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特開2024-55297収量計測方法、収量計測システム、及び収量計測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055297
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】収量計測方法、収量計測システム、及び収量計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20240411BHJP
   A01F 12/60 20060101ALI20240411BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20240411BHJP
【FI】
A01D41/127 120
A01F12/60
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162108
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼永 直也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 将希
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹士
【テーマコード(参考)】
2B396
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2B396JA04
2B396JC07
2B396MA02
2B396MA07
2B396MC02
2B396ML02
2B396QA14
2B396RA11
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】収量センサを用いずに収穫機により収穫された収量を計測する。
【解決手段】収量計測方法は、収穫機100に設けられた貯留タンク130に収穫機100が収穫物を貯留するときに行われる貯留作業を行った貯留作業時間510、または、貯留タンク130に貯留された収穫物を排出した排出時間550を、収穫機100から取得される情報に基づき決定することを含む。また、収量計測方法は、貯留作業時間510または排出時間550に基づき、収穫機100が収穫した収穫物の収量を推定することを含む。貯留作業時間510または排出時間550を決定することは、収穫機100の状態情報700に基づき、貯留タンク130が満杯になる前に排出された収穫物に対する貯留作業時間510を未満杯時間として決定することを含んでもよい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫機に設けられた貯留タンクに前記収穫機が収穫物を貯留するときに行われる貯留作業を行った貯留作業時間、または、前記貯留タンクに貯留された前記収穫物を排出した排出時間を、前記収穫機から取得される情報に基づき決定することと、
前記貯留作業時間または前記排出時間に基づき、前記収穫機が収穫した前記収穫物の収量を推定することと、
を含む収量計測方法。
【請求項2】
前記貯留作業時間または前記排出時間を決定することは、
前記収穫機の可動部分の状態を表す状態情報に基づき、前記貯留作業時間のうち、前記貯留タンクが前記収穫物により満杯になる前に前記貯留タンクから前記収穫物が排出された第1排出時刻と、前記第1排出時刻の直前に前記貯留タンクから前記収穫物が排出された第2排出時刻との間の未満杯時間を決定することと、
前記貯留タンクが満杯であることを表す検知情報と、前記状態情報とに基づき、前記貯留タンクが満杯であるときに前記収穫物が排出された満杯排出回数を決定することと、
を含み、
前記収穫物の前記収量を推定することは、
前記未満杯時間に基づき、前記貯留タンクが満杯になる前に前記貯留タンクから排出された前記収穫物の未満杯収量を推定することと、
前記満杯排出回数に基づき、前記貯留タンクが満杯であるときに前記貯留タンクから排出された前記収穫物の満杯収量を推定することと、
前記未満杯収量と、前記満杯収量とに基づき、前記収穫物の前記収量を推定することと、
を含む請求項1に記載の収量計測方法。
【請求項3】
前記未満杯収量を推定することは、
前記貯留タンクから前記収穫物を排出してから前記貯留タンクが前記収穫物により満杯になるまでに前記貯留作業を行う満杯時間と、前記未満杯時間とに基づき、前記未満杯収量を推定すること
を含む請求項2に記載の収量計測方法。
【請求項4】
前記未満杯収量を推定することは、
前記収穫機の速度に応じて分類される複数の前記満杯時間と、前記収穫機の速度に応じて分類される複数の前記未満杯時間とに基づき、前記未満杯収量を推定すること
を含む請求項3に記載の収量計測方法。
【請求項5】
前記未満杯収量を推定することは、
前記第1排出時刻から前記第2排出時刻までにおいて、前記貯留タンクに収納された前記収穫物が検知量に達するまでの前記貯留作業時間を表す検知時間を決定することと、
前記検知量と、前記検知時間と、前記未満杯時間とに基づき、前記未満杯収量を推定することと、
を含む請求項2に記載の収量計測方法。
【請求項6】
前記未満杯収量を推定することは、
前記検知時間と、前記検知量とに基づき、前記第1排出時刻から前記第2排出時刻までの前記貯留作業時間において、前記貯留タンクに収容される前記収穫物が単位時間に増加する増加量を推定することと、
前記増加量と、前記第1排出時刻から前記第2排出時刻までの前記未満杯時間とに基づき、前記第2排出時刻において前記貯留タンクから排出された前記未満杯収量を推定することと、
を含む請求項5に記載の収量計測方法。
【請求項7】
前記未満杯収量を推定することは、
前記第1排出時刻から前記第2排出時刻までの前記検知時間のうち、最後の検知時間以降における前記収穫機の速度と、前記最後の検知時間より前における前記収穫機の速度とに基づき、前記第2排出時刻において前記貯留タンクから排出された前記未満杯収量を修正すること
を含む請求項6に記載の収量計測方法。
【請求項8】
前記貯留作業時間または前記排出時間を決定することは、
前記収穫機の可動部分の状態を表す状態情報に基づき、前記排出時間を決定すること
を含み、
前記収量を推定することは、
前記排出時間と、前記収穫機による前記収穫物の単位時間当たりの排出量とに基づき、前記収量を推定すること
を含む請求項1に記載の収量計測方法。
【請求項9】
前記収量を推定することは、
前記収穫機のエンジン回転数に基づき、各時刻における前記単位時間当たりの排出量を決定することと、
前記各時刻における前記単位時間当たりの排出量と、前記排出時間とに基づき、前記収量を推定することと、
を含む請求項8に記載の収量計測方法。
【請求項10】
前記収量を推定することは、
前記収穫機において前記収穫物を排出する排出部が駆動を開始してから経過した経過時間に基づき、各時刻における前記収量を決定することと、
前記各時刻における前記収量と、前記排出時間とに基づき、前記収量を推定することと、
を含む請求項8に記載の収量計測方法。
【請求項11】
前記収量を推定することは、
各時刻から前記収穫機の排出部が前記収穫物の排出を完了する時刻までの残時間に基づき、前記各時刻における前記収量を決定することと、
前記各時刻における前記収量と、前記排出時間とに基づき、前記収量を推定することと、
を含む請求項8に記載の収量計測方法。
【請求項12】
前記貯留作業時間または前記排出時間を決定することは、
前記収穫機の位置情報に基づき、前記排出時間を決定すること
を含み、
前記収量を推定することは、
前記排出時間と、前記収穫機による前記収穫物の単位時間当たりの排出量とに基づき、前記収量を推定すること
を含む請求項1に記載の収量計測方法。
【請求項13】
収穫機に設けられた貯留タンクに前記収穫機が収穫物を貯留するときに行われる貯留作業を行った貯留作業時間、または、前記貯留タンクに貯留された前記収穫物を排出した排出時間を、前記収穫機から取得される情報に基づき決定する時間決定部と、
前記貯留作業時間または前記排出時間に基づき、前記収穫機が収穫した前記収穫物の収量を推定する収量推定部と、
を備える収量計測システム。
【請求項14】
収穫機に設けられた貯留タンクに前記収穫機が収穫物を貯留するときに行われる貯留作業を行った貯留作業時間、または、前記貯留タンクに貯留された前記収穫物を排出した排出時間を、前記収穫機から取得される情報に基づき決定することと、
前記貯留作業時間または前記排出時間に基づき、前記収穫機が収穫した前記収穫物の収量を推定することと、
