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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055456
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】成形金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20240411BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B29C45/26
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162398
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】308031108
【氏名又は名称】内浜化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】麻川 正博
(72)【発明者】
【氏名】米山 直樹
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AM32
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK02
4F202CK06
4F202CK86
4F202CK90
4F206AM32
4F206JA07
4F206JL02
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】PL面の端部からPL面に沿って液状樹脂をキャビティに射出する場合でも、射出ユニットから射出する液状樹脂がノズルの押し当て部位から漏れ出す恐れを抑制できる成形金型を提供すること。
【解決手段】成形金型1は、キャビティ30に液状樹脂3を射出する射出ユニット40を第1金型10に取り付け可能に第1金型10に設けられる射出ユニット取付部11と、射出ユニット取付部11に取り付けられた射出ユニット40のノズル42と連通するように第1金型10と第2金型20のPL面Pの端部からPL面Pに沿って備えられた樹脂流路31と、射出ユニット取付部11に取り付けられた射出ユニット40のノズル42と嵌合して第1金型10に支持され、第1金型10と第2金型20の相対的な型締め状態において、第2金型20の側面21と面当たりする端面17bを有するノズル支持部17を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型と第2金型の相対的な型締めにより形成されるキャビティに液状樹脂を射出して樹脂成形品を成形する成形金型であって、
前記キャビティに前記液状樹脂を射出する射出ユニットを前記第1金型に取り付け可能に前記第1金型に設けられる射出ユニット取付部と、
前記射出ユニット取付部に取り付けられた前記射出ユニットのノズルと連通するように前記第1金型と前記第2金型のPL面の端部から前記PL面に沿って備えられた樹脂流路と、
前記射出ユニット取付部に取り付けられた前記射出ユニットの前記ノズルと嵌合して前記第1金型に支持され、前記第1金型と前記第2金型の相対的な型締め状態において、前記第2金型の側面と面当たりする端面を有するノズル支持部と、を備えている成形金型。
【請求項2】
請求項1に記載の成形金型であって、
前記第1金型と前記第2金型の相対的な型締め状態において、前記ノズル支持部と前記第2金型の少なくとも一方に設けられた凸部が少なくとも他方に設けられた凹部に型締め型開き方向に沿って前記凸部と前記凹部が嵌まり込む成形金型。
【請求項3】
請求項1~2のいずれかに記載の成形金型であって、
前記樹脂流路は、前記液状樹脂を攪拌する攪拌部を備えている成形金型。
【請求項4】
請求項3に記載の成形金型であって、
前記攪拌部は、前記樹脂流路に形成された2つの屈曲箇所である成形金型。
【請求項5】
請求項4に記載の成形金型であって、
前記攪拌部のうち前記樹脂流路の屈曲を前記攪拌として使用する場合、前記ノズルの側の前記屈曲箇所は、その屈曲角度が90°である成形金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形金型に関し、詳しくは、2つの金型の相対的な型締めにより形成されるキャビティに液状樹脂を射出して樹脂成形品を成形する成形金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、意匠性の高い樹脂成形品を製造する方法として、2色成形により製造する方法が既に知られている(特許文献1参照)。この2色成形において、例えば、2色目の液状樹脂(以下、単に「液状樹脂」と記す。液状樹脂とは、熱可塑性樹脂が熱で溶けた溶融樹脂の物やRIM成形や熱硬化性樹脂成形が反応前もしくは反応中の状態で液体状態になっている状態の樹脂を含めて液状樹脂とする。)