(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055261
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】冷凍システム
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20240411BHJP
F04D 17/10 20060101ALI20240411BHJP
F02C 1/04 20060101ALI20240411BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240411BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240411BHJP
F25B 9/06 20060101ALI20240411BHJP
F25B 1/053 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F25B9/00 301
F04D17/10
F02C1/04
F25D11/00 101D
F25B1/00 396T
F25B1/00 396C
F25B9/06 K
F25B1/00 399Y
F25B1/053 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162041
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 亮
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和貴
【テーマコード(参考)】
3H130
3L045
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB60
3H130AC01
3H130AC11
3H130BA97Z
3H130DD01X
3H130DD09X
3L045AA01
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045PA04
3L045PA05
(57)【要約】
【課題】ターボ機械を備える冷凍システムの構造の複雑化を抑制しつつ、ターボ機械を冷却可能な冷凍システムを提供する。
【解決手段】冷凍システムは、回転シャフトと、回転シャフトに夫々取り付けられるコンプレッサインペラ、タービンホイール及び電動モータと、回転シャフト、コンプレッサインペラ、タービンホイール及び電動モータを収容するケーシングと、を含むターボ機械と、コンプレッサインペラにより圧縮された流体をタービンホイールに導くための圧縮流体ラインと、圧縮流体ラインに設けられ、圧縮流体ラインを流れる流体と冷却液との間で熱交換を行う冷却器と、冷却液を冷却するための冷却装置が設けられた冷却液循環ラインと、冷却液循環ラインから冷却液を抜き出してケーシングの内部に導入するための冷却液導入ラインと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転シャフトと、
前記回転シャフトの一方側に取り付けられるコンプレッサインペラと、
前記回転シャフトの他方側に取り付けられるタービンホイールと、
前記コンプレッサインペラと前記タービンホイールの間において前記回転シャフトに取り付けられる電動モータであって、前記回転シャフトを回転させる回転力を発生させるように構成された電動モータと、
前記回転シャフト、前記コンプレッサインペラ、前記タービンホイール及び前記電動モータを収容可能に構成されたケーシングと、
を含むターボ機械と、
前記コンプレッサインペラにより圧縮された流体を前記タービンホイールに導くための圧縮流体ラインと、
前記圧縮流体ラインに設けられた冷却器であって、前記圧縮流体ラインを流れる前記流体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器と、
前記冷却液を循環させるための冷却液循環ラインであって、前記冷却液を冷却するための冷却装置が設けられた冷却液循環ラインと、
前記冷却液循環ラインから前記冷却液を抜き出して前記ケーシングの内部に導入するための冷却液導入ラインと、を備える、
冷凍システム。
【請求項2】
前記ケーシングは、
前記電動モータを収容するモータ車室の外周側を覆う前記ケーシングの外壁の内部に形成されたモータ側内部空間、
前記コンプレッサインペラを収容するコンプレッサ側収容空間と前記モータ車室とを仕切るコンプレッサ側仕切り壁の内部に形成されたコンプレッサ側内部空間、又は、
前記タービンホイールを収容するタービン側収容空間と前記モータ車室とを仕切るタービン側仕切り壁の内部に形成されたタービン側内部空間、のうちの少なくとも1つが形成され、
前記冷却液導入ラインは、
前記モータ側内部空間、前記コンプレッサ側内部空間又は前記タービン側内部空間の何れかに接続された、
請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記ケーシングは、
前記モータ側内部空間、前記コンプレッサ側内部空間、及び、前記モータ側内部空間と前記コンプレッサ側内部空間と連通させる連通流路が形成され、
前記冷却液導入ラインは、
前記モータ側内部空間、又は、前記コンプレッサ側内部空間に接続された、
請求項2に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記ケーシングは、
前記タービン側内部空間が形成され、
前記ターボ機械は、
前記タービン側内部空間に配置された断熱材をさらに備える、
請求項2又は3に記載の冷凍システム。
【請求項5】
前記冷却液循環ラインは、
前記冷却装置から前記冷却器に前記冷却液を送るための冷却液供給ラインと、
前記冷却器から前記冷却装置に前記冷却液を送るための冷却液戻しラインと、を含み、
前記冷却液導入ラインは、前記冷却液供給ラインに接続された、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の冷凍システム。
【請求項6】
前記流体は、ヘリウム、水素、ネオン、窒素、アルゴン、酸素、空気、炭化水素の中から選択された何れか1つ、又は2つ以上の混合物からなる、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の冷凍システム。
【請求項7】
コンテナ本体と、
前記コンテナ本体の内部に設けられた吸込口を有し、前記吸込口を介して前記コンテナ本体の内部から吸引した気体を前記流体として、前記コンプレッサインペラに導くための気体吸引ラインと、
前記コンテナ本体の内部に設けられた吹出口を有し、前記吹出口を介して前記タービンホイールにより膨張した前記気体を、前記吸込口を介して前記コンテナ本体の内部に導くための膨張気体ラインと、をさらに備える、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の冷凍システム。
【請求項8】
前記ケーシングは、前記電動モータを収容するモータ車室を含み、
前記圧縮流体ラインの前記冷却器よりも下流側に一端が接続され、前記圧縮流体ラインから前記流体を抜き出して、前記電動モータを冷却するための冷熱媒体として前記モータ車室の内部に供給するための冷熱媒体供給ラインと、
前記コンプレッサインペラに前記流体を導くための流体導入ラインに、前記冷熱媒体供給ラインを介して前記モータ車室に供給された前記流体を戻すための冷熱媒体戻しラインと、をさらに備える、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の冷凍システム。
【請求項9】
前記冷熱媒体戻しラインにおける前記冷熱媒体が流れる流路の最小面積は、前記冷熱媒体供給ラインにおける前記冷熱媒体が流れる流路の最小面積よりも小さい、
請求項8に記載の冷凍システム。
【請求項10】
前記冷熱媒体供給ラインは、前記冷熱媒体供給ラインから前記モータ車室の内部に前記冷熱媒体を流入させるための冷熱媒体流入口を有し、
前記冷熱媒体戻しラインは、前記モータ車室の内部に供給された前記冷熱媒体を前記冷熱媒体戻しラインに取り込むための冷熱媒体取込口を有し、
前記冷熱媒体取込口は、前記回転シャフトの軸方向において、前記冷熱媒体流入口よりも前記コンプレッサインペラが位置する側に形成された、
請求項8に記載の冷凍システム。
【請求項11】
前記ケーシングは、
前記電動モータを収容するモータ車室と前記コンプレッサインペラを収容するコンプレッサ側収容空間とを連通させるコンプレッサ側連通孔であって、前記回転シャフトが挿通されるコンプレッサ側連通孔が形成され、
前記冷凍システムは、
前記コンプレッサ側連通孔に配置され、前記回転シャフトを回転可能に支持するように構成されたコンプレッサ側軸受と、
前記コンプレッサ側連通孔の前記コンプレッサ側軸受よりも前記コンプレッサ側収容空間側において、前記コンプレッサ側連通孔と前記回転シャフトとの間を封止するように構成されたコンプレッサ側封止部と、をさらに備え、
前記冷熱媒体戻しラインは、前記モータ車室の内部に供給された前記冷熱媒体を前記冷熱媒体戻しラインに取り込むための冷熱媒体取込口を有し、
