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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055352
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】外装カバー及びこれを備えた包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20240411BHJP
   B65D 33/02 20060101ALI20240411BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B65D30/16 G
B65D33/02
B65D33/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162197
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】599091807
【氏名又は名称】株式会社一九堂印刷所
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 純一
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA30
3E064FA04
3E064HF02
3E064HG01
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
3E064HU10
(57)【要約】
【課題】内容物の残量とは無関係に、パウチ及びスタンドパウチを真直ぐな状態に保持することができる外装カバーを提供する。
【解決手段】キャップを備えたスパウトが上部に設けられたパウチ又はスタンドパウチの外側に装着される外装カバー10であって、正面板11、背面板12、天面板13、底面板14、左側面板15及び右側面板16を備え、正面板11及び背面板12は、スパウトのキャップよりも下の部分からパウチ又はスタンドパウチの底部に達する高さを有し、天面板13は、正面板11の上部及び背面板12の上部に結合され、底面板14は、正面板11の下部及び背面板12の下部に結合され、左側面板15は、正面板11の左側部及び背面板12の左側部に結合され、右側面板15は、正面板11の右側部及び背面板12の右側部に結合され、天面板13には、スパウトが挿通される開口が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを備えたスパウトが上部に設けられたパウチ又はスタンドパウチの外側に装着される外装カバーであって、
正面板、背面板、天面板、底面板、左側面板及び右側面板を備え、
前記正面板及び前記背面板は、前記スパウトの前記キャップよりも下の部分から前記パウチ又は前記スタンドパウチの底部に達する高さを有し、
前記天面板は、前記正面板の上部及び前記背面板の上部に結合され、
前記底面板は、前記正面板の下部及び前記背面板の下部に結合され、
前記左側面板は、前記正面板の左側部及び前記背面板の左側部に結合され、
前記右側面板は、前記正面板の右側部及び前記背面板の右側部に結合され、
前記天面板には、前記スパウトが挿通される開口が設けられる、外装カバー。
【請求項2】
前記左側面板及び前記右側面板のそれぞれが、前記正面板の下部及び前記背面板の下部に位置し、前記正面板の下部、前記背面板の下部、前記左側面板及び前記右側面板が、前記パウチ又は前記スタンドパウチの下部を包囲する壁を形成する、請求項1に記載の外装カバー。
【請求項3】
前記底面板の左辺に、前記左側面板の裏面に接触する第1補強板が設けられ、前記底面板の右辺に、前記右側面板の裏面に接触する第2補強板が設けられる、請求項2に記載の外装カバー。
【請求項4】
前記正面板及び前記背面板の少なくとも一方に、指を掛けるための少なくとも1つの孔が設けられる、請求項1に記載の外装カバー。
【請求項5】
前記正面板及び前記背面板のそれぞれに、縦方向の中心軸よりも左側に位置する第1孔と、前記中心軸よりも右側に位置する第2孔とが設けられる、請求項4に記載の外装カバー。
【請求項6】
前記開口が、前記正面板又は前記背面板のいずれか一方の上部に位置する第1開口部と、前記天面部に位置する第2開口部とを含み、前記第1開口部は、前記キャップの最大外径よりも大きな幅を有し、前記第2開口部は、前記キャップの最大外径よりも小さな幅を有し、前記第1開口部と前記第2開口部とが連通する、請求項1に記載の外装カバー。
【請求項7】
前記正面板、前記背面板、前記天面板、前記底面板、前記左側面板及び前記右側面板が1枚の連続する板材で構成される請求項1に記載の外装カバー。
