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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055362
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】貸出ロッカーおよびロッカーシステム
(51)【国際特許分類】
   G07F 17/12 20060101AFI20240411BHJP
   E05B 65/02 20060101ALI20240411BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G07F17/12
E05B65/02 B
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162211
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上垣内 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】牛居 智史
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522BB23
3F522DD38
3F522GG03
3F522GG35
3F522GG36
3F522GG47
3F522HH02
3F522HH18
3F522HH19
3F522HH33
3F522LL59
(57)【要約】
【課題】物品の貸出と返却の管理を、簡易な処理で適切に行う。
【解決手段】保管している物品の貸出を行う貸出ロッカーは、入力操作が行われる操作部と、物品の管理情報を記憶する記憶部と、物品を貸し出す場合、対象の物品の物品番号と利用者を特定する利用者情報との入力操作に基づいて物品の貸出を受け付け、物品番号と利用者情報とを対応付けて管理情報に記憶させ、物品が返却される場合、対象の物品の物品番号の入力操作に基づいて管理情報を照合して物品の返却を受け付け、管理情報を更新する制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管している物品の貸出を行う貸出ロッカーであって、
入力操作が行われる操作部と、
物品の管理情報を記憶する記憶部と、
物品を貸し出す場合、対象の物品の物品番号と利用者を特定する利用者情報との入力操作に基づいて該物品の貸出を受け付け、前記物品番号と前記利用者情報とを対応付けて前記管理情報に記憶させ、物品が返却される場合、対象の物品の前記物品番号の入力操作に基づいて前記管理情報を照合して該物品の返却を受け付け、前記管理情報を更新する制御部と、
を備える貸出ロッカー。
【請求項2】
前記利用者情報は、利用者の携帯端末の電話番号である、
請求項1に記載の貸出ロッカー。
【請求項3】
SMSを送信可能な通信部を備え、
前記制御部は、貸出中の物品の所定の返却タイミングとなった場合、前記管理情報から該物品の前記利用者情報としての電話番号を抽出し、該電話番号に基づき前記通信部から利用者の携帯端末にSMSを送信させることで前記返却タイミングとなった旨を通知する通知処理を行う、
請求項2に記載の貸出ロッカー。
【請求項4】
各種情報を表示する表示部を備え、
前記制御部は、貸出中の物品の所定の返却タイミングとなった場合、前記管理情報から該物品の前記物品番号と前記利用者情報としての電話番号とを抽出して前記表示部に表示する、
請求項2に記載の貸出ロッカー。
【請求項5】
管理者から貸出中の物品の情報提示の指示を受け付ける受付部を備え、
前記制御部は、前記情報提示の指示が受け付けられた場合、前記管理情報から貸出中の物品の前記物品番号と前記利用者情報とを抽出し管理者に提示する提示処理を行う、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の貸出ロッカー。
【請求項6】
請求項1または2に記載の貸出ロッカーと、
前記貸出ロッカーと通信可能で、前記管理情報における前記物品番号と前記利用者情報とに基づいて、貸出中の物品の所定の返却タイミングとなった旨を利用者に通知する通知処理および管理者に貸出中の物品の情報を提示する提示処理の少なくとも一方を行う管理装置と、
