(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055268
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】フィルタケース又はフィルタケース組立セット
(51)【国際特許分類】
B01D 29/07 20060101AFI20240411BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B01D29/06 510A
B01D29/04 510A
B01D29/04 530A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162055
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】593208751
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(74)【代理人】
【識別番号】100094156
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 民安
(72)【発明者】
【氏名】安藤 淑一
(72)【発明者】
【氏名】山下 将史
(72)【発明者】
【氏名】牧 征幸
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA08
4D116BB01
4D116BC06
4D116BC13
4D116BC28
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC77
4D116DD06
4D116EE03
4D116EE12
4D116KK04
4D116QB05
4D116QB13
4D116QB23
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】工作機械の属性や使用者の属性に応じて、少なくともフィルタケースの全長を適宜短くすることができ、ひいては、製造時や販売時或いはメンテナンス時における管理・運用も容易となる新規なフィルタケース等を提供する。
【解決手段】内部に液体用フィルタ100が収容されるフィルタ収容空間が形成されたフィルタケース1であって、最下段に配置される最下段用ケースパーツ2と、最上段に配置される最上段用ケースパーツ3と、上記最下段用ケースパーツ2と上記最上段用ケースパーツ3との間に段積みされてなる複数の中間用ケースパーツ4と、を備え、上記それぞれの中間用ケースパーツ4は、何れも同一形状に成形されてなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に伸縮可能とされてなるか、又は複数の小型フィルタが段積みされてなる液体用フィルタが内部に収容されるフィルタ収容空間が形成されたフィルタケースであって、
最下段に配置される最下段用ケースパーツと、最上段に配置される最上段用ケースパーツと、上記最下段用ケースパーツと上記最上段用ケースパーツとの間に段積みされてなる複数の中間用ケースパーツと、を備え、
上記それぞれの中間用ケースパーツは、何れも同一形状に成形されてなることを特徴とするフィルタケース。
【請求項2】
前記最上段用ケースパーツと前記最下段用ケースパーツとは、何れも同一形状に成形されてなることを特徴とする請求項1記載のフィルタケース。
【請求項3】
前記中間用ケースパーツ自体には前記液体用フィルタにより濾過された液体が外部に排出される排水用開口が形成されてなるか、又は、
該中間用ケースパーツと前記最下段用ケースパーツと前記最上段用ケースパーツとのそれぞれには、該最下段用ケースパーツ上に中間用ケースパーツが段積みされた状態、及び該中間用ケースパーツ同士が段積みされた状態、及び該中間用ケースパーツ上に該最上段用ケースパーツが段積みされた状態において、前記液体用フィルタにより濾過された液体が外部に排水される排水用開口を形成する排水用切欠きが形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかのフィルタケース。
【請求項4】
前記最下段用ケースパーツの上面と、前記中間用ケースパーツの下面及び上面と、前記最上段用ケースパーツの下面とには、それぞれが段積みされた状態を保持する一方の位置決め部と、この一方の位置決め部に係合する他方の位置決め部とが相対的に形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかのフィルタケース。
【請求項5】
前記一方の位置決め部と他方の位置決め部とは、平面視においてコ字状又は無端状となされた凸条又はこの凹溝であり、上記凸条又は凹溝である一方の位置決め部と上記凹溝又は凸条である他方の位置決め部が、互いに係合してなることを特徴とする請求項4記載のフィルタケース。
【請求項6】
前記最下段用ケースパーツの上面には、前記一方の位置決め部としての最下段側の一方の位置決め部と、前記他方の位置決め部としての最下段側の他方の位置決め部との両方が形成され、
前記最上段用ケースパーツの下面には、前記一方の位置決め部としての最上段側の一方の位置決め部と、前記他方の位置決め部としての最上段側の他方の位置決め部との両方が形成され、
前記中間用ケースパーツの下面には、上記最下段側の一方の位置決め部に係合する中間側の他方の位置決め部が前記他方の位置決め部として形成されているとともに、上記最下段側の他方の位置決め部に係合する中間側の一方の位置決め部が前記一方の位置決め部として形成され、
該中間用ケースパーツの上面には、上記最上段側の一方の位置決め部に係合する中間側の他方の位置決め部が前記他方の位置決め部として形成されているとともに、上記最上段側の他方の位置決め部に係合する中間側の一方の位置決め部が前記一方の位置決め部として形成されてなることを特徴とする請求項4記載のフィルタケース。
【請求項7】
前記一方の位置決め部は、前記最下段用ケースパーツの上面と前記各中間用ケースパーツの上面とにそれぞれ複数形成され、
前記他方の位置決め部は、上記それぞれの中間用ケースパーツの各下面と前記最上段用ケースパーツの下面とにそれぞれ複数形成され、
上記それぞれの中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部と一方の位置決め部とは、上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対して係合する状態から該中間用ケースパーツを水平面上で所定角度回転させた後においても、該中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部と一方の位置決め部とは、上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対してそれぞれ係合する位置に形成されてなることを特徴とする請求項4記載のフィルタケース。
【請求項8】
前記一方の位置決め部は、前記最下段用ケースパーツの上面と前記各中間用ケースパーツの上面とにそれぞれ複数形成され、
前記他方の位置決め部は、上記それぞれの中間用ケースパーツの各下面と前記最上段用ケースパーツの下面とにそれぞれ複数形成され、
上記それぞれの中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部と一方の位置決め部とは、上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対して係合する状態から該中間用ケースパーツを水平面上で180度回転させた後及び該中間用ケースパーツを上下反転させた後においても、該中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部や一方の位置決め部が上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対してそれぞれ係合する位置に形成されてなることを特徴とする請求項4記載のフィルタケース。
