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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055409
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】超音波流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/667 20220101AFI20240411BHJP
【FI】
G01F1/667 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162327
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】駒田 望
(72)【発明者】
【氏名】八幡 貴紀
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035DA05
(57)【要約】
【課題】超音波送受信器の向きを整えることができる技術を提供する。
【解決手段】電圧監視回路は、流体が流れる流路と、流路の長手方向と交差する方向に延びる取付け部と、取付け部の内側に配置される第1の超音波送受信器と、取付け部の内周面と前記第1の超音波送受信器の外周面との間に配置される防振部材と、取付け部の端部に固定される押え部材であって、前記防振部材を前記流路側に押える押え部材と、を備え、押え部材は、前記防振部材の一部を押える第1の部分と、前記防振部材の他の一部を押える第2の部分であって前記第1の部分よりも前記防振部材側に突出する第2の部分と、を備えていてもよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる流路と、
前記流路の長手方向と交差する方向に延びる取付け部と、
前記取付け部の内側に配置される第1の超音波送受信器と、
前記取付け部の内周面と前記第1の超音波送受信器の外周面との間に配置される防振部材と、
前記取付け部の端部に固定され、前記防振部材を前記流路側に押える押え部材と、を備え、
前記押え部材は、前記防振部材の一部を押える第1の部分と、前記防振部材の他の一部を押える第2の部分であって前記第1の部分よりも前記防振部材側に突出する前記第2の部分と、を備える、超音波流量計。
【請求項2】
前記流路を介して前記第1の超音波送受信器と対向する第2の超音波送受信器を更に備える、請求項1に記載の超音波流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に超音波流量計が記載されている。特許文献1の超音波流量計は、流体が流れる流路と、流路の長手方向と交差する方向に延びる取付け部と、取付け部の内側に挿入される超音波送受信器とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-196208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の超音波流量計では、例えば成型歪み等により、取付け部の向きが僅かに傾くことがある。また、それに伴って超音波送受信器の向きが正常時よりも傾くことがある。超音波送受信器の向きが傾くと、超音波が正常な向きに送信されなくなる。また、超音波は指向性が高いので、超音波が送信される向きが僅かでも傾くと超音波流量計の計測精度が悪くなることがある。
【0005】
超音波流量計の実際の製品では、低い確率ではあるが取付け部に成型歪みが発生することがあり、その度に製品の金型を作り直すと時間と費用を要してしまう。また、製品の金型を作り直したとしても、成型歪みが発生する確率をゼロにすることは極めて困難である。
【0006】
そこで本明細書は、超音波送受信器の向きを整えることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の態様では、超音波流量計が、流体が流れる流路と、前記流路の長手方向と交差する方向に延びる取付け部と、前記取付け部の内側に配置される第1の超音波送受信器と、前記取付け部の内周面と前記第1の超音波送受信器の外周面との間に配置される防振部材と、前記取付け部の端部に固定され、前記防振部材を前記流路側に押える押え部材と、を備えている。前記押え部材は、前記防振部材の一部を押える第1の部分と、前記防振部材の他の一部を押える第2の部分であって前記第1の部分よりも前記防振部材側に突出する前記第2の部分と、を備えていてもよい。
【0008】
