(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055436
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】次亜塩素酸水の調製方法、及び次亜塩素酸水の調製装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/42 20230101AFI20240411BHJP
【FI】
C02F1/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162364
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】505000480
【氏名又は名称】フィンガルリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名郷根 正昭
(72)【発明者】
【氏名】高木 祐治
(72)【発明者】
【氏名】足立 裕
【テーマコード(参考)】
4D025
【Fターム(参考)】
4D025AA10
4D025AB18
4D025BA09
4D025BA11
4D025BA24
4D025BB03
4D025BB13
(57)【要約】
【課題】
次亜塩素酸水を調製する過程において、反応液のpHを可能な限り4.5以上に保ち、塩素ガスが発生するリスクを下げた次亜塩素酸水の調製方法、及び/又は次亜塩素酸水の調製装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
次亜塩素酸塩水溶液をH形強酸性陽イオン交換樹脂層に通過させ、その通過液をNa形強酸性陽イオン交換樹脂層に通過させることを含む、次亜塩素酸水の調製方法、により課題を解決する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸塩水溶液をH形強酸性陽イオン交換樹脂層に通過させ、その通過液をNa形強酸性陽イオン交換樹脂層に通過させることを含む、
次亜塩素酸水の調製方法。
【請求項2】
Na形強酸性陽イオン交換樹脂層の上にH形強酸性陽イオン交換樹脂層を積層した強酸性陽イオン交換樹脂層を備える、
次亜塩素酸水の調製装置。
【請求項3】
内槽と、内層よりも深い外槽を備え、内槽は外槽上部内側に装着可能であり、内層下部に前記強酸性陽イオン交換樹脂層を備え、内槽に投入された次亜塩素酸塩水溶液は、前記強酸性陽イオン交換樹脂層を通過し外槽に貯留する、請求項2に記載の次亜塩素酸水の調製装置。
【請求項4】
強酸性陽イオン交換樹脂層がカートリッジ内に格納されており、カートリッジは脱着可能である、請求項3に記載の調製装置。
【請求項5】
注入管と採液管と強酸性陽イオン交換樹脂タンクを備えた次亜塩素酸水調製タンクを備え、強酸性陽イオン交換樹脂タンクは、次亜塩素酸水調製タンク内に格納され、前記注入管は前記次亜塩素酸水調製タンクの上部に開口し、採液管の採液口は、強酸性陽イオン交換樹脂タンクの上部に開口し、
強酸性陽イオン交換樹脂タンクは、H形強酸性陽イオン交換樹脂層上にNa形強酸性陽イオン交換樹脂層が積層して格納し、
次亜塩素酸塩水溶液は、前記注入管から次亜塩素酸水調製タンク内であって、かつ強酸性陽イオン交換樹脂タンクの外側に注入され、強酸性陽イオン交換樹脂タンクの底部から強酸性陽イオン交換樹脂タンク内に流入し、調製された次亜塩素酸水は採液管の採液口から次亜塩素酸水調製タンク外に排出される、次亜塩素酸水の調製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次亜塩素酸水の調製方法、及び次亜塩素酸水の調製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、イオン交換樹脂に次亜塩素酸ナトリウム水を通水して、pHを下げて次亜塩素酸水とする技術が開示されている。
