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特開2024-55376電線の異常検出装置及び電線の異常検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055376
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】電線の異常検出装置及び電線の異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/952 20060101AFI20240411BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20240411BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240411BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20240411BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G01N21/952
G06V10/82
G06T7/00 350C
H02G1/02
G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162245
(22)【出願日】2022-10-07
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】520320446
【氏名又は名称】中部電力パワーグリッド株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】難波 隆博
(72)【発明者】
【氏名】追良瀬 利也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雄司
(72)【発明者】
【氏名】藤原 稔弘
(72)【発明者】
【氏名】坂東 広嗣
(72)【発明者】
【氏名】土屋 圭吾
【テーマコード(参考)】
2G051
5G352
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051AC15
2G051EB05
2G051ED04
2G051GD01
5G352AA01
5G352AB09
5G352AM02
5L096BA03
5L096EA35
5L096HA11
5L096JA13
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】電線の断線を検出するために用いられる学習モデルの機械学習を行う際に多数の教師データが用意できないとしても、学習モデルを用いて電線の断線を正確に検出できるようにする。
【解決手段】サーバーコンピュータ11には、電線17及び電線支持体16の画像データが入力される。サーバーコンピュータ11は、上記画像データから電線17における異常の有無を判断する学習モデルを用いて、上記画像データに写る電線17の異常を検出する。上記学習モデルは、教師あり学習によって機械学習された第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルである。第1学習モデルは、上記画像データから電線支持体16の上端部の画像を検出する。第2学習モデルは、第1学習モデルによって検出された電線支持体16の上端部の画像から電線17の画像を切り出す。第3学習モデルは、第2学習モデルによって切り出された電線17の画像から電線の断線を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を支持するための電線支持体及びその周辺を撮影することによって得られた画像データが入力される情報処理部を備え、前記情報処理部は、前記画像データから前記電線における異常の有無を判断する学習モデルを用いて、前記画像データに写る前記電線の異常を検出するものである電線の異常検出装置において、
前記学習モデルは、教師あり学習によって機械学習された第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルであり、
前記第1学習モデルは、前記情報処理部に入力された前記画像データから前記電線支持体の上端部の画像を検出するものであり、
前記第2学習モデルは、前記第1学習モデルによって検出された前記電線支持体の上端部の画像から前記電線の画像を切り出すものであり、
前記第3学習モデルは、前記第2学習モデルによって切り出された前記電線の画像から前記電線の断線を検出するものである電線の異常検出装置。
【請求項2】
前記情報処理部は、カメラを有する飛行体を用いて撮影された前記画像データを入力することが可能なものである請求項1に記載の電線の異常検出装置。
【請求項3】
前記第3学習モデルは、前記第2学習モデルによって切り出された前記電線の画像から前記電線の断線を検出するに当たり、前記電線の画像に対し背景を当てはめた状態で前記電線の断線の検出を行うものである請求項1に記載の電線の異常検出装置。
【請求項4】
