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特開2024-55296車載装置、通信制御方法および通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055296
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】車載装置、通信制御方法および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162107
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】金森 翼
(72)【発明者】
【氏名】中條 充
(72)【発明者】
【氏名】児玉 雄一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 功
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033BA06
5K033BA08
5K033DB20
5K033EA02
5K033EA07
(57)【要約】
【課題】車両に関する異常の検知精度を向上させる。
【解決手段】車両に搭載される車載装置であって、前記車両に関する車両情報と、前記車載装置に関する測定結果であって、前記車両情報の送信に影響を与える測定対象の前記測定結果を含む測定結果情報とを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記車両情報および前記測定結果情報を管理装置へ送信する通信部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
前記車両に関する車両情報と、前記車載装置に関する測定結果であって、前記車両情報の送信に影響を与える測定対象の前記測定結果を含む測定結果情報とを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記車両情報および前記測定結果情報を管理装置へ送信する通信部とを備える、車載装置。
【請求項2】
前記測定結果情報は、前記車両において電力を供給する電源部に関する測定結果を含む、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記電源部に関する前記測定結果は、所定の単位時間あたりの、前記電源部によって前記電力が供給されている時間の割合を含む、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記電源部に関する前記測定結果は、所定の単位時間あたりの、前記電源部の起動回数を含む、請求項2または請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記測定結果情報は、前記通信部および前記管理装置間の通信品質に関する測定結果を含む、請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記管理装置から送信された設定情報に基づいて、前記車両情報を取得する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項7】
前記通信部は、保持している前記設定情報のバージョンを示すバージョン情報を前記管理装置へ送信し、
前記通信部は、前記管理装置から送信された、前記バージョン情報が示す前記バージョンの判定結果を示す判定情報に基づいて、新たな前記設定情報の送信を前記管理装置に要求する、請求項6に記載の車載装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記管理装置と異なる他の装置から送信された設定情報に基づいて、前記車両情報を取得し、
前記通信部は、さらに、前記取得部によって取得された前記車両情報を前記他の装置へ送信する、請求項1に記載の車載装置。
【請求項9】
車両に搭載される車載装置における通信制御方法であって、
前記車両に関する車両情報と、前記車載装置に関する測定結果であって、前記車両情報の送信に影響を与える測定対象の前記測定結果を含む測定結果情報とを取得するステップと、
取得した前記車両情報および前記測定結果情報を管理装置へ送信するステップとを含む、通信制御方法。
【請求項10】
車両に搭載される車載装置と、
前記車両に関する異常を検知する管理装置とを備え、
前記車載装置は、
前記車両に関する車両情報と、前記車載装置に関する測定結果であって、前記車両情報の送信に影響を与える測定対象の前記測定結果を含む測定結果情報とを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記車両情報および前記測定結果情報を管理装置へ送信する通信部とを含み、
前記管理装置は、前記通信部から受信した前記車両情報および前記測定結果情報に基づいて、前記異常を検知する、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、通信制御方法および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に関する異常を検知するための技術が開発されている。たとえば、特開4107238号公報(特許文献1)には、以下のような車両用通信システムが開示されている。すなわち、車両用通信システムは、複数の車両に搭載された各車載端末装置と情報センターとの間でネットワークを介して通信を実行する車両用通信システムにおいて、前記各車載端末装置から前記情報センターへ定期的に実走行環境の情報として、車両の位置情報、車両の累積走行距離の情報等を送信するステップと、故障が発生した車両の車載端末装置から前記情報センターへ故障発生情報とダイアグ情報を送信するステップと、前記情報センターにおいて、車両情報データベースの中から前記故障が発生した車両と製造条件や、環境条件として実走行環境の情報及び車両環境の情報等が近似する車両を抽出するステップと、前記抽出した車両に対してダイアグ情報を前記情報センターへ送信するように要求するステップと、前記抽出した車両の車載端末装置からダイアグ情報を前記情報センターへ送信するステップと、前記情報センターにおいて、前記抽出した車両のダイアグ情報と、前記抽出した車両の位置情報と、その位置の気象情報や地形情報等とを関連付けて分析するステップとを備えることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4107238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術を超えて、車両に関する異常の検知精度を向上させることが可能な技術が望まれる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車両に関する異常の検知精度を向上させることが可能な車載装置、通信制御方法および通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両に関する車両情報と、前記車載装置に関する測定結果であって、前記車両情報の送信に影響を与える測定対象の前記測定結果を含む測定結果情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記車両情報および前記測定結果情報を送信する通信部とを備える。
【0007】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両に関する異常の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る車載装置の構成を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る車載装置における車両情報取得部の構成の一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る車載装置における車両情報取得部の構成の他の例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る車載装置が保存するCANテーブルの一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る車載装置における測定結果情報取得部の構成の一例を示す図である。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る車載装置による、単位時間あたりの電力供給時間の割合を算出する処理を説明するための図である。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る車載装置が送信する測定結果情報の一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る管理装置の構成を示す図である。
図10図10は、本開示の実施の形態に係る管理装置が保存する設定情報の一例を示す図である。
図11図11は、本開示の実施の形態に係る管理装置が保存する設定情報の他の例を示す図である。
