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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005528
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】シャッター
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/56 20060101AFI20240110BHJP
   E06B 9/15 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E06B9/56 A
E06B9/15 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105738
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 理史
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042BA01
2E042CA01
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】複数連なるスラットの巻取り性を向上し得るシャッターを提供すること。
【解決手段】複数連なるスラット41と、スラット41を巻取り可能な巻取り軸6とを有する。巻取り軸6は、軸本体61と、軸方向における軸本体61の両端66,67に露呈してそれぞれ設けられる補助ホイール62,63とを備える。スラット41は、補助ホイール62に対する当接部43A,43Bを有する。補助ホイール62には、当接部43A,43Bが当接する高さ位置設定部80が設けられる。高さ位置設定部80は、径方向Dにおいて、スラット41の巻取り高さ位置を設定可能に軸本体61よりも突出している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数連なるスラットと、前記スラットを巻取り可能な巻取り軸とを有し、
前記巻取り軸は、軸本体と、前記巻取り軸の軸方向における前記軸本体の両端に露呈してそれぞれ設けられる軸保持体とを備え、
前記スラットは、前記軸保持体に対する当接部を有し、
前記軸保持体には、前記当接部が当接する高さ位置設定部が設けられ、
前記高さ位置設定部は、前記巻取り軸の径方向において、前記スラットの巻取り高さ位置を設定可能に前記軸本体よりも突出している
ことを特徴とするシャッター。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッターにおいて、
前記高さ位置設定部は、前記軸保持体において一体に形成される
ことを特徴とするシャッター。
【請求項3】
請求項1に記載のシャッターにおいて、
前記複数連なるスラットは、それぞれが連結する連結部を有し、
前記当接部は、前記巻取り軸の周方向において前記連結部に対する一方側および他方側の双方に設けられ、
前記高さ位置設定部は、前記径方向において前記一方側の当接部および前記他方側の当接部の双方に対応する位置に配置される
ことを特徴とするシャッター。
【請求項4】
請求項1に記載のシャッターにおいて、
前記複数連なるスラットは、前記軸本体に取り付けられる取付スラットと、前記取付スラットに続いて順次連なる複数の連結スラットとを有し、
前記高さ位置設定部は、前記径方向において前記複数の連結スラットにおける前記当接部に対応する位置にそれぞれ複数配置され、
前記複数の高さ位置設定部の前記径方向における高さ寸法は、それぞれ当接する前記当接部を有する個々の前記連結スラットに応じて設定される
ことを特徴とするシャッター。
【請求項5】
請求項4に記載のシャッターにおいて、
前記複数の連結スラットは、前記取付スラットに連結される第二スラットと、前記第二スラットに連結される第三スラットと、前記第三スラットに連結される第四スラットと、前記第四スラットに連結される第五スラットと、前記第五スラットに連結される第六スラットとで構成され、
前記複数の高さ位置設定部のうち、前記第三スラットから前記第六スラットにおける前記当接部にそれぞれ当接する高さ位置設定部の間の部分には、当該高さ位置設定部を一体に連続し且つ前記スラットに当接する当接凸部が前記径方向に突出して形成される
