(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055275
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】浴槽の保温装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20240411BHJP
F24H 15/246 20220101ALI20240411BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20240411BHJP
F24H 15/31 20220101ALI20240411BHJP
【FI】
F24H15/196 301E
F24H15/246
F24H15/219
F24H15/31
F24H15/196 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162064
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】北中 浩次
【テーマコード(参考)】
3L024
【Fターム(参考)】
3L024CC22
3L024DD19
3L024GG06
3L024GG12
3L024GG18
3L024HH18
(57)【要約】
【課題】追い焚き機能を備えていない浴槽では、高温の湯を浴槽に足す、いわゆる足し湯によって浴槽内の湯温を上昇させるしか手段は無く、そのため浴槽内の湯温が低下すると手操作により給湯栓を開けて高温の湯を足し湯しなければいけない。
また、この足し湯によって保温する場合には足し湯された高温の湯の湯量が増加するため、多くの湯を足し湯すると浴槽から湯水が溢れるという不具合もある。
【解決手段】電磁式の排水弁を設け、上記足し湯の温度と上記足し湯開始温度とから、浴槽内の湯水の排水量と同量である足し湯量を求め、上記排水弁を開弁して浴槽内の湯水を足し湯と同じ水量だけ排水した後に上記足し湯を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内に貯留された湯水の水温を検知する温度センサを設け、この温度センサが検知する水温が足し湯開始温度まで低下すると、目標とする水温より高い温度の足し湯を浴槽内に注湯することにより浴槽内の水温を上記目標とする水温まで上昇させる浴槽の保温装置において、電磁式の排水弁を設け、上記足し湯の温度と上記足し湯開始温度とから、浴槽内の湯水の排水量と同量である足し湯量を求め、上記排水弁を開弁して浴槽内の湯水を足し湯と同じ水量だけ排水した後に上記足し湯を行うことを特徴とする浴槽の保温装置。
【請求項2】
浴槽の上方に位置する天井の上部にミリ波レーダを配設し、このミリ波レーダにより浴槽内の水位を測定することによって、上記浴槽から足し湯と同じ量の排水がされたことを検知することを特徴とする請求項1に記載の浴槽の保温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追い焚き機能を備えない浴槽内の水温を足し湯を行うことにより自動的に保温する浴槽の保温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽内の湯温を自動的に保温するためには、浴槽内の給湯のほかに浴槽内の湯水を吸い出し、再加熱して浴槽内に戻す追い焚き機能が必要である。このためこのような追い焚き機能を備えている浴槽では、給湯配管のほかに浴槽内から湯水を吸い出すための配管が別途必要である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-67422号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような追い焚き機能を備えていない浴槽では、高温の湯を浴槽に足す、いわゆる足し湯によって浴槽内の湯温を上昇させるしか手段は無く、そのため浴槽内の湯温が低下すると手操作により給湯栓を開けて高温の湯を足し湯しなければいけない。
【0005】
また、この足し湯によって保温する場合には足し湯された高温の湯の湯量が増加するため、多くの湯を足し湯すると浴槽から湯水が溢れるという不具合もある。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、戻り配管がされていない浴槽について自動で足し湯を行うことにより保温することができ、かつ足し湯を行っても浴槽から湯水が溢れない浴槽の保温装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明による浴槽の保温装置は、浴槽内に貯留された湯水の水温を検知する温度センサを設け、この温度センサが検知する水温が足し湯開始温度まで低下すると、目標とする水温より高い温度の足し湯を浴槽内に注湯することにより浴槽内の水温を上記目標とする水温まで上昇させる浴槽の保温装置において、電磁式の排水弁を設け、上記足し湯の温度と上記足し湯開始温度とから、浴槽内の湯水の排水量と同量である足し湯量を求め、上記排水弁を開弁して浴槽内の湯水を足し湯と同じ水量だけ排水した後に上記足し湯を行うことを特徴とする。
【0008】
電磁式の排水弁を開弁することによって自動的に所定量の湯水を排水する。排水量は計算により求め、同量の足し湯を行うことにより足し湯後の水量は足し湯前の水量と変わらない。
【0009】
