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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055364
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ランバーサポート、及び椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/46 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A47C7/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162215
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ハーフォード アレキザンダー
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084HA02
3B084HA06
(57)【要約】
【課題】腰付近を強く支持しつつ、背中に感じる違和感を低減させることができるランバーサポート、及び椅子を提供する。
【解決手段】ランバーサポートは、椅子本体に取り付けられるランバーサポートであって、着座者の荷重を後方から支持する荷重支持部を備え、荷重支持部は、第1起点部、及び左右方向に離間した一対の第2起点部を有する起点部材と、第1起点部によって片持ちで支持され、第1起点部とは反対側に前後方向に変位可能な自由端を有する第1支持部と、第1支持部の上方に設けられるとともに第2起点部によって左右方向両端部を両持ちで支持される第2支持部と、を備え、起点部材、第1支持部、及び第2支持部は、一体に設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子本体に取り付けられるランバーサポートであって、
着座者の荷重を後方から支持する荷重支持部を備え、
前記荷重支持部は、
第1起点部、及び左右方向に離間した一対の第2起点部を有する起点部材と、
前記第1起点部によって片持ちで支持され、前記第1起点部とは反対側に前後方向に変位可能な自由端を有する第1支持部と、
前記第1支持部の上方に設けられるとともに前記第2起点部によって左右方向両端部を両持ちで支持される第2支持部と、
を備え、
前記起点部材、前記第1支持部、及び前記第2支持部は、一体に設けられているランバーサポート。
【請求項2】
前記第2支持部は、左右方向に延びる帯状に形成されている請求項1に記載のランバーサポート。
【請求項3】
前記起点部材は、前記第2起点部よりも下方に設けられ、左右方向に離間した一対の第3起点部を有し、
前記荷重支持部は、前記第1支持部と前記第2支持部との間に設けられるとともに前記第3起点部によって左右方向両端部を両持ちで支持される第3支持部を備え、
前記第1起点部は、前記第1支持部の上端部と前記第3支持部とを接続している請求項1又は請求項2に記載のランバーサポート。
【請求項4】
前記起点部材は、前記第2起点部同士を接続する起点部材本体を有し、
前記起点部材本体は、前記第1支持部よりも下方に位置する本体下端部を有し、
前記第1起点部は、前記第1支持部の下端部と前記本体下端部とを接続している請求項1又は請求項2に記載のランバーサポート。
【請求項5】
前記起点部材は、
前記第2起点部の下方よりも設けられ、左右方向に離間した一対の第3起点部と、
前記第2起点部同士、及び前記第3起点部同士を接続する起点部材本体と、
を有し、
前記起点部材本体は、前記第1支持部よりも下方に位置する本体下端部を有し、
前記荷重支持部は、前記第1支持部と前記第2支持部との間に設けられるとともに前記第3起点部によって左右方向両端部を両持ちで支持される第3支持部を備え、
前記第1起点部は、上下方向に延び、
前記第1起点部の上端部は、前記第3支持部に接続され、
前記第1起点部の下端部は、前記本体下端部に接続され、
前記第1支持部は、前記第1起点部の左右方向両側に一対設けられている請求項1又は請求項2に記載のランバーサポート。
【請求項6】
前記荷重支持部を前記椅子本体に取り付ける取付部と、
前記荷重支持部の左右方向中央部に設けられ、前記荷重支持部と前記取付部とを固定する固定部と、
を備え、
前記第1起点部は、前記固定部と前後方向に重なる位置に設けられている請求項1又は請求項2に記載のランバーサポート。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載のランバーサポートと、
前記椅子本体と、
を備える椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランバーサポート、及び椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、左右方向に延在した複数の帯条部を備えたランバーサポートが開示されている。これら複数の帯条部は、上下方向に並行して配置されている。これら帯条部が後方に撓み、着座者の身体を支持している。
また、例えば、特許文献2には、片持ちの支持アームに支持されたサポートパネルを有する骨盤サポートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6313017号公報
【特許文献2】特許第4987739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のランバーサポートでは、強く支持されるべき着座者の腰付近に当たる部分の支持力が十分でない。
また、特許文献2のようなサポートパネルでは、サポートパネルの上縁が着座者の背中と線接触してしまう。このため、背中に局所的な力が強く加わり、背中の違和感が大きくなる。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、腰付近を強く支持しつつ、背中に感じる違和感を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係るランバーサポートは、椅子本体に取り付けられるランバーサポートであって、着座者の荷重を後方から支持する荷重支持部を備え、前記荷重支持部は、第1起点部、及び左右方向に離間した一対の第2起点部を有する起点部材と、前記第1起点部によって片持ちで支持され、前記第1起点部とは反対側に前後方向に変位可能な自由端を有する第1支持部と、前記第1支持部の上方に設けられるとともに前記第2起点部によって左右方向両端部を両持ちで支持される第2支持部と、を備え、前記起点部材、前記第1支持部、及び前記第2支持部は、一体に設けられている。
