(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055324
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20240411BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20240411BHJP
B23K 101/42 20060101ALN20240411BHJP
【FI】
H05K3/34 509
B23K1/00 330E
B23K101:42
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162151
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】山崎 勝義
(72)【発明者】
【氏名】國兼 成充
(72)【発明者】
【氏名】花澤 瞬
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AB05
5E319BB01
5E319CC33
5E319CD60
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】C4エリア内の複数の半田バンプの頂部の高さのばらつきが、従来より抑えられる配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本開示の配線基板の製造方法は、C4方式でチップ部品100が実装されるC4エリア30を表面に備える配線基板10が、台座50の平坦な載置面51に載置され、押圧部材40によりC4エリア30の全域のC4バンプ31群が押圧されてフラッタニングされる製造方法であって、台座50の載置面51には、C4エリア30の真下領域52に複数の凹部53が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ部品が実装されるエリアを表面に備える配線基板が、台座の平坦な載置面に載置され、押圧部材により前記エリアの全域の半田バンプ群が押圧されてフラッタニングされる配線基板の製造方法であって、
前記台座の前記載置面には、前記エリアの真下領域に複数の凹部が形成されている。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板の製造方法であって、
前記押圧部材の押圧面は、前記載置面と平行になっている。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板の製造方法であって、
前記配線基板は、複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層されている多層構造をなし、
前記複数の導電層に形成される配線の重なり量の相違により生じる前記エリア内の前記配線基板の厚さの相違に応じて、前記エリアのうち前記配線基板が厚い部分の下方に前記複数の凹部が偏在している。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板の製造方法であって、
前記配線基板には、前記半田バンプ群に対応する複数の開口を有するソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層に覆われ、前記複数の開口内に対応する基板側パッドを有する複数の配線と、が備えられ、
単位面積当りの前記複数の配線の数の相違によって生じる前記ソルダーレジスト層の厚さの相違に応じて、前記エリアのうち前記ソルダーレジスト層が厚い部分の下方に前記複数の凹部が偏在している。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の配線基板の製造方法であって、
前記エリアの外縁部の下方に前記複数の凹部が偏在している。
【請求項6】
請求項1に記載の配線基板の製造方法であって、
前記複数の凹部は、四角形をなしている。
【請求項7】
請求項1に記載の配線基板の製造方法であって、