を備えるロッカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、貸出ロッカーおよびロッカーシステムを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、貸出用のロッカーを用いて、USBメモリやキャビネットの鍵などの物品の貸出や返却を管理するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、物品を貸し出す際や物品が返却される際に、利用者の顔画像データを取得し、取得した顔画像データと事前登録した顔画像データとを用いた利用者の特定などを行って、物品の貸出や返却を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-079499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したような物品の貸出が、例えば建築現場や会社内など、利用者が比較的制限された場所で行われるため厳密な管理が不要となる場合がある。その場合、特許文献1の管理では、顔画像データの事前登録などの手間がかかったり、必要以上に厳密な管理となったりすることがある。
【0005】
本開示は、物品の貸出と返却の管理を、簡易な処理で適切に行うことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の貸出ロッカーは、
保管している物品の貸出を行う貸出ロッカーであって、
入力操作が行われる操作部と、
物品の管理情報を記憶する記憶部と、
物品を貸し出す場合、対象の物品の物品番号と利用者を特定する利用者情報との入力操作に基づいて該物品の貸出を受け付け、前記物品番号と前記利用者情報とを対応付けて前記管理情報に記憶させ、物品が返却される場合、対象の物品の前記物品番号の入力操作に基づいて前記管理情報を照合して該物品の返却を受け付け、前記管理情報を更新する制御部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本開示の貸出ロッカーは、物品を貸し出す場合、対象の物品を特定する物品番号と利用者を特定する利用者情報との入力操作に基づいて物品の貸出を受け付け、物品番号と利用者情報とを対応付けて記憶部の管理情報に記憶させる。また、物品が返却される場合、対象の物品の物品番号の入力操作に基づいて管理情報を照合して物品の返却を受け付け、管理情報を更新する。これにより、物品番号と利用者情報とを利用者に入力操作させる簡易な処理で、物品の貸出を受け付けることができる。したがって、物品の貸出と返却の管理を、簡易な処理で適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ロッカーシステム10の概略構成図。
図2】ロッカーシステム10の制御に関する構成図。
図3】貸出処理の一例を示すフローチャート。
図4】管理情報35aの一例を示す説明図。
図5】返却処理の一例を示すフローチャート。
図6】未返却物品対応処理の一例を示すフローチャート。
図7】変形例の未返却物品対応処理を示すフローチャート。
図8】変形例の未返却物品対応処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、ロッカーシステム10の概略構成図である。図2は、ロッカーシステム10の制御に関する構成図である。ロッカーシステム10は、図1に示すように、保管している物品の貸出を行う1以上の貸出ロッカー20と、各貸出ロッカー20を管理する管理装置40とを備える。
【0011】
貸出ロッカー20は、物品を1つずつ保管する複数の保管庫22と、各保管庫22における物品の貸出処理や返却処理を行う制御ボックス(制御装置)30とを備える。図1では保管庫22が計8個配置されているものを例示する。本実施形態では、貸出ロッカー20が、例えば建築現場や工事現場、会社、学校などに設置されており、物品を借りる利用者Uが、不特定多数ではなく、ある程度限定されているものとする。例えば、利用者Uは、建築現場などの作業者や会社などの従業員などである。このため、不特定多数に物品を貸し出す場合のような厳密な管理は不要である。また、物品としては、例えば建築現場や会社内の各扉や各ロッカーなどの鍵や、貸出用のパソコンやタブレット、スマートフォンなどの電子機器などが挙げられる。