なお、水量の測定の具体的な手段として、浴槽の上方に位置する天井の上部にミリ波レーダを配設し、このミリ波レーダにより浴槽内の水位を測定することによって、上記浴槽から足し湯と同じ量の排水がされたことを検知するように構成すればよい。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明は、足し湯後の水量が足し湯前の水量と同じになるように排水量を求めるので、足し湯を行っても浴槽から湯水が溢れると言うことがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】自動湯張りの前に行う浴槽洗浄の内容を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、1は浴室であり、この浴室1内に浴槽11が載置されている。また、この浴槽11の上方に位置する天井12の上部にはミリ波レーダのユニット2が設置されている。このユニット2からは周波数帯域がミリ波の電磁波が放出され、その放出された電磁波が対象物から反射して帰ってくるまでの時間から距離を計測するものである。従って図示のように浴槽11の上方にユニット2を設置すると、電磁波は天井12を貫通して浴槽11内の水面WLに到達し、その水面WLで反射することによって、水面WLまでの距離を測定することができ、その距離から水面WLの水位を求めることができる。
【0013】
浴槽11内へ常温の水を供給する給水管3と温水を供給する給湯管4とが配管されており、両配管は混合水栓13で所定の割合で混合された後、カラン14から浴槽11内へと湯張りされる。なお、給水管3には電磁開閉弁(電磁弁)31が介設されており、給湯管4には同じく電磁弁41が介設されると共に、給湯管4内の湯温を検知するための温度センサ5が設けられている。
【0014】
また、浴槽11には制御装置6からの信号によって開閉する排水弁15が設けられ、更に浴槽11内の水温を検知するための温度センサ16が取り付けられている。なお、61は制御装置6に接続されたリモコンである。
【0015】
図2を参照して自動湯張りのルーチンを説明する。リモコン61に設けられた自動湯張りスイッチ(図示せず)をオンにすると、電磁弁31,41を開放して浴槽11への湯張りを開始する(S101,S102)。
【0016】
目標とする所定の水位になるまでの所要時間より短い所定時間を予め設定しておき、湯張り開始からこの所定時間が経過した時点で電磁弁31,41を閉鎖して自動湯張りを一旦中断する(S103,S104)。これは、ミリ波により水位を測定する際に水面に波が生じていて平面状態でないと測定された水位に誤差が生じるおそれがあるからである。このため、自動湯張りを一旦中断して水面WLの波を鎮めた状態で水位測定を行う(S105)。
【0017】
この状態では測定された水位dは目標とする所定の水位Dに到達していないので、電磁弁31,41を開放して自動湯張りを再開する(S106,S107)。この再開された自動湯張りは注ぎ足し時間として予め設定した時間継続した後、再度自動湯張りを中断して水位を計測する(S108,S104,S105)。この注ぎ足しを繰り返し、測定水位dが目標とする所定の水位Dを超えれば自動湯張りが完了したものとしてその旨を音などによって報知する(S109)。
【0018】
自動湯張りが完了した後、直ちに入浴しない場合には、浴槽11内の湯温は徐々に低下する。その場合には自動的に足し湯を行って浴槽11内の湯温を保温する必要がある。この自動保温について、
図3を参照して説明する。
【0019】
浴槽11内の湯温Tは温度センサ16で測定される。この測定温度Tが足し湯開始温度T1まで下がると、足し湯が開始される(S201,S202)。
【0020】
この足し湯を更に詳細に説明する。足し湯をする際には所定量の湯を浴槽11から排水し、その排水した温水と同量の温水を給湯管4から給湯することにより行う。
【0021】
足し湯前の湯量をVとし、目標とする湯温をT0とし、排水量をxとし、足し湯開始時の浴槽11内の湯温をT1とし、給湯管4内の湯温をT2とすると、熱エネルギに着目して、
【0022】
V*T0=(V-x)*T1+x*T2
という関係が成立する。この式から、
x=V*((T0-T1)/(T2-T1))
が導かれ、これによって排水量xが決定される。なお、この排水量xはミリ波による水位から求めることができ、水位と排水量との相関関係を予め設定しておく。
【0023】
次に、入浴が終了した後に別の人が入浴する場合に、特にホテルなどのように、浴槽11内の湯を全て排水した後、新たに湯張りして次の人が入浴する場合について、
図4を参照して説明する。
【0024】
前回の湯を排水するだけでは、排水した後に浴槽11内にゴミなどが残留する場合が考えられる。そこで、排水が完了した後に新たに自動湯張りする前に浴槽11内を洗浄するようにした。
【0025】
排水は排水弁15を開放することによって行う(S301)。水位が0になるまで排水が行われると(S302)、変数Nを0にリセットした後(S303)、排水弁15を閉鎖し、上記電磁弁31,41のいずれか一方、もしくは双方を開放して浴槽11内へと湯張りを行う。数センチ程度の水位(洗浄水位)まで湯張りされると(S305)、電磁弁を閉鎖して湯張りを中止し、排水弁を開放して(S306)、洗浄水位まで溜まった湯水と共にゴミを浴槽11から排出する。この洗浄工程を数回繰り返す。本実施の形態では3回行うこととした(S308)。
【0026】
これにより浴槽11内の洗浄は終了したものとして、排水弁15を閉鎖し(S309)、続けて
図2に示した自動湯張りルーチンを実行する(S310)。
【0027】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0028】
2 (ミリ波レーダの)ユニット
3 給水管
4 給湯管
5 温度センサ
6 制御装置
11 浴槽
12 天井
13 混合水栓
14 カラン
15 排水弁
16 温度センサ
31 電磁弁
41 電磁弁
61 リモコン
D 水位
N 変数
WL 水面