また非特許文献1にはイオン交換法次亜塩素酸水生成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.teriostec.jp/ionchanger/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び非特許文献1に記載の方法は、次亜塩素酸ナトリウム液から次亜塩素酸水を調製する過程において、反応液のpHが3.0以下となり、有害な塩素ガスを発生する可能性があった。
【0006】
本発明は、次亜塩素酸水を調製する過程において、反応液のpHを可能な限り4.5以上に保ち、塩素ガスが発生するリスクを下げた次亜塩素酸水の調製方法、及び/又は次亜塩素酸水の調製装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記実施形態を含む。
項1.次亜塩素酸塩水溶液をH形強酸性陽イオン交換樹脂層に通過させ、その通過液をNa形強酸性陽イオン交換樹脂層に通過させることを含む、次亜塩素酸水の調製方法。
項2.Na形強酸性陽イオン交換樹脂層の上にH形強酸性陽イオン交換樹脂層を積層した強酸性陽イオン交換樹脂層を備える、次亜塩素酸水の調製装置。
項3.内槽と、内層よりも深い外槽を備え、内槽は外槽上部内側に装着可能であり、内層下部に前記強酸性陽イオン交換樹脂層を備え、内槽に投入された次亜塩素酸塩水溶液は、前記強酸性陽イオン交換樹脂層を通過し外槽に貯留する、項2に記載の次亜塩素酸水の調製装置。
項4.強酸性陽イオン交換樹脂層がカートリッジ内に格納されており、カートリッジは脱着可能である、項3に記載の調製装置。
項5.注入管と採液管と強酸性陽イオン交換樹脂タンクを備えた次亜塩素酸水調製タンクを備え、強酸性陽イオン交換樹脂タンクは、次亜塩素酸水調製タンク内に格納され、前記注入管は前記次亜塩素酸水調製タンクの上部に開口し、採液管の採液口は、強酸性陽イオン交換樹脂タンクの上部に開口し、強酸性陽イオン交換樹脂タンクは、H形強酸性陽イオン交換樹脂層上にNa形強酸性陽イオン交換樹脂層が積層して格納し、次亜塩素酸塩水溶液は、前記注入管から次亜塩素酸水調製タンク内であって、かつ強酸性陽イオン交換樹脂タンクの外側に注入され、強酸性陽イオン交換樹脂タンクの底部から強酸性陽イオン交換樹脂タンク内に流入し、調製された次亜塩素酸水は採液管の採液口から次亜塩素酸水調製タンク外に排出される、次亜塩素酸水の調製装置。
【発明の効果】
【0008】
より安全な次亜塩素酸水の調製方法、及び/又は次亜塩素酸水の調製装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】H形強酸性陽イオン交換樹脂とNa型強酸性陽イオン交換樹脂を用いた次亜塩素酸水の調製の模式図を示す。
【
図2】(A)調製装置1の構成例を示す。(B)調製装置2の構成例を示す。
【
図4】次亜塩素酸水調製タンク57の構成例を示す。
【
図5】調製装置1を用いて、亜塩素酸水を調製した際の、1L毎のpHを示す。
【
図6】調製装置5を用いて次亜塩素酸水を調製した際の、50L毎のpHを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.H形強酸性陽イオン交換樹脂とNa型強酸性陽イオン交換樹脂を用いた次亜塩素酸水の調製
1-1.概要
本発明のある実施形態は、水素イオン形(H形)強酸性陽イオン交換樹脂とナトリウムイオン形(Na形)強酸性陽イオン交換樹脂を用いた次亜塩素酸水の調製に関する。
【0011】
