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特開2024-55355静電容量型タッチセンサ及び静電容量型タッチセンサモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055355
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】静電容量型タッチセンサ及び静電容量型タッチセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20240411BHJP
   H01H 11/00 20060101ALI20240411BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01H36/00 J
H01H11/00 U
H05K1/02 B
H05K1/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162200
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】宮島 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】浅川 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】小野 允嵩
(72)【発明者】
【氏名】縣 和哉
【テーマコード(参考)】
5E338
5G023
5G046
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB72
5E338CC01
5E338CD13
5E338CD33
5E338EE27
5G023BA03
5G023CA19
5G046AA02
5G046AB02
5G046AC24
5G046AC26
(57)【要約】
【課題】設計が容易で簡便に製造でき、曲面や凹凸面等の三次元形状に追従させても電極や配線の剥離や断線を抑制され、検出精度の低下を抑制できる静電容量型タッチセンサを提供すること。
【解決手段】基材シート上に検出電極と配線が設けられた静電容量型タッチセンサにおいて、前記検出電極及び前記配線を覆う第1変形抑制層と、前記基材シートの外周部に沿った第2変形抑制層を設け、前記基材シートの前記検出電極及び前記配線が設けられた側に接着層を介して加飾シートを設け、前記配線は前記検出電極から接続端子まで形成し、前記第1変形抑制層は、前記配線の前記接続端子以外の部分を覆い、且つ前記基材シート上の前記接着層が設けられている領域よりも前記接続端子に近い領域まで形成し、前記基材シートにおける前記第1変形抑制層と前記第2変形抑制層の間に、前記第1変形抑制層及び前記第2変形抑制層が存在しない易変形領域を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートと、前記基材シート上に設けられた、静電容量の変化を検出する検出電極と、前記基材シート上に設けられ、前記検出電極と電気的に接続された配線と、前記検出電極及び前記配線を覆う第1変形抑制層と、前記基材シートの外周部に沿って設けられた第2変形抑制層と、前記基材シートの前記検出電極及び前記配線が設けられた側に接着層を介して設けられた加飾シートと、を備え、
前記配線は、前記検出電極から前記基材シートに設けられた接続端子まで形成され、
前記第1変形抑制層は、前記配線の前記接続端子以外の部分を覆い、且つ前記基材シート上の前記接着層が設けられている領域よりも前記接続端子に近い領域まで形成されており、
前記基材シートにおける前記第1変形抑制層と前記第2変形抑制層の間に、前記第1変形抑制層及び前記第2変形抑制層が存在しない易変形領域が形成されている、静電容量型タッチセンサ。
【請求項2】
前記第1変形抑制層及び前記第2変形抑制層を構成する材料が、シリコーン樹脂及び紫外線硬化型アクリル樹脂の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項3】
前記検出電極及び前記配線を構成する材料が、シリコーン樹脂を含まない銀ペーストインクである、請求項1に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項4】
前記基材シートを構成する材料がシリコーンエラストマーを含む、請求項1に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項5】
前記接着層のJIS K7161:2014に従って測定されるヤング率が500MPa以上2500MPa以下である、請求項1に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項6】
前記基材シートの厚さ方向の前記加飾シート側から見た平面視で、前記第1変形抑制層は、その前記接続端子側の端部における前記配線の幅方向の両側のそれぞれから前記接続端子に向かって突き出た凸部を有している、請求項1に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項7】
前記基材シートの厚さ方向の前記加飾シート側から見た平面視で、前記第1変形抑制層及び前記第2変形抑制層の少なくとも一方が櫛歯状に形成された領域を有する、請求項1に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項8】