前記冷熱媒体取込口は、前記コンプレッサ側連通孔における前記コンプレッサ側軸受と前記コンプレッサ側封止部との間に形成された、
請求項8に記載の冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ターボ機械を備える冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍機には、冷凍倉庫内の空気を空気冷媒冷凍装置の冷媒として取入れ、圧縮機において高圧高温になった空気を、冷却器で冷却後、膨張機で低圧低温とすることで、冷却能力を得るものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、外付けの冷却空気ラインによりモータ発熱分を冷却する空気冷媒冷凍装置が開示されている。外付けの冷却空気ラインを設けることで、ターボ機械を冷却できるが、ターボ機械を備える冷凍システムの構造の複雑化を招く虞がある。冷凍システムの構造が複雑であると、そのコンパクト化や軽量化が困難になる虞がある。
【0005】
上述した事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、ターボ機械を備える冷凍システムの構造の複雑化を抑制しつつ、ターボ機械を冷却可能な冷凍システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る冷凍システムは、
回転シャフトと、
前記回転シャフトの一方側に取り付けられるコンプレッサインペラと、
前記回転シャフトの他方側に取り付けられるタービンホイールと、
前記コンプレッサインペラと前記タービンホイールの間において前記回転シャフトに取り付けられる電動モータであって、前記回転シャフトを回転させる回転力を発生させるように構成された電動モータと、
前記回転シャフト、前記コンプレッサインペラ、前記タービンホイール及び前記電動モータを収容可能に構成されたケーシングと、
を含むターボ機械と、
前記コンプレッサインペラにより圧縮された流体を前記タービンホイールに導くための圧縮流体ラインと、
前記圧縮流体ラインに設けられた冷却器であって、前記圧縮流体ラインを流れる前記流体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器と、
前記冷却液を循環させるための冷却液循環ラインであって、前記冷却液を冷却するための冷却装置が設けられた冷却液循環ラインと、
前記冷却液循環ラインから前記冷却液を抜き出して前記ケーシングの内部に導入するための冷却液導入ラインと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、ターボ機械を備える冷凍システムの構造の複雑化を抑制しつつ、ターボ機械を冷却可能な冷凍システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る冷凍システムを模式的に示す図である。
【
図2】
図1に示されるターボ機械の軸線に沿った概略断面図である。
【
図3】
図2に示されるターボ機械の変形例の軸線に沿った概略断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る冷凍システムを模式的に示す図である。
【
図5】
図4に示されるターボ機械の軸線に沿った概略断面図である。
【
図6】
図5に示されるターボ機械の変形例の軸線に沿った概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0010】
(ターボ機械)
図1は、本開示の一実施形態に係る冷凍システム1を模式的に示す図である。
図2は、
図1に示されるターボ機械2の軸線LAに沿った概略断面図である。
図2では、ターボ機械2の回転シャフト3の軸線LAを含む断面が示されている。冷凍システム1は、
図1に示されるように、コンプレッサインペラ4及びタービンホイール5を少なくとも含むターボ機械2を備える。
【0011】
ターボ機械2は、
図1及び
図2に示されるように、回転シャフト3と、回転シャフト3の一方側(
図1、2中右側)に取り付けられるコンプレッサインペラ4(遠心圧縮機)と、回転シャフト3の他方側(
図1、2中左側)に取り付けられるタービンホイール5(膨張機)と、コンプレッサインペラ4とタービンホイール5の間において回転シャフト3に取り付けられる電動モータ6と、回転シャフト3、コンプレッサインペラ4、タービンホイール5及び電動モータ6を収容可能に構成されたケーシング7と、を含む。電動モータ6は、回転シャフト3を回転させる回転力を発生させるように構成されている。
【0012】
回転シャフト3は、回転シャフト3の軸線LAに沿って延在する。回転シャフト3の延在方向の一端側には、コンプレッサインペラ4が連結され、回転シャフト3の延在方向の他端側には、タービンホイール5が連結されている。換言すると、コンプレッサインペラ4及びタービンホイール5は、電動モータ6の出力シャフトである回転シャフト3を介して互いに同軸上に配置され、回転シャフト3にそれぞれ接続されている。
【0013】
以下、回転シャフト3の軸線LAが延在する方向(
図2中左右方向)を回転シャフト3(ターボ機械2)の軸方向と定義し、軸線LAに直交する方向を回転シャフト3(ターボ機械2)の径方向と定義し、軸線LA回りの周方向を回転シャフト3(ターボ機械2)の周方向と定義する。回転シャフト3(ターボ機械2)の軸方向のうち、タービンホイール5に対してコンプレッサインペラ4が位置する側をコンプレッサ側とし、コンプレッサインペラ4に対してタービンホイール5が位置する側をタービン側とする。
【0014】
図示される実施形態では、ターボ機械2は、コンプレッサインペラ4と電動モータ6の間において回転シャフト3を回転可能に支持するように構成されたコンプレッサ側軸受8と、タービンホイール5と電動モータ6の間において回転シャフト3を回転可能に支持するように構成されたタービン側軸受9と、をさらに含む。コンプレッサ側軸受8及びタービン側軸受9の各々は、ケーシング7に支持されている。回転シャフト3は、コンプレッサ側軸受8及びタービン側軸受9に支持されることで、回転シャフト3の軸線LAを中心として回転可能になっている。電動モータ6は、図示しない電源(発電機等)から電流が供給されるようになっており、電源から供給された電流により駆動して、回転シャフト3、コンプレッサインペラ4及びタービンホイール5を駆動(回転)させるようになっている。
【0015】
(コンプレッサインペラ)
コンプレッサインペラ4は、電動モータ6により駆動(回転)されて、ケーシング7の内部に流体を吸入し、コンプレッサインペラ4に導かれた流体を圧縮し、流体の供給先に送るようになっている。コンプレッサインペラ4は、回転シャフト3の軸線LAを中心として回転シャフト3と一体的に回転可能に設けられている。コンプレッサインペラ4は、回転シャフト3の軸方向に沿って導入される流体を、回転シャフト3の径方向における外側に導くように構成されている。
【0016】
コンプレッサインペラ4は、
図2に示されるように、回転シャフト3の上記一端側に固定された略円錐台形状のハブ41と、ハブ41の周りに設けられた複数のインペラ翼42と、を含む。ハブ41の外周面43は、回転シャフト3の軸方向におけるタービン側(ハブ41の背面44側)に向かうにつれて軸線LAからの距離が大きくなる凹湾曲状に形成されている。複数のインペラ翼42の各々は、ハブ41の外周面43から立設し、軸線LA周りの周方向において他のインペラ翼42との間に間隔をあけて配置されている。図示される実施形態では、コンプレッサインペラ4は、複数のインペラ翼42の各々の先端を覆う環状部材を含まないオープンタイプのインペラからなる。
【0017】
(タービンホイール)
タービンホイール5は、タービンホイール5に導かれた流体のエネルギの一部を回収することで、回転するようになっている。タービンホイール5により回収された流体のエネルギによって、コンプレッサインペラ4の駆動(回転)が補助されるようになっている。タービンホイール5は、回転シャフト3の軸線LAを中心として回転シャフト3と一体的に回転可能に設けられている。タービンホイール5は、回転シャフト3の径方向における外側から導入される流体を、回転シャフト3の軸方向に沿って導くように構成されている。
【0018】
タービンホイール5は、
図2に示されるように、回転シャフト3の上記他端側に固定された略円錐台形状のハブ51と、ハブ51の周りに設けられた複数のタービン翼52と、を含む。ハブ51の外周面53は、回転シャフト3の軸方向におけるコンプレッサ側(ハブ51の背面54側)に向かうにつれて軸線LAからの距離が大きくなる凹湾曲状に形成されている。複数のタービン翼52の各々は、ハブ51の外周面53から立設し、軸線LA周りの周方向において他のタービン翼52との間に間隔をあけて配置されている。
【0019】
(ケーシング)
ケーシング7は、