【0012】
各保管庫22は、物品を出し入れするための扉24と、扉24の施錠および解錠を行う錠装置25と、扉24の開閉を検出する開閉センサ27とを備える。扉24には、ガラス窓24aが取り付けられている。このため、貸出ロッカー20の管理者Aや利用者Uは、保管庫22内の物品の有無やその種類などを、ガラス窓24aを介して外部から視認することができる。また、扉24には、各保管庫22の番号(1~8のいずれか)が付されている。本実施形態では、物品番号と各保管庫22の番号に同じ番号を用いる。例えば番号1の保管庫22には物品番号1の物品が保管され、番号2の保管庫22には物品番号2の物品が保管されている。また、物品番号1の物品を借りた利用者Uは、その物品を返却する際に番号1の保管庫22に返却し、物品番号2の物品を借りた利用者Uは、その物品を返却する際に番号2の保管庫22に返却する。なお、各保管庫22が、保管庫22内の物品の有無を検出するセンサ(物品センサ)を備えてもよい。
【0013】
制御ボックス30は、制御部31と、タッチパネル33と、記憶部35と、通信部37とを備える。制御部31は、CPU、ROMおよびRAMなどにより構成され、錠装置25の制御などを含む貸出ロッカー20の全体の制御を行う。また、制御部31は、開閉センサ27からの検出信号などが入力される。タッチパネル33は、管理者Aや利用者Uから各種操作の入力を受け付けたり、管理者Aや利用者Uに各種情報を表示したりする。記憶部35は、各種アプリケーションプログラムや、各保管庫22における物品の貸出状況などを含む管理情報などを記憶する。通信部37は、ネットワーク12を介して外部と通信可能に構成されている。なお、ネットワーク12は、電話網やインターネット、LANなどであり、これらを組み合わせたものでもよい。通信部37は、ネットワーク12を介して、管理装置40と通信したり、管理者Aや利用者Uの携帯電話やスマートフォン等の携帯端末MにSMS(Short Message Service)機能によるSMSメッセージ(以下、単にSMS)を送信したりする。
【0014】
管理装置40は、制御部41と、表示部43と、入力部45と、記憶部47と、通信部49とを備える。制御部41は、CPU、ROMおよびRAMなどにより構成され、1以上の貸出ロッカー20の管理を行う。表示部43は、各種情報を表示する液晶ディスプレイとして構成され、貸出ロッカー20における物品の貸出状況(管理情報)などを表示可能である。入力部45は、管理者Aが各種指示を入力するマウスやキーボードなどで構成されている。記憶部47は、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する。通信部49は、ネットワーク12を介して、貸出ロッカー20と通信して物品の貸出状況(管理情報)などを取得したり、管理者Aや利用者Uの携帯端末MにSMSを送信したりする。
【0015】
こうして構成されたロッカーシステム10で行われる処理について説明する。まず、貸出ロッカー20から利用者Uに物品を貸し出す際の貸出処理を説明する。図3は、貸出処理の一例を示すフローチャートである。貸出処理は、例えばタッチパネル33に表示されるメニュー画面から、利用者Uなどにより「貸出」が選択操作された場合に実行される。貸出処理では、制御ボックス30の制御部31は、まず、貸出対象の物品番号の入力画面をタッチパネル33に表示して(S100)、物品番号を受け付けるのを待つ(S110)。物品番号の入力画面では、例えば利用者Uが物品番号を入力するためのテンキーが表示されていてもよいし、貸出中の物品を除いて貸出可能な物品の物品番号が選択可能に一覧表示されていてもよい。
【0016】
制御部31は、S110で物品番号を受け付けたと判定すると、利用者Uの電話番号の入力画面をタッチパネル33に表示して(S120)、電話番号を受け付けるのを待つ(S130)。なお、電話番号の入力画面では、例えば利用者Uが電話番号を入力するためのテンキーが表示されている。制御部31は、S130で電話番号を受け付けたと判定すると、S110で受け付けた物品番号に対応する保管庫22の錠装置25を解錠制御して、保管庫22の扉24を開放して(S140)、扉24が閉鎖されるのを待つ(S150)。なお、S140では、扉24が開いた保管庫22から物品を取り出して、扉24を閉じる旨の案内をタッチパネル33に表示してもよい。