前記第1変形抑制層と前記第2変形抑制層がそれぞれ独立して形成されている、請求項1に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の静電容量型タッチセンサを備えた静電容量型タッチセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型タッチセンサ及び静電容量型タッチセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用の電子機器等の様々な分野において、操作面の操作を検知するために静電容量型のタッチセンサが広く用いられている。また、曲面や凹凸面等に配置したり、自由に変形させたりすることが可能な柔軟なタッチセンサが知られている。柔軟なタッチセンサでは、応力が加わった際に基材シートに引き裂きや破損が生じたり、配線が断線したりすることがある。このような問題は、シリコーンゴムからなる基材シートと、シリコーン樹脂を含まず金属フィラーを主成分とするペーストインクからなる配線との組み合わせのときに特に顕著となる。断線を抑制して電気的信頼性を高める方法としては、基材シートや配線を厚くする方法があるが、当該方法では柔軟性が損なわれる。
【0003】
特許文献2~4では、シート状の伸縮性基材と、伸縮性の配線部と、補強領域とを所定の構成で有することによって、部分的な応力集中を緩和して配線部の断線を抑制する伸縮性配線基板が提案されている。しかし、このような配線基板では、補強領域を新たに追加配置する必要があるため、製造工程が煩雑になり、設計自由度が低くなるうえ、材料の制限によって配線基板全体としての設計が非常に複雑となる結果、生産のコスト増大に繋がる。
【0004】
特許文献1には、伸縮性基材、伸縮性配線、及び、前記伸縮性基材と接しているランド部を有することにより、電子部品を既存のハンダで実装できるようにした伸縮性回路基板が開示されている。しかし、静電容量センサでは、ZIF接続やACF接続に適用する端子部へと続く、幅が狭く、線長の長いが複雑な配線パターンを要求される。そのため、特許文献1のような伸縮性回路基板を静電容量センサに適用することは困難であり、依然として配線の途中で局所的に応力が集中することが課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/045108号
【特許文献2】特許第6676373号公報
【特許文献3】特開2014-162124号公報
【特許文献4】特許第6506653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、設計が容易で簡便に製造できるうえ、曲面や凹凸面等の三次元形状に追従させても電極や配線の剥離や断線を抑制され、検出精度の低下を抑制できる静電容量型タッチセンサ、及び前記静電容量型タッチセンサを備えた静電容量型タッチセンサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]基材シートと、前記基材シート上に設けられた、静電容量の変化を検出する検出電極と、前記基材シート上に設けられ、前記検出電極と電気的に接続された配線と、前記検出電極及び前記配線を覆う第1変形抑制層と、前記基材シートの外周部に沿って設けられた第2変形抑制層と、前記基材シートの前記検出電極及び前記配線が設けられた側に接着層を介して設けられた加飾シートと、を備え、
前記配線は、前記検出電極から前記基材シートに設けられた接続端子まで形成され、
前記第1変形抑制層は、前記配線の前記接続端子以外の部分を覆い、且つ前記基材シート上の前記接着層が設けられている領域よりも前記接続端子に近い領域まで形成されており、
前記基材シートにおける前記第1変形抑制層と前記第2変形抑制層の間に、前記第1変形抑制層及び前記第2変形抑制層が存在しない易変形領域が形成されている、静電容量型タッチセンサ。
[2]前記第1変形抑制層及び前記第2変形抑制層を構成する材料が、シリコーン樹脂及び紫外線硬化型アクリル樹脂の少なくとも一方を含む、[1]に記載の静電容量型タッチセンサ。
[3]前記検出電極及び前記配線を構成する材料が、シリコーン樹脂を含まない銀ペーストインクである、[1]又は[2]に記載の静電容量型タッチセンサ。
[4]前記基材シートを構成する材料がシリコーンエラストマーを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサ。
[5]前記接着層のJIS K7161:2014に従って測定されるヤング率が500MPa以上2500MPa以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサ。
[6]前記基材シートの厚さ方向の前記加飾シート側から見た平面視で、前記第1変形抑制層は、その前記接続端子側の端部における前記配線の幅方向の両側のそれぞれから前記接続端子に向かって突き出た凸部を有している、[1]~[5]のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサ。
[7]前記基材シートの厚さ方向の前記加飾シート側から見た平面視で、前記第1変形抑制層及び前記第2変形抑制層の少なくとも一方が櫛歯状に形成された領域を有する、[1]~[6]のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサ。
[8]前記第1変形抑制層と前記第2変形抑制層がそれぞれ独立して形成されている、[1]~[7]のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサ。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサを備えた静電容量型タッチセンサモジュール。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設計が容易で簡便に製造できるうえ、曲面や凹凸面等の三次元形状に追従させても電極や配線の剥離や断線を抑制され、検出精度の低下を抑制できる静電容量型タッチセンサ、及び前記静電容量型タッチセンサを備えた静電容量型タッチセンサモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の一例の静電容量型タッチセンサを示した平面図である。
図2図1の静電容量型タッチセンサのA-A断面図である。
図3図1の静電容量型タッチセンサにおいて便宜上第1変形抑制層、第2変形抑制層、接着層及び加飾シートを省略して示した平面図である。
図4図1の静電容量型タッチセンサにおいて便宜上接着層及び加飾シートを省略して示した平面図である。
