(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055295
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】コンテナ組立装置
(51)【国際特許分類】
B65B 43/26 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
B65B43/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162106
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】591212408
【氏名又は名称】中洲電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 強
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA02
3E030BB10
3E030CA05
3E030CA09
3E030CB01
3E030GA05
(57)【要約】
【課題】より簡単かつ迅速に1または複数のコンテナを組み立てることを可能とするコンテナ組立装置を提供する。
【解決手段】コンテナ組立装置100は、コンテナ10を配置する配置空間103を内部に画定する装置本体101と、配置空間103に導入された折り畳み形態のコンテナ10に対して、天枠12の対向する辺のそれぞれの被係合部17に係合する係合片134を備え、係合片134および被係合部17が係合した状態で天枠12を高さ方向上方に吊り上げてコンテナ10を折り畳み形態から中間形態に変形させるように構成された吊り上げ装置130と、吊り上げ装置130によって天枠12が吊り上げられた中間形態のコンテナ10に対して、第2側壁14を第1側壁13及び/又は底壁11に対して嵌着するように、一対の第2側壁14を内から外へと押圧するように作動する押圧装置150と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み形態および箱形態に相互に変形する折り畳み式のコンテナを組み立てるためのコンテナ組立装置であって、
前記コンテナは、底壁と、内側に開口を有し、前記折り畳み形態において前記底壁上に載置される天枠と、前記底壁の横辺及び前記天枠の横辺に上端縁および下端縁がそれぞれ回動式に連結されるとともに、上端縁および下端縁の間で内側にのみ自在に屈折可能とするヒンジ部を有する一対の第1側壁と、前記天枠の縦辺に回動式に上端縁が連結されるとともに下端縁に自由端を有し、前記折り畳み形態において内面が前記天枠の開口から上方に臨むように折り込まれる一対の第2側壁と、前記天枠の対向する辺にそれぞれ設けられた被係合部と、を備え、前記折り畳み形態から前記箱形態に変形する際、前記第1側壁が直状に延伸する中間形態を経て、前記第2側壁が外側に押圧されて前記第1側壁及び/又は前記底壁に対して嵌着されるように構成されるものであり、
前記コンテナ組立装置は、
前記コンテナを配置する配置空間を内部に画定する装置本体と、
前記配置空間に導入された折り畳み形態の前記コンテナに対して、前記天枠の対向する辺のそれぞれの前記被係合部に係合する係合片を備え、前記係合片および前記被係合部が係合した状態で前記天枠を高さ方向上方に吊り上げて前記コンテナを前記折り畳み形態から前記中間形態に変形させるように構成された吊り上げ装置と、
前記吊り上げ装置によって前記天枠が吊り上げられた前記中間形態の前記コンテナに対して、前記第2側壁を前記第1側壁及び/又は前記底壁に対して嵌着するように、前記一対の第2側壁を内から外へと押圧するように作動する押圧装置と、を備えることを特徴とするコンテナ組立装置。
【請求項2】
前記係合片は、前記係合片が前記コンテナに干渉しない退避位置と、前記退避位置から突出して前記被係合部に係合し得る係合可能位置との間で変位するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ組立装置。
【請求項3】
前記配置空間は、複数のコンテナを複数段に積み重ねて配置可能であることを特徴とする請求項2に記載のコンテナ組立装置。
【請求項4】
前記吊り上げ装置は、
前記配置空間で高さ方向に複数段に積み重なった前記複数のコンテナの各被係合部に掛止するための複数の前記係合片と、
前記複数の係合片を高さ方向に直接的または間接的に連結する可撓性の紐状体と、
前記紐状体を高さ方向上方に牽引する牽引手段と、を備え、
前記複数の係合片のうち互いに隣接する係合片は、前記紐状体が牽引されていない弛み状態で第1の距離で離間し、前記紐状体が牽引された張力状態で第2の距離で離間するように配置され、前記第2の距離は前記第1の距離よりも大きく、
前記複数の係合片のそれぞれは、前記紐状体の前記弛み状態において、折り畳み形態で複数段に積み重なった前記複数のコンテナの前記被係合部のそれぞれに対向配置されるとともに前記退避位置から前記係合可能位置へと変位可能であり、
前記複数の係合片が前記複数のコンテナの前記被係合部にそれぞれ掛止した状態で前記紐状体が張力状態に牽引されることによって、前記複数のコンテナが前記中間形態へと変形することを特徴とする請求項3に記載のコンテナ組立装置。
【請求項5】
前記各係合片は、対向する前記被係合部に向けて斜め上方に傾斜する案内路に配置され、前記紐状体によって高さ方向上方に吊り上げられると同時に、前記退避位置から前記係合可能位置へと斜め上方にスライド移動することを特徴とする請求項4に記載のコンテナ組立装置。
【請求項6】
前記弛み状態の前記紐状体を、対向する前記コンテナから離隔する方向に垂れ下がるようにガイドするガイド片をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のコンテナ組立装置。
【請求項7】
前記配置空間の高さ方向の複数段に前記押圧装置がそれぞれ配置され、前記複数の押圧装置が互いに独立して動作することを特徴とする請求項4に記載のコンテナ組立装置。
【請求項8】
複数のコンテナを複数段に積み重ねて積載し、前記配置空間に導入される台車をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のコンテナ組立装置。