図12図12は、本開示の実施の形態に係る管理装置が保存する理論テーブルの一例を示す図である。
図13図13は、本開示の実施の形態に係る管理装置が保存する収集実績テーブルの一例を示す図である。
図14図14は、本開示の実施の形態に係る車載装置による車両情報および測定結果情報を管理装置へ送信する際の動作手順を定めたフローチャートである。
図15図15は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける車載装置および管理装置の処理のシーケンスを示す図である。
図16図16は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける設定情報の更新処理のシーケンスを示す図である。
図17図17は、本開示の実施の形態に係る管理装置の変形例1が保存する収集実績テーブルの一例を示す図である。
図18図18は、本開示の実施の形態に係る車載装置の変形例2の構成を示す図である。
図19図19は、本開示の実施の形態に係る管理装置の変形例2が保存する収集実績テーブルの一例を示す図である。
図20図20は、本開示の実施の形態に係る通信システムの変形例3における設定処理のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、本開示の実施の形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両に関する車両情報と、前記車載装置に関する測定結果であって、前記車両情報の送信に影響を与える測定対象の前記測定結果を含む測定結果情報とを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記車両情報および前記測定結果情報を管理装置へ送信する通信部とを備える。
【0011】
このように、車両情報、および車両情報の送信に影響を与える測定対象の測定結果情報を管理装置へ送信する構成により、管理装置において、車両情報の送信が影響を受けている状況を把握することができるため、車両に関する異常をより正確に検知することができる。したがって、車両に関する異常の検知精度を向上させることができる。
【0012】
(2)上記(1)において、前記測定結果情報は、前記車両において電力を供給する電源部に関する測定結果を含んでもよい。
【0013】
このような構成により、管理装置において、車両情報の送信に影響を与える電源部の状態を把握することができるため、車両に関する異常をより正確に検知することができる。
【0014】
(3)上記(2)において、前記電源部に関する前記測定結果は、所定の単位時間あたりの、前記電源部によって前記電力が供給されている時間の割合を含んでもよい。
【0015】
このような構成により、電源部によって電力が供給されている時間の長短に応じて車両情報の送信状況をより正確に把握することができる。
【0016】
(4)上記(2)または(3)において、前記電源部に関する前記測定結果は、所定の単位時間あたりの、前記電源部の起動回数を含んでもよい。
【0017】
このような構成により、電源部の起動回数の大小に応じて車両情報の送信状況をより正確に把握することができる。
【0018】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記測定結果情報は、前記通信部および前記管理装置間の通信品質に関する測定結果を含んでもよい。
【0019】
このような構成により、通信部および管理装置間の通信品質に応じて車両情報の送信状況をより正確に把握することができる。
【0020】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記取得部は、前記管理装置から送信された設定情報に基づいて、前記車両情報を取得してもよい。
【0021】
このような構成により、たとえば、車両の出荷後に当該車両に追加された車載装置であっても、出荷前に車両に搭載されている車載装置と同様に、車両情報を管理装置へ送信することができる。また、たとえば、送信する車両情報の種類を設定することができるため、異常の発生箇所を容易に特定することができる。
【0022】
(7)上記(6)において、前記通信部は、保持している前記設定情報のバージョンを示すバージョン情報を前記管理装置へ送信してもよく、前記通信部は、前記管理装置から送信された、前記バージョン情報が示す前記バージョンの判定結果を示す判定情報に基づいて、新たな前記設定情報の送信を前記管理装置に要求してもよい。
【0023】
このような構成により、車両情報の管理装置への送信について、たとえば最新の設定情報を反映することが可能となるため、管理装置において車両に関する異常の検知精度をより向上させることができる。
【0024】
(8)上記(1)から(7)のいずれかにおいて、前記取得部は、前記管理装置と異なる他の装置から送信された設定情報に基づいて、前記車両情報を取得してもよく、前記通信部は、さらに、前記取得部によって取得された前記車両情報を前記他の装置へ送信してもよい。
【0025】
このような構成により、たとえば車両のユーザが要求する車両情報を管理装置以外の他の装置へ送信することができるため、ユーザの利便性を向上することができる。
【0026】
(9)本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、車両に搭載される車載装置における通信制御方法であって、前記車両に関する車両情報と、前記車載装置に関する測定結果であって、前記車両情報の送信に影響を与える測定対象の前記測定結果を含む測定結果情報とを取得するステップと、取得した前記車両情報および前記測定結果情報を管理装置へ送信するステップとを含んでもよい。
【0027】
このように、車両情報、および車両情報の送信に影響を与える測定対象の測定結果情報を管理装置へ送信する構成により、管理装置において、車両情報の送信が影響を受けている状況を把握することができるため、車両に関する異常をより正確に検知することができる。したがって、車両に関する異常の検知精度を向上させることができる。
【0028】
(10)本開示の実施の形態に係る通信システムは、車両に搭載される車載装置と、前記車両に関する異常を検知する管理装置とを備え、前記車載装置は、前記車両に関する車両情報と、前記車載装置に関する測定結果であって、前記車両情報の送信に影響を与える測定対象の前記測定結果を含む測定結果情報とを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記車両情報および前記測定結果情報を管理装置へ送信する通信部とを含み、前記管理装置は、前記通信部から受信した前記車両情報および前記測定結果情報に基づいて、前記異常を検知する。
【0029】
このように、車両情報、および車両情報の送信に影響を与える測定対象の測定結果情報を管理装置へ送信する構成により、管理装置において、車両情報の送信が影響を受けている状況を把握することができるため、車両に関する異常をより正確に検知することができる。したがって、車両に関する異常の検知精度を向上させることができる。
【0030】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0031】
[通信システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。図1を参照して、通信システム501は、1または複数の車載装置101と、管理装置201と、端末装置301とを備える。各車載装置101および管理装置201は、たとえば、インターネット等の外部ネットワーク161を介して情報の送受信を行うことができる。車載装置101は、車両10に搭載されている。
【0032】
管理装置201および端末装置301は、たとえば、車両の運行を管理する事業者、または個人(以下、まとめてユーザと称する。)により使用される。管理装置201は、たとえばサーバである。端末装置301は、たとえばスマートフォンまたはタブレット等の通信端末装置である。
【0033】
管理装置201は、1または複数の車載装置101から、対応する車両10に関する車両情報を受信する。管理装置201は、車両情報の送信に関する車両10の設定内容を示す設定情報を車載装置101へ送信する。そして、管理装置201は、車載装置101から受信した車両情報に基づいて、車両10の不具合等、車両10に関する異常を検知する。なお、設定情報の詳細については、後述する。
【0034】
車載装置101は、車両10の識別情報を含む情報であって当該車両10に関する車両情報を管理装置201へ送信する。車両情報は、たとえば、車両10の走行に関する情報を含む。
【0035】
具体的には、車載装置101は、たとえば、対応する車両10の位置情報および車速情報等を管理装置201へ送信する。なお、車両情報は、位置情報および車速情報に限らず、車両10におけるブレーキ操作等の運転制御情報であってもよい。また、車両情報は、車両10の走行に関する情報に限らず、車両10に搭載されたカメラによって撮影された画像を示す情報、および車両10に搭載されたセンサの計測結果を示す情報であってもよい。
【0036】
[車載装置]