上記の構成によれば、例えば取付け部の成型歪み等により超音波送受信器の向きが正常時よりも傾いたとしても、押え部材の第2の部分が防振部材の一部を押すことにより、防振部材の状態を微調整することができる。これにより、防振部材の内側に配置されている超音波送受信器の向きを微調整することができる。よって、上記の構成によれば、超音波送受信器の向きを整えることができる。その結果、超音波を正常な向きに送信することができる。
【0009】
第2の態様では、上記第1の態様において、超音波流量計が、前記流路を介して前記第1の超音波送受信器と対向する第2の超音波送受信器を更に備えていてもよい。
【0010】
この構成によれば、第1の超音波送受信器と第2の超音波送受信器との間で超音波を正確に送受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の超音波流量計の断面図。
図2】実施例の超音波流量計の一部の斜視図。
図3】実施例の超音波流量計の一部の分解斜視図。
図4】実施例の押え部材の斜視図。
図5】実施例の押え部材の平面図。
図6】実施例の押え部材の断面図(図5のVI-VI断面図)。
図7】変形例の押え部材の斜視図。
図8】変形例の押え部材の斜視図。
図9】試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の超音波流量計について図面を参照して説明する。図1は、実施例の超音波流量計2の断面図である。図1に示すように、超音波流量計2は、流体が流れる流路40を構成する第1管4及び第2管6を備えている。また、超音波流量計2は、図1から図3に示すように、第1管4に固定されている一対の取付け部材10(10a、10b)と、各取付け部材10に対して防振部材50(50a、50b)を介して取り付けられている超音波送受信器20(20a、20b)と、各防振部材50を押さえる押え部材3(3a、3b)とを備えている。超音波流量計2は、超音波送受信器20により超音波を送受信することにより、流路40を流れる流体の流速や流量を計測する装置である。なお、超音波を利用して流体の流速や流量を計測する原理については既に知られているので詳細な説明を省略する。
【0013】
超音波流量計2の第1管4と第2管6は、軸方向に沿って並んで配置されており、互いに連結されて流体の流路40を構成している。流路40を流れる流体は、例えば、水等の液体や都市ガス等の気体である。流路40の長手方向に沿って上流側から下流側へ流体が流れる。なお、第2管6は、取付け部材10を覆うカバー部60を備えていてもよい。
【0014】
取付け部材10は、第1管4の軸方向(流路40の長手方向)に対して傾斜した状態で第1管4に固定されている。取付け部材10は、概して筒状に構成されており、流路40の長手方向と交差する方向に延びている。取付け部材10の内側の空間は流路40と連通している。一対の取付け部材10(10a、10b)は、流路40を介して互いに対向するように配置されている。一対の取付け部材10(10a、10b)は、流路40を介して互いに反対方向に延びるように設けられている。一対の取付け部材10(10a、10b)のうち、第1の取付け部材10aが流路40の上流側の位置に設けられており、第2の取付け部材10bが第1の取付け部材10aよりも流路40の下流側の位置に設けられている。以下では、一対の取付け部材10(10a、10b)のうち、代表で上流側の第1の取付け部材10a及びそれに関連する構成について説明する。
【0015】
図2に示すように、第1の取付け部材10aの内周面には、防振部材50(第1の防振部材50a)を保持するための凹部12が設けられている。凹部12は、第1の取付け部材10aの軸方向の端部に設けられている。凹部12は、第1の取付け部材10aの内周面の周方向に延びている。
【0016】
第1の防振部材50aは、第1の取付け部材10aの内側に配置されている。第1の防振部材50aは、例えば弾性ゴムから作製されており、概して筒状に構成されている。第1の防振部材50aの外周面には、第1の取付け部材10aの内周面の凹部12と係合する凸部54が設けられている。第1の防振部材50aの凸部54が第1の取付け部材10aの凹部12内に配置される。これにより、第1の防振部材50aが第1の取付け部材10aに取り付けられる。第1の防振部材50aは、第1の取付け部材10aの軸方向の端部の内周面に取り付けられる。
【0017】
第1の防振部材50aは、第1の取付け部材10aの内周面と超音波送受信器20(第1の超音波送受信器20a)の外周面との間に配置されている。第1の防振部材50aは、第1の超音波送受信器20aを囲んでいる。第1の防振部材50aは、第1の超音波送受信器20aの振動が第1の取付け部材10aに伝わることを抑制するために設けられている。第1の防振部材50aの内周面には、第1の超音波送受信器20aを保持するための凹部52が設けられている。凹部52は、第1の防振部材50aの内周面の周方向に延びている。凹部52は、第1の防振部材50aの軸方向の中央部に設けられている。
