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特開2024-55329運搬用手押し車両、運搬用手押し車両の制御装置、運搬用手押し車両に用いられる方法、及び運搬用手押し車両用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055329
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】運搬用手押し車両、運搬用手押し車両の制御装置、運搬用手押し車両に用いられる方法、及び運搬用手押し車両用プログラム
(51)【国際特許分類】
   B62B 7/04 20060101AFI20240411BHJP
   B62B 9/24 20060101ALI20240411BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20240411BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B62B7/04
B62B9/24 Z
B62B3/00 G
B62B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162160
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 昌兵
【テーマコード(参考)】
3D050
3D051
【Fターム(参考)】
3D050AA04
3D050BB03
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK13
3D051AA02
3D051AA15
3D051BA13
3D051DD05
(57)【要約】
【課題】別の地点に移動するときに人を運搬し忘れて置き去りにしてしまうことを抑制できる運搬用手押し車両の技術を提供する。
【解決手段】ある態様の電動カート100は、ユーザが加えた操作力を駆動力として移動可能な車体と、車体に設けられた収容部と、収容部に搭乗させる又は搭乗した人数に関する人数情報を取得する人数情報取得部101と、運搬が開始される前に取得した人数情報を記憶部103に登録する人数情報登録部105と、運搬が開始される又は開始されたか否かを判断する開始判断部106と、登録されている人数情報の示す人数と運搬が開始される又は開始されたときに取得した人数情報の示す人数とが一致しているか否かを判断する一致判断部107と、人数が一致しないと判断された場合に人数が一致しない旨を報知する報知部109と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが加えた操作力を駆動力として移動可能な車体と、
前記車体に設けられた収容部と、
前記収容部に搭乗させる又は搭乗した人数に関する人数情報を取得する人数情報取得部と、
運搬が開始される前に取得した前記人数情報を記憶部に登録する人数情報登録部と、
運搬が開始される又は開始されたか否かを判断する開始判断部と、
前記登録されている人数情報の示す人数と前記運搬が開始される又は開始されたときに取得した人数情報の示す人数とが一致しているか否かを判断する一致判断部と、
前記人数が一致しないと判断された場合に前記人数が一致しない旨を報知する報知部と、
を備える、
運搬用手押し車両。
【請求項2】
前記車体に設けられた車輪を駆動するモータと、
ユーザからの操作力に基づいて前記モータを制御する駆動制御部と、
前記人数が一致しないと判断された場合に前記モータの動作を制限する制限部と、
を備える、
請求項1に記載の運搬用手押し車両。
【請求項3】
前記人数情報取得部はユーザの入力に基づいて前記人数情報を取得する、
請求項1に記載の運搬用手押し車両。
【請求項4】
前記人数情報取得部は前記収容部の床面の少なくとも一部のエリアに設けられた重量センサの検出結果を前記人数情報として取得する、
請求項1に記載の運搬用手押し車両。
【請求項5】
前記収容部に搭乗させる人に付されるIDタグであって、前記IDタグから発せられた識別情報を検出する検出部を備え、
前記人数情報取得部は前記識別情報の検出数に基づいて前記人数情報を取得する、
請求項1に記載の運搬用手押し車両。
【請求項6】
前記車体に接続された車輪を駆動するモータと、
ユーザからの操作力に基づいて前記モータを制御する駆動制御部と、
前記駆動制御部が前記モータを制御しているか否かを示す制御情報を取得する制御情報取得部と、
を備え、
前記開始判断部は前記制御情報に基づいて前記駆動制御部が前記モータを所定の時間以上制御していない状態から前記モータの制御を開始したときに前記運搬が開始される又は開始されたと判断する、
請求項1に記載の運搬用手押し車両。
【請求項7】
前記車体に接続された車輪が回転しているか否かを示す回転情報を取得する回転情報取得部を備え、
前記開始判断部は前記取得した回転情報に基づいて前記車輪が所定の第1時間以上回転していない状態から前記車輪が所定の第2時間以上回転したときに前記運搬が開始される又は開始されたと判断する、
請求項1に記載の運搬用手押し車両。
【請求項8】