【請求項8】
前記板材が、板紙である請求項7に記載の外装カバー。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の外装カバーと、前記パウチとで構成される包装容器。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の外装カバーと、前記スタンドパウチとで構成される包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ又はスタンドパウチの外側に装着される外装カバー及びこれを備えた包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料、食品、化粧品、洗剤、燃料などの液体製品の包装容器として、パウチが広く普及している。一般的なパウチは、主として、ラミネートフィルムにバリア素材を組み合わせた包装材料からなり、キャップによる開閉が可能なスパウトを備えたものもある。最近では、底部を円形や船底形にすることによって自立可能なスタンドパウチが、ボトルの詰め替え用として知られている。従来から慣用されている缶詰、瓶詰、合成樹脂製及びガラス製のボトルといった伝統的な包装容器は、パウチ及びスタンドパウチに置き換えられつつある。
【0003】
例えば、実用新案登録第3232920号公報には、パウチを紙製のシェルで覆ったボトルが記載されている。シェルは、ボール紙又は板紙をプレス加工することによって形成された円筒状の本体部分及びネック部分を有する。本体部分とネック部分との間には、テーパ状又は曲線状のショルダー部が形成される。すなわち、シェルの外形は、ワインなどのガラス製ボトルの形状を模している。シェルで覆われたパウチの中に、ワインなどの飲料が充填される。パウチには、ねじ式のキャップを備えたフィットメントが熱溶着される。フィットメント及びキャップは、ワインなどのガラス製ボトルの注ぎ口及びキャップと同等の比較的に大きな直径を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3232920号公報
【特許文献2】特開2022-124618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスタンドパウチは、内容物の減少に伴って上半分が自立できなくなり、中央で折れ曲がった状態になる。また、従来のスタンドパウチは、内容物の残量が少なくなると全体が自立できなくなる。このため、スタンドパウチは、1リットル前後の飲料の包装に向いていない。例えば、スタンドパウチで包装された750mlのワインを数人で飲むと仮定する。テーブル上に置かれたスタンドパウチは、開封してからすぐに中央で折れ曲がった状態になり、その後に自立できなくなる。このため、スタンドパウチは、テーブル上で見栄えが悪く、ユーザーに乱雑な印象を与える。
【0006】
このように、従来のスタンドパウチは、内容物によって形状が保たれるので、スタンドパウチに充填された飲料をグラスなどに注ぐことが難しい。すなわち、スタンドパウチに充填された飲料をグラスなどに注ぐ場合は、スタンドパウチの胴部を手で掴む。これにより、スタンドパウチに充填された飲料が手で押され、スパウトから流出する飲料の速度及び量に影響を与える。また、スパウトから飲料を注いでいる間に、スタンドパウチが変形しやすい。
【0007】
さらに、従来のパウチ及びスタンドパウチは、ラミネートフィルムの表面にパッケージデザインを直接印刷する。ラミネートフィルムの印刷には、高いコストが掛かるため、製品のロット数を大きくする必要がある(例えば、最小20000枚)。このため、従来のパウチ及びスタンドパウチは、例えば、ノベルティ商品、記念品、贈答品として、顧客の注文に応じたデザインの製品を安価に少量生産することができなかった。
【0008】
一方、実用新案登録第3232920号公報のボトルは、紙製のシェルでパウチを覆う構成となっているので、内容物の残量とは無関係に、一定の外観形状が保たれる。しかし、実用新案登録第3232920号公報のボトルは、フィットメントがボトルの注ぎ口を模した円筒状であるため、気密性が保たれるようにパウチに熱溶着することが困難である。さらに、紙製のシェルをボトルの形状にプレス加工するためには、専用の製造装置が必要である。一般的なパウチには、例えば、特開2022-124618号公報の図2に示されるような水平方向に延びるフランジを備えたスパウトが使用される。実用新案登録第3232920号公報のボトルは、このような一般的な構成のスパウトを使用することができない。
【0009】
