(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055303
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/641 20060101AFI20240411BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01R13/641
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162118
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 耀一
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA16
5E021FC31
5E021FC38
5E021JA05
5E021KA06
5E021KA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】正規嵌合していない状態で嵌合検知部材の本係止位置への移動を抑制できるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、相手側ハウジングに嵌合可能なハウジング11と、相手側ハウジングと正規嵌合した状態で仮係止位置から本係止位置への移動が許容される嵌合検知部材30を備え、ハウジングは、片持ち状に延びて撓み変形可能なロックアーム14を備え、ロックアームは、相手側ハウジングと係止可能なロック部15と、ロック部よりロックアームの自由端側に延びる一対のアーム部16と、を備え、一対のアーム部は、それぞれロック受け部18を備え、嵌合検知部材は検知アーム32を備え、検知アームは先端部にストッパ部34と、ストッパ部の両側方に2つのロック凸部35と、を備え、ストッパ部がロック部に係止し、ロック凸部がロック受け部に係止することにより、嵌合検知部材の仮係止位置から本係止位置への移動が抑制される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側ハウジングに嵌合可能なハウジングと、
前記ハウジングに対して仮係止位置と本係止位置との間を移動可能とされ、前記ハウジングと前記相手側ハウジングとが正規嵌合した状態で前記仮係止位置から前記本係止位置への移動が許容される嵌合検知部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記ハウジングの外周壁から片持ち状に延びて撓み変形可能に形成されるロックアームを備え、
前記ロックアームは、前記相手側ハウジングと係止可能なロック部と、前記ロック部の両側方に配され、前記ロック部より前記ロックアームの自由端側に延びる一対のアーム部と、前記一対のアーム部を連結する操作部と、を備え、
前記一対のアーム部は、それぞれロック受け部を備え、
前記嵌合検知部材は、本体部と、前記本体部から延びる検知アームと、を備え、
前記検知アームは、前記検知アームの先端部に配されるストッパ部と、前記ストッパ部の両側方に配される2つのロック凸部と、を備え、
前記ストッパ部が前記ロック部に係止し、前記ロック凸部が前記ロック受け部に係止することにより、前記嵌合検知部材が前記仮係止位置から前記本係止位置に移動することが抑制される、コネクタ。
【請求項2】
前記ロック受け部は、当接部と、前記当接部に接続され、前記ハウジングと前記相手側ハウジングとの嵌合方向について前記当接部から前記操作部に至る範囲に形成される天井部と、を備え、
前記本係止位置は、前記仮係止位置に対して前記嵌合方向の一方側に位置し、
前記嵌合検知部材が前記仮係止位置にある状態で、
前記天井部は、前記嵌合方向に直交する前記ロックアームの撓み方向に前記ロック凸部と対向しており、
前記当接部は、前記嵌合検知部材が前記嵌合方向の一方側に押し込まれた場合に前記嵌合方向に前記ロック凸部と係止可能に配されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記当接部は、前記嵌合方向の一方側に向かうにつれて前記撓み方向について前記外周壁から離間する方向に傾斜している、請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2020-72013号公報(下記特許文献1)に記載のコネクタが知られている。このコネクタは、ハウジングと、ハウジングに装着される嵌合保証部品と、を備える。ハウジングは、相手側ハウジングと係止するロック部を備える。ロック部は、一対のロックアームと、一対のロックアームの先端部を幅方向に連結する操作部と、一対のロックアームの前後方向中間部を幅方向に連結する係合部と、を備える。嵌合保証部品は、基部と、基部から前方に延びる検知アームと、を備える。検知アームの先端には係合部が設けられている。
【0003】