前記車体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記開始判断部は前記取得した位置情報が所定の時間以上同じ位置を示した後にその位置から所定の距離以上離れた位置を示したときに前記運搬が開始される又は開始されたと判断する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の運搬用手押し車両。
【請求項9】
前記制限部は前記登録されている人数情報の示す人数と新たに取得した前記人数情報の示す人数とが一致したとき、前記登録されている人数情報が消去若しくは変更されたとき、及び前記ユーザから所定の操作入力を受け付けたときの少なくとも1つのときに前記制限を解除する、
請求項2に記載の運搬用手押し車両。
【請求項10】
ユーザが加えた操作力を駆動力として移動可能な車体に接続された車輪を駆動するモータをユーザからの操作力に基づいて制御する駆動制御部と、
前記車体に設けられた収容部に搭乗させる又は搭乗した人数に関する人数情報を取得する人数情報取得部と、
運搬が開始される前に取得した前記人数情報を記憶部に登録する人数情報登録部と、
運搬が開始される又は開始されたか否かを判断する開始判断部と、
前記登録されている人数情報の示す人数と前記運搬が開始される又は開始されたときに取得した人数情報の示す人数とが一致しているか否かを判断する一致判断部と、
前記人数が一致しないと判断された場合に前記人数が一致しない旨を報知する報知部と、
を備える、
運搬用手押し車両の制御装置。
【請求項11】
ユーザが加えた操作力を駆動力として移動可能な車体に設けられた収容部に搭乗させる又は搭乗した人数に関する人数情報を運搬が開始される前に取得するステップと、
運搬が開始される前に取得した前記人数情報を記憶部に登録するステップと、
運搬が開始される又は開始されたか否かを判断するステップと、
前記人数情報を前記運搬が開始される又は開始されたときに取得するステップと、
前記登録されている人数情報の示す人数と前記運搬が開始される又は開始されたときに取得した人数情報の示す人数とが一致しているか否かを判断するステップと、
前記人数が一致しないと判断された場合に前記人数が一致しない旨を報知するステップと、
を備える、
運搬用手押し車両に用いられる方法。
【請求項12】
コンピュータに、
ユーザが加えた操作力を駆動力として移動可能な車体に設けられた収容部に搭乗させる又は搭乗した人数に関する人数情報を運搬が開始される前に取得するステップと、
運搬が開始される前に取得した前記人数情報を記憶部に登録するステップと、
運搬が開始される又は開始されたか否かを判断するステップと、
前記人数情報を前記運搬が開始される又は開始されたときに取得するステップと、
前記登録されている人数情報の示す人数と前記運搬が開始される又は開始されたときに取得した人数情報の示す人数とが一致しているか否かを判断するステップと、
前記人数が一致しないと判断された場合に前記人数が一致しない旨を報知するステップと、
を実行させるための運搬用手押し車両用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬用手押し車両、運搬用手押し車両の制御装置、運搬用手押し車両に用いられる方法、及び運搬用手押し車両用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、幼児などを乗せる直方体状の運搬箱体を備えた幼児等運搬用手押し車が記載されている。この手押し車は、運搬箱体の前下部に取り付けられた前走行輪と、運搬箱体の後下部に取り付けられた後走行輪と、運搬箱板の中央下部に取り付けられた中央走行輪とを有する。また、運搬箱体の後面に、手押し操作が行ない易くなるようにハンドルが取り付けられており、このハンドルを握り持って手押しすることにより運搬箱体を移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-203128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運搬すべき全ての幼児を運搬用手押し車に搭乗させていない状態で誤って次の運搬先へと出発してしまい、幼児を置き去りにしてしまう場合があった。
【0005】
上記を鑑み、本発明は、別の地点に移動するときに人を運搬し忘れて置き去りにしてしまうことを抑制できる運搬用手押し車両の技術を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の運搬用手押し車両は、ユーザが加えた操作力を駆動力として移動可能な車体と、前記車体に設けられた収容部と、前記収容部に搭乗させる又は搭乗した人数に関する人数情報を取得する人数情報取得部と、運搬が開始される前に取得した前記人数情報を記憶部に登録する人数情報登録部と、運搬が開始される又は開始されたか否かを判断する開始判断部と、前記登録されている人数情報の示す人数と前記運搬が開始される又は開始されたときに取得した人数情報の示す人数とが一致しているか否かを判断する一致判断部と、前記人数が一致しないと判断された場合に前記人数が一致しない旨を報知する報知部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様の運搬用手押し車両の制御装置は、ユーザが加えた操作力を駆動力として移動可能な車体に接続された車輪を駆動するモータをユーザからの操作力に基づいて制御する駆動制御部と、前記収容部に搭乗させる又は搭乗した人数に関する人数情報を取得する人数情報取得部と、運搬が開始される前に取得した前記人数情報を記憶部に登録する人数情報登録部と、運搬が開始される又は開始されたか否かを判断する開始判断部と、前記登録されている人数情報の示す人数と前記運搬が開始される又は開始されたときに取得した人数情報の示す人数とが一致しているか否かを判断する一致判断部と、前記人数が一致しないと判断された場合に前記人数が一致しない旨を報知する報知部と、を備える。