を演算装置に実行させる収量計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収量計測方法、収量計測システム、及び収量計測プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、収穫機において、収量を計測することで、各圃場における収量を把握することが研究されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、収穫機により収穫された穀粒が貯留タンクに投入されるとき、穀粒により貯留タンクに加えられる衝撃力に基づき、収量を計測する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5893526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この収量を計測する収量センサはコストが高いという問題がある。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、収量センサを用いずに収穫機により収穫された収量を計測することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による収量計測方法は、収穫機(100)に設けられた貯留タンク(130)に収穫機(100)が収穫物を貯留するときに行われる貯留作業を行った貯留作業時間(510)、または、貯留タンク(130)に貯留された収穫物を排出した排出時間(550)を、収穫機(100)から取得される情報に基づき決定することを含む。また、収量計測方法は、貯留作業時間(510)または排出時間(550)に基づき、収穫機(100)が収穫した収穫物の収量を推定することを含む。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による収量計測システム(1000)は、時間決定部(250)と、収量推定部(260)とを備える。時間決定部(250)は、収穫機(100)に設けられた貯留タンク(130)に収穫機(100)が収穫物を貯留するときに行われる貯留作業を行った貯留作業時間(510)、または、貯留タンク(130)に貯留された収穫物を排出した排出時間(550)を、収穫機(100)から取得される情報に基づき決定する。収量推定部(260)は、貯留作業時間(510)または排出時間(550)に基づき、収穫機(100)が収穫した収穫物の収量を推定する。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による収量計測プログラム(410)は、収穫機(100)に設けられた貯留タンク(130)に収穫機(100)が収穫物を貯留するときに行われる貯留作業を行った貯留作業時間(510)、または、貯留タンク(130)に貯留された収穫物を排出した排出時間(550)を、収穫機(100)から取得される情報に基づき決定することを演算装置(220、320)に実行させる。また、収量計測プログラム(410)は、貯留作業時間(510)または排出時間(550)に基づき、収穫機(100)が収穫した収穫物の収量を推定することを演算装置(220、320)に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上記の形態によれば、収量センサを用いずに収穫機により収穫された収量を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施の形態における収量計測システムの概略図である。
図2】一実施の形態における収穫機の構成を表す図である。
図3】一実施の形態において、作物を収穫しているときの収穫機の状態を表す図である。
図4】一実施の形態における収量計測システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図5】一実施の形態における収量計測システムによる処理を表すフローチャートである。
図6】一実施の形態における検知センサの構成を説明するための図である。
図7】一実施の形態における収量計測システムによる処理を表すフローチャートである。
図8】一実施の形態において、検知センサにより取得される検知情報を説明するための図である。
図9】一実施の形態において、収穫物を排出しているときの収穫機の状態を表す図である。
図10】一実施の形態における収量計測システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図11】一実施の形態における収量計測システムによる処理を表すフローチャートである。
図12】一実施の形態における収量計測システムによる処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態による収量計測システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、収量計測システム1000は、1つ以上の収穫機100と、収量計測装置200と、端末300とを備える。収量計測装置200は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、収穫機100と、端末300と通信可能に接続されている。
【0014】
収穫機100は、図2に示すように、複数の部位、例えば刈取部110、脱穀部120、貯留タンク130、搬送部140などを備える。刈取部110は、圃場の穀稈を刈り取りながら後方の脱穀部120に搬送する。脱穀部120は、搬送された穀稈の穂先にある穀粒を脱穀選別する。脱穀選別された穀粒は、貯留タンク130に搬送され、貯留される。搬送部140は、穂先が脱穀された穀稈を後方の排藁処理部150に搬送する。搬送された穀稈は、排藁として細断処理される。また、貯留タンク130に貯留された穀粒は、排出部160により穀粒を運搬する運搬車に排出される。
【0015】
このため、収穫機100は、作物を収穫しているとき、刈取部110、脱穀部120、搬送部140などを駆動する。例えば、収穫機100は、貯留タンク130に貯留するための貯留作業、例えば刈取、脱穀、穀稈の搬送などを行うとき、刈取部110、脱穀部120などを駆動するためのクラッチを接続する。このため、収穫機100は、図3に示すように、例えば脱穀部120を駆動する脱穀クラッチが接続されている貯留作業時間510において、作物を収穫する。
【0016】
一方、収穫機100は、貯留タンク130に貯留された穀粒を排出するとき、排出部160を駆動する。例えば、収穫機100は、穀粒を排出するとき、排出部160、例えばオーガを駆動するためのクラッチを接続する。このため、収穫機100は、排出部160を駆動するためのオーガクラッチが接続された排出時刻530において、穀粒を排出する。
【0017】
収量計測装置200は、収穫機100による収穫が行われている貯留作業時間510に基づき、収穫機100の収量を計測する。このように、収量計測システム1000は、従来の収量センサを用いずに、収穫機100により収穫された収穫物の収量を計測する。
【0018】
(収量計測システムの構成)
収量計測システム1000に含まれる収穫機100の構成を説明する。収穫機100は、図2に示すように、作物を収穫するために用いられ、例えばコンバインである。収穫機100は、さらに、測位装置170と、通信装置180とを備える。測位装置170は、収穫機100の位置を測定する。測位装置170は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機であり、人工衛星などからの電波を受信して、圃場を移動する各時刻における収穫機100の位置を測定する。
【0019】
通信装置180は、収穫機100の位置を表す位置情報を収量計測装置200に出力する。位置情報は、各時刻における収穫機100の位置を表す。
【0020】
また、通信装置180は、収穫機100の可動部分、例えばエンジン、各種クラッチの状態を表す状態情報を収量計測装置200に出力する。状態情報は、刈取部110を駆動するための刈取クラッチ、脱穀部120を駆動するための脱穀クラッチ、排出部160を駆動するためのオーガクラッチなどの接続状態を表す情報を含む。また、状態情報は、エンジンの回転数を表す情報を含む。エンジンの回転数は、例えば回転計190により計測される。状態情報は、例えば、収穫機100の位置が計測される各時刻における収穫機100の状態を表す。
【0021】
通信装置180は、位置情報と、状態情報とを同じタイミングで出力する。また、通信装置180は、位置情報と、状態情報とを異なるタイミングで収量計測装置200に出力してもよい。
【0022】
貯留タンク130は、検知センサ131を備える。検知センサ131は、貯留タンク130に貯留された収穫物の量が検知量以上、例えば満量のときに検知情報を出力する。検知センサ131により出力された検知情報は、通信装置180により収量計測装置200に出力される。検知情報は、位置情報、または/および、状態情報と同じタイミングで出力される。また、検知情報は、位置情報と、検知情報と異なるタイミングで出力されてもよい。
【0023】
次に、図1に示す収量計測装置200の構成を説明する。収量計測装置200は、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。収量計測装置200は、例えば、コンピュータである。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置210は省略されてもよい。