【0017】
そして、制御部31は、S150で扉24が閉鎖されたと判定すると、物品が貸し出されたと判断して保管庫22の錠装置25を施錠制御し(S160)、その物品の物品番号に電話番号と貸出日時とを対応付けて、記憶部35の管理情報35aに登録して(S170)、貸出処理を終了する。図4は、管理情報35aの一例を示す説明図である。図4では、物品番号1,2の物品が貸出中であり、電話番号と貸出日時とが対応付けて登録されている。また、物品番号3の物品は貸出中ではないため、電話番号と貸出日時は登録されていない。なお、上述したように、本実施形態では物品番号と保管庫22の番号とが同じであるため、物品番号と保管庫番号とを区別せずに管理する。勿論、物品番号と保管庫番号とを別々の番号とし、区別して管理してもよい。
【0018】
次に、利用者Uが貸出ロッカー20に物品を返却する際の返却処理を説明する。図5は、返却処理の一例を示すフローチャートである。返却処理は、例えばタッチパネル33に表示されるメニュー画面から、利用者Uなどにより「返却」が選択操作された場合に実行される。返却処理では、制御部31は、まず、返却対象の物品番号の入力画面をタッチパネル33に表示して(S200)、物品番号を受け付けるのを待つ(S210)。物品番号の入力画面では、例えば利用者Uが物品番号を入力するためのテンキーが表示されていてもよいし、貸出中の物品の物品番号が選択可能に一覧表示されていてもよい。
【0019】
制御部31は、S210で物品番号を受け付けたと判定すると、受け付けた物品番号を記憶部35の管理情報35aと照合する(S220)。なお、制御部31は、管理情報35aにおいて、受け付けた物品番号に電話番号や貸出日時が対応付けられていない、即ち受け付けた物品番号が貸出中の物品でなく照合できないと判定すると、エラーの旨をタッチパネル33に表示するなどの処理を行う。一方、制御部31は、S220で物品番号を照合できると、その物品を返却すべき保管庫22、即ち受け付けた物品番号と同じ番号の保管庫22の錠装置25を解錠制御して、保管庫22の扉24を開放し(S230)、扉24が閉鎖されるのを待つ(S240)。なお、S230では、扉24が開いた保管庫22に物品を返却して、扉24を閉じる旨の案内をタッチパネル33に表示してもよい。
【0020】
そして、制御部31は、S240で扉24が閉鎖されたと判定すると、物品の返却を受け付けて保管庫22の錠装置25を施錠制御し(S250)、返却された物品の管理情報35aを更新して(S260)、返却処理を終了する。例えば、制御部31は、図4の管理情報35aにおいて、物品番号1の物品の返却を受け付けた場合、物品番号1に対応付けて登録されていた電話番号と貸出日時の情報を消去(リセット)することで、管理情報35aを更新する。
【0021】
続いて、未返却の物品(貸出中の物品)の対応処理を説明する。図6は、未返却物品対応処理の一例を示すフローチャートである。未返却物品対応処理では、制御部31は、まず、貸出中の物品の返却確認時刻になったか否かを判定し(S300)、返却確認時刻になっていないと判定すると、未返却物品対応処理を終了する。返却確認時刻は、例えば、貸し出した物品を当日中に返却させるため、作業などが終了する終業時刻、または終業時刻に基づいて定められた所定時刻などする。
【0022】
制御部31は、S300で返却確認時刻になったと判定すると管理情報35aを確認して(S310)、未返却の物品があるか否かを判定する(S320)。制御部31は、未返却の物品がないと判定すると、未返却物品対応処理を終了する。一方、制御部31は、S320で未返却の物品があると判定すると、管理情報35aから物品に対応付けて登録されている電話番号を抽出し、その電話番号に基づいてSMSを送信する通知処理を実行して(S330)、未返却物品対応処理を終了する。S330で送信されるSMSでは、例えば、返却時刻になったので物品の返却を促す旨のメッセージなどが含まれる。このため、利用者Uに物品の返却の督促を迅速且つ確実に行うことができる。なお、制御部31は、SMSの送信時刻を、物品に対応付けて管理情報35aに登録してもよい。