本発明の外装カバー及びこれを備えた包装容器は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、下記の課題a)~c)を解決することを目的とする。
a)様々な構成のスパウトを備えたパウチ及びスタンドパウチに装着することができる。
b)内容物の残量とは無関係に、パウチ及びスタンドパウチを真直ぐな状態に保持することができる。これにより、パウチ及びスタンドパウチの取り扱いが容易となる。
c)デザインの自由度が高く、安価に少量生産することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の目的を達成するために、本発明の外装カバーは、キャップを備えたスパウトが上部に設けられたパウチ又はスタンドパウチの外側に装着される外装カバーであって、正面板、背面板、天面板、底面板、左側面板及び右側面板を備え、前記正面板及び前記背面板は、前記スパウトの前記キャップよりも下の部分から前記パウチ又は前記スタンドパウチの底部に達する高さを有し、前記天面板は、前記正面板の上部及び前記背面板の上部に結合され、前記底面板は、前記正面板の下部及び前記背面板の下部に結合され、前記左側面板は、前記正面板の左側部及び前記背面板の左側部に結合され、前記右側面板は、前記正面板の右側部及び前記背面板の右側部に結合され、前記天面板には、前記スパウトが挿通される開口が設けられる。
【0011】
(2)好ましくは、上記(1)の外装カバーにおいて、前記左側面板及び前記右側面板のそれぞれが、前記正面板の下部及び前記背面板の下部に位置し、前記正面板の下部、前記背面板の下部、前記左側面板及び前記右側面板が、前記パウチ又は前記スタンドパウチの下部を包囲する壁を形成する。
【0012】
(3)好ましくは、上記(2)の外装カバーにおいて、前記底面板の左辺に、前記左側面板の裏面に接触する第1補強板が設けられ、前記底面板の右辺に、前記右側面板の裏面に接触する第2補強板が設けられる。
【0013】
(4)好ましくは、上記(1)の外装カバーにおいて、前記正面板及び前記背面板の少なくとも一方に、指を掛けるための少なくとも1つの孔が設けられる。
【0014】
(5)好ましくは、上記(4)の外装カバーにおいて、前記正面板及び前記背面板のそれぞれに、縦方向の中心軸よりも左側に位置する第1孔と、前記中心軸よりも右側に位置する第2孔とが設けられる。
【0015】
(6)好ましくは、上記(1)の外装カバーにおいて、前記開口が、前記正面板又は前記背面板のいずれか一方の上部に位置する第1開口部と、前記天面部に位置する第2開口部とを含み、前記第1開口部は、前記キャップの最大外径よりも大きな幅を有し、前記第2開口部は、前記キャップの最大外径よりも小さな幅を有し、前記第1開口部と前記第2開口部とが連通する。
【0016】
(7)好ましくは、上記(1)の外装カバーにおいて、前記正面板、前記背面板、前記天面板、前記底面板、前記左側面板及び前記右側面板が1枚の連続する板材で構成される。
【0017】
(8)好ましくは、上記(7)の外装カバーにおいて、前記板材が、板紙である。
【0018】
(9)上記の目的を達成するために、本発明の包装容器は、上記(1)~(8)のいずれかに記載の外装カバーと、前記パウチとで構成される。
【0019】
(10)上記の目的を達成するために、本発明の包装容器は、上記(1)~(8)のいずれかに記載の外装カバーと、前記スタンドパウチとで構成される。
【発明の効果】
【0020】
第1に、本発明の外装カバーは、様々な構成のスパウトを備えたパウチ及びスタンドパウチに装着することができる。すなわち、外装カバーの正面板及び背面板は、様々な容量及び形状のパウチ及びスタンドパウチの外側を覆うことが可能なデザインとすることができる。また、外装カバーの天面板に設けられた開口は、様々な構成のスパウトに応じた大きさ及び形状とすることができる。したがって、本発明の外装カバーは、多種多用なパウチ及びスタンドパウチの外観を装飾することができる。これにより、従来のパウチ及びスタンドパウチの製品イメージを一新することが可能となる。
【0021】
第2に、本発明の外装カバーは、内容物の残量とは無関係に、パウチ及びスタンドパウチを真直ぐな状態に保持することができる。これにより、パウチ及びスタンドパウチの取り扱いが容易となる。すなわち、外装カバーは、天面板に設けられた開口によってスパウトを固定し、パウチ及びスタンドパウチの全体を真直ぐな状態に保持する。パウチ及びスタンドパウチは、正面板、背面板、天面板、底面板、左側面板及び右側面板によって構成される壁に覆われる。これにより、ユーザーは、外装カバーを手で掴むことによって、パウチ及びスタンドパウチを容易に取り扱うことができる。
【0022】