図2は、本開示の実施の形態に係る車載装置の構成を示す図である。図2を参照して、車載装置101は、たとえば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)の規格に従うCANバス51を介して複数の車載機器111と接続されている。
【0037】
車載機器111は、たとえば、自動運転ECU(Electronic Control Unit)、エンジンECU、TCU(Telematics Communication Unit)、センサ、ナビゲーション装置、ヒューマンマシンインターフェース、およびカメラ等である。
【0038】
図2に示す例では、車載装置101は、複数の車載機器111である車載機器111A,111B,111Cと接続されている。
【0039】
車載装置101および車載機器111は、たとえば車両10のバッテリ71から供給される電力を用いて動作する。
【0040】
車載装置101は、第1の通信部11と、設定部12と、取得部13と、第2の通信部14と、電源回路15と、記憶部16とを備える。取得部13は、車両情報取得部31と、測定結果情報取得部32とを含む。第1の通信部11、設定部12、取得部13および第2の通信部14の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部16は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0041】
(第1の通信部)
第1の通信部11は、WiFi(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)または5G等の通信方式に従って、図示しない無線基地局と無線通信を行うことにより、外部ネットワーク161経由で管理装置201と通信を行う。たとえば、第1の通信部11は、管理装置201から送信された設定情報を外部ネットワーク161経由で受信し、受信した設定情報を設定部12へ出力する。なお、第1の通信部11は、無線基地局および外部ネットワーク161を介して管理装置201と通信する構成に限らず、有線回線を介して管理装置201と通信する構成であってもよい。また、第1の通信部11は、他の車載装置をさらに介して管理装置201と通信する構成であってもよい。
【0042】
(車両情報取得部)
車両情報取得部31は、車両10に関する車両情報を取得する。車両情報取得部31は、1または複数の車載機器111との間でCANの規格に従った通信を行う。
【0043】
図2に示す例では、車両情報取得部31は、3つのCANバス51であるCANバス51A,51B,51Cを介して車載機器111A,111B,111Cとそれぞれ接続される。以下では、CANバス51Aを「CAN1」、CANバス51Bを「CAN2」およびCANバス51Cを「CAN3」とも称する。
【0044】
なお、車載装置101は、車両情報取得部31に3つのCANバス51が接続される構成に限らず、1または複数のCANバス51が接続される構成であればよい。
【0045】
また、車載装置101および各車載機器111は、CANに限らず、CAN FD(CAN with Flexible Data Rate)、イーサネット(登録商標)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oritend System Transport)(登録商標)およびLIN(Local Interconnect Network)等の規格に従った通信を行う構成であってもよい。
【0046】
車載機器111は、自己の車両情報を車両情報取得部31へ送信する。各車載機器111からCANバス51を介して伝送される車両情報は、データの種別等を示すCAN-ID(Identifier)が付されたCANフレームに格納される。以下では、車載機器111Aの車両情報が格納されたCANフレームのCAN-IDは「001」であり、車載機器111Bの車両情報が格納されたCANフレームのCAN-IDは「002」であり、車載機器111Cの車両情報が格納されたCANフレームのCAN-IDは「003」であるものとする。
【0047】
設定部12は、第1の通信部11から設定情報を受けると、当該設定情報を記憶部16に保存するとともに、当該設定情報に基づいて、車両情報の送信に関する設定処理を行う。たとえば、設定部12は、設定処理として、当該設定情報が示すデータの種類に対応する車両情報が管理装置201へ送信されるように設定を行う。
【0048】
設定部12は、たとえば、CAN-ID「001」を示す設定情報を受けた場合、設定処理として、CAN-ID「001」のCANフレームに含まれる車両情報が管理装置201へ送信されるように、車両情報取得部31に対して設定を行う。
【0049】
より詳細には、設定部12は、車両情報取得部31が車載機器111Aから送信される車両情報を定期的または不定期に取得している場合、車両情報取得部31に対して、CAN-ID「001」のCANフレームに含まれる車両情報を第1の通信部11へ出力するように設定する。また、設定部12は、第1の通信部11に対して、車両情報取得部31から受けた車両情報を管理装置201へ送信するように設定する。
【0050】
一方、設定部12は、車両情報取得部31が車載機器111Aから車両情報を取得していない場合、設定処理として、車両情報取得部31経由で、車載機器111Aに対して車両情報の送信を要求する。車載機器111Aは、車載装置101からの要求を受けて、CAN-ID「001」のCANフレームを定期的または不定期に車載装置101へ送信する。また、設定部12は、車両情報取得部31に対して、CAN-ID「001」のCANフレームに含まれる車両情報を第1の通信部11へ出力するように設定する。また、設定部12は、第1の通信部11に対して、車両情報取得部31から受けた車両情報を管理装置201へ送信するように設定する。
【0051】
図3は、本開示の実施の形態に係る車載装置における車両情報取得部の構成の一例を示す図である。図3を参照して、車両情報取得部31は、複数の受信部41と、処理部42とを含む。
【0052】
複数の受信部41は、複数のCANバス51にそれぞれ対応して設けられる。図4に示す例では、車両情報取得部31は、複数の受信部41として、3つの受信部41A,41B,41Cを含む。受信部41A,41B,41Cは、CANバス51A,51B,51Cにそれぞれ対応して設けられる。
【0053】
各受信部41は、対応するCANバス51を介して車載機器111からのCANフレームを受信すると、受信したCANフレームを図示しないバッファに保存し、保存した旨を処理部42へ通知する。
【0054】
処理部42は、CANフレームを保存した旨の通知を受信部41から受けると、記憶部16における設定情報に含まれるCAN-IDと、受信部41のバッファに保存されているCANフレームのCAN-IDとが一致する場合、当該バッファに保存されているCANフレームに含まれる車両情報を、管理装置201へ送信する車両情報として選択する。処理部42は、選択した車両情報を第1の通信部11および第2の通信部14へ出力する。
【0055】
図4は、本開示の実施の形態に係る車載装置における車両情報取得部の構成の他の例を示す図である。図4を参照して、車両情報取得部31は、1つの受信部141と、処理部42とを含む。
【0056】
受信部141は、各CANバス51を介してCANフレームを受信すると、受信したCANフレームを図示しないバッファに保存し、保存した旨の通知を処理部42へ出力する。
【0057】
図5は、本開示の実施の形態に係る車載装置が保存するCANテーブルの一例を示す図である。
【0058】
図5を参照して、記憶部16は、CAN-IDとCANバス51との対応関係を示すCANテーブルTb1を記憶する。たとえば、CANテーブルTb1は、CANフレームに含まれるデータの種類と当該CANフレームが伝送されるCANバス51との対応関係を示す。
【0059】
CANテーブルTb1において、CAN-ID「001」のCANフレームが伝送されるCANバス51は、「CAN1」である。CAN-ID「002」のCANフレームが伝送されるCANバス51は、「CAN2」である。CAN-ID「003」のCANフレームが伝送されるCANバス51は、「CAN3」である。
【0060】
処理部42は、CANフレームを保存した旨の通知を受信部141から受けると、受信部141のバッファに保存されているCANフレームを読み出す。処理部42は、記憶部16におけるCANテーブルを参照して、読み出したCANフレームに含まれるCAN-IDに対応するCANバス51を特定する。これにより、処理部42は、特定したCANバス51において伝送されるCANフレームを受信したと判断する。そして、処理部42は、設定処理において設定されたCAN-IDのCANフレームと、受信部141のバッファに保存されているCANフレームのCAN-IDとが一致する場合、当該バッファに保存されているCANフレームに含まれる車両情報を、管理装置201へ送信する車両情報として選択する。処理部42は、選択した車両情報を第1の通信部11および第2の通信部14へ出力する。
【0061】
再び図2を参照して、第1の通信部11は、車両情報取得部31から受けた車両情報を管理装置201へ送信する。
