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特開2024-55424移動体の運転支援装置及び自動運転システム
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  • 特開-移動体の運転支援装置及び自動運転システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055424
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】移動体の運転支援装置及び自動運転システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240411BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162347
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】開田 真次
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB07
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG14
5H301GG17
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK18
(57)【要約】
【課題】路面状況などの様々な要因を考慮した運転支援を可能とする移動体の運転支援装置及び自動運転システムを提供する。
【解決手段】移動体の運転支援装置は、移動体の位置を推定する制御装置を備え、制御部は、移動体が移動した経路情報を蓄積した実績経路データベースを有し、実績経路データベースに基づいて、移動体の運転支援を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の位置を推定する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記移動体が移動した経路情報を蓄積した実績経路データベースを有し、
前記実績経路データベースに基づいて前記移動体の運転支援を行う、
移動体の運転支援装置。
【請求項2】
所定の領域上を移動する移動体の運転を支援する運転支援装置であって、
前記制御装置は、
前記実績経路データベースに基づいて、前記領域上の各部の移動難易度を示したコストマップを作成し、
前記コストマップに基づいて前記移動体の運転支援を行う、
請求項1記載の移動体の運転支援装置。
【請求項3】
前記経路情報は、前記移動体の位置をロギングした走行ログデータである、
請求項1記載の移動体の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記実績経路データベースの経路情報に含まれる経路上の移動難易度が低くなるように前記コストマップを作成する、
請求項2記載の移動体の運転支援装置。
【請求項5】
前記経路情報は、前記移動体の姿勢データを含み、
前記制御装置は、前記姿勢データに基づいて、前記移動体が移動した軌跡の幅を計算し、当該軌跡の幅が反映された前記コストマップを作成する、
請求項4記載の移動体の運転支援装置。
【請求項6】
移動体を移動させたときに前記経路情報を前記実績経路データベースに登録するか否かを切り替える操作部を、更に備える、
請求項1記載の移動体の運転支援装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記実績経路データベースに登録された経路情報に沿って前記移動体の運転支援を行う、
請求項1記載の移動体の運転支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の運転支援装置と、
前記運転支援装置の運転支援に応じて自動運転される前記移動体と、
を備える自動運転システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の運転支援装置及び自動運転システムに関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、パスプランニングアルゴリズムを用いて移動体の最適な移動経路を生成することが行われている。また、特許文献1には、自律移動ロボットが走行する経路の探索プログラムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-191502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の移動経路の生成手法では、悪路を有する不整地等において路面状況を考慮して移動経路の生成を行うことは容易でない。