第3に、本発明の外装カバーは、デザインの自由度が高く、安価に少量生産することが可能である。すなわち、外装カバーは、板紙などの板材で構成されるため、板材の輪郭を任意の形状に加工すること、及び板材の表面に任意のデザインを印刷することが容易である。このような加工及び印刷のコストは、比較的に安価であり、顧客の注文に応じたデザインの製品を安価に少量生産することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る外装カバーの展開状態を示す正面図である。
図2】上記外装カバーの展開状態を示す背面図である。
図3】上記外装カバーの展開状態を示す平面図である。
図4】上記外装カバーの展開状態を示す底面図である。
図5】上記外装カバーの展開状態を示す左側面図である。
図6】上記外装カバーの組立状態を示す正面図である。
図7】上記外装カバーの組立状態を示す背面図である。
図8】上記外装カバーの組立状態を示す平面図である。
図9】上記外装カバーの組立状態を示す底面図である。
図10】上記外装カバーの組立状態を示す左側面図である。
図11】本発明の実施形態に係るスタンドパウチを示す正面図である。
図12】上記スタンドパウチを示す平面図である。
図13】上記スタンドパウチを示す底面図である。
図14】上記スタンドパウチを示す左側面図である。
図15】本発明の実施形態に係る包装容器を示す正面図である。
図16】上記包装容器を示す背面図である。
図17】上記包装容器を示す平面図である。
図18】上記包装容器を示す左側面図である。
図19】上記包装容器を示す正面から見た斜視図である。
図20】上記包装容器を示す背面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る外装カバー、スタンドパウチ及び包装容器について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
1.概要
図19及び図20に示されるように、本実施形態の包装容器1は、外装カバー10とスタンドパウチ20とで構成される。スタンドパウチ20の上部には、キャップ23を備えたスパウト22が熱溶着される。外装カバー10は、スタンドパウチ20の外側に装着され、スタンドパウチ20のほぼ全体を覆う。
【0026】
2.外装カバー
まず、本発明の実施形態に係る外装カバー10について、図1~10を参照しつつ説明する。図1及び図2に示されるように、外装カバー10は、例えば、耐水性を有する板紙を折り曲げ加工することにより構成される。板紙の厚さは、スタンドパウチ20の容量に対する強度を考慮して、例えば、1.0mm~0.35mmの範囲内で選択することが可能である。本実施形態では、容量750mlのスタンドパウチ20を真直ぐな状態に保持するために、厚さ1.0mm、坪量770g/mの板紙で外装カバー10を構成している。但し、厚さ0.6mm、坪量490g/mの板紙で外装カバーを構成した場合でも、容量750mlのスタンドパウチ20を真直ぐな状態に保持する程度の強度を得ることが可能である。さらに、外装カバー10に用いられる板紙は、厚さ0.4mm以下、坪量350g/m以下とすることで表面にデジタル印刷をすることが可能となる。表面にデジタル印刷をする場合は、例えば、厚さ0.35mm、坪量310g/mの板紙で外装カバー10を構成する。なお、外装カバー10を構成する板紙の厚さが0.4mmを超える場合は、表面にオフセット印刷をすればよい。
【0027】
包装容器1の外観は、外装カバー10のデザインによって定まる。外装カバー10は、板紙で構成されているので、板紙の輪郭を任意の形状とすることが可能であり、板紙を容易に折り曲げ加工することができ、包装容器1の外観形状の自由度が向上する。また、外装カバー10の表面に、デザインを直接印刷することができ、包装容器1の外観を美しくデザインすることが可能である。さらに、外装カバー10の表面には、エンボスなどの凹凸加工、金銀の箔押し加工を施すことができる。印刷、凹凸加工、箔押し加工を併用することで、包装容器1の外観や質感を自由にデザインすることができ、価値ある贈答品としてのギフト性を満足させることが可能である。
【0028】
図1及び図2に示されるように、外装カバー10は、正面板11、背面板12、天面板13、底面板14、左側面板15及び右側面板16を備える。正面板11、背面板12、天面板13、底面板14、左側面板15及び右側面板16は、1枚の連続する板紙で構成される。正面板11及び背面板12は、スパウト22のキャップ23よりも下の部分からスタンドパウチ20の底部に達する高さを有する(図15及び図16を参照)。正面板11及び背面板12の輪郭は、ネック、ショルダー、ボディ及びボトムからなるボトルをモチーフにしてデザインされる。正面板11及び背面板12の表面におけるネックとショルダーとの境界には、円弧状の凹みである装飾線18Dが筋押し加工によって形成される。