【0018】
第1の超音波送受信器20aは、第1の防振部材50aの内側に配置されている。第1の超音波送受信器20aは、超音波を送受信する超音波振動子22と、超音波振動子22を封止する封止部材24とを備えている。超音波振動子22は、流路40を流れる流体に向けて超音波を送信する。第1の超音波送受信器20aの超音波振動子22は、第1の超音波送受信器20aと対向する第2の超音波送受信器20b(図1参照)に向けて超音波を送信する。また、第1の超音波送受信器20aの超音波振動子22は、第2の超音波送受信器20bから送信される超音波を受信する。第1の超音波送受信器20aと第2の超音波送受信器20bは、通常は、流路40を介して正対している。
【0019】
封止部材24は、例えば樹脂から作製されており、超音波振動子22を被覆している。封止部材24の外周面には、第1の防振部材50aの内周面の凹部52と係合する凸部25が設けられている。封止部材24の凸部25が第1の防振部材50aの凹部52内に配置される。これにより、第1の超音波送受信器20aが第1の防振部材50aに保持される。第1の超音波送受信器20aは、第1の防振部材50aに保持された状態で第1の取付け部材10aの内側に挿入されている。第1の超音波送受信器20aは、第1の防振部材50aを介して第1の取付け部材10aに取り付けられている。
【0020】
次に、押え部材3(第1の押え部材3a)について説明する。第1の押え部材3aは、第1の防振部材50a及び第1の超音波送受信器20aが第1の取付け部材10aから離脱しないように、第1の防振部材50aを第1の取付け部材10aの軸方向に向けて押さえる部材である。第1の押え部材3aは、第1の取付け部材10aの軸方向の端部に固定されている。第1の押え部材3aは、例えば金属や樹脂から作製されている。
【0021】
図3から図6に示すように、第1の押え部材3aは、環状部30と、一対の固定部33、33とを備えている。環状部30は、第1の防振部材50aの軸方向の端部を覆っている。環状部30の内側の開口部36から第1の超音波送受信器20aの端部が露出する。環状部30は第1の超音波送受信器20aに接していない。環状部30は、第1の部分31と、第2の部分32とを備えている。第1の部分31は、第1の防振部材50aの一部を押さえている。第2の部分32は、第1の防振部材50aの他の一部(第1の部分31で押さえられていない部分)を押さえている。第2の部分32は、環状部30の一部をプレス加工で曲げることにより構成されている。第2の部分32は、第1の押え部材3aが第1の取付け部材10aに取り付けられた状態で第1の部分31よりも第1の防振部材50a側に突出している。第2の部分32の突出高さは、例えば、0.1mm-1mmである。第2の部分32の面積は、第1の部分31の面積よりも狭くされている。第2の部分32は、開口部36の中心部よりも固定部33側に設けられている。第2の部分32が設けられる位置は特に限定されない。
【0022】
一対の固定部33は、それぞれ、環状部30から側方に突出している。固定部33には、固定用のネジ90が挿入されるネジ孔34が設けられている。ネジ孔34は、開口部36の中心部から偏心した位置に設けられている。固定部33は、ネジ90により第1の取付け部材10aの端部に固定されている。
【0023】
以上、実施例の超音波流量計2について説明した。以上のように、超音波流量計2は、流路40の長手方向と交差する方向に延びる取付け部材10と、取付け部材10の内側に配置される超音波送受信器20と、取付け部材10の内周面と超音波送受信器20の外周面との間に配置される防振部材50と、取付け部材10の端部に固定される押え部材3であって、防振部材50を流路40側に押える押え部材3とを備えている。押え部材3は、防振部材50の一部を押える第1の部分31と、防振部材50の他の一部を押える第2の部分32であって第1の部分31よりも防振部材50側に突出する第2の部分32とを備えている。
【0024】
この構成によれば、超音波送受信器20の向きが正常時の向きからずれたとしても、防振部材50を押える押え部材3の第2の部分32が防振部材50の一部を押すことにより、防振部材50の状態を微調整することができる。これにより、防振部材50の内側に配置されている超音波送受信器20の向きを微調整することができる。例えば、取付け部材10の向きが成形歪み等により傾いたとしても、超音波送受信器20の向きを整えることができる。これにより、超音波を正常な向きに送信することができる。また、上記の構成によれば、第1の超音波送受信器20aと第2の超音波送受信器20bとの間で超音波を正確に送受信することができる。