【0008】
本発明の他の態様の運搬用手押し車両に用いられる方法は、ユーザが加えた操作力を駆動力として移動可能な車体に設けられた収容部に搭乗させる又は搭乗した人数に関する人数情報を運搬が開始される前に取得するステップと、運搬が開始される前に取得した前記人数情報を記憶部に登録するステップと、運搬が開始される又は開始されたか否かを判断するステップと、前記人数情報を前記運搬が開始される又は開始されたときに取得するステップと、前記登録されている人数情報の示す人数と前記運搬が開始される又は開始されたときに取得した人数情報の示す人数とが一致しているか否かを判断するステップと、前記人数が一致しないと判断された場合に前記人数が一致しない旨を報知するステップと、を備える。
【0009】
本発明のさらに他の態様の運搬用手押し車両用プログラムは、コンピュータに、ユーザが加えた操作力を駆動力として移動可能な車体に設けられた収容部に搭乗させる又は搭乗した人数に関する人数情報を運搬が開始される前に取得するステップと、運搬が開始される前に取得した前記人数情報を記憶部に登録するステップと、運搬が開始される又は開始されたか否かを判断するステップと、前記人数情報を前記運搬が開始される又は開始されたときに取得するステップと、前記登録されている人数情報の示す人数と前記運搬が開始される又は開始されたときに取得した人数情報の示す人数とが一致しているか否かを判断するステップと、前記人数が一致しないと判断された場合に前記人数が一致しない旨を報知するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【0010】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、別の地点に移動するときに人を運搬し忘れて置き去りにしてしまうことを抑制できる運搬用手押し車両の技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の電動カートを概略的に示す側面図である。
図2図1の電動カートのシステム構成を示すブロック図である。
図3】実施形態の入出力装置の構成例に示す図である。
図4図1の電動カートの内部処理部における処理を示すフローチャートである。
図5】人数情報を取得するための他の手法について説明するための図である。
図6】人数情報を取得するためのさらに他の手法について説明するための図である。
図7】運搬開始時を判断するための他の手法を説明するための図である。
図8】運搬開始時を判断するためのさらに他の手法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0014】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部または全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部または全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0015】
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0016】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態及び変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0017】
実施形態
図1は、本実施形態の電動カート100を概略的に示す側面図である。図2は、電動カート100の情報処理に関するシステム構成を示すブロック図である。本実施形態の電動カート100は、運搬用手押し車両の一例である。
【0018】
図2に示す電動カート100の各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0019】
電動カート100の全体構成を説明する。実施形態の電動カート100は、1人または数人の幼児を乗せて、ユーザが加えた操作力を駆動力として例えば街中を移動可能な電動アシスト付き手押し車両として好適に適用できる。電動カート100は、一人用の電動カードではなく、複数の人を運搬可能に構成される電動カートである。図1に示す電動カート100は、カート本体9と、アシスト部2とを主に備える。アシスト部2は、情報処理部10と、モータ21と、バッテリ22と、入出力装置30とを主に備える。
【0020】