図2に示されるように、コンプレッサインペラ4を回転可能に収容するコンプレッサ側収容空間11と、タービンホイール5を回転可能に収容するタービン側収容空間12と、電動モータ6を収容するモータ車室13が形成されている。電動モータ6は、回転シャフト3におけるコンプレッサ側軸受8とタービン側軸受9の間に取り付けられた回転子と、回転子の外周側を覆うように該回転子との間に隙間を介して配置され、ケーシング7に支持された固定子と、を含む。電動モータ6の回転子は、モータ車室13に配置され、回転シャフト3と一体的に回転可能に設けられている。電動モータ6の固定子は、モータ車室13において、上記回転子よりも上記径方向における外側に配置されている。電動モータ6の固定子は、モータ車室13を形成する壁面(外壁16、コンプレッサ側仕切り壁17又はタービン側仕切り壁18のうち、少なくとも1つの壁)に支持されている。また、ケーシング7は、コンプレッサ側収容空間11とモータ車室13とを連通させるコンプレッサ側連通孔14と、タービン側収容空間12とモータ車室13とを連通させるタービン側連通孔15と、が形成されている。コンプレッサ側連通孔14及びタービン側連通孔15の各々は、回転シャフト3の延在方向に沿って延在し、回転シャフト3が挿通されるようになっている。上述したコンプレッサ側軸受8は、コンプレッサ側連通孔14の内部に設置されている。上述したタービン側軸受9は、タービン側連通孔15の内部に設置されている。
【0020】
ケーシング7は、モータ車室13の外周側を覆う外壁16と、コンプレッサ側収容空間11とモータ車室13とを仕切るコンプレッサ側仕切り壁17と、タービン側収容空間12とモータ車室13とを仕切るタービン側仕切り壁18と、を含む。外壁16は、回転シャフト3の延在方向に沿って延びる筒状に形成され、外壁16の外部とモータ車室13とを仕切るようになっている。コンプレッサ側仕切り壁17及びタービン側仕切り壁18の各々は、回転シャフト3の軸線LAに交差(直交)する方向に沿って延在する環状に形成されている。コンプレッサ側連通孔14は、コンプレッサ側仕切り壁17の内周面により形成されている。タービン側連通孔15は、タービン側仕切り壁18の内周面により形成されている。
【0021】
外壁16は、モータ車室13に面する内面161を有する。コンプレッサ側仕切り壁17は、コンプレッサ側収容空間11に面するコンプレッサ側背面171と、モータ車室13に面するコンプレッサ側内面172と、を有する。コンプレッサインペラ4の背面44は、隙間を介してコンプレッサ側背面171に対向している。タービン側仕切り壁18は、タービン側収容空間12に面するタービン側背面181と、モータ車室13に面するタービン側内面182と、を有する。タービンホイール5の背面54は、隙間を介してタービン側背面181に対向している。上述したモータ車室13は、内面161、コンプレッサ側内面172及びタービン側内面182により形成されている。
【0022】
(コンプレッサハウジング、タービンハウジング)
ケーシング7は、コンプレッサ側背面171との間にコンプレッサ側収容空間11を形成するコンプレッサハウジング21と、タービン側背面181との間にタービン側収容空間12を形成するタービンハウジング22と、をさらに含む。コンプレッサインペラ4、コンプレッサハウジング21及びコンプレッサ側仕切り壁17によって、ターボ機械2の遠心圧縮機4Aが構成される。タービンホイール5、タービンハウジング22及びタービン側仕切り壁18によって、ターボ機械2の膨張機5Aが構成される。なお、図示される実施形態では、コンプレッサ側仕切り壁17は、コンプレッサハウジング21及び外壁16の夫々とは別体に形成されているが、コンプレッサハウジング21又は外壁16の何れかと一体的に形成されていてもよい。また、タービン側仕切り壁18は、タービンハウジング22及び外壁16の夫々とは別体に形成されているが、タービンハウジング22又は外壁16の何れかと一体的に形成されていてもよい。
【0023】
コンプレッサハウジング21は、流体導入流路211を形成する流体導入流路形成部212と、スクロール流路213を形成するスクロール流路形成部214と、をさらに有する。すなわち、コンプレッサハウジング21の内部には、流体導入流路211及びスクロール流路213が形成されている。スクロール流路213は、コンプレッサインペラ4の外周側に設けられ、回転シャフト3の周方向に沿って延在する渦巻状の流路からなる。
【0024】
流体導入流路211は、コンプレッサハウジング21の外部から流体を取り込み、取り込んだ流体をコンプレッサインペラ4に導くための流路である。流体導入流路211は、回転シャフト3の軸方向に沿って延在している。コンプレッサインペラ4を駆動させることで、流体導入流路211にコンプレッサハウジング21の外部から流体が取り込まれ、取り込まれた流体が流体導入流路211を流れてコンプレッサインペラ4に導かれるようになっている。コンプレッサインペラ4を通過した流体は、スクロール流路213を流れた後に、コンプレッサハウジング21の外部に排出されるようになっている。
【0025】
タービンハウジング22は、スクロール流路221を形成するスクロール流路形成部222と、流体排出流路223を形成する流体排出流路形成部224と、をさらに有する。すなわち、タービンハウジング22の内部には、スクロール流路221及び流体排出流路223が形成されている。スクロール流路221は、タービンホイール5の外周側に設けられ、回転シャフト3の周方向に沿って延在する渦巻状の流路からなる。
【0026】
スクロール流路221は、タービンハウジング22の外部から導入された流体をタービンホイール5に導くための流路である。流体排出流路223は、タービンホイール5を通過した流体をタービンハウジング22の外部に排出するための流路である。流体排出流路223は、回転シャフト3の軸方向に沿って延在している。タービンハウジング22の外部から導入された流体は、スクロール流路221を流れてタービンホイール5に導かれる。タービンホイール5を通過した流体は、流体排出流路223を流れた後に、タービンハウジング22の外部に排出されるようになっている。
【0027】
(冷凍システム)
冷凍システム1は、
図1に示されるように、上述したターボ機械2と、圧縮流体ライン23と、冷却器24と、冷却液循環ライン25と、冷却液導入ライン26と、を備える。ターボ機械2、圧縮流体ライン23及び冷却器24は、上述した流体を熱媒体として使用する冷凍機(冷凍サイクル)30を構成する。冷凍機30において冷却された流体を流体の供給先27に送ることで、流体の供給先27の温度を低下させる温度調整が可能である。以下の実施形態では、流体の供給先27の具体例としてコンテナ本体27Aを挙げて説明するが、流体の供給先27は、コンテナ本体27Aに限定されない。
【0028】
コンテナ本体27Aは、貨物などの物品を収容可能な内側空間270を有する。冷凍機30は、コンテナ本体27Aの内部(すなわち、内側空間270)の空気などの流体を冷却可能に構成されている。コンテナ本体27Aは、内側空間270を形成する複数の壁を有する。この複数の壁の各々により、コンテナ本体27Aの内側空間270とコンテナ本体27Aの外部とが仕切られる。コンテナ本体27Aは、貨物などの輸送に用いられる輸送用コンテナであってもよい。コンテナ本体27Aは、10ftコンテナ、20ftコンテナ又は40ftコンテナなどの標準的な輸送コンテナであってもよい。
【0029】
図示される実施形態では、冷凍システム1の冷凍機30は、コンプレッサインペラ4に流体を導くための流体導入ライン28と、タービンホイール5により膨張した流体をコンテナ本体27Aに導くための膨張流体ライン29と、熱交換器31と、をさらに備える。流体導入ライン28の上流端は、コンテナ本体27Aに接続されている。流体導入ライン28は、コンテナ本体27Aの内部の空気などの流体を吸い込むための吸込口32(開口)を有する。膨張流体ライン29の下流端は、コンテナ本体27Aに接続されている。膨張流体ライン29は、空気などの流体をコンテナ本体27Aの内部に吹き出すための吹出口33(開口)を有する。吸込口32及び吹出口33の各々は、コンテナ本体27Aの内側空間270に形成されている。
【0030】
冷凍機30は、コンテナ本体27Aの内部の流体を取り出して熱媒体として使用するように構成されている。なお、冷凍機30は、コンテナ本体27Aの内部の流体と熱媒体との間で熱交換を行うように構成された熱交換器を有し、該熱交換器においてコンテナ本体27Aの内部の流体と熱交換される熱媒体を使用するように構成されていてもよい。
【0031】
流体導入ライン28、圧縮流体ライン23及び膨張流体ライン29の各々は、配管によって形成される。なお、流体導入ライン28、圧縮流体ライン23及び膨張流体ライン29を形成する各配管は、複数の配管部分がフランジ等を介して接続されたものであってもよい。
【0032】
流体導入ライン28、圧縮流体ライン23及び膨張流体ライン29には、吸込口32を介してコンテナ本体27Aの内部から吸引された流体が流れるようになっている。コンプレッサインペラ4(遠心圧縮機4A)は、コンテナ本体27Aの内部から吸込口32を介して吸引された流体を圧縮するように構成される。コンプレッサインペラ4(遠心圧縮機4A)を駆動させることで、コンテナ本体27Aの内部の流体が、吸込口32を介して流体導入ライン28に吸引される。コンプレッサインペラ4により圧縮された流体は、コンプレッサインペラ4に導入される前よりも昇温昇圧され、高温高圧の流体となる。
【0033】
(圧縮流体ライン)