本態様によれば、第1支持部のうち第1起点部とは反対側の端部が自由端となっている。この自由端は、第1起点部を起点として着座者の荷重が入力されると、後方に大きく変位する。すると、自由端に局所的な弾性力が発生し、腰付近が強く支持される。
さらに、第2支持部は、第1支持部の上方に設けられている。第2支持部は、第2起点部によって左右方向両端部が両持ちで支持されている。このため、第2支持部は、第2起点部を起点として、左右方向中間部を大きく後方に変位させながら、着座者の背中を包み込むように変形する。これにより、第2支持部が着座者の身体に合った形状に変形する。よって、背中に感じる違和感を低減させることができる。
また、起点部材、第1支持部、及び第2支持部は、一体に設けられている。このため、第1支持部、第2支持部及び起点部材は、互いに連動して変形することができる。これにより、荷重支持部の全体が着座者の背中の形状に合わせて変形し易くなる。よって、背中に感じる違和感をより一層低減させることができる。
【0008】
(2)上記(1)の態様に係るランバーサポートにおいて、前記第2支持部は、左右方向に延びる帯状に形成されていることが好ましい。
本態様によれば、第2支持部の左右方向中央部が後方に変化し易くなる。よって、第2支持部が着座者の身体に合った形状に変形し易くなる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の態様に係るランバーサポートにおいて、前記起点部材は、前記第2起点部よりも下方に設けられ、左右方向に離間した一対の第3起点部を有し、前記荷重支持部は、前記第1支持部と前記第2支持部との間に設けられるとともに前記第3起点部によって左右方向両端部を両持ちで支持される第3支持部を備え、前記第1起点部は、前記第1支持部の上端部と前記第3支持部とを接続していることが好ましい。
本態様によれば、第1支持部の上縁部が背中に線接触する代わりに、第1起点部が背中に当接する。よって、第1支持部の上縁部と背中とが線接触することによる感じる背中の違和感を低減させることができる。
【0010】
(4)上記(1)又は(2)の態様に係るランバーサポートにおいて、前記起点部材は、前記第2起点部同士を接続する起点部材本体を有し、前記起点部材本体は、前記第1支持部よりも下方に位置する本体下端部を有し、前記第1起点部は、前記第1支持部の下端部と前記本体下端部とを接続していることが好ましい。
本態様によれば、第1起点部は第1支持部の下側に位置する。このため、第1支持部の第1起点部とは反対側の自由端は、第1支持部の上端部に位置することになる。着座者の荷重は斜め上側から入力されるため、本態様のように弾性変形する自由端が上側にあることにより、自由端の後方への変位量が大きくなる。
【0011】
(5)上記(1)又は(2)の態様に係るランバーサポートにおいて、前記起点部材は、前記第2起点部の下方よりも設けられ、左右方向に離間した一対の第3起点部と、前記第2起点部同士、及び前記第3起点部同士を接続する起点部材本体と、を有し、前記起点部材本体は、前記第1支持部よりも下方に位置する本体下端部を有し、前記荷重支持部は、前記第1支持部と前記第2支持部との間に設けられるとともに前記第3起点部によって左右方向両端部を両持ちで支持される第3支持部を備え、前記第1起点部は、上下方向に延び、前記第1起点部の上端部は、前記第3支持部に接続され、前記第1起点部の下端部は、前記本体下端部に接続され、前記第1支持部は、前記第1起点部の左右方向両側に一対設けられていることが好ましい。
本態様によれば、第1起点部の左右方向両外側に、一対の第1支持部が配置される。このため、第1起点部とは反対側の第1支持部の自由端は、第1起点部の左右方向両外側に位置することになる。よって、第1支持部は、腰付近に左右方向両側から弾性力に起因する支持力を発揮することができる。
【0012】
(6)上記(1)から(5)の何れかの態様に係るランバーサポートにおいて、前記荷重支持部を前記椅子本体に取り付ける取付部と、前記荷重支持部の左右方向中央部に設けられ、前記荷重支持部と前記取付部とを固定する固定部と、を備え、前記第1起点部は、前記固定部と前後方向に重なる位置に設けられていることが好ましい。
本態様によれば、第1起点部が固定部によって支持される。このため、第1支持部の自由端は、第1起点部を起点により大きく後方に変形可能となる。
【0013】
(7)本発明の一態様に係る椅子は、(1)から(6)の何れかの態様に係るランバーサポートと、前記椅子本体と、を備える。
本態様の椅子は、上記のランバーサポートを備えるため、腰付近を強く支持しつつ、背中に感じる違和感を低減させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、腰付近を強く支持しつつ、背中に感じる違和感を低減させることができるランバーサポート、及び椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態における椅子を後方から見た斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態における背凭れ及びランバーサポートの分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態におけるランバーサポートを前方から見た斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態におけるランバーサポートを後方から見た斜視図である。
図5図4のV-V線に沿う断面図である。
図6図4のVI-VI線に沿う断面図である。
図7】本発明の第1実施形態におけるランバーサポートの荷重支持部を前方から見た正面図である。
図8】本発明の第1実施形態の第1変形例におけるランバーサポートの荷重支持部を前方から見た正面図である。
図9】本発明の第1実施形態の第2変形例におけるランバーサポートの荷重支持部を前方から見た正面図である。
図10】本発明の第2実施形態におけるランバーサポートの荷重支持部を前方から見た正面図である。
図11】本発明の第2実施形態の変形例におけるランバーサポートの荷重支持部を前方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係るランバーサポート3、及び椅子1の第1実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態における椅子1を後方から見た斜視図である。本実施形態の椅子1は、着座者を着座姿勢の状態で支持する什器である。椅子1は、例えばオフィスや店舗で用いられる。
図1に示すように、椅子1は、椅子本体2と、ランバーサポート3とを備える。椅子本体2は、下部支持構造体4と、背凭れ5とを備える。
