(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005533
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業管理装置及び作業管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240110BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105746
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】515237795
【氏名又は名称】アキュイティー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 眞平
(72)【発明者】
【氏名】根本 幸一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】作業対象物が所定の位置に配置されたことを精度よく判定できる作業管理装置を提供する。
【解決手段】作業管理装置2は、作業者が作業対象物を所定の指定エリアTに配置する作業を撮像装置が撮影することによって生成した撮像画像を取得する画像取得部242と、撮像画像に写っている作業者の動作部位の位置を検出する動作部位検出部243と、動作部位検出部243によって検出された動作部位が指定エリアTに入る前の第1タイミングで撮影された第1撮像画像と、動作部位が指定エリアTに入った後の第2タイミングで撮影された第2撮像画像とを特定し、第1撮像画像における指定エリアTの画像と、第2撮像画像における指定エリアTの画像との差分が所定の閾値以上の場合に、指定エリアTに作業対象物が配置されたと判定する判定部244と、判定部244の判定結果を出力する出力部245とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が作業対象物を所定の指定エリアに配置する作業を撮像装置が撮影することによって生成した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記撮像画像に写っている前記作業者の動作部位の位置を検出する動作部位検出部と、
前記動作部位検出部によって検出された前記動作部位が前記指定エリアに入る前の第1タイミングで撮影された第1撮像画像と、前記動作部位が前記指定エリアに入った後の第2タイミングで撮影された第2撮像画像とを特定し、前記第1撮像画像における前記指定エリアの画像と、前記第2撮像画像における前記指定エリアの画像との差分が所定の閾値以上の場合に、前記指定エリアに前記作業対象物が配置されたと判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
を備える、作業管理装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記動作部位が前記指定エリアに入っていない前記第1タイミングの撮像画像を前記第1撮像画像として特定し、かつ、前記動作部位が前記指定エリアに入っていない前記第2タイミングの撮像画像を前記第2撮像画像として特定し、
特定した前記第1撮像画像と前記第2撮像画像との差分に基づいて前記判定を行う、
請求項1に記載の作業管理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記動作部位が前記指定エリアに入っている所定の基準時刻から第1設定時間だけ前の時刻を前記第1タイミングと決定するとともに、前記所定の基準時刻から第2設定時間だけ後の時刻を前記第2タイミングと決定する、
請求項1又は2に記載の作業管理装置。
【請求項4】
前記撮像装置は、複数の前記指定エリアを含む撮像画像を生成し、
前記判定部は、前記指定エリアごとに前記第1タイミング及び第2タイミングを決定する、
請求項3に記載の作業管理装置。
【請求項5】
前記動作部位検出部は、前記撮像画像に写っている前記作業者の身体の画像に基づき、複数の動作ポイントを含む前記身体の骨格情報を作成し、
前記出力部は、前記複数の動作ポイントのうち前記作業者が行う前記作業の内容に関連する所定の動作ポイントを、前記作業者の身体の画像における前記所定の動作ポイントに対応する身体の部位に重畳させて画像表示部に表示させる、
請求項1又は2に記載の作業管理装置。
【請求項6】
前記動作部位検出部は、前記撮像画像に写っている前記作業者の身体の画像に基づき前記身体の骨格情報を作成し、前記骨格情報に基づいて特定した、前記作業者が行う前記作業の内容に関連する1以上の動作ポイントの位置に基づいて前記動作部位の位置を検出する、
請求項1又は2に記載の作業管理装置。
【請求項7】
前記動作部位検出部は、複数の前記作業の内容と、前記作業の内容に関連する複数の前記所定の動作ポイントとを関連付けて記憶する記憶部を参照し、ユーザから受け付けた前記作業の内容の入力に応じて、入力された前記作業の内容に関連する前記所定の動作ポイントを決定する、
請求項6に記載の作業管理装置。
【請求項8】
前記動作部位検出部が作成した前記骨格情報が示す動きに基づいて、前記作業者が行う前記作業の内容を特定する作業特定部をさらに備え
前記動作部位検出部は、前記作業特定部が特定した前記作業の内容に関連する前記動作ポイントの位置に基づいて前記動作部位の位置を検出する、
請求項6に記載の作業管理装置。
【請求項9】
前記判定部は、
前記作業対象物が配置された対象物配置エリアから前記作業者が前記作業対象物をピックアップしたことを検出する検出手段からの出力を受信した受信タイミング、又は、前記受信タイミングよりも所定時間だけ前若しくは後のタイミングを、前記第1タイミングとする、