情報処理部10は、全ての機能が、カート本体9に装着される内部処理部20に搭載されてもよいが、一部の機能は、カート本体9から離れた別の装置に搭載され、通信手段を介して互いに連携してもよい。実施形態の情報処理部10は、内部処理部20と、外部端末60とを含み、情報処理機能を分担している。内部処理部20の処理機能の一部は、外部端末60で処理されてもよいし、外部端末60の処理機能の一部は、内部処理部20で処理されてもよい。外部端末60としては、情報表示機能と、情報入力機能と、情報処理機能と、通信機能とを有するスマートフォンを採用できる。
【0021】
カート本体9は、ユーザが操作力Fuを加えて移動させる手押し車両である。以下、カート本体9の移動方向を前後方向といい、前後方向に直交する車幅方向を幅方向という。カート本体9には、直方体状の箱体である収容部92と、収容部92の下部に取り付けられた複数の車輪93、94と、収容部92の後方寄り上部に取り付けられたグリップ部95とが主に設けられている。実施形態の複数の車輪93、94は、2つの前輪93と、2つの後輪94とを含む。収容部92は、幼児等を収容するために上部が開放された袋体97と、袋体97を支持するために、パイプ等で構成されたフレーム体98とで構成される。フレーム体98は、袋体97の外殻を構成する。本実施形態のカート本体9は、車体の一例である。
【0022】
前輪93は、フレーム体98の前方寄りの左右両側に回転可能に取り付けられる従動輪である。2つの後輪94は、フレーム体98の後方寄りの左右両側に取り付けられる。2つの後輪94は、それぞれモータ21によって駆動される駆動輪である。つまり、後輪94には、アシスト部2のアシスト力Faが入力される。グリップ部95は、フレーム体98の後部上端から後方に延びる棒状の部分である。この例では、幅方向に互いに離れて配置される2つのグリップ部95が設けられる。2つのグリップ部95は、前後方向に延伸するパイプ状を有する。2つのグリップ部95の先端には、幅方向に延びるパイプ状の横棒(不図示)が連結される。
【0023】
2つのグリップ部95のそれぞれには、ハンドブレーキレバー96が設けられる。ユーザは、ハンドブレーキレバー96をグリップ部95に近づけることで電動カート100にブレーキをかけることができる。
【0024】
2つのグリップ部95のそれぞれには、ユーザが操作力Fuを加えるための操作力測定部23が設けられる。各操作力測定部23は、幅方向に互いに離れて配置され、それぞれ操作力Fuを検知するグリップセンサである。以下、車輪93、94、モータ21および操作力測定部23について左右を区別するときは符号の末尾に「L」または「R」を付し、区別しないときはこれを省略する。
【0025】
操作力測定部23は、操作力測定部23を前後方向に押し込む力である操作力Fuを測定し、この測定結果をセンサ信号S1として内部処理部20に提供する。この例では、2つの操作力測定部23は、互いに独立しており、左右で別々のセンサ信号S1を内部処理部20に提供する。内部処理部20は、左側の操作力測定部23Lのセンサ信号S1に基づいて左側の後輪94Lのモータ21Lを制御し、右側の操作力測定部23Rのセンサ信号S1に基づいて右側の後輪94Rのモータ21Rを制御する。このように、内部処理部20は、アシスト部2を制御する制御部として機能する。
【0026】
アシスト部2は、カート本体9に加えられる操作力Fuに応じて駆動または制動するためのアシスト力Faを発生させる。駆動するためのアシスト力Faは、操作力Fuと同じ方向にカート本体9を加速する力である。制動するためのアシスト力Faは、カート本体9の移動を減速するブレーキ力である。アシスト部2は、通常、操作力Fuに応じて駆動するためのアシスト力Faをモータ21に発生させ、操作力Fuと同じ方向にカート本体9を加速させる。
【0027】
モータ21は、内部処理部20の制御に基づいてアシスト力Faを発生させる電気モータである。この例では、左右2つの後輪94にそれぞれ連結された2つのモータ21L、21Rが設けられる。左右2つのモータ21L、21Rは、共通に制御されてもよいが、この例では左右2つの操作力測定部23L、23Rのセンサ信号S1に基づいて別々に制御される。この例のモータ21は、内輪ギア駆動モータである。
【0028】
バッテリ22は、モータ21およびその他の部分に電力を供給する。バッテリ22は、繰り返し充放電可能なリチウムイオン電池などの二次電池である。一例として、バッテリ22は、フレーム体98の後面外側に設けられたポケット型のラック(不図示)に着脱可能に保持されてもよい。
【0029】
入出力装置30は、ユーザからの後述の人数情報や運搬を開始する旨の情報等を受け付け、その受け付けた情報を内部処理部20に供給する。
【0030】
重量センサ99は、収容部92の床面の少なくとも一部のエリアに設けられ、収容部92の積載量を検出し、その検出結果を内部処理部20に供給する。重量センサ99は、例えば、圧力センサやロードセルとすることができる。重量センサ99は、収容部92の床面で適切に体重を計測ができる位置(例えば、床面全面や幼児が必ず踏む位置)に設けられればよい。
【0031】
