(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055441
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】接合構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240411BHJP
E04B 1/61 20060101ALI20240411BHJP
E04F 15/02 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
E04F13/08 M
E04B1/61 502N
E04F15/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162371
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】深町 勝明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 かほり
【テーマコード(参考)】
2E110
2E125
2E220
【Fターム(参考)】
2E110AA41
2E110AB03
2E110AB04
2E110AB05
2E110AB23
2E110CC04
2E110DA03
2E110DA09
2E110DB23
2E110DC12
2E110GA33W
2E110GB43W
2E110GB62W
2E125AA53
2E125AD07
2E125AE11
2E125AE15
2E125AE16
2E125AF04
2E125AG07
2E125AG21
2E125EA01
2E220AA51
2E220DA12
2E220DA19
2E220DB03
2E220DB06
2E220FA13
2E220GA25X
2E220GB33X
2E220GB43X
2E220GB47X
(57)【要約】
【課題】一方の建築板の一端部の上側凸部が、他方の建築板の他端部の上側凹部において適切な位置に配置されていることを容易に確認可能な接合構造を提供すること。
【解決手段】接合部における、一の建築板1-1の一端部の上側凸部11と、他の建築板1-2の他端部の上側凹部37とによって、接合部に溝371が形成され、一端部の上側凸部11の下面に対向する他端部の下側凸部36の上面の部分には、固定部材Sを配置させるための固定部材用溝365が形成されている接合構造である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する建築板の端部同士が接合される接合構造であって、
前記建築板の端部は、上側凸部と下側凹部とを有する一端部と、上側凹部と下側凸部とを有する他端部とを含み、
一の前記建築板の前記一端部の上側凸部が、他の前記建築板の前記他端部の上側凹部に嵌合するとともに、他の前記建築板の前記他端部の下側凸部が一の前記建築板の前記一端部の下側凹部に嵌合し、前記一端部の上側凸部の下面と前記他端部の下側凸部の上面とが当接して相じゃくりされて接合部が構成され、
前記接合部における、一の前記建築板の前記一端部の上側凸部と、他の前記建築板の前記他端部の前記上側凹部とによって、前記接合部に溝が形成され、
前記一端部の上側凸部の下面に対向する前記他端部の下側凸部の上面の部分には、固定部材を配置させるための固定部材用溝が形成されている接合構造。
【請求項2】
前記固定部材用溝の全体は、前記一端部の上側凸部によって覆われて隠される位置に配置されている請求項1に記載の接合構造。
【請求項3】
前記一端部の下側凹部を形成する前記一端部の端面は、下側へ向かうにつれて前記建築板の中央部から離れるように傾斜する一端部側傾斜面を有し、
前記他端部の下側凸部の先端を形成する前記他端部の端面は、下側へ向かうにつれて前記建築板の中央部に近付くように傾斜する他端部側傾斜面を有し、
前記一端部側傾斜面と前記他端部側傾斜面とは、一の前記建築板の前記一端部の上側凸部の下面と、他の前記建築板の前記他端部の下側凸部の上面と、が当接して相じゃくりされたときに、当接し合う請求項1に記載の接合構造。
【請求項4】
前記固定部材としてはフィニッシュネイラーにより打ち込まれるフィニッシュネイルが用いられ、
前記固定部材用溝には、前記フィニッシュネイルの頭部が配置される請求項1又は請求項2に記載の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