【0024】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、収穫機100から取得する各種情報、例えば位置情報、状態情報などを演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を端末300に転送する。通信装置230は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0025】
記憶装置240は、収量を推定するための様々なデータ、例えば圃場データ400と、収量計測プログラム410とを格納する。記憶装置240は、収量計測プログラム410を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。収量計測プログラム410は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0026】
圃場データ400は、収穫機100が収穫物を収穫する圃場に関する情報を格納する。例えば、圃場データ400は、圃場の領域と、位置とを表す情報を格納する。
【0027】
演算装置220は、収量計測プログラム410を記憶装置240から読み出し実行して、収量を推定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置220は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0028】
演算装置220は、収量計測プログラム410を読み出し実行することで、図4に示すように、時間決定部250と、収量推定部260と、出力部270とを実現する。時間決定部250は、収穫機100の位置情報および/または状態情報に基づき、収穫機100により貯留作業、例えば刈取、脱穀などが行われた時間を表す貯留作業時間510を決定する。収量推定部260は、収穫機100により収穫された収量を推定する。出力部270は、収穫機100により収穫された収量を表す収量情報を出力する。
【0029】
収量推定部260は、未満杯収量推定部261と、満杯収量推定部262と、加算部263とを備える。未満杯収量推定部261は、貯留タンク130が収穫物で満杯になる前に排出された収穫物の量を表す未満杯収量を推定する。満杯収量推定部262は、貯留タンク130が収穫物で満杯であるときに排出された収穫物の量を表す満杯収量を推定する。加算部263は、未満杯収量と満杯収量とを加算して収穫機100が収穫した収量を決定する。ここでは、貯留タンク130が収穫物で満杯である状態を満杯状態と呼び、貯留タンク130が収穫物で満たされていない状態を未満杯状態と呼ぶ。
【0030】
次に、端末300の構成を説明する。端末300は、入出力装置310と、演算装置320と、通信装置330と、記憶装置340とを備える。端末300は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置310には、演算装置320が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置310は、演算装置320が処理を実行した結果を出力する。入出力装置310は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0031】
通信装置330は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置330は、収量計測装置200から取得する信号を演算装置320に転送する。また、演算装置320が生成した信号を収量計測装置200に転送する。通信装置330は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0032】
記憶装置340は、収穫機100が収穫した収穫物の収量を表示するための様々なデータ、例えば表示プログラム420を格納する。記憶装置340は、表示プログラム420を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム420は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0033】
演算装置320は、表示プログラム420を読み出し実行することで、図4に示すように、入出力装置310と協働して、表示部350を実現する。表示部350は、収量計測装置200から取得する収量情報を入出力装置310に表示する。
【0034】
(収量計測システムの動作)
収量計測システム1000が収穫機100により収穫された収穫物の収量を推定する動作を説明する。作業者は、圃場で作物を収穫するために、収穫機100のエンジンを起動して、圃場における作業を行う。収穫機100のエンジンが起動されると、収穫機100の測位装置170は、収穫機100の各時刻における位置を表す位置情報を取得する。また、収穫機100は、収穫機100の状態、例えばエンジンの回転数、各種クラッチの接続状態などを表す状態情報を取得する。さらに、収穫機100は、貯留タンク130が収穫物で満たされた満杯状態を表す検知情報を取得する。位置情報と、状態情報と、検知情報とは、収穫機100の通信装置180から収量計測装置200に出力される。
【0035】
収量計測装置200の演算装置220は、収穫機100の通信装置180から位置情報と状態情報と検知情報とを受信すると、収量計測プログラム410を実行して、収量計測方法の一部である図5に示す処理を実行する。演算装置220により実現される時間決定部250は、ステップS110において、収穫機100が貯留作業を行った貯留作業時間510を決定する。例えば、時間決定部250は、図3に示すように、収穫機100において貯留作業を行う部分、例えば刈取部110、脱穀部120などが稼働している時間を貯留作業時間510として決定する。例えば、時間決定部250は、脱穀部120に動力を伝達する脱穀クラッチが接続されているときの時間を貯留作業時間510として決定する。また、時間決定部250は、刈取部110に動力を伝達する刈取クラッチが接続されているときの時間を貯留作業時間510として決定してもよい。時間決定部250は、貯留作業を行う各部に動力を伝達する各種クラッチの少なくとも1つ、または、所定の数以上が接続されているときの時間を貯留作業時間510として決定してもよい。
【0036】
図5に示すステップS120において、満杯収量推定部262は、収穫機100の状態情報と検知情報とに基づき、貯留タンク130が満杯状態であるときに排出した収穫物の量を表す満杯収量を推定する。例えば、満杯収量推定部262は、満杯状態であるときに収穫物が排出された回数を表す満杯排出回数と、貯留タンク130の容量とに基づき、満杯収量を推定する。ここで、貯留タンク130の容量は、収穫機100に応じた固定値である。
【0037】
満杯収量推定部262は、例えば、満杯状態であるときの時刻を表す満杯時刻520と、収穫物が排出された排出時刻530とに基づき、満杯状態であるときに収穫物が排出された満杯排出回数を決定する。例えば、満杯収量推定部262は、最初に、図3に示すように、排出部160に動力を伝達するオーガクラッチが接続された時刻を排出時刻530として決定する。例えば、排出時刻530は、オーガクラッチが接続された状態から切断された状態に変化した時刻を表す。排出時刻530は、オーガクラッチが切断された状態から接続された状態に変化した時刻を表してもよい。
【0038】
満杯収量推定部262は、次に、収穫機100の検知情報に基づき、満杯時刻520を決定する。例えば、満杯収量推定部262は、検知センサ131が貯留タンク130の満杯を検知した時刻を満杯時刻520として決定する。満杯時刻520は、検知センサ131が貯留タンク130の満杯を検知している期間の任意の時刻を表してよい。例えば、満杯時刻520は、検知センサ131が満杯を検知していない状態から満杯を検知した状態に変化した時刻を表す。満杯時刻520は、検知センサ131が満杯を検知している状態から満杯を検知しない状態に変化した時刻を表してもよい。
【0039】
満杯収量推定部262は、次に、排出時刻530により区切られる期間を表す収穫区分540に満杯時刻520が含まれるとき、貯留タンク130が満杯であるときに収穫物が排出されたと判定する。例えば、満杯収量推定部262は、隣接する2つの排出時刻530で挟まれた期間を収穫区分540として決定する。例えば、収穫区分540は、対応する2つの排出時刻530のうち、後の排出時刻530に排出される収穫物を収穫した期間を表す。決定された収穫区分540に満杯時刻520が含まれるとき、満杯収量推定部262は、収穫区分540の期間に収穫された収穫物が排出される排出時刻530に、満杯状態で収穫物が排出されたと判定する。
【0040】
満杯収量推定部262は、最後に、満杯状態で収穫物が排出されたと判定された回数を、満杯排出回数として決定する。満杯収量推定部262は、満杯時刻520の個数を満杯状態で収穫物が排出された満杯排出回数として決定してもよい。
【0041】