嵌合保証部品は、仮係止位置と、ハウジングと相手側ハウジングとが嵌合した状態で移動可能とされる本係止位置と、においてハウジングに保持されるようになっている。仮係止位置では、検知アームの係合部とロック部の係合部とが係止することにより、嵌合保証部品を前方へ押し込んで、本係止位置に移動させることができないようになっている。ハウジングと相手側ハウジングとが嵌合すると、相手側ハウジングの相手側ロック部が検知アームの係合部を下方に押し下げることにより、検知アームの係合部とロック部の係合部との係止が解除される。これにより、嵌合保証部品を本係止位置に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の構成を小型のコネクタに採用した場合、検知アームの係合部とロック部の係合部との係止面の面積が小さくなる場合がある。この係止面の面積が小さいと、ハウジングと相手側ハウジングとが完全に嵌合していない状態でも、比較的小さい力でロックアーム及び検知アームが撓み、嵌合保証部品が本係止位置まで押し込まれることがありうる。したがって、嵌合保証部品による嵌合検知が適切に行われないことがありうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、相手側ハウジングに嵌合可能なハウジングと、前記ハウジングに対して仮係止位置と本係止位置との間を移動可能とされ、前記ハウジングと前記相手側ハウジングとが正規嵌合した状態で前記仮係止位置から前記本係止位置への移動が許容される嵌合検知部材と、を備え、前記ハウジングは、前記ハウジングの外周壁から片持ち状に延びて撓み変形可能に形成されるロックアームを備え、前記ロックアームは、前記相手側ハウジングと係止可能なロック部と、前記ロック部の両側方に配され、前記ロック部より前記ロックアームの自由端側に延びる一対のアーム部と、前記一対のアーム部を連結する操作部と、を備え、前記一対のアーム部は、それぞれロック受け部を備え、前記嵌合検知部材は、本体部と、前記本体部から延びる検知アームと、を備え、前記検知アームは、前記検知アームの先端部に配されるストッパ部と、前記ストッパ部の両側方に配される2つのロック凸部と、を備え、前記ストッパ部が前記ロック部に係止し、前記ロック凸部が前記ロック受け部に係止することにより、前記嵌合検知部材が前記仮係止位置から前記本係止位置に移動することが抑制される、コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、正規嵌合していない状態において嵌合検知部材が本係止位置に移動することを抑制できるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるコネクタの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、嵌合検知部材が仮係止位置に保持されたコネクタの平面図である。
【
図6】
図6は、ロック受け部及びロック凸部の周辺を示す
図4の拡大図である。
【
図7】
図7は、
図2のA-A断面においてハウジングと相手側ハウジングとが正規嵌合した状態を示す図である。
【
図8】
図8は、
図2のB-B断面においてハウジングと相手側ハウジングとが正規嵌合した状態を示す図である。
【
図9】
図9は、
図2のA-A断面において嵌合検知部材が本係止位置に保持された状態を示す図である。
【
図10】
図10は、
図2のB-B断面において嵌合検知部材が本係止位置に保持された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示のコネクタは、相手側ハウジングに嵌合可能なハウジングと、前記ハウジングに対して仮係止位置と本係止位置との間を移動可能とされ、前記ハウジングと前記相手側ハウジングとが正規嵌合した状態で前記仮係止位置から前記本係止位置への移動が許容される嵌合検知部材と、を備え、前記ハウジングは、前記ハウジングの外周壁から片持ち状に延びて撓み変形可能に形成されるロックアームを備え、前記ロックアームは、前記相手側ハウジングと係止可能なロック部と、前記ロック部の両側方に配され、前記ロック部より前記ロックアームの自由端側に延びる一対のアーム部と、前記一対のアーム部を連結する操作部と、を備え、前記一対のアーム部は、それぞれロック受け部を備え、前記嵌合検知部材は、本体部と、前記本体部から延びる検知アームと、を備え、前記検知アームは、前記検知アームの先端部に配されるストッパ部と、前記ストッパ部の両側方に配される2つのロック凸部と、を備え、前記ストッパ部が前記ロック部に係止し、前記ロック凸部が前記ロック受け部に係止することにより、前記嵌合検知部材が前記仮係止位置から前記本係止位置に移動することが抑制される、コネクタである。
【0011】