【0005】
本発明は、路面状況などの様々な要因を考慮した運転支援を可能とする移動体の運転支援装置及び自動運転システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る移動体の運転支援装置は、
移動体の位置を推定する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記移動体が移動した経路情報を蓄積した実績経路データベースを有し、
前記実績経路データベースに基づいて前記移動体の運転支援を行う。
【0007】
本発明に係る自動運転システムは、
上記の運転支援装置と、
前記運転支援装置の運転支援に応じて自動運転される前記移動体と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば熟練者の運転など好適な運転によって移動体が移動したときの経路情報を、実績経路データベースに蓄積させることができる。当該経路情報は、好適な運転によって、路面状況など様々な要因を考慮した上で通過に適していると判断された良好な移動経路に相当する。そして、このような経路情報が蓄積された実績経路データベースに基づいてコストマップが作成されるので、路面状況など様々な要因を考慮して移動難易度が定められたコストマップを得ることができる。したがって、当該コストマップにより路面状況などの様々な要因を考慮した運転支援を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る移動体とその運転支援装置を示すブロック図である。
図2】実績経路データベースに登録される移動経路の一例を示す図である。
図3】実績経路データベースに登録される経路情報の一例を示す図である。
図4】経路情報に含まれる姿勢データから得られる移動体の軌跡の幅を説明する図である。
図5】コストマップの一例を示す図(A)、並びに、その一部の拡大図(B)である。
図6】コストマップの作成方法を説明する図である。
図7】コストマップを用いて制御装置が生成した良好経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る移動体50とその運転支援装置100を示すブロック図である。
【0012】
本実施形態に係る移動体50の運転支援装置100は、移動体50の位置推定用の計測器113と、実績経路データベース130を作成する制御装置120とを備える。計測器113は、移動体50に搭載される。制御装置120は、実績経路データベース130に加え、コストマップ140及び良好経路150を作成する。
【0013】
移動体50は、荷の搬送を行う荷役機であり、より具体的にはフォークリフトである。移動体50は、運転者が運転することで移動可能に構成される。さらに、移動体50は、運転支援に基づいて運転者なしで自律的に移動可能な構成であってもよいし、運転者が運転支援情報を受けながら運転することで移動する構成であってもよい。移動体50は、予め定められた領域A上を移動する。領域Aは、移動体50が作業する作業場などに相当し、移動体50が荷役機であれば荷役場に相当する。
【0014】
計測器113は、周囲の映像を取得する撮影器、衛星電波又は基地局電波等を利用して位置を検出する測位システムの受信器、あるいは、車輪速のログを取得する車輪速ログセンサなどである。計測器113が撮影器である場合、計測器113により取得された周囲の映像から、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)に基づく移動体50の位置の推定(事前の地図生成時に検出された周囲映像又は周囲形状と、現在検出されている周囲映像又は周囲形状との照合に基づく現在位置の推定等)を行うことができる。また、計測器113が上記受信器である場合、測位システムの測位結果から直接的に移動体50の位置を推定できる。さらに、計測器113が車輪速ログセンサである場合、車輪速のログに基づく移動体50の相対移動ベクトルの積算から移動体50の位置を推定できる。なお、計測器113は、上記の例に限られず、移動体50の位置を推定できればどのような構成が適用されてもよい。
【0015】
移動体50は、通信部53を有し、通信部53を介して計測器113の計測データを制御装置120へ送る。
【0016】
制御装置120は、プログラムを実行するコンピュータであり、実績経路データベース130及びコストマップ140を格納する記憶装置123と、移動体50との間でデータをやり取りする通信部125と、を備える。
【0017】
通信部53、125としては、例えば無線通信器を適用できる。
【0018】
<実績経路データベース>
図2は、実績経路データベースに登録される移動経路の一例を示す図である。図3は、実績経路データベースに登録される経路情報の一例を示す図である。