【請求項9】
内部に液体用フィルタが収容されるフィルタ収容空間が形成されたフィルタケースを組み立てる際に使用されるフィルタケース組立セットであって、
最下段に配置される最下段用ケースパーツと、
最上段に配置される最上段用ケースパーツと、
上記最下段用ケースパーツと上記最上段用ケースパーツとの間にそれぞれ段積みされる任意の数が選択される複数の中間用ケースパーツと、を含んでなることを特徴とするフィルタケース組立セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、オイル等の液体に含まれたスラッジ等の異物を濾過するフィルタ(フィルタエレメント、濾材)が内部に収容されるフィルタケース又はフィルタケース組立セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、放電加工機のように金属材料を切削加工する工作機械や、金属材料を研磨加工する工作機械では、切削時における冷却性、潤滑性、防錆性又は切子付着防止性等を高めることを目的に、刃物に切削油(クーラント液又は加工液。以下、これらをクーラント液と言う。)が放出される。そして、こうしたクーラント液は、上記刃物等に放出された後に、所定の液体用フィルタにより濾過され、該液体用フィルタによって金属加工の結果生じたスラッジ等の異物を除去し、再び上記刃物等に供給されるように循環されて繰り返し使用される場合が多い。特に、金属材料を微細加工する場合には、使用されるクーラント液にスラッジ等の異物が混入している場合には、加工機等を傷めるばかりか、高精度な加工を阻害する危険性もある。こうした背景から、金属加工の技術分野では、濾過効率が高いフィルタが求められるとともに、濾過可能時間が短い場合には、早期に交換する必要性が生じることから、フィルタとしての使用可能な時間も長時間化される機能を備えたものが市場ニーズとしては強い。
【0003】
そこで、本願出願人は、これまで略長方形状に成形された濾紙を、所定箇所にて山折り及び谷折りに折曲し、中央に上記クーラント液が流入する新規な液体用フィルタを提案した(特許文献1,2参照)。この特許文献1に開示された液体用フィルタは、上述した濾紙の折曲により、複数の内側頂部や外側頂部を形成することにより、濾過される部位に偏りがなく全体で万遍なく濾過されるようにしたものであり、また、上記特許文献2に開示された液体フィルタは、所定箇所にスペーサを配置し、このスペーサにより濾過される部位に偏りがなく全体で万遍なく濾過されるようにしたものである。
【0004】
そして、こうした種々の液体用フィルタは、上記特許文献1,2に開示された液体用フィルタケースに収容されており、このフィルタケースは、外形形状が略直方体状に成形されたものであって、該液体用フィルタケースを構成する4つの側板には、該液体用フィルタによって濾過された液体(クーラント液)が外部に流出する多数の透孔又は排水用開口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-063743号
【特許文献2】特開2021-159819号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した工作機械に対して、上記フィルタケース内に収容した液体用フィルタが該工作機械の付属品として使用される場合、例えば放電加工機にその付属品として配置され又は組み込まれて使用される場合、該放電加工機の大きさ、処理能力、配置可能な位置又はスペース等のような放電加工機(工作機械)自体の属性に関係する条件は勿論、該放電加工機(工作機械)の使用頻度等のような使用者の属性に関係する条件もまた区々である。そこで、こうした放電加工機(工作機械)自体の属性及び該放電加工機(工作機械)の使用者の属性に毎に、フィルタケースを製造し、提供することも考えられる。
【0007】
しかしながら、このように上記属性毎に対応したフィルタケースを製造し、その中に液体用フィルタを収納するとすれば、膨大な製品アイテム数となり個々のフィルタケースの製造コストだけを見ても膨大なものとならざるを得ず、また製造時や販売時或いはメンテナンス時における管理・運用にも多大な労力が必要となる。
【0008】
そこで、本発明は、上述した従来のフィルタケースやこのフィルタケースを備えた液体濾過装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、工作機械の属性や使用者の属性に応じて、少なくともフィルタケースの全長を適宜短くすることができ、ひいては、製造時や販売時或いはメンテナンス時における管理・運用も容易となる新規なフィルタケース等を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、フィルタケースに係るものであって、高さ方向に伸縮可能とされてなるか、又は複数の小型フィルタが段積みされてなる液体用フィルタが内部に収容されるフィルタ収容空間が形成されたフィルタケースであって、最下段に配置される最下段用ケースパーツと、最上段に配置される最上段用ケースパーツと、上記最下段用ケースパーツと上記最上段用ケースパーツとの間に段積みされてなる複数の中間用ケースパーツと、を備え、上記それぞれの中間用ケースパーツは、何れも同一形状に成形されてなることを特徴とするものである。
【0010】
この第1の発明に係るフィルタケースでは、上記中間用ケースパーツは、何れも同一形状に成形されてなることから、例えば、該中間用ケースパーツが6段段積みされている状態から、1つ又は2つの中間用ケースパーツを取り除き、全体の高さ(全長)を短いものとした場合であってもフィルタケースとして成立する。なお、この発明では、上記フィルタ収容空間内に収容される液体用フィルタは、高さ方向に伸縮可能とされてなるか、又は複数の小型フィルタが段積みされてなるものであるから、1つ又は2つの中間用ケースパーツを取り除いた場合であっても、上記液体用フィルタを縮小することにより、又は段積みされた複数の小型フィルタの一部を取り除くことにより、このフィルタケース内に所定高さの液体用フィルタを収容することができる。
【0011】
なお、このフィルタケースの構成要素である最下段用ケースパーツ、中間用ケースパーツ及び最上段用ケースパーツは、樹脂を素材とすることが望ましいが、アルミニウムや鉄その他の金属材料からなるものであっても良い。また、このフィルタケース全体の外形形状は、少なくとも内部に上記液体用フィルタが収容されるフィルタ収容空間が形成されたものであれば、略直方体状又は略立方体状とされたものばかりではなく、円柱状に成形されたものであっても良い。フィルタケース全体の外形形状が直方体状に成形されてなる場合には、上記最下段用フィルタケース、中間用フィルタケース及び最上段用ケースパーツの平面形状は、それぞれ略長方形状の枠体としての外観を呈し、また、フィルタケース全体の外形形状が略立方体状に成形されてなる場合には、上記最下段用フィルタケース、中間用フィルタケース及び最上段用ケースパーツの平面形状は、それぞれ略正方形状の枠体としての外観を呈し、また、フィルタケース全体の外形形状が円柱状に成形されてなる場合には、上記最下段用フィルタケース、中間用フィルタケース及び最上段用ケースパーツの平面形状は、それぞれ円形状の枠体としての外観を呈したものとなる。
【0012】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記最上段用ケースパーツと前記最下段用ケースパーツとは、何れも同一形状に成形されてなることを特徴とするものである。
【0013】
この第2の発明に係るフィルタケースでは、最上段用ケースパーツと前記最下段用ケースパーツとは、何れも同一形状に成形されてなることから、上記最上段用ケースパーツと最下段用ケースパーツとし、また上記最下段用ケースパーツを最上段用ケースパーツとして使用することができる。すなわち、この第2の発明に係るフィルタケースによれば、必ず最上段用ケースパーツを最上段に配置し、また最下段用ケースパーツを必ず最下段に配置する必要はなく、どちらを最下段又は最上段に配置しても良いし、また、上記中間用パーツもそれぞれ同一形状からなることを併せれば、複数の中間用ケースパーツであれば、どの中間用ケースパーツをどの位置に段積みしても良い。したがって、このフィルタケースによれば、フィルタケースとして上記各パーツ段積みする際、或いは液体用濾過装置として完成させる際における労力を大幅に軽減することができるとともに、組立時間の短縮化に大きく貢献することができる。