を型締めした状態のPL面の端部からPL面に沿ってキャビティに射出する成形金型が知られている。すなわち、2色目の樹脂流路(以下、単に「樹脂流路」と記す)が型締めした状態のPL面の端部からPL面に沿ってキャビティに連通するように形成されている成形金型が知られている。そのため、成形金型の内部における樹脂流路の流路長を短くできる。したがって、射出する液状樹脂の抵抗を抑制できる。また、射出後に成形金型を型開きすると、樹脂流路の内部で冷却や反応後に硬化した樹脂を除去できる。したがって、液状樹脂として熱硬化性の素材のものも使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-49894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した成形金型では、樹脂流路の入口に対して射出ユニットのノズルを球面合わせで押し当てる構造(以下、「球面合わせ構造」と記す)が考案されている(第1従来技術)。図7に示すように、この球面合わせ構造では、射出ユニット440のノズル442の先端部は半球体状に形成されている。そして、このノズル442の半球体面442aを型締めした成形金型401の樹脂流路431の入口に押し当てるように射出ユニット440を可動させている。そのため、樹脂流路431の入口に対しノズル442の半球体面442aが周方向に線当たりする。したがって、このノズル442の押し当て部位でのシール性が不足することがあった。ゆえに、射出ユニット440から射出した液状樹脂403がノズル442の押し当て部位から漏れ出す恐れがあった。
【0005】
この問題を解決するために、樹脂流路の入口に対して射出ユニットのノズルを平面合わせで押し当てる構造(以下、「平面合わせ構造」と記す)が考案された(第2従来技術)。図8に示すように、この平面合わせ構造では、射出ユニット540のノズル542は円柱状に形成されている。図8では、円柱状になっているが、四角柱等多角形柱状でも構わない。そして、このノズル542の先端面543の上側を成形金型501の樹脂流路531の入口の縁面535の上側に押し当てるようにボルト550を介して射出ユニット540を第1金型510に取り付けている。そのため、成形金型501を型締めすると、樹脂流路531の入口の縁面535とノズル542の先端面543の全てが密着する(面当たりする)。しかし、この考案(平面合わせ構造)では、射出時の液状樹脂503からの反力がノズル542に作用すると、射出ユニット540のノズル542の下側がボルト550を支点に浮き上がる恐れがあった。すなわち、この考案では、射出時の液状樹脂503からの反力がノズル542に作用すると、樹脂流路531の入口の縁面535とノズル542の先端面543の間に隙間が生じる恐れがあった。したがって、この考案であっても、射出ユニット540から射出した液状樹脂503がノズル542の押し当て部位から漏れ出す恐れがあった。これらのノズル442、542の押し当て部位からの液状樹脂403、503の漏れ出しは、低粘度の液状樹脂を使用するとより顕著であった。
【0006】
そこで、PL面の端部からPL面に沿って液状樹脂をキャビティに射出する場合でも、射出ユニットから射出する液状樹脂がノズルの押し当て部位から漏れ出す恐れを抑制できる成形金型が従来必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの特徴によると、成形金型は、第1金型と第2金型の相対的な型締めにより形成されるキャビティに液状樹脂を射出して樹脂成形品を成形する。成形金型は、射出ユニット取付部と樹脂流路とノズル支持部を備えている。射出ユニット取付部は、キャビティに液状樹脂を射出する射出ユニットを第1金型に取り付け可能に第1金型に設けられる。樹脂流路は、射出ユニット取付部に取り付けられた射出ユニットのノズルと連通するように第1金型と第2金型のPL面の端部からPL面に沿って備えられる。ノズル支持部は、射出ユニット取付部に取り付けられた射出ユニットのノズルと嵌合して第1金型に支持され、第1金型と第2金型の相対的な型締め状態において、第2金型の側面と面当たりする端面を有する。
【0008】
そのため、従来技術の平面合わせ構造と比較すると、成形金型の型締め時において、樹脂流路の入口の縁面に対する面当たりの領域が拡大する。したがって、ノズルのシール性が向上する。ゆえに、PL面の端部からPL面に沿って液状樹脂をキャビティに射出する場合でも、射出ユニットから射出する液状樹脂がノズルの押し当て部位から漏れ出す恐れを抑制できる。液状樹脂が低粘度の場合、ノズルの押し当て部位からの漏れ出しをより顕著に抑制できる。
【0009】
本開示の他の特徴によると、第1金型と第2金型の相対的な型締め状態において、ノズル支持部と第2金型の少なくとも一方に設けられた凸部が少なくとも他方に設けられた凹部に型締め型開き方向に沿って凸部と凹部が嵌まり込む。