1つの前記凹部の開口面の上方に、複数の半田バンプが配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ControlledCollapseChipConnection(以下「C4」と略す)の工法において、チップ部品が実装されるC4エリアの複数の半田バンプの頂部を、C4エリア全体で平坦にするために、加圧装置にてC4エリア全体の複数の半田バンプの頂部が押し潰されて平坦化される技術(一般に「フラッタニング」と呼ばれる)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-223065号公報(段落[0009]、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の配線基板の製造方法では、フラッタニング後のC4エリア内の複数の半田バンプの頂部の高さが大きくばらつくことがあり、そのばらつきを抑える技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、チップ部品が実装されるエリアを表面に備える配線基板が、台座の平坦な載置面に載置され、押圧部材により前記エリアの全域の半田バンプ群が押圧されてフラッタニングされる配線基板の製造方法であって、前記台座の前記載置面には、前記エリアの真下領域に複数の凹部が形成されている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の配線基板の製造方法によれば、C4エリア内の複数の半田バンプの頂部の高さのばらつきが、従来より抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図6を参照して、本開示の一実施形態について説明する。
図1に全体を示された本開示の配線基板10は、
図4に示すように複数の導電層21と複数の絶縁層22が交互に積層される多層構造をなし、例えば、表裏の一方の面であるF面がソルダーレジスト層23で覆われている。そして、配線基板10は、F面が電気部品の実装面12になっていて、それとは反対側のB面は、電気部品が実装されない非実装面になっている。また、
図1に示すように、配線基板10全体は、例えば、四角形になっていて、その3つの隅部には位置決孔11が形成されている。
【0009】
配線基板10の実装面12には、
図3に示されたチップ部品100がC4方式で実装されるC4エリア30が設けられている。そのチップ部品100は、例えば、四角形状の平板状をなし、その片面である接続面102の略全体に、複数のチップ側パッド103が分散配置されている。また、複数のチップ側パッド103は、接続面102の外縁部分104に比べてその内側の内側部分105の方が密になっている。
【0010】
なお、チップ部品100は、例えば、ベアチップであるが、C4方式で配線基板10に実装可能な部品であれば、どのようなものでもよく、例えば、ベアチップとインターポーザーとがパッケージされたパッケージ部品であってもよいし、パッケージ・オン・パッケージ構造の部品であってもよい。また、チップ部品100の接続面102におけるチップ側パッド103の疎密は上記構成に限定されるものではなく、チップ側パッド103が接続面102の内側部分105よりも外縁部分104で密になっていてもよいし、チップ側パッド103が接続面102全体で偏りなく均一に配置されていてもよい。
【0011】
図4に示すように、配線基板10のC4エリア30には、チップ部品100の複数のチップ側パッド103に対応する複数の半田バンプ31が形成されている。具体的には配線基板10のソルダーレジスト層23に、複数のチップ側パッド103に対応する複数の開口25が備えられ、配線基板10の最上部の導電層21に含まれる配線26の一部が、複数の開口25内の複数の基板側パッド24として形成されている。そして、複数の半田バンプ31が、複数の開口25に一部を受容されソルダーレジスト層23から突出する状態に形成されている。また、前述したチップ側パッド103の疎密に対応して
図1に示したC4エリア30の外縁エリア34では半田バンプ31が疎で、外縁エリア34より内側の内側エリア33では半田バンプ31が密になっている。さらには、C4エリア30外にも、チップ部品100以外の電気素子を実装するために複数の半田バンプ31Aが備えられている。以下、C4エリア内の半田バンプ31を「C4バンプ31」ということとして、C4エリア外の半田バンプ31Aと区別する。
【0012】
C4エリア30の全体で、C4バンプ31の頂部は、下記加圧装置60にてフラッタニングされて、平坦面32になっている(
図4参照)。なお、本実施形態では、C4エリア30外の複数の半田バンプ31Aの頂部は、フラッタニングされていないが、フラッタニングされていてもよい。
【0013】
図2に示すように、加圧装置60は、台座50と、その上方で昇降する押圧部材40とを有する。台座50の上面は平坦な積載面51になっていて、その積載面51からは、例えば配線基板10の3つの位置決孔11に対応する3つの位置決ピン54が起立している。そして、配線基板10は、各位置決孔11に各位置決ピン54が通されて積載面51に載置されることで三次元的に位置決めされる。なお、複数の位置決ピン54に代えて、積載面51上に、配線基板10の4つの側面に当接する図示しないブロックを設けて配線基板10が位置決めされるようにしてもよい。