ことを特徴とするシャッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数連なるスラットの巻取りを行う巻取り軸を備えるシャッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数連なるスラットの巻き上げおよび繰り出しを行うシャフト(軸本体)がシャッターケース内に回転可能に取り付けられたシャッターが知られている(特許文献1参照)。このシャッターでは、シャフトによって巻き上げられまたは繰り出される複数のスラットがガイドレールに沿って昇降する構成とされている。シャフトは、円筒状であり、両端の支軸がシャッターケースに設けた軸受に支持されている。また、円筒状のシャフト内には、ドラムなどの各種部品が配設されており、シャフトの外周面には、取り付けやすくするために二分割された巻径スペーサ(分割スペーサ)が配置されており、各巻径スペーサは、シャフトを介して当該シャフト内の各種部品にねじ止めされている。巻径スペーサは、その厚みに沿ってきれいな円形の螺旋状に形成することで、複数連なるスラットを螺旋状に重ねたバランスのよい巻き上げ形状を得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-173334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のシャッターでは、円筒状のシャフトの外周面に巻径スペーサを配置してシャフト内の各種部品に対して、当該シャフトを介してねじ止めする構成なので、巻径スペーサがねじ止め相手との間にシャフトを介在する分、巻径スペーサがねじ止め相手から離間して配置されることとなり、巻径スペーサを正確に位置決めすることが困難である。
【0005】
本発明の目的は、複数連なるスラットの巻取り性を向上し得るシャッターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
複数連なるスラットと、前記スラットを巻取り可能な巻取り軸とを有し、前記巻取り軸は、軸本体と、前記巻取り軸の軸方向における前記軸本体の両端に露呈してそれぞれ設けられる軸保持体とを備え、前記スラットは、前記軸保持体に対する当接部を有し、前記軸保持体には、前記当接部が当接する高さ位置設定部が設けられ、前記高さ位置設定部は、前記巻取り軸の径方向において、前記スラットの巻取り高さ位置を設定可能に前記軸本体よりも突出している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数連なるスラットの巻取り性を向上し得るシャッターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るシャッターを示す外観姿図。
図2】前記実施形態に係るシャッターを示す縦断面図。
図3】前記実施形態に係るシャッターの巻取り軸を示す斜視図。
図4】前記実施形態に係るシャッターの巻取り軸のスラット繰出し状態を示す縦断面図。
図5】前記実施形態に係るシャッターの巻取り軸のスラット巻取り状態を示す縦断面図。
図6】前記巻取り軸の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図5において、本実施形態に係るシャッター1は、戸建て住宅等の建物における外壁の開口部の屋外側に設けられるものである。前述した開口部には上枠21,下枠22および左右の縦枠23を枠組みした窓枠2が設けられている。シャッター1は、シャッター枠3と、シャッター枠3に上下開閉自在かつ上方に巻上げ可能に支持されるシャッター面材4と、巻上げたシャッター面材4を収納するシャッターケース5とを備えており、シャッターケース5の内部には、シャッター面材4を巻取り可能な筒状の巻取り軸6が設置されている。シャッター枠3は左右のシャッター縦枠31と、シャッター下枠32とを備えている。シャッターケース5は左右のシャッター縦枠31の上部に配置されている。シャッターケース5には、シャッター面材4が通る開口51が形成されている。
以下の説明において、シャッター1の左右方向をX軸方向とし、シャッター1の上下方向をY軸方向とし、シャッター1の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
シャッター面材4は上下に複数連なるスチール製のスラット41を備えており、複数のスラット41のうちの最上位のスラット41A(取付スラット)はねじ7および裏板8を用いて巻取り軸6にねじ止めされており、スラット41Aには下位の複数のスラット41B,41C,41D,41E,41F,41G,・・・が連なっている(図5参照)。最下位のスラット41Zには、X軸方向に沿った端部材40が連結されている。ここで、スラット41Bは第二スラットであり、スラット41Cは第三スラットであり、スラット41Dは第四スラットであり、スラット41Eは第五スラットであり、スラット41Fは第六スラットであり、スラット41B~41Fは、スラット41Aに続いて順次連なる複数の連結スラットを構成している。シャッター面材4を構成するスラット41A~41Fは、巻取り軸6に対して一周目に巻き付けられる部分である。