【0010】
そのため、成形金型の型締め状態において、第1金型と第2金型における幅方向の相対的な移動が規制される。したがって、射出時の液状樹脂からの反力がノズルに作用しても、このノズルを支持しているノズル支持部が成形金型の幅方向に移動することがない。ゆえに、射出ユニットのノズルにおける射出ユニット取付部の反対側の浮き上がりをより抑えることができる。
【0011】
また、本開示の他の特徴によると、金型内の樹脂流路は、液状樹脂を攪拌する攪拌部を備えている。
【0012】
そのため、射出する液状樹脂が樹脂流路の攪拌部(例えば、屈曲箇所、流路径の大小の変化、樹脂流路内の突起の有無、プロペラ等の抵抗物、樹脂流路の分流の抵抗等)により、液状樹脂の反応が促進される(液状樹脂の構成成分が混ざる)。したがって、射出する液状樹脂の混合不良を抑えることができる。
【0013】
また、本開示の他の特徴によると、攪拌部は、樹脂流路に形成された2つの屈曲箇所である。
【0014】
そのため、樹脂流路を屈曲させることにより液状樹脂は攪拌され、液状内の構成成分が混ざりやすい。
【0015】
また、本開示の他の特徴によると、攪拌部のうち樹脂流路の屈曲を攪拌として使用する場合、ノズルの側の屈曲箇所は、その屈曲角度が90°である。
【0016】
そのため、屈曲の度合が比較的に急であるため、樹脂流路の内壁面に当たって促進される液状樹脂の反応の度合いが向上する。また、液状樹脂の攪拌箇所が成形金型内にあることにより、液状樹脂に対する樹脂流路の抵抗が増し、液状樹脂の成形金型と射出ユニットのノズルから漏れやすくなるのだが、本開示の特徴により成形金型と射出ユニットのノズルからの液状樹脂の漏れを抑え込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る成形金型を型開きした状態の縦断面の模式図である。
図2図1において、成形金型に射出ユニットを取り付けた状態を示している。
図3図2において、液状樹脂を射出した状態を示している。
図4】本発明の第2実施形態に係る成形金型において、液状樹脂を射出した状態の模式図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る成形金型において、液状樹脂を射出した状態の模式図である。
図6】本発明の第4実施形態に係る成形金型において、液状樹脂を射出した状態の模式図である。
図7】従来技術に係る成形金型において、球面合わせ構造を説明する縦断面の模式図である(第1従来技術)。
図8】従来技術に係る成形金型において、平面合わせ構造を説明する縦断面の模式図である(第2従来技術)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
第1実施形態を、図1~3を参照して説明する。以下の説明にあたって、上下、左右の向きは、各図における矢印で示す上下、左右の向きを示している。このことは、後述する全ての実施形態において同様である。
【0019】
まず、第1実施形態に係る成形金型1と射出ユニット40を個別に説明する。はじめに、成形金型1から説明する(図1、3参照)。この成形金型1は、2色成形において、2色目の液状樹脂3(以下、単に「液状樹脂3」と記す)を射出するときに使用するものであって、2つの金型(第1金型10、第2金型20)から構成されている(図1参照)。
【0020】
第1金型10は、上側に位置するキャビ型(固定型)であり、第2金型20は、下側に位置するコア型(可動型)である。第2金型20は、プレス装置(図示しない)によって、第1金型10に対して型締め型開き可能(上下に昇降可能)になっている。なお、この説明では、第2金型20には、前工程(液状樹脂3を射出する前の工程)において、既に、1色目の成形された樹脂基材4が形成されている。
【0021】
そのため、成形金型1を型締めすると、これら第1金型10と第2金型20の間に、例えば加飾層(液状樹脂3を硬化させた樹脂層)を成形可能なキャビティ30が形成される(図3参照)。また、成形金型1を型締めすると、後述する射出ユニット40のノズル42から射出される液状樹脂3の樹脂流路31がPL面Pの右端部からPL面Pに沿ってキャビティ30に連通するように形成される。そのため、成形金型1の内部における樹脂流路31の流路長を短くできる。したがって、射出する液状樹脂3の抵抗を抑制できる。
【0022】
樹脂流路31は、上流側である第1樹脂流路32(例えば、ランナー)と下流側である第2樹脂流路33(例えば、ゲート)から構成されている。第1金型10の右側面には、射出ユニット40を取り付け可能な取付面11(射出ユニット取付部)が形成されている。取付面11には、射出ユニット40を取り付けるためのボルト50を螺合可能な取付穴12が形成されている。第1金型10の下面の右部には、補助金型15を取り付けるために切り欠かれた取付部13が形成されている。
【0023】
