IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山洋電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図1
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図2
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図3
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図4
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図5
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図6
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図7
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図8
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図9
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図10
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図11
  • 特開-モータ巻線の締結構造およびモータ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055350
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】モータ巻線の締結構造およびモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20240411BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K3/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162195
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】松下 孝
【テーマコード(参考)】
5H603
5H604
【Fターム(参考)】
5H603AA03
5H603AA09
5H603BB01
5H603CA01
5H603CB04
5H603CB18
5H603EE03
5H604AA08
5H604BB01
5H604CC01
5H604QB01
(57)【要約】
【課題】巻線とバスバーに締結しやすいモータ巻線の締結構造を提供する。
【解決手段】モータ巻線の締結構造は、巻線4をバスバー10に接続するモータ巻線の締結構造であって、巻線4は、バスバー10に導電性の圧入部品20を介して接続されており、圧入部品20は、巻線4を把持した状態で、バスバー10の圧入孔13に圧入されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線をバスバーに接続するモータ巻線の締結構造であって、
前記巻線は、前記バスバーに導電性の圧入部品を介して接続されており、
前記圧入部品は、前記巻線を把持した状態で、前記バスバーの圧入孔に圧入されていることを特徴とする、モータ巻線の締結構造。
【請求項2】
前記圧入部品には、圧入方向に沿って延びる少なくとも1つのスリットが設けられている、請求項1に記載のモータ巻線の締結構造。
【請求項3】
前記圧入部品の圧入方向の先端側にテーパ部が設けられている、請求項1に記載のモータ巻線の締結構造。
【請求項4】
前記圧入部品は、前記テーパ部から圧入方向と反対側に延びる本体部を有し、
前記本体部が前記圧入孔に圧入されていない状態であっても、前記本体部が圧入されている状態であっても、前記テーパ部の圧入方向側の端部の外径(r1)は、前記圧入孔の内径(R)よりも小さく、
前記圧入部品の本体部の外径(r2)は、
前記本体部が前記圧入孔に圧入されていない状態では、前記圧入孔の前記内径(R)よりも大きく、
前記本体部が前記圧入孔に圧入されている状態では、前記圧入孔の前記内径(R)と同じかそれよりも小さくなる、請求項3に記載のモータ巻線の締結構造。
【請求項5】
前記圧入部品の圧入方向と反対方向の先端側に固定部が設けられている、請求項1に記載のモータ巻線の締結構造。
【請求項6】
