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特開2024-55387三角ダクト、三角ダクト用吊りバンドおよび三角ダクト用コーナーピース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055387
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】三角ダクト、三角ダクト用吊りバンドおよび三角ダクト用コーナーピース
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20240411BHJP
   F16L 3/26 20060101ALI20240411BHJP
   F16L 23/02 20060101ALI20240411BHJP
   B21D 39/02 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F24F13/02 A
F24F13/02 F
F16L3/26
F16L23/02 E
B21D39/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162263
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】591225394
【氏名又は名称】株式会社新富士空調
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】梶野 勇
【テーマコード(参考)】
3H016
3H023
3L080
【Fターム(参考)】
3H016BA01
3H023AA05
3H023AB05
3H023AC04
3L080AA09
3L080AB02
3L080AB08
3L080AC01
(57)【要約】
【課題】材料費の低減、配設の柔軟性向上およびデザイン性向上を可能にする三角ダクトを提供する。
【解決手段】断面が略三角形の筒状になるように3つの壁板2が配設され、隣接する一方の壁板2の側縁部に第1のハゼ21が形成され、隣接する他方の壁板2の側縁部に第2のハゼ22が形成され、第1のハゼ21と第2のハゼ22とが嵌合することで、3つの壁板2が接合されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が略三角形の筒状になるように3つの壁板が配設され、隣接する一方の壁板の側縁部に第1のハゼが形成され、前記隣接する他方の壁板の側縁部に第2のハゼが形成され、
前記第1のハゼと前記第2のハゼとが嵌合することで、前記3つの壁板が接合されている、
ことを特徴とする三角ダクト。
【請求項2】
気体が流れる方向を軸方向とし、
前記3つの壁板の軸方向の端部に、前記軸方向に対して略垂直に立ち上がり外部部材と接続するためのフランジ部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の三角ダクト。
【請求項3】
前記断面が略正三角形になるように前記3つの壁板が配設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の三角ダクト。
【請求項4】
気体が流れる方向を軸方向とし、
前記軸方向が円弧状に曲がるように、前記3つの壁板が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の三角ダクト。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の三角ダクトを、前記断面の略三角形の底辺を支えて棒状の吊り具で吊って配設するための三角ダクト用吊りバンドであり、
真っ直ぐに帯びる帯状で前記底辺に沿って配設され、両端部が前記底辺の両端から突出し、前記両端部に前記吊り具を接続するための接続部が設けられている、
ことを特徴とする三角ダクト用吊りバンド。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の三角ダクトを、前記断面の略三角形の頂部を支えて棒状の吊り具で吊って配設するための三角ダクト用吊りバンドであり、
前記頂部が装着される略V字状のV字部と、
前記V字部の両端から外側横に延び、前記吊り具を接続するための接続部が設けられた水平部と、
を備える、ことを特徴とする三角ダクト用吊りバンド。
【請求項7】
請求項2に記載の三角ダクトの隣接するフランジ部を連結するための三角ダクト用コーナーピースであり、
平板状で、前記三角ダクトの頂角と同等の角度の略V字状に形成され、前記隣接するフランジ部の背面に配設された状態で前記隣接するフランジ部間から露出する中央部に、ボルトを挿入するための孔が形成されている、