H形強酸性陽イオン交換樹脂は、水溶液中の陽イオンの全部、又は一部を水素イオンに置換する強酸性陽イオン交換樹脂を意図する。また、Na形強酸性陽イオン交換樹脂は、溶液中の陽イオンの全部、又は一部をナトリウムイオンに置換する強酸性陽イオン交換樹脂を意図する。
【0012】
本実施形態における次亜塩素酸水の調製方法は、次亜塩素酸塩水溶液をH形強酸性陽イオン交換樹脂層に通過させ、その通過液をNa形強酸性陽イオン交換樹脂層に通過させることを含む。本実施形態の模式図を
図1に示す。
【0013】
イオン交換法とは次亜塩素酸塩XClO(ここで、Xは水素以外の陽イオン)を水で希釈し、水中でX+とClO-に解離し、X+を陽イオン交換樹脂でH+に交換し、次亜塩素酸(HClO)水を製造する手法である。
【0014】
HClOはClO-に対して約80倍の殺菌効果があるとされており、次亜塩素酸水の質を向上させるためには、水溶液中のHClO存在比率を増加させる必要がある。水溶液中のHClO存在比率はpHに依存し、pH9で約5%、pH7で約75%、pH5で約100%と報告されている。一般的に、次亜塩素酸ナトリウムを水道水で200ppmに希釈するとpH9前後になると言われている。水道水で次亜塩素酸ナトリウムを希釈した際に希釈液に含まれる主なイオンは以下の通りである。
陽イオン:Na+、Ca2+、Mg2+、Fe2+
陰イオン:Cl-、SO4
2-、NO3
2-、ClO-
【0015】
本実施形態では、H形強酸性陽イオン交換樹脂層を通過した通過液を通過後すぐにNa形強酸性陽イオン交換樹脂層に通過させ、水中のH+をNa+にある程度交換する事でpHの低下を抑える。このため、H形強酸性陽イオン交換樹脂層はNa形強酸性陽イオン交換樹脂層上に積層されていることが好ましい。
【0016】
一般的に、強酸性陽イオン交換樹脂は粒状構造、繊維状構造、又は液状構造をとっているため、ある程度の厚みを持って配置されるように、例えばタンク等の槽内の底部に層状に詰めることが好ましい。本明細書において、このように、層状に詰められた強酸性陽イオン交換樹脂の層を強酸性陽イオン交換樹脂層と呼ぶ。
【0017】
H形強酸性陽イオン交換樹脂としては、一般的なスルホン酸が交換基となっているものを使用することができる。より具体的には、ダイヤイオン(商標)SK1BH(三菱ケミカル株式会社、デュオライト(商標)C20LFH(住化ケムテックス株式会社)、アンバーライト(商標)IR-120 H形(メルク株式会社)、PSF-003-H(株式会社オスモ)、等を挙げることができる。
Na形強酸性陽イオン交換樹脂としては、一般的なスルホン酸が交換基となっているものを使用することができる。より具体的には、ダイヤイオン(商標)SK1B(三菱ケミカル株式会社、デュオライト(商標)C20(住化ケムテックス株式会社)、アンバーライト(商標)IR-120 Na形(メルク株式会社)、PSF-003-Na(株式会社オスモ)等を挙げることができる。
【0018】
H形強酸性陽イオン交換樹脂に対する、Na形強酸性陽イオン交換樹脂の比率は、H形強酸性陽イオン交換樹脂1重量部に対して、Na形強酸性陽イオン交換樹脂0.5重量部~2重量部程度である。槽内の底部につめる強酸性陽イオン交換樹脂全体の重量は、槽の容量1Lに対して、120g~300g程度である。
【0019】
次亜塩素酸の原料と指定使用される次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム又は次亜塩素酸カルシウムであり、好ましくは次亜塩素酸ナトリウムである。
【0020】
原料となる次亜塩素酸塩水溶中の次亜塩素酸塩の濃度は、30ppm~1,000ppm程度である。
【0021】
次亜塩素酸水の調製は、室温(0℃~40℃程度)で行うことが好ましい。