【0011】
スラット41は、X軸方向に沿った両縁部で各スラット41が互いに連結している連結部42と、連結部42にそれぞれ連続している当接部43A,43Bと、当接部43A,43Bのそれぞれに連続している中間部44とを有している。当接部43A,43Bは、スラット41を巻取り軸6に巻き取った巻取り状態で連結部42よりも巻取り軸6側に突出した位置に配置される構成とされており、中間部44は、巻取り状態で当接部43A,43Bのそれぞれから延びて連結部42よりも巻取り軸6から離間した位置に配置される構成とされている。当接部43A,43Bは、巻取り状態で巻取り軸6の周方向(R方向)において連結部42に対して一方側および他方側の双方に配置されており、当接部43Aは、巻取り状態で連結部42に対してR方向における一方側に配置されて後述する高さ位置設定部80に当接し、当接部43Bは、巻取り状態で連結部42に対してR方向における他方側に配置されて高さ位置設定部80に当接する。なお、前述した周方向は、巻取り軸6の軸心Cを中心として回転するR方向に沿っている。本実施形態では、スラット41Aおよびスラット41Bまでは、図2に示すようにシャッター面材4を繰出した状態でも、シャッターケース5の開口51から出ずに当該シャッターケース5に納まる配置となっており、スラット41Cは、その一部が開口51から若干突出し得る配置となっている。このため、仮にスラット41A,41Bが傷ついたとしてもシャッターの外観上目立たない構成となっており、スラット41Cが傷ついたとしても開口51からの突出部分に傷がなければ外観上目立たない構成となっている。
【0012】
巻取り軸6は、金属板としてのスチール板がロール成形されてなるX軸方向(巻取り軸6の軸方向)に沿った略円筒状の軸本体61と、X軸方向における軸本体61の両端66,67(一端66、他端67)に露呈してそれぞれ設けられる軸保持体としての樹脂製の補助ホイール62,63とを備えており、(図3参照)。軸本体61の内部には、図示しないが、巻取り軸6を回転駆動する電動モータや巻取り軸6から繰り出されるシャッター面材4の自重に抗するバランススプリングが内部に配置されている。補助ホイール62,63は、軸本体61を保持すると共に支軸および軸受を介してシャッターケース5に回転可能に軸支されている。なお、スラット41の形状に応じて補助ホイール62,63を他の補助ホイールに付け替えることで、軸本体61はそのまま利用し得る。
【0013】
軸本体61には、ロール成形されるスチール板のX軸方向に沿った縁部同士を接合したカシメ部65(接合部)が形成されている。また、軸本体61には、軸心Cを間にして対向する凹部611,612が当該軸本体61の内周側に凹んで形成されており、R方向において凹部611の一方側に隣り合う位置には、最上位のスラット41Aの巻取り軸6に対する取付位置を設定する段形状の位置決め部613が形成されている。凹部611には裏板8が保持されており、この裏板8に対してスラット41Aがねじ7によってねじ止めされている。また、凹部611,612は、補助ホイール62,63に対して嵌合する。前述した軸本体61、X軸方向に沿った中空部614を有して形成されている。なお、軸本体61は、スチール製であり、これ自体にスラット41をきれいに螺旋状に巻き取るための段部などを形成しようとすると、ロール成形のためのロール段数が増加してしまい、設備の巨大化や設備費用の増加を招き得るが、本実施形態では、補助ホイール62,63に後述する高さ位置設定部80を設けるので、軸本体61自体に前述した段部などを形成する必要をなくしている。
【0014】
補助ホイール62は、当該軸本体61のX軸方向における一方端に配置されるホイール本体70と、ホイール本体70に一体に設けられた高さ位置設定部80とを有している。