図3に示す例において、満杯収量推定部262は、第1排出時刻530-1より前の期間を第1収穫区分540-1として決定する。また、満杯収量推定部262は、第1排出時刻530-1と第2排出時刻530-2とに挟まれた期間を第2収穫区分540-2として決定する。同様に、満杯収量推定部262は、第2排出時刻530-2と第3排出時刻530-3とに挟まれた期間を第3収穫区分540-3として決定し、第3排出時刻530-3と第4排出時刻530-4とに挟まれた期間を第4収穫区分540-4として決定する。また、満杯収量推定部262は、第4排出時刻530-4と第5排出時刻530-5とに挟まれた期間を第5収穫区分540-5として決定する。
【0042】
第1収穫区分540-1に第1満杯時刻520-1が含まれているため、満杯収量推定部262は、第1排出時刻530-1において、貯留タンク130が満杯であるときに排出されたと判定する。同様に、第2収穫区分540-2に第2満杯時刻520-2が含まれ、第4収穫区分540-4に第3満杯時刻520-3が含まれているため、第2排出時刻530-2と、第4排出時刻530-4とにおいて、貯留タンク130が満杯であるときに排出されたと判定される。
【0043】
また、第3収穫区分540-3に満杯時刻520が含まれないため、満杯収量推定部262は、第3排出時刻530-3において、貯留タンク130が満杯でないときに排出されたと判定する。同様に、第5収穫区分540-5に満杯時刻520が含まれないため、第5排出時刻530-5において、貯留タンク130が満杯でないときに排出されたと判定される。
【0044】
このため、満杯収量推定部262は、貯留タンク130が満杯であるときに収穫物が排出された満杯排出回数が「3」であると決定する。
【0045】
満杯収量推定部262は、決定された満杯排出回数と、貯留タンク130の容量と、収穫物の比重とを積算した値を満杯収量として推定する。ここで、収穫物の比重は、収穫物に応じて決められた固定値を表す。
【0046】
図5に示すステップS130において、未満杯収量推定部261は、収穫機100により貯留作業が行われた貯留作業時間510に基づき、貯留タンク130が満杯でないときに排出された収穫物の収量を表す未満杯収量を推定する。例えば、未満杯収量推定部261は、貯留タンク130が満杯になるまでに行われる貯留作業の時間を表す満杯時間と、貯留タンク130が満杯にないときに排出された収穫物に対して貯留作業が行われた時間を表す未満杯時間とに基づき、未満杯収量を推定する。例えば、未満杯収量推定部261は、満杯時間に対する未満杯時間の比率に基づき、未満杯収量を推定する。
【0047】
満杯時間は、例えば、貯留タンク130が満杯になった収穫区分540における貯留作業時間510に基づき決定される。例えば、未満杯収量推定部261は、貯留タンク130が満杯になった複数の収穫区分540における貯留作業時間510の統計値、例えば平均値、中央値などを満杯時間として決定する。
【0048】
図3に示す例において、未満杯収量推定部261は、複数の収穫区分540のうち、貯留タンク130が満杯になった第1収穫区分540-1と、第2収穫区分540-2と、第4収穫区分540-4とを抽出する。未満杯収量推定部261は、抽出した収穫区分540における貯留作業時間510の平均値を決定する。例えば、未満杯収量推定部261は、第1貯留作業時間510-1と、第2貯留作業時間510-2と、第4貯留作業時間510-4と、第5貯留作業時間510-5とを合計した値を、収穫区分540の個数である「3」で除算した値を満杯時間として決定する。
【0049】
未満杯時間は、例えば、貯留タンク130が満杯にならなかった収穫区分540における貯留作業時間510に基づき決定される。例えば、未満杯収量推定部261は、貯留タンク130が満杯にならなかった各収穫区分540における貯留作業時間510の合計を未満杯時間として決定する。
【0050】
図3に示す例において、未満杯収量推定部261は、複数の収穫区分540のうち、貯留タンク130が満杯にならなかった第3収穫区分540-3と、第5収穫区分540-5とを抽出する。未満杯収量推定部261は、抽出した第3収穫区分540-3において、第3貯留作業時間510-3を未満杯時間として決定する。また、未満杯収量推定部261は、抽出した第5収穫区分540-5において、第6貯留作業時間510-6を未満杯時間として決定する。
【0051】
未満杯収量推定部261は、満杯時間に対する未満杯時間の合計の比率を決定する。満杯時間の貯留作業で貯留タンク130が満杯になるため、この比率は、満杯状態で貯留タンク130に貯留された収穫物の量に対する未満杯時間における貯留作業で収穫した収穫物の量の比率を表す。このため、未満杯収量推定部261は、満杯時間に対する未満杯時間の合計の比率と、貯留タンク130の容量と、収穫物の比重とに基づき、未満杯収量を推定する。例えば、未満杯収量推定部261は、満杯時間に対する未満杯時間の合計の比率と、貯留タンク130の容量と、収穫物の比重とを積算した値を未満杯収量として推定する。図3に示す例において、未満杯時間の合計は、第3貯留作業時間510-3と、第6貯留作業時間510-6とを加算した時間を表す。
【0052】
図5に示すステップS140において、加算部263は、満杯収量と、未満杯収量とに基づき、収穫機100により収穫された収量を推定する。具体的には、加算部263は、満杯収量と未満杯収量とを加算した値を収量として推定する。
【0053】
ステップS150において、出力部270は、推定された収量を表す収量情報を端末300に出力する。例えば、収量情報は、推定された収量を、収穫物が収穫された圃場と関連付けて表してもよい。この場合、出力部270は、圃場データ400と、収穫機100の位置情報とに基づき、収穫機100により収穫作業が行われた圃場を決定する。例えば、出力部270は、作業中、例えば貯留作業中における収穫機100の位置を含む圃場を、圃場データ400から抽出する。出力部270は、抽出された圃場を、収穫機100により収穫物が収穫された圃場として決定する。
【0054】
ステップS160において、端末300の表示部350は、収量計測装置200から取得した収量情報を表示する。例えば、表示部350は、収穫機100が収穫作業を行った圃場と関連付けて、収穫機100が収穫した収量を表す情報を表示する。例えば、表示部350は、地図上に、収穫機100が収穫作業を行った圃場の領域と収量とを表す画像を表示してもよい。
【0055】
このように、収量計測システム1000は、収量センサを備えない収穫機100により収穫された収量を、収穫機100の状態情報と検知情報とに基づき推定することができる。これにより、収量センサを備えない安価な収穫機100による作業であっても、ユーザ、例えば作業者は、収量を容易に確認することができる。
【0056】
なお、図5に示すステップS130において、未満杯収量推定部261は、貯留作業時間510と、収穫機100の速度とを用いて、未満杯収量を推定してもよい。例えば、収穫機100を運転する作業者は、単位面積当たりの収穫物が少ないとき、貯留作業を行うときの速度を上げる場合がある。このとき、単位時間に貯留される収穫物の量は、単位面積当たりの収穫物が多いときより、小さい場合がある。このため、未満杯収量推定部261は、収穫機100の速度に応じて分類した貯留作業のそれぞれに対する未満杯収量を推定してもよい。例えば、未満杯収量推定部261は、収穫機100の速度が基準速度以上のときと、収穫機100の速度が基準速度未満のときとのそれぞれに対して、未満杯収量を推定してもよい。
【0057】
例えば、未満杯収量推定部261は、収穫機100の速度が基準速度以上の収穫区分540における第1未満杯収量を推定する。例えば、最初に、未満杯収量推定部261は、収穫機100の速度が基準速度以上のときに貯留タンク130が満杯となる第1満杯時間を決定する。例えば、収穫機100の速度、例えば平均速度が基準速度以上の収穫区分540における貯留作業時間510の統計値、例えば平均値、中央値などを第1満杯時間として決定する。第1満杯時間は、予め決定された固定値でもよい。次に、未満杯収量推定部261は、第1満杯時間と、収穫機100の速度が基準速度以上のときの貯留作業時間510とに基づき、第1未満杯収量を推定する。具体的には、第1未満杯収量は、収穫機100の速度が基準速度以上であり、かつ、貯留タンク130が満杯にないときに収穫物が排出された収穫区分540において、対応する収穫区分540における貯留作業時間510と第1満杯時間との比率を決定する。決定した比率と、貯留タンク130の容量と、収穫物の比重とに基づき、未満杯収量推定部261は第1未満杯収量を推定する。
【0058】
同様に、未満杯収量推定部261は、収穫機100の速度が基準速度未満の収穫区分540における第2未満杯収量を推定する。例えば、最初に、未満杯収量推定部261は、収穫機100の速度が基準速度未満のときに貯留タンク130が満杯となる第2満杯時間を決定する。次に、未満杯収量推定部261は、第2満杯時間と、収穫機100の速度が基準速度未満のときの貯留作業時間510とに基づき、第2未満杯収量を推定する。
【0059】