【0025】
なお、以上の説明では、第1の取付け部材10a、第1の防振部材50a、第1の超音波送受信器20a、及び第1の押え部材3aの構成について説明したが、第2の取付け部材10b、第2の防振部材50b、第2の超音波送受信器20b、及び第2の押え部材3bの構成も同様である。第2の取付け部材10b、第2の防振部材50b、第2の超音波送受信器20b、及び第2の押え部材3bは、それぞれ、第1の取付け部材10a、第1の防振部材50a、第1の超音波送受信器20a、及び第1の押え部材3aと流路40を介して対向する位置に設けられている。第2の取付け部材10b、第2の防振部材50b、第2の超音波送受信器20b、及び第2の押え部材3bは、それぞれ、第1の取付け部材10a、第1の防振部材50a、第1の超音波送受信器20a、及び第1の押え部材3aと反対向きで設けられている。第2の取付け部材10b、第2の防振部材50b、第2の超音波送受信器20b、及び第2の押え部材3bの構成については、それぞれ、第1の取付け部材10a、第1の防振部材50a、第1の超音波送受信器20a、及び第1の押え部材3aの構成と同様なので詳細な説明を省略する。
【0026】
(対応関係)
取付け部材10が「取付け部」の一例である。
【0027】
(変形例)
(1)上記の実施例では、取付け部材10が筒状の構成であったが、この構成に限定されない。変形例では、例えば取付け部材10が矩形状の構成であってもよい。
【0028】
(2)上記の実施例では、押え部材3の第2の部分32が曲げ加工により作製されていたが、この構成に限定されない。変形例では、図7に示すように、押え部材3の第2の部分32が切削加工により段差を付けて作製されていてもよい。第1の部分31と第2の部分32の間に、例えば1段又は複数段の段差が設けられていてもよい。また、他の変形例では、図8に示すように、プレス加工により環状部30に凸部を設けることにより第2の部分32が作製されてもよい。
【0029】
(3)上記の実施例では、第1の超音波送受信器20aと第2の超音波送受信器20bが流路40を介して対向する構成であったが、この構成に限定されない。変形例では、第1の超音波送受信器20aと第2の超音波送受信器20bが流路40の長手方向(第1管4の軸方向)に沿って並んでいる構成であってもよい。この構成では、第1の超音波送受信器20a(又は第2の超音波送受信器20b)から送信される超音波が、第1管4の内周面で反射した後に、第2の超音波送受信器20b(又は第1の超音波送受信器20a)で受信される。
【0030】
(試験例)
実施例の超音波流量計2を用いて超音波の信号強度を調べる試験を行った。試験に用いた超音波流量計2では、第1の押え部材3aの第2の部分32の突出高さを0.5mmとした。一方、比較例の超音波流量計は、押え部材が第2の部分を備えていない構成とした。即ち、比較例の超音波流量計は、押え部材の環状部に段差が無い構成とした。また、実施例の超音波流量計2と比較例の超音波流量計は、共に、第1の取付け部材10aの向きが成型歪みにより傾いている構成とした。
【0031】
実施例と比較例により、上流側の第1の超音波送受信器20aが受信する超音波の信号強度と、下流側の第2の超音波送受信器20bが受信する超音波の信号強度との比を比較した。図9は、試験結果を示す図である。図9に示すように、実施例の超音波流量計2では、流体の流量が多い場合でも、超音波の信号強度の比が維持されることが確認された。比較例の超音波流量計では、流体の流量が多くなるにつれて、超音波の信号強度の比が低下することが確認された。
【0032】
以上より、実施例の超音波流量計2では、第1の押え部材3aにより第1の超音波送受信器20aの向きを整えることにより、超音波の信号強度の比が維持されることが確認された。したがって、実施例の超音波流量計2では、超音波を正常な向きに送信することができ、精度良く流体の流速や流量を計測することができる。
【0033】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0034】
2:超音波流量計、3:押え部材、4:第1管、6:第2管、10:取付け部材、20:超音波送受信器、22:超音波振動子、24:封止部材、30:環状部、31:第1の部分、32:第2の部分、33:固定部、36:開口部、40:流路、50:防振部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9