ことを特徴とする三角ダクト用コーナーピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面が略三角形の三角ダクト、三角ダクト用吊りバンドおよび三角ダクト用コーナーピースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空調用の角ダクトは、断面が略四角形で、4つの壁板を組み付けて四角い筒状に形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「標準ダクトテキスト」一般社団法人 全国ダクト工業団体連合会 編集発行、平成27年4月、p.29-p.32
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の角ダクトは、4つの壁板を要するため材料費・製造コストが嵩む要因となっていた。特に、近年の鉄鋼材などの高騰によって、材料費・製造コストが大きく上昇し、ダクト製造業者の経営を圧迫している。さらに、角ダクトの製造の際に多くの材料を加工し、また、角ダクトの使用後には多くの材料を廃棄・リサイクル処理しなければならず、環境への負荷が大きかった。
【0005】
また、従来の角ダクトは、断面が略四角形の筒状であるため、ダクトを配設するには、所定形状の大きなスペースを要していた。例えば、真っ直ぐに延びる角ダクトを水平に天井から吊って配設するには、天井の下に四角く延びる大きな空間がなければならず、配設位置が限られたり、天井周りのデザインや部材配置などが制限されたりしていた。
【0006】
さらには、従来の角ダクトは、断面が略四角形の筒状のものしかなかったため、デザイン性が低く、多様な建造物デザインに対応することができなかった。
【0007】
そこで本発明は、材料費の低減、配設の柔軟性向上およびデザイン性向上を可能にする、三角ダクト、三角ダクト用吊りバンドおよび三角ダクト用コーナーピースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、断面が略三角形の筒状になるように3つの壁板が配設され、隣接する一方の壁板の側縁部に第1のハゼが形成され、前記隣接する他方の壁板の側縁部に第2のハゼが形成され、前記第1のハゼと前記第2のハゼとが嵌合することで、前記3つの壁板が接合されている、ことを特徴とする三角ダクトである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の三角ダクトにおいて、気体が流れる方向を軸方向とし、前記3つの壁板の軸方向の端部に、前記軸方向に対して略垂直に立ち上がり外部部材と接続するためのフランジ部が形成されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の三角ダクトにおいて、前記断面が略正三角形になるように前記3つの壁板が配設されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の三角ダクトにおいて、気体が流れる方向を軸方向とし、前記軸方向が円弧状に曲がるように、前記3つの壁板が形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の三角ダクトを、前記断面の略三角形の底辺を支えて棒状の吊り具で吊って配設するための三角ダクト用吊りバンドであり、真っ直ぐに帯びる帯状で前記底辺に沿って配設され、両端部が前記底辺の両端から突出し、前記両端部に前記吊り具を接続するための接続部が設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の三角ダクトを、前記断面の略三角形の頂部を支えて棒状の吊り具で吊って配設するための三角ダクト用吊りバンドであり、前記頂部が装着される略V字状のV字部と、前記V字部の両端から外側横に延び、前記吊り具を接続するための接続部が設けられた水平部と、を備える、ことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の三角ダクトの隣接するフランジ部を連結するための三角ダクト用コーナーピースであり、平板状で、前記三角ダクトの頂角と同等の角度の略V字状に形成され、前記隣接するフランジ部の背面に配設された状態で前記隣接するフランジ部間から露出する中央部に、ボルトを挿入するための孔が形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、3つの壁板がハゼ接合されて三角ダクトが構成されているため、3つの壁板だけで強固な角ダクトを製造可能で、材料費・製造コストを低減することが可能となる。同様に、使用後の廃棄・リサイクル処理量を低減して、環境負荷を低減することが可能となる。
【0016】