圧縮流体ライン23は、コンプレッサインペラ4により圧縮された流体をタービンホイール5に導くための流路である。圧縮流体ライン23は、その上流端が遠心圧縮機4A(例えば、コンプレッサハウジング21の流体出口)に接続され、その下流端が膨張機5A(例えば、タービンハウジング22の流体入口)に接続されている。コンプレッサインペラ4により圧縮された流体は、圧縮流体ライン23を介してタービンホイール5に導かれる。
【0034】
(熱交換器)
熱交換器31は、遠心圧縮機4Aにおいて圧縮された高温高圧の流体を冷却するように構成される。図示される実施形態では、熱交換器31は、流体導入ライン28を流れる流体と圧縮流体ライン23を流れる流体との間で熱交換を行うように構成される。圧縮流体ライン23を流れる流体は、コンプレッサインペラ4により圧縮されることで、流体導入ライン28を流れる流体よりも高温となっている。熱交換器31における熱交換により、圧縮流体ライン23を流れる流体が、流体導入ライン28を流れる流体により冷却されるとともに、流体導入ライン28を流れる流体が、圧縮流体ライン23を流れる流体により加熱される。熱交換器31は、流体導入ライン28に設けられる流体が流れる低温側熱交換部311と、圧縮流体ライン23に設けられる流体が流れる高温側熱交換部312と、を含み、高温側熱交換部312を流れる流体から低温側熱交換部311を流れる流体に熱の移動が行われるようになっている。
【0035】
(冷却器)
図1に示されるように、冷却器24は、圧縮流体ライン23のコンプレッサインペラ4と熱交換器31(高温側熱交換部312)の間(圧縮流体ライン23の熱交換器31よりも上流側)に設けられ、圧縮流体ライン23を流れる流体と、該流体よりも低温の冷却液(例えば、水)との間で熱交換を行うように構成される。冷却器24における熱交換により、圧縮流体ライン23を熱交換器31に向かって流れる流体が、冷却液により冷却される。熱交換器31(高温側熱交換部312)には、冷却器24において冷却された流体が圧縮流体ライン23を通じて導入される。
【0036】
(冷却液循環ライン)
冷却液循環ライン25は、冷却液を循環させるための流路である。冷却器24には、冷却液循環ライン25を介して冷却液が供給されるようになっている。具体的には、冷却液循環ライン25には、冷却液を冷却するための冷却装置34を構成するラジエータ35と、冷却液循環ライン25において冷却液を送るためのポンプ36と、が設けられている。冷却装置34は、ラジエータ35と、ラジエータ35を空冷するためのファン37と、を含む。冷却器24において圧縮流体ライン23を流れる流体との熱交換により温度が上昇した冷却液は、ポンプ36により冷却液循環ライン25に送られて、ラジエータ35を含む冷却装置34により冷却されるようになっている。冷却装置34により冷却された冷却液は、冷却液循環ライン25を介して冷却器24に供給される。なお、冷却液循環ライン25を循環する冷媒は、液状に限定されずにガス状であってもよい。冷却液循環ライン25を循環する冷媒は、例えば、R-1234ZEなどのフッ素系冷媒(冷媒ガス)であってもよいし、例えば、グリコール水などの不凍液であってもよい。冷却液循環ライン25を循環する冷媒は、水よりも凝固点が低い方が好ましい。
【0037】
タービンホイール5(膨張機5A)は、冷却器24及び熱交換器31において冷却された流体を膨張させるように構成される。膨張機5Aにおいて膨張された低温の流体は、膨張流体ライン29を介して吹出口33に導かれ、吹出口33からコンテナ本体27Aの内部に吹き出されるようになっている。
【0038】
(冷却液導入ライン)
幾つかの実施形態に係る冷凍システム1は、
図1に示されるように、上述したターボ機械2と、上述した圧縮流体ライン23と、上述した冷却器24と、上述した冷却液循環ライン25と、冷却液導入ライン26と、を少なくとも備える。
【0039】
冷却液導入ライン26は、冷却液循環ライン25から冷却液を抜き出してケーシング7の内部に導入するための流路である。冷却液導入ライン26は、配管によって形成される。なお、冷却液導入ライン26を形成する各配管は、複数の配管部分がフランジ等を介して接続されたものであってもよい。図示される実施形態では、冷却液導入ライン26は、冷却液循環ライン25から抜き出した冷却液をケーシング7の内部に吹き出すための冷却液吹出口261(開口)を有する。冷却液吹出口261は、ケーシング7の内部に形成されている。
【0040】
上記の構成によれば、冷却液循環ライン25を循環する冷却液は、冷却装置34において冷却されるため、比較的低温が維持される。冷凍システム1は、冷却液導入ライン26を介して、冷却液循環ライン25から冷却液を抜き出して、ターボ機械2のケーシング7の内部に導入することにより、ケーシング7(ターボ機械2)の内部を冷却できる。また、上記の構成によれば、ケーシング7の内部を冷却するための冷却装置として、冷凍システム1が備える冷却液循環ライン25を用いることができ、上記冷却装置を別途設ける必要がないため、ターボ機械2を備える冷凍システム1の構造の複雑化を抑制できる。
【0041】
幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、上述した冷凍システム1は、冷却液導入ライン26を介してケーシング7の内部に導入された冷却液を、ケーシング7の内部から抜き出して、冷却液循環ライン25に導くための冷却液回収ライン38をさらに備える。冷却液回収ライン38は、配管によって形成される。なお、冷却液回収ライン38を形成する各配管は、複数の配管部分がフランジ等を介して接続されたものであってもよい。図示される実施形態では、冷却液回収ライン38は、ケーシング7の内部に導入された冷却液を吸い込むための冷却液吸込口381(開口)を有する。
【0042】
上記の構成によれば、冷凍システム1は、冷却液回収ライン38を介して、ケーシング7の内部から冷却液循環ライン25に回収することで、回収した冷却液の再利用が可能となり、冷却液循環ライン25への冷却液の補充頻度を低減できる。
【0043】
(冷却液流量調整装置)
幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、上述した冷凍システム1は、冷却液導入ライン26に設けられ、冷却液導入ライン26を流れる冷却液の流量を調整可能に構成された冷却液流量調整装置(冷却液流量調整弁)39をさらに備える。冷却液流量調整装置39は、冷却液導入ライン26に配置された弁体の開度を変更することで、冷却液流量調整装置39よりも下流側(冷却液吹出口261側)に導かれる冷却液の流量を調整可能に構成される。なお、冷却液流量調整装置39は、全閉と全開に開度調整可能な開閉弁でもよいし、全閉と全開とこれらの間の少なくとも1つの中間開度に開度調整可能な開度調整弁でもよい。なお、本開示の幾つかの実施形態に係る冷凍システム1は、上述した冷却液流量調整装置39を備えない冷凍システム1にも適用できる。
【0044】
幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、上述した冷却液循環ライン25は、ラジエータ35(冷却装置34)から冷却器24に冷却液を送るための冷却液供給ライン25Aと、冷却器24からラジエータ35(冷却装置34)に冷却液を送るための冷却液戻しライン25Bと、を含む。上述した冷却液導入ライン26は、冷却液供給ライン25Aに接続されている。
【0045】
図示される実施形態では、冷却液供給ライン25Aには、上述したポンプ36が設けられている。上述した冷却液導入ライン26の上流端は、冷却液供給ライン25Aのポンプ36と冷却器24の間に位置する接続位置P1において、冷却液供給ライン25Aに接続されている。
【0046】
上記の構成によれば、冷却装置34により冷却された冷却液を、ケーシング7の内部に導入できる。この場合には、冷却器24を通過して昇温した冷却液を、ケーシング7の内部に導入する場合に比べて、ケーシング7の内部に導かれる冷却液を低温にできるため、冷却液によりケーシング7の内部をより効果的に冷却できる。
【0047】
図示される実施形態では、上述した冷却液回収ライン38の下流端は、冷却液戻しライン25Bにおける接続位置P2において、冷却液戻しライン25Bに接続されている。この場合には、冷却液回収ライン38を介してケーシング7の内部から回収された冷却液は、冷却装置34に導入されるようになっている。
【0048】
(モータ側内部空間、コンプレッサ側内部空間、タービン側内部空間)
図3は、
図2に示されるターボ機械2の変形例の軸線LAに沿った概略断面図である。
図3では、ターボ機械2の回転シャフト3の軸線LAを含む断面が示されている。
幾つかの実施形態では、
図2、
図3に示されるように、上述したケーシング7は、上述した外壁16と、上述したコンプレッサ側仕切り壁17と、上述したタービン側仕切り壁18と、を含む。上述したケーシング7は、外壁16の内部に形成されたモータ側内部空間160、コンプレッサ側仕切り壁17の内部に形成されたコンプレッサ側内部空間170、又は、タービン側仕切り壁18の内部に形成されたタービン側内部空間180、のうちの少なくとも1つが形成されている。上述した冷却液導入ライン26は、モータ側内部空間160、コンプレッサ側内部空間170又はタービン側内部空間180の何れかに接続されている。