【0062】
(第2の通信部)
第2の通信部14は、たとえば、端末装置301との間でUSB(Universal Serial Bus)の通信方式に従った通信を行う。なお、第2の通信部14および端末装置301は、Bluetooth(登録商標)等の規格に従った無線通信を行う構成であってもよい。
【0063】
第2の通信部14は、車両情報取得部31から受けた車両情報、すなわち車両情報取得部31によって取得された車両情報を端末装置301へ送信する。
【0064】
端末装置301は、受信した車両情報を出力する。たとえば、端末装置301は、受信した車両情報の内容を自己の表示部に表示する。
【0065】
(電源回路)
電源回路15は、車載装置101における各ユニットに電力を供給する。たとえば、電源回路15は、車両10に搭載されたバッテリ71から供給される電圧を所定レベルの電圧に変換して各ユニットへ出力する。
【0066】
イグニッション電源72は、ユーザによる所定の操作に従い、電源回路15に電力を供給するオン状態と、電源回路15への電力の供給を停止するオフ状態とに切り替えられる。イグニッション電源72は、車両10において電力を供給する電源部の一例である。
【0067】
[課題の説明]
特許文献1には、車両の位置情報および距離情報に基づいて、車両における異常を検知する技術が開示されている。
【0068】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムのように、車両の位置情報および距離情報を用いて異常を検知する構成では、車両において異常が発生している箇所を特定することが困難である。また、特許文献1に記載のシステムでは、たとえば、カメラ等のダイアグ機能を有しない機器が車両の出荷後に当該車両に搭載された場合、当該機器に関する異常を検知することが困難である。
【0069】
これに対して、本開示の実施の形態に係る車載装置101は、以下のような構成および動作により、このような課題を解決する。
【0070】
[測定結果情報取得部]
再び図2を参照して、測定結果情報取得部32は、車載装置101に関する測定結果であって、車両情報の送信に影響を与える測定対象の測定結果を含む測定結果情報を取得する。ここでは、測定対象が、イグニッション電源72である場合について説明する。なお、測定対象は、イグニッション電源72に限らず、他の電源部であってもよい。
【0071】
測定結果情報は、イグニッション電源72に関する測定結果を含む。たとえば、イグニッション電源72に関する測定結果は、所定の単位時間あたりの、イグニッション電源72によって電力が供給されている時間の割合を含む。以下では、単位時間あたりの、イグニッション電源72によって電力が供給されている時間の割合を、「電力供給割合」とも称する。
【0072】
図6は、本開示の実施の形態に係る車載装置における測定結果情報取得部の構成の一例を示す図である。図6を参照して、測定結果情報取得部32は、検知部61と、測定部62とを含む。
【0073】
検知部61は、イグニッション電源72の出力電圧を監視することにより、イグニッション電源72のオンおよびオフの切り替わりを検知する。
【0074】
より詳細には、たとえば、検知部61は、イグニッション電源72の出力電圧を計測することにより、イグニッション電源72のオンおよびオフを検知する。検知部61は、計測した電圧値が所定の閾値以上である場合、イグニッション電源72がオン状態であると判断し、計測した電圧値が閾値未満である場合、イグニッション電源72がオフ状態であると判断する。検知部61は、イグニッション電源72がオン状態からオフ状態へ切り替わった旨、またはオフ状態からオン状態へ切り替わった旨を測定部62へ通知する。
【0075】
図7は、本開示の実施の形態に係る車載装置による、単位時間あたりの電力供給時間の割合を算出する処理を説明するための図である。
【0076】
図7を参照して、測定部62は、イグニッション電源72がオン状態へ切り替わった旨を検知部61から通知された場合、単位時間あたりの電力供給時間の割合を算出する算出処理を開始する。図7に示す例では、「単位時間」は、1時間である。以下、単位時間あたりの電力供給時間の割合を「電力供給割合」とも称する。
【0077】
次に、測定部62は、自己の車載装置101と車載機器111の一例であるGPS(Global Positioning System)受信機との間における時刻同期を行う。たとえば、測定部62は、GPS受信機から受信した時刻同期情報に基づいてGPS受信機との間における時刻同期を行い、自己の車載装置101の現在時刻を設定し、現在時刻を開始時刻として記憶部16に保存する。図7に示す例では、開始時刻は「1時30分」である。
【0078】
次に、測定部62は、予め定められた基準時刻から1時間経過するごとに、電力供給割合を算出する。測定部62は、算出結果を記憶部16に保存する。図7に示す例では、基準時刻は「0時」であり、「2時」から算出処理が行われる。
【0079】
次に、測定部62は、イグニッション電源72がオフ状態へ切り替わった旨を検知部61から通知された場合、現在時刻を終了時刻として記憶部16に保存する。また、測定部62は、終了時刻において電力供給割合を算出する。図7に示す例では、終了時刻は「3時30分」である。
【0080】
測定部62は、開始時刻から終了時刻までに得られた算出結果を含む測定結果情報を作成し、作成した測定結果情報を第1の通信部11へ出力する。
【0081】
第1の通信部11は、測定部62から受けた測定結果情報を管理装置201へ送信する。なお、測定部62は、イグニッション電源72のオンおよびオフの切り替わりを監視する車載機器から取得した情報に基づいて、測定結果情報を作成してもよい。
【0082】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載装置が送信する測定結果情報の一例を示す図である。
【0083】
図7および図8を参照して、時刻「0時-1時」では、イグニッション電源72はオフ状態であるため、1時間あたりの電力供給割合は「0%」である。時刻「1時-2時」では、イグニッション電源72が「1時30分」にオン状態に切り替わり、電力が「1時30分」から「2時」までの30分間供給されているため、1時間あたりの電力供給割合は「50%」である。時刻「2時-3時」では、イグニッション電源72によって常時電力が供給されているため、1時間あたりの電力供給割合は「100%」である。時刻「3時-4時」では、イグニッション電源72が「3時30分」にオフ状態に切り替わり、電力が「3時」から「3時30分」までの30分間供給されているため、電力供給割合は「50%」である。
【0084】
[管理装置]
図9は、本開示の実施の形態に係る管理装置の構成を示す図である。図9を参照して、管理装置201は、通信部1と、検知部2と、分析部3と、記憶部4とを備える。通信部1、検知部2および分析部3の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。記憶部4は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0085】
通信部1は、外部ネットワーク161を介して車載装置101と情報の送受信を行う。通信部1は、設定情報を車載装置101へ送信する。設定情報は、たとえばユーザによって記憶部4に登録され、更新される。
【0086】
図10は、本開示の実施の形態に係る管理装置が保存する設定情報の一例を示す図である。
【0087】
図10を参照して、設定情報は、たとえば、車両の識別情報と、車載装置101に適用すべき設定情報のバージョン、たとえば最新のバージョンを示すバージョン情報と、車両情報の管理装置201への送信周期を示す送信周期情報と、車両情報を特定するためのデータ情報との対応関係を示す。データ情報は、たとえば、車両情報を含むCANフレームが伝送されるCANバス51と、CANフレームのCAN-IDと、データ長と、CANフレームにおける車両情報のビット位置との対応関係を示す。
【0088】
図10に示す例では、車両ID「ID-A」の車両10の車載装置101に適用すべき設定情報のバージョンは、「Ver1」である。また、車両情報の送信周期は、500ミリ秒である。また、車載装置101は、CANバス「CAN1」において伝送されるCAN-ID「001」のCANフレームに格納される、データ長が「1バイト」であり、かつビット位置が「3」である車両情報をアップロードする。また、車載装置101は、CANバス「CAN2」において伝送されるCAN-ID「002」のCANフレームに格納される、データ長が「1バイト」であり、かつビット位置が「6」である車両情報をアップロードする。また、車載装置101は、CANバス「CAN3」において伝送されるCAN-ID「003」のCANフレームに格納される、データ長が「2バイト」であり、かつビット位置が「5」である車両情報をアップロードする。
【0089】
図11は、本開示の実施の形態に係る管理装置が保存する設定情報の他の例を示す図である。
【0090】
図11は、車載装置101および各車載機器111がLINの規格に従って通信を行う場合における設定情報を示す。この場合、各車載機器111からバスを介して伝送される車両情報は、データの種別等を示すLID-IDが付されたフレームに格納される。