【0019】
実績経路データベース130には、例えば熟練者による好適な運転によって移動体50が領域A上を始点P0から終点P1まで移動したときの経路情報が蓄積される。図2の移動経路R01~R03は好適な運転によって移動体50が移動した経路を示す。移動経路R01~R03は、運転者の技量によって避けられるべき悪路a1の通過が避けられ、かつ、無駄が省かれた良好な移動経路に相当する。
【0020】
制御装置120は、移動体50の移動中、計測器113の計測データを逐次受け、前述した推定手法を用いて、計測データから移動体50の位置を推定する。そして、制御装置120は、図3に示すように、移動開始からの経過時間、移動体50の推定位置(X座標、Y座標の位置)の情報を、移動開始から終了まで集めたデータを、一組のレコードデータDRとして、実績経路データベース130に登録する。当該レコードデータDRは、移動体50の位置をロギングした走行ログデータに相当する。当該レコードデータDRの集合が実績経路データベース130である。
【0021】
図4は、経路情報に含まれる姿勢データから得られる移動体の軌跡の幅を説明する図である。経路情報には、移動体50の姿勢データ(例えばヨー角θy)が含まれてもよい。移動体50にはIMU(慣性計測器)が搭載され、IMUの計測データが制御装置120へ送られることで姿勢データを経路情報に含めることができる。あるいは、運転支援装置100が、移動体50の移動領域全体を俯瞰できる撮影装置を備え、当該撮影装置の映像から姿勢データが計算されてもよい。
【0022】
制御装置120は、姿勢データによって、移動体50がどの向きで移動しているかを計算することができる。移動体50は、どの向きで移動するかによって、領域A上を通過する軌跡の幅が異なる。すなわち、図4(A)に示すように、移動体50が前進すれば、移動体50が通過する軌跡の幅W1は移動体50の横幅と一致する。一方、図4(B)に示すように、移動体50が斜めに進めば、移動体50が通過する軌跡の幅W2は移動体50の横幅よりも大きくなる。したがって、制御装置120は、姿勢データに基づいて、移動体50が移動した軌跡を、幅を含めて正確に計算することができる。
【0023】
経路情報には、その他、移動体50の速度の情報が含まれてもよい。移動体50の速度には運転の慎重さが反映されるため、制御装置120は、速度の情報に基づいて運転が慎重に行われたのか否かを判別し、当該情報を後述のコストマップ140に反映させてもよい。
【0024】
移動体50には、移動体50を移動させたときにその経路情報を実績経路データベース130に登録するか否かを切り替える操作部118が設けられる。操作部118としては、例えばメカスイッチ、タッチディスプレイに表示される表示スイッチなどを適用できる。運転者は、好適な運転を行って作業する際に操作部118を登録側に切り替え、それ以外の運転を行う際には操作部118を非登録側に切り替えることで、良好な経路情報を多く実績経路データベース130に登録することができる。
【0025】
なお、操作部118は、制御装置120に設けられ、オペレータが、移動体50の運転状況(熟練者が運転しているか否か等)を確認して、経路情報を実績経路データベース130に登録するか否かを切り替えるようにしてもよい。
【0026】
上記のように形成された実績経路データベース130によれば、路面状況などの様々な要因を考慮して移動に適していると運転者が判断した経路情報が多く蓄積されることになる。
【0027】
<コストマップ>
図5は、コストマップの一例を示す図(A)、並びに、その一部の拡大図(B)である。図6は、コストマップの作成方法を説明する図である。
【0028】
制御装置120は、実績経路データベース130に基づいて、コストマップ140を作成する。コストマップ140とは、領域A上の各部の移動難易度を表わしたマップである。当該移動難易度のことを、以下では、「コスト値」と呼び、コスト値が高いほど移動の高い困難度を表わすものとする。各部のコスト値は、例えば整数1~10などの離散値であってもよいし、連続値であってもよい。図5(A)のコストマップ140では、網掛け及び実線によりコスト値が高い箇所を示している。
【0029】
コストマップ140は、図5(B)に示すように、領域A上の各部を細かなグリッドgdにより表わし、当該グリッドgdごとにコスト値が示された構成であってもよい。
【0030】
制御装置120は、図6に示すように、領域A上の各部のコスト値を、実績経路データベース130に登録された経路情報に基づいて決定する。具体的には、制御装置120は、経路情報によって示される移動経路R01から、移動体50が通過した領域A上の軌跡S01を幅を有するように計算し、当該軌跡S01のコスト値が下がるようにコストマップ140を作成する。軌跡S01は、姿勢データθyを用いることでより正確に計算されてもよい。さらに、制御装置120は、軌跡S01に加えて、軌跡S01の幅方向における両側に所定のマージンM1を加えて、当該範囲(S01、M1)のコスト値が下がるようにコストマップ140を作成してもよい。