本項において説明した用語は、以下の説明にも援用する。
【0022】
1-2.次亜塩素酸水の調製装置1,5
(1)実施形態1
本発明のある実施形態は、Na形強酸性陽イオン交換樹脂層の上にH形強酸性陽イオン交換樹脂層を積層した強酸性陽イオン交換樹脂層を備える、次亜塩素酸水の調製装置1に関する。
【0023】
本実施形態の調製装置1は、卓上等に設置可能なポット型の形状を備える。
図2に実施形態1の調製装置1の構造を示す。
【0024】
図2(A)に示す調製装置1は、内槽11と、外槽14と、注ぎ口13と、カートリッジ12を備える。カートリッジ12内には、H形強酸性陽イオン交換樹脂層12aとNa形強酸性陽イオン交換樹脂層12bを備える。H形強酸性陽イオン交換樹脂層12aはNa形強酸性陽イオン交換樹脂層12bの上に実質的に混ざり合わないように積層されている。必要に応じて、H形強酸性陽イオン交換樹脂層12aとNa形強酸性陽イオン交換樹脂層12bの間にフィルター等の仕切りを設けてもよい。
【0025】
原料である次亜塩素酸塩水溶液は内槽11内に注がれ、カートリッジ12内を通過する際に、次亜塩素酸塩が次亜塩素酸に変わる。調製された次亜塩素酸水は、外槽14内に貯留する。調製装置1は、注ぎ口13の方向を下方に向けて傾けると、外槽14内に貯留した次亜塩素酸水を排出することができる。
【0026】
図2(B)に示す調製装置2は、内槽21と、外槽24と、採液管23と、カートリッジ22を備える。カートリッジ22内には、H形強酸性陽イオン交換樹脂層22aとNa形強酸性陽イオン交換樹脂層22bを備える。カートリッジ22内の構造は、カートリッジ12と同様である。
【0027】
原料である次亜塩素酸塩水溶液は内槽21内に注がれ、カートリッジ22内を通過する際に、次亜塩素酸塩が次亜塩素酸に変わる。調製された次亜塩素酸水は、外槽24内に貯留する。採液管23の先にはコックが備えられており、コックを開くことにより外槽14内に貯留した次亜塩素酸水が排出される。
カートリッジを1Lの水溶液の水溶液が通過する時間は、120秒~360秒程度である。
【0028】
(2)実施形態2
実施形態1では、卓上型の調製装置1について説明した。本発明のある実施形態は、次亜塩素酸水を量産可能な調製装置5に関する。
【0029】
図3に調製装置5の構造を示す。調製装置5は、給水装置51と次亜塩素酸塩原液供給装置52と、次亜塩素酸塩水溶液調製装置55と、次亜塩素酸水調製タンク57とを備える。給水装置51は、水道の蛇口等であってもよい。給水装置51と次亜塩素酸塩水溶液調製装置55は給水管53で接続されている。次亜塩素酸塩原液供給装置52と次亜塩素酸塩水溶液調製装置55とは供給管54により接続されている。給水装置51は給水管53を通して次亜塩素酸塩水溶液調製装置55に水を供給し、次亜塩素酸塩原液供給装置52は供給管54を通して次亜塩素酸塩水溶液調製装置55に次亜塩素酸塩原液(1%~20%の次亜塩素酸塩を含む)を供給する。次亜塩素酸塩水溶液調製装置55は、水と次亜塩素酸塩原液を混合し、次亜塩素酸塩水溶液を調製する。次亜塩素酸塩水溶液調製装置55内で調製された次亜塩素酸塩水溶液は注入管56を通して次亜塩素酸水調製タンク57に供給される。次亜塩素酸水調製タンク57内で調製された次亜塩素酸水は採液管58から排出される。図示していないが、採液管58の先端にはコックが備えられており、コックを開けることにより排液口59から次亜塩素酸水を採取できる。このような構造を有する次亜塩素酸塩水溶液調製装置55として、例えば、非特許文献1に記載の装置を例示できる。
【0030】