【請求項9】
前記被係合部は、前記天枠の対向する各辺の2箇所に対として設けられ、
前記吊り上げ装置は、各々が前記一対の被係合部に対応する位置に2つの前記係合片を保持し、高さ方向に昇降移動する複数の昇降体をさらに備え、
前記装置本体には、前記複数の昇降体の高さ方向への昇降移動をガイドする昇降レールが設けられていることを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載のコンテナ組立装置。
【請求項10】
前記配置空間に配置された前記箱形態の前記コンテナの一対の第2側壁を外側から内側へと押圧する第1押圧手段と、一対の第1側壁のヒンジ部を外側から内側へと押圧する第2押圧手段と、を備える折り畳み装置をさらに備え、前記折り畳み装置は、前記第1押圧手段によって前記第2側壁の嵌着を解除した直後、前記第2押圧手段によって前記ヒンジ部を押圧するように制御されることを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載のコンテナ組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み形態および箱形態に相互に変形する折り畳み式のコンテナを組み立てるためのコンテナ組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を収納して運搬するために、筐体の壁が板状に折り重なった折り畳み形態から筐体状の箱形態へ変形する折り畳み式コンテナ(
図25~
図27参照)が使用されている。この折り畳み式コンテナは、不使用時に折り畳み積み重ねることでスペースを節約でき、尚且つ、ビス等を用いることなく簡易に組立および折り畳みが可能であることから、工場のラインなど、種々の用途において活用されている。そして、折り畳み式コンテナを迅速かつ簡単に組み立てるために様々な試行錯誤がなされている。
【0003】
特許文献1は、折り畳み式コンテナの自動組立機を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。自動組立機では、折り畳み積み重ねたコンテナ(1)の両側面を、搬入装置(9)で図中左方向に搬入した後、下送り装置(29)によって保持し下方へ送り、下端のコンテナを側板等の自重によって概略伸長させる。そして、プッシュ装置(54)で第1の側板(3)を内側から押し完全に伸長させる。この状態でコンテナ(1)を搬送ベルト(57)で搬送した後、拡開装置(67)を侵入させて第2の側板(4)を押して拡開する。これによりコンテナ(1)が組み立てられる。この拡開装置(67)において、上方向に設けられたシリンダ(69)のロッド(71)の先端には1対の回動アーム(73)が設けられ、各回動アーム(73)の先端にローラ(75)が取り付けられている。1対の回動アーム(73)は互いの角度が所定角度よりも小さくならないようにするためのストッパを備えており、通常はローラ(75)及び回動アーム(73)の自重によりこの所定の角度に閉じられている。また、ローラ(75)がコンテナ(1)の底板(5)に接触すると、回動アーム(73)は前記角度が大きくなる方向に自在に回動するようになっている。このローラ(75)及び回動アーム(73)は、前記シリンダ(69)によりコンテナ内に侵入できる位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の自動組立機(コンテナ組立装置)では、折り畳み積み重ねたコンテナのうちの1つを下送り装置によって保持し下方へ送り、プッシュ装置で第1の側板を内側から押して伸長させ、さらに、コンテナを搬送ベルトで搬送した後、拡開装置をで第2の側板を押して拡開することにより、コンテナを組み立てる。すなわち、従来の自動組立機は、コンテナを1つずつ組み立てるように動作するとともに、1つのコンテナを組み立てるために多くの工程を要することから、迅速に1または複数のコンテナを組み立てることができないことが問題として挙げられる。よって、本発明は、従来より組立工程を効率化し、簡易かつ迅速に1または複数のコンテナを組み立てることを可能とすることを課題とした。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、より簡単かつ迅速に1または複数のコンテナを組み立てることを可能とするコンテナ組立装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態のコンテナ組立装置は、折り畳み形態および箱形態に相互に変形する折り畳み式のコンテナを組み立てるためのコンテナ組立装置であって、
前記コンテナは、底壁と、内側に開口を有し、前記折り畳み形態において前記底壁上に載置される天枠と、前記底壁の横辺及び前記天枠の横辺に上端縁および下端縁がそれぞれ回動式に連結されるとともに、上端縁および下端縁の間で内側にのみ自在に屈折可能とするヒンジ部を有する一対の第1側壁と、前記天枠の縦辺に回動式に上端縁が連結されるとともに下端縁に自由端を有し、前記折り畳み形態において内面が前記天枠の開口から上方に臨むように折り込まれる一対の第2側壁と、前記天枠の対向する辺にそれぞれ設けられた被係合部と、を備え、前記折り畳み形態から前記箱形態に変形する際、前記第1側壁が直状に延伸する中間形態を経て、前記第2側壁が外側に押圧されて前記第1側壁及び/又は前記底壁に対して嵌着されるように構成されるものであり、
前記コンテナ組立装置は、
前記コンテナを配置する配置空間を内部に画定する装置本体と、
前記配置空間に導入された折り畳み形態の前記コンテナに対して、前記天枠の対向する辺のそれぞれの前記被係合部に係合する係合片を備え、前記係合片および前記被係合部が係合した状態で前記天枠を高さ方向上方に吊り上げて前記コンテナを前記折り畳み形態から前記中間形態に変形させるように構成された吊り上げ装置と、