前記固定部の外径(r3)は、前記圧入孔の内径(R)よりも大きい、請求項5に記載のモータ巻線の締結構造。
【請求項7】
前記圧入部品は、前記巻線を把持するための圧入孔を有し、
前記圧入孔の内周面には、凹凸部が設けられている、請求項1に記載のモータ巻線の締結構造。
【請求項8】
前記本体部の外周面に外側凹凸部が設けられている、請求項4に記載のモータ巻線の締結構造。
【請求項9】
前記固定部の外周縁に少なくとも1つの切り欠きが設けられている、請求項5に記載のモータ巻線の締結構造。
【請求項10】
前記巻線が巻きつけられた固定子または回転子を備えるモータにおいて、
請求項1から9のいずれか一項に記載のモータ巻線の締結構造を有する、モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ巻線の締結構造およびモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などに、巻線とバスバーが接続されたモータが開示されている。巻線端末の導線をバスバーに締結する手法として、はんだ、圧着、溶接などが用いられる。これら手法のうち、はんだによる接続は、導線をバスバーに巻き付け等行い密着させ、はんだ付けを行うことで導通を確保している。またはんだによる接続は他の締結方法に比べ特殊な工具や設備が不要であるため、広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-57986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の工法では、導線の径が太くなるにつれ導線の剛性が上がるため、曲げ加工が困難になりバスバーへの接続が難しく、特にモータの出力が大きくなるにつれ,導線径は太くなるため、大容量モータの結線作業の効率が低下するという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、巻線とバスバーを締結しやすいモータ巻線の締結構造およびそれを用いたモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、
導線をバスバーに接続するモータ巻線の締結構造であって、
前記導線は、前記バスバーに導電性の圧入部品を介して接続されており、
前記圧入部品は、前記導線を把持した状態で、前記バスバーの圧入孔に圧入されていることを特徴とする、モータ巻線の締結構造が提供される。
【0007】
本発明の一側面によれば、
前記巻線が巻きつけられた固定子または回転子を備えるモータにおいて、
上記のモータ巻線の締結構造を有する、モータが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導線とバスバーに締結しやすいモータ巻線の締結構造およびそれを用いたモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るモータのステータ(固定子の一例)を示す図である。
図2】バスバーと絶縁体を拡大して示す図である。
図3】バスバーの第二部の先端部分を示す拡大図である。
図4】スリーブを示す斜視図である。
図5】スリーブの外径とバスバーの圧入孔の寸法関係を示した図である。
図6】スリーブの外径とバスバーの圧入孔の寸法関係を示した図である。
図7】スリーブの外径とバスバーの圧入孔の寸法関係を示した図である。
図8】スリーブの外径とバスバーの圧入孔の寸法関係を示した図である。
図9】本発明のモータ巻線の締結構造における圧入部品の変形例を示す図である。
図10】本発明のモータ巻線の締結構造における圧入部品の変形例を示す図である。
図11】本発明のモータ巻線の締結構造における圧入部品の変形例を示す図である。
図12】本発明のモータ巻線の締結構造における圧入部品の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ1のステータ2(固定子の一例)を示す図である。図1に示すように、ステータ2は、ステータコア3と、ステータコア3に巻きつけられた巻線4と、バスバー10と、絶縁体5(図2参照)と、導電性のスリーブ20(圧入部品の一例)を有している。
複数のステータコア3が円筒状となるように組み合わされている。ステータコア3の軸方向Aの端部には、バスバー10がインシュレータ6の外側に配置されている。スリーブ20は、巻線4の端部41を把持した状態でバスバー10に圧入される。これにより、巻線4とバスバー10とが締結されている。なお以降の説明においては、モータ1の回転軸線の延びる方向を軸方向Aと呼び、この軸方向Aを基準に径方向R、周方向Cを定義し、説明に用いている。