【0091】
図11を参照して、設定情報は、たとえば、車両の識別情報と、車載装置101に適用すべき設定情報のバージョン、たとえば最新のバージョンを示すバージョン情報と、車両情報の管理装置201への送信周期を示す送信周期情報と、車両情報を特定するためのデータ情報との対応関係を示す。データ情報は、たとえば、フレームのLID-IDと、データ長と、フレームにおける車両情報のビット位置との対応関係を示す。
【0092】
また、図11に示す例では、車両ID「ID-A」の車両10の車載装置101に適用すべき設定情報のバージョンは、「Ver1」である。また、車両情報の送信周期は、500ミリ秒である。また、車載装置101は、LID-ID「051」のフレームに格納される、データ長が「1バイト」であり、かつビット位置が「5」である車両情報をアップロードする。また、車載装置101は、LID-ID「052」のフレームに格納される、データ長が「2バイト」であり、かつビット位置が「3」である車両情報をアップロードする。
【0093】
再び図9を参照して、通信部1は、車載装置101から受信した情報を記憶部4に保存する。より詳細には、通信部1は、車載装置101から車両情報および測定結果情報を受信し、受信した車両情報および測定結果情報を記憶部4に保存する。
【0094】
検知部2は、車載装置101から受信した車両情報および測定結果情報に基づいて、車両10に関する異常を検知する検知処理を行う。
【0095】
より詳細には、検知部2は、通信部1が受信した車両情報に含まれる識別情報に対応する、車両10の車両情報のアップロード数の理論値を取得する。より詳細には、たとえば、検知部2は、車両10ごとの、単位時間あたりの車両情報のアップロード数の理論値を示す理論テーブルTb20を記憶部4から取得する。理論テーブルTb20は、たとえばユーザによって予め記憶部4に登録されている。
【0096】
図12は、本開示の実施の形態に係る管理装置が保存する理論テーブルの一例を示す図である。
【0097】
図12を参照して、理論テーブルTb20は、各CANバス51において伝送される車両情報のアップロード数の複数の時間区間ごとの理論値を示す。理論テーブルTb20において、時間区間は、車載装置101による算出処理における単位時間と同様に、たとえば1時間である。
【0098】
理論テーブルTb20において、CANバス「CAN1」において伝送される車両情報のアップロード数の理論値は、0時から1時まで、1時から2時まで、および2時から3時までのいずれも「100」である。CANバス「CAN2」において伝送される車両情報のアップロード数の理論値は、0時から1時まで、1時から2時まで、および2時から3時までのいずれも「200」である。CANバス「CAN3」において伝送される車両情報のアップロード数の理論値は、0時から1時まで、1時から2時まで、および2時から3時までのいずれも「300」である。
【0099】
分析部3は、通信部1が受信した車両情報の収集実績と測定結果情報との対応関係を示す収集実績テーブルTb21を取得する。より詳細には、たとえば、分析部3は、定期的または不定期に、記憶部4に保存された車両情報および測定結果情報に基づいて、車両10ごとの、車両情報の収集実績と測定結果情報との対応関係を示す収集実績テーブルTb21を作成し、記憶部4に保存する。
【0100】
図13は、本開示の実施の形態に係る管理装置が保存する収集実績テーブルの一例を示す図である。
【0101】
図13を参照して、収集実績テーブルTb21において、収集実績は、複数の時間区間に分割されている。当該時間区間は、理論テーブルTb20の時間区間と同様に、たとえば1時間である。車両ID「ID-A」の車両10において、CANバス「CAN1」のアップロード数の実績値は、0時から1時までが「50」であり、1時から2時までが「99」であり、2時から3時までが「98」である。CANバス「CAN2」のアップロード数の実績値は、0時から1時までが「100」であり、1時から2時までが「201」であり、2時から3時までが「199」である。CANバス「CAN3」のアップロード数の実績値は、0時から1時までが「150」であり、1時から2時までが「12」であり、2時から3時までが「0」である。
【0102】
また、車両ID「ID-A」の車両10において、電力供給割合の実績値は、0時から1時までが「50%」であり、1時から2時までが「100%」であり、2時から3時までが「100%」である。
【0103】
検知部2は、理論テーブルTb20および収集実績テーブルTb21に基づいて、検知処理を行う。
【0104】
より詳細には、検知部2は、たとえば、アップロード数の異常判定を行う。たとえば、検知部2は、収集実績テーブルTb21におけるアップロード数の実績値が閾値Th以上である場合、当該アップロード数を正常と判断する。一方、検知部2は、収集実績テーブルTb21におけるアップロード数の実績値が閾値Th未満である場合、当該アップロード数を異常と判断する。
【0105】
ここでは、閾値Thは、たとえば、検知処理の対象の時間区間においてCANバス51経由で伝送される車両情報のアップロード数の理論値に、当該時間区間における電力供給割合を乗じた値から所定値を差し引いた値である。これにより、検知部2は、たとえば、イグニッション電源72によって電力が供給されている期間が短く、車両情報がアップロードされる期間が短いためにアップロード数が少ない等を判断することができる。
【0106】
所定値は、たとえば2である。また、以下では、CANバス「CAN1」,「CAN2」,「CAN3」においてそれぞれ伝送される車両情報のアップロード数の異常判定を行うための閾値Thを閾値Th1,Th2,Th3とする。
【0107】
(0時から1時までの時間区間における異常判定)
図12および図13を参照して、0時から1時までの時間区間における閾値Th1,Th2,Th3は、それぞれ、当該時間区間における、対応するアップロード数の理論値が「100」,「200」,「300」であり、当該時間区間における電力供給割合が「50%」であり、かつ所定値が「2」であるため、48,98,148である。
【0108】
検知部2は、CANバス「CAN1」の0時から1時までのアップロード数の実績値「50」が閾値Th1「48」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0109】
また、検知部2は、CANバス「CAN2」の0時から1時までのアップロード数の実績値「100」が閾値Th2「98」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0110】
また、検知部2は、CANバス「CAN3」の0時から1時までのアップロード数の実績値「150」が閾値Th3「148」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0111】
(1時から2時までの時間区間における異常判定)
1時から2時までの時間区間における閾値Th1,Th2,Th3は、それぞれ、当該時間区間における、対応するアップロード数の理論値が「100」,「200」,「300」であり、当該時間区間における電力供給割合が「100%」であり、かつ所定値が「2」であるため、98,198,298である。
【0112】
検知部2は、CANバス「CAN1」の1時から2時までのアップロード数の実績値「99」が閾値Th1「98」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0113】
また、検知部2は、CANバス「CAN2」の1時から2時までのアップロード数の実績値「201」が閾値Th2「198」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0114】
また、検知部2は、CANバス「CAN3」の1時から2時までのアップロード数の実績値「12」が当該時間区間における閾値Th3「298」未満であるため、当該アップロード数を異常と判断する。
【0115】
(2時から3時までの時間区間における異常判定)
2時から3時までの時間区間における閾値Th1,Th2,Th3は、それぞれ、当該時間区間における、対応するアップロード数の理論値が「100」,「200」,「300」であり、当該時間区間における電力供給割合が「100%」であり、かつ所定値が「2」であるため、98,198,298である。
【0116】
検知部2は、CANバス「CAN1」の2時から3時までのアップロード数の実績値「98」が閾値Th1「98」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0117】
また、検知部2は、CANバス「CAN2」の2時から3時までのアップロード数の実績値「199」が閾値Th2「198」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0118】
また、検知部2は、CANバス「CAN3」の2時から3時までのアップロード数の実績値「0」が当該時間区間における閾値Th3「298」未満であるため、当該アップロード数を異常と判断する。