【0029】
天面板13は、正面板11の上部及び背面板12の上部に連続する。底面板14は、正面板11の下部に連続する。左側面板15は、正面板11の左側の下部に連続する。右側面板16は、正面板11の右側の下部に連続する。
【0030】
背面板12及び天面板13には、スパウト22が挿通される開口17が設けられる。本実施形態の開口17は、互いに連通する第1開口部17aと第2開口部とで構成される。第1開口部17aは、背面板12の上部中央に位置し、円弧形の輪郭を有する。第2開口部17bは、天面部13の中央に位置し、U字形の輪郭を有する。第1開口部17aは、キャップ23の最大外径よりも大きな直径を有する。第2開口部17bは、キャップ23の最大外径よりも小さな幅を有する。
【0031】
正面板11及び背面板12のそれぞれに、指を掛けるための第1孔11a、12a及び第2孔11b、12bが設けられる。正面板11の第1孔11aは、縦方向の中心軸よりも左側に位置する。正面板11の第2孔11bは、縦方向の中心軸よりも右側に位置する。これと同様に、背面板12の第1孔12aは、縦方向の中心軸よりも左側に位置する。背面板12の第2孔12bは、縦方向の中心軸よりも右側に位置する。
【0032】
正面板11と天面板13との境界、及び背面板12と天面板13との境界には、それぞれ第1ミシン目18Bが形成される。天面板13は、第1ミシン目18Bが形成された部分を支点にして、正面板11の裏面の方向に折り曲げられる。背面板12は、第1ミシン目18Bが形成された部分を支点にして、正面板11の裏面の方向に折り曲げられる。
【0033】
上記と同様に、正面板11と左側面板15との境界、及び正面板11と右側面板16との境界には、それぞれ第1ミシン目18Bが形成される。左側面板15は、第1ミシン目18Bが形成された部分を支点にして、正面板11の裏面の方向に折り曲げられる。右側面板16は、1ミシン目18Bが形成された部分を支点にして、正面板11の裏面の方向に折り曲げられる。
【0034】
上記と異なり、正面板11と底面板14との境界には、半切り線18Aが形成される。半切り線18Aは、板紙の厚さの半分に達する深さの切り込み線である。底面板14は、半切り線18Aが形成された部分を支点にして、正面板11の裏面の方向に折り曲げられる。
【0035】
背面板12の左側の下部には、左側面板15の裏面に接触する第1補強板12cが設けられる。背面板12と第1補強板12cとの間には、逆コ字形の切り込み線からなる差し込み孔12eが形成される。差し込み孔12eの上下には、短い半切り線18Aが形成される。第1補強板12cは、半切り線18Aが形成された部分を支点にして、背面板12の裏面の方向に折り曲げられる。これにより、背面板12と第1補強板12cとの間に、スリット状の差し込み孔12eが開口される。
【0036】
上記と同様に、背面板12の右側の下部には、右側面板16の裏面に接触する第2補強板12dが設けられる。背面板12と第2補強板12dとの間には、逆コ字形の切り込み線からなる差し込み孔12eが形成される。差し込み孔12eの上下には、短い半切り線18Aが形成される。第2補強板12cは、半切り線18Aが形成された部分を支点にして、背面板12の裏面の方向に折り曲げられる。これにより、背面板12と第2補強板12dとの間に、スリット状の差し込み孔12eが開口される。
【0037】
背面板12の下辺には、2つの差し込み片12fが間隔をおいて設けられる。背面板12と差し込み片12fとの境界には、第2ミシン目18Cが形成される。第2ミシン目18Cは、第1ミシン目18Bよりも1つの切り込みの長さが短い。差し込み片12fは、第2ミシン目18Cが形成された部分を支点して、背面板12の裏面の方向に折り曲げられる。
【0038】
底面板14の左辺には、左側面板15の裏面に接触する第1補強板14aが設けられる。底面板14の右辺には、右側面板16の裏面に接触する第2補強板14bが設けられる。底面板14と第1補強板14aとの境界、及び底面板14と第2補強板14bとの境界には、それぞれ第1ミシン目18Bが形成される。第1補強板14aは、第1ミシン目18Bが形成された部分を支点にして、底面板14の裏面の方向に折り曲げられる。第2補強板14bは、1ミシン目18Bが形成された部分を支点にして、底面板14の裏面の方向に折り曲げられる。
【0039】