請求項1又は2に記載の作業管理装置。
【請求項10】
作業者が作業対象物を所定の指定エリアに配置する作業を撮像装置が撮影することによって生成した撮像画像を取得する画像取得ステップと、
前記撮像画像に写っている前記作業者の動作部位の位置を検出する動作部位検出ステップと、
前記動作部位検出ステップにおいて検出された前記動作部位が前記指定エリアに入る前の第1タイミングで撮影された第1撮像画像と、前記動作部位が前記指定エリアに入った後の第2タイミングで撮影された第2撮像画像とを特定し、前記第1撮像画像における前記指定エリアの画像と、前記第2撮像画像における前記指定エリアの画像との差分が所定の閾値以上の場合に、前記指定エリアに前記作業対象物が配置されたと判定する判定ステップと、
前記判定ステップでの判定結果を出力する出力ステップと、
を有し、各ステップはコンピュータによって実行される、作業管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理装置及び作業管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者が行う作業を撮影することによって取得した撮像画像を分析し、作業者の手が所定の監視領域に入ったことや、作業者によって部品が所定の位置に組み付けられたことを検出する作業分析システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、作業者がある位置に置かれている対象物を所定の位置に移動させ、その対象物を配置する作業においては、対象物が所定の位置に配置されたか否かを判定することが重要となる。しかし、従来の技術では、対象物が所定の位置に配置されたことを精度よく判定できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、作業対象物が所定の位置に配置されたことを精度よく判定できる作業管理装置及び作業管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態の作業管理装置は、作業者が作業対象物を所定の指定エリアに配置する作業を撮像装置が撮影することによって生成した撮像画像を取得する画像取得部と、前記撮像画像に写っている前記作業者の動作部位の位置を検出する動作部位検出部と、前記動作部位検出部によって検出された前記動作部位が前記指定エリアに入る前の第1タイミングで撮影された第1撮像画像と、前記動作部位が前記指定エリアに入った後の第2タイミングで撮影された第2撮像画像とを特定し、前記第1撮像画像における前記指定エリアの画像と、前記第2撮像画像における前記指定エリアの画像との差分が所定の閾値以上の場合に、前記指定エリアに前記作業対象物が配置されたと判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を備える。
【0007】
前記判定部は、前記動作部位が前記指定エリアに入っていない前記第1タイミングの撮像画像を前記第1撮像画像として特定し、かつ、前記動作部位が前記指定エリアに入っていない前記第2タイミングの撮像画像を前記第2撮像画像として特定し、特定した前記第1撮像画像と前記第2撮像画像との差分に基づいて前記判定を行ってもよい。
【0008】
前記判定部は、前記動作部位が前記指定エリアに入っている所定の基準時刻から第1設定時間だけ前の時刻を前記第1タイミングと決定するとともに、前記所定の基準時刻から第2設定時間だけ後の時刻を前記第2タイミングと決定してもよい。
【0009】
前記撮像装置は、複数の前記指定エリアを含む撮像画像を生成し、前記判定部は、前記指定エリアごとに前記第1タイミング及び第2タイミングを決定してもよい。
【0010】
前記動作部位検出部は、前記撮像画像に写っている前記作業者の身体の画像に基づき、複数の動作ポイントを含む前記身体の骨格情報を作成し、前記出力部は、前記複数の動作ポイントのうち前記作業者が行う前記作業の内容に関連する所定の動作ポイントを、前記作業者の身体の画像における前記所定の動作ポイントに対応する身体の部位に重畳させて画像表示部に表示させてもよい。
【0011】
前記動作部位検出部は、前記撮像画像に写っている前記作業者の身体の画像に基づき前記身体の骨格情報を作成し、前記骨格情報に基づいて特定した、前記作業者が行う前記作業の内容に関連する1以上の動作ポイントの位置に基づいて前記動作部位の位置を検出してもよい。
【0012】
前記動作部位検出部は、複数の前記作業の内容と、前記作業の内容に関連する複数の前記所定の動作ポイントとを関連付けて記憶する記憶部を参照し、ユーザから受け付けた前記作業の内容の入力に応じて、入力された前記作業の内容に関連する前記所定の動作ポイントを決定してもよい。
【0013】
前記作業管理装置は、前記動作部位検出部が作成した前記骨格情報が示す動きに基づいて、前記作業者が行う前記作業の内容を特定する作業特定部をさらに備え、前記動作部位検出部は、前記作業特定部が特定した前記作業の内容に関連する前記動作ポイントの位置に基づいて前記動作部位の位置を検出してもよい。
【0014】
前記判定部は、前記作業対象物が配置された対象物配置エリアから前記作業者が前記作業対象物をピックアップしたことを検出する検出手段からの出力を受信した受信タイミング、又は、前記受信タイミングよりも所定時間だけ前若しくは後のタイミングを、前記第1タイミングとしてもよい。
【0015】