このような構成によると、嵌合検知部材が仮係止位置にある状態で、ストッパ部とロック部とが係止するだけでなく、ロック凸部とロック受け部とが係止するため、嵌合検知部材とハウジングとの係止面を大きくすることができる。よって、コネクタが正規嵌合されていない状態で、嵌合検知部材が本係止位置に移動することを抑制することができる。
【0012】
(2)前記ロック受け部は、当接部と、前記当接部に接続され、前記ハウジングと前記相手側ハウジングとの嵌合方向について前記当接部から前記操作部に至る範囲に形成される天井部と、を備え、前記本係止位置は、前記仮係止位置に対して前記嵌合方向の一方側に位置し、前記嵌合検知部材が前記仮係止位置にある状態で、前記天井部は、前記嵌合方向に直交する前記ロックアームの撓み方向に前記ロック凸部と対向しており、前記当接部は、前記嵌合検知部材が前記嵌合方向の一方側に押し込まれた場合に前記嵌合方向に前記ロック凸部と係止可能に配されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、天井部が嵌合方向について当接部から操作部に至る範囲に形成されるから、ロック受け部の形成に伴う一対のアーム部の薄肉化を最小限に抑えることができる。よって、操作部を押圧してロックアームを撓ませた場合に、薄肉による強度不足により一対のアーム部のみが過度に撓むことを抑制することができる。したがって、操作部によってロック部と相手側ハウジングとの係止を適切に解除することができる。
【0014】
(3)前記当接部は、前記嵌合方向の一方側に向かうにつれて前記撓み方向について前記外周壁から離間する方向に傾斜していることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、嵌合検知部材が仮係止位置にある状態で、嵌合検知部材を本係止位置に移動させようとした場合、ロック凸部が当接部に当接もしくは摺接することで、ロック凸部とロック受け部との係止が解除されにくくなる。よって、コネクタが正規嵌合されていない状態で、嵌合検知部材が本係止位置に移動することをより一層抑制することができる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0017】
<実施形態>
本開示の実施形態について、
図1から
図12を参照しつつ説明する。以下の説明においては、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0018】
[コネクタ]
図1及び
図2に示すように、本実施形態のコネクタ10は、ハウジング11と、ハウジング11に組み付けられる嵌合検知部材30と、を備える。
図7に示すように、コネクタ10の嵌合相手は、相手側ハウジング51を備える相手側コネクタ50となっている。ハウジング11と相手側ハウジング51とは、前後方向(嵌合方向の一例)に嵌合するようになっている。
【0019】
[相手側ハウジング]
相手側コネクタ50は、相手側ハウジング51と、相手側ハウジング51内に収容される相手側端子(図示せず)と、を備える。相手側ハウジング51には、相手側ロック部52が設けられている。後述するように、相手側ロック部52は、ハウジング11のロック部15と係止するようになっている(
図7参照)。本実施形態では、相手側端子はタブ状をなす雄端子とされている。
【0020】
[ハウジング]
ハウジング11は、絶縁性の合成樹脂製であって、略ブロック状をなしている。
図1に示すように、ハウジング11は、前後方向に貫通するキャビティ12を有する。キャビティ12内には、図示しない端子が収容されている。これらの端子は、本実施形態では、雌端子とされている。
【0021】
[ロックアーム]
ハウジング11の上側の壁部は外周壁13とされている。外周壁13には、ロックアーム14が形成されている。ロックアーム14は、全体として前後方向に細長く延びた形態である。ロックアーム14は、外周壁13の前端部から後方に延びる片持ち状をなしている。ロックアーム14は、前端部を略支点として上下方向(撓み方向の一例)へ撓み変形可能とされている。
【0022】
ロックアーム14は、前半部14Aと、前半部14Aから上方に突出するロック部15と、前半部14Aから自由端側(後側)に延出された左右一対のアーム部16と、一対のアーム部16の後端部を橋渡し状に連結する操作部17と、を備える。前半部14Aは略板状をなしている。前半部14Aの前端部は、ロックアーム14の基端部であり、外周壁13に接続されている。ロック部15は、前半部14Aの後部の左右中央部に配されている。
図3に示すように、ロック部15の下側には、ロックアーム14の下面から上方に凹むロック凹部15Aが形成されている。
【0023】
図5に示すように、一対のアーム部16は、コネクタ10の幅方向(左右方向)について互いに対向する対向面16Aを有する。詳細には、右側に配されるアーム部16においては、その左側面が対向面16Aとされる。左側に配されるアーム部16においては、その右側面が対向面16Aとされる。各アーム部16は、対向面16Aから幅方向の外方へと凹むロック受け部18を備える。ロック受け部18は、各アーム部16の下面から上方に凹んでいる。