底面板14の下部には、背面板12の裏面に接触する第3補強板14cが設けられる。底面板14と第3補強板14cとの間には、2つの差し込み孔14dが間隔をおいて形成される。差し込み孔14dは、逆コ字形の切り込み線からなる。2つの差し込み孔14dの左右には、短い半切り線18Aが形成される。また、2つの差し込み孔14dの間には、長い半切り線18Aが形成される。第3補強板14cは、半切り線18Aが形成された部分を支点にして、底面板14の裏面の方向に折り曲げられる。これにより、底面板14と第3補強板14cとの間に、スリット状の2つの差し込み孔14dが開口される。
【0040】
底面板14と第3補強板14cとの間に開口される2つの差し込み孔14dには、背面板12の下部に設けられた2つの差し込み片12fが挿入される。これにより、底面板14が、背面板12の下部に結合される。このとき、第3補強部14cが、背面板12の裏面に接触することにより、底面板14と背面板12との結合箇所が補強される。
【0041】
左側面板15の左辺には、1つの差し込み片15aが設けられる。左側面板15と差し込み片15aとの境界には、第2ミシン目18Cが形成される。差し込み片15aは、第2ミシン目18Cが形成された部分を支点して、左側面板15の裏面の方向に折り曲げられる。左側面板15の左辺に設けられた差し込み片15aは、背面板12の左側の下部に開口される差し込み孔12eに挿入される。これにより、左側面板15が、背面板12の左側の下部に結合される。このとき、背面板12の左側の下部に設けられた第1補強板12cが、左側面板15の裏面に接触することにより、左側面板15と背面板12との結合箇所が補強される。またこのとき、底面板14の左辺に設けられた第1補強板14aが、左側面板15の裏面に接触することにより、左側面板15の下辺近傍が補強される。
【0042】
右側面板16の右辺には、1つの差し込み片16aが設けられる。右側面板16と差し込み片16aとの境界には、第2ミシン目18Cが形成される。差し込み片16aは、第2ミシン目18Cが形成された部分を支点して、右側面板16の裏面の方向に折り曲げられる。右側面板16の左辺に設けられた差し込み片16aは、背面板12の右側の下部に開口される差し込み孔12eに挿入される。これにより、右側面板16が、背面板12の右側の下部に結合される。このとき、背面板12の右側の下部に設けられた第2補強板12dが、右側面板16の裏面に接触することにより、右側面板16と背面板12との結合箇所が補強される。またこのとき、底面板14の右辺に設けられた第2補強板14bが、右側面板16の裏面に接触することにより、右側面板15の下辺近傍が補強される。
【0043】
図6図10は、外装カバー10の組立状態を示す。図6及び図7に示されるように、外装カバー10の正面及び背面は、ネック、ショルダー、ボディ及びボトムからなるボトルをモチーフにしてデザインされた外観を呈する。図10に示されるように、外装カバー10の左側面及び右側面は、上から約2/3が開口しており、下から1/3が左側面板15及び右側面板16によって塞がれる。正面板11の下部、背面板12の下部、底面板14、左側面板15及び右側面板16は、次に述べるスタンドパウチ20の下部を包囲する断面長方形の箱を形成する。
【0044】
なお、本実施形態では、厚さ1.0mmの板紙で外装カバー10を構成しているため、外装カバー10の折り目を半切り線18A、第1ミシン目18B及び第2ミシン目18Cとしたが、これに限定されるものではない。例えば、厚さ0.6mm以下の板紙で外装カバー10を構成する場合は、外装カバー10の全ての折り目を折り筋(筋押し加工によって板紙の表面に形成される凹状の筋)とすることが可能である。
【0045】
3.スタンドパウチ
次に、本発明の実施形態に係るスタンドパウチについて、図11図14を参照しつつ説明する。図11に示されるように、スタンドパウチ20は、液体製品が収容される袋体21、液体の注ぎ口であるスパウト22及びキャップ23で構成される。
【0046】
袋体21に収容される液体製品は、例えば、飲料、食品、化粧品、洗剤、燃料などであり、特に限定されるものではない。本実施形態では、ワインや日本酒などの酒類が袋体21に収容されるものとする。袋体21は、2種類以上のフィルム素材を積層した複合構造となっている。ワインや日本酒などの酒類を収容する場合、袋体21は、例えば、表面から裏面の順番で、PET(Polyethylene terephthalate)フィルム、アルミ箔、ナイロンフィルム及びLLDPE(Linear Low Density Polyethylene)フィルムの4層構造とすることができる。第1層のPETフィルムは、袋体21の強度を確保するためのものであり、例えば、厚さ12μmとする。第2層のアルミ箔は、気体の遮断、防湿及び遮光を確保するためのものであり、例えば、厚さ7μmとする。第3層のナイロンフィルムは、袋体21の強度を確保するためのものであり、例えば、厚さ15μmとする。第4層のLLDPEフィルムは、袋体21の内面を構成するヒートシール材であり、例えば、厚さ120μmとする。