図3は、本実施形態の入出力装置30の構成例を示す。本実施形態の入出力装置30は、ディスプレイ31と、電源ボタン32と、切替ボタン33と、決定ボタン34と、往路/UPボタン35と、復路/DOWNボタン36と、スピーカ37と、を備える。ディスプレイ31は、登録しようとする人数や各種メッセージを表示可能に構成される。図3の例では、登録しようとする人数が5人であることがディスプレイ31に表示されている。電源ボタン32は、電源のオン及びオフを切り替え可能に構成される。電源をオンにすると、バッテリ22の電力に基づいて電動カート100に電源が投入され、所定の場合にアシスト部2はオンになる。電源をオフにすると、電動カート100への電源供給が停止され、アシスト部2はオフになる。切替ボタン33は、人数登録用の画面と往路又は復路の選択用の画面とにディスプレイ31を切り替え可能に構成される。また、切替ボタン33は、登録されている人数情報を消去又は変更する変更用の画面や後述のモータ21の動作の制限を解除する制限解除画面にディスプレイ31を切り替え可能に構成されてもよい。決定ボタン34は、人数登録用の画面が選択されている場合には登録する人数を決定するためのボタンであり、往路又は復路の選択用の画面が選択されている場合には往路又は復路を決定するためのボタンである。往路/UPボタン35は、人数登録用の画面が選択されている場合には登録する人数を1増加させるためのボタンであり、往路又は復路の選択用の画面が選択されている場合には往路を選択するためのボタンである。人数登録用の画面が選択されている場合には登録する人数を1減少させるためのボタンであり、往路又は復路の選択用の画面が選択されている場合には復路を選択するためのボタンである。スピーカ37は、アラート音声を発生可能に構成される。
【0032】
内部処理部20を説明する。内部処理部20は、入力部101と、通信部102と、記憶部103と、駆動制御部104と、人数情報登録部105と、開始判断部106と、一致判断部107と、制限部108と、報知部109と、を含む。
【0033】
入力部101は、操作力測定部23Lおよび23Rからセンサ信号S1を受け付ける。入力部101は、入出力装置から出力された情報を受け付ける。本実施形態の入力部101は、人数情報取得部の一例である。
【0034】
通信部102は、外部端末60と通信して情報を送受信する。通信部102と外部との間の通信方式に制限はないが、この例では、通信部102の通信方式としてBluetooth Low Energy (BLE)を利用したBeacon(登録商標)を採用している。
【0035】
記憶部103は、入力部101が入力した情報、この入力情報を処理した中間処理情報、通信部102の送受信情報等を時系列的に記憶できる。記憶部103は、本実施形態の電動カート100の内部処理部20の処理を実行するためのプログラムを格納している。
【0036】
駆動制御部104は、モータ21L、21Rをそれぞれ駆動し、後輪94L、94Rにアシスト力を発生させる。
【0037】
人数情報登録部105は、運搬が開始される前に取得した人数情報を予め記憶部103に登録する。人数情報は、収容部92に搭乗させる又は搭乗した人数に関する情報である。人数情報は、人数そのものなどの人数を直接的に示すものであってもよいし、人数を算出するための情報(例えば、積載量など)などの人数を間接的に示すものであってもよい。
【0038】
開始判断部106は、幼児等の運搬が開始される又は開始されたか否かを判断する。以下、運搬が開始される又は開始されたときを「運搬開始時」いう。
【0039】
一致判断部107は、登録されている人数情報の示す人数(以下、登録人数という場合がある)と運搬開始時に取得した実際の人数情報(以下、実人数情報という)の示す人数(以下、実人数という)とが一致しているか否かを判断する。ここで、人数情報の示す人数とは、人数情報が人数を直接的に示す場合にはその人数を指し、人数情報が人数を間接的に示す場合には人数情報を処理することにより算出された人数を指すものとする。
【0040】
制限部108は、登録人数と実人数とが一致しないと判断された場合にモータ21の動作を制限する。制限部108は、例えば、操作力Fuが加えられた場合に、駆動するためのアシスト力Faを発生させずに制動するためのアシスト力Faをモータ21に発生させるように駆動制御部104を制御することで、モータ21の動作を制限する。ここでの制動するためのアシスト力Faは、急峻に大きくしても徐々に大きくしてもよい。制限部108は、例えば、車輪93、94やモータ21を物理的にロックすることにより、モータ21の動作を制限してもよい。
【0041】
報知部109は、登録人数と実人数とが一致しないと判断された場合に人数が一致しない旨を報知する。報知部109は、例えば、ディスプレイ31に特定の警告メッセージや警告画面を表示することにより、人数が一致しない旨を報知する。報知部109は、特定の音(例えばブザー音、警告音声等)をスピーカ37に発生させることにより、人数が一致しない旨を報知してもよい。報知部109は、制限部108にモータ21の動作を制限させることにより、人数が一致しない旨を報知してもよい。
【0042】
このように構成された電動カート100の動作の一例を説明する。図4は、本実施形態の電動カート100の内部処理部20における処理S100を例示するフローチャートである。この処理S100は、電動カート100の電源投入時から開始される処理である。したがって、処理S100は、アシスト部2が駆動するためのアシスト力Faを発生させるアシスト機能は無効の状態で開始する。
【0043】