また、断面が略三角形の角ダクトであるため、断面が略四角い従来の角ダクトに比べて小さなスペースで、あるいは、四角く延びる空間でなくても(異形な空間でも)配設可能となる。このため、配設位置の柔軟性が向上し、さらに、天井周りのデザインや部材配置などの柔軟性が向上する。
【0017】
さらには、断面が略三角形の角ダクトであるため、デザイン性が向上し、多様な建造物デザインに対応することが可能となる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、3つの壁板の軸方向の端部にフランジ部が形成されているため、このフランジ部を介して外部部材(例えば、ダクトや空調機器)と容易かつ適正に接続することが可能となる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、三角ダクトの断面が略正三角形のため、同じ形状・構造の3つの壁板で三角ダクトを製造することが可能で、材料費・製造コストをより低減することが可能となる。しかも、断面が略正三角形のため、建設現場への施工時に方向を気にすることなく、容易かつ適正に施工することが可能となる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、三角ダクトの軸方向が円弧状に曲がっているため、気体の流れる方向を変えることができ、多様な用途・需要に三角ダクトを適用することが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、三角ダクトの底辺に沿って三角ダクト用吊りバンドを配置し、三角ダクト用吊りバンドの両端部の接続部に吊り具を接続することで、三角ダクトの底辺を支えて安定して強固に配設することが可能となる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、三角ダクトの断面の頂部に三角ダクト用吊りバンドのV字部を装着し、三角ダクト用吊りバンドの水平部の接続部に吊り具を接続することで、三角ダクトの頂部を支えて安定して強固に配設することが可能となる。しかも、三角ダクトの頂部を支えるため、三角ダクトが幅方向(軸方向に略垂直な方向)に動くのを防止することが可能となる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、三角ダクト用コーナーピースを隣接するフランジ部の背面に配設して固定することで、隣接するフランジ部(壁板)を連結・固定して、3つの壁板で強固に三角ダクトを構成することが可能となる。また、三角ダクト用コーナーピースの中央部の孔にボルトを挿入して外部部材(例えば、ダクトや空調機器)に締結することで、外部部材と容易かつ適正に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の実施の形態1に係る三角ダクトを示す概略斜視図である。
図2図1の三角ダクトのシングルハゼとダブルハゼを示す図である。
図3図2のシングルハゼとダブルハゼによる接合状態を示す図である。
図4図1の三角ダクトの隣接するフランジ部同士を連結するための三角ダクト用コーナーピースを示す正面図である。
図5図4の三角ダクト用コーナーピースを隣接するフランジ部に配設した状態を示す正面図である。
図6】この発明の実施の形態2に係る三角ダクト用吊りバンドを示す正面図(a)と平面図(b)である。
図7】この発明の実施の形態3に係る三角ダクト用吊りバンドを示す正面図(a)と平面図(b)である。
図8】この発明の実施の形態4に係る三角ダクトを示す概略平面図(a)と、そのA-A方向から見た図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、この実施の形態に係る三角ダクト1を示す概略斜視図である。この三角ダクト1は、断面(軸方向に垂直な断面)が略三角形の筒状の空調用ダクトであり、断面が略三角形の筒状になるように3つの壁板2が配設され、組み付けられている。
【0027】
ここで、この実施の形態では、断面が略正三角形になるように3つの壁板2が配設されている場合、つまり、三角ダクト1の断面が略正三角形の場合について、主として説明するが、二等辺三角形や不等辺三角形などのその他の三角形であってもよい。また、この実施の形態では、三角ダクト1が、気体が流れる方向である軸方向(軸線)Dが真っ直ぐに延びる直管の場合について説明する。
【0028】
3つの壁板2は、同等の形状、大きさであり、略長方形で、隣接する一方の壁板2の側縁部(長辺部)に第1のハゼが形成され、隣接する他方の壁板2の側縁部に第2のハゼが形成されている。この実施の形態では、各壁板2の一方の側縁部に第1のハゼが形成され、他方の側縁部に第2のハゼが形成され、第1のハゼと第2のハゼとが隣り合わせになるように、3つの壁板2が配設されている。
【0029】