前記情報処理部は、入力した前記画像データを、教師あり学習によって前記学習モデルを機械学習させる際の教師データとして利用するものである請求項1~3のいずれか一項に記載の電線の異常検出装置。
【請求項5】
電線を支持するための電線支持体及びその周辺を撮影することによって得られた画像データから、前記電線における異常の有無を判断する学習モデルを用いて、前記画像データに写る前記電線の異常を検出する電線の異常検出方法において、
前記学習モデルは、教師あり学習によって機械学習された第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルであり、
前記第1学習モデルによって、前記画像データから前記電線支持体の上端部の画像を検出する第1工程と、
前記第2学習モデルによって、前記第1工程で検出された前記電線支持体の上端部の画像から前記電線の画像を切り出す第2工程と、
前記第3学習モデルによって、前記第2工程で切り出された前記電線の画像から前記電線の断線を検出する第3工程と、
を有する電線の異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の異常検出装置及び電線の異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱等の電線支持体に支持された電線の異常検出装置としては、電線支持体及びその周辺を撮影することによって得られた画像データから、電線における断線等の異常を検出するものが知られている。例えば特許文献1では、上記画像データから電線における異常の有無を判断する学習モデルを用いて、上記画像データに写る電線の異常を検出するようにしている。詳しくは、上記画像データを異常検出装置の情報処理部に入力し、その情報処理部が上記学習モデルを用いて上記画像データに写る電線の異常を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-65330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記学習モデルとしては、教師あり学習によって機械学習されたものを用いることが考えられる。上記学習モデルを用いて上記画像データに写る電線の異常を正確に検出するためには、教師あり学習によって上記学習モデルの機械学習を行う際に多数の教師データが必要になる。しかし、こうした多数の教師データを用意できない場合、上記学習モデルを用いて電線の異常を正確に検出することが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決する電線の異常検出装置及び電線の異常検出方法の各態様を記載する。
(態様1)
電線を支持するための電線支持体及びその周辺を撮影することによって得られた画像データが入力される情報処理部を備え、前記情報処理部は、前記画像データから前記電線における異常の有無を判断する学習モデルを用いて、前記画像データに写る前記電線の異常を検出するものである電線の異常検出装置において、前記学習モデルは、教師あり学習によって機械学習された第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルであり、前記第1学習モデルは、前記情報処理部に入力された前記画像データから前記電線支持体の上端部の画像を検出するものであり、前記第2学習モデルは、前記第1学習モデルによって検出された前記電線支持体の上端部の画像から前記電線の画像を切り出すものであり、前記第3学習モデルは、前記第2学習モデルによって切り出された前記電線の画像から前記電線の断線を検出するものである電線の異常検出装置。
【0006】
上記構成によれば、電線における異常の有無を判断する学習モデルとして、第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルが用いられる。すなわち、まず第1学習モデルを用いて、情報処理部に入力された上記画像データから電線支持体の上端部の画像が検出される。その後、第2学習モデルを用いて、上記検出された電線支持体の上端部の画像から電線の画像が切り出される。更に、第3学習モデルを用いて、上記切り出された電線の画像から電線の断線が検出される。第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルはそれぞれ、教師あり学習によって機械学習されたものである。電線の断線を検出するために、第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルが段階的に用いられる。これにより、第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルの機械学習を行う際に多数の教師データが用意できないとしても、それら学習モデルを用いて電線の断線を正確に検出することができる。
【0007】
(態様2)
前記情報処理部は、カメラを有する飛行体を用いて撮影された前記画像データを入力することが可能なものである(態様1)に記載の電線の異常検出装置。
【0008】