未満杯収量推定部261は、第1未満杯収量と第2未満杯収量とを合計して、未満杯収量を推定する。ここで、基準速度は、例えば収穫機100の速度の統計値、例えば平均値、中央値などを表す。また、基準速度は、予め決められた固定値でもよい。
【0060】
さらに、未満杯収量推定部261は、未満杯収量を推定するときに収穫機100の速度を用いるか否かを判定してもよい。例えば、未満杯収量推定部261は、収穫機100の速度のばらつきに基づき、収穫機100の速度の使用有無を判定する。例えば、未満杯収量推定部261は、速度のばらつきが大きいとき、収穫機100の速度を用いて未満杯収量を推定し、速度のばらつきが小さいとき、収穫機100の速度を用いることなく未満杯収量を推定する。例えば、未満杯収量推定部261は、速度の分散値が閾値より大きいとき、速度のばらつきが大きいと判定し、速度の分散値が閾値より小さいとき、速度のばらつきが小さいと判定する。ここで、閾値は、例えば予め決められた固定値を表す。
【0061】
未満杯収量推定部261は、収穫機100の速度に応じて3つ以上に分類した満杯時間と、未満杯時間とに基づき、未満杯収量を推定してもよい。
【0062】
また、図5に示すステップS130において、未満杯収量推定部261は、貯留タンク130が満杯にならなかった収穫区分540ごとに未満杯収量を推定してもよい。この場合、未満杯収量推定部261は、貯留タンク130が満杯にならなかった収穫区分540における未満杯時間を、満杯時間で除算した値を用いて、対応する収穫区分540における未満杯収量として推定する。
【0063】
例えば、図3に示す例において、未満杯収量推定部261は、第3収穫区分540-3における収量を決定するために、満杯時間に対する第3貯留作業時間510-3の比率を決定する。未満杯収量推定部261は、決定された比率に、貯留タンク130の容量と、収穫物の比重とを積算した値を、第3収穫区分540-3における未満杯収量として推定する。同様に、未満杯収量推定部261は、第5収穫区分540-5における収量を決定するために、満杯時間に対する第6貯留作業時間510-6の比率を決定する。未満杯収量推定部261は、決定された比率に、貯留タンク130の容量と、収穫物の比重とを積算した値を、第5収穫区分540-5における未満杯収量として推定する。
【0064】
この場合、収量情報は、各収穫区分540に対する収量を、収穫区分540における収穫機100の位置に関連付けて表してもよい。この場合、表示部350は、地図上に、収穫区分540における収穫機100の位置と、対応する収量とを関連付けて表す画像を表示する。これにより、ユーザは、圃場内の各地点における収量を確認することができる。収穫機100の位置は、収穫機100の位置を測定された時刻の順番に結んだ線で表されてもよい。
【0065】
(実施の形態2)
未満杯収量は、貯留タンク130に設けられた複数の検知センサ131による検知に基づき、推定されてもよい。貯留タンク130は、図6に示すように、複数の検知センサ131を備える場合がある。複数の検知センサ131は、貯留タンク130が所定の検知量に達したことを検知する。例えば、検知センサ131は、貯留タンク130に貯留された収穫物により押圧されたことを検知する圧力センサを含み、収穫物により押圧されることで検知量に達したことを検知する。
【0066】
例えば、第1検知センサ131-1は、貯留タンク130の底から4分の1の高さの位置に設けられ、第2検知センサ131-2は、貯留タンク130の底から4分の2の高さの位置に設けられている。また、第3検知センサ131-3は、貯留タンク130の底から4分の3の高さの位置に設けられ、第4検知センサ131-4は、貯留タンク130の底から4分の4の高さの位置に設けられている。この場合、第1検知センサ131-1は、貯留タンク130に貯留される収穫物が満量の4分の1に達したことを検知し、第2検知センサ131-2は、貯留タンク130に貯留される収穫物が満量の4分の2に達したことを検知する。また、第3検知センサ131-3は、貯留タンク130に貯留される収穫物が満量の4分の3に達したことを検知する。第4検知センサ131-4は、貯留タンク130に貯留される収穫物が満量の4分の4に達したことを検知する。つまり、第4検知センサ131-4は、貯留タンク130が満杯になったことを検知する。なお、検知センサ131が配置される位置は、検出すべき収穫物の量に応じて、任意に設定されてもよい。
【0067】
本実施の形態における収量計測システム1000は、複数の検知センサ131による収穫物の収量の検知と、各収穫区分540における未満杯時間とに基づき、未満杯収量を推定する。
【0068】
(収量計測システムの構成)
収量計測システム1000の構成は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0069】
(収量計測システムの動作)
実施の形態1と同様に、収量計測装置200の演算装置220は、収穫機100の通信装置180から位置情報と状態情報と検知情報とを受信すると、収量計測プログラム410を実行して、収量計測方法の一部である図7に示す処理を実行する。ステップS110の処理と、ステップS120の処理とは、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0070】
ステップS130Bにおいて、未満杯収量推定部261は、収穫機100により貯留作業が行われた貯留作業時間510に基づき、貯留タンク130が満杯でないときに排出された収穫物の収量を表す未満杯収量を推定する。例えば、未満杯収量推定部261は、貯留タンク130が未満杯状態であるときに収穫物が排出された収穫区分540において、検知センサ131により検知されるまでの貯留作業時間510に基づき、対応する収穫区分540における未満杯収量を推定する。例えば、未満杯収量推定部261は、1つの収穫区分540において、1つ以上の検知センサ131により検知される検知量と、検知量に達するまでの貯留作業時間510とに基づき、対応する収穫区分540における未満杯収量を推定する。
【0071】
例えば、未満杯収量推定部261は、1つの収穫区分540において、検知センサ131により検知されるまでの貯留作業時間510と、検知センサ131により検知される検知量とに基づき、貯留タンク130に貯留された収穫物の増加量を推定する。推定された増加量と、収穫区分540における貯留作業時間510とに基づき、未満杯収量は推定される。
【0072】
例えば、未満杯収量推定部261は、最初に、図8に示すように、対応する収穫区分540において、収穫機100から取得された各時刻における検知情報610に基づき、貯留タンク130に検知量の収穫物が貯留されたときの貯留作業時間510を推定する。例えば、未満杯収量推定部261は、1つ以上の検知量の収穫物を最初に検知した1つ以上の検知情報610に基づき、貯留タンク130に貯留された収穫物が検知量に達したときの貯留作業時間510を表す検知時間を推定する。次に、未満杯収量推定部261は、収穫物がそれぞれの検知量に達した検知時間に基づき、貯留作業時間510に対する収穫物の増加量を推定する。最後に、未満杯収量推定部261は、推定された増加量と、収穫区分540における貯留作業時間510とに基づき、未満杯収量を推定する。
【0073】
図3における第4収穫区分540-4において、第4貯留作業時間510-4と、第5貯留作業時間510-5との間に貯留作業を行わない期間が存在する。未満杯収量推定部261は、図8に示すように、貯留作業を行わない期間を除いて、貯留作業時間510を推定する。図8において、検知情報610は、収穫機100が各検知情報610を取得した時刻と、検知センサ131が収穫物の貯留を検知した状態とを表す。例えば、横軸方向において、検知情報610の間隔は、収穫機100が検知情報610を取得するサンプリング間隔660を表す。
【0074】
図8において、第1検知情報610-1は、第4貯留作業時間510-4を開始した時刻において、検知センサ131により検知された収穫物の量を表す。例えば、第1検知情報610-1は、すべての検知センサ131が収穫物の貯留を検知していないことを表す。第2検知情報610-2は、収穫機100が第2検知情報610-2を取得したときに、すべての検知センサ131が収穫物の貯留を検知していないことを表す。
【0075】
第3検知情報610-3は、収穫機100が第3検知情報610-3を取得したときに、第1検知センサ131-1が収穫物の貯留を検知していることを表す。また、第3検知情報610-3は、残りの第2検知センサ131-2と、第3検知センサ131-3と、第4検知センサ131-4とが収穫物の貯留を検知していないことを表す。このため、第3検知情報610-3は、図6に示す貯留タンク130において、貯留された収穫物が底から4分の1までの高さに達していることを表す。
【0076】
図8に示す第4検知情報610-4は、第1検知センサ131-1と第2検知センサ131-2とが収穫物の貯留を検知していることを表し、第3検知センサ131-3と第4検知センサ131-4とが収穫物の貯留を検知していないことを表す。このため、第3検知情報610-3は、図6に示す貯留タンク130において、貯留された収穫物が底から4分の2までの高さに達していることを表す。