本発明の一形態の作業管理方法は、作業者が作業対象物を所定の指定エリアに配置する作業を撮像装置が撮影することによって生成した撮像画像を取得する画像取得ステップと、前記撮像画像に写っている前記作業者の動作部位の位置を検出する動作部位検出ステップと、前記動作部位検出ステップにおいて検出された前記動作部位が前記指定エリアに入る前の第1タイミングで撮影された第1撮像画像と、前記動作部位が前記指定エリアに入った後の第2タイミングで撮影された第2撮像画像とを特定し、前記第1撮像画像における前記指定エリアの画像と、前記第2撮像画像における前記指定エリアの画像との差分が所定の閾値以上の場合に、前記指定エリアに前記作業対象物が配置されたと判定する判定ステップと、前記判定ステップでの判定結果を出力する出力ステップと、を有し、各ステップはコンピュータによって実行される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作業対象物が所定の位置に配置されたことを精度よく判定できる作業管理装置及び作業管理方法を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態の作業管理システムの構成を示す図である。
【
図2】作業者が行う作業を上方から見た様子を示す図である。
【
図3】カメラが撮影した撮像画像と、画像上に表示された在庫エリア及び指定エリアとを示す図である。
【
図4】作業者の手の画像に基づいて作成された骨格情報を示す図である。
【
図5】記憶部が記憶する作業の内容と動作ポイントとが関連付けられたデータテーブルの一例である。
【
図6】判定部による撮像画像の差分に基づく商品配置の判定を説明するための模式図である。
【
図7】作業管理システムの動作の一例のフローチャートである。
【
図8】カメラが撮影した撮像画像と、画像上に表示された複数の在庫エリア及び複数の指定エリアとを示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態の変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
以下の説明では、同一又は対応する要素には同一又は対応する符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態の作業管理システムS100の構成を示す図である。
図2は、作業者が行う作業を上方から見た様子を示す図である。
図3は、カメラ1が撮影した撮像画像と、画像上に表示された在庫エリアS及び指定エリアTとを示す図である。
【0019】
[作業管理システムS100の概要]
作業管理システムS100は、
図1に示すように、カメラ1と、作業管理装置2とを備えている。本実施形態では、作業管理システムS100が、作業者が行う商品の仕分け作業を撮影することを例示する。この作業は具体的には、
図1及び
図2に示すように、作業者が、複数の在庫箱11-1、11-2、11-3(単に在庫箱11ともいう)から作業対象物である商品5を取り、その商品5を梱包箱12に移動させて配置する作業である。
【0020】
本実施形態の作業管理システムS100は、作業者の手が梱包箱12に対応する所定の指定エリアTに入る前のタイミングで撮影された撮像画像と、作業者の手がその指定エリアTに入った後のタイミングで撮影された撮像画像との差分に基づいて、梱包箱12に商品5が配置されたことを判定することを特徴の1つとしている。
【0021】
作業者が行うこの種の作業においては、商品5を掴んだ状態の作業者の手が梱包箱12の上を通過したが商品5が梱包箱12に配置されないことが想定される。そのため、単に作業者の手が指定エリアTに入ったことを条件として商品5が梱包箱12に配置されたと判定をする方式では、商品5が梱包箱12に配置されたことを正しく判定できない。
【0022】
これに対して、本実施形態の作業管理システムS100によれば、詳細は後述するが、指定エリアTに作業者の手が入った前の撮像画像と、指定エリアTに作業者の手が入った後の撮像画像とを用い、それらの撮像画像の差分に基づいて商品5が配置されたことを判定するため、商品5が梱包箱12に配置されたことを精度よく判定することができる。
【0023】
[作業管理システムS100の各部の説明]
(カメラ1)
カメラ1は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有する撮像装置である。カメラ1は、不図示の支持体によって支持され、在庫箱11、梱包箱12、商品5及び作業をしている作業者の手を上方から、所定のフレームレートで撮影する。カメラ1は、生成した撮像画像を作業管理装置2へ送信する。
【0024】
(作業管理装置2)
作業管理装置2は、例えば、コンピュータプログラムがインストールされたコンピュータである。作業管理装置2は、一例として、
図1に示すように、入力部21、表示部22、記憶部23、及び制御部24を有する。
【0025】
入力部21は、作業者からの入力を受け付けるためのデバイスである。入力部21は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等の任意のデバイスである。
【0026】
表示部22は、各種の情報を表示する任意の画像表示部であり、例えば1つ又は複数のディスプレイである。入力部21及び表示部22が、タッチパネル式ディスプレイとして構成されていてもよい。表示部22は、カメラ1が生成した連続的な複数の撮像画像である動画を例えばリアルタイムに表示する。表示部22は、ディスプレイとして構成されたもののほか、例えば、投影部(不図示)が所定の被写体に対して映像を投影することにより各種の情報が表示されるものであってもよい。
【0027】
表示部22は、一例として
図3のような画像が表示する。