【0018】
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、座12に正規姿勢で着座した着座者を基準として、椅子1の前後方向D1、左右方向D2、及び上下方向D3を定義する。
【0019】
下部支持構造体4は、床面上に載置される。下部支持構造体4は、着座者の荷重を下方から支持する。下部支持構造体4は、脚部10と、支基11と、座12とを有する。
【0020】
脚部10は、床面に接触している。脚部10は、下方から直接的あるいは間接的に支基11、座12及び背凭れ5を支持する。脚部10は、多岐脚13と、脚柱14とを有する。
【0021】
多岐脚13は、中央部から放射状に延伸する複数の脚体15を有している。各々の脚体15の先端部には、キャスタ15aが設置されている。各々のキャスタ15aは、床面に対して転動可能に接触する。
【0022】
脚柱14は、多岐脚13の中央部に立設されており、多岐脚13の中央部から上方に向けて延伸している。脚柱14は、外筒14aと、内筒14bとを有する。外筒14aは、多岐脚13に固定されている。内筒14bの下部は、外筒14aに接続されている。内筒14bは、外筒14aに対して上下方向D3に移動可能に接続されている。内筒14bは、脚柱14の内部に収容された不図示のスプリングによって支持されている。また、内筒14bの上端部は、支基11に固定されている。このような脚柱14は、支基11を介して、座12を上下方向D3に移動可能に支持する。
【0023】
支基11は、脚部10の上方に位置するボックス状の部位である。支基11上には、座12が設置されている。座12は、着座者が直接的に座る部位である。また、支基11の内部には、図示しない傾動部材が配置されている。この傾動部材は、支基11から後方に突出している。支基11は、この傾動部材を介して背凭れ5と連結されている。
【0024】
背凭れ5は、着座者の荷重を後方から支持する。背凭れ5は、着座者から受ける荷重によって、傾動部材(不図示)と一体に前後に傾動可能である。背凭れ5は、連結部16と、背凭れ本体17とを備える。連結部16は、傾動部材と直接連結する部分である。連結部16の上方には、背凭れ本体17が設けられている。
【0025】
背凭れ本体17は、背凭れフレーム18と、メッシュ材17aとを有する。背凭れフレーム18は、前後方向D1両側に開口した貫通孔18aを有した枠体である。背凭れフレーム18は、連結部16と一体に設けられている。
【0026】
背凭れフレーム18は、上フレーム18bと、下フレーム18cと、側フレーム18dとを有する。上フレーム18bは、左右方向D2に延び、背凭れフレーム18の上縁部を構成している。下フレーム18cは、上フレーム18bから下方に離間した位置に配置されている。下フレーム18cは、左右方向D2に延び、背凭れフレーム18の下縁部を構成している。下フレーム18cは、連結部16に接続されている。下フレーム18cと連結部16との境界部分における左右方向D2中央部には、前後方向D1に貫通した貫通孔19が形成されている。側フレーム18dは、左右方向D2に離間して一対設けられている。側フレーム18dは、上フレーム18bと下フレーム18cの左右方向D2両端部同士を上下に接続している。
【0027】
メッシュ材17aは、背凭れフレーム18の前面に設けられている。背凭れフレーム18の貫通孔18aを前方から覆っている。
なお、図示されてはいないが、椅子本体2は、左右方向D2両側の肘掛けや、背凭れ5の上端に設置されるヘッドレスト等を有してもよい。
【0028】
本実施形態では、背凭れフレーム18の下フレーム18cにランバーサポート3が取り付けられている。
ランバーサポート3は、ランバーサポート本体6と、取付部7とを備える。
【0029】
図2は、本発明の第1実施形態における背凭れ5及びランバーサポート3の分解斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態におけるランバーサポート3を前方から見た斜視図である。
【0030】
図2図3に示すように、ランバーサポート本体6は、荷重支持部50と、把持部51と、固定部52とを備える。
荷重支持部50は、メッシュ材17a越しに着座者の背中に当接する部分である。荷重支持部50は、着座者の荷重を後方から支持する。荷重支持部50は、椅子本体2の左右方向D2中央部に配置されている。荷重支持部50は、上下方向D3に延在する板状に形成されている。荷重支持部50は、前後方向D1から見て、左右方向D2に長い楕円状に形成されている。荷重支持部50の詳細な形状については、後に詳細に説明する。
【0031】
把持部51は、荷重支持部50の左右方向D2両端部にそれぞれ設けられている。各把持部51は、荷重支持部50から左右方向D2外側に突出している。着座者は、例えばランバーサポート本体6の位置を調整する際に、把持部51を把持する。
【0032】
固定部52は、荷重支持部50を取付部7に固定する部分である。固定部52は、荷重支持部50の左右方向D2中央部かつ下部に設けられている。固定部52は、荷重支持部50の後面から後方に突出している。固定部52は、上下方向D3にも延在している。固定部52の上端部は、荷重支持部50と前後方向に重なっている。また、固定部52の下端部は、荷重支持部50よりも下方に位置している。固定部52は、荷重支持部50及び把持部51とともに、射出成形等の手段により一体的に形成された合成樹脂による成型品である。
【0033】
図4は、本発明の第1実施形態におけるランバーサポート3を後方から見た斜視図である。図4では、後述する取付部7のカバーが省略され、取付部7の内部構造が図示されている。図5は、図4のV-V線に沿う断面図である。
図4図5に示すように、固定部52の上下方向D3両端部には、固定孔52aが形成されている。固定孔52aは、固定部52を前後方向D1に貫通している。上側の固定孔52aは、固定部52だけでなく荷重支持部50も前後方向D1に貫通している。これら2つの固定孔52aには、ボルト52bがそれぞれ挿通され、固定孔52aに設けられた雌ネジ要素に螺合している。ここでは、雌ネジ要素は、固定孔52a内に、前後方向D1方向を向く軸線回りに回動不能かつ前後方向D1に摺動不能に配置されたナット54である。なお、この雌ネジ要素は、固定孔52aの内壁に形成された雌ネジであってもよい。これらボルト52bによって、固定部52は、荷重支持部50よりも後方に設けられた取付部7に締結固定されている。
【0034】
取付部7は、ランバーサポート本体6を椅子本体2に取り付ける部材である。すなわち、取付部7は、荷重支持部50を椅子本体2に取り付けている。本実施形態では、取付部7は、背凭れフレーム18の下フレーム18cに荷重支持部50を取り付けている。