【0047】
袋体21の輪郭の形状は、特に限定されるものではないが、外装カバー10の正面板11及び背面板12からはみ出さない形状とすることが好ましい。本実施形態の袋体21は、正面板11及び背面板12と同様に、ネック、ショルダー、ボディ及びボトムからなるボトルをモチーフにしてデザインされる。図13に示されるように、袋体21の底部周縁は、フィルム素材を折り込んで形成される船底形のガゼット(襠)となっている。袋体21は、船底形のガゼットによって自立することが可能である。
【0048】
スパウト22は、例えば、口内径が16mmであり、袋体21の上部の中央に熱溶着するための図示しないフランジを備える。スパウト22及びキャップ23は、従来から日本国内で広く流通する規格品である。
【0049】
4.包装容器
次に、本発明の実施形態に係る包装容器について、図15図20を参照しつつ説明する。包装容器1は、上述した外装カバー10とスタンドパウチ20とで構成される。包装容器1を構成する手順は、以下のとおりである。
【0050】
まず、図2に示される展開状態の外装カバー10の裏面側から、キャップ23が装着されたスパウト22を第1開口17aに挿通させる。次いで、第1開口17aに挿通されたスパウト22を第2開口17bの中にスライドさせる。これにより、スパウト22のキャップ23よりも下の部分が、第2開口17bに保持される。
【0051】
次いで、外装カバー10の正面板11、背面板12、底面板14、左側面板15及び右側面板16のそれぞれを、半切り線18A、第1及び第2ミシン目18B、18Cに沿って、スタンドパウチ20の袋体21の方向に折り曲げる。
【0052】
次いで、背面板12の第1補強板12cを、半切り線18Aに沿って、背面板12の裏面の方向に折り曲げる。これにより、背面板12と第1補強板12cとの間に、スリット状の差し込み孔12eが開口される。これと同様に、背面板12の第2補強板12dを、半切り線18Aに沿って、背面板12の裏面の方向に折り曲げる。これにより、背面板12と第2補強板12dとの間に、スリット状の差し込み孔12eが開口される。
【0053】
次いで、左側面板15の差し込み片15aを、第2ミシン目18Cに沿って、左側面板15の裏面の方向に折り曲げる。これと同様に、右側面板16の差し込み片16aを、第2ミシン目18Cに沿って、右側面板16の裏面の方向に折り曲げる。
【0054】
次いで、左側面板15の差し込み片15aを、背面板12と第1補強板12cとの間に開口された差し込み孔12eに挿入する。これにより、左側面板15が背面板12に結合される。左側面板15と背面板12との結合箇所は、第1補強板12cによって裏側から補強される。
【0055】
これと同様に、右側面板16の差し込み片16aを、背面板12と第2補強板12dとの間に開口された差し込み孔12eに挿入する。これにより、右側面板16が背面板12に結合される。右側面板16と背面板12との結合箇所は、第2補強板12dによって裏側から補強される。
【0056】
次いで、底面板14の第1及び第2補強板14a、14bを、第1ミシン目18Bに沿って、底面板14の裏面の方向に折り曲げる。そして、底面板14の第3補強板14cを、切り込み線18Aに沿って、底面板14の裏面の方向に折り曲げる。これにより、底面板14と第3補強板14cとの間に、スリット状の2つの差し込み孔14dが開口される。
【0057】
次いで、背面板12の下辺に設けられた2つの差し込み片12fのそれぞれを、第2ミシン目18Cに沿って、背面板12の裏面の方向に折り曲げる。そして、背面板12の2つの差し込み片12fのそれぞれを、底面板14と第3補強板14cとの間に開口された2つの差し込み孔14dのそれぞれに挿入する。これにより、底面板14が背面板12に結合され、正面板11の下部、背面板12の下部、底面板14、左側面板15及び右側面板16が、スタンドパウチ20の袋体21の下部を包囲する断面長方形の箱を形成する。この断面長方形の箱において、左側面板15の下辺近傍は、底面板14の第1補強板14aによって裏側から補強される。また、右側側板16の下辺近傍は、底面板14の第2補強板14bによって裏側から補強される。さらに、底面板14と背面板12との結合箇所は、第3補強板14cによって裏側から補強される。以上の手順によって、図15図20に示される包装容器1が構成される。
【0058】