図3の画像は、カメラ1が生成した撮像画像に加えて、在庫エリアS及び指定エリアTを含んでいる。在庫エリアSは、在庫箱11に対応する大きさにエリアであり、この例では、それぞれの在庫箱11に対応して3つの在庫エリアSが設定されている。指定エリアTは、梱包箱12に対応する大きさに設定されたエリアであり、この例では、梱包箱12に対応して1つの指定エリアTが設定されている。在庫エリアS及び指定エリアTの設定については、後述する。
【0028】
記憶部23は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部23は、制御部24が実行するコンピュータプログラムを記憶する。記憶部23は、後述するように制御部24が演算処理を行う際に参照する各種のデータを記憶している。
【0029】
(制御部24の各機能部)
制御部24は、CPU(Central Processing Unit)を有する。制御部24は、例えば、記憶部23が記憶するコンピュータプログラムを実行することにより、
図1に示すように、エリア設定部241、画像取得部242、動作部位検出部243、判定部244、及び出力部245として機能する。
【0030】
エリア設定部241は、在庫エリアS及び指定エリアTを設定するための機能部である。エリア設定部241は、例えば、ユーザが入力部21を用いて指定した範囲を在庫エリアS及び指定エリアTとして受け付け、設定情報を記憶部23に記憶させる。具体的には、ユーザは、例えば、四角形の対角の二点の座標を入力することによって在庫エリアS及び指定エリアTを設定する。
【0031】
画像取得部242は、カメラ1が生成した撮像画像を取得する。画像取得部242によって取得された撮像画像は、一例として、記憶部23に保存される。
【0032】
動作部位検出部243は、撮像画像に写っている作業者の動作部位の一例である手の位置を検出する。
図4は、作業者の手の画像に基づいて作成された骨格情報を示す図である。動作部位検出部243は、撮像画像に写っている作業者の身体の画像に基づき、骨格情報を作成する。動作部位検出部243は、一例として、作業者の身体に付されたマーカなどを利用することなく、撮像画像に写った身体の画像に基づきリアルタイムで動作部位の三次元的な骨格情報を作成する。
【0033】
「骨格情報」は、例えば、関節や指先などの位置に対応した複数の動作ポイントを含む。
図4では、作業者の片手(右手)の複数の動作ポイントのうち、一例として、親指の先端及び親指の関節がそれぞれ動作ポイントP11、P12で示され、人差し指の先端及び人差し指の関節がそれぞれ動作ポイントP21、P22で示されている。
【0034】
本実施形態では、後述するように、判定部244により、作業者の動作部位が指定エリアTに入っているか否かが検出される。作業者の動作部位が指定エリアTに入っているか否かの検出のためには、動作部位のうち具体的にどの位置が指定エリアTに入っているかを特定する必要がある。そこで、動作部位検出部243は、一例で、骨格情報に基づいて特定した、作業の内容に関連する1以上の動作ポイントの位置に基づいて、作業者の動作部位の位置を検出する。
【0035】
具体例として、人差し指と親指とで商品5を持って移動させる作業の場合、動作部位検出部243は動作ポイントP11及び動作ポイントP21の位置に基づいて、作業者の手の位置を検出する。すなわち、動作ポイントP11及び動作ポイントP21が、作業者の手の位置を検出するための基準位置となる。なお、動作部位検出部243は、複数の動作ポイントではなく、動作ポイントP11又は動作ポイントP21のいずれか一方の位置に基づいて手の位置を検出してもよい。
【0036】
本実施形態では、作業内容に関連する動作ポイントを基準として手の位置が検出されるため、上記のような作業内容の例で言えば、例えば手首の動作ポイントを基準として手の位置を検出する場合と比べて、作業内容に応じたより適切な検出が可能となる。
【0037】
複数の動作ポイントのうちどの動作ポイントが、対象の作業における動作部位の検出に重要であるかは、作業内容に応じて異なる。例えば、大きな商品を移動させる作業であれば右手と左手のそれぞれの動作ポイントを検出することが好ましく、小さな商品を移動させる作業であれば片手の動作のみ検出すればよいといったことが想定される。
【0038】
そこで、記憶部23は、複数の作業内容と、作業内容に関連する複数の所定の動作ポイントとを関連付けて記憶していてもよい。この場合、動作部位検出部243は、記憶部23を参照し、作業内容に関連する動作ポイントを決定してもよい。具体的には、動作部位検出部243は、ユーザから受け付けた作業内容の入力に応じて、入力された作業内容に関連する動作ポイントを決定してもよい。作業内容は、例えば、所定のグラフィカルユーザインターフェースを介して入力される。作業の内容が、作業管理システムS100によって特定される例については後述する。
【0039】
図5は、記憶部23が記憶する作業内容と動作ポイントとが関連付けられたデータテーブルの一例である。このテーブルでは、作業内容と、対象部位(動作部位)と、動作ポイントとが関連付けられている。「作業内容」は作業の内容の種別を示し、「動作部位」はその作業において検出するべき作業者の身体の部位を示し、その作業において基準とするべき「動作ポイント」は骨格情報に含まれる1つ又は複数の動作ポイントを示す。動作部位検出部243は、一例で、
図5のデータテーブルを参照して作業内容に関連した動作ポイントを決定する。
【0040】
判定部244は、指定エリアTに作業対象物である商品5が配置されたことを判定する機能部である。判定部244は、指定エリアTが写っている2つの撮像画像の差分に基づいて商品5が配置されたことを判定する。
【0041】