前記吊り上げ装置によって前記天枠が吊り上げられた前記中間形態の前記コンテナに対して、前記第2側壁を前記第1側壁及び/又は前記底壁に対して嵌着するように、前記一対の第2側壁を内から外へと押圧するように作動する押圧装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態のコンテナ組立装置によれば、吊り上げ装置によって配置空間に導入された折り畳み形態のコンテナの天枠を高さ方向上方に吊り上げることで、その自重によってコンテナを折り畳み形態から中間形態へと変形させ、次いで、押圧装置によって第2側壁を内から外へと押圧することによってコンテナを中間形態から箱形態へと変形させることができる。したがって、コンテナ組立装置は、従来より組立工程を効率化し、かつ、より簡単かつ迅速に1または複数のコンテナを組み立てることを可能とするものである。
【0009】
本発明のさらなる形態のコンテナ組立装置は、前記係合片は、前記係合片が前記コンテナに干渉しない退避位置と、前記退避位置から突出して前記被係合部に係合し得る係合可能位置との間で変位するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のさらなる形態のコンテナ組立装置は、前記配置空間は、複数のコンテナを複数段に積み重ねて配置可能であることを特徴とする。
【0011】
本発明のさらなる形態のコンテナ組立装置は、前記吊り上げ装置は、前記配置空間で高さ方向に複数段に積み重なった前記複数のコンテナの各被係合部に掛止するための複数の前記係合片と、前記複数の係合片を高さ方向に直接的または間接的に連結する可撓性の紐状体と、前記紐状体を高さ方向上方に牽引する牽引手段と、を備え、前記複数の係合片のうち互いに隣接する係合片は、前記紐状体が牽引されていない弛み状態で第1の距離で離間し、前記紐状体が牽引された張力状態で第2の距離で離間するように配置され、前記第2の距離は前記第1の距離よりも大きく、前記複数の係合片のそれぞれは、前記紐状体の前記弛み状態において、折り畳み形態で複数段に積み重なった前記複数のコンテナの前記被係合部のそれぞれに対向配置されるとともに前記退避位置から前記係合可能位置へと変位可能であり、前記複数の係合片が前記複数のコンテナの前記被係合部にそれぞれ掛止した状態で前記紐状体が張力状態に牽引されることによって、前記複数のコンテナが前記中間形態へと変形することを特徴とする。すなわち、本形態のコンテナ組立装置によれば、複数の折り畳み形態のコンテナを配置空間に複数段に積み重ねて配置し、吊り上げ装置によって複数のコンテナを纏めて吊り上げて中間形態へと変形させることができる。
【0012】
本発明のさらなる形態のコンテナ組立装置は、前記各係合片は、対向する前記被係合部に向けて斜め上方に傾斜する案内路に配置され、前記紐状体によって高さ方向上方に吊り上げられると同時に、前記退避位置から前記係合可能位置へと斜め上方にスライド移動することを特徴とする。すなわち、紐状体によって各係合片が吊り上げられる力によって、各係合片が案内路に沿って斜め上方にスライド移動することで、退避位置から係合可能位置へと変位することができる。これにより、吊り上げ装置の構造を簡易化することができる。
【0013】
本発明のさらなる形態のコンテナ組立装置は、前記弛み状態の前記紐状体を、対向する前記コンテナから離隔する方向に垂れ下がるようにガイドするガイド片をさらに備えることを特徴とする。すなわち、紐状体がコンテナから離隔する方向に垂れ下がるようにガイドされることで、紐状体が積み重なったコンテナに巻き込まれることが防止される。
【0014】
本発明のさらなる形態のコンテナ組立装置は、前記配置空間の高さ方向の複数段に前記押圧装置がそれぞれ配置され、前記複数の押圧装置が互いに独立して動作することを特徴とする。すなわち、吊り上げ装置によって同時に吊り上げられた中間形態の複数のコンテナに対して、複数の押圧装置がそれぞれ独立して動作することで、効果的にコンテナを箱形態へと組み立てることが可能である。
【0015】
本発明のさらなる形態のコンテナ組立装置は、複数のコンテナを複数段に積み重ねて積載し、前記配置空間に導入される台車をさらに備えることを特徴とする。すなわち、台車によって複数のコンテナを配置空間に簡単に導入し、組立後の複数のコンテナをコンテナ組立装置から簡単に回収することができる。
【0016】
本発明のさらなる形態のコンテナ組立装置は、前記被係合部は、前記天枠の対向する各辺の2箇所に対として設けられ、前記吊り上げ装置は、各々が前記一対の被係合部に対応する位置に2つの前記係合片を保持し、高さ方向に昇降移動する複数の昇降体をさらに備え、前記装置本体には、前記複数の昇降体の高さ方向への昇降移動をガイドする昇降レールが設けられていることを特徴とする。すなわち、天枠の縦辺または横辺の対向する各辺に形成された一対の被係合部と、昇降体に保持された一対の係合片とを係合させ、天枠の対向する辺を支持することで、コンテナを縦方向および横方向に安定した姿勢で吊り上げることができる。
【0017】
本発明のさらなる形態のコンテナ組立装置は、前記配置空間に配置された前記箱形態の前記コンテナの一対の第2側壁を外側から内側へと押圧する第1押圧手段と、一対の第1側壁のヒンジ部を外側から内側へと押圧する第2押圧手段と、を備える折り畳み装置をさらに備え、前記折り畳み装置は、前記第1押圧手段によって前記第2側壁の嵌着を解除した直後、前記第2押圧手段によって前記ヒンジ部を押圧するように制御されることを特徴とする。すなわち、折り畳み装置によって、1または複数のコンテナの折り畳み作業をも迅速化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のコンテナ組立装置は、簡易かつ迅速に1または複数のコンテナを組み立てることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態のコンテナ組立装置の概略斜視図。
【
図8】
図7のコンテナ組立装置のB-B拡大断面図。
【
図11】
図1のコンテナ組立装置の吊り上げ動作後の吊り上げ装置を模式的に示す部分拡大斜視図。
【
図13】
図1のコンテナ組立装置の押圧装置の動作を模式的に示す部分拡大斜視図。
【
図14】
図11の押圧装置の動作を模式的に示す断面図であって、(a)スライド体が配置空間に向けて前進した形態を示し、(b)回動体が下方に回動した形態を示す。
【
図15】
図11の押圧装置の動作を模式的に示す平面図であって、