【0119】
検知部2は、異常の検知結果を出力する。たとえば、検知部2は、異常の検知結果を記憶部4に保存したり、異常の検知結果を通知したりする。
【0120】
[新たな設定情報の要求]
再び図2図4および図12を参照して、車載装置101において、たとえば、第1の通信部11は、保持している設定情報のバージョンを示すバージョン情報を管理装置201へ送信する。そして、第1の通信部11は、管理装置201から送信された、当該バージョン情報が示すバージョンの判定結果を示す判定情報に基づいて、新たな設定情報の送信を管理装置201に要求する。すなわち、通信システム501において、設定情報の更新処理が行われる。
【0121】
より詳細には、第1の通信部11は、定期的または不定期に、記憶部16における設定情報に含まれるバージョン情報を管理装置201へ送信する。
【0122】
管理装置201は、車載装置101から受信したバージョン情報が示すバージョンと、自己が保持している設定情報のバージョンとが同一であるか否かを判定する。管理装置201は、車載装置101から受信したバージョン情報が示すバージョンと、自己が保持している設定情報のバージョンとが異なる場合、異なる旨の判定結果を示す判定否定情報を車載装置101へ送信する。
【0123】
車載装置101において、第1の通信部11は、管理装置201から判定否定情報を受信すると、新たな設定情報の送信を管理装置201に要求する要求情報を管理装置201へ送信する。たとえば、第1の通信部11は、自己の車載装置101が搭載された車両10のIDを含む要求情報を管理装置201へ送信する。
【0124】
管理装置201は、車載装置101から要求情報を受信すると、新たな設定情報を車載装置101へ送信する。
【0125】
より詳細には、たとえば、管理装置201は、車載装置101から要求情報を受信すると、新たな設定情報として、記憶部4に保存されている設定情報のうち、受信した要求情報に含まれる車両10のIDに対応する設定情報を車載装置101へ送信する。
【0126】
車載装置101において、第1の通信部11は、管理装置201から新たな設定情報を受信すると、受信した設定情報を設定部12へ出力する。
【0127】
設定部12は、第1の通信部11から新たな設定情報を受けると、当該新たな設定情報を記憶部16に保存するとともに、当該設定情報に基づいて、車両情報の送信に関する設定内容の更新を行う。車両情報取得部31は、新たな設定内容に従って車両情報を取得する。
【0128】
<動作の流れ>
図14は、本開示の実施の形態に係る車載装置による車両情報および測定結果情報を管理装置へ送信する際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0129】
図14を参照して、まず、車載装置101は、管理装置201から設定情報を受信するまで(ステップS101においてNO)、車両情報の送信を待機する。
【0130】
次に、車載装置101は、管理装置201から設定情報を受信した場合(ステップS101においてYES)、受信した設定情報に基づいて、車両情報の送信に関する設定処理を行う。たとえば、上述したように、車載装置101は、設定処理として、設定情報が示すデータの種類に対応する車両情報が管理装置201へ送信されるように設定を行う(ステップS102)。
【0131】
次に、車載装置101は、定期的または不定期に車両情報を取得する(ステップS103)。
【0132】
次に、車載装置101は、取得した車両情報のうち、設定内容に従って車両情報を選択し、選択した車両情報を管理装置201へ送信する(ステップS104)。
【0133】
次に、車載装置101は、測定結果情報を取得し、管理装置201へ送信する。たとえば、上述したように、車載装置101は、イグニッション電源72に関する測定結果を含む測定結果情報を管理装置201へ送信する。具体的には、車載装置101は、電力供給割合を算出し、算出結果を含む測定結果情報を管理装置201へ送信する(ステップS105)。なお、ステップS104およびステップS105は、順序を入れ替えて実行してもよいし、並行して実行してもよい。
【0134】
次に、車載装置101は、管理装置201から新たな設定情報を受信するまで(ステップS106においてNO)、取得した車両情報および測定結果情報の送信を繰り返す(ステップS103からステップS105)。
【0135】
一方、車載装置101は、管理装置201から新たな設定情報を受信すると(ステップS106においてYES)、受信した新たな設定情報に基づいて、車両情報の送信に関する設定処理を行う(ステップS102)。
【0136】
このように、車載装置101は、管理装置201から送信された設定情報に基づいて、車両情報の送信に関する設定処理を行うことにより、車載装置101が車両10の出荷後に当該車両10に装着され、管理装置201へ送信すべき車両情報が不明である状況においても、車両10の出荷前に搭載されている車載装置と同様に、管理装置201へ送信すべき車両情報を選択することができる。
【0137】
図15は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける車載装置および管理装置の処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0138】
図15を参照して、まず、車載装置101は、バッテリ71から電力が供給されると、起動する(ステップS201)。また、車載機器111は、バッテリ71から電力が供給されると、起動する(ステップS202)。
【0139】
次に、車載装置101は、電力供給割合を算出する算出処理を開始する。車載装置101は、算出結果を記憶部16に順次保存する(ステップS203)。
【0140】
次に、車載装置101は、車載機器111から車両情報を定期的または不定期に取得する(ステップS204)。
【0141】
次に、管理装置201は、車両情報の送信に関する車両10の設定内容を示す設定情報を車載装置101へ送信する(ステップS205)。
【0142】
次に、車載装置101は、管理装置201から受信した設定情報に基づいて、車両情報の送信に関する設定処理を行う。たとえば、上述したように、車載装置101は、受信した設定情報が示すCAN-IDに対応する車両情報が管理装置201へ送信されるように設定処理を行う(ステップS206)。
【0143】
次に、車載装置101は、取得した車両情報のうち、設定内容に従って車両情報を選択し、選択した車両情報を管理装置201へ送信する(ステップS207)。
【0144】
次に、車載装置101は、イグニッション電源72のオン状態への切り替わりを検知すると、他の装置との間における時刻同期を行い、現在時刻を、電力供給割合を算出する算出処理の開始時刻として記憶部16に保存する(ステップS208)。
【0145】
次に、車載装置101は、算出処理を行う。たとえば、上述したように、車載装置101は、予め定められた基準時刻から単位時間経過するごとに、電力供給割合を算出する。車載装置101は、算出結果を記憶部16に保存する(ステップS209)。
【0146】
次に、車載装置101は、イグニッション電源72のオフ状態への切り替わりを検知すると(ステップS210)、オフ状態への切り替わりを検知した現在時刻を終了時刻として記憶部16に保存する。そして、車載装置101は、終了時刻において電力供給割合を算出する。車載装置101は、算出結果を記憶部16に保存する(ステップS211)。
【0147】
次に、車載装置101は、開始時刻から終了時刻までに得られた算出結果を含む測定結果情報を作成し、作成した測定結果情報を管理装置201へ送信する(ステップS212)。
【0148】
次に、管理装置201は、車載装置101から受信した車両情報および測定結果情報に基づいて、検知処理を行う(ステップS213)。
【0149】
次に、管理装置201は、異常の検知結果を出力する。たとえば、管理装置201は、異常の検知結果を記憶部4に保存したり、異常の検知結果を通知したりする(ステップS214)。
【0150】
図16は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける設定情報の更新処理のシーケンスを示す図である。
【0151】
図16を参照して、まず、車載装置101は、車載機器111から車両情報を定期的または不定期に取得する(ステップS301)。
【0152】
次に、車載装置101は、取得した車両情報のうち、設定内容に従って車両情報を選択する。そして、車載装置101は、選択した管理装置201へ送信する(ステップS302)。
【0153】
次に、車載装置101は、保持している設定情報のバージョンを示すバージョン情報を管理装置201へ送信する(ステップS303)。
【0154】
次に、管理装置201は、車載装置101から受信したバージョン情報が示すバージョンと、自己が保持している設定情報のバージョンとが同一であるか否かを判定する判定処理を行う(ステップS304)。
【0155】