補助金型15は、ベース体16とノズル支持部17から略逆L字状に形成されている。ベース体16は、第1金型10の取付部13に対応(一致)するように形成されている。ノズル支持部17は、射出ユニット40のノズル42を挿し込み可能に厚み方向に貫通する円柱状の貫通孔17aを備えている。貫通孔17aの内径は、射出ユニット40の円柱状のノズル42と嵌合できるようにノズル42の外径と略同じ若しくは僅かに大きく設定されている。
【0024】
そのため、補助金型15の貫通孔17aにノズル42を挿し込むと、挿し込んだノズル42の外周面を全周に亘ってノズル支持部17が支持する。補助金型15のベース体16は、公知の取付部材(図示しない)を介して第1金型10の取付部13に取り付けられている。成形金型1の型締め状態において、ノズル支持部17の左側面である端面17bは、第2金型20の右側の側面21と対向する。この端面17bと側面21は、成形金型1の型締め型開き時に互いが摺動する。
【0025】
この摺動方向L1と成形金型1の型締め型開き方向L2(上下の昇降方向)の間は、第1所定角度a(例えば、10°)を有している。そのため、第1所定角度aを有していない場合(第1所定角度aが0°の場合)と比較すると、成形金型1の型締め時にカジリ(補助金型15のノズル支持部17の縁と第2金型20の縁の干渉)が生じることを防止できる。成形金型1は、このように構成されている。
【0026】
次に、射出ユニット40を説明する(図2参照)。射出ユニット40は、射出ユニット本体41と、液状樹脂3を射出するノズル42を備えている。ノズル42は、既に説明したように、円柱状に形成されている。射出ユニット40の射出ユニット本体41は、ノズル42が補助金型15の貫通孔17aに挿し込まれた嵌合状態で第1金型10の取付面11にボルト50による螺合を介して取り付けられている。
【0027】
このとき、従来技術の平面合わせ構造の説明と同様に、ノズル42の先端面43の上側を成形金型1の樹脂流路31の入口の縁面35に押し当てている。そのため、成形金型1を型締めすると、樹脂流路31の入口の縁面35とノズル42の先端面43の全てが密着する(面当たりする)。また、挿し込んだノズル42の先端面43とノズル支持部17の端面17bは、面一となっている。そのため、成形金型1を型締めすると、樹脂流路31の入口の縁面35とノズル支持部17の端面17bも密着する(面当たりする)。
【0028】
したがって、従来技術の平面合わせ構造と比較すると、成形金型1の型締め時において、樹脂流路31の入口の縁面35に対する面当たりの領域が拡大する。もちろん、取り付けた射出ユニット40のノズル42と型締めした成形金型1の樹脂流路31の入口は連通する。そのため、射出ユニット40から成形金型1の樹脂流路31に液状樹脂3を射出できる。射出ユニット40は、このように構成されている。
【0029】
続いて、上述した成形金型1と射出ユニット40の動作を説明する(図2~3参照)。まず、成形金型1を型締めする作業を行う。次に、射出ユニット40から液状樹脂3を射出する作業を行う。すると、液状樹脂3が樹脂流路31(第1樹脂流路32、第2樹脂流路33)を介してキャビティ30に充填される。次に、キャビティ30に充填させた液状樹脂3を硬化させる作業を行う。これにより、2色成形品5(樹脂成形品)が出来上がる。最後に、成形金型1を型開きして、出来上がった2色成形品5を取り出す作業を行う。その際、樹脂流路31に残った樹脂(樹脂流路31において液状樹脂3を硬化させたもの)も取り出すことができる。
【0030】
本発明の第1実施形態に係る成形金型1は、上述したように構成されている。この構成によれば、成形金型1は、第1金型10に取り付けた射出ユニット40のノズル42と嵌合して支持するノズル支持部17を備えている。また、成形金型1を型締めすると、樹脂流路31の入口の縁面35とノズル支持部17の端面17bも密着する(面当たりする)。そのため、従来技術の平面合わせ構造と比較すると、成形金型1の型締め時において、樹脂流路31の入口の縁面35に対する面当たりの領域が拡大する。したがって、ノズル42のシール性が向上する。ゆえに、PL面Pの端部からPL面Pに沿って液状樹脂3をキャビティ30に射出する場合でも、射出ユニット40から射出する液状樹脂3がノズル42の押し当て部位から漏れ出す恐れを抑制できる。液状樹脂3が低粘度の場合、ノズル42の押し当て部位からの漏れ出しをより顕著に抑制できる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を、図4を参照して説明する。この第2実施形態は、既に説明した第1実施形態と比較すると、ボルト50を支点とした射出ユニット40のノズル42の下側の浮き上がりをより抑えることができる形態である。なお、第1実施形態で説明した部材と同一もしくは均等な構成の部材には、同一の符号を付すことで重複する説明を省略する。このことは、後述する全ての実施形態において同様である。