【0035】
図2に示すように、取付部7は、第1挟持部材20と、第2挟持部材30と、抜止部材40と、カバー部材45とを備える。
【0036】
第1挟持部材20は、第1ベース部21と、フック部23と、第1延出部22とを有する。第1ベース部21は、下フレーム18cの前面に重ねて配置されている。第1ベース部21は、下フレーム18cの上縁に沿って左右方向D2に延在している。
【0037】
第1延出部22は、第1ベース部21から上方に突出している。第1延出部22の左右方向D2の寸法は、上方に向かうにしたがって漸次小さくなっている。
【0038】
第1延出部22は、後方に向けて突出するフック部23を有する。フック部23は、第1延出部22の左右方向D2両側に一対設けられている。これら一対のフック部23は、第1延出部22の上側に設けられている。フック部23は、左右方向D2から見て上方に向けて突出した突起部23aを有するL字状に形成されている。
【0039】
図6は、図4のVI-VI線に沿う断面図である。
図2図6に示すように、第1延出部22の左右方向D2両側には、前後方向D1に貫通した一対の挿通孔24が形成されている。これら一対の挿通孔24は、第1延出部22の下側に設けられている。
【0040】
また、図2に示すように、第1延出部22の左右方向D2中央部には、上下方向D3に延びる第1ガイドスリット25が形成されている。第1ガイドスリット25は、第1延出部22を前後方向D1に貫通するとともに、上方に開口している。
【0041】
図4に示すように、第2挟持部材30は、下フレーム18cの上面に後方から重ねて配置されている。第2挟持部材30は、第2ベース部31と、第2延出部32とを有する。第2ベース部31は、下フレーム18cの上面に後方から重ねて配置されている。第2ベース部31は、左右方向D2に延在するとともに、後方に向けて張り出した形状に形成されている。第2ベース部31の左右方向D2の寸法は、後方に向かうにしたがって漸次小さくなっている。
【0042】
第2延出部32は、第2ベース部31から上方に突出している。第2延出部32の左右方向D2の寸法は、上方に向かうにしたがって漸次小さくなっている。第2延出部32は、基板33と、周壁部34とを有する。
【0043】
基板33は、第2ベース部31の前縁から上方に延在している。基板33の左右方向D2の寸法は、上方に向かうにしたがって漸次小さくなっている。図4図6に示すように、基板33は、第1延出部22に後方から重ねて配置されている。
基板33の左右方向D2両側には、第1延出部22のフック部23と係合する係合孔(不図示)が形成されている。
【0044】
図2に示すように、基板33の左右方向D2両側には、前後方向D1に貫通した一対の挿通孔35が形成されている。これら一対の挿通孔35は、基板33の下側に設けられている。図6に示すように、基板33の挿通孔35は、第1延出部22の挿通孔24と前後方向D1で重なる位置に設けられている。前後方向D1に重なる基板33の挿通孔35及び第1延出部22の挿通孔24には、ボルト35aが挿通され、挿通孔24に設けられた雌ネジ要素に螺合している。ここでは、雌ネジ要素は、挿通孔24内に、前後方向D1方向を向く軸線回りに回動不能かつ前後方向D1に摺動不能に配置されたナット38であるが、挿通孔24の内壁に、雌ネジが形成されていてもよい。このボルト35aによって、基板33は、第1延出部22に締結固定されている。
【0045】
また、図2に示すように、基部の左右方向D2中央部には、上下方向D3に延びる第2ガイドスリット36が形成されている。第2ガイドスリット36は、第1ガイドスリット25と前後方向D1に重なる位置に設けられている。図4に示すように、基部の後面のうち、第2ガイドスリット36の左右方向D2両周縁には、上下方向D3に延びるノッチ37が形成されている。ノッチ37は、上下方向D3に並ぶ複数の突起部37aを有する。各突起部37aは、基板33から後方に突出している。突起部37aは、左右方向D2視で半円状に形成されている。
【0046】
図5に示すように、ランバーサポート本体6の固定部52は、第1ガイドスリット25及び第2ガイドスリット36に挿通されている。このため、ランバーサポート本体6は、第1ガイドスリット25及び第2ガイドスリット36に沿って上下方向D3高さを調整可能となっている。
さらに、固定部52の後端部には、抜止部材40が設けられている。
【0047】
図4図5に示すように、抜止部材40は、上下方向D3に延在する板状の部材である。抜止部材40の上下方向D3両端部には、前後方向D1に貫通する挿通孔40aが形成されている。抜止部材40の挿通孔40aは、ランバーサポート本体6の固定孔52aと前後方向D1に重なる位置に設けられている。前後方向D1に重なる抜止部材40の挿通孔40a及びランバーサポート本体6の固定孔52aには、ボルト52bが挿通され、固定孔52aに設けられた雌ネジ要素に螺合している。ここで、本実施形態の雌ネジ要素は、上述したように、固定孔52aに配置されたナット54であるが、雌ネジ要素は、固定孔52aの内壁に形成された雌ネジであってもよい。このボルト52bによって、抜止部材40がランバーサポート本体6に締結固定されている。抜止部材40は、第1ガイドスリット25及び第2ガイドスリット36よりも左右方向D2に幅広に形成されている。このため、ランバーサポート本体6に前方荷重が入力されたとしても、抜止部材40が基板33に必ず引っ掛かり、ランバーサポート本体6が前方に引き抜かれることがない。
【0048】
また、抜止部材40の左右方向D2両端部には、前方に向けて突出した係合凸部41が形成されている。この係合凸部41は、第2挟持部材30に設けられたノッチ37の突起部37a間の溝に係合している。ノッチ37と係合凸部41との係合によって、ランバーサポート本体6の上下方向D3位置が決められる。なお、ノッチ37と係合凸部41との係合は、上下方向D3に所定量以上の荷重が加えられると一時的に解除され、ランバーサポート本体6が上下方向D3に移動可能となる。
【0049】
カバー部材45は、第2挟持部材30の後部に取り付けられている。カバー部材45は、取付部7の内部構造が外部に露出することを防止する。
【0050】
(荷重支持部の形状)
続いて、荷重支持部50の形状について詳細に説明する。
図7は、本発明の第1実施形態におけるランバーサポート3の荷重支持部50を前方から見た正面図である。
図7に示すように、荷重支持部50は、前方から見て左右方向D2に長い楕円状に形成されている。荷重支持部50は、着座者の背中の形状に沿って湾曲する形状に形成された、板状の部材である。荷重支持部50の周縁部は、面取りされたような湾曲形状とされている。荷重支持部50には、荷重支持部50を前後方向D1に貫通する複数のスリット53が形成されている。