なお、図示しないが、図1に示したステータ2と回転子とにより、モータを構成することができる。
【0012】
図2は、バスバー10と絶縁体5を拡大して示す図である。図2に示すように、バスバー10は、金属板などの導電性の板状部材に打ち抜き加工および折り曲げ加工を施して形成されている。バスバー10は、湾曲した第一部11と、第一部11から径方向R内側に延びる複数の第二部12を有している。第一部11は軸方向Aおよび周方向Cに沿って延びる部位である。第二部12は、第一部11の軸方向Aの端部から径方向Rの内側に向かって延びる部位である。
【0013】
図2に示した例では、4枚のバスバー10が径方向Rに重なるよう配列されている。各々のバスバー10の間に、互いのバスバー10を導通させないようにする帯状の絶縁体5が設けられている。径方向Rの内側から一枚目のバスバー10Aが、例えばU相の電流を流す巻線4に接続される。径方向Rの内側から二枚目のバスバー10Bが、例えばV相の電流を流す巻線4に接続される。径方向Rの内側から三枚目のバスバー10Cが、例えばW相の電流を流す巻線4に接続される。径方向Rの内側から四枚目のバスバー10Dが、例えばY結線における中性点であり、各相の巻線4に接続される。なお、バスバー10の枚数は4枚に限られない。バスバー10は、モータ1の相数や巻線4の配置などに応じた枚数が設けられる。
【0014】
図3は、バスバー10の第二部12の先端部分を示す拡大図である。図3に示したように、バスバー10の第二部12には、バスバー10の厚み方向に貫通する圧入孔13が設けられている。この圧入孔13に、スリーブ20が圧入される。圧入孔13のスリーブ20が挿入される側にバスバー側テーパ部14が設けられている。バスバー側テーパ部14の内径は、スリーブ20に向かって大きくなっている。これにより、スリーブ20を圧入孔13に差し込みやすくしている。
【0015】
図4は、スリーブ20を示す斜視図である。図4に示したように、スリーブ20は、円筒状の本体部21と、フランジ部22(固定部の一例)とを備えている。スリーブ20は、巻線4の端部41を把持した状態で、バスバー10の圧入孔13に圧入される。スリーブ20には、軸方向Aおよび径方向Rに貫通したスリット23が設けられている。これにより、スリーブ20が弾性変形することで圧入孔13に挿入され、圧入後の抜けを防止することができる。
フランジ部22は、本体部21の軸方向Aの端部に設けられている。フランジ部22の外径は、本体部21の外径よりも大きい。フランジ部22は、軸方向A及び周方向Cに延びる外周面221と、段差面222と、底面223とを有している。段差面222は、外周面211と本体部21とを接続する面であり、径方向Rに延びている。底面223は、外周面211に対して軸方向Aに段差面222と反対側に設けられ、径方向Rに延びている。
【0016】
本体部21の内周面には、巻線4の端部41を把持する把持孔24が設けられている。把持孔24の内径は、スリーブ20に外部から力を加えない状態(以降の説明では、無負荷状態とも呼ぶ)で、導線の外径とほぼ同じかそれよりも大きい。スリーブ20をバスバー10に圧入した状態(以降の説明では、圧入状態とも呼ぶ)では、把持孔24の内周面は巻線4の端部41に強く押し付けられた状態となる。
【0017】
スリーブ20の圧入方向の先端側には、先端側に向かってその外径が小さくなるスリーブ側テーパ部25が設けられている。具体的には、本体部21の、フランジ部22と反対側の軸方向Aの端部に、スリーブ側テーパ部25が設けられている。スリーブ側テーパ部25の先端の外径は、圧入孔13に向かって小さくなっている。これにより、スリーブ20を圧入孔13に差し込みやすくされている。
【0018】
図5から図8は、このようなスリーブ20の外径とバスバー10の圧入孔13の寸法関係を示した図である。図5および図6は、本体部21が圧入孔13に圧入されていない状態(無負荷状態)での、スリーブ20の外径とバスバー10の圧入孔13の寸法関係を示す図である。図5は軸方向Aから見た図であり、図6は軸方向Aに沿った断面で見た断面図である。図7および図8は、本体部21が圧入孔13に圧入されている状態(圧入状態)での、スリーブ20の外径とバスバー10の圧入孔13の寸法関係を示す図である。図7は軸方向Aから見た図であり、図8は軸方向Aに沿った断面で見た断面図である。
【0019】
図6および図8に示したように、無負荷状態であっても、圧入状態であっても、スリーブ側テーパ部25の圧入方向側の端部の外径(r1)は、圧入孔13の内径(R)よりも小さい。