図14(b)の形態に変位した後、さらに、押圧体から押圧部が突出した形態を示す。
【
図16】本発明の一実施形態のコンテナ組立装置において、折り畳み形態のコンテナを複数段に積み重ねて配置空間に配置した第1形態を模式的に示す正面図。
【
図17】
図16のコンテナ組立装置の第1形態において、コンテナと吊り上げ装置との関係を模式的に示す断面図。
【
図18】
図16のコンテナ組立装置の形態において、コンテナ組立装置の被係合部に係合片が掛止する動作を模式的に示す断面図。
【
図19】本発明の一実施形態のコンテナ組立装置において、複数の折り畳み形態のコンテナを吊り上げて中間形態に変形させた第2形態を模式的に示す正面図。
【
図20】
図19のコンテナ組立装置の第2形態において、コンテナと吊り上げ装置との関係を模式的に示す断面図。
【
図21】本発明の一実施形態のコンテナ組立装置において、吊下げられた中間形態のコンテナに対して、各段の押圧装置を駆動させた第3形態を模式的に示す正面図。
【
図22】本発明の一実施形態のコンテナ組立装置において、押圧装置の押圧部でコンテナの第2側壁を押圧し、コンテナを箱形態に変形させた第4形態を模式的に示す正面図。
【
図23】
図22のコンテナ組立装置の第4形態から、吊り上げ装置の紐状体を下方に送り出して、箱形態のコンテナを積み重ねるともに係合片を被係合部から離脱させる動作を模式的に示す断面図。
【
図24】本発明の一実施形態のコンテナ組立装置において、吊り上げ装置および押圧装置を初期位置に復帰させ、箱形態のコンテナを配置空間に積み上げた第5形態を模式的に示す正面図。
【
図25】本発明の一実施形態で例示される折り畳み式のコンテナの箱形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、上下左右方向は、相互に入れ替えて解釈されてもよい。
【0021】
本実施形態のコンテナ組立装置100は、折り畳み形態および箱形態に相互に変形する折り畳み式のコンテナを組み立てる用途に用いられる。また、本実施形態のコンテナ組立装置100は電源(図示せず)によって電力を供給されることで自動で駆動され、ユーザーによる制御盤(図示せず)等の操作によって、複数のコンテナを同時に組み立てることを可能とするものである。ここで、折り畳み式コンテナは、搬送などで一般的に使用されるものであるが、限定を目的とせず、
図25乃至
図27のコンテナ10として例示される。本発明の対象とする折り畳み式のコンテナは、コンテナ10の形態に限定されるものではない。
【0022】
図25に示すとおり、箱状のコンテナ10は、矩形板状の底壁11と、該底壁11に対向配置され、内側に開口を有する天枠12と、底壁11横辺および天枠12横辺の間で互いに対向する一対の第1側壁13と、底壁11縦辺および天枠12縦辺の間で互いに対向する一対の第2側壁14とを備える。天枠12の対向する横辺(または縦辺でもよい)の各々には、取っ手をなす凹状の2つの被係合部17が形成されている。コンテナ10は、
図25に示す上方に開口した筐体状の箱形態から、
図26に示す変形途中の形態を経て、
図27に示す板状に折り重なった折り畳み形態へと相互に変形可能である。
図26に示すように、一対の第1側壁13は、底壁11の横辺及び天枠12の横辺に上端縁および下端縁がそれぞれ回動式に連結されるとともに、上端縁および下端縁の間で内側にのみ自在に屈折可能とするヒンジ部13aを有する。また、
図26に示すように、一対の第2側壁14は、天枠12の縦辺に回動式に上端縁が連結されるとともに下端縁に自由端を有する。また、第2側壁14の両側端縁および下端縁には、一対の第1側壁13の側端縁および底壁11の縦辺に嵌着される嵌合部15がそれぞれ設けられている。なお、
図26において、第1側壁13が部分的に屈折している場合、第2側壁14が第1側壁13の上端縁に当接することから、第2側壁14は底壁11側に回動しない。
【0023】
図25の箱形態のコンテナ10では、一対の第2側壁14が直状の第1側壁13および底壁11の少なくとも一方に対して固着することによって、コンテナ10が箱状を維持している。また、
図27の折り畳み形態のコンテナ10では、底壁11の上に天枠12が載置されている。そして、該天枠12の開口の内側で、一対の第1側壁13がヒンジ部13aを介して内側に「く」字状に屈折して折り畳まれ、且つ、折り畳まれた第1側壁13の上方で、一対の第2側壁14が、その内面が天枠12の開口から上方に臨むように折り込まれている。そして、
図25乃至
図27に示すように、折り畳み形態から箱形態にコンテナ10が変形する際、第1側壁13が屈折した状態から直状に延伸する中間形態を経て、第2側壁14が外側に押圧されて第1側壁13及び/又は底壁11に対して嵌合部15を介して嵌着される。
【0024】
図1乃至
図10を参照して、本実施形態のコンテナ組立装置100の構成について説明する。
図1は、コンテナ組立装置100の概略斜視図である。
図2は、コンテナ組立装置100の部分拡大斜視図である。
図3は、コンテナ組立装置100の正面図である。
図4は、コンテナ組立装置100の平面図である。
図5は、コンテナ組立装置100の左側面図である。
図6は、コンテナ組立装置100の右側面図である。
図7~10は、コンテナ組立装置100のA-A、B-B、C-C、D-D断面図である。なお、
図1乃至
図10は、コンテナ組立装置100の初期形態を示している。
【0025】
図1乃至
図6に示すように、コンテナ組立装置100は、コンテナ10を配置する配置空間103を内部に画定する装置本体101と、該配置空間103に対して設けられた吊り上げ装置130と、該配置空間103に隣接して設けられた押圧装置150とを備える。また、図示しないが、コンテナ組立装置100は、電源から電力を供給される電力供給部と、コンテナ組立装置100の各構成要素の動作を制御する制御部(プロセッサ)と、ユーザーからの指示を入力するための制御盤とを備え得る。
【0026】