【0077】
図8に示す例において、未満杯収量推定部261は、最初に、1つ以上の検知量の収穫物を最初に検知した1つ以上の検知情報610に基づき、貯留タンク130に貯留された収穫物が検知量に達した検知時間を推定する。例えば、未満杯収量推定部261は、対応する収穫区分540において、検知センサ131のいずれかが最初に検知されたことを表す検知情報610の時間を、貯留タンク130に検知量の収穫物が貯留された検知時間として決定する。例えば、未満杯収量推定部261は、第3検知情報610-3が取得された時間を、貯留タンク130に検知量、具体的には貯留タンク130の4分の1の収穫物が貯留された検知時間として決定する。同様に、未満杯収量推定部261は、第4検知情報610-4が取得された時間を、貯留タンク130に検知量、具体的には貯留タンク130の4分の2の収穫物が貯留された検知時間として決定する。
【0078】
次に、未満杯収量推定部261は、図8に示すように、1つ以上の検知量の収穫物を最初に検知した1つ以上の検知情報610、例えば第3検知情報610-3と、第4検知情報610-4とに対する近似直線620を、対応する収穫区分540における収穫物の増加量として決定する。
【0079】
最後に、未満杯収量推定部261は、収穫区分540において貯留作業が終了した時刻における近似直線620上の終了点630に基づき、対応する収穫区分540における未満杯収量を決定する。例えば、未満杯収量推定部261は、終了点630における収量を未満杯収量として決定する。このように、未満杯状態で収穫物が排出された各収穫区分540において、未満杯収量推定部261は、未満杯収量を推定する。
【0080】
図7に示すステップS140からステップS160までの処理は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0081】
このように、収量計測システム1000は、複数の検知センサ131により検知される検知量を用いて、収穫機100による収穫物の収量を推定することができる。
【0082】
また、図7に示すステップS130Bにおいて、未満杯収量推定部261は、1つ以上の検知量の収穫物を最初に検知した1つ以上の検知情報610に基づき、検知情報610が表す時間と異なる時間を、収穫物が検知量に達した検知時間として決定してもよい。例えば、未満杯収量推定部261は、検知情報610が表す時間より補正時間650だけ前の時間を表す補正点670を、検知時間として決定してもよい。例えば、未満杯収量推定部261は、第3検知情報610-3が表す時間より補正時間650だけ前の時間を表す第1補正点670-1を、貯留タンク130に満量の4分の1まで貯留された検知時間として決定する。また、未満杯収量推定部261は、第4検知情報610-4が表す時間より補正時間650だけ前の時間を表す第2補正点670-2を、貯留タンク130に満量の4分の2まで貯留された検知時間として決定する。未満杯収量推定部261は、第1補正点670-1と、第2補正点670-2とに対する近似直線680を、対応する収穫区分540における収穫物の増加量として決定する。未満杯収量推定部261は、収穫区分540において貯留作業が終了した時刻における近似直線680上の終了点690に基づき、対応する収穫区分540における未満杯収量として決定する。
【0083】
ここで、補正時間650は、固定値でもよく、サンプリング間隔660に基づき決定されてもよい。例えば、補正時間650は、サンプリング間隔660の半分の時間であってもよい。また、補正時間650は、検知量の収穫物を最初に検知した検知情報610が表す時間(以下、検知時間という)における収穫機100の状態情報と、その直前に測定された収穫機100の状態情報とに基づき決定されてもよい。例えば、未満杯収量推定部261は、検知時間における収穫機100の速度と、その直前に測定された収穫機100の速度とに基づき、補正時間650を決定してもよい。例えば、未満杯収量推定部261は、サンプリング間隔660を2つの速度の比率で分割した時間を補正時間650として決定してもよい。例えば、未満杯収量推定部261は、2つの速度を合計した値に対して、検知時間における速度の比率を、サンプリング間隔660に積算した値を、補正時間650として決定してもよい。
【0084】
また、未満杯収量推定部261は、1つ以上の検知センサ131により最初に検知した1つ以上の検知情報610が表す検知時間のうち、最後の検知時間以降における収穫機100の速度に基づき、未満杯収量を修正してもよい。例えば、未満杯収量推定部261は、図8に示すように、第4検知情報610-4に対応する最後の検知時間以降の速度に基づき、推定された未満杯終了を修正する。未満杯収量推定部261は、第4検知情報610-4に対応する検知時間以降において測定された1つ以上の速度と、第4検知情報610-4に対応する検知時間より前において測定された速度の統計値、例えば平均値、中央値などとの速度差を決定する。決定された1つ以上の速度差に閾値より大きい速度差が含まれるとき、未満杯収量推定部261は、第4検知情報610-4に対応する時刻以降において測定された速度の回数と、速度差が閾値より大きい個数との速度比率に基づき、未満杯収量を修正する。速度比率は、第4検知情報610-4に対応する時刻以降において測定された速度の個数に対する速度差が閾値より大きい個数を表す。
【0085】
例えば、未満杯収量推定部261は、近似直線620により推定された未満杯収量と、対応する収穫区分540において最後の検知情報610において検知された検知量と、速度比率とに基づき、未満杯収量を修正する。推定された未満杯収量と検知量との差と、速度比率とに基づき、未満杯収量推定部261は未満杯収量を修正する。例えば、未満杯収量推定部261は、最後の検知時間以降において測定された速度が、最後の検知時間より前の速度の統計値より大きいとき、推定された未満杯収量と検知量との差に、速度比率と、係数とを積算した値を、未満杯収量に加算することで、未満杯収量を修正する。最後の検知時間以降において測定された速度が、最後の検知時間より前の速度の統計値より小さいとき、未満杯収量推定部261は、推定された未満杯収量と検知量との差に、速度比率と、係数とを積算した値を、未満杯収量から減算することで、未満杯収量を修正する。
【0086】
ここで、係数は、試験、シミュレーションなどを用いて予め決定された固定値でもよく、最後の検知時間における速度から算出されてもよい。また、係数は、最後の検知時間より前の速度の統計値から算出されてもよい。また、係数は、最後の検知時間における速度と、最後の検知時間より前の速度の統計値とから算出されてもよい。
【0087】
ここで、第4検知情報610-4に対応する時刻以降において、統計値より閾値以上大きい速度と、統計値より閾値以上小さい速度とが混在するとき、速度差が閾値より大きい個数は、統計値より閾値以上大きい速度の個数から、統計値より閾値以上小さい速度の個数を減算して決定されてもよい。例えば、得られた個数が正であるとき、未満杯収量推定部261は、推定された未満杯収量と検知量との差に、速度比率と、係数とを積算した値を、未満杯収量に加算することで、未満杯収量を修正する。得られた個数が負であるとき、未満杯収量推定部261は、推定された未満杯収量と検知量との差に、速度比率と、係数とを積算した値の絶対値を、未満杯収量から減産することで、未満杯収量を修正する。
【0088】
(実施の形態3)
収量計測システム1000は、図9に示すように、貯留タンク130に貯留された収穫物を排出している排出時間550に基づき、収穫機100の収量を計測してもよい。
【0089】
(収量計測システムの構成)
収量計測システム1000の構成は、収量計測装置200の演算装置220により実現される時間決定部250と、収量推定部260とを除き、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。時間決定部250は、収穫機100の状態情報に基づき、排出時間550を決定する。収量推定部260は、図10に示すように、排出量推定部265を備える。排出量推定部265は、排出時間550に基づき、収穫機100の収量を推定する。
【0090】
(収量計測システムの動作)
実施の形態1と同様に、収量計測装置200の演算装置220は、収穫機100の通信装置180から位置情報と状態情報とを受信すると、収量計測プログラム410を実行して、収量計測方法の一部である図11に示す処理を実行する。ステップS210において、時間決定部250は、収穫機100の状態情報に基づき、排出時間550を決定する。例えば、排出時間550は、収穫機100の排出部160が駆動している時間を表す。例えば、排出時間550は、排出部160に動力を伝達するオーガクラッチが接続されている時間を表す。
【0091】