図5】実施形態の他の例の静電容量型タッチセンサを便宜上、接着層及び加飾シートを省略して示した平面図である。
図6】実施形態の他の例の静電容量型タッチセンサを便宜上、接着層及び加飾シートを省略して示した平面図である。
図7】実施形態の他の例の静電容量型タッチセンサを便宜上、接着層及び加飾シートを省略して示した平面図である。
図8】実施形態の他の例の静電容量型タッチセンサを便宜上、接着層及び加飾シートを省略して示した平面図である。
図9】実施形態の他の例の静電容量型タッチセンサを便宜上、接着層及び加飾シートを省略して示した平面図である。
図10】実施形態の他の例の静電容量型タッチセンサを便宜上、接着層及び加飾シートを省略して示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[静電容量型タッチセンサ]
以下、本発明の静電容量型タッチセンサについて、一例を示し、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0011】
図1は、実施形態の一例の静電容量型タッチセンサ1を加飾シート側から見た平面図である。図2は、図1の静電容量型タッチセンサ1のA-A断面図である。
また、図3は、基材シート上の回路(電極及び配線)を分かりやすく示すために、図1の静電容量型タッチセンサにおける第1変形抑制層、第2変形抑制層、接着層及び加飾シートを便宜上省略して示した平面図である。図4は、図1の静電容量型タッチセンサにおける接着層及び加飾シートを便宜上省略して示した平面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、この例の静電容量型タッチセンサ1は、基材シート10と、検出電極20と、配線22と、GND電極24と、第1変形抑制層30と、第2変形抑制層32と、接着層40と、加飾シート50と、を備えている。
静電容量型タッチセンサ1では、基材シート10の第1面10aに検出電極20、配線22及びGND電極24が所定のパターンで設けられている。また、基材シート10の第1面10aには検出電極20及び配線22を覆うように第1変形抑制層30が設けられ、基材シート10の外周部に沿って第2変形抑制層32が設けられている。さらに、基材シート10の検出電極20及び配線22が設けられた側に接着層40を介して加飾シート50が設けられている。
【0013】
図3に示すように、この例の基材シート10は、平面視で長方形状の本体部12と、本体部12の一方の短辺の一部から突出するように延在する帯状部14とを有しており、帯状部14の先端部分に接続端子16が形成されている。
なお、基材シート10の平面視形状は、この例の形状には限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
【0014】
基材シート10としては、可撓性を有する柔軟なシートであればよく、例えば樹脂シートを使用することができ、透明な樹脂製の絶縁シートが好ましい。ただし、「絶縁」とは、電気抵抗値が1MΩ以上、好ましくは10MΩ以上であることを意味する。また、「透明」とは、JIS K7136に従って測定した光線透過率が50%以上であることを意味する。
【0015】
基材シート10を構成する材料としては、例えばシリコーンエラストマー等のエラストマーを例示でき、柔軟で三次元形状への追従性に優れることから、シリコーンエラストマーが好ましい。基材シート10を構成する材料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0016】
基材シート10を構成するエラストマーのショアA硬度は、10以上が好ましく、20以上がより好ましい。ショアA硬度が下限値以上であれば、検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすい。エラストマーのショアA硬度は、60以下が好ましく、30以下がより好ましい。ショアA硬度が上限値以下であれば、静電容量型タッチセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすい。エラストマーのショアA硬度の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
なお、ショアA硬度は、試験片の厚さ(高さ)を1cmとしてJIS K 6253に従って測定した際のタイプAのデュロメータ硬さである。
【0017】
基材シート10の厚みは、12μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましい。基材シート10の厚みが前記下限値以上であれば、検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすい。基材シート10の厚みは、250μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。基材シート10の厚みが前記上限値以下であれば、静電容量型タッチセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすい。基材シート10の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
【0018】
基材シート10の破断伸びは、100%以上が好ましく、500%以上がより好ましい。基材シート10の破断伸びが前記下限値以上であれば、静電容量型タッチセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすい。基材シート10の破断伸びは、1000%以下が好ましく、800%以下がより好ましい。基材シート10の破断伸びが前記上限値以下であれば、過大な伸長による検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすい。基材シート10の破断伸びの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