【0049】
モータ側内部空間160、コンプレッサ側内部空間170及びタービン側内部空間180の各々は、回転シャフト3の周方向に沿って延在する円弧状又は環状に形成されていてもよい。ここで、回転シャフト3の周方向に沿って延在するとは、上述した内部空間160、170、180を上記周方向に沿って延びる流路に限定するものではなく、上記周方向に沿って延びる流路の他に、上記軸方向又は上記径方向のいずれかに延びる流路を含んでいてもよい。例えば、モータ側内部空間160は、上記周方向に沿って延びる流路と上記軸方向に延びる流路とを交互に組み合わせた、蛇行流路であってもよい。モータ側内部空間160、コンプレッサ側内部空間170及びタービン側内部空間180の各々は、コンプレッサ側収容空間11、タービン側収容空間12及びモータ車室13の何れにも連通されていない。
【0050】
モータ側内部空間160は、
図2、
図3に示されるような軸線LAを含む断面において、上記軸方向に沿って長手方向を有する矩形状又は長孔状に形成された断面形状を有していてもよい。また、コンプレッサ側内部空間170及びタービン側内部空間180の各々は、
図2、
図3に示されるような軸線LAを含む断面において、上記径方向に沿って長手方向を有する矩形状又は長孔状に形成された断面形状を有していてもよい。
【0051】
図示される実施形態では、冷却液導入ライン26の下流端及び冷却液回収ライン38の各々は、モータ側内部空間160に接続されている。冷却液吹出口261及び冷却液吸込口381の各々は、モータ側内部空間160の内部(図示例では、外壁16のモータ側内部空間160を形成する壁面)に形成されている。なお、冷却液導入ライン26の下流端及び冷却液回収ライン38の各々は、コンプレッサ側内部空間170又はタービン側内部空間180に接続されていてもよいし、コンプレッサハウジング21の内部に形成された内部空間(不図示)、又は、タービンハウジング22の内部に形成された内部空間(不図示)に接続されていてもよい。
【0052】
上記の構成によれば、冷却液導入ライン26を介して、モータ側内部空間160、コンプレッサ側内部空間170又はタービン側内部空間180の何れかの内部に冷却液が導かれる。
【0053】
冷却液導入ライン26がモータ側内部空間160に接続された場合には、冷却液導入ライン26を介してモータ側内部空間160に導かれた冷却液により、ケーシング7の外壁16、電動モータ6及びモータ車室13を冷却できる。これにより、電動モータ6の発熱がタービン側(タービン側仕切り壁18やタービン側内部空間180)に伝達されるのを抑制でき、且つケーシング7の外壁16やモータ車室13を介して、コンプレッサ側からの入熱が上記タービン側に伝達されるのを抑制できる。
【0054】
冷却液導入ライン26がコンプレッサ側内部空間170に接続された場合には、冷却液導入ライン26を介してコンプレッサ側内部空間170に導かれた冷却液により、コンプレッサ側仕切り壁17、モータ車室13及びコンプレッサ側内部空間170を冷却できる。これにより、コンプレッサ側仕切り壁17を介して、コンプレッサ側からの入熱が、電動モータ6側(ケーシング7の外壁16やモータ車室13)に伝達されるのを抑制できる。また、コンプレッサインペラ4を通過してコンプレッサ側収容空間11を流れる流体を冷却することで、圧縮流体ライン23に導入される流体の温度を低減できるため、圧縮流体ライン23を含む冷凍機(冷凍サイクル)30の信頼性や性能の向上が図れる。
【0055】
冷却液導入ライン26がタービン側内部空間180に接続された場合には、冷却液導入ライン26を介してタービン側内部空間180に導かれた冷却液により、タービン側仕切り壁18を冷却できる。これにより、タービン側仕切り壁18を介して、電動モータ6やコンプレッサ側からの入熱が上記タービン側に伝達されるのを抑制できる。
【0056】
幾つかの実施形態では、
図3に示されるように、上述したケーシング7は、上述したモータ側内部空間160、上述したコンプレッサ側内部空間170、及び、モータ側内部空間160とコンプレッサ側内部空間170とを連通させる連通流路190が形成されている。上述した冷却液導入ライン26は、モータ側内部空間160、又は、コンプレッサ側内部空間170に接続されている。
【0057】
連通流路190は、モータ側内部空間160の内部に形成された第1開口191と、コンプレッサ側内部空間170の内部に形成された第2開口192と、を有する。図示される実施形態では、第1開口191は、外壁16のモータ側内部空間160を形成する壁面の上記軸方向のコンプレッサ側の端部に形成されている。第2開口192は、コンプレッサ側仕切り壁17のコンプレッサ側内部空間170を形成する壁面の上記径方向における外側の端部に形成されている。なお、ケーシング7は、モータ側内部空間160とタービン側内部空間180とを連通させる連通流路(不図示)が形成されていてもよい。
【0058】
上記の構成によれば、連通流路190を介して、モータ側内部空間160とコンプレッサ側内部空間170との間で冷却液の流通が可能になる。これにより、モータ側内部空間160及びコンプレッサ側内部空間170の両方に冷却液を導くことができ、該冷却液により、ケーシング7の外壁16やコンプレッサ側仕切り壁17等を冷却できる。この場合には、モータ側内部空間160及びコンプレッサ側内部空間170の夫々に対して冷却液を導くための専用流路を設ける必要がないため、冷凍システム1の構造の複雑化を抑制できる。
【0059】
(断熱材)
幾つかの実施形態では、
図3に示されるように、上述したケーシング7は、上述したタービン側内部空間180が形成されている。上述したターボ機械2は、タービン側内部空間180に配置された断熱材180Aをさらに備える。断熱材180Aは、水等の冷却液や空気よりも断熱性能が高い。なお、冷却液が導入されないモータ側内部空間160やコンプレッサ側内部空間170の内部に断熱材を配置してもよい。
【0060】
仮にタービン側内部空間180に冷却液を導く場合には、タービン側内部空間180に導かれる冷却液の温度次第で、該冷却液がタービン側収容空間12への入熱源となる虞がある。上記の構成によれば、断熱材180Aをタービン側内部空間180に配置することで、該断熱材180Aが上記入熱源となることを回避しつつ、タービン側仕切り壁18を介して、電動モータ6やコンプレッサ側からの入熱が上記タービン側に伝達されるのを抑制できる。
【0061】
幾つかの実施形態では、上述した冷凍機30を流れる流体は、ヘリウム、水素、ネオン、窒素、アルゴン、酸素、空気、炭化水素の中から選択された何れか1つ、又は2つ以上の混合物からなる。
【0062】
上記の構成によれば、圧縮流体ライン23を含む冷凍機(冷凍サイクル)30を流れる流体を、比較的低温で液化する冷媒(ヘリウム、水素、ネオン、窒素、アルゴン、酸素、空気、炭化水素の中から選択された何れか1つ、又は2つ以上の混合物)とすることで、上記冷凍機(冷凍サイクル)30の対応可能な温度領域を、極低温や超低温を含む領域まで拡大できる。
【0063】
幾つかの実施形態では、上述した冷凍システム1は、
図1に示されるように、上述したコンテナ本体27Aと、コンテナ本体27Aの内部に設けられた吸込口32を有し、吸込口32を介してコンテナ本体27Aの内部から吸引した気体を上述した流体として、コンプレッサインペラ4に導くための気体吸引ライン(上述した流体導入ライン28)と、コンテナ本体27Aの内部に設けられた吹出口33を有し、吹出口33を介してタービンホイール5により膨張した気体を、コンテナ本体27Aの内部に導くための膨張気体ライン(上述した膨張流体ライン29)と、を備える。
【0064】
上記の構成によれば、コンテナ本体27Aの内部の気体(庫内気体)を熱媒体として使用する冷凍機(冷凍サイクル)30が構築される。コンテナ本体27Aの内部の気体は、吹出口33での圧力と、吸込口32での圧力との差によって、吹出口33から吸込口32に至るまで自然循環するため、気体を循環させるためのファンが不要である。このため、コンテナ本体27Aの内部にファン及びファンモータを設けることによる庫内温度の上昇が生じない。よって、庫内温度を所期の温度に維持しやすい。また、コンテナ本体27Aの内部にファン及びファンモータが設けられないため、コンテナ本体27Aの内部の荷貨スペースを広く確保することができる。したがって、上記の構成によれば、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制可能であるとともに、庫内温度を安定的に維持可能なコンテナ本体27Aを備える冷凍コンテナが得られる。
【0065】
上記コンテナ本体27Aを備える冷凍コンテナ(冷凍システム1を搭載した冷凍コンテナ)を輸送用途に用いるためには、冷凍システム1の小型化及び軽量化が要求される。上記要求に応えるために、ターボ機械2を小型化すると、コンプレッサインペラ4とタービンホイール5との間の距離が近く、コンプレッサ側からタービン側に入熱し易い構造になるため、冷却液や断熱材などによる遮熱構造が特に効果を発揮できる。
【0066】
後述する幾つかの実施形態は、独立して実施可能である。例えば、後述する幾つかの実施形態は、冷却液導入ライン26を備える冷凍システム1にも適用でき、且つ冷却液導入ライン26を備えない冷凍システム1にも適用できる。