【0014】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記中間用ケースパーツ自体には前記液体用フィルタにより濾過された液体が外部に排出される排水用開口が形成されてなるか、又は、該中間用ケースパーツと前記最下段用ケースパーツと前記最上段用ケースパーツとのそれぞれには、該最下段用ケースパーツ上に中間用ケースパーツが段積みされた状態、及び該中間用ケースパーツ同士が段積みされた状態、及び該中間用ケースパーツ上に該最上段用ケースパーツが段積みされた状態において、前記液体用フィルタにより濾過された液体が外部に排水される排水用開口を形成する排水用切欠きが形成されてなることを特徴とするものである。
【0015】
この第3の発明に係るフィルタケースでは、前記中間用ケースパーツ等に対して、液体用フィルタにより濾過された液体が排水される排水用開口の位置を特定したものであり、以下に分けて記載した二つの態様を含む。前者は、前記中間用ケースパーツ自体に前記液体用フィルタにより濾過された液体が外部に排出される排水用開口が形成されてなるものである。また、後者は、上記中間用ケースパーツと前記最下段用ケースパーツと前記最上段用ケースパーツとのそれぞれには、該最下段用ケースパーツ上に中間用ケースパーツが段積みされた状態、及び該中間用ケースパーツ同士が段積みされた状態、及び該中間用ケースパーツ上に該最上段用ケースパーツが段積みされた状態において、前記液体用フィルタにより濾過された液体が外部に排水される排水用開口を形成する排水用切欠きが形成されたものである。前者の態様で排水用開口が形成されている場合であって素材が樹脂である場合には、一旦成形された後の工程において、切削又は穴開け加工することにより、上記排水用開口が形成される。これに対して後者の態様に係る場合であって素材が樹脂であり射出成型機を用いて成形する場合には、上記後工程が不要となり、一度の成形工程により上記切欠きも他の部位と同時に成形することができる。したがって、後者の態様からなるフィルタケースによれば、上記最下段用ケースパーツ、中間用ケースパーツ及び最上用ケースパーツをそれぞれ相当短時間に成形・製造することが可能となる。
【0016】
なお、上記排水用開口の数(上記上下の切欠きにより形成される排水用開口も含めてその数)は、フィルタケース全体の外形形状が略直方体状又は略立方体状とされたものにあっては、各辺に一つ又は複数形成されていれば良く、また、フィルタケース全体の形状が円柱状に成形されたものであっては、その周回り方向に複数形成されていれば良い。
【0017】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記最下段用ケースパーツの上面と、前記中間用ケースパーツの下面及び上面と、前記最上段用ケースパーツの下面とには、それぞれが段積みされた状態を保持する一方の位置決め部と、この一方の位置決め部に係合する他方の位置決め部とが相対的に形成されてなることを特徴とするものである。
【0018】
この第4の発明に係るフィルタケースでは、前記最下段用ケースパーツと前記中間用ケースパーツと前記最上段用ケースパーツには、それぞれが段積みされた状態を保持する一方の位置決め部と該一方の位置決め部に係合する他方の位置決め部とがそれぞれ相対的に形成されていることから、それぞれが段積みされた状態を保持することができる。特に、内部に収容された液体用フィルタ内に濾過すべき液体が流入し、該液体用フィルタの内圧が大きく高まって該液体用フィルタが外側に膨張し、この結果上記最下段用ケースパーツ、中間用ケースパーツ又は最上段用ケースパーツの何れかにこの内圧が作用した場合であっても、それぞれが段積みされた状態を保持することができる。
【0019】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第4の発明において、前記一方の位置決め部と他方の位置決め部とは、平面視においてコ字状又は無端状となされた凸条又はこの凹溝であり、上記凸条又は凹溝である一方の位置決め部と上記凹溝又は凸条である他方の位置決め部が、互いに係合してなることを特徴とするものである。
【0020】
この第5の発明に係るフィルタケースでは、前記一方の位置決め部と他方の位置決め部とは、平面視においてコ字状又は無端状となされた凸条又はこの凹溝である。例えば、上記一方の位置決め部が平面視においてコ字状又は無端状となされた凸条である場合には、上記他方の位置決め部は、平面視において凹溝であり、上記凸条である一方の位置決め部と上記凹溝である他方の位置決め部とが互いに係合している。したがって、こうした構成に係る第5の発明によれば、該液体用フィルタケース内に収容されたフィルタの内圧が高まり、この圧力がこのフィルタケースを構成する上記最下段側ケースパーツ、中間用ケースパーツ又は上段側ケースパーツに作用した場合であっても、より一層これらの段積み状態を保持することができる。
【0021】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第4の発明において、前記最下段用ケースパーツの上面には、前記一方の位置決め部としての最下段側の一方の位置決め部と、前記他方の位置決め部としての最下段側の他方の位置決め部との両方が形成され、前記最上段用ケースパーツの下面には、前記一方の位置決め部としての最上段側の一方の位置決め部と、前記他方の位置決め部としての最上段側の他方の位置決め部との両方が形成され、前記中間用ケースパーツの下面には、上記最下段側の一方の位置決め部に係合する中間側の他方の位置決め部が前記他方の位置決め部として形成されているとともに、上記最下段側の他方の位置決め部に係合する中間側の一方の位置決め部が前記一方の位置決め部として形成され、該中間用ケースパーツの上面には、上記最上段側の一方の位置決め部に係合する中間側の他方の位置決め部が前記他方の位置決め部として形成されているとともに、上記最上段側の他方の位置決め部に係合する中間側の一方の位置決め部が前記一方の位置決め部として形成されてなることを特徴とするものである。
【0022】
この第6の発明に係るフィルタケースでは、上記前記最下段用ケースパーツの上面には、最下段側の一方の位置決め部と、最下段側の他方の位置決め部との双方が形成されている。上記最下段側の一方の位置決め部は、上記一方の位置決め部として形成されたものであり、上記最下段側の他方の位置決め部は、上記他方の位置決め部として形成されたものである。また、前記最上段用ケースパーツの下面には、最上段側の一方の位置決め部と、最上段側の他方の位置決め部とが形成されている。上記最上段側の一方の位置決め部は、上記一方の位置決め部として形成されたものであり、最上段側の他方の位置決め部は、上記他方の位置決め部として形成されたものである。また、前記それぞれの中間用ケースパーツの下面には、上記最下段側の一方の位置決め部に係合する中間側の他方の位置決め部と、上記最下段側の他方の位置決め部に係合する中間側の一方の位置決め部とが形成されている。上記中間側の他方の位置決め部は、上記他方の位置決め部であり、上記中間側の一方の位置決め部は上記一方の位置決め部である。また、前記それぞれの中間用ケースパーツの上面には、上記最上段側の一方の位置決め部に係合する中間側の他方の位置決め部と、上記最上段側の他方の位置決め部に係合する中間側の一方の位置決め部とが形成されている。上記中間側の他方の位置決め部は、上記他方の位置決め部であり、上記中間側の一方の位置決め部は、一方の位置決め部である。すなわち、この第6の発明では、各ケースパーツには、それぞれの上面又は下面若しくは上下両面に、上記一方の位置決め部と他方の位置決め部との双方が形成されている。したがって、より一層上記このフィルタケースの強度を高め、上記内圧にも十分に耐えることができるものとすることができる。