【0051】
本実施形態では、荷重支持部50に2種類のスリット53が形成されている。スリット53は、荷重支持部50を板厚方向に貫通している。スリット53の周縁部は、面取りされたような湾曲形状とされている。以下では、これらスリット53のうち一方を第1スリット53aと称し、他方を第2スリット53bと称する。
第1スリット53aは、荷重支持部50の上部に形成されている。第1スリット53aは、左右方向D2に延びて、荷重支持部50の上縁の湾曲形状に沿うように湾曲した形状をなしている。
第2スリット53bは、第1スリット53aの下方に形成されている。第2スリット53bは、荷重支持部50の左右方向D2両端部に形成されている。各第2スリット53bは、荷重支持部50の側縁の湾曲形状に沿って、荷重支持部50の左右方向D2中央部から左右方向D2外側に張り出すように湾曲した形状をなしている。
【0052】
これらスリット53によって、荷重支持部50は、起点部材60、第1支持部71、第2支持部72、第3支持部73等の各部に分けられている。すなわち、荷重支持部50は、起点部材60と、第1支持部71と、第2支持部72と、第3支持部73とを備える。これら起点部材60、第1支持部71、第2支持部72、及び第3支持部73は、一体に設けられている。
【0053】
本実施形態では、起点部材60、第1支持部71、第2支持部72、及び第3支持部73は、射出成形等の手段により一体的に形成された合成樹脂による成型品である。
なお、荷重支持部50を形成する材料として、樹脂を例に挙げているが、弾性変形可能な材料であれば樹脂以外の材料を荷重支持部50の材料に採用してもよい。
【0054】
起点部材60、第1支持部71、第2支持部72、及び第3支持部73の表面同士は、滑らかに接続されている。
【0055】
起点部材60は、起点部材本体60aと、第1起点部61と、第2起点部62と、第3起点部63とを有する。
起点部材本体60aは、前方から見て上方に向けて開口したC字状に形成されている。起点部材本体60aは、本体下端部64と、接続部65とを有する。
本体下端部64は、荷重支持部50の左右方向D2中央部に位置している。
接続部65は、本体下端部64の左右方向D2両側に1つずつ設けられている。接続部65は、本体下端部64から左右方向D2外側、及び上方に向けて湾曲しながら延びるアーム状に形成されている。
【0056】
第1起点部61は、起点部材本体60aの本体下端部64から上方に延びている。すなわち、第1起点部61の下端部は、本体下端部64に接続されている。
本実施形態では、第1起点部61は、前後方向D1から見て上下方向D3に直線状に延びている。
さらに、第1起点部61は、固定部52と前後方向D1に重なる位置(荷重支持部50と固定部52との接続箇所52cと前後方向D1に重なる位置)に設けられている。
【0057】
第2起点部62は、起点部材本体60aの左右方向D2両端部に設けられている。第2起点部62は、左右方向D2に離間して一対設けられている。換言すると、左右方向D2に離間した一対の第2起点部62同士は、起点部材本体60aによって接続されている。各第2起点部62は、接続部65によって本体下端部64に接続されている。
【0058】
第3起点部63は、起点部材本体60aの左右方向D2両端部に設けられている。第3起点部63は、左右方向D2に離間して一対設けられている。換言すると、左右方向D2に離間した一対の第3起点部63同士は、起点部材本体60aによって接続されている。各第3起点部63は、接続部65によって本体下端部64に接続されている。
また、第3起点部63は、第2起点部62よりも下方に設けられている。
【0059】
第1支持部71は、第1起点部61の左右方向D2両側に一対設けられている。第1支持部71と、第3支持部73及び接続部65との間に、第2スリット53bが配置されているため、第1支持部71は、第1起点部61に片持ちで支持されている。このため、第1支持部71は、第1起点部61とは反対側の端部に前後方向D1に変位可能な自由端71aを有する。本実施形態では、自由端71aは、各第1支持部71の左右方向D2で第1起点部61とは反対側の端部に位置している。
【0060】
また、第1支持部71は、第1起点部61から左右方向D2外側に向かうにしたがって先細るように形成されている。
【0061】
第2支持部72は、第1支持部71の上方に設けられている。第2支持部72は、第2起点部62によって左右方向D2両端部を両持ちで支持されている。
また、第2支持部72は、左右方向D2に延びる帯状に形成されている。第2支持部72は、左右方向D2中央部で上方に張り出す湾曲線状に形成されている。
また、第2支持部72の左右方向D2の寸法は、第1起点部61と自由端71aとの距離よりも長い。
【0062】
第3支持部73は、第1支持部71と第2支持部72との間に設けられている。第3支持部73は、第3起点部63によって左右方向D2両端部を両持ちで支持されている。
また、第3支持部73は、左右方向D2に延びる帯状に形成されている。第3支持部73は、第2支持部72と同様に、左右方向D2中央部で上方に張り出す湾曲線状に形成されている。第3支持部73の左右方向D2中央部には、第1支持部71の上端部が接続されている。
【0063】
本実施形態によれば、以下のような作用効果が発揮される。
【0064】
本実施形態では、ランバーサポート3は、着座者の荷重を後方から支持する荷重支持部50を備える。荷重支持部50は、起点部材60と、第1支持部71と、第2支持部72とを備える。起点部材60は、第1起点部61、及び左右方向D2に離間した一対の第2起点部62を有する。第1支持部71は、第1起点部61によって片持ちで支持され、第1起点部61とは反対側に前後方向D1に変位可能な自由端71aを有する。第2支持部72は、第1支持部71の上方に設けられるとともに第2起点部62によって左右方向D2両端部を両持ちで支持されている。第1支持部71、第2支持部72、及び起点部材60は、一体に設けられている。
【0065】
この構成によれば、第1支持部71は、第1起点部61によって片持ちで支持される。このため、第1支持部71のうち第1起点部61とは反対側の端部が自由端71aとなっている。この自由端71aは、第1起点部61を起点として着座者の荷重が入力されると、後方に大きく変位する。すると、自由端71aに局所的な弾性力が発生し、腰付近が強く押圧される。換言すれば、腰付近に局所的に大きな支持力を発生させることができる。なお、ここでいう「支持力」とは、着座者からの荷重を受けて自由端71aが弾性変形することによって生じる弾性力を含む荷重支持部50から着座者への反力を意味する。