図6に示すように、ロック受け部18は、前後方向に延びる軸と交差する当接部18Aと、当接部18Aの上端部に接続され、前後方向に延びる天井部18Bと、を備える。当接部18Aは上方が嵌合面側に位置するように傾斜している。
【0024】
図1に示すように、ハウジング11には、ロックアーム14の両側方に配され、外周壁13から上方に立ち上がる一対の保護壁19が設けられている。一対の保護壁19により、ロックアーム14と外周壁13との間に異物が進入することを抑制することができる。また、ハウジング11には、外周壁13の幅方向の両端部から上方に立ち上がる一対の側壁部20が設けられている。一対の側壁部20の上端部及び一対の保護壁19の上端部は、連結部21により連結されている。
【0025】
[嵌合検知部材]
嵌合検知部材30は絶縁性の合成樹脂製とされている。嵌合検知部材30は、本体部31と、本体部31から延びる検知アーム32と、を備える。本体部31は、ハウジング11の外周壁13に摺接する部分であり、幅方向に長い形状を有している。検知アーム32は、本体部31の前端部の左右中央位置から上斜め前方に延びている。検知アーム32は本体部31に対して撓み変形可能とされている。
【0026】
嵌合検知部材30には、本体部31の幅方向の両端部から前方に延びる一対の係止片33が設けられている。一対の係止片33は、それぞれハウジング11の側壁部20と保護壁19の間に挿入される。嵌合検知部材30とハウジング11との間には互いに係止可能な複数の係止構造が設けられている。この複数の係止構造によって、嵌合検知部材30がハウジング11に対して仮係止位置(
図3及び
図4)と、仮係止位置より前方に配される本係止位置(
図9及び
図10)と、に保持されるようになっている。
【0027】
上記した複数の係止構造の一例を
図11に示す。係止片33は、第1係止突起33Aと、第1係止突起33Aより後方に配される第2係止突起33Bと、を備える。第1係止突起33A及び第2係止突起33Bは、係止片33から幅方向の外方に突出している。側壁部20は、第3係止突起20Aと、第3係止突起20Aより後方に配される第4係止突起20Bと、を備える。第3係止突起20A及び第4係止突起20Bは、側壁部20の後側部分から幅方向の内方に突出している。
図11においては、嵌合検知部材30は仮係止位置にある。第1係止突起33Aの前側の端面と第3係止突起20Aの後側の端面とが係止することで、嵌合検知部材30の前方への移動が規制される。第2係止突起33Bの後側の端面と第4係止突起20Bの前側の端面とが係止することで、嵌合検知部材30の後方への移動が規制される。よって、嵌合検知部材30は仮係止位置に保持される。
【0028】
また、詳細に図示しないものの、嵌合検知部材30が本係止位置にある場合には、第1係止突起33Aの後側の端面と第3係止突起20Aの前側の端面とが係止することで、嵌合検知部材30の後方への移動が規制される。本体部31の前端と保護壁19の後端とが当接することで、嵌合検知部材30の前方への移動が規制される。よって、嵌合検知部材30は本係止位置に保持される。
【0029】
図1に示すように、検知アーム32は、検知アーム32の先端部に配されるストッパ部34と、ストッパ部34の両側方に配される2つのロック凸部35と、を備える。
図12に示すように、ストッパ部34は、検知アーム32に対して山形状に上方に突出する突出部36と、突出部36から前方に延びる突起部37と、を備える。突出部36には、前方に向かうほど下方に位置して傾斜する傾斜面36Aが設けられている。ロック凸部35は、ストッパ部34の側面に接続される第1面35A、第2面35B、及び第3面35Cを備える。
図6に示すように、第1面35Aは、上方が嵌合面側に位置するように傾斜している。第2面35Bは第1面35Aの上端に接続され、下方が嵌合面側に位置するように傾斜している。第3面35Cは第2面35Bの後端と接続され、上方が嵌合面側に位置するように傾斜している。
【0030】
嵌合検知部材30が仮係止位置に保持された状態では、
図3に示すように、ストッパ部34とロック部15が嵌合方向に対向して配される。詳細には、ストッパ部34の突出部36とロック部15とが前後方向に対向し、ストッパ部34の突起部37はロック凹部15A内に収容されている。嵌合検知部材30が仮係止位置に保持され、ハウジング11と相手側ハウジング51とが完全に嵌合されていない状態で、無理矢理、嵌合検知部材30を前方に移動させようとした場合、ストッパ部34の突出部36とロック部15とが係止する。よって、嵌合検知部材30が仮係止位置から本係止位置へと移動することが抑制される。
【0031】
また、嵌合検知部材30が仮係止位置に保持された状態では、