【0023】
また、第7の発明(請求項7記載の発明)は、上記第4の発明において、前記一方の位置決め部は、前記最下段用ケースパーツの上面と前記各中間用ケースパーツの上面とにそれぞれ複数形成され、前記他方の位置決め部は、上記それぞれの中間用ケースパーツの各下面と前記最上段用ケースパーツの下面とにそれぞれ複数形成され、上記それぞれの中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部と一方の位置決め部とは、上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対して係合する状態から該中間用ケースパーツを水平面上で所定角度回転させた後においても、該中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部と一方の位置決め部とは、上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対してそれぞれ係合する位置に形成されてなることを特徴とするものである。
【0024】
この第7の発明に係るフィルタケースでは、上記各中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部や一方の位置決め部は、上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対して係合する状態を起点として、その状態から該中間用ケースパーツを水平面上で所定角度回転させた後においても、回転する前の上記起点の状態と同じように、該中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部や一方の位置決め部が上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対してそれぞれ係合する位置に形成されている。したがって、上記最下段用ケースパーツ上に上記中間用ケースパーツを段積みする作業、特定の中間用ケースパーツ上に中間用ケースパーツを段積みする作業、そして、最上段に段積みされた中間用ケースパーツ上に上記最上段用ケースパーツを段積みする作業も含めてそれぞれ容易な作業となる。
【0025】
また、第8の発明(請求項8記載の発明)は、上記第4の発明において、前記一方の位置決め部は、前記最下段用ケースパーツの上面と前記各中間用ケースパーツの上面とにそれぞれ複数形成され、前記他方の位置決め部は、上記それぞれの中間用ケースパーツの各下面と前記最上段用ケースパーツの下面とにそれぞれ複数形成され、上記それぞれの中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部と一方の位置決め部とは、上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対して係合する状態から該中間用ケースパーツを水平面上で180度回転させた後及び該中間用ケースパーツを上下反転させた後においても、該中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部や一方の位置決め部が上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対してそれぞれ係合する位置に形成されてなることを特徴とするものである。
【0026】
この第8の発明に係るフィルタケースを上記第7の発明との相違点を主に説明すると、該第8の発明では、前記最下段用ケースパーツと前記中間用ケースパーツと前記最上段用ケースパーツとの外形形状が平面視において略方形状に成形されている。したがって、上記第7の発明では、前記最下段用ケースパーツと前記中間用ケースパーツと前記最上段用ケースパーツとの外形形状が平面視において、(この第8の発明のように)略方形状に成形されているもの以外に、例えば円形状に成形されているものも含まれるが、この第8の発明では、略方形状に成形されたものに限定される。したがって、この第8の発明では、前記最下段用ケースパーツと前記中間用ケースパーツと前記最上段用ケースパーツとの外形形状が平面視において略長方形状に成形されているものと、正方形状に成形されているものを含む。また、この第8の発明では、各中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部や一方の位置決め部は、上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対して係合する状態から該中間用ケースパーツを水平面上で180度回転させた後においても、該中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部や一方の位置決め部が上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対してそれぞれ係合する位置に形成されているばかりではなく、該中間用ケースパーツを上下反転させた後においても、該中間用ケースパーツに形成された他方の位置決め部や一方の位置決め部が上記最下段用ケースパーツに形成された一方の位置決め部や上記最上段用ケースパーツに形成された他方の位置決め部に対してそれぞれ係合する位置に形成されている。
【0027】
したがって、この第8の発明に係るフィルタケースによれば、上記最下段用ケースパーツ上に上記中間用ケースパーツを段積みする作業や、特定の中間用ケースパーツ上に中間用ケースパーツを段積みする作業は、該中間用ケースパーツを水平面上で180度回転させても、上下反転させても、必ず上記一方の位置決め部と他方の位置決め部とが必ず互いに係合した状態とすることができ、より一層このフィルタケースの段積み作業を容易なものとすることができる。
【0028】
また、第9の発明(請求項7記載の発明)は、内部に液体用フィルタが収容されるフィルタ収容空間が形成されたフィルタケースを組み立てる際に使用されるフィルタケース組立セットであって、最下段に配置される最下段用ケースパーツと、最上段に配置される最上段用ケースパーツと、上記最下段用ケースパーツと上記最上段用ケースパーツとの間にそれぞれ段積みされる任意の数が選択される複数の中間用ケースパーツと、を含んでなることを特徴とするものである。
【0029】
上記第9の発明に係るフィルタケース組立セットによる場合であっても、上記第1の発明に係るフィルタケースと同じ作用効果を奏するばかりではなく、上記中間用ケースパーツの段積み数を増加させることにより、より長尺なフィルタケースを組み立てることが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るフィルタケースによれば、工作機械の属性や使用者の属性に応じて、少なくともフィルタケースの全長を適宜短くすることができ、ひいては、製造時や販売時或いはメンテナンス時における管理・運用も容易なものとすることができる。また、本発明に係るフィルタケース組立セットによれば、段積みすべき上記中間用ケースパーツの数を任意な数とすることができることから、少ない部品点数の中で、より一層工作機械の属性や使用者の属性に応じたフィルタケースを組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施の形態に係るフィルタの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すフィルタケースの分解斜視図である。
【
図3】最下段用ケースパーツを底面側から示す斜視図である。
【
図4】最下段用ケースパーツを平面側から示す斜視図である。
【
図5】最下段用ケースパーツの下側ボックス部を拡大して示す斜視図である。
【
図6】最下段用ケースパーツの下側角部ボックス部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】最下段用ケースパーツの下側ボックス部を拡大して示す斜視図である。