図6は、判定部244による撮像画像の差分に基づく商品配置の判定を説明するための模式図であり、横軸は時間軸である。判定部244は、作業者の手が指定エリアTに入る前の第1タイミングで撮影された第1撮像画像と、作業者の手が指定エリアTに入った後の第2タイミングで撮影された第2撮像画像とを特定する。判定部244は、具体的には、作業者の手が指定エリアTに入っていない第1タイミングの撮像画像を第1撮像画像として特定する。また、判定部244は、作業者の手が指定エリアTに入っていない第2タイミングの撮像画像を第2撮像画像として特定する。このように、手が写っていない撮像画像を用いることで、手によって商品5が隠れることなく、商品5の有無を良好に判定可能となる。
【0042】
手が写っていない撮像画像を特定するために、判定部244は、より具体的には、作業者の手が指定エリアTに入っている所定の基準時刻tから第1設定時間a1だけ前の時刻を第1タイミングと決定するとともに、所定の基準時刻tから第2設定時間a2だけ後の時刻を第2タイミングと決定する。このように指定エリアTに手が入っている基準時刻tに対して所定の時間的なマージンを持たせたタイミングを第1タイミング及び第2タイミングとすることで、複雑な画像処理を必要とせずに、第1タイミング及び第2タイミングを決定できる。
【0043】
「所定の基準時刻t」は、作業者の手が指定エリアT内に入っている時間帯のうちの任意のタイミングであり、例えば、判定部244が撮像画像に基づいて決定する。一例として、判定部244は、作業者の手が指定エリアTに入ったことを検出し、続いて、作業者の手が指定エリアTから出たことを検出した場合に、作業者の手が指定エリアTに入った時刻と、作業者の手が指定エリアTから出た時刻との間の時間の任意のタイミングを基準時刻tとして決定する。
【0044】
ところで、指定エリアTに対してどのようなタイミングで作業者の手が入り、どのようなタイミングで手が指定エリアTの外に出るかは、例えば、作業の内容や指定エリアTの大きさに依存する。そこで、作業管理装置2は、第1設定時間a1及び第2設定時間a2をユーザが入力し、それにより第1タイミング及び第2タイミングを変更できるように構成されていてもよい。具体的には、判定部244は、ユーザが入力した第1設定時間a1及び第2設定時間a2の時間を受け付け、受け付けた第1設定時間a1及び第2設定時間a2を用いて第1タイミング及び第2タイミングを決定する。
【0045】
また、記憶部23が、複数の作業の内容に関連付けて複数の第1設定時間a1及び第2設定時間a2を記憶しており、判定部244は、記憶部23を参照して、作業内容に応じた第1設定時間a1及び第2設定時間a2を決定してもよい。作業内容は、ユーザによって入力されたものであってもよいし、作業管理装置2が撮像画像に基づいて推定したものであってもよい。
【0046】
(差分演算処理)
判定部244は、上記の処理によって特定した第1タイミングの第1撮像画像と、第2タイミングの第2撮像画像とを差分演算処理し、差分が所定の閾値以上の場合に、指定エリアTに商品5が配置されたと判定する。判定部244は、具体的には、一例で、第1撮像画像における指定エリアTの画像と、第2撮像画像における指定エリアTの画像との差分を求める。このような処理によれば、例えば商品5が梱包箱12に正しく置かれた場合には、差分が所定の閾値以上となり、判定部244は指定エリアTに商品5が配置されたことを検出できる。
【0047】
差分は、例えば第1タイミングの第1撮像画像と第2撮像画像とで画素値が異なる画素数により表され、所定の閾値は、商品5の大きさに対応する画素数に基づいて定められている。所定の閾値は、例えば、商品5の大きさに対応する画素数として想定される画素数の最小値である。
【0048】
出力部245は、制御部24が演算処理した各種の情報を出力する機能部である。出力部245は、例えば表示部22に各種の情報を表示させる。出力部245は、また、ネットワークを介して接続された不図示の外部の機器に各種の情報を出力してもよい。
【0049】
出力部245は、一例として、作業者の作業をカメラ1が撮影して生成した撮像画像を表示部22に出力する。上述したように本実施形態では動作部位検出部243が、作業者の手の骨格情報を作成する。出力部245は、例えば、骨格情報に含まれる動作ポイント及び動作ポイントどうしを接続する線を、作業者の手の画像に重畳させて表示させてもよい。
【0050】
出力部245は、また、骨格情報に含まれる動作ポイントのうち、対象の作業内容に関連の高い動作ポイントを優先的に表示させ、それ以外は表示させないようにしてもよい。
図3では、作業者の手の骨格情報に含まれる動作ポイントのうち動作ポイントP11及び動作ポイントP21が表示され、その他の動作ポイントについては画面上に表示されていない。出力部245は、このように、複数の動作ポイントのうち所定の動作ポイントを、作業者の身体の画像における動作ポイントに対応する身体の部位に重畳させて表示させてもよい。複数の動作ポイントのうちどの動作ポイントを表示させるかは、出力部245が、作業者が行う作業の内容に関連する動作ポイントを特定し、特定した動作ポイントを表示させてもよい。
【0051】
出力部245は、また、判定部244の判定結果を出力する。出力部245は、例えば、指定エリアTに商品5が配置されたことを示す通知を出力する。出力部245は、具体的には、それぞれの商品5を識別する画像識別機能を有し、指定エリアTの配置された商品5を識別した結果を出力してもよい。
【0052】
(作業管理システムS100の動作の一例)
以上のように構成された作業管理システムS100の動作について説明する。