隣接する建築板の端部同士が接合される接合構造としては、例えば、相じゃくりされて接合される接合構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成では、一方の建築板の一端部の上側凸部と他方の建築板の他端部の上側凹部とが嵌合し合うことにより一方の建築板と他方の建築板とが接合される。これに対して、一方の建築板の一端部の上側凸部が、他方の建築板の他端部の上側凹部に完全に嵌合せずに、部分的に嵌合させて隙間(溝)を形成させる場合が考えられる。このような場合には、一方の建築板の一端部の上側凸部が、他方の建築板の他端部の上側凹部において適切な位置に配置されているか否かを、確認することが容易ではなかった。
【0005】
本開示は、一方の建築板の一端部の上側凸部が、他方の建築板の他端部の上側凹部において適切な位置に配置されていることを容易に確認可能な接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、隣接する建築板の端部同士が接合される接合構造であって、前記建築板の端部は、上側凸部と下側凹部とを有する一端部と、上側凹部と下側凸部とを有する他端部とを含み、一の前記建築板の前記一端部の上側凸部が、他の前記建築板の前記他端部の上側凹部に嵌合するとともに、他の前記建築板の前記他端部の下側凸部が一の前記建築板の前記一端部の下側凹部に嵌合し、前記一端部の上側凸部の下面と前記他端部の下側凸部の上面とが当接して相じゃくりされて接合部が構成され、前記接合部における、一の前記建築板の前記一端部の上側凸部と、他の前記建築板の前記他端部の前記上側凹部とによって、前記接合部に溝が形成され、前記一端部の上側凸部の下面に対向する前記他端部の下側凸部の上面の部分には、固定部材を配置させるための固定部材用溝が形成されている接合構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の接合構造により接合される建築板を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態の接合構造により接合される建築板の一端部を示す側面図である。
【
図3】第1実施形態の接合構造により接合される建築板の他端部を示す側面図である。
【
図4】第1実施形態の接合構造により接合される一の建築板の一端部を、他の建築板の他端部に嵌合させた様子を示す側面図である。
【
図5】第1実施形態の接合構造により接合される一の建築板の一端部が、他の建築板の他端部に対して適切な位置に嵌合させられていない様子を示す側面図である。
【
図6】第2実施形態の接合構造により接合される建築板に形成される固定部材用溝を示す説明図である。
【
図7】第3実施形態の接合構造により接合される建築板に形成される固定部材用溝を示す説明図である。
【
図8】第4実施形態の接合構造により接合される建築板に形成される固定部材用溝を示す説明図である。
【
図9】本実施形態の変形例の接合構造により接合される一の建築板の一端部を、他の建築板の他端部に嵌合させた様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態における接合構造は、隣接する建築板1の端部同士、即ち、一端部と他端部とが相じゃくりされて接合されて実(さね)の部分である接合部が構成される接合構造である。以下の説明においては、
図1における建築板1の下面から上面へ向かう方向を上方向と定義し、その反対を下方向と定義する。
【0009】
本実施形態における建築板1は、室内の壁や床や天井に配置されてフィニッシュネイル(仕上釘)等により壁や床に固定され、壁や床の意匠性を高めるために用いられるインテリアパネルである。建築板1は、MDF(ミディアム デンシティ ファイバーボード)や、杢板や、ポリプロピレンやポリエチレン等からなる硬質樹脂板等により構成され、建築板1の厚さは、例えば5.5mm程度である。
【0010】
建築板1の上面の略全面には、シート2が張り付けられている。より具体的には、シート2は、建築板1の上面の全面であって、建築板1の一端部においては、後述の上側凸部11の上面から一端部側上部傾斜面111の全面を覆い、後述の固定部材用溝365に対向する上側凸部11の下面113の部分に至るまで設けられており、また、建築板1の他端部においては、後述の下側凸部36の他端部の上面363の端縁に至るまで、設けられている。
【0011】
建築板1の一端部及び他端部には、相じゃくり加工が施されている。具体的には、
図1等に示すように、建築板1は、上部10と下部30とを有している。上部10は、建築板1の一端部において、建築板1の外方(
図1における左方向)へ突出する上側凸部11を有している。上側凸部11の突出端部における端面は、
図2に示すように、下側へ向かうにつれて建築板1の一端部から離れるように、即ち、下側へ向かうにつれて
図2の左方向へ向かうように傾斜する一端部側上部傾斜面111により構成されている。
【0012】
上側凸部11が上部10の一端部において突出しているため、上側凸部11の下側の部分には、相対的に建築板1の中央に向かって、即ち、