【0023】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のタッチパネル33が本開示の操作部に相当し、記憶部35が記憶部に相当し、制御部31が制御部に相当する。通信部37が通信部に相当する。
【0024】
以上説明した本実施形態の貸出ロッカー20では、物品番号と利用者Uの電話番号との入力操作に基づいて物品の貸出を受け付け、物品番号と電話番号とを対応付けて管理情報35aに記憶させる。また、物品番号の入力操作に基づいて管理情報35aを照合して物品の返却を受け付けて管理情報35aを更新する。これにより、物品番号と電話番号とを利用者Uに入力操作させる簡易な処理で、物品の貸出を受け付けることができる。また、物品番号と電話番号とを対応付けて管理情報35aに記憶させることで、物品の返却時には、物品番号のみの入力操作により、どの保管庫22に物品を返却すべきかを認識して返却を受け付けることができる。したがって、利用者Uに事前に利用者情報やパスワードなどを登録させる処理やICカードなどの利用者カードを用いる必要のない簡易な処理で、物品の貸出と返却の管理を適切に行うことができる。
【0025】
また、貸出時に電話番号を入力させるから、利用者Uは容易に入力操作が可能となる。また、利用者Uへの電話連絡やSMSの送信が可能となる。このため、管理者Aは、例えば貸出中の物品の返却が急に必要となった場合などに、電話連絡やSMSの送信により利用者Uに迅速に連絡することができる。
【0026】
また、制御部31は、物品の返却確認時刻(所定の返却タイミング)となった場合、管理情報35aから電話番号を抽出し、電話番号に基づいてSMSを送信させる通知処理を自動で行うから、物品の返却の督促を迅速且つ確実に行うことができる。
【0027】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0028】
上述した実施形態では、管理情報35aが貸出ロッカー20の記憶部35に記憶されたが、管理装置40の記憶部47に記憶されてもよい。そのようにする場合、貸出ロッカー20の制御部31は、貸出処理のS170の処理を行うと、登録した情報を管理装置40に送信し、返却処理のS260の処理を行うと、更新(消去)した情報を管理装置40に送信すればよい。管理装置40の制御部41は、受信した情報に基づいて、記憶部47の管理情報を更新すればよい。
【0029】
実施形態では、物品の返却確認時刻(所定の返却タイミング)を終業時刻などとしたが、これに限られない。例えば、物品の貸出時間が所定時間に定められている場合、物品の貸出時刻から所定時間が経過した時刻を返却確認時刻などとしてもよい。
【0030】
実施形態では、未返却物品対応処理として利用者Uの携帯端末MにSMSを送信する通知処理を行うものを例示したが、これに限られず、別の処理を行ってもよい。図7図8は、変形例の未返却物品対応処理を示すフローチャートである。変形例では、実施形態と同じ処理には同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0031】
図7の未返却物品対応処理では、制御部31は、S320で未返却の物品があると判定すると、未返却の物品の物品番号と、利用者Uの電話番号と、物品の貸出時刻とを含む未返却情報(未返却物品情報,貸出中物品情報)を管理情報35aから抽出して、タッチパネル33に表示する表示処理を実行して(S330b)、未返却物品対応処理を終了する。一方、制御部31は、S320で未返却の物品がないと判定すると、未返却の物品がない旨をタッチパネル33に表示して(S340)、未返却物品対応処理を終了する。なお、図4の例の場合、物品番号1,2の情報がタッチパネル33に表示され、物品番号3の情報は表示されないことになる。
【0032】
これにより、管理者Aは、タッチパネル33の表示内容から未返却の物品があるか否かを容易に把握することができる。また、管理者Aは、未返却の物品がある場合、表示された電話番号に基づいて利用者Uの携帯端末Mへの電話連絡やSMSの送信を行うことができるから、物品の返却の督促を容易に行うことができる。なお、S330b,S340の表示処理が、例えばタッチパネル33に表示されるメニュー画面から、管理者Aなどにより「貸出状況表示」が選択操作された場合に実行されてもよい。