なお、破断伸びは、JIS K 6251:2017に従って、試験片はダンベル状2号形を用い、引張速度は500mm/分の条件で測定される。
【0019】
基材シート10の引張強さは、4MPa以上が好ましく、5MPa以上がより好ましい。基材シート10の引張強さが前記下限値以上であれば、検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすい。基材シート10の引張強さは、12MPa以下が好ましく、9MPa以下がより好ましい。基材シート10の引張強さが前記上限値以下であれば、静電容量型タッチセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすい。基材シート10の引張強さの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
なお、引張強さは、JIS K 6251:2017に従い、試験片としてダンベル状2号形を用い、引張速度500mm/分の条件で測定される。
【0020】
図2及び図3に示すように、この例では、基材シート10の本体部12における第1面10aに、3つの検出電極20が本体部12の短辺方向の中央に長辺方向に沿って間隔をあけて設けられている。また、各検出電極20には配線22が電気的に接続されており、配線22は接続端子16まで形成されている。接続端子16は、例えば回路基板(リジット基板)の静電容量検知部と電気的に接続することができる。これにより、静電容量型タッチセンサ1は、検出電極20に導体が接触又は近接したときに、検出電極20の静電容量の変化からそれを検知することができる。
検出電極20の数は、3個には限定されず、適宜設定でき、2個以下であってもよく、4個以上であってもよい。
【0021】
検出電極20は、静電容量の変化を検出することにより、導体の接触又は近接を検知するための電極である。検出電極20による静電容量の変化の検出は、自己容量方式であってもよく、相互容量方式であってもよい。
検出電極20の態様としては、例えば、ベタ電極、櫛歯電極、メッシュ電極、田形電極パターン、ダイヤモンドパターン等が挙げられる。
検出電極20の平面視形状は、図1及び図3に示す例では矩形であるが、円形、楕円形等であってもよい。
【0022】
検出電極20を構成する材料としては、例えば、シリコーン樹脂を含まない、金属フィラーを主成分とするペーストインクを例示できる。ただし、「金属フィラーを主成分とする」とは、ペーストインク中の導電物質の総質量に対する金属フィラーの割合が60質量%以上であることを意味する。
金属フィラーとしては、例えば、銀フィラー、銅フィラー、金フィラーを例示でき、銀フィラーが好ましい。
【0023】
検出電極20を構成するペーストインクには、導電性高分子(ポリチオフェン系導電性ポリマー(PEDOT/PSS)、インジウムドープ酸化錫(ITO)等)、導電性ナノワイヤー(銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー等)、導電性金属酸化物粒子(ITO粒子等)等の他の導電物質が含まれていてもよい。
検出電極20を構成する材料としては、シリコーン樹脂を含まない銀ペーストインクが好ましく、アクリル樹脂に銀フィラーが添加された銀ペーストインクが特に好ましい。
【0024】
検出電極20の厚みは、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。検出電極20の厚みが前記下限値以上であれば、検出電極20の剥離や断線を抑制しやすい。検出電極20の厚みは、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。検出電極20の厚みが前記上限値以下であれば、静電容量型タッチセンサ1の薄型化が容易になる。検出電極20の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
【0025】
配線22の材料としては、特に限定されず、例えば検出電極20の材料と同じものを例示でき、シリコーン樹脂を含まない銀ペーストインクが好ましく、アクリル樹脂に銀フィラーが添加された銀ペーストインクが特に好ましい。
【0026】
配線22の厚みは、例えば検出電極20の厚みと同程度にすることができ、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、また20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。配線22の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
【0027】
配線22の剥離や断線を抑制しやすいことから、配線22の線幅は、30μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。設計の自由度を確保できることから、配線22の線幅は、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。配線22の線幅の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
【0028】
配線22の厚みと線幅のアスペクト比(厚み/線幅)は、1/100以上が好ましく、1/50以上がより好ましい。また、アスペクト比(厚み/線幅)は、1/5以下が好ましく、1/10以下がより好ましい。
【0029】
GND電極24は、接地された電極である。GND電極24を設けることにより、検出電極20や配線22に導体が近接した際のノイズが低減されるため、静電容量型タッチセンサ1の検知精度が向上する。
図1及び図3に示す例のGND電極24は、各検出電極20及び配線22を取り囲むように配置されており、各検出電極20間の領域では矩形のベタ電極のようになっている。GND電極24にも配線22が電気的に接続されており、その配線22は接続端子16まで形成されている。
なお、GND電極24のパターンは、この態様のパターンには限定されず、検出電極20及び配線22の回路パターンに応じて適宜設計することができる。