【0067】
(冷熱媒体供給ライン、冷熱媒体戻しライン)
図4は、本開示の一実施形態に係る冷凍システム1を模式的に示す図である。
図5は、
図4に示されるターボ機械2の軸線LAに沿った概略断面図である。
図6は、
図5に示されるターボ機械2の変形例の軸線LAに沿った概略断面図である。幾つかの実施形態では、上述した冷凍システム1のケーシング7は、上述したモータ車室13を含む。上述した冷凍システム1は、
図4~
図6に示されるように、上述したターボ機械2と、上述した圧縮流体ライン23と、上述した冷却器24と、上述した冷却液循環ライン25と、冷熱媒体供給ライン61と、冷熱媒体戻しライン62と、を少なくとも備える。
【0068】
冷熱媒体供給ライン61は、圧縮流体ライン23の冷却器24よりも下流側に上流端(一端)が接続されている。冷熱媒体供給ライン61は、圧縮流体ライン23から流体を抜き出して、電動モータ6を冷却するための冷熱媒体としてモータ車室13の内部に供給するための流路である。
【0069】
図示される実施形態では、上述した冷熱媒体供給ライン61の上流端は、圧縮流体ライン23の冷却器24と熱交換器31(高温側熱交換部312)の間に位置する接続位置P3において、圧縮流体ライン23に接続されている。冷熱媒体供給ライン61の下流端は、モータ車室13に接続されている。
【0070】
冷熱媒体戻しライン62は、コンプレッサインペラ4に流体を導くための流体導入ライン28に、冷熱媒体供給ライン61を介してモータ車室13に供給された流体を戻すための流路である。
【0071】
図示される実施形態では、冷熱媒体戻しライン62の上流端は、モータ車室13に接続されている。冷熱媒体戻しライン62の下流端は、流体導入ライン28の熱交換器31(低温側熱交換部311)とコンプレッサインペラ4との間に位置する接続位置P4において、流体導入ライン28に接続されている。
【0072】
図示される実施形態では、上述した冷凍システム1は、
図4に示されるように、冷熱媒体供給ライン61に設けられ、冷熱媒体供給ライン61を流れる気体(流体)の流量を調整可能に構成された、冷熱媒体供給量調整装置(冷熱媒体供給量調整弁)63をさらに備える。冷熱媒体供給量調整装置63は、冷熱媒体供給ライン61に配置された弁体の開度を変更することで、冷熱媒体供給量調整装置63よりも下流側(冷熱媒体流入口611側)に導かれる気体(流体)の流量を調整可能に構成される。なお、冷熱媒体供給量調整装置63は、全閉と全開に開度調整可能な開閉弁でもよいし、全閉と全開とこれらの間の少なくとも1つの中間開度に開度調整可能な開度調整弁でもよい。
【0073】
上記の構成によれば、冷凍システム1は、冷熱媒体供給ライン61及び冷熱媒体戻しライン62を備えるため、冷却器24において冷却された流体を電動モータ6(モータ車室13)の冷却に用いることができ、電動モータ6を冷却した流体を流体導入ライン28に戻すことができる。この場合には、電動モータ6を冷却する冷熱媒体(上記流体)の流路として、冷凍サイクル(圧縮流体ライン23や流体導入ライン28等)の一部を利用できるため、冷凍システム1の構造のコンパクト化、軽量化が図れる。
【0074】
幾つかの実施形態では、
図5に示されるように、上述した冷熱媒体戻しライン62における冷熱媒体が流れる流路62Aの最小面積D2は、冷熱媒体供給ライン61における冷熱媒体が流れる流路61Aの最小面積D1よりも小さい。
図5に示される実施形態では、流路61A及び流路62Aの各々は、外壁16(ケーシング7)の内部に形成されている。
図5に示される実施形態では、流路61Aは、冷熱媒体流入口611を含み、流路62Aは、冷熱媒体取込口621を含む。
図6に示される実施形態では、流路61Aは、外壁16の内部に形成され、流路62Aは、コンプレッサ側仕切り壁17の内部に形成されている。
図6に示される実施形態では、流路61Aは、冷熱媒体流入口611を含み、流路62Aは、冷熱媒体取込口621Aを含む。
【0075】
上記の構成によれば、冷熱媒体戻しライン62における冷熱媒体が流れる流路62Aの最小面積D2を、冷熱媒体供給ライン61における冷熱媒体が流れる流路61Aの最小面積D1よりも小さくすることで、モータ車室13内を蓄圧できる。これにより、モータ車室13の内部の圧力とコンプレッサ側収容空間11の内部の圧力との間の圧力差が小さなものとなるため、コンプレッサ側収容空間11を流れる気体の、コンプレッサ側収容空間11からモータ車室13へのリークを低減でき、コンプレッサ側収容空間11からモータ車室13にリークした比較的高温の気体によるモータ車室13の内部の昇温を抑制できる。
【0076】
幾つかの実施形態では、上述した冷熱媒体供給ライン61は、冷熱媒体供給ライン61からモータ車室13の内部に冷熱媒体を流入させるための冷熱媒体流入口611を有する。上述した冷熱媒体戻しライン62は、モータ車室13の内部に供給された冷熱媒体を冷熱媒体戻しライン62に取り込むための冷熱媒体取込口621を有する。冷熱媒体取込口621は、回転シャフト3の軸方向において、冷熱媒体流入口611よりもコンプレッサインペラ4が位置する側に形成されている。
【0077】
上記の構成によれば、冷熱媒体取込口621は、上記軸方向における冷熱媒体流入口611よりもコンプレッサインペラ4が位置する側に形成されている。この場合には、コンプレッサ側収容空間11からモータ車室13にリークする気体、又はリークした気体を、冷熱媒体取込口621を介して速やかに冷熱媒体戻しライン62に排出できる。これにより、コンプレッサ側収容空間11からモータ車室13にリークする気体、又はリークした気体によるモータ車室13の内部の昇温を抑制できる。
【0078】
幾つかの実施形態では、
図6に示されるように、上述したケーシング7は、モータ車室13とコンプレッサ側収容空間11とを連通させるコンプレッサ側連通孔14であって、回転シャフト3が挿通されるコンプレッサ側連通孔14が形成されている。上述した冷凍システム1は、コンプレッサ側連通孔14に配置され、回転シャフト3を回転可能に支持するように構成されたコンプレッサ側軸受8と、コンプレッサ側連通孔14のコンプレッサ側軸受8よりもコンプレッサ側収容空間11側において、コンプレッサ側連通孔14と回転シャフト3との間を封止するように構成されたコンプレッサ側封止部19と、を備える。コンプレッサ側封止部19は、コンプレッサ側連通孔14と回転シャフト3との間を封止するシール部材を含んでいてもよいし、コンプレッサ側連通孔14又は回転シャフト3の少なくとも一方に形成されたメカニカルシール(凹部)を含んでいてもよい。
【0079】
上述した冷熱媒体戻しライン62は、モータ車室13の内部に供給された冷熱媒体を冷熱媒体戻しライン62に取り込むための冷熱媒体取込口621Aを有する。この冷熱媒体取込口621Aは、コンプレッサ側連通孔14におけるコンプレッサ側軸受8とコンプレッサ側封止部19との間に形成されている。
【0080】
上記の構成によれば、冷熱媒体取込口621Aは、コンプレッサ側連通孔14におけるコンプレッサ側軸受8とコンプレッサ側封止部19との間に形成されている。この場合には、コンプレッサ側収容空間11からコンプレッサ側連通孔14に導かれた比較的高温の気体を、冷熱媒体取込口621Aを介して速やかに冷熱媒体戻しライン62に排出できる。これにより、コンプレッサ側収容空間11からモータ車室13にリークする気体を低減できるため、リークした気体によるモータ車室13の内部の昇温を抑制できる。
【0081】
上記の構成によれば、コンプレッサ側連通孔14に導かれた比較的高温の気体による、コンプレッサ側軸受8の昇温を抑制できる。また、コンプレッサ側軸受8を、冷熱媒体供給ライン61を介してモータ車室13の内部に導入された流体により冷却できる。この場合には、コンプレッサ側軸受8の温度を比較的低温に保持できるため、昇温によるコンプレッサ側軸受8の性能低下や熱損傷を抑制でき、ひいてはコンプレッサ側軸受8を備えるターボ機械2の信頼性の向上が図れる。
【0082】
幾つかの実施形態では、上述した熱交換器31又は冷却器24の少なくとも一方は、プレート式熱交換器又はマイクロチャネル熱交換器を含んでもよい。プレート式熱交換器又はマイクロチャネル熱交換器は、アルミニウム又はチタンを含む材料から形成されたものであってもよい。
【0083】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0084】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0085】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0086】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る冷凍システム(1)は、
回転シャフト(3)と、
前記回転シャフト(3)の一方側に取り付けられるコンプレッサインペラ(4)と、
前記回転シャフト(3)の他方側に取り付けられるタービンホイール(5)と、
前記コンプレッサインペラ(4)と前記タービンホイール(5)の間において前記回転シャフト(3)に取り付けられる電動モータ(6)であって、前記回転シャフト(3)を回転させる回転力を発生させるように構成された電動モータ(6)と、