ホイール本体70は、シャッターケース5に軸支される支軸(図示省略)が挿通されて当該支軸に取り付けられる内周筒部71と、内周筒部71に対して外周側に配置される外周筒部72と、内周筒部71および外周筒部72を連続する円板部73とを一体に有しており、内周筒部71および外周筒部72の間には、軸心Cを中心として放射状に延びた複数のリブ74が当該内周筒部71および外周筒部72を連続して一体に形成されている。外周筒部72は、軸本体61に一端66から差し込まれる差込筒部721と、差込筒部721、一端66から外部に露呈する端筒部722とを有している。差込筒部721は、軸本体61の内径と略同等の外径を有しており、端筒部722は、軸本体61の外径と略同等の外径を有しており、差込筒部721と端筒部722との連続部分は段形状となっている。また、外周筒部72には、軸本体61の凹部611,612に嵌合する嵌合凹部723,724と、軸本体61のカシメ部65が配置される凹部725とが形成されている。このホイール本体70における端筒部722の外周面72Aには、複数の高さ位置設定部80が一体に設けられている。
【0015】
複数の高さ位置設定部80は、巻取り軸6の径方向Dにおいて、スラット41の巻取り高さ位置(軸心Cから径方向Dに離間した位置)を設定可能に外周面72Aよりもそれぞれ突出しており、本実施形態では、R方向に間隔を隔てた位置に配置された高さ位置設定部80A,80B,80C,80D,80Eとで構成されている。また、高さ位置設定部80B,80Cの間の部分と、高さ位置設定部80C,80Dの間の部分と、高さ位置設定部80D,80Eの間の部分とには、スラット41に当接する当接凸部85がそれぞれ設けられている。
図5に示すように、高さ位置設定部80Aは、径方向Dにおいてスラット41Bの当接部43Bおよびスラット41Cの当接部43Aの双方に対応する位置に配置されており、高さ位置設定部80Bは、径方向Dにおいてスラット41Cの当接部43Bおよびスラット41Dの当接部43Aの双方に対応する位置に配置されており、高さ位置設定部80Cは、径方向Dにおいてスラット41Dの当接部43Bおよびスラット41Eの当接部43Aの双方に対応する位置に配置されており、高さ位置設定部80Dは、径方向Dにおいてスラット41Eの当接部43Bおよびスラット41Fの当接部43Aの双方に対応する位置に配置されており、高さ位置設定部80Eは、径方向Dにおいてスラット41Fの当接部43Bおよびスラット41Gの当接部43Aの双方に対応する位置に配置されている。高さ位置設定部80A~80Eの径方向Dにおける高さ寸法は、複数連なるスラット41が巻取り軸6に対してきれいに螺旋状に巻き取られる際に配置されるべき個々のスラット41B~41Gの当接部43A,43Bの高さ位置に対応してそれぞれ設定される。なお、高さ位置設定部80A,80Bの間には凹部725が配置されている。
当接凸部85は、高さ位置設定部80B,80Cを一体に連続しており、高さ位置設定部80C,80Dを一体に連続しており、高さ位置設定部80D,80Eを一体に連続していている。このため、高さ位置設定部80B~80Eは、当接凸部85を介してR方向に連続している。また、当接凸部85は、巻取り状態のスラット41の中間部44における巻取り軸6側の面形状に沿うように形成されており、このため、各当接凸部85は、これが連続する高さ位置設定部80B~80Eよりも径方向Dに突出している。
【0016】
なお、補助ホイール63は、図3の(A)(B)に示すように、補助ホイール62に対して左右逆向きに構成されているが、各構成は補助ホイール62の各構成と同様である。このため、補助ホイール63の構成については補助ホイール62の構成と同符号を適宜付して詳細な説明を省略する。
【0017】
以上のシャッター1において、巻取り軸6は次のように動作する。
図4に示すスラット41の繰出し状態において、巻取り軸6が巻取り方向(図4および図5において右回転方向)に回転すると、当該巻取り軸6はスラット41Aに連なるスラット41B,41C,・・・は順次巻き取り、図5に示すスラット41の巻取り状態となる。なお、図5では、巻取り軸6に巻き取られる一周目のスラット41を図示しており、これに続くスラット41の図示を省略している。巻取り状態では、高さ位置設定部80Aにはスラット41Bの当接部43Bおよびスラット41Cの当接部43Aの双方が当接し、高さ位置設定部80Bにはスラット41Cの当接部43Bおよびスラット41Dの当接部43Aの双方が当接し、高さ位置設定部80Cにはスラット41Dの当接部43Bおよびスラット41Eの当接部43Aの双方が当接し、高さ位置設定部80Dにはスラット41Eの当接部43Bおよびスラット41Fの当接部43Aの双方が当接し、高さ位置設定部80Eにはスラット41Fの当接部43Bおよびスラット41Gの当接部43Aの双方が当接する。また、当接凸部85には、スラット41D,41E,41Fの中間部44がそれぞれ当接する。これにより、スラット41D~41Fは、そのX軸方向における両縁部における巻取り軸6側の全面が補助ホイール62,63に当接することとなる。このように、複数連なるスラット41は、複数の高さ位置設定部80および当接凸部85に当接するので、巻取り軸6に対してきれいに螺旋状に巻き取ることができ、例えば前述したバランススプリングと複数連なるスラット41の連結形態との関係で生じ得る巻取り軸6の回転トルクの変動を抑えることができて、複数連なるスラット41を円滑に巻き取ることができる。また、複数連なるスラット41の軸本体61に対する接触を抑えているので、例えば、軸本体61の切断バリなどがスラット41を傷つけてしまうおそれを低減できる。