【
図12】複数の保持金具によりフィルタケースが保持された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係るフィルタケースを、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
図1又は
図2に示すように、この実施の形態に係るフィルタケース1は、最下段に配置された最下段用ケースパーツ2と、最上段に配置される最上段用ケースパーツ3と、上記最下段用ケースパーツ2と上記最上段用ケースパーツ3との間に段積みされてなる複数(4つ)の中間用ケースパーツ4と、上記最下段用ケースパーツ2の底面に配置された下面プレート5と、上記最上段用ケースパーツ3の上面に配置された上面プレート6と、これら下段用ケースパーツ2、最上段用ケースパーツ3、複数(4つ)の中間用ケースパーツ4、下面プレート5及び上面プレート6を一体化する8本の長尺ボルト7及びこれらの長尺ボルト7の上端側に螺着される8つのナット8と、を備えたものである。なお、本実施の形態に係るフィルタケース1では、上記最下段用ケースパーツ2、最上段用ケースパーツ3及び複数(4つ)の中間用ケースパーツ4は、それぞれ樹脂(POM樹脂)により一体成型されてなるものであり、上記下面プレート5と上面プレート6は、それぞれステンレススチールを素材としたものである。
【0034】
また、上記最下段用ケースパーツ2、最上段用ケースパーツ3、複数(4つ)の中間用ケースパーツ4は、
図1又は
図2に示すように、内側には後述する液体用フィルタ100が収容される収容空間(符号は省略する。)が形成された枠体である。また、上記最下段用ケースパーツ2、最上段用ケースパーツ3、複数(4つ)の中間用ケースパーツ4のそれぞれの外形形状は、略正方形状に成形されてなるものであり、外周に形成されたそれぞれ4つの面(正面、背面、左側面及び右側面)及び各角部に形成された円弧状の曲面は、それぞれ鉛直方向に亘って全て面一とされ、また、これらの内側面も外側面と同じように鉛直方向に亘って全て面一とされている。また、上記最下段用ケースパーツ2と上記最上段用ケースパーツ3とは、互いに同一の形状に成形されている。そこで以下、上記最下段用ケースパーツ2及び中間用ケースパーツ4について、それぞれ詳細に説明する。
【0035】
上記最下段用ケースパーツ2(最上段用ケースパーツ3)には、
図3に示すように、下面がこの最下段用ケースパーツ2全体の底面とされた底板部21と、この底板部21の内周端から起立してなるとともに該最下段用ケースパーツ2の内側を囲む内周垂直板部22と、上記底板部21の外周端から起立してなるとともに上記内周垂直板部22の外側面と対向してなる外周垂直板部23と、を備えている。また、この最下段用ケースパーツ2の各角部(符号は省略する。)の外周は、上記外周垂直板部23の一部であって、それぞれ円弧状に湾曲した外側湾曲面23aとなされ、また、該最下段用ケースパーツ2の各角部(符号は省略する。)の内周は、上記内周垂直板部22の一部であって、それぞれ円弧状に湾曲した内側湾曲面22aとされている。また、
図3に示すように、この最下段用ケースパーツ2の下面であって4つの角部と、それぞれの角部と角部との間には、上記長尺ボルト7がそれぞれ挿通される挿通穴21aが(計8つ)形成されている。
【0036】
また、上記内周垂直板部22と外周垂直板部23とには、該内周垂直板部22と外周垂直板部23との上端から下方の中途部に向かって切り欠かれた最下段側切欠き部22b,23bが、平面視において略正方形状に成形されたこの最下段用ケースパーツ2の各辺に2つずつ計8つ形成されている。これら最下段側切欠き部22b,23bであって、特定の辺に2つ形成されたそれぞれの最下段側切欠き部22b,23bの位置は、該特定の辺の中央を挟んで左右両側とされている。なお、上記最下段側切欠き部22b,23bは、最上段用ケースパーツ3では、最上段側切欠き部32b,33bである。そして、上記各辺に形成された最下段側切欠き部22b,23bと最下段側切欠き部22b,23bとの間には、それぞれ上方が開放された直方体状の下側ボックス部25が形成されている。これらの下側ボックス部25は、
図5に示すように、外側は上記外周垂直板部23の一部からなり、内側は上記内周垂直板部22の一部からなる。また、この下側ボックス部25は、一側が上記外周垂直板部23の内側と連続し、他側は上記内周垂直板部22の外周と連続してなり、それぞれ互いに対向してなる一方及び他方の対向板部25a,25bを有し、これら一方及び他方の対向板部25a,25bと、上記外周垂直板部23の一部及び内周垂直板部22の一部と、上記底板部21とにより有底のボックス状に成形されたものである。そして、上記各下側ボックス部25の中央には、それぞれ上記各挿通穴2dに連通してなる円筒状ボルト挿通部26が形成されている。なお、上記各下側ボックス部25内には、円筒状ボルト挿通部26を補強する第1及び第2の長尺リブ26a,26bと、第1及び第2の短尺リブ26c,26dがそれぞれ形成されている。上記第1の長尺リブ26aは、一側が上記一方の対向板部25aの内側面に連続し、他側は上記円筒状ボルト挿通部26の外周面に連続している。また、上記第2の長尺リブ26bは、一側が上記他方の対向板部25bの内側面に連続し、他側は上記円筒状ボルト挿通部26の外周面に連続している。また、上記第1の短尺リブ26cは、一側が上記内周垂直板部22の内周面(内側面)に連続し、他側は上記円筒状ボルト挿通部26の外周面に連続している。また、上記第2の短尺リブ26dは、一側が上記外周起立部23の内周面(内側面)に連続し、他側は上記円筒状ボルト挿通部26の外周面に連続している。
【0037】
また、最下段側切欠き部22b,23b同士の間であって、上記角部に対応する位置には、それぞれ下側角ボックス部28が形成されている。これら各下側角ボックス部28は該最下段用ケースパーツ2の角部の数に対応して計4つ形成されており、全体形状が平面視において略L字状とされている。また、これらの下側角ボックス部28は、
図6に示すように、外側が上記外周垂直板部23の一部からなり、内側は上記内周垂直板部22の一部からなる。また、これらの下側角ボックス部28は、一側が上記外周垂直板部23の内側と連続し、他側は上記内周垂直板部22の外周と連続してなり、前記一方の対向板部25a又は他方の対向板部25bに所定間隔を隔てて対向してなる一方及び他方の対向板部28a,28bとを有し、これら一方及び他方の対向板部28a,28bと、上記外周垂直板部23の一部及び内周垂直板部22の一部と、上記底板部21とにより有底で上方が開放されたボックス状に成形されたものである。また、上記各下側角ボックス部28の中央である上記各角部には、それぞれ上記各挿通穴2dに連通してなる角部側円筒状ボルト挿通部29が形成されている。なお、上記各下側角ボックス部28内には、上記角部側円筒状ボルト挿通部29を補強する第1及び第2の長尺リブ29a,29bと、第1及び第2の短尺リブ29c,29dがそれぞれ形成されている。上記第1の長尺リブ29aは、一側が上記一方の対向板部28aの内側面に連続し、他側は上記円筒状ボルト挿通部29の外周面に連続している。また、上記第2の長尺リブ29bは、一側が上記他方の対向板部28bの内側面に連続し、他側は上記角部側円筒状ボルト挿通部29の外周面に連続している。また、上記第1の短尺リブ29cは、一側が上記外周垂直板部23の内周面(内側面)に連続し、他側は上記角部側円筒状ボルト挿通部29の外周面に連続している。また、上記第2の短尺リブ29dは、一側が上記内周起立部22の内周面(内側面)に連続し、他側は上記角部側円筒状ボルト挿通部29の外周面に連続している。
【0038】
また、この最下段用ケースパーツ2では、上記4つの下側ボックス部25の上端のそれぞれに、後述する凸条と凹溝とが並んで形成されており、また、上記4つの下側角ボックス部28の内で2つの下側角ボックス部28の上端には、後述する凸条が形成され、他の2つの下側角ボックス部30の上端には、後述する凹溝が形成されている。そこで、以下では、上記4つの下側ボックス部25の内で、