前記回転シャフト(3)、前記コンプレッサインペラ(4)、前記タービンホイール(5)及び前記電動モータ(6)を収容可能に構成されたケーシング(7)と、
を含むターボ機械(2)と、
前記コンプレッサインペラ(4)により圧縮された流体を前記タービンホイール(5)に導くための圧縮流体ライン(23)と、
前記圧縮流体ライン(23)に設けられた冷却器(24)であって、前記圧縮流体ライン(23)を流れる前記流体と冷却液との間で熱交換を行うように構成された冷却器(24)と、
前記冷却液を循環させるための冷却液循環ライン(25)であって、前記冷却液を冷却するための冷却装置(34)が設けられた冷却液循環ライン(25)と、
前記冷却液循環ライン(25)から前記冷却液を抜き出して前記ケーシング(7)の内部に導入するための冷却液導入ライン(26)と、を備える。
【0087】
上記1)の構成によれば、冷却液循環ライン(25)を循環する冷却液は、冷却装置(34)において冷却されるため、比較的低温が維持される。冷凍システム(1)は、冷却液導入ライン(26)を介して、冷却液循環ライン(25)から冷却液を抜き出して、ターボ機械(2)のケーシング(7)の内部に導入することにより、ケーシング(7、ターボ機械2)の内部を冷却できる。また、上記1)の構成によれば、ケーシング(7)の内部を冷却するための冷却装置として、冷凍システム(1)が備える冷却液循環ライン(25)を用いることができ、上記冷却装置を別途設ける必要がないため、ターボ機械(2)を備える冷凍システム(1)の構造の複雑化を抑制できる。
【0088】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷凍システム(1)であって、
前記ケーシング(7)は、
前記電動モータ(6)を収容するモータ車室(13)の外周側を覆う前記ケーシング(7)の外壁(16)の内部に形成されたモータ側内部空間(160)、
前記コンプレッサインペラ(4)を収容するコンプレッサ側収容空間(11)と前記モータ車室(13)とを仕切るコンプレッサ側仕切り壁(17)の内部に形成されたコンプレッサ側内部空間(170)、又は、
前記タービンホイール(5)を収容するタービン側収容空間(12)と前記モータ車室(13)とを仕切るタービン側仕切り壁(18)の内部に形成されたタービン側内部空間(180)、のうちの少なくとも1つが形成され、
前記冷却液導入ライン(26)は、
前記モータ側内部空間(160)、前記コンプレッサ側内部空間(170)又は前記タービン側内部空間(180)の何れかに接続された。
【0089】
上記2)の構成によれば、冷却液導入ライン(26)を介して、モータ側内部空間(160)、コンプレッサ側内部空間(170)又はタービン側内部空間(180)の何れかの内部に冷却液が導かれる。
モータ側内部空間(160)に導かれた冷却液により、ケーシング(7)の外壁(16)、電動モータ(6)及びモータ車室(13)を冷却できる。これにより、電動モータ(6)の発熱がタービン側(タービン側仕切り壁18やタービン側内部空間180)に伝達されるのを抑制でき、且つケーシング(7)の外壁(16)やモータ車室(13)を介して、コンプレッサ側からの入熱が上記タービン側に伝達されるのを抑制できる。
コンプレッサ側内部空間(170)に導かれた冷却液により、コンプレッサ側仕切り壁(17)、モータ車室(13)及びコンプレッサ側内部空間(170)を冷却できる。これにより、コンプレッサ側仕切り壁(17)を介して、コンプレッサ側からの入熱が、電動モータ(6)側(ケーシング7の外壁16やモータ車室13)に伝達されるのを抑制できる。また、コンプレッサインペラ(4)を通過してコンプレッサ側収容空間(11)を流れる流体を冷却することで、圧縮流体ライン(23)に導入される流体の温度を低減できるため、圧縮流体ライン(23)を含む冷凍機(30、冷凍サイクル)の信頼性や性能の向上が図れる。
タービン側内部空間(180)に導かれた冷却液により、タービン側仕切り壁(18)を冷却できる。これにより、タービン側仕切り壁(18)を介して、電動モータ(6)やコンプレッサ側からの入熱が上記タービン側に伝達されるのを抑制できる。
【0090】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の冷凍システム(1)であって、
前記ケーシング(7)は、
前記モータ側内部空間(160)、前記コンプレッサ側内部空間(170)、及び、前記モータ側内部空間(160)と前記コンプレッサ側内部空間(170)と連通させる連通流路(190)が形成され、
前記冷却液導入ライン(26)は、
前記モータ側内部空間(160)、又は、前記コンプレッサ側内部空間(170)に接続された。
【0091】
上記3)の構成によれば、連通流路(190)を介して、モータ側内部空間(160)とコンプレッサ側内部空間(170)との間で冷却液の流通が可能になる。これにより、モータ側内部空間(160)及びコンプレッサ側内部空間(170)の両方に冷却液を導くことができ、該冷却液により、ケーシング(7)の外壁(16)やコンプレッサ側仕切り壁(17)等を冷却できる。この場合には、モータ側内部空間(160)及びコンプレッサ側内部空間(170)の夫々に対して冷却液を導くための専用流路を設ける必要がないため、冷凍システム(1)の構造の複雑化を抑制できる。
【0092】
4)幾つかの実施形態では、上記2)又は上記3)に記載の冷凍システム(1)であって、
前記ケーシング(7)は、
前記タービン側内部空間(180)が形成され、
前記ターボ機械(2)は、
前記タービン側内部空間(180)に配置された断熱材(180A)をさらに備える。
【0093】
仮にタービン側内部空間(180)に冷却液を導く場合には、タービン側内部空間(180)に導かれる冷却液の温度次第で、該冷却液がタービン側収容空間(12)への入熱源となる虞がある。上記4)の構成によれば、断熱材(180A)をタービン側内部空間(180)に配置することで、該断熱材(180A)が上記入熱源となることを回避しつつ、タービン側仕切り壁(18)を介して、電動モータ(6)やコンプレッサ側からの入熱が上記タービン側に伝達されるのを抑制できる。
【0094】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から上記4)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
前記冷却液循環ライン(25)は、
前記冷却装置(34)から前記冷却器(24)に前記冷却液を送るための冷却液供給ライン(25A)と、
前記冷却器(24)から前記冷却装置(34)に前記冷却液を送るための冷却液戻しライン(25B)と、を含み、
前記冷却液導入ライン(26)は、前記冷却液供給ライン(25A)に接続された。
【0095】
上記5)の構成によれば、冷却装置(34)により冷却された冷却液を、ケーシング(7)の内部に導入できる。この場合には、冷却器(24)を通過して昇温した冷却液を、ケーシング(7)の内部に導入する場合に比べて、ケーシング(7)の内部に導かれる冷却液を低温にできるため、冷却液によりケーシング(7)の内部をより効果的に冷却できる。
【0096】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から上記5)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
前記流体は、ヘリウム、水素、ネオン、窒素、アルゴン、酸素、空気、炭化水素の中から選択された何れか1つ、又は2つ以上の混合物からなる。
【0097】
上記6)の構成によれば、圧縮流体ライン(23)を含む冷凍機(30、冷凍サイクル)を流れる流体を、比較的低温で液化する冷媒(ヘリウム、水素、ネオン、窒素、アルゴン、酸素、空気、炭化水素の中から選択された何れか1つ、又は2つ以上の混合物)とすることで、上記冷凍機(30、冷凍サイクル)の対応可能な温度領域を、極低温や超低温を含む領域まで拡大できる。
【0098】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から上記6)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
コンテナ本体(27A)と、
前記コンテナ本体(27A)の内部に設けられた吸込口(32)を有し、前記吸込口(32)を介して前記コンテナ本体(27A)の内部から吸引した気体を前記流体として、前記コンプレッサインペラ(4)に導くための気体吸引ライン(流体導入ライン28)と、
前記コンテナ本体(27A)の内部に設けられた吹出口(33)を有し、前記吹出口(33)を介して前記タービンホイール(5)により膨張した前記気体を、前記コンテナ本体(27A)の内部に導くための膨張気体ライン(膨張流体ライン29)と、をさらに備える。
【0099】