【0014】
押圧部材40は、積載面51上に位置決めされる配線基板10のC4エリア30の真上に配置され上下方向に駆動される。押圧部材40の下面は、平坦で積載面51と平行な押圧面42になっていて、C4エリア30と同程度もしくはそれよりも広い。そして、押圧部材40は、予め設定された押圧力で、予め定められた一定の押圧時間に亘ってC4バンプ31を押圧するように制御される。
【0015】
なお、押圧部材40は、予め設定された下死点に到達する迄、降下してから上昇するように制御されてもよい。また、押圧面42には、C4バンプ31の付着を防止するための離型剤がコーティングされていることが好ましい。さらには、台座50及び押圧部材40は、硬質な部材(例えば、鉄、鋼、ステンレス等の金属材料やセラミックス等が挙げられる)であることが好ましい。
【0016】
図1に示すように、台座50には、積載面51のうちC4エリア30の真下に位置する真下領域52に、複数の凹部53が形成されている。具体的には、各凹部53の開口形状は、例えば、角部が面取りされた正方形になっている。そして、凹部53は、真下領域52の1対の外縁部に沿って2列に並べられると共に、残りの1対の外縁部に沿って1列に並べられている。これにより、真下領域52の外縁部には、複数の凹部53によって積載面51が格子状に打ち抜かれた網目エリアが形成されている。また、その網目エリアは、配線基板10のC4エリア30の外縁エリア34と丁度重なる。そして、各凹部53の真上には、それぞれ複数個(例えば、4~10個)ずつのC4バンプ31が配置される。
【0017】
なお、本実施形態では、凹部53の開口形状は、正方形であるが、それに限定されるものではなく、例えば、長方形、六角形、その他の多角形、円形、楕円形等であってもよい。また、各凹部53の上方に配置されるC4バンプ31は、1つであってもよい。また、凹部53は、台座50を上下に貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。さらには、台座50のうち真下領域52全体が段付き状に陥没する受容部になっていて、そこに複数の凹部53を有する付加部品が組み込まれる構造になっていてもよい。また、その付加部品が複数種類用意されて、適宜変更されるようになっていてもよい。
【0018】
本開示の配線基板10は例えば以下のようにして製造される。
(1)
図5に示すように、複数の導電層21と複数の絶縁層22とが交互に積層されると共に、各導電層21上にセミアディティブ法など公知な方法で所定パターンの配線26が形成されて、配線基板10が形成される。
【0019】
(2)次いで、最上部の導電層21上に絶縁樹脂が塗布され、それが固化されてソルダーレジスト層23が形成される。そして、ソルダーレジスト層23の所定位置に、レーザー加工やフォトリソグラフィ処理等により、開口25が形成されて配線26の一部が露出し、基板側パッド24が形成される。
【0020】
(3)次いで、基板側パッド24上に半田ペーストが印刷され、リフロー処理を経て、C4バンプ31が形成される。C4バンプ31は、溶融した半田の表面張力により半球状になる(
図5参照)。なお、本開示のC4バンプ31は、半田ペーストがリフローされたものであるが、直接半田ボールを搭載して形成されるものであってもよい。
【0021】
(4)次いで、
図6に示すように、配線基板10は、加圧装置60の台座50の積載面51上に載置されて位置決ピン54にて位置決めされる。そして、加圧装置60が起動されて押圧部材40が降下し、予め設定された押圧力で、予め定められた一定の押圧時間に亘って押圧部材40によりC4バンプ31が押圧されてフラッタニングされる(
図6参照)。これにより、C4エリア30全体の複数のC4バンプ31の頂部が略面一の平坦面32になる。以上により配線基板10が完成する。
【0022】
ところで、上記した(1)の工程では、各導電層21において、配線26は、チップ部品100の複数のチップ側パッド103と接続するためにC4エリア30の下方領域で密集する。そして、それら配線26は、C4エリア30の下方領域から側方へと延びるので、C4エリア30の中央側より外縁側の方が上下方向で配線26が重なる量は多くなる。その結果、
図5に強調して示すように、C4エリア30の内側エリア33より外縁エリア34の方が厚くなって僅かに上方に隆起する。そのため、C4エリア30内では、外縁エリア34のC4バンプ31群の方が、内側エリア33のC4バンプ31群より僅かに上方に配置される。