また、図5に示す巻取り状態において、巻取り軸6が繰出し方向(図4および図5において左回転方向)に回転すると、複数連なるスラット41は、当該スラット41G,41F,41E,・・・の順に巻取り軸6から離間して繰り出される。この際においても、前述同様に巻取り軸6の回転トルクの変動を抑えることができて、複数連なるスラット41を円滑に繰出すことができる。
【0018】
[変形例]
前記実施形態では、巻取り軸6は、スチール製の金属板でロール成形されてなるが、これに限らず、スラット41を巻取りおよび繰り出し可能であれば、アルミなどの他の材料によって形成されていてもよい。また、補助ホイール62,63は、樹脂製であるが、これに限らず、例えば防火対応などのためにアルミダイカスト製とされてもよい。
前記実施形態では、高さ位置設定部80は補助ホイール62,63に一体に形成されているが、これに限らず、高さ位置設定部80は、軸本体61を介さずに補助ホイール62,63の外周筒部72などに直接に取り付けられて取付位置を正確に定められるのであれば、別体の部品とされてよく、この別体部品の高さ位置設定部80と当該部品を除く補助ホイール62,63の本体部分とによって軸保持体を構成してもよい。
前記実施形態では、スラット41の連結部42を挟んで配置される当接部43A,43Bが、巻取り状態で共通の高さ位置設定部80に当接する構成とされているが、これに限らず、当接部43A,43Bのうちの一方が高さ位置設定部80に当接し且つ他方が非当接となる構成とされてもよい。
前記実施形態では、スラット41において中間部44の両側に当接部43A,43Bが配置されているが、これに限らず当接部43A,43Bに代えて、これらとは異なる位置、例えば中間部44に当接部が設けられてもよい。この場合、スラット41は、中間部44が連結部42に直接に連続する構成となり、高さ位置設定部80は、前記当接部の位置に対応して当該当接部が当接可能な位置に配置される。
前記実施形態では、各当接凸部85は、R方向における両側の高さ位置設定部80を一体に連続しているが、非連続であってもよい。また、梱包状態における落下時のスラットの凹みなどの変形を考慮する必要がない場合には、当接凸部85の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、巻取り軸6は、補助ホイール62,63を軸保持体として備えているが、例えば図6に示すように、補助ホイール62,63の一方を軸保持体としてのモーターアダプター91に代えてもよい。モーターアダプター91は、軸本体61を保持し且つチューブラモータなどの電動モータが装着されるものであり、電動モータの外径に対応した内径を有する内周筒部92と、内周筒部92に対して外周側に配置される外周筒部93とを有しており、内周筒部92および外周筒部93は軸心Cを中心として放射状の複数のリブ94などによって連続されている。外周筒部93は前述した外周筒部72と同様に形成されており、外周筒部93の外周面72Aには複数の高さ位置設定部80が径方向Dに突出して設けられている。このため、モーターアダプター91を備える場合でも、複数連なるスラット41をきれいに螺旋状に且つ円滑に巻き取り得る。なお、図6に示すモーターアダプター91では、高さ位置設定部80がR方向に幅広に形成され且つ当接凸部85が幅狭に形成されている。このため、連続する高さ位置設定部80および当接凸部85は、対応するスラット41の巻取り軸6側の全面に当接せず非当接領域も生じる構成となっている。
【0019】
[発明のまとめ]
本発明のシャッターは、複数連なるスラットと、前記スラットを巻取り可能な巻取り軸とを有し、前記巻取り軸は、軸本体と、前記巻取り軸の軸方向における前記軸本体の両端に露呈してそれぞれ設けられる軸保持体とを備え、前記スラットは、前記軸保持体に対する当接部を有し、前記軸保持体には、前記当接部が当接する高さ位置設定部が設けられ、前記高さ位置設定部は、前記巻取り軸の径方向において、前記スラットの巻取り高さ位置を設定可能に前記軸本体よりも突出している。