上記構成によれば、カメラを有する飛行体を用いて撮影された画像データから、電線の断線が検出される。これにより、電線支持体の上端部の画像を撮影するために作業者が電線支持体の近くまで出向く必要がなくなるため、電線における断線の検出に手間がかかることを抑制できる。
【0009】
(態様3)
前記第3学習モデルは、前記第2学習モデルによって切り出された前記電線の画像から前記電線の断線を検出するに当たり、前記電線の画像に対し切り出す前の背景を当てはめた状態で前記電線の断線の検出を行うものである(態様1)又は(態様2)に記載の電線の異常検出装置。
【0010】
上記構成によれば、切り出された電線の画像に対し切り出す前の背景を当てはめた状態で電線の断線の検出を行うことにより、断線によって垂れ下がる電線とその周辺の物体との位置関係を通じて電線の断線が検出しやすくなる。ここで用いる位置関係、すなわち断線によって垂れ下がる電線とその周辺の物体との位置関係としては、上記電線と電線支持体とが平行であることや、上記電線と電線支持体の上端部にある腕金との相対位置といったものがあげられる。
【0011】
(態様4)
前記情報処理部は、入力した前記画像データを、教師あり学習によって前記学習モデルを機械学習させる際の教師データとして利用するものである(態様1)~(態様3)のいずれか一つに記載の電線の異常検出装置。
【0012】
上記構成によれば、情報処理装置に入力された画像データが、第1~第3学習モデルを機械学習させる際の教師データとして利用される。これにより、教師あり学習による第1~第3学習モデルの機械学習を進めることができる。その結果、第1~第3学習モデルを用いた電線における断線の検出をより正確に行うことができるようになる。
【0013】
(態様5)
電線を支持するための電線支持体及びその周辺を撮影することによって得られた画像データから、前記電線における異常の有無を判断する学習モデルを用いて、前記画像データに写る前記電線の異常を検出する電線の異常検出方法において、前記学習モデルは、教師あり学習によって機械学習された第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルであり、前記第1学習モデルによって、前記情報処理部に入力された前記画像データから前記電線支持体の上端部の画像を検出する第1工程と、前記第2学習モデルによって、前記第1工程で検出された前記電線支持体の上端部の画像から前記電線の画像を切り出す第2工程と、前記第3学習モデルによって、前記第2工程で切り出された前記電線の画像から前記電線の断線を検出する第3工程と、を有する電線の異常検出方法。
【0014】
上記方法によれば、電線における異常の有無を判断する学習モデルとして、第1工程における第1学習モデル、第2工程における第2学習モデル、及び第3工程における第3学習モデルが用いられる。すなわち、まず第1工程における第1学習モデルを用いて、情報処理部に入力された上記画像データから電線支持体の上端部の画像が検出される。その後、第2工程における第2学習モデルを用いて、上記検出された電線支持体の上端部の画像から電線の画像が切り出される。更に、第3工程における第3学習モデルを用いて、上記切り出された前記電線の画像から電線の断線が検出される。第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルはそれぞれ、教師あり学習によって機械学習されたものである。電線の断線を検出するために、第1~第3工程を通じて、第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルが段階的に用いられる。これにより、第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルの機械学習を行う際に多数の教師データが用意できないとしても、それら学習モデルを用いて電線の断線を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電線の異常検出装置の全体構成を示す略図である。
図2図1の異常検出装置におけるサーバーコンピュータに入力される画像データを示す図である。
図3図2の画像データにおける電線支持体の上端部を破線で示す図である。
図4図3の画像データにおける破線で示す箇所を拡大した図である。
図5図4の画像データから切り出した電線を示す図である。
図6図5の画像データに写る電線の位置及び形状を示す図である。
図7図1のサーバーコンピュータを通じて実行される電線の断線検出の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電線の異常検出装置及び電線の異常検出方法の一実施形態について、図1図7を参照して説明する。
図1に示すように、電線の異常検出装置は、情報処理部としてのサーバーコンピュータ11を備えている。サーバーコンピュータ11には、ネットワーク12を介して携帯端末13が接続されている。携帯端末13としては、作業者が携帯可能なパーソナルコンピュータ、すなわちノート型及びタブレット型等のパーソナルコンピュータやスマートフォン等のパーソナルコンピュータを用いることが考えられる。携帯端末13は、ネットワーク12を介してドローン等の飛行体14と接続されている。
