができる。これにより、画像比較システム300は、ハルセル試験における、最適な電流密度範囲の確認、めっき浴の組成バランス、光沢剤、添加剤の過不足、被覆力、不純物の混入状態、及び除去した効果確認など様々な評価情報を得ることができ、めっき液の評価、めっき液の管理、及び新しいめっき浴の開発などに利用できる。
【0146】
また、画像比較システム300は、金属片OBの表面を複数の領域(A~E)に区分けする外観領域区分部117を、更に備え、外観領域区分部117は、複数の領域に区分けされた各領域(A~E)において、試験結果が良好か否かの判定を受け付ける。
【0147】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、外観領域区分部117により、金属片OBの表面を区分けし、作業者は、区分けされた領域ごとに、試験結果が良好か否かの判定を入力することができる。これにより、画像比較システム300は、外観領域区分部117によって区分けされた領域ごとに、他の表面状態画像と試験結果を比較することができる。
【0148】
また、画像比較システム300は、新たに取得された表面状態画像又は他の表面状態画像において、画像の端部又は画像における金属片OBの端部からの位置情報を取得して、取得した位置情報における電流密度を、表示部160に表示させる電流密度表示部118を、更に備えて構成されている。
【0149】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、電流密度表示部118により、作業者がマウスで表面状態画像上を指定するだけで、その位置情報における電流密度を、表示部160に表示させる。これにより、作業者は、電流密度表示部118の電流密度を参照することにより、表面状態画像を解析することができる。具体的には、表面状態画像の状態が同一であっても、電流密度が異なることにより、添加物の影響、めっき浴のバランスなどを判断することができる。
【0150】
また、画像比較システム300は、抽出部114において、試験条件とは異なる基準の複数の項目を有し、複数の項目の中から1つの項目の選択を受け付けて、該当する他の表面状態画像を優先して抽出する。
【0151】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、抽出部114により優先項目を設定し、その優先項目に対応する表面状態画像を抽出することができる。この場合、画像比較システム300は、例えば、優先項目として、図3に示した、日付、曜日、エリア判断などを優先項目に設定することができる。これにより、画像比較システム300は、作業者が確認したい他の表面状態画像を、優先項目によって抽出することができるので、作業者が確認したい他の表面状態画像を容易に表示させることができる。
【0152】
また、画像比較システム300は、抽出部114により、新規に取得された表面状態画像の試験条件と、少なくとも一部の試験条件が一致する他の表面状態画像を、当該他の表面状態画像が撮像された撮像日に基づいて、抽出する。表示制御部115は、抽出部114が抽出した撮像日に基づく他の表面状態画像の有無をカレンダーに表示する日付呼出部115bを、更に備えている。日付呼出部115bは、カレンダーに表示された他の表面状態画像が有る日が選択されると、当該選択された日に撮像された他の表面状態画像を、表示部160に表示させる。
【0153】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、試験条件の少なくとも一部が一致する他の表面状態画像が撮像された撮像日を、日付呼出部115bによりカレンダー640に表示することができる。これにより、画像比較システム300は、カレンダー640に他の表面状態画像の有無を表示することができるので、他の表面状態画像を検索する際、カレンダーの日程から検索できる。この場合、例えば、製造設備が長期間停止する長期休暇の後は、ハルセル試験に不良が発生しやすい。そのため、作業者は、不合格となる可能性のある他の表面状態画像を、カレンダー640から時間的間隔を考慮して、容易に選択することができる。
【0154】
また、画像比較システム300は、表示制御部115により、抽出部114によって抽出された他の表面状態画像のうちいずれか1つと、新規に取得された表面状態画像とを、重畳表示させる。
【0155】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、可視光画像又は変更画像を問わず、表示制御部115により、比較させたい撮像画像同士を重畳表示させることができる。これにより、画像比較システム300は、比較したい撮像画像を重畳表示させた状態で、試験結果を詳細に判断することができる。
【0156】
また、画像比較システム300は、重畳表示させる場合において、1つの他の表面状態画像と、新規に取得された表面状態画像のうちいずれか一方の画像を透過させる透過画像生成部119を、更に備えて構成されている。
【0157】
かかる構成によれば、画像比較システム300は、透過画像生成部119により、透過された一方の撮像画像と他方の撮像画像とを重ね合わせて、重畳表示させることができる。これにより、作業者は、透過された撮像画像を用いて、重畳表示により確認することができるので、対比観察では判断の難しい微妙な差異を容易に検出することができる。
【0158】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0159】
100 情報処理装置
111 取得部
112 登録部
113 条件取得部
114 抽出部
115 表示制御部
115a 凹凸度合解析部
115b 日付呼出部
116 詳細表示受付部
116a 詳細情報抽出部
117 外観領域区分部
118 電流密度表示部
119 透過画像生成部
200 撮像部
201 可視光カメラ
202 偏光カメラ
300 画像比較システム
400 ハルセル試験(めっき装置)
図1A
図1B
図2
図3
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図5A
図5B
図5C
図6
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図18B