【0033】
図8の未返却物品対応処理では、制御部31は、まず管理者Aから通信部37を介して情報提示指示を受け付けたか否かを判定し(S300c)、受け付けていないと判定すると、未返却物品対応処理を終了する。ここで、管理者Aの携帯端末Mに、貸出ロッカー20の管理用のアプリケーションソフトがインストールされていてもよい。管理者Aは、携帯端末Mのアプリケーションソフトにより貸出ロッカー20に情報提示指示を送信し、制御部31は、通信部37を介してその情報提示指示を受け付けてもよい。あるいは、管理者Aは、管理装置40の入力部45を操作して貸出ロッカー20に情報提示指示を送信し、制御部31は、その情報提示指示を通信部37を介して受け付けてもよい。なお、管理者Aは、任意のタイミングで、情報提示指示を行うことができる。
【0034】
また、制御部31は、S320で未返却の物品があると判定すると、未返却の物品の物品番号と、利用者Uの電話番号と、物品の貸出時刻とを含む未返却情報を管理情報35aから抽出し、未返却情報を管理者Aに提示する提示処理を実行して(S330c)、未返却物品対応処理を終了する。一方、制御部31は、S320で未返却の物品がないと判定すると、未返却の物品がない旨の情報を管理者Aに提示する提示処理を実行して(S340c)、未返却物品対応処理を終了する。
【0035】
制御部31は、S300cで管理者Aの携帯端末Mから情報提示指示を受け付けた場合、S330c,S340cでは、管理者Aの携帯端末Mに提示すべき情報(内容)を通信部37を介して送信して、アプリケーションソフトの機能により画面に表示させればよい。あるいは、制御部31は、管理者Aの携帯端末Mに、提示すべき情報(内容)をSMSで送信してもよい。また、制御部31は、S300cで管理装置40から情報提示指示を受け付けた場合、S330c,S340cでは、管理装置40に提示すべき情報(内容)を通信部37を介して送信して、表示部43に表示させればよい。
【0036】
これにより、管理者Aは、任意のタイミングで情報提示指示を行うことにより、未返却の物品があるか否かを容易に把握することができる。また、管理者Aは、未返却の物品がある場合、提示された電話番号に基づいて利用者Uの携帯端末Mへの電話連絡やSMSの送信を行うことができるから、物品の返却の督促を容易に行うことができる。即ち、管理者Aは、情報提示指示を行うことにより、物品の貸出や返却の状況を容易に把握して、必要な対応を適切に行うことができる。
【0037】
実施形態や変形例では、未返却物品対応処理を貸出ロッカー20の制御部31が行ったが、これに限られず、管理装置40の制御部41が行ってもよいし、制御部31と制御部41とが協働で行ってもよい。例えば、制御部41は、通信を介して取得した管理情報35a、または上述したように記憶部47に記憶された管理情報に基づいて、未返却物品対応処理を実行すればよい。制御部41は、未返却物品対応処理として、SMSの通知処理を行う対応処理(図6)、タッチパネル33に代えて表示部43に未返却情報の表示処理を行う対応処理(図7)、管理者Aの携帯端末Mから情報提示指示を受けた場合に未返却情報の提示処理(送信処理)を行う対応処理(図8)の少なくともいずれかを実行すればよい。これにより、未返却物品の対応を簡易な処理でより適切に行うことができる。なお、図7図8の未返却物品対応処理では、物品番号と電話番号の他に貸出日時を含めて表示処理や提示処理を行ったが、これに限られず、貸出日時を含まなくてもよい。
【0038】
実施形態では、返却処理では物品番号を入力させることで返却を受け付けて、電話番号の入力を不要としたが、これに限られず、物品番号と電話番号とを入力させてもよいし、物品番号の代わりに電話番号のみを入力させてもよい。電話番号を入力させることで、物品番号の入力間違いにより間違った保管庫22に物品が返却されるのを防止して、物品の返却をより適切に行わせることができる。また、貸出ロッカー20は、利用者Uがある程度限定されている場所に限られず、不特定多数が利用する場所で用いられてもよく、そのような場所で用いられる場合には返却時に電話番号を入力させてもよい。