装置本体101は、縦横および高さ方向に延びる矩形状のフレーム102からなる。フレーム102の内側にコンテナ10を配置するための配置空間103が形成されている。配置空間103の4隅には、フレーム102の一部として4本の昇降レール105が高さ方向に亘って延びている。配置空間103は、平面視において1つのコンテナ10を配置可能な面積を有し、かつ、正面視において5つ(複数)の箱形態(または中間形態)のコンテナ10を配置可能な高さを有している。また、フレーム102には、吊り上げた5つのコンテナ10に対応する高さで、5つの押圧装置150をそれぞれ支持するように横方向に延びる支持フレーム107が設けられている。すなわち、フレーム102には、吊り上げ装置130とともに、複数段(ここでは5段)の押圧装置150が支持されている。
【0027】
吊り上げ装置130は、配置空間103にあるコンテナ10の天枠12を保持(掛止)して、1または複数のコンテナ10を高さ方向上方に吊り上げるように構成されている。吊り上げ装置130は、昇降レール105に保持され、該昇降レール105に沿って高さ方向に昇降移動する複数の昇降体131と、各昇降体131に保持され、配置空間103に導入された折り畳み形態のコンテナ10に対して、天枠12の対向する辺のそれぞれの被係合部17に係合する複数の係合片134と、複数の係合片134を高さ方向に直接的または間接的に連結する可撓性の紐状体135と、該紐状体135を巻き上げて複数の係合片134を鉛直上方に牽引するように動作する牽引手段としてのウインチ138とを備える。すなわち、吊り上げ装置130は、係合片134および被係合部17が係合した状態で天枠12を高さ方向上方に吊り上げてコンテナ10を折り畳み形態から中間形態に変形させるように構成されている。
【0028】
各昇降体131は、板状を成し、正面から見て前後の一対の昇降レール105に架け渡され、一対の昇降レール105に沿って摺動可能に支持されている。特には、昇降体131の両端部が昇降レール105に摺動可能に保持されている。また、本実施形態では、正面から見て左右から配置空間103を挟むように一対の昇降体131が同じ高さに配置されている。そして、同時に組立可能なコンテナ10の数に対応するように、昇降体131の対が高さ方向に複数段(本実施形態では5段)で設けられている。換言すると、2つ1組の昇降体131が配置空間103を隔てて対向配置され、合計で10個の昇降体131が用いられている。
図2および
図3に示すように、初期形態では、配置空間103の底部で複数の昇降体131が高さ方向に積み重なっている。そして、ウインチ138に巻かれた紐状体135が、高さ方向に連続して延びているとともに鉛直方向に垂れ下がっており、その下端側部位において、高さ方向に積み重なった複数の昇降体131の組を数珠つなぎに連結している。紐状体135は、ウインチ138に巻き取られることで、高さ方向の昇降体131の組を牽引するように機能する。本実施形態では、片方の昇降体131の組に対して、コンテナ10を安定した姿勢で吊り上げることができるように、2条の紐状体135が用いられた。換言すると、積み重なった複数のコンテナ10を安定して吊り上げるために配置空間103の4隅近傍で延びる4条の紐状体135が用いられた。
【0029】
各昇降体131には、
図7に示すように、コンテナ10の天枠12の対向する各横辺の2箇所に対として設けられた一対の被係合部17に対応する位置(正面から見て前後方向に一致する位置)に、一対の係合片134が保持されている。そして、高さ方向に並ぶ複数の係合片134の組が、1条の紐状体135によって数珠つなぎに連結されている。紐状体135のウインチ138側の上端側部分が常に張力状態にある一方で、紐状体135の下端側部分の各連結部位135aは張力状態と弛み状態とに変形し得る。なお、1条の紐状体135は、必ずしも連続する1体の長尺体であることはなく、互いに分断された複数の連結部位135aをも含む概念である。
【0030】
コンテナ組立装置100の初期形態では、配置空間103底部で複数の昇降体131が高さ方向に当接することで、複数の係合片134が高さ方向に位置決めされる。その結果、複数の係合片134が、折り畳み形態で積み重なった複数のコンテナ10の被係合部17にそれぞれ対向するように配置される。このとき、高さ方向に隣接する係合片134は、紐状体135の各連結部位135aによって連結されている。そして、紐状体135が牽引されていないことから、各連結部位135aは、弛み状態をなし、配置空間103の外側に垂れ下がっている。好ましくは、紐状体135の連結部位135aに、合成樹脂材の弾性フィルムからなるガイド片(図示せず)を貼着することで、連結孔134aの弛み方向をコンテナ10から離隔する方向にガイドし、紐状体135が配置空間103側に巻き込まれることを防止することができる。
【0031】
図7および
図8に示すように、係合片134は、凹状の被係合部17に下方から引っ掛かって掛止可能な爪状のプレートである。各係合片134は、昇降体131に形成された保持部132によって抜け止めされた状態で保持されている。そして、係合片134は、係合片134が(配置空間103の)コンテナ10に干渉しない退避位置と、退避位置から配置空間103に突出して被係合部17に係合し得る係合可能位置との間で変位するように構成されている。つまり、係合片134が保持部132に収まった位置が退避位置をなし、係合片134の一部が配置空間103に進入するように突出した位置が係合可能位置をなす。
図8に示すように、係合片134は、係合可能位置において、保持部132の抜け止め部132aと係合することで係止される。また、保持部132には、対向する被係合部17に向けて斜め上方に傾斜する案内路133が形成されている。係合片134は案内路133上に配置され、係合片134のスライド方向が案内路133によって案内される。
【0032】
次に、
図11および
図12を参照して、吊り上げ装置130の吊り上げ動作について説明する。
図11は、吊り上げ動作後の吊り上げ装置130を模式的に示す部分拡大斜視図である。コンテナ組立装置100の初期形態から、4条の紐状体135が同時かつ同速度で巻取られると、紐状体135の張力状態の部分によって係合片134が鉛直上方に持ち上げられる。そして、係合片134は、紐状体135によって高さ方向上方に吊り上げられると同時に、斜め上方にスライド移動し、配置空間103へと突出する。すなわち、紐状体135によって各係合片134が吊り上げられる力によって、各係合片134が案内路133に沿って斜め上方にスライド移動することで、退避位置から係合可能位置へと変位する。このとき、紐状体135の鉛直上方の連結部位135aから順に、連結部位135aが弛み状態から張力状態へと変形する。そして、
