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  • 特開-ロータリーダンパ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055351
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ロータリーダンパ
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/14 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
F16F9/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162196
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】519184930
【氏名又は名称】株式会社ソミックマネージメントホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 大祐
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA42
3J069EE01
(57)【要約】
【課題】ロータリーダンパの性能を安定させる。
【解決手段】本発明は、オイルが注入される油室(30)と、軸部(21)から突出し、油室(30)に設置されるベーン(22)を備え、ベーン(22)が、ベーン(22)に作用するオイルの圧力を利用して、ベーン(22)を油室(30)の端壁の一方に当接させる手段(40)を有することを特徴とするロータリーダンパを提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルが注入される油室と、軸部から突出し、前記油室に設置されるベーンを備え、前記ベーンが、前記ベーンに作用する前記オイルの圧力を利用して、前記ベーンを前記油室の端壁の一方に当接させる手段を有することを特徴とするロータリーダンパ。
【請求項2】
前記手段が、前記ベーンの前記オイルを加圧する面の一部又は全部に形成される斜面であることを特徴とする請求項1に記載のロータリーダンパ。
【請求項3】
前記軸部が、大径部と、前記大径部よりも小さい外径を有する小径部を有し、前記ベーンが、前記大径部と前記小径部の両方から突出していることを特徴とする請求項1に記載のロータリーダンパ。
【請求項4】
前記軸部が、大径部と、前記大径部よりも小さい外径を有する小径部を有し、前記ベーンが、前記大径部と前記小径部の両方から突出し、前記手段が、前記大径部又は前記小径部から突出する前記ベーンの前記オイルを加圧する面に形成される斜面であることを特徴とする請求項1に記載のロータリーダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オイルが注入される油室と、軸部から突出し、前記油室に設置されるベーンを備えるロータリーダンパが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に開示されたロータリーダンパは、油室の中にオイルが注入されると共に、軸部から突出するベーンが設置されている。前記軸部の一端側には、第1Oリングが設置され、前記軸部の他端側には、第2Oリングが設置されている。しかしながら、前記ベーンの軸方向長さは、前記油室の軸方向長さよりも短いため、前記油室の一端を閉塞する第1端壁と前記ベーンとの間及び/又は前記油室の他端を閉塞する第2端壁と前記ベーンとの間に隙間が形成される。一方、第1及び第2Oリングは外力によって変形するため、前記軸部が、前記隙間によって、軸方向にスライドし得る。したがって、従来のロータリーダンパでは、前記軸部が回転する毎に、前記ベーンの軸方向における位置が様々に変化し得る。
【0004】
図9を参照すると、油室の中には、ベーン(V)で仕切られた2つの室(C1,C2)が形成されている。ベーン(V)が第1室(C1)のオイルを加圧するときは、第1室(C1)の圧力が上昇し、第2室(C2)の圧力が低下する。第1端壁(W1)とベーン(V)との間に形成される隙間(H1)と、第2端壁(W2)とベーン(V)との間に形成される隙間(H2)の関係が、H1<H2又はH1>H2の場合は、H1=H2の場合よりも第1室(C1)の圧力と第2室(C2)の圧力の差が小さい。したがって、軸部が回転する毎に、ベーン(V)の軸方向における位置が様々に変化すると、前記圧力差が変化するため、ロータリーダンパの性能が安定しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-005883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ロータリーダンパの性能を安定させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、オイルが注入される油室と、軸部から突出し、前記油室に設置されるベーンを備え、前記ベーンが、前記ベーンに作用する前記オイルの圧力を利用して、前記ベーンを前記油室の端壁の一方に当接させる手段を有することを特徴とするロータリーダンパを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ベーンが、前記ベーンに作用するオイルの圧力を利用して、前記ベーンを油室の端壁の一方に当接させる手段を有するため、軸部の回転時に、前記ベーンが前記端壁の一方に当接し、前記端壁の一方と前記ベーンとの間の隙間をなくすことが可能である。したがって、前記軸部が回転する毎に、前記ベーンの軸方向における位置が変化しない。よって、ロータリーダンパの性能を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1に係るロータリーダンパの断面図である。
図2図2は、図1のA-A部断面図である。
図3図3は、実施例1で採用したローターの斜視図である。
図4図4は、実施例1で採用した手段の作用を説明するための模式図である。
図5図5は、実施例2で採用したローターの斜視図である。