【0032】
第2実施形態の成形金型101では、補助金型15のノズル支持部17の先端(下端)に凸部18が形成されている。凸部18は、下方に向けて先細り状に形成されている。また、成形金型101の第2金型20の側面21には、ノズル支持部17の凸部18が嵌まり込み可能な凹部22が形成されている。成形金型101の型締め状態において、これら凸部18が凹部22に成形金型1の型締め型開き方向L2に沿って嵌まり込む。
【0033】
そのため、この成形金型101の型締め状態において、射出ユニット40(ノズル42)が第1金型10と第2金型20における左右方向の相対的な移動が規制される。なお、凸部18の嵌まり込みの際、上述したように、凸部18は下方に向けて先細り状に形成されているため、凹部22に対する嵌まり込みがスムーズなものとなる。成形金型101は、このように構成されている。
【0034】
本発明の第2実施形態に係る成形金型101は、上述したように構成されている。この構成によれば、成形金型101では、補助金型15のノズル支持部17の先端(下端)に凸部18が形成されている。また、成形金型101の第2金型20の側面21には、ノズル支持部17の凸部18が嵌まり込み可能な凹部22が形成されている。成形金型101の型締め状態において、これら凸部18が凹部22に成形金型1の型締め型開き方向L2に沿って凸部18と凹部22が嵌まり込む。そのため、この成形金型101の型締め状態において、第1金型10と第2金型20における左右方向の相対的な移動が規制される。したがって、射出時の液状樹脂3からの反力がノズル42に作用しても、このノズル42を支持しているノズル支持部17が左右方向に移動することがない。ゆえに、PL面Pの端部からPL面Pに沿って液状樹脂3をキャビティ30に射出する場合でも、射出ユニット40から射出する液状樹脂3がノズル42の押し当て部位から漏れ出す恐れをより抑制できる。
【0035】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を、図5を参照して説明する。この第3実施形態は、既に説明した第2実施形態と比較すると、射出する液状樹脂3の混合不良を抑えることができる形態である。
【0036】
第3実施形態の成形金型201では、第1樹脂流路32は屈曲部32cを備えている。すなわち、第1樹脂流路32は、屈曲部32cを境に上流部32aと下流部32bを備えている。上流部32aは、PL面Pより下側に位置し、且つノズル支持部17の端面17bと第2金型20の側面21の摺動方向L1に沿って形成されている。下流部32bは、そのままPL面Pに沿って形成されている。
【0037】
そのため、上流部32aと下流部32bの屈曲の第2所定角度b=90°+第1所定角度a=例えば、100°となっている。なお、ノズル42の軸心方向と摺動方向L1は、直交している(屈曲角度が90°である)。この直交部位を、第1屈曲箇所A(ノズル42の側の屈曲箇所)と記す。また、上述した屈曲部32cを、第2屈曲箇所Bと記す。そのため、この成形金型201の樹脂流路31では、2つの屈曲箇所A、B(第1屈曲箇所A、第2屈曲箇所B)を備えている。この2つの屈曲箇所A、B(第1屈曲箇所A、第2屈曲箇所B)が、特許請求の範囲に記載の「攪拌部」に相当する。成形金型201は、このように構成されている。
【0038】
本発明の第3実施形態に係る成形金型201は、上述したように構成されている。この構成によれば、成形金型201の樹脂流路31は、2つの屈曲箇所(第1屈曲箇所、第2屈曲箇所)を備えている。そのため、射出する液状樹脂3が樹脂流路31の内壁面に当たり、反応が促進される(液状樹脂3が攪拌され、液状樹脂3の構成成分が混ざる)。したがって、射出する液状樹脂3の混合不良を抑えることができる。
【0039】
また、この構成によれば、ノズル42の側の屈曲箇所は、その屈曲角度が90°である。そのため、屈曲の度合が比較的に急であるため、樹脂流路31の内壁面に当たって抵抗となり、液状樹脂3が攪拌され、促進される液状樹脂3の反応の度合いが向上する。また、液状樹脂3の攪拌箇所が成形金型1内にあることにより、液状樹脂3に対する樹脂流路31の抵抗が増し、液状樹脂3の成形金型1と射出ユニット40のノズル42から漏れやすくなるのだが、本開示の特徴により成形金型1と射出ユニット40のノズル42からの液状樹脂の漏れを抑え込むことができる。
【0040】
また、この構成によれば、第2実施形態と比較すると、ノズル42の位置が下側に偏心した状態となっている。これにより、ノズル支持部17が下方に延長する格好となるため、その分、樹脂流路31の入口の縁面35とノズル支持部17の端面17bも密着する(面当たりする)領域が増加する。また、第1金型10と第2金型20に跨っていたノズル42のシール面が第2金型20側のみになるため、ノズル42のシール性がより向上する。