上記7)の構成によれば、コンテナ本体(27A)の内部の気体(庫内気体)を熱媒体として使用する冷凍機(30、冷凍サイクル)が構築される。コンテナ本体(27A)の内部の気体は、吹出口(33)での圧力と、吸込口(32)での圧力との差によって、吹出口(32)から吸込口(33)に至るまで自然循環するため、気体を循環させるためのファンが不要である。このため、コンテナ本体(27A)の内部にファン及びファンモータを設けることによる庫内温度の上昇が生じない。よって、庫内温度を所期の温度に維持しやすい。また、コンテナ本体(27A)の内部にファン及びファンモータが設けられないため、コンテナ本体(27A)の内部の荷貨スペースを広く確保することができる。したがって、上記7)の構成によれば、コンテナの庫内の荷貨スペースの縮小を抑制可能であるとともに、庫内温度を安定的に維持可能なコンテナ本体(27A)を備える冷凍コンテナが得られる。
【0100】
上記コンテナ本体(27A)を備える冷凍コンテナを輸送用途に用いるためには、冷凍システム(1)の小型化及び軽量化が要求される。上記要求に応えるために、ターボ機械(2)を小型化すると、コンプレッサインペラ(4)とタービンホイール(5)との間の距離が近く、コンプレッサ側からタービン側に入熱し易い構造になるため、冷却液や断熱材などによる遮熱構造が特に効果を発揮できる。
【0101】
8)幾つかの実施形態では、上記1)から上記7)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
前記ケーシング(7)は、前記電動モータ(6)を収容するモータ車室(13)を含み、
前記圧縮流体ライン(23)の前記冷却器(24)よりも下流側に一端が接続され、前記圧縮流体ライン(23)から前記流体を抜き出して、前記電動モータ(6)を冷却するための冷熱媒体として前記モータ車室(13)の内部に供給するための冷熱媒体供給ライン(61)と、
前記コンプレッサインペラ(4)に前記流体を導くための流体導入ライン(28)に、前記冷熱媒体供給ライン(61)を介して前記モータ車室(13)に供給された前記流体を戻すための冷熱媒体戻しライン(62)と、をさらに備える。
【0102】
上記8)の構成によれば、冷凍システム(1)は、冷熱媒体供給ライン(61)及び冷熱媒体戻しライン(62)を備えるため、冷却器(24)において冷却された流体を電動モータ(6、モータ車室13)の冷却に用いることができ、電動モータ(6)を冷却した流体を流体導入ライン(28)に戻すことができる。この場合には、電動モータ(6)を冷却する冷熱媒体(上記流体)の流路として、冷凍サイクル(圧縮流体ライン23や流体導入ライン28等)の一部を利用できるため、冷凍システム(1)の構造のコンパクト化、軽量化が図れる。
【0103】
9)幾つかの実施形態では、上記8)に記載の冷凍システム(1)であって、
前記冷熱媒体戻しライン(62)における前記冷熱媒体が流れる流路(62A)の最小面積(D2)は、前記冷熱媒体供給ライン(61)における前記冷熱媒体が流れる流路(61A)の最小面積(D1)よりも小さい。
【0104】
上記9)の構成によれば、冷熱媒体戻しライン(62)における冷熱媒体が流れる流路(62A)の最小面積(D2)を、冷熱媒体供給ライン(61)における冷熱媒体が流れる流路(61A)の最小面積(D1)よりも小さくすることで、モータ車室(13)内を蓄圧できる。これにより、モータ車室(13)の内部の圧力とコンプレッサ側収容空間(11)の内部の圧力との間の圧力差が小さなものとなるため、コンプレッサ側収容空間(11)を流れる気体の、コンプレッサ側収容空間(11)からモータ車室(13)へのリークを低減でき、コンプレッサ側収容空間(11)からモータ車室(13)にリークした比較的高温の気体によるモータ車室(13)の内部の昇温を抑制できる。
【0105】
10)幾つかの実施形態では、上記8)又は上記9)に記載の冷凍システム(1)であって、
前記冷熱媒体供給ライン(61)は、前記冷熱媒体供給ライン(61)から前記モータ車室(13)の内部に前記冷熱媒体を流入させるための冷熱媒体流入口(611)を有し、
前記冷熱媒体戻しライン(62)は、前記モータ車室(13)の内部に供給された前記冷熱媒体を前記冷熱媒体戻しライン(62)に取り込むための冷熱媒体取込口(621)を有し、
前記冷熱媒体取込口(621)は、前記回転シャフト(3)の軸方向において、前記冷熱媒体流入口(611)よりも前記コンプレッサインペラ(4)が位置する側に形成された。
【0106】
上記10)の構成によれば、冷熱媒体取込口(621)は、上記軸方向における冷熱媒体流入口(611)よりもコンプレッサインペラ(4)が位置する側に形成されている。この場合には、コンプレッサ側収容空間(11)からモータ車室(13)にリークする気体、又はリークした気体を、冷熱媒体取込口(621)を介して速やかに冷熱媒体戻しライン(62)に排出できる。これにより、コンプレッサ側収容空間(11)からモータ車室(13)にリークする気体、又はリークした気体によるモータ車室(13)の内部の昇温を抑制できる。
【0107】
11)幾つかの実施形態では、上記8)から上記10)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
前記ケーシング(7)は、
前記電動モータ(6)を収容するモータ車室(13)と前記コンプレッサインペラ(4)を収容するコンプレッサ側収容空間(11)とを連通させるコンプレッサ側連通孔(14)であって、前記回転シャフト(3)が挿通されるコンプレッサ側連通孔(14)が形成され、
前記冷凍システム(1)は、
前記コンプレッサ側連通孔(14)に配置され、前記回転シャフト(3)を回転可能に支持するように構成されたコンプレッサ側軸受(8)と、
前記コンプレッサ側連通孔(14)の前記コンプレッサ側軸受(8)よりも前記コンプレッサ側収容空間(11)側において、前記コンプレッサ側連通孔(14)と前記回転シャフト(3)との間を封止するように構成されたコンプレッサ側封止部(19)と、をさらに備え、
前記冷熱媒体戻しライン(62)は、前記モータ車室(13)の内部に供給された前記冷熱媒体を前記冷熱媒体戻しライン(62)に取り込むための冷熱媒体取込口(621A)を有し、
前記冷熱媒体取込口(621A)は、前記コンプレッサ側連通孔(14)における前記コンプレッサ側軸受(8)と前記コンプレッサ側封止部(19)との間に形成された。
【0108】
上記11)の構成によれば、冷熱媒体取込口(621A)は、コンプレッサ側連通孔(14)におけるコンプレッサ側軸受(8)とコンプレッサ側封止部(19)との間に形成されている。この場合には、コンプレッサ側収容空間(11)からコンプレッサ側連通孔(14)に導かれた比較的高温の気体を、冷熱媒体取込口(621A)を介して速やかに冷熱媒体戻しライン(62)に排出できる。これにより、コンプレッサ側収容空間(11)からモータ車室(13)にリークする気体を低減できるため、リークした気体によるモータ車室(13)の内部の昇温を抑制できる。
【0109】
上記11)の構成によれば、コンプレッサ側連通孔(14)に導かれた比較的高温の気体による、コンプレッサ側軸受(8)の昇温を抑制できる。また、コンプレッサ側軸受(8)を、冷熱媒体供給ライン(61)を介してモータ車室(13)の内部に導入された流体により冷却できる。この場合には、コンプレッサ側軸受(8)の温度を比較的低温に保持できるため、昇温によるコンプレッサ側軸受(8)の性能低下や熱損傷を抑制でき、ひいてはコンプレッサ側軸受(8)を備えるターボ機械(2)の信頼性の向上が図れる。
【符号の説明】
【0110】
1 冷凍システム
2 ターボ機械
3 回転シャフト
4 コンプレッサインペラ
4A 遠心圧縮機
5 タービンホイール
5A 膨張機
6 電動モータ
7 ケーシング
8 コンプレッサ側軸受
9 タービン側軸受
11 コンプレッサ側収容空間
12 タービン側収容空間
13 モータ車室
14 コンプレッサ側連通孔
15 タービン側連通孔
16 外壁
17 コンプレッサ側仕切り壁
18 タービン側仕切り壁
19 コンプレッサ側封止部
20 タービン側封止部
21 コンプレッサハウジング
22 タービンハウジング
23 圧縮流体ライン
24 冷却器
25 冷却液循環ライン
25A 冷却液供給ライン
25B 冷却液戻しライン
26 冷却液導入ライン
27 流体の供給先
27A コンテナ本体
28 流体導入ライン
29 膨張流体ライン
30 冷凍機
31 熱交換器
32 吸込口
33 吹出口
34 冷却装置
35 ラジエータ
36 ポンプ
37 ファン
38 冷却液回収ライン
39 冷却液流量調整装置
41,51 ハブ
42 インペラ翼
43,53 外周面
44,54 背面
52 タービン翼
61 冷熱媒体供給ライン
62 冷熱媒体戻しライン
63 冷熱媒体供給量調整装置
160 モータ側内部空間
161 内面
170 コンプレッサ側内部空間
171 コンプレッサ側背面
172 コンプレッサ側内面
180 タービン側内部空間
180A 断熱材
181 タービン側背面
182 タービン側内面
190 連通流路
191 第1開口
192 第2開口
211 流体導入流路
212 流体導入流路形成部
213,221 スクロール流路
214,222 スクロール流路形成部
223 流体排出流路
224 排出流路形成部
261 冷却液吹出口
270 内側空間
311 低温側熱交換部
312 高温側熱交換部
381 冷却液吸込口
611 冷熱媒体流入口
621,621A 冷熱媒体取込口
D1,D2 最小面積
LA 軸線
P1,P2,P3,P4 接続位置