【0030】
GND電極24の材料としては、特に限定されず、例えば検出電極20の材料と同じものを例示でき、シリコーン樹脂を含まない銀ペーストインクが好ましく、アクリル樹脂に銀フィラーが添加された銀ペーストインクが特に好ましい。
GND電極24の厚みは、例えば検出電極20の厚みと同程度にすることができ、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、また20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。GND電極24の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
【0031】
図4に示すように、第1変形抑制層30は、基材シート10の第1面10aに、検出電極20及び配線22のパターンに沿って、検出電極20及び配線22を覆うように設けられている。検出電極20及び配線22を覆うように第1変形抑制層30を設けることにより、基材シート10の検出電極20及び配線22が設けられた部分に応力が集中して局所的に変形することが抑制されるため、検出電極20及び配線22の剥離や断線が抑制される。
【0032】
各検出電極20は、全体が第1変形抑制層30で覆われるが、検出電極20がメッシュ電極である場合には、メッシュ状の電極部分に沿って第1変形抑制層30を設け、メッシュの電極が無い部分には第1変形抑制層30が存在しないようにしてもよい。
また、配線22は、接続端子16の近傍以外はすべて第1変形抑制層30で覆われる。
【0033】
第1変形抑制層30で覆われている検出電極20及び配線22の外縁から、それらを覆う第1変形抑制層30の外縁までの距離(オフセット量)は、0.10mm以上が好ましく、0.15mm以上がより好ましい。前記オフセット量が下限値以上であれば、第1変形抑制層30による検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制する効果が得られやすい。前記オフセット量は、0.30mm以下が好ましく、0.25mm以下がより好ましい。前記オフセット量が上限値以下であれば、易変形領域を十分確保することができる。前記オフセット量の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
【0034】
基材シート10の帯状部14においては、図2に示すように、第1変形抑制層30は、各配線22の接続端子16以外の部分を覆い、且つ基材シート10上の接着層40が設けられている領域よりも接続端子16に近い領域まで形成されている。基材シート10における接続端子16近傍の接着層40を介して加飾シート50と接着されていない領域は、加飾シート50と接着されている領域に比べて柔軟で変形しやすい傾向がある。しかし、接続端子16近傍の接着層40が存在しない領域まで第1変形抑制層30が設けられていることにより、接続端子16近傍の局所的な変形が抑えられ、配線22の剥離や断線が充分に抑制される。
【0035】
また、図4に示すように、基材シート10の厚さ方向の加飾シート50側から見た平面視で、第1変形抑制層30は、その接続端子16側の端部における各配線22の幅方向の両側のそれぞれから接続端子16に向かって突き出た凸部31,31を有していることが好ましい。これにより、基材シート10の接続端子16近傍に配線22を屈曲させるような変形が生じにくくなるため、接続端子16近傍での配線22の剥離や断線がさらに生じにくくなる。
【0036】
第1変形抑制層30の厚みは、10μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましい。第1変形抑制層30の厚みが前記下限値以上であれば、検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすい。第1変形抑制層30の厚みは、20μm以下が好ましく、16μm以下がより好ましい。第1変形抑制層30の厚みが前記上限値以下であれば、静電容量型タッチセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすい。第1変形抑制層30の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
【0037】
図4に示す例の第2変形抑制層32は、基材シート10の第1面10aに、基材シート10の外周部に沿って全周にわたって設けられている。これにより、静電容量型タッチセンサ1が外縁から引き裂かれることが抑制される。
静電容量型タッチセンサ1が外縁から引き裂かれにくくなることから、第2変形抑制層32の幅は、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。易変形領域を十分確保することができることから、第2変形抑制層32の幅は、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましい。第2変形抑制層32の幅の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
【0038】
第2変形抑制層32の厚みは、第1変形抑制層30の厚みと同様の理由から、10μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましく、また20μm以下が好ましく、16μm以下がより好ましい。第2変形抑制層32の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
第1変形抑制層30の厚みと第2変形抑制層32の厚みは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0039】