【0039】
実施形態では、利用者Uを特定するために電話番号を例示したが、これに限られず、例えば社員番号や会員番号など、利用者Uを特定可能な情報であればよい。なお、利用者情報は、入力を容易とするために、数字(番号)で特定可能な情報が好ましい。
【0040】
実施形態では、扉24にガラス窓24aが取り付けられたが、これに限られず、ガラス窓24aが取り付けられなくてもよい。また、制御ボックス30は、前面にタッチパネル33が設けられたが、タッチパネル33以外にテンキーなどの操作部が設けられてもよいし、カメラやコードリーダ、スピーカなどが設けられてもよい。
【0041】
本開示の貸出ロッカーは、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の貸出ロッカーにおいて、前記利用者情報は、利用者の携帯端末の電話番号であるものとしてもよい。こうすれば、利用者は、利用者情報を容易に入力操作することができる。また、利用者への電話連絡やSMSの送信が可能となる。
【0042】
本開示の貸出ロッカーにおいて、SMSを送信可能な通信部を備え、前記制御部は、貸出中の物品の所定の返却タイミングとなった場合、前記管理情報から該物品の前記利用者情報としての電話番号を抽出し、該電話番号に基づき前記通信部から利用者の携帯端末にSMSを送信させることで前記返却タイミングとなった旨を通知する通知処理を行うものとしてもよい。こうすれば、物品の返却の督促を貸出ロッカーに行わせて、物品の返却の督促を迅速且つ確実に行うことができる。
【0043】
本開示の貸出ロッカーにおいて、各種情報を表示する表示部を備え、前記制御部は、貸出中の物品の所定の返却タイミングとなった場合、前記管理情報から該物品の前記物品番号と前記利用者情報としての電話番号とを抽出して前記表示部に表示するものとしてもよい。こうすれば、管理者は、表示部に表示された電話番号に基づいて利用者への電話連絡やSMSの送信を行うことができるから、物品の返却の督促を容易に行うことができる。
【0044】
本開示の貸出ロッカーにおいて、管理者から貸出中の物品の情報提示の指示を受け付ける受付部を備え、前記制御部は、前記情報提示の指示が受け付けられた場合、前記管理情報から貸出中の物品の前記物品番号と前記利用者情報とを抽出し管理者に提示する提示処理を行うものとしてもよい。こうすれば、管理者は、物品の貸出や返却の状況を容易に把握することができるから、物品の貸出と返却の管理をより適切に行うことができる。
【0045】
本開示のロッカーシステムは、上述したいずれかの貸出ロッカーと、前記貸出ロッカーと通信可能で、前記管理情報における前記物品番号と前記利用者情報とに基づいて、貸出中の物品の所定の返却タイミングとなった旨を利用者に通知する通知処理および管理者に貸出中の物品の情報を提示する提示処理の少なくとも一方を行う管理装置と、を備えることを要旨とする。
【0046】
本開示のロッカーシステムは、上述したいずれかの貸出ロッカーを備え、管理装置が、所定の返却タイミングとなった旨を利用者に通知する通知処理および管理者に貸出中の物品の情報を提示する提示処理の少なくとも一方を行うから、物品の貸出と返却の管理を、簡易な処理でより適切に行うことができる。
【0047】
本明細書では、出願当初の請求項6において「請求項1または2に記載の貸出ロッカー」を「請求項1ないし5のいずれか1項に記載の貸出ロッカー」に変更した技術思想も開示されている。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、保管している物品の貸出を行う貸出ロッカーの技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 ロッカーシステム、12 ネットワーク、20 貸出ロッカー、22 保管庫、24 扉、24a ガラス窓、25 錠装置、27 開閉センサ、30 制御ボックス、31 制御部、33 タッチパネル、35 記憶部、35a 管理情報、37 通信部、40 管理装置、41 制御部、43 表示部、45 入力部、47 記憶部、49 通信部、A 管理者、M 携帯端末、U 利用者。
図1
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図8