図7は、作業管理システムS100の動作の一例のフローチャートである。なお、作業管理システムS100の動作の開始の時点で、作業管理装置2では、在庫箱11及び梱包箱12に対応する位置に在庫エリアS及び指定エリアTが設定されているものとする。また、作業者が行う作業の内容が一例としてユーザによって既に入力されているものとする。
【0053】
まず、ステップS1において、カメラ1が作業者の作業を連続的に撮影して撮像画像を生成し、画像取得部242がその撮像画像を取得する。
【0054】
次いで、ステップS2において、動作部位検出部243が撮像画像に写った作業者の身体の画像に基づき作業者の手の三次元的な骨格情報を作成する。動作部位検出部243は、また、ユーザによって入力された作業の内容に基づき、
図5に例示するデータテーブルを参照して、対象の作業内容に関連する動作ポイントを特定する。ここでは、一例として、作業者の片手の動作ポイントP11及び動作ポイントP12が特定される。
【0055】
判定部244は、動作ポイントP11及び動作ポイントP12の位置に基づき、作業者の手が指定エリアTに入ったか否かを判定する。このステップS2の判定がNoの場合、判定部244はステップS1及びステップS2の処理を繰り返す。
【0056】
ステップS2の判定がYesの場合、次いでステップS3において、判定部244は、動作ポイントP11及び動作ポイントP12の位置に基づき、作業者の手が指定エリアTから出たか否かを判定する。このステップS3の判定がNoの場合、判定部244はステップS3の処理を繰り返す。
【0057】
ステップS3の判定がYesの場合、次いでステップS4において、判定部244は、例えば、作業者の手が指定エリアTに入った時刻と指定エリアTから出た時刻とに基づき、作業者の手が指定エリアTに入っている基準時刻t(
図6参照)を特定する。そして、判定部244は、予め設定された第1設定時間a1だけ前の時刻を前記第1タイミングと決定するとともに、所定の基準時刻tから第2設定時間a2だけ後の時刻を第2タイミングと決定する。判定部244は、決定した第1タイミング及び第2タイミングに応じた第1撮像画像及び第2撮像画像と特定する。
【0058】
次いで、ステップS5において、判定部244は上記ステップで特定した第1撮像画像と第2撮像画像とを差分演算処理する。そして、ステップS6において、差分演算処理の結果、差分が所定の閾値以上の場合には、判定部244は指定エリアTに商品5が配置されたと判定し、出力部245はその結果を出力する。差分が所定の閾値未満の場合、判定部244は、指定エリアTに商品5が配置されていないと判定し、出力部245はその結果を出力する。
【0059】
以上一連の動作により、作業管理システムS100は、作業者が在庫箱11から取り出した商品5が梱包箱12に配置されたことを判定することができる。
【0060】
なお、以上、
図7のフローチャートに従って作業管理システムS100の具体的な動作例を説明したが、本発明は、上述した具体的な処理の内容や順番に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で処理内容や処理の順番は適宜変更されてよい。
【0061】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態の構成では、作業管理装置2は、作業者の手が指定エリアTに入る前のタイミングで撮影された第1撮像画像と、作業者の手がその指定エリアTに入った後のタイミングで撮影された第2撮像画像との差分に基づいて、梱包箱12に商品5が配置されたことを判定する。
【0062】
作業者の手が指定エリアTに入ったことに基づいて商品5が梱包箱12に配置されたと判定をする方式では、例えば、作業者の手が指定エリアTを単に通過しただけで、商品5が置かれない場合に、商品5が梱包箱12に配置されたことを正しく判定することができない。
【0063】
これに対して、本実施形態の作業管理装置2では、指定エリアTに作業者の手が入っている状態の前後の2つの撮像画像を用い、それらの撮像画像の差分に基づいて商品5が配置されたことを判定するため、商品5が梱包箱12に配置されたことを精度よく判定できる。
【0064】
特に、判定部244が、作業者の手が指定エリアTに入っていないタイミングの撮像画像を第1撮像画像及び第2撮像画像として特定するため、商品5が作業者野手によって隠れることがなく、商品5が配置されたことを精度よく判定することが可能となる。
【0065】
また、判定部244が、作業者の手が指定エリアTに入っている所定の基準時刻tを基準に、第1設定時間a1及び第2設定時間a2(
図6)を用いて第1撮像画像及び第2の撮像画像のタイミングを決定するため、複雑な画像処理を必要とせずに、第1タイミング及び第2タイミングを決定できる。
【0066】
<変形例1>
上記実施形態では、指定エリアTが1つのみの例を説明したが、作業管理システムS100は、複数の指定エリアTのうちのいずれかに作業者の動作部位が入ったことを検出してもよい。このようなシステムは、例えば、サイズが異なる複数の梱包箱12が配置されており、作業者が、それぞれの梱包箱12に所定の商品5を入れるような作業に好適に利用することができる。
【0067】
図8は、カメラが撮影した撮像画像と、画像上に表示された複数の在庫エリア及び複数の指定エリアとを示す図である。
図8の例では、複数の梱包箱12に応じて複数の指定エリアT1、T2(単に指定エリアTともいう)が設定されている。
図8のように、サイズが異なる複数の梱包箱12が存在する場合、それに対応して、例えば大きい指定エリアT1と小さい指定エリアT2とが存在することとなる。作業者の手が指定エリアTに入っている時間は、作業の内容にもよるものの、指定エリアTの大きさにも関連する。そこで、本発明の一形態においては、判定部244は、指定エリアごとに第1タイミング及び第2タイミングを決定してもよい。