【0041】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を、図6を参照して説明する。この第4実施形態は、既に説明した第3実施形態と比較すると、第1金型10の取付面11に対する射出ユニット40の取り付けの位置合わせの微調節を行うことができる形態である。
【0042】
第4実施形態では、射出ユニット40は調節機構60を介して成形金型301の第1金型10に取り付けられている。調節機構60は、略L字状の第1ブロック61と、第2ブロック62を備えている。第1ブロック61は、ボルト50を介して第1金型10に取り付けられている。第2ブロック62は、第1ボルト62aを介して射出ユニット40の射出ユニット本体41に取り付けられている。この第1ボルト62aの螺合の方向は、射出ユニット本体41の射出ユニット40の側面に垂直で、第2ブロック62を固定できれば可である。第2ブロック62は、第2ボルト62bを介して第1ブロック61に取り付けられている。この第2ボルト62bの螺合の方向は、射出ユニット本体41のノズル42の円柱状であれば軸線方向、多角形柱状であれば、底面の垂直方向である。第4実施形態は、このように構成されている。
【0043】
この構成によれば、第2ボルト62bの螺合の度合いを調節することで、第1ブロック61に対して第2ブロック62のスライド量を調節できる。そのため、第2ブロック62に取り付けられている射出ユニット本体41のスライド量を調節できる。したがって、第1金型10の取付面11に対する射出ユニット40の取り付けの位置合わせの微調節を行うことができる。
【0044】
なお、本発明の実施形態に係る成形金型1、101、201、301にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更しても構わない。
【0045】
第2金型20は、プレス装置(図示しない)によって、第1金型10に対して型締め型開き可能(上下に昇降可能)になっている形態を説明した。これに替えて、第1金型10が、プレス装置によって、第2金型20に対して型締め型開き可能(上下に昇降可能)になっている形態でも構わない。もちろん、第1金型10と第2金型20がプレス装置によって、型締め型開き可能になっている形態でも構わない。また、竪型成形機だけでなく横型成形機にも対応すべく、図を90度回転した形態でも構わない。
【0046】
補助金型15は、第1金型10に対して別体で構成されて取り付けられている形態を説明した。これに替えて、補助金型15は、第1金型10に対して一体で構成されている形態でも構わない。
【0047】
第1金型10に射出ユニット40を取り付ける部位は、面(取付面11)で構成されている形態を説明した。これに替えて、この取り付ける部位は、各種の形状で構成されていても構わない。
【0048】
補助金型15のノズル支持部17(一方)の先端(下端)に凸部18が形成され、成形金型101の第2金型20(他方)の側面21にノズル支持部17の凸部18が嵌まり込み可能な凹部22が形成されている形態を説明した。これに替えて、補助金型15のノズル支持部17の先端(下端)に凹部22が形成され、成形金型101の第2金型20の側面21にノズル支持部17の凹部22が嵌まり込み可能な凸部18が形成されていても構わない。また、これら凸部18と凹部22は複数形成されていても構わない。
【0049】
樹脂流路31は、2つの屈曲箇所A、B(第1屈曲箇所A、第2屈曲箇所B)を備えている形態を説明した。これに替えて、屈曲箇所は3つ以上であっても構わない。また、屈曲に替えて樹脂流路31の流路径を細くしても構わない。その場合でも、屈曲箇所と同等の作用効果を得ることができる。
【0050】
攪拌部が、2つの屈曲箇所A、B(第1屈曲箇所A、第2屈曲箇所B)から構成されている形態を説明した。これに替えて、攪拌部が、樹脂流路31の流路径の大小の変化、樹脂流路31の内面から形成される突起の有無、樹脂流路31の内部に設けられるプロペラ等の抵抗物、樹脂流路31の分流の抵抗等で構成されていても構わない。もちろん、屈曲箇所も2つに限ることなく、それ以上であっても構わない。
【0051】
樹脂成形品が、2色成形品5である形態を説明した。これに替えて、樹脂成形品が、単色成形品、3色成形品であっても構わない。本開示は、特に、キャビティ30の厚みが薄く液状樹脂3が広がり難い場合に有効である。
【符号の説明】
【0052】
1 成形金型
3 液状樹脂
5 2色成形品(樹脂成形品)
10 第1金型
11 取付面(射出ユニット取付部)
17 ノズル支持部
17b 端面
20 第2金型
21 側面
30 キャビティ
31 樹脂流路
40 射出ユニット
42 ノズル
P PL面
図1
図2
図3
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図5
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図8