【0023】
また、上記した(2)の工程では、以下の理由により、C4エリア30の内側エリア33より外縁エリア34の方が僅かに厚くなる。即ち、C4エリア30の内側エリア33は、外縁エリア34より基板側パッド24が密であり、単位面積当りの配線26の数も多くなり、配線26同士の間の隙間も多くなる。このため、ソルダーレジスト層23の元となる溶融状態の絶縁樹脂のうち配線26同士の間の隙間を埋めるための量は、内側エリア33の方が外縁エリア34より多くなる。その結果、ソルダーレジスト層23は、C4エリア30内では、内側エリア33が薄く、外縁エリア34は厚くなる。そして、ソルダーレジスト層23が厚い外縁エリア34のC4バンプ31群の方が、ソルダーレジスト層23が薄い内側エリア33のC4バンプ31群より大きく形成される。
【0024】
なお、ソルダーレジスト層23の厚さの相違によりC4バンプ31の大きさが変わるメカニズムは、ソルダーレジスト層23が厚い分、開口25が深くなり、そこに充填される半田ペーストの量が多くなるためと考えられる。また、
図5には、ソルダーレジスト層23の厚さの相違及びC4バンプ31の大きさの相違は反映させていない。
【0025】
上述した外縁エリア34のC4バンプ31群の方が、内側エリア33のC4バンプ31群より僅かに上方に配置されることと、外縁エリア34のC4バンプ31群の方が、内側エリア33のC4バンプ31群より僅かに大きく形成されることから、外縁エリア34のC4バンプ31群の頂部の方が、内側エリア33のC4バンプ31群の頂部より上方に位置する。このため、押圧部材40が降下するときには、外縁エリア34のC4バンプ31群によって押圧部材40が受け止められて押圧部材40の降下速度が落とされる。その後、押圧部材40が、外縁エリア34のC4バンプ31群を押し潰しながらゆっくり降下し、内側エリア33のC4バンプ31群も押し潰すことになる。
【0026】
ところが、従来の配線基板の製造方法では、外縁エリア34のC4バンプ31群が降下してくる押圧部材40を受け止める際に大きな衝撃を受けて例えば破断又は粉砕され、その状態でさらに押圧部材40に押されることで、外縁エリア34のC4バンプ31群が過度に押し潰されて小さくなり過ぎることがある。
【0027】
これに対し、本開示の配線基板10の製造方法では、台座50の積載面51には、外縁エリア34の下方となる位置に複数の凹部53が形成されているので、外縁エリア34のC4バンプ31群が降下してくる押圧部材40を受け止める際に配線基板10が部分的に複数の凹部53内へと入り込むように撓んで、外縁エリア34のC4バンプ31群が受ける衝撃が緩和されて、外縁エリア34のC4バンプ31群が破断又は粉砕されることがなくなる。これにより内側エリア33と外縁エリア34とを合わせたC4エリア30の全体のC4バンプ31が、押圧部材40により好適にフラッタニングされ、C4エリア30内の半田バンプ31群の頂部の高さのばらつきが、従来より抑えられる。
【0028】
<他の実施形態>
(1)前記実施形態では、台座50において、C4エリア30における半田バンプ31が密となる外縁エリア34の下方のみに複数の凹部53が形成されていたが、C4エリア30の下方全体に複数の凹部53が形成されていてもよい。
【0029】
(2)押圧部材40は、配線基板10全体を覆う大きさになっていてもよい。
【0030】
(3)前記実施形態の押圧部材40は、平坦に押圧面42を備えて上下に移動するものであったが、押圧部材がローラを有し、配線基板10のC4エリア30上を水平移動してフラッタニングを行ってもよい。また、押圧部材40ではなく、台座50が駆動されてもよく、さらには、押圧部材40と台座50の両方が駆動されてもよい。
【0031】
(4)フラッタニング処理は押圧部材40と台座50とのどちらか一方もしくはその両方に伝熱ヒーター等のような加熱手段を設け、加熱状態でフラッタニングが行われるようにしてもよい。また、加熱手段は押圧部材40、台座50自体に設けられてもよいし、その近傍に設けられていてもよい。
【0032】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0033】
10 配線基板
21 導電層
22 絶縁層
23 ソルダーレジスト層
24 基板側パッド
25 開口
26 配線
30 C4エリア
31 C4バンプ(半田バンプ)
32 平坦面
33 内側エリア
34 外縁エリア
40 押圧部材
50 台座
51 積載面
53 凹部
60 加圧装置
100 チップ部品