ステップS220において、排出量推定部265は、排出時間550に基づき、排出時間550において収穫機100が排出した収穫物の排出量を推定する。例えば、排出量推定部265は、貯留タンク130が収穫物で満杯であるときにすべての収穫物を排出する満杯排出時間と、決定された排出時間550とに基づき、排出量を推定する。例えば、満杯排出時間は、収穫機100の機種に応じた固定値である。この場合、排出量推定部265は、満杯排出時間に対する排出時間550の比率と、貯留タンク130の容量と、収穫物の比重とに基づき、収穫機100の収量を推定する。例えば、排出量推定部265は、満杯排出時間に対する排出時間550の比率と、貯留タンク130の容量と、収穫物の比重とを積算して得られる値を、収穫機100の収量として推定する。
【0092】
ステップS230の処理と、ステップS240の処理とは、実施の形態1に示すステップS150の処理と、ステップS160の処理と同様のため、説明を省略する。
【0093】
このように、収量計測システム1000は、収量センサを備えない収穫機100により収穫された収量を、収穫機100の状態情報に基づき推定することができる。
【0094】
図11に示すステップS220において、排出量推定部265は、エンジン回転数を用いて、収穫物の排出量を推定してもよい。排出部160による単位時間当たりの排出量は、エンジン回転数に応じて変化する場合がある。ここで、図9に示すように、収穫機100は、エンジン回転数を表す状態情報700を所定の間隔で取得する。図9において、第1状態情報700-1と、第2状態情報700-2とは、オーガクラッチが接続されていないことを表す。このため、第1状態情報700-1と、第2状態情報700-2とは、排出時間550に含まれない。
【0095】
一方、第3状態情報700-3と、第4状態情報700-4とは、オーガクラッチが接続されていることを表す。このため、第3状態情報700-3と、第4状態情報700-4とは、排出時間550に含まれる。
【0096】
排出量推定部265は、排出時間550に含まれる状態情報700、例えば第3状態情報700-3により表される時刻における収量を、状態情報700が取得される間隔と、第3状態情報700-3により表されるエンジン回転数とに基づき推定する。例えば、排出量推定部265は、エンジン回転数に基づき、単位時間当たりの排出量を決定する。例えば、エンジン回転数に応じた単位時間当たりの排出量は、試験、シミュレーションなどに基づき、予め決定されている。例えば、単位時間当たりの排出量は、エンジン回転数に対して単調増加してもよい。排出量推定部265は、決定された単位時間当たりの排出量と、状態情報700が取得される間隔とを積算した値を、第3状態情報700-3により表される時刻における収量として決定する。排出量推定部265は、排出時間550、例えば第1排出時間550-1と、第2排出時間550-2とに含まれる1つ以上の状態情報700に基づき、対応する状態情報700に表される時刻における収量を決定する。排出量推定部265は、決定された各収量を合計することで、収穫機100による収量を推定する。
【0097】
また、図11に示すステップS220において、排出量推定部265は、排出部160の駆動を開始してからの経過時間を用いて、収穫物の排出量を推定してもよい。排出部160は、駆動開始時において、収穫物の排出量が減少する場合がある。このため、排出量推定部265は、状態情報700により表される時刻における収量を、状態情報700が取得される間隔と、排出部160の駆動が開始された時刻からの経過時間とに基づき推定する。例えば、排出量推定部265は、対応する排出時間550において、排出部160の駆動が開始された時刻から状態情報700が取得された時刻までの経過時間を推定する。排出量推定部265は、推定された経過時間に応じた係数と、排出部160による単位時間当たりの排出量とを積算した値を、状態情報700が取得された時刻における排出量として推定する。各状態情報700に対応する排出量を合計することで、排出量推定部265は、収穫機100による収量を推定する。ここで、経過時間に応じた係数は、試験、シミュレーションなどに基づき、予め決定され、例えば1から0の値を有する。
【0098】
また、図11に示すステップS220において、排出量推定部265は、状態情報700に表された時刻から収穫物の排出が完了する時刻までの時間を表す残時間を用いて、収穫物の排出量を推定してもよい。排出部160は、貯留タンク130に貯留されている収穫物が少なくなると、収穫物の排出量が減少する場合がある。このため、排出量推定部265は、状態情報700により表される時刻における収量を、状態情報700が取得される間隔と、残時間とに基づき推定する。例えば、排出量推定部265は、対応する排出時間550において、状態情報700に表された時刻から収穫物の排出が完了する時刻までの時間を表す残時間を推定する。排出量推定部265は、推定された残時間に応じた係数と、排出部160による単位時間当たりの排出量とを積算した値を、状態情報700が取得された時刻における排出量として推定する。各状態情報700に対応する排出量を合計することで、排出量推定部265は、収穫機100による収量を推定する。ここで、残時間に応じた係数は、試験、シミュレーションなどに基づき、予め決定され、例えば1から0の値を有する。
【0099】
排出量推定部265は、エンジン回転数と、排出部160の駆動を開始してからの経過時間と、状態情報700に表された時刻から収穫物の排出が完了する時刻までの時間を表す残時間とのうちの2つ以上を用いて、収穫物の排出量を推定してもよい。例えば、排出量推定部265は、エンジン回転数に応じた単位時間当たりの排出量と、経過時間に応じた係数とに基づき、収穫機100による収量を推定する。また、排出量推定部265は、エンジン回転数に応じた単位時間当たりの排出量と、経過時間に応じた係数と、残時間に応じた係数とに基づき、収穫機100による収量を推定してもよい。この場合、排出量推定部265は、経過時間に応じた係数と、残時間に応じた係数と、排出部160による単位時間当たりの排出量とを積算した値を、状態情報700が取得された時刻における排出量として推定する。
【0100】
図11に示すステップS220において、排出量推定部265は、排出時間550において取得された状態情報700の回数に基づき、収穫物の排出量を推定してもよい。この場合、排出量推定部265は、状態情報700を取得する間隔で満杯排出時間を除算した値と、排出時間550において取得された状態情報700の回数との比率に基づき、収穫物の排出量を推定する。
【0101】
また、単位時間当たりの排出量は、単位時間当たりに排出される収穫物の体積を表してもよい。この場合、排出量推定部265は、単位時間当たりに排出される収穫物の体積と、収穫物の比重とを積算することで、単位時間当たりに排出される収穫物の重量を推定する。
【0102】
(実施の形態4)
収量計測システム1000は、収穫機100の位置情報に基づき、排出時間550を決定してもよい。収量計測システム1000の構成は、実施の形態3と同様のため、説明を省略する。
【0103】
(収量計測システムの動作)
実施の形態1と同様に、収量計測装置200の演算装置220は、収穫機100の通信装置180から位置情報を受信すると、収量計測プログラム410を実行して、収量計測方法の一部である図12に示す処理を実行する。ステップS210Bにおいて、時間決定部250は、収穫機100の位置情報に基づき、排出時間550を決定する。収穫機100は、収穫物を排出しているとき、圃場内で停止している場合が多い。このため、時間決定部250は、収穫機100が圃場内で停止している期間を排出時間550として決定する。例えば、時間決定部250は、時間的に隣接する2つの位置情報により表される位置が距離閾値以下である期間が時間閾値以上続くとき、収穫機100が収穫物を排出していると判定する。このため、時間決定部250は、時間的に隣接する2つの位置情報により表される位置が距離閾値以下である時間を抽出し、抽出された時間が時間閾値以上続く時間を、排出時間550として決定する。
【0104】
ステップS220以降の処理は、実施の形態3と同様のため、説明を省略する。
【0105】
このように、収量計測システム1000は、収量センサを備えない収穫機100により収穫された収量を、収穫機100の位置情報に基づき推定することができる。
【0106】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、図5に示すステップS120において、貯留タンク130が満杯でないときに排出された収穫区分540を未満杯収量推定部261が決定してもよい。
【0107】
また、図5に示すステップS150において、収穫機100により収穫作業が行われた圃場を表す情報がユーザにより入力されてもよい。例えば、ユーザは、端末300の入出力装置310に、収穫作業が行われた圃場を表す情報を入力する。端末300の表示部350は、入力された情報を収量計測装置200に出力する。収量計測装置200の出力部270は、ユーザにより入力された情報に基づき、収穫作業が行われた圃場を決定する。
【0108】
また、図5に示すステップS150において、出力部270により出力される収量情報は、収穫作業を行った収穫機100に対応付けて収量を表してもよい。この場合、出力部270は、位置情報または/および状態情報の送信元に基づき、収穫作業を行った収穫機100を決定する。また、位置情報と、状態情報とは、収穫作業を行った収穫機100を表す情報を含んでもよい。