図4に示す最下段用ケースパーツ2の正面側に位置する下側ボックス部25を下側ボックス部25(A)とし、背面側に位置する下側ボックス部25を下側ボックス部25(B)とし、左側面側に位置する下側ボックス部25を下側ボックス部25(C)とし、右側面側に位置する下側ボックス部25を下側ボックス部25(D)とそれぞれ表記して、また、上記下側ボックス部25(A)の左側に位置する下側角ボックス部28を下側角ボックス部28(A)とし、該下側ボックス部25(A)の右側に位置する下側角ボックス部28を下側角ボックス部28(B)とし、上記下側ボックス部25(B)の左側に位置する下側角ボックス部28を下側角ボックス部28(C)とし、上記下側ボックス部25(B)の右側に位置する下側角ボックス部28を下側角ボックス部28(D)とそれぞれ表記して、上記凸条及び凹溝の形成位置を説明する。
【0039】
先ず、上記下側ボックス部25(A)の上面の左側には、
図5に示すように、平面視においてコ字状に成形された凸条11が形成され、該下側ボックス部25Aの上面の右側には平面視においてコ字状に成形された凹溝12が形成されている。すなわち、上記下側ボックス部25Aの上面には、上記凸条11と凹溝12とが隣り合った状態で成形されている。上記凸条11は、本発明を構成する一方の位置決め部又は最下段側の一方の位置決め部であり、上記凹溝12は、本発明を構成する他方の位置決め部又は最下段側の他方の位置決め部である。また、上記凸条11は、上記外周垂直板部23の上面と上記内周垂直板部22の上面と上記一方の対向板部25aの上面とから起立してなるものであり、上記凹溝12は、該外周垂直板部23の上面と上記内周垂直板部22の上面と上記他方の対向板部25bの上面から下方に窪んでなるものである。なお、上記凸条11の高さと上記凹溝12の深さは、互い同一とされている。また、上記下側ボックス部25(C)の上面の正面側には、
図5に示すように、平面視においてコ字状に成形された凸条13が形成され、該下側ボックス部25(C)の上面の背面側には平面視においてコ字状に成形された凹溝14が形成されている。すなわち、上記下側ボックス部25(C)の上面には、上記凸条13と凹溝14とが隣り合った状態で成形されている。上記凸条13は、本発明を構成する一方の位置決め部又は最下段側の一方の位置決め部であり、上記凹溝14は、本発明を構成する他方の位置決め部又は最下段側の他方の位置決め部である。また、上記凸条13は、上記外周垂直板部23の上面と上記内周垂直板部22の上面と上記他方の対向板部25bの上面とから起立してなるものであり、上記凹溝14は、該外周垂直板部23の上面と上記内周垂直板部22の上面と上記一方の対向板部25aの上面から下方に窪んでなるものである。なお、上記凸条11と凸条13の高さは同一であり、上記凹溝12と上記凹溝14との深さは同一とされているとともに、該凸条11と凸条13の高さと該凹溝12と上記凹溝14との深さは同一とされている
【0040】
そして、上記下側ボックス部25(B)は、
図5と
図7との比較からも分かるように、この最下段用ケースパーツ2を水平面上において180度回転させた際において、下側ボックス部25(A)が至る位置に配置されたものである。また、上記下側ボックス部25(D)は、この最下段用ケースパーツ2を水平面上において180度回転させた際において、下側ボックス部25(C)が至る位置に配置されたものである。すなわち、上記下側ボックス部25(A)と下側ボックス部25(B)とは、並びに上記下側ボックス部25(C)と下側ボックス部25(D)とは、それぞれ互いに点対称の位置に形成されている。したがって、上記下側ボックス部25(B)と下側ボックス部25(D)とに形成された凸条(符号は省略する。)と凹溝(符号は省略する。)とに関する詳細な説明は、それぞれ割愛する。
【0041】
次に、上記下側角ボックス部28(A)の上面には、
図6に示すように、平面視において該下側角ボックス部28(A)の形状と略同じ形状とされた無端状の凹溝16が形成されている。また、上記下側角ボックス部28(C)の上面には、該下側角ボックス部28(C)の形状に略同じ形状とされた無端状の凸条17が形成されている。上記無端状の凹溝16は、本発明を構成する他方の位置決め部又は最下段側の他方の位置決め部であり、上記無端状の凸条17は、本発明を構成する一方の位置決め部又は最下段側の一方の位置決め部である。なお、上記無端状の凹溝16の深さと上記無端状の凸条17の深さは、互い同一とされている。
【0042】
そして、上記下側角ボックス部28(C)は、この最下段用ケースパーツ2を水平面上において180度回転させた際において、下側角ボックス部28(B)が至る位置に配置されたものである。また、上記下側角ボックス部28(D)は、この最下段用ケースパーツ2を水平面上において180度回転させた際において、下側角ボックス部28(A)が至る位置に配置されたものである。すなわち、上記下側角ボックス部28(A)と下側角ボックス部28(D)とは、並びに上記下側角ボックス部28(B)と下側角ボックス部28(C)とは、それぞれ互いに点対称の位置に形成されている。したがって、上記下側角ボックス部28(C)と下側ボックス部28(D)とに形成された凸条(符号は省略する。)と凹溝(符号は省略する。)とに関する詳細な説明は、それぞれ割愛する。
【0043】
なお、上記最上段用ケースパーツ3は、先に記載したように、上記詳細に説明した最下段用ケースパーツ2が上下反転されて段積みされるものであって、該最下段用ケースパーツ3は上記最上段用ケースパーツ3と同一の構成からなることから、詳細な説明は割愛する。
【0044】
次に、上記中間用ケースパーツ4について、
図1又は
図2を参照しながら詳細に説明する。この中間用ケースパーツ4は、
図1に示すように、本実施の形態に係るフィルタケース1では、4つが上下に段積みされている。また、この中間用ケースパーツ4は、先に説明したように、前記下段用ケースパーツ2や最上段用ケースパーツ3と同様に、その外形形状は、平面視において略正方形状に成形されてなるものである。したがって、例えば
図8に示す状態から該中間用ケースパーツ4の中央を中心に180度回転させた状態における外形形状は同一である。また、この中間用ケースパーツ4は、
図8に示す状態から上下反転させた場合であっても、反転させる前の形状と同一である。但し、以下では、説明の都合上、
図8に示す正面、左側面、背面及び右側面の語を使用しながら、該中間用ケースパーツ4の構成を説明する。
【0045】
先ず、この中間用ケースパーツ4は、
図8に示すように、該中間用ケースパーツ4の内側を囲む内周垂直板部42と、この内周垂直板部42の外側面と対向してなる外周垂直板部43と、を備えている。また、この中間用ケースパーツ4の各角部(符号は省略する。)の外周は、上記外周垂直板部43の一部であって、それぞれ円弧状に湾曲した外側湾曲面43aとなされ、また、該中間用ケースパーツ4の各角部(符号は省略する。)の内周は、上記内周垂直板部42の一部であって、それぞれ円弧状に湾曲した内側湾曲面42aとされている。
【0046】
また、この中間用ケースパーツ4には、上記内周垂直板部42と外周垂直板部43との下方から上方の中途部に向かって切り欠かれた下部中間側切欠き部42b,42bが背面視において略正方形状に成形されたこの中間用ケースパーツ4の各辺に2つずつ計8つ形成されている。これらの下部中間側切欠き部42b,42bは、それぞれ上記最下段用ケースパーツ2に形成された最下段側切欠き部22b,23bと面対称とされた形状に成形されてなるものであり、該下部中間側切欠き部42b,42bと最下段側切欠き部22b,23bとにより、このフィルタケース1には、
図1に示すように、該フィルタケース1の内部に収容される液体用フィルタにより濾過された液体が外部に排水される排水用開口1aが形成されている。すなわち、これらの排水用開口1aは、上記最下段用ケースパーツ2上に上記中間用ケースパーツ4が段積みされることにより、該フィルタケース1の正面、左側面、背面及び右側面にそれぞれ2つずつの上記排水用開口1aとして現れる。