また、図5および図6に示したように圧入部品の本体部21の外径(r2)は、無負荷状態では圧入孔13の内径(R)よりも大きく、図7および図8に示したように本体部21が圧入孔13に圧入されている状態では圧入孔13の内径(R)と同じかそれよりも小さい。
さらに、図6および図8に示したように、本体部21がバスバー10に無負荷状態であっても、圧入状態であっても、フランジ部22の外径(r3)は、圧入孔13の内径(R)よりも大きい。
【0020】
図8に示したように、スリーブ20が圧入孔13に十分に差し込まれると、フランジ部22の段差面222がバスバー10に接触し、スリーブ20のそれ以上の圧入孔13への差し込みが阻止される。これにより、スリーブ20の圧入孔13への差し込み長さが規制される。
【0021】
<スリーブ20を用いた巻線4のバスバー10への接続方法>
次に、スリーブ20を用いた巻線4のバスバー10への接続方法を説明する。
まず、図1に示したように、巻線4の端部41をモータ1の軸方向Aに沿って延びた状態とする。次に、巻線4の端部41をバスバー10の圧入孔13に通しながら、バスバー10をステータコア3側に移動させ、バスバー10をインシュレータ6の外側に取り付ける。
【0022】
次に、バスバー10に挿通された端部41をスリーブ20の把持孔24を通し、端部41を把持孔24に通したままスリーブ20を端部41に沿ってバスバー10まで移動させる。なお、この状態では、スリーブ20には外力が作用しておらず無負荷状態である。このため、スリーブ20の内周面の内径は端部41の外径より大きく、スリーブ20は端部41の導線に沿って自由に移動できる。
【0023】
さらにスリーブ20を端部41に沿って移動させ、スリーブ20をバスバー10の圧入孔13に差し込むために、スリーブ20の底面223を押して、スリーブ20をバスバー10の圧入孔13に圧入する。スリーブ20のフランジ部22の段差面222がバスバー10に接触すると、スリーブ20が突き当たりそれ以上移動しない。スリーブ20が圧入状態となり、スリーブ20の把持孔24が端部41を強固に把持した状態となる。これにより、巻線4は導電性のスリーブ20を介してバスバー10に締結される。
【0024】
本開示のモータ巻線の締結構造によれば、巻線4は、バスバー10に導電性の圧入部品(スリーブ20)を介して接続されており、圧入部品(スリーブ20)は、端部41を把持した状態で、バスバー10の圧入孔13に圧入されている。
このため、はんだや溶接などの手段によって巻線4をバスバー10に接続する場合に比べて、はんだごてや溶接棒や溶接トーチなどの特別な装置を必要とせず、圧入部品を圧入孔13に圧入するという簡単な作業で巻線4をバスバー10に締結することができる。また、導線の曲げ加工をする必要がないため、導線の径が太くなり剛性が上がった場合でも、大容量モータの結線作業の効率低下を抑止することができる。また、導線を通した圧入部品を圧入孔13に差し込み、圧入するという一工程にて作業が完結するため、締結作業が迅速に完了できる。
【0025】
また、本開示の締結構造において、圧入部品には、圧入方向(軸方向A)に沿って延びる少なくとも1つのスリット23が設けられている。
このため、圧入部品はスリット23の隙間が伸縮するように圧入方向に直交する方向(本開示では周方向C)に弾性変形可能である。圧入時に圧入部品が弾性変形しながら圧入孔13に差し込まれていくので、圧入作業が容易である。また、圧入した状態では圧入部品に弾性復元力が作用するので、圧入部品が圧入孔から脱落しにくく、締結状態を維持しやすい。
【0026】
また、本開示の締結構造において、圧入部品(スリーブ20)の圧入方向の先端側にはテーパ部(スリーブ側テーパ部25)が設けられている。
テーパ部によって圧入部品が圧入孔13に案内されるため、圧入部品を圧入孔13に差し込みやすい。
【0027】
また、本開示の締結構造において、
圧入部品(スリーブ20)は、テーパ部(スリーブ側テーパ部25)から圧入方向と反対側に延びる本体部21を有し、
本体部21が圧入孔13に無負荷状態であっても、圧入状態であっても、テーパ部(スリーブ側テーパ部25)の圧入方向側の端部の外径(r1)は、圧入孔13の内径(R)よりも小さく、
圧入部品の本体部21の外径(r2)は、
本体部21が圧入孔13に圧入されていない状態では、圧入孔13の内径(R)よりも大きく、
本体部21が圧入孔13に圧入されている状態では、圧入孔13の内径(R)と同じかそれよりも小さくなる。
このように本体部21の外径が設定されていることにより、圧入部品をバスバー10に差し込みやすく、また、締結状態を維持しやすい。
【0028】