図4に、次亜塩素酸水調製タンク57内の構造を示す。次亜塩素酸水調製タンク57内には、強酸性陽イオン交換樹脂を格納する強酸性陽イオン交換樹脂タンク65が格納されている。強酸性陽イオン交換樹脂タンク65の底部65aの全部、又は一部は流体が通過でき、かつ強酸性陽イオン交換樹脂タンク65内のイオン交換樹脂が通過しないメッシュ構造となっている。強酸性陽イオン交換樹脂タンクの底部65a以外の側壁、及び上部(採液口60を除く)は流体が通過しないようになっている。強酸性陽イオン交換樹脂タンク65は、次亜塩素酸水調製タンク57内の支持体68上に設置され、強酸性陽イオン交換樹脂タンク65の底部65aからの流体の流れを妨げないよう、強酸性陽イオン交換樹脂タンク65が、次亜塩素酸水調製タンク57の底部に接しない構造となっている。強酸性陽イオン交換樹脂タンク65には、H形強酸性陽イオン交換樹脂層71とNa形強酸性陽イオン交換樹脂層72が格納されている。Na形強酸性陽イオン交換樹脂層72はH形強酸性陽イオン交換樹脂層71の上に積層されている。これらの強酸性陽イオン交換樹脂層は流体の流れによって両者が混じり合わないように強酸性陽イオン交換樹脂タンク65内の全体に充満するように充填されている。注入管56は、次亜塩素酸水調製タンク57の上部に開口する。また、採液管58の採液口60は、強酸性陽イオン交換樹脂タンク65の上部に開口している。次亜塩素酸塩水溶液調製装置55から注入管56を通って供給された次亜塩素酸塩水溶液が次亜塩素酸水調製タンク57内の強酸性陽イオン交換樹脂タンク65の外側に充填されると、次亜塩素酸塩水溶液は、強酸性陽イオン交換樹脂タンク65の底部65aから強酸性陽イオン交換樹脂タンク65内に流入し、H形強酸性陽イオン交換樹脂層71を通ってNa形強酸性陽イオン交換樹脂層72に至り、この間に次亜塩素酸塩が次亜塩素酸に変化する。次亜塩素酸水は、採液口60から採取され、採液管58を通って、次亜塩素酸水調製タンク57外に排出される。
次亜塩素酸水調製タンク57内を水溶液が通過する流速は、6L/min~20L/min程度である。
【0031】
次亜塩素酸水の調製中は、次亜塩素酸水調製タンク57は常に次亜塩素酸塩水溶液によって満たされている。
【0032】
2.効果の検証
(1)調製装置1
卓上型の調製装置1を用いて次亜塩素酸水を調製した際の、1L毎のpHを示す。H形強酸性陽イオン交換樹脂として、PSF-003-H(株式会社オスモ)を、Na形強酸性陽イオン交換樹脂として、PSF-003-Na(株式会社オスモ)を使用した。従来法として、H形強酸性陽イオン交換樹脂のみを調製装置1のカートリッジ12内に配置した調製装置を作製し、同様に次亜塩素酸水を調製し、卓上型の調製装置1によって調製された次亜塩素酸水とpHを比較した。カートリッジを通過する次亜塩素酸ナトリウム水の流速は210秒から270秒/Lであった。結果を
図5に示す。従来法では次亜塩素酸水のpHは、イオン交換樹脂が劣化する32LまでほぼpH4.0を下回っていたが、卓上型の調製装置1では、次亜塩素酸水の調製中にpH4.5を下回ることはなかった。
【0033】
(2)調製装置5
調製装置5を用いて次亜塩素酸水を調製した際の、50L毎のpHを示す。従来法として、H形強酸性陽イオン交換樹脂のみを調製装置5の次亜塩素酸水調製タンク57内に配置した調製装置を作製し、同様に次亜塩素酸水を調製し、調製装置5によって調製された次亜塩素酸水とpHを比較した。次亜塩素酸水調製タンク内に流す次亜塩素酸ナトリウムの通水速度は、流速11L/mLとした。結果を
図6に示す。従来法では次亜塩素酸水のpHは、イオン交換樹脂が劣化する500LまでほぼpH4.0を下回っていたが、卓上型の調製装置1では、次亜塩素酸水の調製中にpH5.0を下回ることはなかった。
【0034】
以上の結果から、本発明の次亜塩素酸水の調製方法、及び調製装置1,5は、いずれも次亜塩素酸水を精製中に、従来法よりも高いpHを維持できることが示された。