【0068】
判定部244は、例えば、ユーザから受け付けた入力(例えば第1設定時間a1及び第2設定時間a2)に応じてそれぞれの指定エリアTに対する第1タイミング及び第2タイミングを決定してもよい。他の態様として、判定部244は、作業の内容、及び、指定エリアTの大きさの少なくともいずれかのパラメータに基づき、それぞれの指定エリアTに対する第1タイミング及び第2タイミングを決定してもよい。
【0069】
なお、指定エリアTの大きさは、ユーザによって入力されてもよいし、作業管理装置2が例えば画像解析により特定してもよい。具体的には、一例として判定部244が、撮像画像に映っているそれぞれの梱包箱12を識別し、梱包箱12の輪郭線に沿うような範囲を指定エリアTとして特定してもよい。判定部244は、ソータやベルトコンベア等の搬送手段上を移動する対象物(一例で梱包箱12)について、画像解析により動的に対象物の大きさを識別して指定エリアTを特定するものであってもよい。なお、判定部244ではなく、エリア設定部241が上記のような処理を行ってもよい。
【0070】
判定部244又はエリア設定部241が行う上記のような指定エリアTの特定に関し、判定部244又はエリア設定部241は、所定の対象物の指定エリアTを一旦特定した後、再度、対象物の画像に基づいて指定エリアTを特定し直してもよい。例えば、作業中に作業者の手が梱包箱12に当たって梱包箱12の位置が移動することが想定される。この場合に、判定部244又はエリア設定部241が指定エリアTを再度特定することで、作業管理装置2は梱包箱12の位置に応じた正しい位置の指定エリアTを設定することが可能となる。
【0071】
判定部244は、具体的には、作業の内容、及び、指定エリアTの大きさの少なくともいずれかに関連付けて、複数の第1設定時間a1及び第2設定時間a2を記憶する記憶部を参照して、それぞれの指定エリアTに対する第1タイミング及び第2タイミングを決定してもよい。
【0072】
このような構成によれば、例えば指定エリアTの大きさに応じて、それぞれの指定エリアTの第1タイミング及び第2タイミングが決定されるので、指定エリアTに手が入っていない可能性の高い撮像画像を好適に特定できる。その結果、撮像画像の差分に基づく商品の配置を高精度に実施可能となる。
【0073】
<変形例2>
図9は、本発明の実施形態の変形例の構成を示すブロック図である。上記実施形態では、作業管理装置2が、ユーザによって入力された作業内容に基づいて、種々の処理を行うことを説明した。しかし、
図9に示すように、作業管理装置2に設けられた作業特定部246が、作業の内容を特定してもよい。
図9において、作業管理装置2の制御部24が作業特定部246を有する点以外は、作業管理システムS100の構成は第1の実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0074】
作業特定部246は、作業者が行っている作業の内容を特定するための機能部である。作業特定部246は、例えば、動作部位検出部243が作成した作業者の身体の骨格情報が示す動きに基づいて、作業者が行う作業の内容を特定する。作業特定部246は、動作部位検出部243が作成した骨格情報の所定の動作ポイントの移動パターンに基づき、例えば、動作ポイントの複数の移動パターンとそれに対応する複数の作業の内容とを関連付けて記憶する記憶部23を参照し、作業の内容を特定してもよい。「移動パターン」は、例えば、動作ポイントが移動する速さ、及び/又は、動作ポイントが指定エリアT内に滞在している時間に関連するものであってもよい。
【0075】
動作部位検出部243は、このように作業特定部246が特定した作業内容に関連する動作ポイントの位置に基づいて、第1の実施形態で説明したように、動作部位の位置を検出する。
【0076】
このように、作業管理装置2が作業者の手である動作部位の動きに基づいて作業内容を特定し、特定した作業内容の関連する動作ポイントを基準として、動作部位の位置を検出する構成によれば、ユーザが作業内容を入力することなく、作業内容が特定でき、しかも、その作業内容に応じて適切な動作ポイントの位置に基づいて作業者の動作部位が検出される。その結果、作業内容に応じた好適なタイミングの撮像画像で差分演算処理が行われ、商品5が配置されたことを精度よく判定可能となる。
【0077】
<変形例3>
上記実施形態では、作業者の手が指定エリアTに入っている所定の基準時刻t(
図6参照)の前後のタイミングで撮像された第1撮像画像及び第2撮像画を用いることを説明した。しかし、判定部244は、例えば、作業者が在庫箱11から商品5を取ったタイミングをトリガとして、差分演算処理に使用される第1撮像画像及び第2撮像画を特定してもよい。
【0078】
具体的には、判定部244は、商品5が配置された対象物配置エリアである在庫箱11から作業者が商品5をピックアップしたことを検出する検出手段からの出力を受信した受信タイミングを第1タイミングとしてもよい。検出手段は、例えば在庫箱11の重量を測定する装置、又は作業者の手の動きを検出する赤外線センサーである。第1タイミングは、検出手段からの出力を受信したタイミングに厳密に限定されず、一例として、判定部244は、受信タイミングよりも所定時間だけ前若しくは後のタイミングを、第1タイミングとしてもよい。
【0079】
第1タイミング及び/又は第2タイミングの決定には、在庫箱11から指定エリアTまでの距離が考慮されてもよい。そこで、判定部244は、在庫箱11と指定エリアTとの距離に基づいて、第1タイミング及び/又は第2タイミングを決定してもよい。具体的には、判定部244は、複数の在庫箱11と指定エリアTとの距離と、複数の第1タイミング及び/又は第2タイミングとを関連付けて記憶する記憶部を参照して、第1タイミング及び/又は第2タイミングを決定してもよい。