図12に示すように、紐状体135によって吊り上げられた各係合片134が昇降体131の抜け止め部132aに係止される。最終的に、
図11に示すように、全ての昇降体131が、張力状態の紐状体135(連結部位135a)によって鉛直上方に吊り上げられ、所定の高さ位置で停止される。
【0033】
すなわち、複数の係合片134のうち互いに隣接する係合片134は、紐状体135が牽引されていない弛み状態で第1の距離で離間し、紐状体135が牽引された張力状態で第1の距離よりも大きい第2の距離で離間するように配置される。また、複数の係合片134のそれぞれは、紐状体135の弛み状態において、折り畳み形態で複数段に積み重なった複数のコンテナ10の被係合部17のそれぞれに対向配置されるとともに退避位置から係合可能位置へと変位可能である。後述するとおり、複数の係合片134が複数のコンテナ10の被係合部17にそれぞれ掛止した状態で紐状体135が張力状態に牽引されることによって、複数のコンテナ10が纏まって中間形態へと変形する。
【0034】
他方、ウインチ138により紐状体135が下方に送り出されると、重力で昇降体131が配置空間103の底部で積み重なるとともに、各係合片134が案内路133に沿って係合可能位置から退避位置へとスライド移動する。その結果、コンテナ組立装置100が初期形態へと復帰する。
【0035】
押圧装置150は、吊り上げ装置130によって天枠12が吊り上げられた中間形態のコンテナ10に対して、第2側壁14を第1側壁13及び/又は底壁11に対して嵌着するように、一対の第2側壁14を内から外へと押圧するように作動するものである。本実施形態では、複数(5つ)のコンテナ10を同時に組立可能とするために、高さ方向の複数段に亘って複数(5つ)の押圧装置150が装置本体101の支持フレーム107によってそれぞれ支持されている。各押圧装置150の高さは、吊り上げ装置130によって吊り上げられた各コンテナ10に対応するように定められている。
【0036】
各押圧装置150は、
図9および
図10に示すとおり、配置空間103に対する近離方向(正面から見た左右方向)に水平スライドするスライド体151と、該スライド体151上に配置され、その回動軸152aを介して鉛直下方に回動する回動体152と、該回動体152の回動軸152aよりも先端側に搭載され、コンテナ10の第2側壁14を押圧するように作動する押圧体153と、を備える。回動体152は、平板状に形成され、、配置空間103に対する近離方向に略中央に回動軸152aを有する。そして、該回動軸152aによって、その基端部位および先端部位が互いに略直角に屈折可能に接続されている。さらに、押圧装置150には、スライド体151をスライド移動させるための第1駆動装置156と、回動体152をスライド移動させるための第2駆動装置157とが設けられている。第1駆動装置156および第2駆動装置157は、複数段の押圧装置150を同時に駆動するように構成されている。具体的には、第1駆動装置156は、各スライド体151の上面に噛合または摩擦接触する複数の第1ギヤ156aと、複数の第1ギヤ156aを高さ方向に軸支する第1駆動軸156bと、第1駆動軸156bを双方向に回転駆動する第1駆動モータ156cとを備える。第2駆動装置157は、各回動体152の上面に噛合または摩擦接触する複数の第2ギヤ157aと、複数の第2ギヤ157aを高さ方向に軸支する第2駆動軸157bと、第2駆動軸157bを双方向に回転駆動する第2駆動モータ157cとを備える。第1駆動装置156および第2駆動装置157は、別々に制御部によって制御される。また、押圧体153は、正面から見て前後方向に延びる筒形状を有し、その筒軸方向の先端から前後に突出および後退する押圧部154を備える。押圧部154は、コンテナ10の第2側壁14内面を直接的に押し出す部位である。押圧部154は、ソレノイドやシリンダなどの公知の機構によって駆動または制御され得る。
【0037】
次に、
図13から
図15を参照して、押圧装置150の動作について説明する。
図13は、押圧動作中の押圧装置150を模式的に示す概略斜視図である。コンテナ組立装置100の初期形態において、押圧装置150の各構成要素は、配置空間103に干渉しない位置に退避している。押圧装置150が動作を開始すると、まず、第1駆動装置156が作動し、第1駆動軸156bおよび第1ギヤ156aが順方向に回転し、
図14(a)に示すように、スライド体151が配置空間103に向けて前進する。スライド体151の先端側の回動体152全体が配置空間103に進入して停止した後、第2駆動装置157が作動し、第2駆動軸157bおよび第2ギヤ157aが順方向に回転し、スライド体151上で回動体152のみがさらに前進し、回動軸152aがスライド体151先端を越えるまで前進して停止する。すると、
図14(b)に示すように、回動体152の先端部位が回動軸152aを介して重力で略直角に折れ曲がるように回動する。なお、回動体152の回動は、モータ等によって駆動制御されてもよい。そして、
図13および
図15に示すように、押圧体153の両端部から押圧部154が突出する。以上で押圧装置150の一連の押圧動作が完了する。押圧装置150の一連の押圧動作は、装置本体101に任意に設置されたセンサに基づいて制御部によって制御されてもよい。また、本実施形態では、制御部によって、複数の押圧装置150が同時に同じ動作をするように制御される。
【0038】
一連の押圧動作の完了後、押圧装置150が、上記動作と反対の動作をすることにより、初期形態に復帰する。特には、押圧動作完了後、突出した押圧部154が後退し、次いで、第2駆動装置157が作動し、第2駆動軸157bおよび第2ギヤ157aが逆方向に回転すると、回動体152が配置空間103から離れる方向に後退しつつ、回動体152の先端部位とスライド体151先端縁との当接によって、回動体152の先端部位が回動軸152aを中心に水平方向に起き上がるように回動する。次に、回動体152がスライド体151上の元の位置に移動して停止した後、第1駆動装置156が作動し、第1駆動軸156bおよび第1ギヤ156aが逆方向に回転すると、スライド体151が元の後退して、押圧装置150が初期位置に復帰する。