図1、
図2において右側へ向かって窪んだ下側凹部12が形成されている。下側凹部12を形成する下部30の端面は、
図2に示すように、下側へ向かうにつれて建築板1の中央部から離れるように、即ち、下側へ向かうにつれて
図2の左方向へ向かうように傾斜する一端部側傾斜面311により構成されている。下部30の下面313と一端部側傾斜面311とのなす鋭角は、上部10の下面113と一端部側上部傾斜面111とのなす鋭角よりも、小さい角度で形成されている。
【0013】
下部30は、建築板1の他端部において、建築板1の外方(
図1における右方向)へ突出する下側凸部36を有している。下側凸部36の突出端部における端面は、
図3に示すように、下側へ向かうにつれて建築板1の中央部に近付くように、即ち、下側へ向かうにつれて
図3の左方向へ向かうように傾斜する他端部側傾斜面361により構成されている。下部30の上面363と他端部側傾斜面361とのなす鋭角は、下部30の下面313と一端部側傾斜面311とのなす鋭角とは等しい角度で形成されている。
【0014】
下側凸部36が下部30の一端部において突出しているため、下側凸部36の上側の部分は、相対的に建築板1の中央に向かって、即ち、
図1、
図3において左側へ向かって窪んだ空間を形成する上側凹部37を有している。上側凹部37を形成する上部10の端面は、
図3に示すように、下側へ向かうにつれて建築板1の一端部から離れるように、即ち、下側へ向かうにつれて
図3の右方向へ向かうように傾斜する他端部側上部傾斜面161により構成されている。
【0015】
後述(
図4等を参照)のように、一の建築板1-1の一端部の上側凸部11の下面113に当接される他の建築板1-2の他端部の下側凸部36の上面363の部分には、フィニッシュネイラーにより打たれる固定部材としてのフィニッシュネイルSを配置させるための固定部材用溝365が形成されている。固定部材用溝365の全体は、
図4においてAで示す範囲内、即ち、上側凸部11の先端112から、下部30の下面313と他端部側傾斜面361との接続点362までの間の範囲内に収まるように配置されている。この範囲内の位置は、固定部材用溝365が、一の建築板1-1の一端部の上側凸部11によって覆われて隠される位置である。Aで示す範囲よりも
図4における右側に固定部材用溝365が配置されると、フィニッシュネイルSが傾斜面361に打たれ、一の建築板1-1の傾斜面311と他の建築板1-2の傾斜面361とが確実に接合されない施工不良となる虞がある。Aで示す範囲に固定部材用溝365を配置することで、このような施工不良を抑制でき、一の建築板1-1の傾斜面311と他の建築板1-2の傾斜面361とを確実に当接させて接合させることができる。固定部材用溝365は、
図3等に示すように、建築板1の長手方向に直交する方向である幅方向で見た断面にV字形状に形成されている。
【0016】
固定部材用溝365の深さは、フィニッシュネイルSの頭部を、固定部材用溝365の上端から突出しない状態で収容できる深さであることが好ましい。固定部材用溝365において、フィニッシュネイルSの頭部が固定部材用溝365の上端から突出していない状態として、フィニッシュネイルSの頭部が一の建築板1-1に当接して一の建築板1-1と他の建築板1-2とが確実に接合されない施工不良が発生することを抑制するためである。固定部材用溝365の深さは、0.5mm以上が好ましい。0.5mm未満の場合には、視認しにくいためである。また、固定部材用溝365の深さは、下側凸部36の厚さの1/3以下であることが好ましい。下側凸部36の厚さの1/3を超えると、下側凸部36が破損しやすくなることが考えられるためである。固定部材用溝365の上端の開口幅は、施工者(作業者)が視認しやすい開口幅であることが好ましい。例えば、固定部材用溝365の深さが0.5mmのときに、固定部材用溝365の上端の開口幅が0.5mm未満の場合には、開口幅が小さすぎて固定部材用溝365が視認しにくく、また、開口幅が5mmを超える場合には、V字形状の固定部材用溝365の側面の傾斜が水平に近くなり、固定部材用溝365が視認しにくいためである。
【0017】
固定部材用溝365には、
図4等に示すように、建築板1を壁や床に固定するために、フィニッシュネイルSがフィニッシュネイラーにより垂直下向きに打ち込まれて、フィニッシュネイルSの頭部が、固定部材用溝365に配置されて嵌った状態とされる。これにより、建築板1を壁や床に確実に固定することが可能となる。
【0018】
次に、一の建築板1-1の一端部が、他の建築板1-2の他端部に接合されて構成される接合部の接合構造について説明する。他の建築板1-2の他端部の下部30の下面313は、図示しない床等に接着剤により固定されている。また、他の建築板1-2の他端部の下部30の上面363の固定部材用溝365には、フィニッシュネイラーによりフィニッシュネイルSが打たれており、他の建築板1-2の他端部の下部30は、フィニッシュネイルSにより図示しない床等に固定されている。