次に、管理装置201は、車載装置101から受信したバージョン情報が示すバージョンの、判定結果を示す判定情報を車載装置101へ送信する。ここでは、管理装置201は、判定情報として、車載装置101から受信したバージョン情報が示すバージョンと自己が保持している設定情報のバージョンとが異なる旨の判定結果を示す判定否定情報を送信するものとする(ステップS305)。
【0156】
次に、車載装置101は、判定否定情報を受信すると、新たな設定情報の送信を管理装置201に要求する要求情報を管理装置201へ送信する(ステップS306)。
【0157】
次に、管理装置201は、車載装置101から要求情報を受信すると、新たな設定情報を車載装置101へ送信する(ステップS307)。
【0158】
次に、車載装置101は、管理装置201から受信した新たな設定情報に基づいて、車両情報の送信に関する設定内容の更新を行う(ステップS308)。
【0159】
次に、車載装置101は、車両情報を新たに取得する(ステップS309)。
【0160】
次に、車載装置101は、新たに取得した車両情報のうち、更新後の設定内容に従って車両情報を選択する。そして、車載装置101は、選択した車両情報を管理装置201へ送信する(ステップS310)。
【0161】
[変形例1]
本開示の実施の形態に係る車載装置101では、測定結果情報取得部32は、イグニッション電源72に関する測定結果を含む測定結果情報として、電力供給割合を含む情報を取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。取得部13は、測定結果情報として、所定の単位時間あたりの、イグニッション電源72の起動回数を含む情報を取得してもよい。
【0162】
変形例1では、測定結果情報取得部32における測定部62は、単位時間あたりの、イグニッション電源72の起動回数をカウントする。たとえば、測定部62は、自己の車載装置101とGPS受信機との時刻同期を確立すると、単位時間あたりに、イグニッション電源72がオフ状態からオン状態へ切り替わった回数をカウントする。
【0163】
図17は、本開示の実施の形態に係る管理装置の変形例1が保存する収集実績テーブルの一例を示す図である。
【0164】
図17に示す収集実績テーブルTb22において、車両ID「ID-A」の車両10のCANバス「CAN1」におけるアップロード数の実績値は、0時から1時までが「82」であり、1時から2時までが「99」であり、2時から3時までが「98」である。車両ID「ID-A」の車両10のCANバス「CAN2」におけるアップロード数の実績値は、0時から1時までが「167」であり、1時から2時までが「201」であり、2時から3時までが「199」である。車両ID「ID-A」の車両10のCANバス「CAN3」におけるアップロード数の実績値は、0時から1時までが「249」であり、1時から2時までが「12」であり、2時から3時までが「0」である。
【0165】
また、図17に示す収集実績テーブルTb22において、車両ID「ID-A」の車両10における起動回数の実績値は、0時から1時までが「2」であり、1時から2時までが「0」であり、2時から3時までが「0」である。
【0166】
変形例1では、管理装置201における検知部2は、理論テーブルTb20および収集実績テーブルTb22に基づいて、検知処理を行う。
【0167】
ここで、車両10において、車載装置101および車載機器111等を備える車載システムが起動するまで、および車載システムがシャットダウンするまでには時間を要する。そのため、車載装置101において電力が供給されている期間は、たとえば、車載システムが起動するまでに要する時間と車載システムがシャットダウンするまでに要する時間との合計時間に起動回数を乗じた値を、単位時間から差し引いた時間となる。
【0168】
たとえば、単位時間が1時間であり、合計時間が5分であり、起動回数が2回である場合について考える。この場合、車載装置101において電力が供給されている時間は、1時間から10分を差し引いた値である50分である。言い換えれば、起動回数が2回である場合の単位時間あたりの電力供給時間の割合は、約80%である。
【0169】
変形例1では、検知部2は、収集実績テーブルTb22におけるアップロード数の実績値が閾値Th未満である場合、当該アップロード数を異常と判断する。変形例1では、閾値Thは、たとえば、検知処理の対象の時間区間においてCANバス51経由で伝送される車両情報のアップロード数に理論値に、当該時間区間における起動回数に応じた電力供給割合を乗じた値である。これにより、変形例1では、検知部2は、たとえば、イグニッション電源72の起動回数が多く、車両情報がアップロードされる期間が短いためにアップロード数が少ない等を判断することができる。
【0170】
図12および図17に示す例では、たとえば、起動回数に応じた電力供給割合は、起動回数が「2」回である場合に80%であり、起動回数が「0」回である場合に100%である。
【0171】
(0時から1時までの時間区間における異常判定)
図12および図17に示す例では、0時から1時までの時間区間における閾値Th1,Th2,Th3は、それぞれ、当該時間区間における、対応するアップロード数の理論値がそれぞれ「100」,「200」,「300」であり、かつ当該時間区間における起動回数が「2」回であるため、80,160,240である。
【0172】
検知部2は、CANバス「CAN1」の0時から1時までのアップロード数の実績値「82」が閾値Th1「80」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0173】
また、検知部2は、CANバス「CAN2」の0時から1時までのアップロード数の実績値「167」が閾値Th2「160」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0174】
また、検知部2は、CANバス「CAN3」の0時から1時までのアップロード数の実績値「249」が閾値Th3「240」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0175】
なお、変形例1では、1時から2時までの時間区間における異常判定の結果、および2時から3時までの時間区間における異常判定の結果は、図13の場合と同様である。
【0176】
[変形例2]
本開示の実施の形態に係る車載装置101では、測定結果情報取得部32は、測定結果情報として、イグニッション電源72に関する測定結果を含む情報を取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。測定結果情報取得部32は、第1の通信部11および管理装置201間の通信品質に関する測定結果を含む情報を取得してもよい。
【0177】
図18は、本開示の実施の形態に係る車載装置の変形例2の構成を示す図である。図18を参照して、車載装置101Aにおける第1の通信部11は、たとえば、管理装置201からの情報を含む、図示しない無線基地局から受信した無線信号のSNR(Signal to Noise Ratio)を測定する。すなわち、変形例2では、車両情報の送信に影響を与える測定対象は、第1の通信部11である。ここでは、SNRの値が大きいほどノイズが小さく、無線信号品質がよい。
【0178】
第1の通信部11は、たとえば、所定の測定期間において、単位時間ごとに、第1の通信部11が受信した無線信号のSNRを測定する。ここでは、単位時間は、たとえば1時間である。第1の通信部11は、単位時間ごとの測定結果を測定結果情報取得部32へ出力する。
【0179】
測定結果情報取得部32は、第1の通信部11による無線信号のSNRの測定結果を取得する。より詳細には、測定結果情報取得部32は、所定期間における単位時間ごとの測定結果を含む測定結果情報を作成し、作成した測定結果情報を第1の通信部11を介して管理装置201へ送信する。
【0180】
図19は、本開示の実施の形態に係る管理装置の変形例2が保存する収集実績テーブルの一例を示す図である。
【0181】
図19に示す収集実績テーブルTb23において、車両ID「ID-A」の車両10のCANバス「CAN1」におけるアップロード数の実績値は、0時から1時までが「10」であり、1時から2時までが「99」であり、2時から3時までが「100」である。車両ID「ID-A」の車両10のCANバス「CAN2」におけるアップロード数の実績値は、0時から1時までが「21」であり、1時から2時までが「201」であり、2時から3時までが「198」である。車両ID「ID-A」の車両10のCANバス「CAN3」におけるアップロード数の実績値は、0時から1時までが「29」であり、1時から2時までが「300」であり、2時から3時までが「298」である。
【0182】
また、図19に示す収集実績テーブルTb23において、車両10および管理装置201間の通信方式は、「LTE」である。また、図16に示す収集実績テーブルTb23において、車両ID「ID-A」の車両10における通信品質の実績値は、0時から1時までが「10」であり、1時から2時までが「99」であり、2時から3時までが「99」である。
【0183】
変形例2では、管理装置201における検知部2は、理論テーブルTb20および収集実績テーブルTb23に基づいて、検知処理を行う。