【0047】
また、この中間用ケースパーツ4には、上記内周垂直板部42と外周垂直板部43との上方から下方の中途部に向かって切り欠かれた上部中間側切欠き部42c,43cが平面視において略正方形状に成形されたこの中間用ケースパーツ4の各辺に2つずつ計8つ形成されている。これらの上部中間側切欠き部42c,43cは、それぞれ上記下部中間側切欠き部42b,43bと面対称に形成されてなるものである。また、この中間用ケースパーツ4の下側には、上記各辺に形成された下部中間側切欠き部42b,43bと下部中間側切欠き部42c,43cとの間には、それぞれ下方が開放された中間下側ボックス部45が形成されている。これらの中間下側ボックス部45は、後述する凸条54及び凹溝53を除いて、上記最下段用ケースパーツ2に形成された各下側ボックス部25と面対称に成形されている。また、これら中間下側ボックス部45内に形成された円筒状ボルト挿通部47及び第1及び第2の長尺リブ47a,47b並びに第1及び第2の短尺リブ47c,47dも、上記最下段用ケースパーツ2に形成された部位と面対称に成形されている。また、この中間用ケースパーツ4の下側には、上記角部に対応する位置にそれぞれ中間下側角ボックス部48、該中間下側角ボックス部48内に形成された角部側円筒状ボルト挿通部49、第1及び第2の長尺リブ49a,49b及び第1及び第2の短尺リブ49c,49dがそれぞれ形成されている。これらの中間下側角ボックス部48等は、後述する無端状の凸条54及び無端状の凹溝53を除いて、上記最下段用ケースパーツ2に形成された下側角ボックス部28、角部側円筒状ボルト挿通部29、第1及び第2の長尺リブ29a,29b、第1及び第2の短尺リブ29c,29dと面対称に成形されている。
【0048】
そして、この中間用ケースパーツ4を構成する上記中間下側ボックス部45の下面には、上記最下段用ケースパーツ2の下側ボックス部25の上面に形成された凸条13が挿入又は嵌入されるコ字状の凹溝53と、該凸条13に並んだ凹溝14内に挿入又は嵌入されるコ字状の凸条54が形成されている。また、上記4つの中間下側角ボックス部48の内で互いに対角線上に配置された2つの中間下側角ボックス部48の下面には、上記最下段用ケースパーツ2の下側角ボックス部28の上面に形成された無端状の凸条17内に挿入又は嵌入される無端状の凹溝57が形成され、また上記中間下側角ボックス部48の内で他の2つの中間下側角ボックス部48の下面には、上記無端状の凹溝16が挿入又は嵌入される無端状の凸条56が形成されている。なお、上記コ字状の凹溝53と無端状の凹溝56とは、本発明を構成する他方の位置決め部であり、上記コ字状の凸条54と無端状の凸条56とは、本発明を構成する一方の位置決め部である。
【0049】
なお、この中間用ケースパーツ4を構成する上記内周垂直板部42と外周垂直板部43との高さの半分の位置には、中間板部41が形成されている。この中間板部41は、一側が上記内周垂直板部42の内側面に連続し他側は上記外周垂直板部43の内側面に連続してなるものであって、該中間板部41には、
図9に示すように、該内周垂直板部42と外周垂直板部43との間に形成された溝状の空間から濾過された液体を下方に排出する円形状の透孔41aが複数形成されている。
【0050】
なお、この中間用ケースパーツ4に形成された上記中間板部41より上方の部位は、上記最下段用ケースパーツ2の上方の形状と同一の形状に成形されていることから、その詳細な説明は割愛する。そして、上述した構成からなる中間用ケースパーツ4が4つ段積みされ、最も上段に位置する中間用ケースパーツ4上には、先に説明したように、最上段用ケースパーツ3が段積みされているところ、この最上段用ケースパーツ3の下面の形状は、上記最下段用ケースパーツ2を上下反転した形状であるとともに、上記中間用ケースパーツ4を構成する上記中間板部41より下方の形状と同一であることから、先に記載したように該最上段用ケースパーツ3の詳細な説明は割愛する。
【0051】
また、冒頭に記載した下面プレート5は、
図10に示すように、前記最下段用ケースパーツ2の下面の形状と同一の形状に成形されたものであるとともに、該最下段用ケースパーツ2に形成された挿通穴21aの形成位置に対応した位置に、上記長尺ボルト7がそれぞれ挿通される挿通穴5aが(計8つ)形成されている。一方、上記上面プレート6は、
図11に示すように、上記下面プレート5と同一の外形形状に成形されており、それぞれ上記長尺ボルト7が挿通される挿通穴6aが(計8つ)形成されているが、該上面プレート6の中央には、液体用フィルタにより濾過される液体が流入し、又はこの液体を流入させる図示しない管体の内部と連通する液体流入穴6bが形成されている。また、上記それぞれ長尺ボルト7は、下端に頭部7aが形成された軸部7bと、この軸部7bの上端側周面に螺刻されたネジ部7cとから構成されている。そして、これらの長尺ボルト7は、上記軸部7bが上記下面プレート5に形成された挿通穴5a、上記最下段用ケースパーツ2に形成された挿通穴21a及び円筒状ボルト挿通部26又は角部側円筒状ボルト挿通部29、上記各中間用ケースパーツ4に形成された円筒状ボルト挿通部47又は角部側円筒状ボルト挿通部49、上記最上段側ケースパーツ3の上面に形成された挿通穴(符号は省略する。)及び上記上面プレート6に形成された挿通穴6aにそれぞれ挿通されるものである。そして、上記上面プレート6上に突出した各長尺ボルト7のネジ部7cに上記ナット8が螺着され、それぞれのナット8が螺進されることにより、このフィルタケース1全体は強固に一体化される。なお、上記8つの長尺ボルト7に形成されたネジ部7cの長さは、上記中間用ケースパーツ4が1つ又は複数取り除かれた上で組み立てる場合であっても、該長尺ボルト7と上記ナット8による締結作業が可能となる長さに亘って形成されている。そして、上述のようにフィルタケース1全体は強固に一体化されると、
図1に示すように、上記最下段用切欠き部22b,23bと下部中間側切欠き部42b,43bとにより、また、上部中間側切欠き部42c,43cと下部中間側切欠き部42b,43bとにより、また、上部中間側切欠き部42c,43cと最上段側ケースパーツ3とに形成された最上段側切欠き部32b,33bとにより、それぞれ排水用開口1aとされる。
【0052】
なお、こうした構成に係るフィルタケース1内には、内部に流入したクーラント液等の液体を濾過する液体用フィルタ100が収容される。この液体用フィルタ100は、
図2に示すように、全体の外形形状が直方体状に成形され、中央には液体が流入する流入空間100aが形成されている。したがって、液体は、この液体用フィルタ100に形成された流入空間内に流入した後に濾過され、濾過された液体は該液体用フィルタ100から外側に排出された後に、このフィルタケース1に形成された上記排水用開口1aから外部に排水される。
【0053】
したがって、上述した実施の形態に係るフィルタケース1によれば、上記4つの中間用ケースパーツ4は、全て同一の形状とされていることから、例えば放電加工機等の各種の工作機械の属性や使用頻度等の使用者の属性に応じて、これら4つの中間用ケースパーツ4の内で1つ又は2つを適宜取り除いて、
図1又は