【0031】
図6の例は1つの経路情報に基づくコスト値の計算処理を示しており、制御装置120は、実績経路データベース130に登録された複数の経路情報の各々に基づいて、図6に示したコスト値の計算処理を行うことで、1つのコストマップ140が作成される。その結果、コストマップ140において、複数の経路情報に多く含まれる箇所のコスト値は低く、複数の経路情報に少ししか含まれない箇所あるいは全く含まれない箇所のコスト値が高くなる。
【0032】
なお、制御装置120は、コストマップ140のコスト値を、経路情報に基づいてのみ決定するのではなく、例えば、領域Aのレイアウト(領域Aの境界、壁や柱のレイアウト等)に基づく各部の移動難易度、並びに、その他の種々の要因に基づく各部の移動難易度を総合して、コストマップ140のコスト値を決定してもよい。
【0033】
上記のように作成されたコストマップ140によれば、例えば熟練者による好適な運転によって選択された移動経路周辺のコスト値が低く、好適な運転によって避けられた移動経路周辺のコスト値が高くなる。すなわち、路面状況など様々な要因を考慮して避けるべきと運転者が判断すべき経路が、選択されにくいコストマップ140を得ることができる。
【0034】
<良好経路>
図7は、コストマップ140を用いて制御装置120が生成した良好経路の一例を示す図である。
【0035】
制御装置120は、コストマップ140と、パスプランニングアルゴリズムとを用いて、移動体50の移動に適した良好経路150を作成する。パスプランニングアルゴリズムとしては、既知の種々のアルゴリズムを適用できる。パスプランニングアルゴリズムでは、始点から終点までを結んだ経路であって、経路上のコスト値の総和が小さくなるように良好経路150が抽出される。作成された良好経路150は、経路上のコスト値の総和が低い経路、すなわち、運転者が避けるべきと判断する箇所の通過が避けられた経路となり、かつ、移動距離がなるだけ短くされた経路となる。制御装置120は、作成した良好経路150の情報を移動体50に送る。上記の始点及び終点は、移動体50が荷役機である場合、荷の受け取り所及び荷の搬送先に相当する。
【0036】
移動体50は、通信部53を介して、制御装置120から良好経路150の情報を含んだ運転支援情報を受け、当該情報に基づいて移動を行う。すなわち、移動体50が自律的に移動する自動運転装置55を備える場合、自動運転装置55は、良好経路150に沿って移動するように自動運転を行う。また、移動体50が運転支援情報を出力する表示装置56を備え、運転者が運転する構成である場合、移動体50は、制御装置120に良好経路150の情報を出力し、運転者は、良好経路150の情報を頼りに、移動体50を運転する。表示による運転支援の代わりに、あるいは、それに加えて、音声や運転アシスト機能による運転支援が行われてもよい。良好経路150を用いた運転支援により、路面状況など様々な要因を考慮した移動体50の適した移動が実現される。
【0037】
以上のように、本実施形態の移動体50の運転支援装置100によれば、移動体50の位置を推定する制御装置120を備える。そして、制御装置120は、移動体50が移動した経路情報を蓄積した実績経路データベース130を有し、実績経路データベース130に基づいて、領域Aのコストマップ140を作成する。したがって、例えば熟練者による好適な運転が行われた際に、当該運転による経路情報を実績経路データベース130に蓄積しておくことで、当該経路情報を反映したコストマップ140を作成できる。当該経路情報は、路面状況など様々な要因を考慮して運転者が選択した移動経路を表わすため、コストマップ140は、路面状況など様々な要因を考慮したマップとなる。したがって、コストマップ140によって、路面状況など様々な要因を考慮した運転支援を実現できる。
【0038】
移動体50の移動には、作業上の移動、作業以外の移動、好適な運転者の運転による移動、好適でない運転時の移動など、様々な移動が含まれ、当該様々な移動時の経路情報が実績経路データベース130に混入してしまう場合が生じえる。このような場合、作業上において良好な経路情報のみを抽出するなど、移動体50の一連の移動により得られた経路情報ごとに経路情報を識別できると都合がよい。本実施形態の移動体50の運転支援装置100によれば、経路情報として、移動体50の位置をロギングした走行ログデータを採用している。当該構成によれば、移動体50の一連の移動により得られた経路情報ごとの識別が容易となる。したがって、上記のように良好な経路情報のみを抽出するようなデータ処理が容易となり、よって、良好なコストマップ140の作成、並びに、良好な運転支援が可能となる。