第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32を構成する材料としては、基材シート10における第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32を設けた部分の変形を抑制できるものであればよく、例えば、シリコーン樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂を例示できる。第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32を構成する材料としては、シリコーン樹脂及び紫外線硬化型アクリル樹脂の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0040】
検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすいことから、第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32を構成する材料のショアD硬度は、60以上が好ましく、65以上がより好ましい。また、静電容量型タッチセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすいことから、前記材料のショアD硬度は、75以下が好ましい。前記材料のショアD硬度の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32を構成する材料のショアD硬度は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、ショアD硬度は、試験片の厚さ(高さ)を1cmとしてJIS K 6253に従って測定した際のタイプDのデュロメータ硬さである。
【0041】
検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすいことから、第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32の曲げ弾性率は、500MPa以上が好ましく、1500MPa以上がより好ましい。静電容量型タッチセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすいことから、第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32の曲げ弾性率は、2500MPa以下が好ましい。第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32の曲げ弾性率の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32の曲げ弾性率は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、曲げ弾性率は、JIS K 7171に従って測定される。
【0042】
静電容量型タッチセンサ1では、図4に示すように、第1変形抑制層30と第2変形抑制層32との間に、第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32が存在しない易変形領域60が形成されている。すなわち、基材シート10における各検出電極20及び配線22が設けられた部分と外周部との間に、第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32が存在しない易変形領域60が形成されている。このような易変形領域60を設けることで、静電容量型タッチセンサ1に応力が加わった際にその応力が易変形領域60で吸収される。これにより、第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32が存在する領域、すなわち基材シート10における検出電極20及び配線22が設けられた部分と外周部に応力が集中して局所的に変形することが抑制される。その結果、検出電極20及び配線22が基材シート10から剥離して抵抗値が上昇したり、検出電極20及び配線22が断線したり、静電容量型タッチセンサ1が外周部から引き裂かれたりすることが充分に抑制される。
【0043】
基材シート10における易変形領域60には、この例のようにGND電極が設けられていてもよい。
第1変形抑制層30と第2変形抑制層32は一部が繋がっていてもよいが、易変形領域60による効果が得られやすいことから、この例のように第1変形抑制層30と第2変形抑制層32がそれぞれ独立して形成されていることが好ましい。
【0044】
接着層40を構成する材料としては、例えば、公知の硬化型接着剤(接着前は液状接着剤)、又は粘着剤(接着前はゲル状の感圧性接着剤)を例示できる。接着剤や粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体を例示できる。硬化型接着剤は、硬化時に揮発する溶剤を含む溶剤型であってもよく、ホットメルト型であってもよい。
【0045】
検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすいことから、接着層40のヤング率は、500MPa以上が好ましく、1500MPa以上がより好ましい。静電容量型タッチセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすいことから、接着層40のヤング率は、2500MPa以下が好ましく、2000MPa以下がより好ましい。接着層40のヤング率の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
接着層40のヤング率は、JIS K7161:2014に従って測定される。
【0046】
検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすいことから、接着層40の平均厚みは、10μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましい。静電容量型タッチセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすいことから、接着層40の平均厚みは、20μm以下が好ましく、16μm以下がより好ましい。接着層40の平均厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