ステップS101で、開始判断部106は、往路での利用であるのか又は復路での利用であるのかを判断する。例えば、開始判断部106は、入力部101が入出力装置30を介してユーザから受け付けた往路又は復路の選択結果に基づいて、往路での利用であるのか又は復路での利用であるのかを判断する。往路での利用である場合(図4のステップS101の「往路」)、処理S100はステップS102に進む。復路での利用である場合(図4のステップS101の「復路」)、処理S100はステップS104に進む。
【0044】
ステップS102で、人数情報登録部105は、登録用の人数情報を取得したかどうかを判断する。例えば、人数情報登録部105は、入力部101が入出力装置30の操作結果を介してユーザから人数の入力を受け付けた場合に、その人数を登録用の人数情報として取得したと判断する。登録用の人数情報を取得した場合(ステップS102のY)、処理S100はステップS103に進む。登録用の人数情報を取得していない場合(ステップS102のN)、処理S100はステップS102の先頭に戻り、登録用の人数情報が取得されるまで、ステップS102の処理が繰り返し実行される。
【0045】
ステップS103で、人数情報登録部105は、取得した人数情報を記憶部103に登録する。その後、処理S100はステップS104に進む。
【0046】
ステップS104で、開始判断部106は、運搬開始時であるか否かを判断する。例えば、開始判断部106は、入力部101が操作部を介して運搬を開始する旨のユーザ入力を受け付けている場合に、運搬開始時であると判断する。運搬開始時である場合(ステップS104のY)、処理S100はステップS105に進む。運搬開始時ではない場合(ステップS104のN)、処理S100はステップS104の先頭に戻り、運搬が開始されるまで、ステップS104の処理が繰り返し実行される。
【0047】
ステップS105で、入力部101は、運搬開始時に取得した実人数情報を取得する。本実施形態では、入力部101は、重量センサ99の検出結果を実人数情報として取得する。この運搬開始時の実人数情報は、運搬開始時と判断されたときのものであってもよいし、運搬開始時と判断されてから所定時間経過後のものであってもよい。その後、処理S100はステップS105に進む。
【0048】
ステップS106で、一致判断部107は、登録人数と実人数とが一致するか否かを判断する。例えば、一致判断部107は、登録した人数情報及び実人数情報の各々に基づいて、登録人数及び実人数を求め、これらが一致するか否かを判断する。本実施形態では、登録した人数情報は人数そのものを示しているため、一致判断部107はその人数を登録人数とする。実人数情報は重量センサ99の検出結果を示すため、一致判断部107はこの検出結果から実人数を求める。例えば、一致判断部107は、重量センサ99の検出した重量を所定の値(一般的な幼児の平均体重等)で除算することにより、実人数を算出することができる。また、幼児が電動カート100に搭乗する毎に積載量が累積的に増加していくことから、一致判断部107は、検出した重量が所定の値以上(例えば、5kg)ずつ増加することを繰り返した回数に基づいて、実人数を算出してもよい。人数が一致しない場合(ステップS106のN)、処理S100はステップS107に進む。
【0049】
ステップS107で、制限部108は、モータ21の動作を制限する。その後、処理S100はステップS108に進む。
【0050】
ステップS108で、報知部109は、人数が一致しない旨を報知する。ステップS108の後、処理S100はステップS104の先頭に戻る。ユーザが電動カート100に搭乗している人数の確認をした後、入力部101が運搬を開始する旨のユーザ入力を受け付け(ステップS104のY)、ステップS105で運搬開始時の実人数情報を新たに取得し、ステップS106で登録人数と新たに取得した実人数情報の示す実人数が一致するまで(ステップS106のY)、ステップS104~S108が繰り返し実行される。この繰り返しの間、制限部108は、モータ21の動作を制限し続ける。
【0051】
一方、ステップS106で登録人数と実人数とが一致する場合(ステップS106のY)、処理S100はステップS109に進む。
【0052】
ステップS109で、駆動制御部104は、アシスト部2による駆動するためのアシスト力Faを発生させるアシスト機能を有効にする。これにより、操作力Fuが加えられた場合に、駆動するためのアシスト力Faを発生させて移動をアシストすることが可能となる。なお、ステップS107でモータ21の動作が制限されている場合及びステップS108で人数が一致しない旨が報知されている場合には、その制限は解除され、報知も終了する。ステップS109の後、処理S100は終了する。
【0053】
ところで、例えば、複数の幼児を公園などの目的地まで連れて行く際に、運搬用手押し車両に複数の幼児を搭乗させてその目的地まで幼児等を運搬する場合がある。しかし、従来、搭乗人数をどのようにして把握しておくかは保育士や幼稚園教諭などの管理者に任されていた。そのため、復路において、運搬すべき全ての幼児を運搬用手押し車両に搭乗させていない状態で誤って出発してしまい、幼児を公園等に置き去りにしてしまうおそれがあった。往路においても同様に、幼児を保育園又は幼稚園に置き去りにしてしまうおそれがあった。
【0054】