このように、第1のハゼと第2のハゼが隣り合わせになるように、各壁板2の両側縁部に第1のハゼおよび第2のハゼ、または、第1のハゼまたは第2のハゼの一方が形成されていればよい。従って、第1の壁板2の両側縁部に第1のハゼのみを形成し、第2の壁板2の両側縁部に第2のハゼのみを形成し、第3の壁板2の一方の側縁部に第1のハゼを形成し、他方の側縁部に第2のハゼを形成してもよい。ただし、この場合、異なる形状・構造の壁板2を3つ製造しなければならず、製造コストや管理コストなどが嵩むため、この実施の形態のように、各壁板2の一方の側縁部に第1のハゼを形成し、他方の側縁部に第2のハゼを形成することが望ましい。
【0030】
具体的に、図2に示すように、第1のハゼは、壁板2の側縁部が所定の角度に曲げられたシングルハゼ21となっている。ここで、所定の角度とは、三角ダクト1の断面の頂角と同等の角度であり、この実施の形態では、60度となる。
【0031】
また、第2のハゼは、壁板2の側縁部が2回折り曲げられて3重に折り重ねられたダブルハゼ22となっている。ここで、3重に折り重ねられた最も外側の外端部22aが、壁板2の中央部(折り曲げられていない部分)と面一になり、さらに、2重に折り重ねられた部分よりも突出するように形成されている。また、外端部22aと2重に折り重ねられた部分との間に、シングルハゼ21を挿入・装着するための装着空間22bが設けられるように形成されている。
【0032】
そして、隣り合わせのシングルハゼ(第1のハゼ)21とダブルハゼ(第2のハゼ)22とが嵌合することで、3つの壁板2が接合され、組み付けられている。すなわち、図3に示すように、シングルハゼ21がダブルハゼ22の装着空間22bに挿入され、外端部22aの自由端部がシングルハゼ21側に折り曲げられることで、シングルハゼ21とダブルハゼ22が接合され、3つの壁板2が組み付けられている。
【0033】
また、各壁板2の軸方向Dの端部に、軸方向Dに対して略垂直に立ち上がり外部部材(例えば、ダクトや空調機器)と接続するためのフランジ部23が形成されている。すなわち、図1に示すように、壁板2の軸方向Dの両端部(両短辺部)が、外側に略90度折り曲げられてフランジ部23が形成され、これにより、三角ダクト1の両開口縁に沿って、外側に延びるフランジ部23が形成されている。ここで、フランジ部23の自由端側・上側を壁板2側に略平行に折り曲げて、後述する三角ダクト用コーナーピース3を取り付けやすいようにしてもよい。
【0034】
次に、このような構成の三角ダクト1の隣接するフランジ部23同士を連結するための三角ダクト用コーナーピース3について説明する。
【0035】
三角ダクト用コーナーピース3は、図4に示すように、平板状で、三角ダクト1の頂角と同等の角度の略V字状に形成されている。すなわち、平面形状が略V字状の平板体で、中央部31から2つの略長方形状の取付部32がV字状に延び、取付部32間のなす角・内角θが、三角ダクト1の頂角と同等の角度、この実施の形態では、60度に設定されている。
【0036】
また、隣接するフランジ部23の背面(外部部材と接しない面)に配設された状態で隣接するフランジ部23間から露出する中央部31に、ボルトを挿入するためのボルト挿入孔33が形成されている。このボルト挿入孔33の径は、三角ダクト1を外部部材と接続する際に使用するボルトが挿入可能に形成されている。
【0037】
さらに、三角ダクト用コーナーピース3の内角縁部、つまり、取付部32同士が交わる内角縁部には、内角θのL字状で背面側(ハゼ21、22側)に延びるツバ部34が形成され、これにより、隣接する壁板2の接合強度・剛性を高めるようになっている。また、両取付部32の内側および外側の側縁に、背面側に延びるリブ部を形成し、フランジ部23に三角ダクト用コーナーピース3を取り付けやすいようにしてもよい。
【0038】
このような三角ダクト用コーナーピース3で三角ダクト1のフランジ部23同士を連結するには、まず、図5に示すように、三角ダクト用コーナーピース3の表面側を隣接するフランジ部23の背面に配置する。これにより、三角ダクト用コーナーピース3のツバ部34が隣接する壁板2による角部・稜線部(ハゼ接合部)に当接し、また、三角ダクト用コーナーピース3の中央部31が隣接するフランジ部23間から露出する。
【0039】
次に、三角ダクト用コーナーピース3を三角ダクト1のフランジ部23に固定する。ここで、どのような固定方法・手段であってもよいが、この実施の形態では、カシメによって固定する。すなわち、フランジ部23の自由端部(上部)23aを三角ダクト用コーナーピース3の取付部32側に折り曲げてカシメ、三角ダクト用コーナーピース3を固定する。この際、上記のように、フランジ部23の自由端側を予め折り曲げたり、取付部32に予めリブ部を設けたりすることで、容易かつ適正にカシメを行うことが可能となる。
【0040】