【0047】
加飾シート50としては、加飾された、可撓性を有する柔軟なシートであればよく、例えば加飾された樹脂シートを使用することができる。加飾シート50を構成する材料としては、例えば、シリコーンエラストマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を例示できる。
加飾シート50への加飾は、特に限定されず、用途に応じて適宜装飾、文字、図形、記号、絵柄等を組み合わせ、あるいはこれらと色彩とを組み合わせた任意の加飾とすることができる。
【0048】
検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすいことから、加飾シート50の厚みは、25μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。静電容量型タッチセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすいことから、加飾シート50の厚みは、5000μm以下が好ましく、1000μm以下がより好ましい。加飾シート50の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができる。
【0049】
静電容量型タッチセンサ1の製造方法は、特に限定されない。
例えば、基材シート10及び加飾シート50は、プレス成形、押出成形、カレンダー成形等の公知の成形方法を利用して製造できる。
また、検出電極20、配線22、GND電極24、第1変形抑制層30、第2変形抑制層32及び接着層40は、スクリーン印刷によって基材シート10上に所定のパターンで順次形成することができる。スクリーン印刷によって検出電極20、配線22及びGND電極24を形成する場合、スクリーン印刷の前工程として基材シート10の第1面10aに光学的な表面処理もしくは易接着コート(プライマー)塗布を行い、基材シート10への検出電極20、配線22及びGND電極24の密着力を向上させてもよい。
【0050】
以上説明したように、静電容量型タッチセンサ1では、検出電極20及び配線22を保護する第1変形抑制層30と、基材シート10の外周部を保護する第2変形抑制層32が設けられ、かつ第1変形抑制層30と第2変形抑制層32の間に応力を吸収する易変形領域60が形成されている。これにより、静電容量型タッチセンサ1に応力が加わっても、検出電極20及び配線22が設けられた部分や外周部が局所的に変形しにくくなる。その結果、検出電極20及び配線22が基材シート10から剥離して抵抗値が上昇したり、検出電極20及び配線22が断線したり、静電容量型タッチセンサ1が外周部から引き裂かれたりすることが充分に抑制される。
また、接続端子16近傍では第1変形抑制層30が接着層40よりも接続端子16に近い領域まで形成されているため、接続端子16近傍での局所的な変形が抑制される。そのため、接続端子16近傍においても配線22の剥離や断線が充分に抑制される。
【0051】
[静電容量型タッチセンサモジュール]
本発明の静電容量型タッチセンサモジュールは、本発明の静電容量型タッチセンサを備えたモジュールであり、本発明の静電容量型タッチセンサを備える以外は公知の態様を採用できる。例えば曲面や凹凸面等の三次元形状を有する対象物に本発明の静電容量型タッチセンサを貼り付けた静電容量型タッチセンサモジュールを例示できる。
静電容量型タッチセンサを貼り付ける対象物としては、例えば、柔らかな物体や人体に装着可能で、接触検出、押圧検出、生体信号検出などのセンシングができるウェアラブル端末を例示できる。
【0052】
なお、本発明は前記した態様には限定されない。
例えば、図5~7に示すように、本発明の静電容量型タッチセンサは、平面視で、基材シート10の各検出電極20間に第1変形抑制層30が櫛歯状に形成された領域を有していてもよい。なお、図5~7では、便宜上、接着層及び加飾シートを省略して示している。このように第1変形抑制層を櫛歯状に設けることにより、第1変形抑制層及び第2変形抑制層が存在しない易変形領域における応力が吸収されやすい方向をコントロールしてもよい。
また、第1変形抑制層が櫛歯状に形成された領域は、検出電極間には限定されない。
【0053】
図8に示すように、本発明の静電容量型タッチセンサは、平面視で、基材シート10の各検出電極20間に第1変形抑制層30及び第2変形抑制層32が櫛歯状に形成された領域を有していてもよい。なお、図8では、便宜上、接着層及び加飾シートを省略して示している。このように第1変形抑制層及び第2変形抑制層を櫛歯状に設けることにより、第1変形抑制層及び第2変形抑制層が存在しない易変形領域における応力が吸収されやすい方向をコントロールしてもよい。
また、第1変形抑制層及び第2変形抑制層が櫛歯状に形成された領域は、検出電極間には限定されない。
【0054】
図9に示すように、基材シート10の帯状部14の接続端子16近傍で第1変形抑制層30と第2変形抑制層32が一部繋がっていてもよい。さらに、図10に示すように、基材シート10の帯状部14における接続端子16側の端部には第2変形抑制層32が設けられていない態様であってもよい。なお、図9及び図10では、便宜上、接着層及び加飾シートを省略して示している。
【0055】
本発明の静電容量型タッチセンサは、GND電極を備えていないものであってもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…静電容量型タッチセンサ
10…基材シート
16…接続端子
20…検出電極
22…配線
24…GND電極
30…第1変形抑制層
31…凸部
32…第2変形抑制層
40…接着層
50…加飾シート
60…易変形領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10