本発明のシャッターによれば、前述した軸本体の両端に露呈して設けられる軸保持体に対して高さ位置設定部を直接に設けられるので、例えば、軸本体の外周面に二分割された分割スペーサを配置し、この分割スペーサを、軸本体内に配置される各種部品に対して当該軸本体を介してねじ止めする構成とする必要がなく、高さ位置設定部を正確な位置に配置できる。このため、複数連なるスラットを所望に巻取り軸に巻き取ることができて、複数連なるスラットの巻取り性を向上し得る。
【0020】
本発明のシャッターでは、前記高さ位置設定部は、前記軸保持体において一体に形成されてもよい。
このような構成によれば、例えば別体の高さ位置設定部を軸保持体の本体に取り付けることで当該軸保持体を構成する場合と比べて、部品点数を少なくでき且つ高さ位置設定部よりも正確な位置に配置できる。
【0021】
本発明のシャッターでは、前記複数連なるスラットは、それぞれが連結する連結部を有し、前記当接部は、前記巻取り軸の周方向において前記連結部に対する一方側および他方側の双方に設けられ、前記高さ位置設定部は、前記径方向において前記一方側の当接部および前記他方側の当接部の双方に対応する位置に配置されてもよい。
このような構成によれば、例えば連結部に対して前記周方向における一方側の当接部または他方側の当接部だけが高さ位置設定部に当接する場合と比べて、複数のスラットを安定して巻き取ることができる。
【0022】
本発明のシャッターでは、前記複数連なるスラットは、前記軸本体に取り付けられる取付スラットと、前記取付スラットに続いて順次連なる複数の連結スラットとを有し、前記高さ位置設定部は、前記径方向において前記複数の連結スラットにおける前記当接部に対応する位置にそれぞれ複数配置され、前記複数の高さ位置設定部の前記径方向における高さ寸法は、それぞれ当接する前記当接部を有する個々の前記連結スラットに応じて設定されてもよい。
このような構成によれば、複数の連結スラットのそれぞれが適切な高さ位置に配置されるように高さ位置設定部の径方向における高さ寸法を設定することで、複数連なるスラットを所望に巻き取ることができる。例えば、複数連なるスラットをきれいに螺旋状に巻き取るために、複数の高さ位置設定部の高さ位置を個々に設定し得るので、必ずしも、複数の高さ位置設定部のそれぞれの高さ位置が周方向に段階的に大きくなっている必要はない。
【0023】
本発明のシャッターでは、前記複数の連結スラットは、前記取付スラットに連結される第二スラットと、前記第二スラットに連結される第三スラットと、前記第三スラットに連結される第四スラットと、前記第四スラットに連結される第五スラットと、前記第五スラットに連結される第六スラットとで構成され、前記複数の高さ位置設定部のうち、前記第三スラットから前記第六スラットにおける前記当接部にそれぞれ当接する高さ位置設定部の間の部分には、当該高さ位置設定部を一体に連続し且つ前記スラットに当接する当接凸部が前記径方向に突出して形成されてもよい。
このような構成によれば、シャッターへの組付け前の状態であって巻取り軸に複数のスラットを巻き取った梱包状態の部品が不意に落下してしまっても、高さ位置設定部の間で当接凸部がスラットに当接するので、スラットに凹みなどの変形が生じるおそれを低減できる。また、当接凸部は高さ位置設定部に一体に連続しているので、当接凸部を径方向に広く形成することができ、スラットに対して幅広く当接させることができて前述した落下時の凹みなどの変形が生じるおそれを更に低減できる。
【符号の説明】
【0024】
1…シャッター、2…窓枠、21…上枠、22…下枠、23…縦枠、3…シャッター枠、31…シャッター縦枠、32…シャッター下枠、4…シャッター面材、40…端部材、41,41A~41G,41Z…スラット、42…連結部、43A,43B…当接部、44…中間部、5…シャッターケース、51…開口、6…巻取り軸、61…軸本体、611,612…凹部、613…位置決め部、614…中空部、62,63…補助ホイール、65…カシメ部、66…一端、67…他端、7…ねじ、70…ホイール本体、71,92…内周筒部、72,93…外周筒部、721…差込筒部、722…端筒部、723,724…嵌合凹部、725…凹部、72A…外周面、73…円板部、74,94…リブ、8…裏板、80,80A~80E…高さ位置設定部、85…当接凸部、91…モーターアダプター、C…軸心、D…径方向、R…周方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6