【0019】
一の建築板1-1の一端部は、前述のように他の建築板1-2が図示しない床等に固定された後に、建築板1-2の他端部に接合されて接合部の接合構造が構成されている。即ち、一の建築板1-1は、他の建築板1-2が図示しない床等に固定された後に、他の建築板1-2の下側凸部36が一の建築板1-1の下側凹部12に嵌められるように、他の建築板1-2に対して、図示しない床等に摺動させられて近づけられてゆく。このとき、建築板1-1の下部30の下面313には、予め接着剤が塗布されており、この状態で建築板1-1の下部30の下面313は、図示しない床等に対して摺動される。そして、他端部側傾斜面361に一端部側傾斜面311が当接したときに、摺動が停止され、この状態で、一の建築板1-1の一端部の下部30の下面313は、図示しない床等に接着剤により固定される。これにより、一の建築板1-1の一端部の上側凸部11の下面113と、他の建築板1-2の他端部の下側凸部36の上面363と、が当接して相じゃくりされた状態となる。この後に、一の建築板1-1の他端部の下部30の上面363の固定部材用溝365には、フィニッシュネイラーによりフィニッシュネイルSが打たれ、一の建築板1-1の他端部の下部30は、フィニッシュネイルSにより図示しない床等に固定される。
【0020】
このように、一の建築板1-1及び他の建築板1-2が図示しない床等に固定されたときには、他の建築板1-2の固定部材用溝365及びフィニッシュネイルSは、
図4に示すように、一の建築板1-1の上側凸部11に覆われた状態となっているため、一の建築板1-1及び他の建築板1-2の外方からは見えない状態となっている。このため、固定部材用溝365やフィニッシュネイルSにより意匠性が損なわれることを回避することが可能となる。
【0021】
また、他端部側傾斜面361に一端部側傾斜面311が当接していない施工不良の場合には、
図5に示すように、固定部材用溝365やフィニッシュネイルSが、一の建築板1-1及び他の建築板1-2の外方から見える状態となる。このため、固定部材用溝365が形成されていることにより、他端部側傾斜面361に一端部側上部傾斜面111が当接しておらず、一の建築板1-1と他の建築板1-2とが確実に接合されていない施工不良の状態を、目視により、容易に確認することが可能となる。
【0022】
また、他端部側傾斜面361に一端部側傾斜面311が当接している構成としたため、一の建築板1-1の一端部と他の建築板1-2の他端部との接合が外れないような互いに係合し合う構成とすることが可能となり、強固な接合構造とすることが可能となる。
【0023】
また、一の建築板1-1の一端部の上側凸部11と、他の建築板1-2の他端部の上側凹部37とによって溝371が形成されている。より具体的には、一の建築板1-1の上側凸部11の一端部側上部傾斜面111と、他の建築板1-2の他端部の下部30の上面363と、他の建築板1-2の他端部側上部傾斜面161とによって取り囲まれるようにして、
図4等に示すように、溝371が形成されている。このため、意匠性を高めることが可能となる。
【0024】
次に、本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、固定部材用溝365Aの形状が第1実施形態による固定部材用溝365の形状とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同様のため、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0025】
図6に示すように、建築板1Aの固定部材用溝365Aは、半円形状に形成されており、フィニッシュネイルを打ち出すフィニッシュネイラーの先端部Tを挿入可能な大きさで形成されている。このため、比較的暗い場所で施工を行う場合であっても、フィニッシュネイラーの先端部Tを容易に固定部材用溝365Aに挿入した状態とすることができ、この状態でフィニッシュネイルを打ち込むことが可能となり、この結果、高い精度でフィニッシュネイルを打ち込むことが可能となる。
【0026】
次に、本開示の第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、固定部材用溝365Bの形状が第1実施形態による固定部材用溝365の形状とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同様のため、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