【0039】
さらに、本実施形態の移動体50の運転支援装置100によれば、制御装置120は、実績経路データベース130の経路情報に含まれる経路上のコスト値(移動難易度)が低くなるようにコストマップ140を作成する。したがって、移動体50は領域A上の劣悪な箇所を移動する必要はなく、移動体50が好適な作業を継続するだけで、実績経路データベース130への適切な経路情報の蓄積と、良好な運転支援を実現するコストマップ140の作成とを行うことができる。
【0040】
さらに、本実施形態の移動体50の運転支援装置100によれば、経路情報には、移動体50の姿勢データが含まれ、制御装置120は、姿勢データに基づいて移動体50が移動した軌跡S01の幅を計算する。そして、制御装置120は、当該幅が反映されたコストマップ140を作成する。したがって、姿勢によって移動体50の軌跡の幅が大幅に変わるような場合でも、軌跡の幅を正確に計算し、移動体50の軌跡を正確に反映したコストマップ140を作成できる。
【0041】
さらに、本実施形態の移動体50の運転支援装置100によれば、移動体50を移動させたときに経路情報を実績経路データベース130に登録するか否かを切り替える操作部118を備える。したがって、実績経路データベース130に経路情報を登録したくない移動、例えば作業以外の移動、或いは、好適でない運転時の移動を行った際に、当該移動の経路情報が実績経路データベース130に登録されることを除外できる。
【0042】
(自動運転システム)
本発明の実施形態に係る自動運転システムは、図1の移動体50及び運転支援装置100を備える。移動体50は、運転支援装置100の運転支援情報に基づいて自動運転を行うように構成される。
【0043】
運転支援装置100の制御装置120は、実績経路データベース130に基づいて移動体50の運転支援を行う。
【0044】
実績経路データベース130には、例えば熟練者による好適な運転によって移動体50が領域A上を始点P0から終点P1まで移動したときの経路情報を蓄積することができる。したがって、実績経路データベース130に基づいて運転支援を行うことで、路面状況など様々な要因を考慮した運転支援を実現できる。
【0045】
具体的には、運転支援装置100の制御装置120は、実績経路データベース130に登録されている経路情報に沿って運転支援情報を作成する。すなわち、制御装置120は、実績経路データベース130の中から1つの経路情報を抽出し、当該経路情報が示す経路を自動運転用の経路とする運転支援情報を作成する。あるいは、制御装置120は、実績経路データベース130に登録されている1つの経路情報が示す経路の一部と、別の1つの経路情報が示す経路の一部とを組み合わせて(3つ以上の一部の経路の組み合わせでもよい)自動運転用の経路とする運転支援情報を作成してもよい。そして、当該運転支援情報を、移動体50に送る。移動体50は、上記の運転支援情報を受けて、その経路に沿うように自動運転を行う。
【0046】
当該構成によれば、移動体50は、熟練者等による好適な運転によって得られた経路情報を模倣して、自動運転を行うこととなる。したがって、路面状況など様々な要因を考慮した好適な自動運転を実現できる。
【0047】
なお、運転支援装置100の制御装置120は、前述したコストマップ140に基づいて自動運転用の経路を作成し、移動体に送るように構成されてもよい。あるいは、運転支援装置100の制御装置120は、自動運転用の経路の作成方法を上記2つの方法のいずれかに切り替え可能な操作手段を有してもよい。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、移動体が荷役機である例を説明した。しかし、移動体は、様々なサービスを提供する移動ロボットなど、荷を搬送しない構成であってもよい。また、上記実施形態では、制御装置120が移動体50から離れて位置する構成を示したが、制御装置120は移動体50に搭載されていてもよい。あるいは、制御装置120は、移動体50が移動する領域Aから離れたクラウド上に設けられていてもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
50 移動体
53 通信部
55 自動運転装置
56 表示装置
100 運転支援装置
113 計測器
118 操作部
120 制御装置
123 記憶装置
125 通信部
130 実績経路データベース
140 コストマップ
150 良好経路
A 領域
a1 悪路
gd グリッド
R01~R03 移動経路
S01 軌跡
M1 マージン
W1、W2 軌跡の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7