【0039】
続いて、
図16から
図24を参照して、本実施形態のコンテナ組立装置100を用いて、複数(5つ)の折り畳み形態のコンテナ10を纏めて組み立てる方法について説明する。なお、各図において、説明の便宜上、コンテナ10の描写を簡素化する。
【0040】
図16および
図17は、折り畳み形態のコンテナ10を複数段に積み重ねて配置空間103に配置した第1形態のコンテナ組立装置100を模式的に示している。まず、
図16に示すように、複数の折り畳み形態のコンテナ10を配置空間103に積み重ねて配置する。コンテナ組立装置100は、複数のコンテナ10が配置空間103に連設された搬送機構(図示せず)によって自動的に配置されるように構成されてもよい。あるいは、コンテナ組立装置100は、複数のコンテナ10を台車(図示せず)に載せたまま配置空間103に配置できるように構成されてもよい。第1形態において、
図17に示すとおり、配置空間103において、複数の折り畳み形態のコンテナ10の各被係合部17が、各係合片134に対向するように配置されている。各係合片134は、配置空間103から後退した退避位置にあり、コンテナ10に干渉していない。そして、紐状体135の連結部位135aが弛み状態をなし、高さ方向の複数の係合片134が第1の距離で等間隔で離間している。
【0041】
そして、ユーザーによる操作等によってコンテナ組立装置100が作動すると、ウインチ138が作動し、紐状体135の巻き取りを開始する。最上段の係合片134および昇降体131が、張力状態の紐状体135によって支持されているので、最初に上方へと牽引される。係合片134が、上方に牽引されると同時に、対向する被係合部17に向けて斜め上方にスライドして、保持部132から突出する。そして、
図18に示すように、係合片134がコンテナ10の天枠12の下に潜り込んで被係合部17に掛止する。この係合状態のまま、さらに紐状体135によって係合片134が上方に牽引されると、昇降体131の上昇とともに、最上段のコンテナ10の天枠12が吊り上げられる。最上段の昇降体131が上昇すると、最上段の係合片134と2段目の係合片134とを連結する連結部位135aが弛み状態から張力状態へと変形し、第2の距離で離間する。張力状態への変形後、2段目の係合片134および昇降体131がさらに上昇し、2段目のコンテナ10の天枠12も同様に吊り上げられる。ウインチ138が引き続き動作することで、全てのコンテナ10が同様にして吊り上げられる。各コンテナ10の底壁11が浮き上がるまで吊り上げられると、各コンテナ10はその自重によって第1側壁13が伸長した中間形態へと変形する。特には、ウインチ138の巻取り速度を調整することで、吊り上げの際に生じる反動によってコンテナ10を折り畳み形態から中間形態へとより確実に変形させることができる。各コンテナ10が所定の高さに移動すると、ウインチ138が停止する。なお、各コンテナ10の高さ位置がセンサによって検出されることで、制御部によりウインチ138の動作が制御されてもよい。
【0042】
図19および
図20は、複数の折り畳み形態のコンテナ10を吊り上げて中間形態に変形させた第2形態のコンテナ組立装置100を模式的に示している。
図19および
図20に示すように、全てのコンテナ10が、配置空間103内で宙吊りにされて、第1側壁13が伸長した中間形態をなしている。そして、高さ方向の複数の係合片134が、第2の距離で等間隔に離間し、その結果、各コンテナ10は、各段の押圧装置150に対応する位置に保持されている。
【0043】
次に、制御部により各押圧装置150が作動する。複数の押圧装置150が同時に駆動されることが好ましいが、順番に駆動されてもよい。
図21は、吊り上げられた中間形態のコンテナ10に対して、各段の押圧装置150を駆動させた第3形態のコンテナ組立装置100を模式的に示している。
図21に示すように、各押圧装置150のスライド体151および回動体152が、コンテナ10の天枠12の上方に位置している。そして、
図21の仮想線に示すように、回動体152がスライド体151上をさらに前進して、その先端部位が下方に回動することにより、押圧体153がコンテナ10の内部に移動する。そして、押圧体153から押圧部154が突出することによって、各コンテナ10の一対の第2側壁14が同時に内側から外側へと押圧され、一対の第2側壁14が、第1側壁13及び/又は底壁11に対して嵌合部15を介して嵌着される。その結果、コンテナ10が箱形態へと組み立てられる。
【0044】
図22は、複数のコンテナ10を箱形態に変形させた第4形態のコンテナ組立装置100を模式的に示している。そして、コンテナ10を箱形態に組み立てた後、各押圧装置150は、押圧時と逆の動作を行い、配置空間103から離脱して元の位置へと復帰するように制御される。なお、複数の押圧装置150が同時に作動するように制御することによって、全てのコンテナ10をほぼ同時に組み立てることができ、コンテナ10の組立速度をより迅速化することができる。
【0045】
その後、ウインチ138が紐状体135を下方に送り出す方向に作動し、複数の昇降体131とともに複数のコンテナ10を鉛直に降下させる。最下段のコンテナ10の地面に接触し、最下段のコンテナ10と下から2段目のコンテナ10とを連結する連結部位135aが弛み状態に変形しつつ、最下段のコンテナ10の上に、下から2段目のコンテナ10が積み重ねられる。同様にして、全てのコンテナ10が下から順に積み重ねられる。これと連動して、紐状体135の送り出しによって、
図23に示すように、各係合片134が案内路133に沿って配置空間103から離間する方向に斜め下方にスライドすることで、各被係合部17から離脱して、保持部132内の退避位置へと移動する。ウインチ138が引き続き作動して、全ての昇降体131が積み重なるように配置空間103の底部に移動すると、ウインチ138による紐状体135の送り出しが停止する。以上の工程により、複数の箱形態のコンテナ10を配置空間103に積み重なった状態で提供することが可能である。