以上のように、本三角ダクト1によれば、3つの壁板2がハゼ接合されて三角ダクト1が構成されているため、3つの壁板2だけで強固な角ダクトを製造可能で、材料費・製造コストを低減することが可能となる。同様に、使用後の廃棄・リサイクル処理量を低減して、環境負荷を低減することが可能となる。
【0041】
また、断面が略三角形の角ダクトであるため、断面が略四角い従来の角ダクトに比べて小さなスペースで、あるいは、四角く延びる空間でなくても(異形な空間でも)配設可能となる。このため、配設位置の柔軟性が向上し、さらに、天井周りのデザインや部材配置などの柔軟性が向上する。
【0042】
さらには、断面が略三角形の角ダクトであるため、デザイン性が向上し、多様な建造物デザインに対応することが可能となる。
【0043】
また、3つの壁板2の軸方向Dの端部にフランジ部23が形成されているため、このフランジ部23を介して外部部材(例えば、ダクトや空調機器)と容易かつ適正に接続することが可能となる。
【0044】
さらに、三角ダクト1の断面が略正三角形のため、同じ形状・構造の3つの壁板2で三角ダクト1を製造することが可能で、材料費・製造コストをより低減することが可能となる。しかも、断面が略正三角形のため、建設現場への施工時に方向を気にすることなく、容易かつ適正に施工することが可能となる。
【0045】
一方、本三角ダクト用コーナーピース3によれば、隣接するフランジ部23の背面に配設して固定することで、隣接するフランジ部23(壁板2)を連結・固定して、3つの壁板2で強固に三角ダクト1を構成することが可能となる。また、三角ダクト用コーナーピース3の中央部31のボルト挿入孔33にボルトを挿入して外部部材に締結することで、外部部材と容易かつ適正に接続することが可能となる。
【0046】
(実施の形態2)
図6は、この実施の形態に係る三角ダクト用吊りバンド4を示す正面図(a)と平面図(b)である。この三角ダクト用吊りバンド4は、実施の形態1の三角ダクト1を、三角ダクト1の断面の略三角形の底辺を支えて、棒状の吊り具Hで吊って配設するためのバンドである。この実施の形態では、断面の略三角形の底辺が略水平に延びるように、三角ダクト1を吊る場合について説明する。
【0047】
この三角ダクト用吊りバンド4は、鋼板製で、真っ直ぐに帯びる帯状体であり、その長さは、三角ダクト1の底辺(三角形の底辺)に沿って配設した際に、両端部41が三角ダクト1の底辺の両端から突出するように設定されている。また、両端部41には、吊り具Hを接続するための吊り具挿入孔(接続部)42が形成されている。
【0048】
すなわち、この実施の形態では、吊り具Hは、長い棒ネジで構成され、上端部が天井などに配設・固定されている。そして、吊り具挿入孔42は、吊り具Hを挿入可能な孔であり、両吊り具挿入孔42に吊り具Hの下端側を挿入して、ナットなどを吊り具Hの下端に取り付けることで、三角ダクト用吊りバンド4が略水平に延びるように配設される。この三角ダクト用吊りバンド4の上に三角ダクト1の底辺が接するように三角ダクト1を載置することで、三角ダクト1の底辺が支えられて吊られるものである。なお、三角ダクト1の長さ、重さ等に応じて三角ダクト用吊りバンド4を複数配設する。
【0049】
このように、この三角ダクト用吊りバンド4によれば、三角ダクト1の底辺に沿って三角ダクト用吊りバンド4を配置し、三角ダクト用吊りバンド4の両端部41の吊り具挿入孔42を介して吊り具Hを接続することで、三角ダクト1の底辺を支えて安定して強固に配設することが可能となる。また、底辺が略水平に延びない場合であっても、三角ダクト1の底辺である壁板2を支えて安定して強固に配設することが可能となる。
【0050】
(実施の形態3)
図7は、この実施の形態に係る三角ダクト用吊りバンド5を示す正面図(a)と平面図(b)である。この三角ダクト用吊りバンド5は、実施の形態1の三角ダクト1を、三角ダクト1の断面の略三角形の頂部を支えて、吊り具Hで吊って配設するためのバンドである。この実施の形態では、三角ダクト1の断面が略逆三角形になるように、三角ダクト1を吊る場合について説明する。
【0051】
この三角ダクト用吊りバンド5は、帯状の鋼板で構成され、三角ダクト1の断面の略逆三角形の底頂部(三角形の頂部)が装着される略V字状のV字部51と、V字部51の両端から外側横(略水平に外側)に延びる水平部52と、が設けられている。V字部51の大きさは、三角ダクト1の断面の略逆三角形の2つの斜辺とほぼ同等で、三角ダクト1の断面の略逆三角形の上辺と水平部52がほぼ面一になるように、V字部51と水平部52とが形成されている。すなわち、V字部51内に三角ダクト1の断面がほぼ収容され、略逆三角形となった三角ダクト1の上辺の両側から水平部52が突出するように形成されている。
【0052】