【0080】
例えば、判定部244が、上記検出手段からの出力を受信した受信タイミングよりも所定時間だけ後のタイミングを第1タイミングと決定する構成において、在庫箱11と指定エリアTとの間の距離が長い場合には一例として受信タイミングの「3秒後」が第1タイミングとされ、在庫箱11と指定エリアTとの間の距離が短い場合には一例として受信タイミングの「0.5秒後」が第1タイミングとされるといったように、判定部244は、在庫箱11と指定エリアTとの間の距離が長いほど、受信タイミングからより長い時間の経過後を第1タイミングと決定してもよい。
【0081】
以上、本発明の具体的な構成について実施形態及び変形例として説明したが、本発明は上記に限定される種々変更可能である。例えば、本実施形態における作業は、作業者が、商品5を在庫箱11である箱から梱包箱12である箱に移動させる作業であったが、在庫である商品5が配置されている場所は箱に限定されず、例えば棚であってもよい。また、商品5は箱に入れられるのではなく、例えば所定の仕分けトレイに入れられてもよい。
【0082】
本発明の作業管理システムは、商品の仕分け作業以外にも、例えば部品の組立て作業などにも利用可能である。作業管理システムS100は、作業者の手以外の身体の部位を動作部位として検出してもよい。ここで、「作業者の動作部位」は、文字通り、作業者の身体の一部であってもよいが、作業の内容によっては、作業者が使用する工具、道具又は治具といった検出対象物を作業管理システムS100で検出した方が良いことも想定される。そこで、作業管理装置2は、動作部位として、作業者が使用する工具、道具又は治具といった検出対象物を検出し、その検出結果に基づいて上述したような各種の処理を実施してもよい。
【0083】
部品の組立て作業においては、部品が特定の位置に取り付けられたことが正しく判定されることが望ましい。そこで、第1の実施形態と同様、動作部位検出部243によって検出された作業者の動作部位が所定の指定エリアに入る前の第1タイミングで撮影された第1撮像画像と、同指定エリアに入った後の第2タイミングで撮影された第2撮像画像との差分が所定の閾値以上の場合に、判定部244は部品が所定の位置に配置されたと判定してもよい。部品の取付においては、単に、部品の有無を検出するだけではなく、判定部244は、例えば、撮像画像の差分に基づいて部品の位置を特定してもよい。
【0084】
作業管理装置2の判定部244は、作業者の動作部位の移動パターンとその作業の移動パターンに対応する作業内容とが関連付けられた教師データを学習することによって、移動パターンが入力された場合に作業内容を出力する学習済モデルを含み、その学習済モデルによって作業内容を推定するものであってもよい。
【0085】
<変形例4>
図8に例示したように、商品5が入れられる梱包箱12が複数あるような場合、作業者が商品5を入れるべき梱包箱12を間違えるおそれがある。そこで、例えば判定部244は、それぞれの梱包箱12に対応する指定エリアTに配置された商品5を識別する機能を有し、目的の指定エリアTに所望の商品5が配置されたかを検出してもよい。判定部244は、例えば、記憶部23が記憶している、どの商品5をどの指定エリアTに配置するべきかを示す商品分配情報を参照し、対象の指定エリアTに所望の商品5が配置されたかを検出する。
【0086】
一例として、指定エリアT1(
図8参照)に配置するべき商品5が、指定エリアT2に配置されていることを判定部244が検出した場合、判定部244は、作業者の手が入った指定エリアT1と、作業者の手が入った指定エリアT2との両方について、第1の実施形態のように第1タイミングの撮像画像と第2タイミングの撮像画像とを特定し、それらの画像の差分演算処理を行ってもよい。
【0087】
判定部244は、差分演算処理の結果に基づいて、商品5がどの指定エリアTに配置されたか(又は配置されていないか)を特定してもよい。また、判定部244は、指定エリアT2内のどの位置に誤って配置された商品5が存在するかを特定しても良い。
【0088】
出力部245は、上記の特定結果を一例として表示部22に出力する。出力部245が特定結果を出力する態様は特定の態様に限定されるものではないが、一例として、出力部245は、判定部244が特定した、誤って配置された商品5の位置を示す画像情報又は文字情報を表示部22に表示させてもよい。具体的には、例えば出力部245は、誤って配置された商品5が存在している梱包箱12に対して画像又はテキスト等を投影することで、作業者に対して、商品5が誤って配置されていること、及び/又は、その商品5の位置を知らせてもよい。
【0089】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0090】
以上の説明では、作業管理装置の発明を中心として説明を行ったが、本明細書は、上記の技術的思想を方法の発明及びコンピュータプログラムの発明として表現したものも開示する。具体的には、本明細書は、画像取得ステップと、動作部位検出ステップと、判定ステップと、出力ステップとを有する作業管理方法を開示する。
【符号の説明】
【0091】
1 カメラ
2 作業管理装置
11 在庫箱
12 梱包箱
21 入力部
22 表示部
23 記憶部
24 制御部
241 エリア設定部
242 画像取得部
243 動作部位検出部
244 判定部
245 出力部
246 作業特定部
a1 第1設定時間
a2 第2設定時間
P11 動作ポイント
P12 動作ポイント
P21 動作ポイント
P22 動作ポイント
S 在庫エリア
t 基準時刻
T、T1、T2 指定エリア