本実施形態では、報知部109は、登録人数と実人数とが一致しないと判断された場合に人数が一致しない旨を報知する。本構成によると、別の地点に移動するときに幼児を運搬し忘れて置き去りにしてしまうことを抑制することが可能となる。
【0055】
本実施形態では、制限部108は、登録人数と実人数とが一致しないと判断された場合にモータ21の動作を制限する。本構成によると、モータ21の動作の制限によりユーザが人数の不一致が認識できるとともに、ユーザが運搬用手押し車両を移動し難くなるため、幼児を運搬し忘れて置き去りにしてしまうことを効果的に抑制できる。
【0056】
本実施形態では、入力部101はユーザの入力に基づいて人数情報を取得する。本構成によると、正確に人数情報を取得することが可能となる。
【0057】
本実施形態では、入力部101は重量センサ99の検出結果を人数情報として取得する。本構成によると、簡便且つ正確に搭乗している人数を取得することが可能となる。
【0058】
本実施形態では、制限部108は、登録人数と新たに取得した実人数情報の示す実人数とが一致したときにモータ21の動作の制限を解除する。本構成によると、適切なタイミングで電動カート100を通常利用できるため、利便性が向上する。
【0059】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上記した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上記の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容にも設計変更が許容され得る。
【0060】
[変形例]
以下、変形例を説明する。変形例の図面及び説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0061】
実施形態の説明では、操作力測定部23がグリップセンサである例を示したが、これに限定されない。操作力測定部23は、トルクセンサなどグリップセンサとは異なるセンサであってもよい。
【0062】
実施形態の説明では、通信部102の通信方式としてBeacon(登録商標)を用いる例を示したが、これに限定されない。例えば、通信部102の通信方式としてWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などを採用できる。
【0063】
実施形態の説明では、モータ21が内輪ギア駆動モータである例を示したが、これに限定されない。例えば、モータ21は、後輪に内装されるインホイールモータであってもよい。
【0064】
実施形態の説明では、ステップS102でユーザの入力に基づいて登録用の人数情報が取得され、ステップS105で重量センサ99の検出結果に基づいて実人数情報が取得されたが、これに限定されず、ステップS102及びS105においてユーザの入力に基づいて人数情報が取得されてもよいし、重量センサ99の検出結果に基づいて実人数情報が取得されてもよい。また、ステップS102及びS105において他の手法によって人数情報が取得されてもよい。
【0065】
図5を用いて、人数情報を取得するための他の手法について説明する。図5に示すように、例えば、通信部102は、収容部92に搭乗させる幼児1に付されるIDタグ61から発せられた識別情報を電動カート100に設けられた読取機62を介して検出し、入力部101は、識別情報の検出数に基づいて人数情報を取得してもよい。この例での通信部102は、検出部の一例である。IDタグ61及び通信部102は、例えば、RFIDシステム、電磁結合方式、他の方式を用いて通信することができる。また、個人毎に割り振られたQRコード(登録商標)をIDタグ61に設け、スマートフォンなどの外部端末60や読取機62に幼児1に付されたIDタグ61のQRコード(登録商標)を読み込ませることにより、人数情報が取得されてもよい。本構成によると、簡便且つ正確に搭乗している人数を取得することができる。
【0066】
図6を用いて、人数情報を取得するためのさらに他の手法について説明する。図6に示すように、収容部92における幼児の乗り込みゲート91に、赤外線等の光を投光する投光部とその光を受光する受光部とからなる2つ以上の光電センサ63を設け、乗り込みゲートを幼児が通過して光を遮ると受光部の受光量が変化することを利用して、その変化の回数に基づいて人数情報が取得されてもよい。同様に、出力したマイクロ波等の電波や超音波の反射を検知するセンサの検知結果に基づいて、人数情報が取得されてもよい。
【0067】
さらに、スマートフォンなどの外部端末60のカメラで撮影した画像が人数情報として取得されてもよい。例えば、一致判断部107は、この画像に対して画像認識処理を行うことによりその人数を求めてもよい。
【0068】
実施形態の説明では、往路で登録された人数情報が復路で用いられたが、これに限定されない。復路でも人数情報を再度登録して、その再度登録した人数情報を用いて人数が一致するか否かが判断されてもよい。
【0069】