図4に示すように、ロック受け部18はロック凸部35を受け入れている。詳細には、
図6に示すように、ロック受け部18の当接部18Aは嵌合方向にロック凸部35の第1面35Aと対向している。ロック受け部18の天井部18Bは、ロック凸部35に対して上方に配されている。嵌合検知部材30が仮係止位置に保持され、ハウジング11と相手側ハウジング51とが完全に嵌合されていない状態で、無理矢理、嵌合検知部材30を前方に移動させようとした場合、当接部18Aとロック凸部35の第1面35Aとが係止する。よって、嵌合検知部材30が仮係止位置から本係止位置へと移動することが抑制される。
【0032】
本実施形態では、当接部18Aは、上方が嵌合面側に位置するように傾斜している。このため、
図6に示す状態において嵌合検知部材30を前方に移動させようとした場合、当接部18Aとロック凸部35の第1面35Aとが当接または摺接し、ロック凸部35はロック受け部18の奥方(当接部18Aの上方)へと移動しようとする。よって、ロック凸部35がロックアーム14の下方にもぐることがないので、ロック受け部18とロック凸部35との係止が外れにくくなっている。
【0033】
ハウジング11と相手側ハウジング51との嵌合が完了した状態(正規嵌合の状態)においては、
図7に示すように、相手側ロック部52とロック部15とが係止している。また、嵌合検知部材30が仮係止位置にある状態で、相手側ロック部52はストッパ部34を下方に押し下げている。ハウジング11と相手側ハウジング51とが正規嵌合した状態で、嵌合検知部材30を前方に押し込むと、ストッパ部34の突出部36の傾斜面36Aがロック部15と摺接する。また、ロック凸部35の第2面35Bはロック受け部18の下端部と摺接する(
図8参照)。これにより、検知アーム32はさらに下方へと撓みながら前方へと移動し、嵌合検知部材30は本係止位置に至る(
図9及び
図10参照)。嵌合検知部材30が本係止位置まで押し込まれたことをもって、ハウジング11と相手側ハウジング51との正規嵌合が検知される。
【0034】
嵌合検知部材30が本係止位置に保持された状態では、
図9に示すように、ストッパ部34の突出部36は、ロック凹部15A内に収容されている。また、
図10に示すように、ロック凸部35はロックアーム14の下方に配されている。
【0035】
ハウジング11を相手側ハウジング51から離脱させるには、まず嵌合検知部材30を本係止位置から仮係止位置に移動させる(
図7及び
図8参照)。その後、操作部17を押圧することで、ロックアーム14を下方に撓ませ、ロック部15と相手側ロック部52との係止を解除する。そして、ハウジング11と相手側ハウジング51とを互いに前後方向に離間させることで、ハウジング11と相手側ハウジング51との離脱を行う。
【0036】
[検知アームとロックアームとの係止について]
コネクタ10の幅方向の寸法が小さい場合、ストッパ部34とロック部15との係止面の大きさが小さくなる(
図2参照)。よって、コネクタ10が正規嵌合していない状態で嵌合検知部材30が仮係止位置より前方に移動することを抑制することが難しい場合がありうる。ストッパ部34とロック部15との係止面の大きさを確保するためには、ストッパ部34を幅方向に大きくし、ロックアーム14の一対のアーム部16を幅方向に小さくすることが考えられる。しかし、一対のアーム部16を幅方向に小さくし、薄肉化すると、操作部17を押圧した際、ロックアーム14のうち一対のアーム部16のみが大きく撓み、前半部14Aがほとんど撓まなくなる可能性がある。これにより、ハウジング11のロック部15と相手側ハウジング51の相手側ロック部52との係止を解除できなくなる可能性がある。
【0037】
そこで、本実施形態では、一対のアーム部16を一部切り欠くようにしてロック受け部18を設け、ストッパ部34の両側方にロック凸部35を設けている(
図4参照)。これにより、コネクタ10の幅方向の寸法が小さい場合でも、一対のアーム部16の薄肉化を抑制しつつ、検知アーム32とロックアーム14との係止面を大きくすることができる。したがって、ハウジング11のロック部15と相手側ハウジング51の相手側ロック部52との係止解除を適切に行うことができ、コネクタ10が正規嵌合していない状態で嵌合検知部材30が仮係止位置より前方に移動することを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態では、天井部18Bは当接部18Aから操作部17に至る範囲まで前後方向に延びているから、さらに一対のアーム部16の薄肉化が抑えられている(
図6参照)。
【0039】
[実施形態の作用効果]