また、両水平部52には、吊り具Hを接続するための吊り具挿入孔(接続部)53が形成されている。すなわち、実施の形態2と同様に、吊り具Hは、長い棒ネジで構成され、上端部が天井などに配設・固定されている。そして、吊り具挿入孔53は、吊り具Hを挿入可能な孔であり、両吊り具挿入孔53に吊り具Hの下端側を挿入して、ナットなどを吊り具Hの下端に取り付けることで、三角ダクト用吊りバンド5がV字状に配設される。この三角ダクト用吊りバンド5のV字部51に三角ダクト1の頂部(断面全体)を収容することで、三角ダクト1の頂部が支えられて吊られるものである。なお、三角ダクト1の長さ、重さ等に応じて三角ダクト用吊りバンド5を複数配設する。
【0053】
このように、この三角ダクト用吊りバンド5によれば、三角ダクト1の断面の頂部に三角ダクト用吊りバンド5のV字部51を装着し、三角ダクト用吊りバンド5の水平部52の吊り具挿入孔53を介して吊り具Hを接続することで、三角ダクト1の頂部を支えて安定して強固に配設することが可能となる。しかも、三角ダクト1の頂部を支えるため、三角ダクト1が幅方向(軸方向Dに略垂直な方向)に動くのを防止することが可能となる。また、三角ダクト1の断面が略逆三角形にならない場合であっても、三角ダクト1の頂部を支えて安定して強固に配設することが可能となる。
【0054】
(実施の形態4)
図8は、この実施の形態に係る三角ダクト10を示す概略平面図(a)と、そのA-A方向から見た図(b)である。この実施の形態では、軸方向Dが円弧状に曲がるように、3つの壁板61、62、63が形成されている点で実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0055】
三角ダクト10は、その軸方向Dが円弧状に曲がり、この実施の形態では、気体が流れる方向が略90度変わるように3つの壁板61、62、63が形成されている。このため、3つの壁板61、62、63は、その形状がそれぞれ異なっている。
【0056】
すなわち、図8に示すように、断面が略逆三角形になるように三角ダクト10を配置した状態において、上面に位置する第1の壁板61は、同心の大きな円弧と小さな円弧からなる略扇状となる。また、第1の壁板61の内円弧側の斜面である第2の壁板62は、上辺(第1の壁板61側の辺)が短く、下辺が上辺よりも長い略台形状となる。さらに、第1の壁板61の外円弧側の斜面である第3の壁板63は、上辺(第1の壁板61側の辺)が長く、下辺が上辺よりも短い略台形状となる。
【0057】
このような各壁板61、62、63に対して、実施の形態1と同様に、一方の側縁部にシングルハゼ(第1のハゼ)21が形成され、他方の側縁部にダブルハゼ(第2のハゼ)22が形成されている。そして、シングルハゼ21とダブルハゼ22とが隣り合わせになるように、3つの壁板61、62、63が配設され、隣り合わせのシングルハゼ21とダブルハゼ22とが嵌合することで、3つの壁板61、62、63が接合され、組み付けられている。
【0058】
このように、この実施の形態によれば、三角ダクト10の軸方向Dが円弧状に曲がっているため、気体の流れる方向を変えることができ、多様な用途・需要に三角ダクト10を適用することが可能となる。また、実施の形態1と同様に、3つの壁板61、62、63がハゼ接合されて三角ダクト10が構成されているため、3つの壁板61、62、63だけで強固な角ダクトを製造可能で、材料費・製造コストを低減することが可能となる。
【0059】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、第1のハゼと第2のハゼが上記のようなシングルハゼ21とダブルハゼ22となっているが、その他の構造・形状のハゼであってもよい。例えば、ボタンパンチハゼ構造であってもよい。
【0060】
また、実施の形態2、3において、三角ダクト用吊りバンド4、5の両端側にそれぞれ1つの吊り具挿入孔42、53を設けているが、三角ダクト1、10の形状や大きさ、重量などに応じて、複数の吊り具挿入孔42、53を設けて、3本以上の吊り具Hで三角ダクト用吊りバンド4、5を吊るようにしてもよい。さらに、実施の形態4では、軸方向(軸線)Dが略90度曲がる三角ダクト10について説明したが、軸方向Dがその他の角度に曲がる場合にも適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1 三角ダクト
2 壁板
21 シングルハゼ(第1のハゼ)
22 ダブルハゼ(第2のハゼ)
23 フランジ部
3 三角ダクト用コーナーピース
31 中央部
33 ボルト挿入孔
32 取付部
4 三角ダクト用吊りバンド
41 両端部
42 吊り具挿入孔(接続部)
5 三角ダクト用吊りバンド
51 V字部
52 水平部
53 吊り具挿入孔(接続部)
H 吊り具
D 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8