【0184】
より詳細には、変形例2では、検知部2は、収集実績テーブルTb23におけるアップロード数の実績値が閾値Th未満である場合、当該アップロード数を異常と判断する。変形例2では、閾値Thは、検知処理の対象の時間区間においてCANバス51経由で伝送される車両情報のアップロード数の理論値に、当該時間区間における通信品質の実績値の百分率を乗じた値から所定値を差し引いた値である。ここでは、所定値は、たとえば2である。
【0185】
(0時から1時までの時間区間における異常判定)
図12および図19を参照して、0時から1時までの時間区間における閾値Th1,Th2,Th3は、それぞれ、当該時間区間における、対応するアップロード数の理論値が「100」,「200」,「300」であり、当該時間区間における通信品質が「10」であり、かつ所定値が「2」であるため、8,18,28である。
【0186】
検知部2は、CANバス「CAN1」の0時から1時までのアップロード数の実績値「10」が閾値Th1「8」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0187】
また、検知部2は、CANバス「CAN2」の0時から1時までのアップロード数の実績値「21」が閾値Th2「18」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0188】
また、検知部2は、CANバス「CAN3」の0時から1時までのアップロード数の実績値「29」が閾値Th3「28」以上であるため、当該アップロード数を正常と判断する。
【0189】
なお、変形例2では、1時から2時までの時間区間における異常判定の結果、および2時から3時までの時間区間における異常判定の結果は、図13の場合と同様である。
【0190】
[変形例3]
本開示の実施の形態に係る車載装置101は、管理装置201から設定情報を受信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載装置101は、端末装置301から設定情報を受信する構成であってもよい。
【0191】
変形例3では、取得部13における車両情報取得部31は、管理装置201と異なる他の装置である端末装置301から送信された設定情報に基づいて、車両情報を取得する。
【0192】
より詳細には、第2の通信部14は、端末装置301から受信した設定情報を設定部12へ出力する。設定部12は、第2の通信部14から設定情報を受けると、当該設定情報を記憶部16に保存するとともに、当該設定情報に基づいて、車両情報の送信に関する設定処理を行う。
【0193】
図20は、本開示の実施の形態に係る通信システムの変形例3における設定処理のシーケンスを示す図である。
【0194】
図20を参照して、まず、車載装置101は、車載機器111から車両情報を定期的または不定期に取得する(ステップS401)。
【0195】
次に、端末装置301は、車両情報の送信に関する車両10の設定内容を示す設定情報を車載装置101へ送信する。たとえば、端末装置301には、ユーザの操作に従い、設定情報が保存されている(ステップS402)。
【0196】
次に、車載装置101は、端末装置301から受信した設定情報に基づいて、車両情報の送信に関する設定処理を行う。たとえば、車載装置101は、受信した設定情報が示すCAN-IDに対応する車両情報が端末装置301へ送信されるように設定処理を行う(ステップS403)。
【0197】
次に、車載装置101は、取得した車両情報のうち、設定内容に従って車両情報を選択し、選択した車両情報を端末装置301へ送信する(ステップS404)。また、車載装置101は、選択した車両情報を管理装置201へ送信する(ステップS405)。
【0198】
次に、端末装置301は、車載装置101から車両情報を受信すると、受信した車両情報の内容を、たとえば自己の表示部等に表示する(ステップS406)。
【0199】
次に、端末装置301は、たとえばユーザによる操作に従って、設定情報の変更をする旨の設定変更通知を車載装置101へ送信する(ステップS407)。
【0200】
次に、車載装置101は、端末装置301から受信した設定変更通知に対応する応答として、設定変更の可否を示す変更可否通知を端末装置301へ送信する。ここでは、車載装置101は、変更可否通知として、設定変更が可能である旨の通知を端末装置301へ送信する(ステップS408)。
【0201】
次に、端末装置301は、車載装置101から変更可否通知を受信すると、変更後の設定情報を車載装置101へ送信する(ステップS409)。
【0202】
次に、車載装置101は、端末装置301から受信した新たな設定情報に基づいて、設定内容の更新を行う(ステップS410)。
【0203】
次に、車載装置101は、設定内容の更新を完了した旨の更新完了通知を端末装置301へ送信する。なお、車載装置101は、更新完了通知を管理装置201へ送信してもよい(ステップS411)。
【0204】
次に、車載装置101は、車両情報を新たに取得する(ステップS412)。
【0205】
次に、車載装置101は、新たに取得した車両情報のうち、更新後の設定内容に従って車両情報を選択し、選択した車両情報を端末装置301へ送信する(ステップS413)。また、車載装置101は、選択した車両情報を管理装置201へ送信する(ステップS414)。
【0206】
次に、端末装置301は、車載装置101から車両情報を新たに受信すると、受信した車両情報の内容を自己の表示部等に表示する(ステップS415)。
【0207】
なお、本開示の実施の形態に係る管理装置201の機能の一部または全部が、クラウドコンピューティングによって提供されてもよい。すなわち、本開示の実施の形態に係る管理装置201が、複数のサーバによって構成されるクラウドサーバであってもよい。
【0208】
また、本開示の実施の形態に係る通信システム501では、車両情報の送信に影響を与える測定対象がイグニッション電源72である構成としたが、これに限定するものではない。車両情報の送信に影響を与える測定対象は、他の電源部であってもよい。
【0209】
また、本開示の実施の形態に係る通信システム501では、第1の通信部11は、保持している設定情報のバージョンを示すバージョン情報を管理装置201へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。第1の通信部11は、バージョン情報を管理装置201へ送信しない構成であってもよい。すなわち、車載装置101において、車両情報の送信に関する設定内容は更新されなくてもよい。
【0210】
また、本開示の実施の形態に係る通信システム501では、車載装置101が、車両情報を端末装置301へ送信する第2の通信部14を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載装置101は、第2の通信部14を備えず、車両情報を端末装置301へ送信しない構成であってもよい。
【0211】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0212】
上述の実施の形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0213】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
車両に搭載される車載装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記車両に関する車両情報と、前記車載装置に関する測定結果であって、前記車両情報の送信に影響を与える測定対象の前記測定結果を含む測定結果情報とを取得し、
前記取得部によって取得された前記車両情報および前記測定結果情報を前記管理装置へ送信する、車載装置。
【0214】
[付記2]
車両に搭載される車載装置において用いられる通信制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記車両に関する車両情報と、前記車載装置に関する測定結果であって、前記車両情報の送信に影響を与える測定対象の前記測定結果を含む測定結果情報とを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記車両情報および前記測定結果情報を管理装置へ送信する通信部、
として機能させるための、通信制御プログラム。
【符号の説明】
【0215】
1 通信部
2 検知部
3 分析部
4,16 記憶部
10 車両
11 第1の通信部
12 設定部
13 取得部
14 第2の通信部
15 電源回路
31 車両情報取得部
32 測定結果情報取得部
41,41A,41B,41C,141 受信部
42 処理部
51,51A,51B,51C CANバス
61 検知部
62 測定部
71 バッテリ
72 イグニッション電源
101,101A 車載装置
111,111A,111B,111C 車載機器
161 外部ネットワーク
201 管理装置
301 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20