実施形態の説明では、ステップS104でユーザの入力に基づいて運搬開始時であるか否かが判断されたが、これに限定されない。図7を用いて、運搬開始時を判断するための他の手法を説明する。図7に示すように、内部処理部20は、駆動制御部104がモータ21を制御しているか否かを示す制御情報を取得する制御情報取得部110を備え、開始判断部106は、取得した制御情報に基づいて駆動制御部104がモータ21を所定の時間以上制御していない状態からモータ21の制御を開始したときに運搬開始時と判断してもよい。例えば、制御情報取得部110は、内部処理部20に設けられたマイコン(不図示)からのモータ21の制御についてのオンオフ情報を制御情報として取得し、開始判断部106は所定時間以上オフであった後にオンになった場合に運搬開始時と判断してもよい。運搬開始前では、通常、モータ21は停止状態にあり、運転を開始する際に動作状態となることが想定される。そのため、本構成によると、運搬開始時を正確に把握できるため、より正確に搭乗している人数を取得することができる。
【0070】
図8を用いて、運搬開始時を判断するためのさらに他の手法を説明する。図8に示すように、内部処理部20は、車輪93、94が回転しているか否かを示す回転情報を取得する回転情報取得部111を備え、開始判断部106は、取得した回転情報に基づいて車輪93、94が所定の第1時間以上回転していない状態から車輪93、94が所定の第2時間以上回転したときに運搬開始時と判断してもよい。例えば、回転情報取得部111は、モータ21のエンコーダ21Aで検出されたモータ21の回転子の位置情報を回転情報として取得する。運搬開始前では、通常、モータ21は停止状態にあり、運転を開始する際に一定時間以上回転することが想定される。そのため、本構成によると、運搬開始時を正確に把握できるため、より正確に搭乗している人数を取得することができる。なお、第1時間及び第2時間は、同じであっても異なっていてもよく、適宜設定される。
【0071】
運搬開始時を判断するためのさらに他の手法では、開始判断部106は、カート本体9の位置を示す位置情報が所定の時間以上同じ位置を示した後にその位置から所定の距離以上離れた位置を示したときに運搬開始時と判断してもよい。この例では、通信部102がカート本体9の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部として機能する。例えば、電動カート100にGPSモジュールを設け、GPSモジュールからの位置情報が経時的に記憶部103に記憶される。位置情報が所定の時間同じ位置を示し続けた場合、その位置を基準位置として、その位置から所定の距離以上離れたか否かが判断される。運搬開始前では、通常、電動カートは同じ位置(例えば、保育園、幼稚園や公園)に留まっており、運転を開始する際にはその場所から一定の距離以上離れることが想定される。そのため、本構成によると、運搬開始時を正確に把握できるため、より正確に搭乗している人数を取得することができる。
【0072】
実施形態の説明では、制限部108は登録人数と新たに取得した実人数とが一致したときにモータ21の動作の制限を解除したが、これに限定されない。例えば、制限部108は、登録されている人数情報が消去若しくは変更されたとき、又はユーザから所定の操作入力を受け付けたときにモータ21の動作の制限を解除してもよい。例えば、入出力装置を介して、登録されている人数情報が消去若しくは変更された場合、電源がオフにされた場合、モータ21の動作の制限を解除する操作が入力された場合、制限部108は、モータ21の動作の制限を解除してもよい。したがって、制限部108は、登録されている人数情報の示す人数と新たに取得した前記人数情報の示す人数とが一致したとき、登録されている人数情報が消去若しくは変更されたとき、及びユーザから所定の操作入力を受け付けたときの少なくとも1つのときにモータ21の動作の制限を解除することができる。
【0073】
実施形態の説明では、入力部101は、入出力装置30を介して人数情報等を取得したが、これに限定されず、外部端末60を介して人数情報等を取得してもよい。
【0074】
実施形態の説明では、ステップS107及びS108は図4で例示した順序に限定されず、図4と逆の順序で実行されてもよいし、同時に実行されてもよい。また、少なくとも報知部109が人数が一致しない旨を報知すればよく、制限部108はモータ21の動作を制限しなくてもよい。
【0075】
実施形態の説明では、電動カート100は、4輪である例を示したが、これに限定されず、例えば、5輪以上であってもよい。
【0076】
実施形態の説明では、記憶部103が内部処理部20に備えられる例を示したが、これに限定されない。例えば、記憶部103は、外部端末60に備えられてもよい。
【0077】
上記した各実施形態及び変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0078】
2 アシスト部、 9 カート本体、 10 情報処理部、 20 内部処理部、 21 モータ、 22 バッテリ、 23 操作力測定部、 60 外部端末、 93 前輪、 94 後輪、 95 グリップ部、 100 電動カート、 101 入力部、 102 通信部、 103 記憶部、 104 駆動制御部、 105 人数情報登録部、 106 開始判断部、 107 一致判断部、 108 制限部、 109 報知部、 110 制御情報取得部、 111 回転情報取得部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8