また、本開示の締結構造において、圧入部品の圧入方向と反対方向の先端側に固定部(フランジ部22)が設けられている。
また、本開示の締結構造において、固定部の外径(r3)は、圧入孔13の内径(R)よりも大きい。
このため、圧入部品をバスバー10に所定長さだけ圧入すると、段差面222とバスバー10が接触し、それ以上の圧入部品の圧入が阻止される。これにより、圧入部品の圧入長さを簡単に管理することができる。
【0029】
<変形例>
なお、本発明のモータ巻線の締結構造において、圧入部品やバスバー10の形状は特に限られない。図9から図12を用いて、本発明のモータ巻線の締結構造における圧入部品の変形例を説明する。
図9は、本開示の変形例1に係るモータ巻線の締結構造における圧入部品の変形例の断面斜視図である。図9に示したように、圧入部品の把持孔24の内周面には、内側凹凸部241が設けられていてもよい。図示した内側凹凸部241は、軸方向Aに延びる複数の凸状である。圧入部品がバスバー10に圧入されると、内側凹凸部241が巻線4の外周面に食い込み、強固に端部41を把持することができる。なお、図9では軸方向Aに延びる凸状としたが、図10に示すように周方向Cに延びる複数の凸状として内側凹凸部241aを設けてもよい。このような構成によっても、圧入部品がバスバー10に圧入されると、内側凹凸部241aが端部41の外周面に食い込み、強固に端部41を把持することができる。
なお、このように把持孔24の内周面に内側凹凸部241,241aを設けた場合には、無負荷状態で凹部における内径が端部41の外径よりも大きく、圧入状態で凹部における内径が端部41の外径と同じかそれよりも小さくなることが好ましい。
【0030】
また、図9および図10に示したように、圧入部品の把持孔24の圧入方向と反対側(バスバー10から遠い側)の端部には、把持孔24の内周面の凹部における内径よりも大径の開口部242が設けられていることが好ましい。このような開口部242によって、フランジ部22の体積を減らしフランジ部22の剛性を低くすることで、圧入時フランジ部22が変形し易くなり圧入作業性が良くなる。また、圧入後巻線4の端部41は開口部242の方が把持孔24より径が大きくなるため、抜け難くなり圧入後の導線の保持性能が高まる。
【0031】
また、図11は、本開示の変形例2に係るモータ巻線の締結構造における圧入部品の変形例の斜視図である。図11に示したように、本体部21の外周面211に外側凹凸部212を設けてもよい。外側凹凸部212により、バスバー10への接触面積が増え、導通の安定性が高まる。なお、図11では外側凹凸部212を、軸方向Aに延びる複数の凸状としたが、周方向Cに延びる複数の凸状で構成してもよい。
【0032】
さらに、図12は、本開示の変形例3に係るモータ巻線の締結構造における圧入部品の変形例の斜視図である。図12に示したように、フランジ部22の外周縁に一つ以上の切り欠き224が設けられていてもよい。切り欠き224は、フランジ部22の外周縁の周方向Cの一部を径方向R内側に切り欠くことにより形成される。このような切り欠き224によって、フランジ部22の剛性が低くなることで圧入時に変形し易くなり、圧入作業性が良くなる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0034】
上述した実施形態においては、圧入部品が円筒形である例を説明したが、圧入部品が多角柱形状であってもよい。同様に、圧入孔も円形に限らず多角形状であってもよい。
また、圧入部品の全体に延びるスリットが設けられた例を説明したが、スリットは本体部とスリーブ側テーパ部のみに設けられ、フランジ部には設けられていない構成であってもよい。このようにスリットが軸方向Aの一部に設けられている場合、スリットが複数設けられていてもよい。
また、ステータの巻線をバスバーに締結する締結構造に本発明を適用した例を説明したが、回転子の巻線をバスバーに締結する締結構造に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 モータ
2 ステータ
3 ステータコア
4 巻線
5 絶縁体
6 インシュレータ
10,10A,10B,10C,10D バスバー
11 第一部
12 第二部
13 圧入孔
14 バスバー側テーパ部
20 スリーブ(圧入部品)
21 本体部
22 フランジ部
23 スリット
24 把持孔
25 スリーブ側テーパ部
212 外側凹凸部
211、221 外周面
222 段差面
223 底面
224 切り欠き
241 内側凹凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12