図2に示すフィルタケース1よりも短い高さのフィルタケース1とすることができる。また、上記フィルタケース1では、上記最下段用ケースパーツ2、最上段用ケースパーツ3及び中間用ケースパーツ4のそれぞれの平面視における外形形状が略正方形状に成形されてなること、上記最下段用ケースパーツ2と最上段用ケースパーツ3とは、互いに同一の形状とされてなること、また、上記中間用ケースパーツ4は、平面上で180度回転させた後のみならず該中間用ケースパーツを上下反転させた後においても段積みすることができること等から、このフィルタケース1の組立作業は極めて迅速に行うことができる。そして、このことは同時に、一定の時間に亘って使用され、内部に収容された上記液体用フィルタ100を、該使用者又は保守作業者等が新たなものに交換する際、一旦分解した後に再び組み立てる場合においても極めて容易となる。特に、このフィルタケース1では、例えば、下段に段積みされた特定の中間用ケースパーツ4上に次の中間用ケースパーツ4を段積みする際、上記下側の中間用ケースパーツ4に形成されたコ字状の凹溝53と上側に形成されたコ字状の凸条54とが互いに対応しない状態で段積みされた場合、こうした誤った事態が作業者には容易に認識され、そうした誤った状態は、上側に段積みされる中間用ケースパーツ4を水平面上において90度回転させることにより簡単に解消することができる。したがって、このフィルタケース1によれば、上記中間用ケースパーツ4等の段積み作業は、不慣れな作業者であっても誤りなく且つ短時間に行うことを十分保証することができる。なお、このフィルタケース1内に収容される上記液体用フィルタ100は、高さ方向に収縮可能なものを使用するか、或いは上記中間用ケースパーツ4の高さに対応した高さのものを互いに上下連結したものを使用することが好ましい。こうした構造に係る液体用フィルタ100を使用することにより、適宜選択された所定の数の中間用ケースパーツ4に対応して、このフィルタケース1内に収容できる。
【0054】
なお、上記実施の形態に係るフィルタケース1は、全体形状が略直方体状に成形され、平面視においては略正方形状に成形されたものであることから、上記最下段用ケースパーツ2.最上段用ケースパーツ3及び各中間用ケースパーツ4の平面視における形状は略正方形状に成形されたものであるが、本発明では、フィルタケースの全体形状を円筒状に成形し、言うまでもなく、上記最下段用ケースパーツ、最上段用ケースパーツ及び各中間用ケースパーツの平面視における形状も円筒形状に成形し、これに伴って上記下面プレート及び上面プレートも円形状に成形し、内部には円筒状に成形された1つ又は複数の液体用フィルタが収容されたものであっても良い。また、上記実施の形態に係るフィルタケース1では、最下段用ケースパーツ2、最上段用ケースパーツ3及び中間用ケースパーツ4に、最下段側切欠き部22b,23bや下部中間側切欠き部42b,43b又は上部中間側切欠き部42c,32cを形成し、これらの切欠き部(符号は省略する。)が互いに共同して閉塞された上記排水用開口1aを形成したが、本発明を構成する排水用開口は、最下段用ケースパーツ2、最上段用ケースパーツ3及び中間用ケースパーツ4自体にそれぞれ閉塞された図示しない排水用開口が形成されたものであっても良い。
【0055】
また、上記実施の形態に係るフィルタケース1は、上記4つの中間用ケースパーツ4をその構成要素としたが、3つの中間用ケースパーツ4を使用し、又は6つの中間用ケースパーツ4を使用しても良い。さらに、上記フィルタケース1の構成要素である最下段用ケースパーツ2と最上段用ケースパーツ3とをそれぞれ1つ、上記中間用ケースパーツ4を例えば7つ又は8つ、そして、上記8つの長尺ボルト7及びナット8を1セットとした場合において、それぞれ選択される上記中間用ケースパーツ4の数に応じて長さが異なる8つの長尺ボルト7を複数セット、それぞれ上下に段積みして使用される7つ又は8つの液体用フィルタ100を、フィルタケース組立セットとして構成されてなるものであっても良い。こうしたフィルタケース組立セットは、図示しない包装材に収納されたものであっても良いし、組立作業現場に保有している場合であっても良い。
【0056】
こうしたフィルタケース組立セットによれば、上述した実施の形態に係るフィルタケース1のように、組み立てられたフィルタケース1を構成する中間用ケースパーツ4を取り除いて短い長さに変更したり、一旦短い長さに変更されたフィルタケース1に再び中間用ケースパーツ4を増加したりすることが可能であるばかりか、該フィルタケース組立セットに含められた中間用ケースパーツ4の数の範囲内において、任意の数の中間用ケースパーツ4を選択してそれぞれ段積みすることが可能となることから、より一層工作機械の属性や使用者の属性に応じたフィルタケース1として完成することができる。
【0057】
また、上記実施の形態に係るフィルタケース1では、言わば段積み状態を保持する段積み状態保持手段として、上記8つの長尺ボルト7と8つのナット8を用いたが、この段積み状態保持手段としては、上記最下段用ケースパーツ2と複数(4つ)の中間用ケースパーツ4と最上段用ケースパーツ3とが段積みされたフィルタケース1全体を、複数の図示しない無端状の伸縮ベルトを掛け渡し、これらの伸縮ベルトにより段積み状態を保持しても良い。上記8つの長尺ボルト7と8つのナット8に替えて、こうした複数の伸縮ベルトを段積み状態保持手段として使用することにより、上記1つ又は2つの中間用ケースパーツ4が取り除かれた場合であっても、該伸縮ベルトの伸縮作用により、フィルタケース1の高さの変更を吸収することができる。また、上記フィルタケース組立セットには、こうした複数の伸縮ベルトを含ませても良い。さらにまた、上記段積み状態保持手段としては、例えば
図12に示すように、一方及び他方の保持金具71,72とボルト73とナット74とからなるものから構成しても良い。なお、上記ボルト73は、
図13に示すように、外周にネジ(符号は省略する。)が螺刻された軸部73aと、この軸部73aの下端に形成された頭部73bとを備えている。そして、上記一方及び他方の保持金具71,72は、何れも同一形状に成形されたものであり、該一方の保持金具71は、下面が上記上面プレート6の上面に圧接される圧接板部71aと、この圧接板部71aの基端から垂下してなる垂下板部71bと、この垂下板部71bの下端から上記フィルタケース1から離間する方向に突出してなる水平板部71cとからなり、側面形状全体はクランク状に成形されている。そして、上記水平板部71cの中央には、上記ボルト73の軸部73aが挿通される挿通穴71dが穿設されている。また、上記他方の保持金具72は、上面が上記下面プレート5の下面に圧接される圧接板部72aと、この圧接板部72aの基端から起立してなる起立板部72bと、この起立板部72bの上端から上記フィルタケース1から離間する方向に突出してなる水平板部72cとからなり、側面形状全体はクランク状に成形されている。そして、上記水平板部72cの中央には、上記ボルト73の軸部73aが挿通される挿通穴72dが穿設されている。したがって、上記一方の保持金具71の圧接板部71aと上記上面プレート6上に載置し、また、上記他方の保持金具72の圧接板部72aを上記下面プレート5の下面下に配置し、上記ボルト73の軸部73aを上記挿通穴72dから上記挿通穴71dに挿通するとともに、上記水平板部71cの上方から座金75を間に介して上記ナット74を上記軸部73aに螺着・螺進させることにより、該水平板部71c,72cは互いに接近されるとともに、上記圧接板部71aの下面は上記上面プレート6に圧接するとともに上記圧接板部72aの上面も上記下面プレート5の下面に圧接され、この結果、上記一方の保持金具71と他方の保持金具72とが共同して、上記フィルタケース1全体の段積み状態を強固に保持することができる。そして、こうした一方及び他方の保持金具71,72等により
図12に示すように、例えば全部で4つ上記段積み状態保持手段として使用することにより、先に説明した中間用ケースパーツ4の1つ又は複数が取り除かれた場合は勿論、1つ又は複数の中間用ケースパーツ4が追加されて段積みされた場合であっても、確実にフィルタケース1全体の段積み状態を強固に保持することができる。なお、上記一方及び他方の保持金具71,72とボルト73とナット74を前記フィルタケース組立セットに含ませても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 フィルタケース
1a 排水用開口
2 最下段用ケースパーツ
3 最上段用ケースパーツ
4 中間用ケースパーツ
11 凸条(一方の位置決め部)
12 凹溝(他方の位置決め部)
13 凸条(一方の位置決め部)
14 凹溝(他方の位置決め部)
16 無端状の凸条(一方の位置決め部)
17 無端状の凹溝(他方の位置決め部)
22b,23b 最下段側切欠き部
32b,33b 最下段側切欠き部
42b 下部中間側切欠き部
42c 上部中間側切欠き部