【0017】
飛行体14は、カメラ15を備えている。飛行体14は、定められた飛行経路に沿った自動飛行を行うものであり、その自動飛行中にカメラ15を用いて、電線17を支持するための電柱等の電線支持体16及びその周辺を撮影する。飛行体14は、そうした撮影によって得られた画像データを携帯端末13に送信する。携帯端末13は、飛行体14から受信した画像データをサーバーコンピュータ11に送信する。サーバーコンピュータ11には、携帯端末13から送信された画像データが入力される。
【0018】
サーバーコンピュータ11は、上記画像データから電線17における異常の有無を判断する学習モデルを用いて、上記画像データに写る電線17の異常を検出する。上記学習モデルは、教師あり学習によって機械学習された第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルである。
【0019】
<第1学習モデル>
第1学習モデルは、サーバーコンピュータ11に入力された上記画像データから電線支持体16の上端部の画像を検出するものである。サーバーコンピュータ11に入力される画像データとしては、例えば図2に示されるものがあげられる。そして、その画像データにおける図3の破線で囲んだ箇所が、電線支持体16の上端部における碍子及びその周辺の画像として検出される。なお、図4は、図3における破線で囲んだ箇所を拡大したものである。
【0020】
上記第1学習モデルを教師あり学習によって機械学習する際の教師データとしては、電線支持体16の多数の画像であって、それら画像に写る電線支持体16の上端部、例えば碍子を作業者が指定したものが用いられる。サーバーコンピュータ11は、多数の電線支持体16の上記画像における上端部、例えば碍子の位置を学習するディープラーニングを行うことにより、第1学習モデルとして次のようなニューラルネットワークを生成する。すなわち、第1学習モデルとして、電線支持体16の画像データを入力とし、同画像データに写る記碍子及びその周辺の画像データを出力とするニューラルネットワークを構築する。
【0021】
<第2学習モデル>
第2学習モデルは、第1学習モデルによって検出された電線支持体16の上端部の画像から電線17の画像を切り出すものである。例えば、図4に示す電線支持体16の上端部の画像から、図5に示すように電線17の画像が切り出される。
【0022】
上記第2学習モデルを教師あり学習によって機械学習する際の教師データとしては、電線支持体16の上端部の多数の画像であって、それら画像に写る電線17を作業者が指定したものが用いられる。サーバーコンピュータ11は、多数の電線17の上端部の画像における電線17の位置及び形状を学習するディープラーニングを行うことにより、第1学習モデルとして次のようなニューラルネットワークを生成する。すなわち、第2学習モデルとして、電線17の上端部の画像データを入力とし、同画像データに写る電線17を切り出した画像データを出力とするニューラルネットワークを構築する。
【0023】
<第3学習モデル>
第3学習モデルは、第2学習モデルによって切り出された電線17の画像から電線17の断線を検出するものである。例えば、図6に示される画像のように、電線17の位置及び形状から電線17の垂れ下がりが判別される。そして、電線17の垂れ下がりに基づき、電線17の断線が検出される。
【0024】
上記第3学習モデルを教師あり学習によって機械学習する際の教師データとしては、電線17の多数の画像であって、それら画像に写る電線17に対し作業者が断線している電線17を指定したものが用いられる。サーバーコンピュータ11は、多数の電線17の画像における断線した電線17の位置及び形状を学習するディープラーニングを行うことにより、第3学習モデルとして次のようなニューラルネットワークを生成する。すなわち、第3学習モデルとして、電線17の画像データを入力とし、同画像データに写る電線17の断線しているか否かの情報を出力とするニューラルネットワークを構築する。
【0025】
次に、上記異常検出装置を用いた電線17の異常検出方法について説明する。
図7は、サーバーコンピュータ11を通じて実行される電線17の断線検出の手順を示すフローチャートである。サーバーコンピュータ11は、このフローチャートにおけるステップ101(S101)の処理として、飛行体14のカメラ15で撮影することによって得られた画像データが、携帯端末13及びネットワーク12を介して入力されたか否かを判断する。S101で上記画像データが入力されていないと判断された場合には、サーバーコンピュータ11はS102~S106をスキップして処理を終了する。S101で上記画像データが入力されたと判断された場合には、S102に進む。
【0026】
サーバーコンピュータ11は、S102の処理として、第1学習モデルを用いて、上記画像データから電線支持体16の上端部における碍子の画像を検出する。S102の処理は、電線17の異常検出方法における第1工程に相当する。サーバーコンピュータ11は、S103の処理として、第2学習モデルを用いて、第1学習モデルによって検出された電線支持体16の上端部の画像から電線17の画像を切り出す。S103の処理は、電線17の異常検出方法における第2工程に相当する。サーバーコンピュータ11は、S104の処理として、第3学習モデルを用いて、第2学習モデルによって切り出された電線17の画像から電線17の断線を検出する。S104の処理は、電線17の異常検出方法における第3工程に相当する。