図7に示すように、建築板1Bの固定部材用溝365Bは、上面から一段下がった底面3651Bと、この間を結ぶ傾斜面3652Bとにより形成されている。このため、比較的暗い場所で施工を行う場合であっても、フィニッシュネイラーの先端部Tを底面3651Bに当接させた状態で摺動させて、フィニッシュネイラーの先端部Tが傾斜面3652Bに当接した位置でフィニッシュネイルを打ち込むことにより、高い精度でフィニッシュネイルを打ち込むことが可能となる。
【0028】
次に、本開示の第4実施形態について説明する。第4実施形態においては、固定部材用溝365Cの形状が第1実施形態による固定部材用溝365Cの形状とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同様のため、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
図8に示すように、建築板1Cの固定部材用溝365Cは、上面から一段下がった底面3651Cと、この間を結ぶ垂直面3652Cとにより形成されている。このため、比較的暗い場所で施工を行う場合であっても、フィニッシュネイラーの先端部Tを底面3651Cに当接させた状態で摺動させて、フィニッシュネイラーの先端部Tが垂直面3652Cに当接した位置でフィニッシュネイルを打ち込むことにより、高い精度でフィニッシュネイルを打ち込むことが可能となる。フィニッシュネイラーの先端部Tが垂直面3652Cに当接した際には、傾斜面ではなく垂直面3652Cにフィニッシュネイラーの先端部Tが当接するため、当接した状態が分かりやすく、当接した状態を外れにくくすることが可能となる。
【0030】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0031】
例えば、本実施形態では、上側凸部、下側凹部の構成は、上側凸部11、下側凸部36等により構成されたが、これらに限定されない。また、固定部材用溝365等には、フィニッシュネイラーによりフィニッシュネイルが打ち込まれたが、これに限定されない。例えば、固定部材用溝には、釘打機により釘が打ち込まれてもよく、フィニッシュネイラー、釘打機の動力源は、コンプレッサから供給される空気や、燃焼式のガス、電気モータによって蓄圧された空気、電気モータにより圧縮されたバネ力等が用いられてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、下部30の下面313と一端部側傾斜面311とのなす鋭角は、上部10の下面113と一端部側上部傾斜面111とのなす鋭角よりも、小さい角度で形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、下部30の下面313と一端部側傾斜面311とのなす鋭角は、上部10の下面113と一端部側上部傾斜面111とのなす鋭角と同等であってもよい。または、下部30の下面313と一端部側傾斜面311とのなす鋭角は、上部10の下面113と一端部側上部傾斜面111とのなす鋭角よりも、大きい角度で形成されていてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、フィニッシュネイラーTによってフィニッシュネイルSが打ち込まれたが、これに限定されない。例えば、タッカーを用いてステープルを打ち込んでもよいし、ビスやネジを打ち込んでもよいし、または、手作業で釘打ちしてもよい。また、フィニッシュネイルS、ステープル、釘等の打ち込みの方向は、垂直下向きに限定されず、斜め方向でもよい。
【0034】
また、本実施形態では、
図9に示すように、建築板1-1Dと建築板1-2とは異なる形態で構成されていてもよい。具体的には、建築板1-1Dの一端部は、建築板1-2の一端部とは異なる形状で構成されている。即ち、一端部側上部傾斜面111Dは、垂直な平坦面により構成されている。また、
図9においては、他端部側傾斜面361及び一端部側傾斜面311Dは、傾斜面により構成されているが、これに限定されず、一端部側上部傾斜面111Dのように、傾斜面ではなく垂直な平坦面により構成されてもよい。また、建築板1-1と建築板1-2とは、異なる材料からなる面材により構成されていてもよい。具体的には、例えば、建築板1-1と建築板1-2とのうちの一方が、MDF等の面材により構成され、他方がタイルにより構成されてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 建築板、11 上側凸部、12 下側凹部、36 下側凸部、37 上側凹部、113 下面、311 一端部側傾斜面、361 他端部側傾斜面、363 上面、365 固定部材用溝、371 溝、S フィニッシュネイル、T フィニッシュネイラー