さらに、第2支持部72は、第1支持部71の上方に設けられている。第2支持部72は、第2起点部62によって左右方向D2両端部が両持ちで支持されている。このため、第2支持部72は、第2起点部62を起点として、左右方向D2中間部を大きく後方に変位させながら、着座者の背中を包み込むように変形する。これにより、第2支持部72が着座者の身体に合った形状に変形する。よって、背中に感じる違和感を低減させることができる。
また、第1支持部71、第2支持部72、及び起点部材60は、一体に設けられている。このため、第1支持部71、第2支持部72及び起点部材60は、互いに連動して変形することができる。これにより、荷重支持部50の全体が着座者の背中の形状に合わせて変形し易くなる。よって、背中に感じる違和感をより一層低減させることができる。
【0066】
本実施形態では、第2支持部72は、左右方向D2に延びる帯状に形成されている。
【0067】
この構成によれば、第2支持部72の左右方向D2中央部が後方に変化し易くなる。よって、第2支持部72が着座者の身体に合った形状に変形し易くなる。これにより、背中に感じる違和感がより一層低減される。
【0068】
本実施形態では、起点部材60は、左右方向D2に離間した一対の第3起点部63と、起点部材本体60aとを有する。一対の第3起点部63は、第2起点部62よりも下方に設けられている。起点部材本体60aは、第2起点部62同士、及び第3起点部63同士を接続している。起点部材本体60aは、第1支持部71よりも下方に位置する本体下端部64を有する。荷重支持部50は、第1支持部71と第2支持部72との間に設けられる第3支持部73を備える。第3支持部73は、第3起点部63によって左右方向D2両端部を両持ちで支持されている。第1起点部61は、上下方向D3に延びている。第1起点部61の上端部は、第3支持部73に接続され、第1起点部61の下端部は、本体下端部64に接続されている。第1支持部71は、第1起点部61の左右方向D2両側に一対設けられている。
【0069】
この構成によれば、第1起点部61の左右方向D2両外側に、一対の第1支持部71が配置される。このため、第1起点部61とは反対側の第1支持部71の自由端71aは、第1起点部61の左右方向D2両外側に位置することになる。よって、第1支持部71は、腰付近に左右方向D2両側から弾性力に起因する腰部への局所的な支持力を発揮することができる。このため、第1支持部71は、腰付近を確実に支持することができる。
【0070】
本実施形態では、ランバーサポート3は、取付部7と、固定部52とを備える。取付部7は、荷重支持部50を椅子本体2に取り付ける。固定部52は、荷重支持部50の左右方向D2中央部に設けられ、荷重支持部50と取付部7とを固定する。第1起点部61は、固定部52と前後方向D1に重なる位置に設けられている。
【0071】
この構成によれば、第1起点部61が固定部52によって支持される。このため、第1支持部71の自由端71aは、第1起点部61を起点により大きく後方に変形可能となる。よって、第1支持部71の弾性力に起因する腰部への局所的な支持力が増大する。このため、第1支持部71は、腰付近をより強力に支持できる。
【0072】
(第1実施形態の第1変形例)
続いて、第1実施形態の第1変形例について説明する。
図8は、本発明の第1実施形態の第1変形例におけるランバーサポート103の荷重支持部150を前方から見た正面図である。
図8に示すように、本変形例の荷重支持部150では、第2スリット153bは、荷重支持部150に1つ形成されている。第2スリット153bは、上方に向けて開口するC字状に形成されている。
【0073】
本変形例では、荷重支持部150のうち第2スリット153bの上端部同士の領域が第1起点部161となる。このため、第1起点部161の形状は、左右方向D2に延びる帯状となっている。
【0074】
また、第1支持部171は、荷重支持部150に1つだけ存在する。第1支持部171は、前後方向D1から見て、左右方向D2に延びる楕円状となっている。第1支持部171の上端部は、第1起点部161によって第3支持部73の左右方向D2中央部と接続されている。第1支持部171の下端部と、起点部材60の起点部材本体60aとは、上下方向D3に離間している。
【0075】
本変形例では、第1支持部171の自由端171aは、各第1支持部171の上下方向D3で第1起点部161とは反対側の端部に位置している。すなわち、自由端171aは、第1起点部161の下方に位置している。
【0076】
本変形例によれば、以下のような作用効果が発揮される。
【0077】
本変形例では、起点部材60は、第2起点部62よりも下方に設けられ、左右方向D2に離間した一対の第3起点部63を有する。荷重支持部150は、第1支持部171と第2支持部72との間に第3支持部73を備える。第3支持部は、第3起点部63によって左右方向D2両端部を両持ちで支持されている。第1起点部161は、第1支持部171の上端部と第3支持部73とを接続している。
この構成によれば、第1支持部171の上縁部が背中に線接触する代わりに、第1起点部161が背中に当接する。よって、第1支持部171の上縁部と背中とが線接触することによる感じる背中の違和感を低減させることができる。
【0078】
(第1実施形態の第2変形例)
続いて、第1実施形態の第2変形例について説明する。
図9は、本発明の第1実施形態の第2変形例におけるランバーサポート203の荷重支持部250を前方から見た正面図である。
図9に示すように、本変形例の荷重支持部250では、第2スリット253bは、荷重支持部250に1つ形成されている。第2スリット253bは、下方に向けて開口するC字状に形成されている。
【0079】
本変形例では、荷重支持部250のうち第2スリット253bの下端部同士の領域が第1起点部261となる。このため、第1起点部261の形状は、左右方向D2に延びる帯状となっている。
【0080】
また、第1支持部271は、荷重支持部250に1つだけ存在する。第1支持部271は、前後方向D1から見て、左右方向D2に延びる楕円状となっている。第1支持部271の下端部は、第1起点部261によって起点部材60の起点部材本体60aと接続されている。第1支持部271の上端部と、第3支持部73とは、上下方向D3に離間している。
【0081】
本変形例では、第1支持部271の自由端271aは、各第1支持部271の上下方向D3で第1起点部261とは反対側の端部に位置している。すなわち、自由端271aは、第1起点部261の上方に位置している。
【0082】
本変形例によれば、以下のような作用効果が発揮される。
【0083】
本変形例では、起点部材60は、第2起点部62同士を接続する起点部材本体60aを有する。起点部材本体60aは、第1支持部271よりも下方に位置する本体下端部64を有する。第1起点部261は、第1支持部271の下端部と本体下端部64とを接続している。