【0027】
サーバーコンピュータ11は、S105の処理として、S104における電線17の断線の検出結果に基づき電線17の断線があるか否かを判断する。S105で電線17の断線がないと判断された場合には、サーバーコンピュータ11はS106をスキップして処理を終了する。S105で電線17の断線があると判断された場合にはS106に進む。サーバーコンピュータ11は、S106の処理として、電線17の断線について報知する。詳しくは、ネットワーク12を介して電線17の断線に関する情報を携帯端末13に送信し、その携帯端末13を介して作業者に対し電線17の断線について報知する。
【0028】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)電線17における異常の有無を判断する学習モデルとして、第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルが用いられる。すなわち、まず第1学習モデルを用いて、サーバーコンピュータ11に入力された画像データ、すなわち電線支持体16を撮影することによって得られた画像データから電線支持体16の上端部の画像が検出される。その後、第2学習モデルを用いて、上記検出された電線支持体16の上端部の画像から電線17の画像が切り出される。更に、第3学習モデルを用いて、上記切り出された電線17の画像から電線17の断線が検出される。第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルはそれぞれ、教師あり学習によって機械学習されたものである。そして、電線17の断線を検出するために、第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルが段階的に用いられる。これにより、第1学習モデル、第2学習モデル、及び第3学習モデルの機械学習を行う際に多数の教師データが用意できないとしても、それら学習モデルを用いて電線17の断線を正確に検出することができる。
【0029】
(2)カメラ15を有する飛行体14を用いて撮影された画像データから、電線17の断線が検出される。これにより、電線支持体16の上端部の画像を撮影するために作業者が電線支持体16の近くまで出向く必要がなくなるため、電線17における断線の検出に手間がかかることを抑制できる。
【0030】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第3学習モデルは、第2学習モデルによって切り出された電線17の画像から電線17の断線を検出するに当たり、電線17の画像に対し切り出す前の背景を当てはめた状態で電線17の断線の検出を行うものであってもよい。この場合、切り出された電線17の画像に対し背景を当てはめた状態で電線17の断線の検出を行うことにより、断線によって垂れ下がる電線17とその周辺の物体との位置関係を通じて電線17の断線が検出しやすくなる。ここで用いる位置関係、すなわち断線によって垂れ下がる電線17とその周辺の物体との位置関係としては、上記電線17と電線支持体16とが平行であることや、上記電線17と電線支持体16の上端部にある腕金との相対位置といったものがあげられる。
【0031】
・サーバーコンピュータ11は、入力した画像データ、すなわち電線支持体16を撮影することによって得られた画像データを、教師あり学習によって第1~第3学習モデルを機械学習させる際の教師データとして利用するものであってもよい。この場合、サーバーコンピュータ11に入力された上記画像データが、第1~第3学習モデルを機械学習させる際の教師データとして利用されることにより、教師あり学習による第1~第3学習モデルの機械学習を進めることができる。その結果、第1~第3学習モデルを用いた電線17における断線の検出をより正確に行うことができるようになる。
【0032】
・電線支持体16は、電柱に限らず鉄塔等であってもよい。
・サーバーコンピュータ11に入力される画像データは、必ずしも飛行体14のカメラ15で電線支持体16を撮影することによって得られた画像データである必要はない。例えば作業者がカメラで電線支持体16を撮影することによって得られた画像データであってもよい。
【0033】
・電線の異常検出装置として、サーバーコンピュータ11が情報処理部としての役割を担うものを例示したが、これに代えて携帯端末13が情報処理部としての役割を担うものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
11…サーバーコンピュータ
12…ネットワーク
13…携帯端末
14…飛行体
15…カメラ
16…電線支持体
17…電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7