図6図6は、実施例2で採用した手段の作用を説明するための模式図である。
図7図7は、実施例3で採用したローターの斜視図である。
図8図8は、実施例4で採用したローターの斜視図である。
図9図9は、従来技術を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例0011】
図1を参照すると、実施例1に係るロータリーダンパは、ハウジング10及びローター20を有して構成されている。
【0012】
図1及び図2を参照すると、ハウジング10は、筒状の周壁11、周壁11から突出する隔壁12、周壁11の一端を閉塞する第1端壁13及び周壁11の他端を閉塞する第2端壁14を備えている。隔壁12は、ハウジング10の内部に形成される2つの油室30を隔てる仕切りである。
【0013】
油室30は、オイルが注入される空間であり、次述するローター20を構成する軸部21の周囲に形成されている。油室30の中には、次述するローター20を構成するベーン22で仕切られた2つの室(第1室31及び第2室32)が形成されている。次述するローター20の一端側には、第1Oリング61が設置され、ローター20の他端側には、第2Oリング62が設置されている。
【0014】
図3を参照すると、ローター20は、軸部21及び軸部21から突出するベーン22を備えている。軸部21は、ローター20に回転力を伝達する物に連結される。但し、使用態様により、ハウジング10がローター20の周りで回転する場合があり得る。この場合、軸部21は、ローター20の回転を阻止する物に連結される。ベーン22は、油室30に設置され、軸部21の回転によって、油室30の中で移動し、オイルを加圧する。
【0015】
ベーン22は、ベーン22に作用するオイルの圧力を利用して、ベーン22を油室30の端壁の一方に当接させる手段40を有する。「油室30の端壁の一方」とは、油室30の両端を閉塞する2つの端壁(第1端壁13及び第2端壁14)のうち、いずれかの端壁を意味する。この手段40の好ましい形態としては、ベーン22のオイルを加圧する面の一部又は全部に形成される斜面が挙げられるが、これに限定されない。実施例1における手段40は、ベーン22のオイルを加圧する面に形成された斜面からなる。
【0016】
図4を参照すると、手段40の一例として、ベーン22のオイルを加圧する面に斜面が形成されている。ベーン22が第1室31のオイルを加圧するときは、オイルの圧力(図4において矢印で示される)がベーン22のオイルを加圧する面(手段40としての斜面)に対して垂直に作用するため、ベーン22に対して第1端壁13に接近する方向の力が働く(図4(a)参照)。それにより、ベーン22は、図4(b)に示したように、第1端壁13に当接する。その結果、第1端壁13とベーン22との間の隙間がなくなる。したがって、軸部21が回転する毎に、ベーン22の軸方向における位置が変化しない。よって、実施例1によれば、ロータリーダンパの性能を安定させることができる。
【実施例0017】
図5を参照すると、実施例2に係るロータリーダンパでは、ベーン22のオイルを加圧する面の一部に斜面からなる手段40が形成され、その残部に第1端壁13に対して垂直な平面(垂直面50)が形成されている。実施例2に係るロータリーダンパは、この点で、実施例1に係るロータリーダンパと異なり、その他の構成は実施例1に係るロータリーダンパと同じである。
【0018】
図6を参照すると、実施例2のベーン22が第1室31のオイルを加圧するときは、オイルの圧力(図6において矢印で示される)がベーン22のオイルを加圧する面(斜面及び垂直面)に対して垂直に作用する(図6(a)参照)。オイルの圧力が斜面に作用することによって、ベーン22に対して第1端壁13に接近する方向の力が働く。それにより、ベーン22は、第1端壁13に当接する(図6(b)参照)。その結果、第1端壁13とベーン22との間の隙間がなくなる。したがって、軸部21が回転する毎に、ベーン22の軸方向における位置が変化しない。よって、実施例2によれば、ロータリーダンパの性能を安定させることができる。
【実施例0019】
実施例3に係るロータリーダンパは、軸部21が、大径部21aと、大径部21aよりも小さい外径を有する小径部21bを有し、ベーン22のオイルを加圧する面の全部に手段40としての斜面が形成される点で、実施例1に係るロータリーダンパと異なり、その他の構成は実施例1に係るロータリーダンパと同じである。
【0020】
図7を参照すると、実施例3に係るロータリーダンパでは、軸部21が大径部21aと小径部21bを有し、ベーン22は、大径部21aと小径部21bの両方から突出している。実施例3によれば、小径部21bによって、油室30の容積が増大し、ベーン22のオイルを加圧する面の面積が拡大するため、トルクを高めることができる。
【実施例0021】
実施例4に係るロータリーダンパは、斜面からなる手段40が、大径部21aから突出するベーン22のオイルを加圧する面にのみ形成されている点で、実施例3に係るロータリーダンパと異なり、その他の構成は実施例3に係るロータリーダンパと同じである。
【0022】
図8を参照すると、実施例4に係るロータリーダンパでは、斜面からなる手段40が、大径部21aから突出するベーン22のオイルを加圧する面に形成されている。小径部21bから突出するベーン22のオイルを加圧する面は、垂直面50である。実施例4によれば、実施例3と同様に、小径部21bによって、油室30の容積が増大し、ベーン22のオイルを加圧する面の面積が拡大するため、トルクを高めることができる。なお、手段40としての斜面が、小径部21bから突出するベーン22のオイルを加圧する面に形成され、大径部21aから突出するベーン22のオイルを加圧する面が垂直面であってもよい。
【符号の説明】
【0023】
10 ハウジング
11 周壁
12 隔壁
13 第1端壁
14 第2端壁
20 ローター
21 軸部
21a 大径部
21b 小径部
22 ベーン
30 油室
31 第1室
32 第2室
40 手段
50 垂直面
61 第1Oリング
62 第2Oリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9