この構成によれば、第1起点部261は第1支持部271の下側に位置する。このため、第1支持部271の第1起点部261とは反対側の自由端271aは、第1支持部271の上端部に位置することになる。着座者の荷重は斜め上側から入力されるため、本変形例のように弾性変形する自由端271aが上側にあることにより、自由端271aの後方への変位量が大きくなる。変位量が大きくなった分、第1支持部271の弾性力に起因する腰部への局所的な支持力が増大する。よって、第1支持部271は、腰付近をより強力に支持することができる。
【0084】
なお、本変形例では、荷重支持部250に、第3起点部63、及び第3支持部73が設けられている場合について説明したが、この構成に限られない。本変形例では、荷重支持部250に、第3起点部63、及び第3支持部73が設けられていなくてもよい。
【0085】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
本実施形態のランバーサポート303は、上述した第1実施形態と同様に、背凭れフレーム18の下フレーム18cに取り付けられている。ランバーサポート303は、ランバーサポート本体306と、取付部7とを備える。ランバーサポート本体306は、荷重支持部350と、把持部51と、固定部52とを備える。
【0086】
図10は、本発明の第2実施形態におけるランバーサポート303の荷重支持部350を前方から見た正面図である。
図10に示すように、荷重支持部350には、複数のスリット353(第1スリット353aと第2スリット353b)が形成されている。
【0087】
第1スリット353aは、荷重支持部350の上部に形成されている。第1スリット353aは、左右方向D2に延びて、荷重支持部350の上縁の湾曲形状に沿うように湾曲した形状をなしている。
第2スリット353bは、第1スリット353aの下方に形成されている。第2スリット353bは、第1スリット353aと同様に、左右方向D2に延びて、荷重支持部350の上縁の湾曲形状に沿うように湾曲した形状をなしている。
【0088】
これらスリット353によって、荷重支持部350は、起点部材360、第1支持部371、第2支持部372、第3支持部373等の各部に分けられている。すなわち、荷重支持部350は、起点部材360と、第1支持部371と、第2支持部372と、第3支持部373とを備える。
【0089】
これらスリット353によって、荷重支持部350は、起点部材360、第1支持部371、第2支持部372、第3支持部373等の各部に分割されている。すなわち、荷重支持部350は、起点部材360と、第1支持部371と、第2支持部372と、第3支持部373とを備える。これら起点部材360、第1支持部371、第2支持部372、及び第3支持部373は、射出成形等の手段により一体的に形成された合成樹脂による成型品である。また、起点部材360、第1支持部371、第2支持部372、及び第3支持部373の表面同士は、滑らかに接続されている。
【0090】
起点部材360は、起点部材本体360aと、第1起点部361と、第2起点部362と、第3起点部363とを有する。
起点部材本体360aは、本体下端部364と、接続部365とを有する。
本体下端部364は、荷重支持部350の下半部を構成している。本体下端部364は、前後方向D1から見て下側に張り出した半楕円形状に形成されている。
接続部365は、本体下端部364の左右方向D2両側に1つずつ設けられている。接続部365は、本体下端部364から上方に突出している。
【0091】
第1起点部361は、本体下端部364の上縁から上方に延びている。すなわち、第1起点部361の下端部は、本体下端部364に接続されている。
本実施形態では、第1起点部361は、前後方向D1から見て左右方向D2に延びる帯状に形成されている。
【0092】
第2起点部362は、起点部材本体360aの左右方向D2両端部に設けられている。第2起点部362は、左右方向D2に離間して一対設けられている。換言すると、左右方向D2に離間した一対の第2起点部362同士は、起点部材本体360aによって接続されている。各第2起点部362は、接続部365によって本体下端部364に接続されている。
【0093】
第3起点部363は、起点部材本体360aの左右方向D2両端部に設けられている。第3起点部363は、左右方向D2に離間して一対設けられている。換言すると、左右方向D2に離間した一対の第3起点部363同士は、起点部材本体360aによって接続されている。各第3起点部363は、接続部365によって本体下端部364に接続されている。
また、第3起点部363は、第2起点部362よりも下方に設けられている。
【0094】
第1支持部371は、荷重支持部350に1つだけ存在する。第1支持部371は、第1起点部361の上方に設けられている。第1支持部371は、第1起点部361に沿って左右方向D2に延びる帯状となっている。第1支持部371の上縁は、左右方向D2中央部で上方に向けて張り出す湾曲線状に形成されている。第1支持部371の下端部は、第1起点部361によって起点部材360の起点部材本体360aと接続されている。
【0095】
第1支持部371と、第3支持部373及び接続部365との間に、第2スリット353bが配置されているため、第1支持部371は、第1起点部361に片持ちで支持されている。このため、第1支持部371は、第1起点部361とは反対側の端部に前後方向D1に変位可能な自由端371aを有する。本実施形態では、自由端371aは、各第1支持部371の上下方向D3で第1起点部361とは反対側の端部に位置している。すなわち、自由端371aは、第1起点部361の上方に位置している。
【0096】
第2支持部372は、第1支持部371の上方に設けられている。第2支持部372は、第2起点部362によって左右方向D2両端部を両持ちで支持されている。
また、第2支持部372は、左右方向D2に延びる帯状に形成されている。第2支持部372は、左右方向D2中央部で上方に張り出す湾曲線状に形成されている。
また、第2支持部372の左右方向D2の寸法は、第1起点部361と自由端371aとの距離よりも長い。
【0097】
第3支持部373は、第1支持部371と第2支持部372との間に設けられている。第3支持部373は、第3起点部363によって左右方向D2両端部を両持ちで支持されている。
また、第3支持部373は、左右方向D2に延びる帯状に形成されている。第3支持部373は、第2支持部372と同様に、左右方向D2中央部で上方に張り出す湾曲線状に形成されている。第3支持部373は、第1支持部371と上下方向D3に離間している。