このような包装容器1では、スタンドパウチ20のスパウト22が、外装カバー10の天面板13の第2開口17bに固定される。これにより、外装カバー10の内側において、スタンドパウチ20の袋体21が真直ぐな状態で保持される。さらに、スタンドパウチ20の袋体21が、正面板11の下部、背面板12の下部、底面板14、左側面板15及び右側面板16によって構成される壁に覆われる。特に、最後まで液体が収容される袋体21の下部は、正面板11の下部、背面板12の下部、底面板14、左側面板15及び右側面板16で形成される断面長方形の箱によって包囲される。断面長方形の箱は、外装カバー10を自立させ、且つ内容物が減少したスタンドパウチ20の自立を支援する。さらに、スタンドパウチ20の減少した内容物は、包装容器1の下部に重心を位置させ、包装容器1の自立を支援する。
【0059】
5.作用効果
第1に、本実施形態の外装カバー10は、様々な構成のスパウト22を備えたスタンドパウチ20に装着することができる。すなわち、外装カバー10の正面板11及び背面板12は、様々な容量及び形状のスタンドパウチ20の外側を覆うことが可能なデザインとすることができる。また、外装カバー10の天面板13に設けられた開口17は、様々な構成のスパウト22に応じた大きさ及び形状とすることができる。したがって、本実施形態の外装カバー10は、多種多用なスタンドパウチ20の外観を装飾することができる。これにより、従来のスタンドパウチ20の製品イメージを一新することが可能となる。
【0060】
第2に、本実施形態の外装カバー10は、内容物の残量とは無関係に、スタンドパウチ20を真直ぐな状態に保持することができる。これにより、スタンドパウチ20の取り扱いが容易となる。すなわち、外装カバー10は、天面板13に設けられた開口17によってスパウト22を固定し、スタンドパウチ20の全体を真直ぐな状態に保持する。スタンドパウチ20は、正面板11、背面板12、天面板13、底面板14、左側面板15及び右側面板16によって構成される壁に覆われる。これにより、ユーザーは、外装カバー10を手で掴むことによって、スタンドパウチ20を容易に取り扱うことができる。
【0061】
特に、本実施形態の外装カバー10は、正面板11及び背面板12のそれぞれに、指を掛けるための第1孔11a、12a及び第2孔11b、12bが設けられている。これにより、外装カバー10の正面側の左右、又は背面側の左右のどの方向から掴んでも、ユーザーの親指が、第1孔11a、12a及び第2孔11b、12bのうちのいずれか1つに掛かる。ユーザーは、親指でしっかりと外装カバー10をホールドすることができ、内容物の残量とは無関係に、スタンドパウチ20を最初から最後まで容易に取り扱うことができる。
【0062】
第3に、本実施形態の外装カバー10は、デザインの自由度が高く、安価に少量生産することが可能である。すなわち、外装カバー10は、板紙などの板材で構成されるため、板材の輪郭を任意の形状に加工すること、及び板材の表面に任意のデザインを印刷することが容易である。このような加工及び印刷のコストは、比較的に安価であり、顧客の注文に応じたデザインの製品を安価に少量生産することが可能である。
【0063】
6.その他
本発明の外装カバー及び包装容器は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、外装カバーの輪郭は、図面に示される形状に限定されるものではなく、自由にデザインすることが可能である。また、外装カバーの表面及び裏面には、種々のパッケージデザインや商品説明などを印刷することができる。さらに、本発明の包装容器は、スタンドパウチに限らず、外装カバーと自立することができないパウチとで構成してもよい。これに加えて、包装容器を構成するパウチ及びスタンドパウチの容量、スパウトの口径、収容される液体製品の種類なども、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 包装容器
10 外装カバー
11 正面板
11a 第1孔
11b 第2孔
12 背面板
12a 第1孔
12b 第2孔
12c 第1補強板
12d 第2補強板
12e 差し込み孔
12f 差し込み片
13 天面板
14 底面板
14a 第1補強板
14b 第2補強板
14c 第3補強板
14d 差し込み孔
15 左側面板
15a 差し込み片
16 右側面板
16a 差し込み片
17 開口
17a 第1開口
17b 第2開口
18A 半切り線
18B 第1ミシン目
18C 第2ミシン目
18D 装飾線
20 スタンドパウチ
21 袋体
22 スパウト
23 キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図19
図20