【0109】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、収量計測システム1000は、端末300を含まず、外部の装置に収量情報を出力してもよい。また、収量計測システム1000は、収穫機100を含まなくてもよい。
【0110】
また、収量計測装置200の処理は、すべてまたは一部が端末300で実行されてもよい。また、端末300の処理は、すべてまたは一部が収量計測装置200で実行されてもよい。収量計測プログラム410は、表示プログラム420を含んでもよい。
【0111】
また、収量計測装置200は、収穫機100の収量を推定するために使用しない情報、例えば位置情報、状態情報などを取得しなくてもよい。この場合、収穫機100は、使用しない情報を取得するための装置、例えば測位装置170などを備えなくてもよい。例えば、収量計測装置200は、状態情報700と検知情報610とに基づき、収穫機100の収量を推定するとき、位置情報を取得しなくてもよい。
【0112】
(付記)
各実施の形態で記載した収量計測方法と、収量計測システムと、収量計測プログラムとは以下のように言うことができる。
【0113】
第1の態様に係る収量計測方法は、
収穫機に設けられた貯留タンクに前記収穫機が収穫物を貯留するときに行われる貯留作業を行った貯留作業時間、または、前記貯留タンクに貯留された前記収穫物を排出した排出時間を、前記収穫機から取得される情報に基づき決定することと、
前記貯留作業時間または前記排出時間に基づき、前記収穫機が収穫した前記収穫物の収量を推定することと、
を含む。
【0114】
第2の態様に係る収量計測方法は、第1の態様に係る収量計測方法であって、
前記貯留作業時間または前記排出時間を決定することは、
前記収穫機の可動部分の状態を表す状態情報に基づき、前記貯留作業時間のうち、前記貯留タンクが前記収穫物により満杯になる前に前記貯留タンクから前記収穫物が排出された第1排出時刻と、前記第1排出時刻の直前に前記貯留タンクから前記収穫物が排出された第2排出時刻との間の未満杯時間を決定することと、
前記貯留タンクが満杯であることを表す検知情報と、前記状態情報とに基づき、前記貯留タンクが満杯であるときに前記収穫物が排出された満杯排出回数を決定することと、
を含み、
前記収穫物の前記収量を推定することは、
前記未満杯時間に基づき、前記貯留タンクが満杯になる前に前記貯留タンクから排出された前記収穫物の未満杯収量を推定することと、
前記満杯排出回数に基づき、前記貯留タンクが満杯であるときに前記貯留タンクから排出された前記収穫物の満杯収量を推定することと、
前記未満杯収量と、前記満杯収量とに基づき、前記収穫物の前記収量を推定することと、
を含む。
【0115】
第3の態様に係る収量計測方法は、第2の態様に係る収量計測方法であって、
前記未満杯収量を推定することは、
前記貯留タンクから前記収穫物を排出してから前記貯留タンクが前記収穫物により満杯になるまでに前記貯留作業を行う満杯時間と、前記未満杯時間とに基づき、前記未満杯収量を推定すること
を含む。
【0116】
第4の態様に係る収量計測方法は、第3の態様に係る収量計測方法であって、
前記未満杯収量を推定することは、
前記収穫機の速度に応じて分類される複数の前記満杯時間と、前記収穫機の速度に応じて分類される複数の前記未満杯時間とに基づき、前記未満杯収量を推定すること
を含む。
【0117】
第5の態様に係る収量計測方法は、第2の態様に係る収量計測方法であって、
前記第1排出時刻から前記第2排出時刻までにおいて、前記貯留タンクに収納された前記収穫物が検知量に達するまでの前記貯留作業時間を表す検知時間を決定することと、
前記検知量と、前記検知時間と、前記未満杯時間とに基づき、前記未満杯収量を推定することと、
を含む。
【0118】
第6の態様に係る収量計測方法は、第5の態様に係る収量計測方法であって、
前記未満杯収量を推定することは、
前記検知時間と、前記検知量とに基づき、前記第1排出時刻から前記第2排出時刻までの前記貯留作業時間において、前記貯留タンクに収容される前記収穫物が単位時間に増加する増加量を推定することと、
前記増加量と、前記第1排出時刻から前記第2排出時刻までの前記未満杯時間とに基づき、前記第2排出時刻において前記貯留タンクから排出された前記未満杯収量を推定することと、
を含む。
【0119】
第7の態様に係る収量計測方法は、第6の態様に係る収量計測方法であって、
前記未満杯収量を推定することは、
前記第1排出時刻から前記第2排出時刻までの前記検知時間のうち、最後の検知時間以降における前記収穫機の速度と、前記最後の検知時間より前における前記収穫機の速度とに基づき、前記第2排出時刻において前記貯留タンクから排出された前記未満杯収量を修正すること
を含む。
【0120】
第8の態様に係る収量計測方法は、第1の態様に係る収量計測方法であって、
前記貯留作業時間または前記排出時間を決定することは、
前記収穫機の可動部分の状態を表す状態情報に基づき、前記排出時間を決定すること
を含み、
前記収量を推定することは、
前記排出時間と、前記収穫機による前記収穫物の単位時間当たりの排出量とに基づき、前記収量を推定すること
を含む。
【0121】
第9の態様に係る収量計測方法は、第8の態様に係る収量計測方法であって、
前記収量を推定することは、
前記収穫機のエンジン回転数に基づき、各時刻における前記単位時間当たりの排出量を決定することと、
前記各時刻における前記単位時間当たりの排出量と、前記排出時間とに基づき、前記収量を推定することと、
を含む。
【0122】
第10の態様に係る収量計測方法は、第8または第9の態様に係る収量計測方法であって、
前記収量を推定することは、
前記収穫機において前記収穫物を排出する排出部が駆動を開始してから経過した経過時間に基づき、各時刻における前記収量を決定することと、
前記各時刻における前記収量と、前記排出時間とに基づき、前記収量を推定することと、
を含む。
【0123】
第11の態様に係る収量計測方法は、第8から第10のいずれか1つの態様に係る収量計測方法であって、
前記収量を推定することは、
各時刻から前記収穫機の排出部が前記収穫物の排出を完了する時刻までの残時間に基づき、前記各時刻における前記収量を決定することと、
前記各時刻における前記収量と、前記排出時間とに基づき、前記収量を推定することと、
を含む。
【0124】
第12の態様に係る収量計測方法は、第1の態様に係る収量計測方法であって、
前記収穫機の位置情報に基づき、前記排出時間を決定すること
を含み、
前記収量を推定することは、
前記排出時間と、前記収穫機による前記収穫物の単位時間当たりの排出量とに基づき、前記収量を推定すること
を含む。
【0125】
第13の態様に係る収量計測システムは、
収穫機に設けられた貯留タンクに前記収穫機が収穫物を貯留するときに行われる貯留作業を行った貯留作業時間、または、前記貯留タンクに貯留された前記収穫物を排出した排出時間を、前記収穫機から取得される情報に基づき決定する時間決定部と、
前記貯留作業時間または前記排出時間に基づき、前記収穫機が収穫した前記収穫物の収量を推定する収量推定部と、
を備える。
【0126】
第14の態様に係る収量計測プログラムは、
収穫機に設けられた貯留タンクに前記収穫機が収穫物を貯留するときに行われる貯留作業を行った貯留作業時間、または、前記貯留タンクに貯留された前記収穫物を排出した排出時間を、前記収穫機から取得される情報に基づき決定することと、
前記貯留作業時間または前記排出時間に基づき、前記収穫機が収穫した前記収穫物の収量を推定することと、
を演算装置に実行させる。
【符号の説明】
【0127】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
100 :収穫機
110 :刈取部
120 :脱穀部
130 :貯留タンク
131 :検知センサ
140 :搬送部
150 :排藁処理部
160 :排出部
170 :測位装置
180 :通信装置
190 :回転計
200 :収量計測装置
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :時間決定部
260 :収量推定部
261 :未満杯収量推定部
262 :満杯収量推定部
263 :加算部
265 :排出量推定部
270 :出力部
300 :端末
310 :入出力装置
320 :演算装置
330 :通信装置
340 :記憶装置
350 :表示部
400 :圃場データ
410 :収量計測プログラム
420 :表示プログラム
510 :貯留作業時間
520 :満杯時刻
530 :排出時刻
540 :収穫区分
550 :排出時間
610 :検知情報
620 :近似直線
630 :終了点
650 :補正時間
660 :サンプリング間隔
670 :補正点
680 :近似直線
690 :終了点
700 :状態情報
1000 :収量計測システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12