【0098】
本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の構成について同様の作用効果が発揮されるのに加え、以下のような作用効果が発揮される。
【0099】
本実施形態では、第1実施形態の第2変形例と同様に、第1起点部361が第1支持部371の下端部と本体下端部364とを接続している。
このため、第1実施形態の第2変形例と同様に、自由端371aの後方への変位量が大きくなる。変位量が大きくなった分、第1支持部371の弾性力に起因する腰部への局所的な支持力が増大する。よって、第1支持部371は、腰付近をより強力に支持することができる。
【0100】
なお、本実施形態では、では、荷重支持部350に、第3起点部363、及び第3支持部373が設けられている場合について説明したが、この構成に限られない。本実施形態では、荷重支持部350に、第3起点部363、及び第3支持部373が設けられていなくてもよい。
【0101】
(第2実施形態の変形例)
続いて、第2実施形態の変形例について説明する。
図11は、本発明の第2実施形態の変形例におけるランバーサポート403の荷重支持部450を前方から見た正面図である。
図11に示すように、本変形例の荷重支持部450では、第2スリット453bは、荷重支持部450に2つ形成されている。第2スリット453bは、左右方向D2に離間して一体形成されている。
【0102】
本変形例では、荷重支持部450のうち一対の第2スリット453b同士の間に、第1起点部461が位置している。第1起点部461は、上下方向に延びている。第1起点部461は、前後方向D1から見て、下方に向かうに従って漸次左右方向D2に拡大する台形状となっている。第1起点部461の上端部は、一対の第2スリット453bの上端同士を接続するように左右方向D2に延びている。さらに、第1起点部461の上端部は、第3支持部373の左右方向D2中央部に接続されている。
【0103】
第1起点部461の下端部は、一対の第2スリット453bの下端同士を接続するように左右方向D2に延びている。第1起点部461の下端部は、起点部材360の本体下端部364に接続されている。
【0104】
第1支持部471は、第1起点部461の左右方向D2両側に一対設けられている。各第1支持部471は、台形状の第1起点部461の左右方向D2側端部に沿って延びる帯状に形成されている。すなわち、第1支持部471は、荷重支持部450の左右方向D2中央部から左右方向D2外側に延び、左右方向D2外側に向かうにしたがって下方に位置するように傾斜している。また、第1支持部471の上縁は、前後方向から見て、延在方向中央部で斜め上方に向けて張り出す湾曲線状に形成されている。
【0105】
第1支持部471は、第1起点部461の左右方向D2側端部に片持ちで支持されている。このため、第1支持部471は、第1起点部461とは反対側の端部に前後方向に変位可能な自由端471aを有する。本実施形態では、第1支持部471の上縁部のうち左右方向中央部が自由端471aとなっている。
【0106】
本変形例によれば、以下のような作用効果が発揮される。
【0107】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1起点部461の上端部は、第3支持部に接続され、第1起点部461の下端部は、起点部材60の本体下端部64に接続されている。さらに、第1支持部471は、第1起点部461の左右方向両側に一対設けられている。
このため、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1支持部471は、腰付近に左右方向D2両側から弾性力に起因する腰部への局所的な支持力を発揮することができる。このため、第1支持部471は、腰付近を確実に支持することができる。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0109】
上述した実施形態では、背凭れフレーム18の下フレーム18cにランバーサポート3,103,203,303,403が取り付けられている場合について説明したが、この構成に限られない。ランバーサポート3,103,203,303,403は、椅子本体2に取り付けられていればよい。例えば、荷重支持部50,150,250,350,450は、左右方向に長い帯状に形成され、背凭れフレーム18の一対の側フレーム18d同士を架け渡すように取り付けられていてもよい。
【0110】
上述した実施形態では、荷重支持部50,150,250,350,450に第2支持部72,372が1つだけ設けられている場合について説明したが、この構成に限られない。荷重支持部50,150,250,350,450に第2支持部72,372が複数設けられていてもよい。
【0111】
上述した実施形態では、第2支持部72,172,272,372,472、及び第3支持部73,173,273,373,473は、前後方向から見て湾曲している場合について説明したが、この構成に限られない。第2支持部72,172,272,372,472、及び第3支持部73,173,273,373,473の形状は、適宜変更可能である。例えば、第2支持部72,172,272,372,472、及び第3支持部73,173,273,373,473は、前後方向から見て、左右方向に直線状に延びるように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1:椅子
2:椅子本体
3:ランバーサポート
7:取付部
50:荷重支持部
52:固定部
60:起点部材
60a:起点部材本体
61:第1起点部
62:第2起点部
63:第3起点部
64:本体下端部
71:第1支持部
71a:自由端
72:第2支持部
73:第3支持部
103:ランバーサポート
150:荷重支持部
161:第1起点部
171:第1支持部
171a:自由端
203:ランバーサポート
250:荷重支持部
261:第1起点部
271:第1支持部
271a:自由端
303:ランバーサポート
350:荷重支持部
360:起点部材
360a:起点部材本体
361:第1起点部
362:第2起点部
363:第3起点部
364:本体下端部
371:第1支持部
371a:自由端
372:第2支持部
373:第3支持部
403:ランバーサポート
450:荷重支持部
461:第1起点部
471:第1支持部
471a:自由端
D1:前後方向
D2:左右方向
D3:上下方向
図1
図2
図3
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図9
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図11