実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態にかかるコネクタ10は、相手側ハウジング51に嵌合可能なハウジング11と、ハウジング11に対して仮係止位置と本係止位置との間を移動可能とされ、ハウジング11と相手側ハウジング51とが正規嵌合した状態で仮係止位置から本係止位置への移動が許容される嵌合検知部材30と、を備え、ハウジング11は、ハウジング11の外周壁13から片持ち状に延びて撓み変形可能に形成されるロックアーム14を備え、ロックアーム14は、相手側ハウジング51と係止可能なロック部15と、ロック部15の両側方に配され、ロック部15よりロックアーム14の自由端側に延びる一対のアーム部16と、一対のアーム部16を連結する操作部17と、を備え、一対のアーム部16は、それぞれロック受け部18を備え、嵌合検知部材30は、本体部31と、本体部31から延びる検知アーム32と、を備え、検知アーム32は、検知アーム32の先端部に配されるストッパ部34と、ストッパ部34の両側方に配される2つのロック凸部35と、を備え、ストッパ部34がロック部15に係止し、ロック凸部35がロック受け部18に係止することにより、嵌合検知部材30が仮係止位置から本係止位置に移動することが抑制される、コネクタ10である。
【0040】
このような構成によると、嵌合検知部材30が仮係止位置にある状態で、ストッパ部34とロック部15とが係止するだけでなく、ロック凸部35とロック受け部18とが係止するため、嵌合検知部材30とハウジング11との係止面を大きくすることができる。よって、コネクタ10が正規嵌合されていない状態で、嵌合検知部材30が本係止位置に移動することを抑制することができる。
【0041】
実施形態では、ロック受け部18は、当接部18Aと、当接部18Aに接続され、ハウジング11と相手側ハウジング51との嵌合方向(前後方向)について当接部18Aから操作部17に至る範囲に形成される天井部18Bと、を備え、本係止位置は、仮係止位置に対して嵌合方向の一方側(前側)に位置し、嵌合検知部材30が仮係止位置にある状態で、天井部18Bは、嵌合方向に直交するロックアーム14の撓み方向(上下方向)にロック凸部35と対向しており、当接部18Aは、嵌合検知部材30が嵌合方向の一方側に押し込まれた場合に嵌合方向にロック凸部35と係止可能に配されている。
【0042】
このような構成によると、天井部18Bが嵌合方向について当接部18Aから操作部17に至る範囲に形成されるから、ロック受け部18の形成に伴う一対のアーム部16の薄肉化を最小限に抑えることができる。よって、操作部17を押圧してロックアーム14を撓ませた場合に、薄肉による強度不足により一対のアーム部16のみが過度に撓むことを抑制することができる。したがって、操作部17によってロック部15と相手側ハウジング51との係止を適切に解除することができる。
【0043】
実施形態では、当接部18Aは、嵌合方向の一方側に向かうにつれて撓み方向について外周壁13から離間する方向(上方)に傾斜している。
【0044】
このような構成によると、嵌合検知部材30が仮係止位置にある状態で、嵌合検知部材30を本係止位置に移動させようとした場合、ロック凸部35が当接部18Aに当接もしくは摺接することで、ロック凸部35とロック受け部18との係止が解除されにくくなる。よって、コネクタ10が正規嵌合されていない状態で、嵌合検知部材30が本係止位置に移動することをより一層抑制することができる。
【0045】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、一対の係止片33は第1係止突起33A及び第2係止突起33Bを備え、一対の側壁部20は第3係止突起20A及び第4係止突起20Bを備えていたが、これに限られることはない。例えば、第1係止突起及び第2係止突起は本体部の両側部に設けられ、第3係止突起及び第4係止突起は一対の保護壁に設けられてもよい。また、嵌合検知部材30とハウジング11との間の複数の係止構造は、上記以外の構成であってもよい。
(2)上記実施形態では、ロック受け部18は当接部18Aと天井部18Bとを備えていたが、これに限られることはなく、ロック受け部は当接部のみを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10: コネクタ
11: ハウジング
12: キャビティ
13: 外周壁
14: ロックアーム
14A: 前半部
15: ロック部
15A: ロック凹部
16: アーム部
16A: 対向面
17: 操作部
18: ロック受け部
18A: 当接部
18B: 天井部
19: 保護壁
20: 側壁部
20A: 第3係止突起
20B: 第4係止突起
21: 連結部
30: 嵌合検知部材
31: 本体部
32: 検知アーム
33: 係止片
33A: 第1係止突起
33B: 第2係止突起
34: ストッパ部
35: ロック凸部
35A: 第1面
35B: 第2面
35C: 第3面
36: 突出部
36A: 傾斜面
37: 突起部
50: 相手側コネクタ
51: 相手側ハウジング
52: 相手側ロック部