【0046】
図24は、吊り上げ装置130および押圧装置150を初期位置に復帰させ、箱形態のコンテナ10を配置空間103に積み上げた第5形態のコンテナ組立装置100を模式的に示している。最後に、積み重なった箱形態のコンテナ10を配置空間103から回収することで、一連の工程が完了し、コンテナ組立装置100が初期形態に復帰する。さらなるコンテナ10の組立を続ける場合は、ユーザーが、再び、1または複数のコンテナ10を配置空間103に投入することで、コンテナ10の組立を繰り返して実施することができる。
【0047】
なお、コンテナ組立装置100は、第5形態のように、配置空間103に複数段に積み上げた箱形態のコンテナ10を折り畳み形態に変形させるための折り畳み装置(図示せず)を追加的に備えてもよい。折り畳み装置は、各コンテナ10の一対の第2側壁14を外側から内側へと押圧する第1押圧手段と、一対の第1側壁13のヒンジ部13aを外側から内側へと押圧する第2押圧手段と、を備える。折り畳み装置は、第1押圧手段によって第2側壁14の嵌着を解除した直後、第2押圧手段によってヒンジ部13aを押圧するように制御される。各コンテナ10は、ヒンジ部13aの押圧によって、自重により折り畳み形態へと変形する。折り畳み装置は、押圧装置150と同様に、一度に組み立て可能なコンテナ10の数に対応して複数段に亘って設けられてもよい。複数の折り畳み装置が、同時に作動することにより、コンテナ10の折り畳み作業をも迅速化することができる。
【0048】
以下、本発明に係る一実施形態のコンテナ組立装置100の作用効果について説明する。
【0049】
本実施形態のコンテナ組立装置100によれば、吊り上げ装置130によって配置空間103に導入された折り畳み形態のコンテナ10の天枠12を高さ方向上方に吊り上げることで、その自重によってコンテナ10を折り畳み形態から中間形態へと変形させ、次いで、押圧装置150によって第2側壁14を内から外へと押圧することによってコンテナ10を中間形態から箱形態へと変形させることができる。したがって、コンテナ組立装置100は、従来より組立工程を効率化し、かつ、より簡単かつ迅速に1または複数のコンテナ10を組み立てることを可能とするものである。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲の下で、種々の実施形態や変形例を取り得る。
【0051】
(1)本発明のコンテナ組立装置は、上記形態に限定されることはない。上記実施形態ででは、吊り上げ装置の係合片は、コンテナの天枠の横辺の被係合部と係合するように構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、コンテナの天枠の縦辺に形成された被係合部と係合するように構成されてもよい。また、被係合部は、コンテナの天枠の辺の2箇所に形成され、これに対応するように、昇降体ごとに2つの係合片が形成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、被係合部は、コンテナの天枠の辺の1箇所に設けられてもよく、または、3箇所以上に設けられてもよい。また、天枠の辺全体を被係合部とし、被係合部の任意の箇所に係合するように1または複数の係合片が設けられてもよい。
【0052】
(2)本発明のコンテナ組立装置は、上記形態に限定されることはない。上記実施形態ででは、コンテナ組立装置は、複数段に積み重なった複数のコンテナをほぼ同時に組み立て可能に形成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、コンテナ組立装置は、1つのコンテナのみを組立可能に構成されてもよい。この場合、吊り上げ装置には、高さ方向に1つの係合片のみが備えられる。また、押圧装置を1つのみとし、順番に高さ方向のコンテナを押圧するようにしてもよい。
【0053】
(3)本発明のコンテナ組立装置は、上記形態に限定されることはない。上記実施形態では、コンテナ組立装置は、昇降体が昇降レールを摺動するとともに、紐状体による牽引によって係合片が上昇することで、コンテナを吊り上げるように構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、コンテナ組立装置から、紐状体および昇降レールが省略されてもよい。このとき、係合片は、例えばモータ等により、高さ方向に移動するように駆動され得る。また、係合片は、例えばモータ等により、退避位置から係合可能位置へと移動するように駆動され得る。
【0054】
(4)本発明のコンテナ組立装置は、上記形態に限定されることはない。上記実施形態では、係合片は、プレート状の掛止爪として、被係合部に掛止するように構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、被係合部を孔や凹部とし、係合片をピンや凸部としてもよい。また、係合片は、天枠を挟んで掴むように構成されてもよい。
【0055】
(5)本発明のコンテナ組立装置は、上記形態に限定されることはない。上記実施形態では、コンテナ組立装置は、自動で駆動されるように構成されたが、操作レバーおよびハンドルを追加することで、ユーザーによって手動で操作されるように構成されてもよい。
【0056】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0057】
10 コンテナ
11 底壁
12 天枠
13 第1側壁
13a ヒンジ部
14 第2側壁
15 嵌合部
17 被係合部
100 コンテナ組立装置
101 装置本体
102 フレーム
103 配置空間
105 昇降レール
107 支持フレーム
130 吊り上げ装置
131 昇降体
132 保持部
132a 抜け止め部
133 案内路
134 係合片
135 紐状体
135a 連結部位
138 ウインチ(牽引手段)
150 押圧装置
151 スライド体
152 回動体
152a 回動軸
153 押圧体
154 押圧部
156 第1駆動装置
156a 第1ギヤ
156b 第1駆動軸
156c 第1駆動モータ
157 第2駆動装置
157a 第2ギヤ
157b 第2駆動軸
157c 第2駆動モータ