(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055463
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】二輪車用スタンド装置
(51)【国際特許分類】
B62H 1/02 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
B62H1/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162412
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 達史
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆史
(57)【要約】
【課題】二輪車の車体本体を二輪車用スタンド装置に対して所定方向に回動可能とすると共に、車体本体を所定方向に回動させた場合に、当該回動後に、二輪車用スタンド装置の位置状態を回動後の二輪車の車体本体の位置状態に対して自動的に両者の初期位置状態とする。
【解決手段】二輪車用スタンド装置12は、第2の構成部材26が第1の構成部材24と第1回動軸30を介して回動可能に連結されている。第3の構成部材28には地面22に接地する接地部位28bを有する。第3の構成部材28の連結部位28aと第2の構成部材26とは、上下方向に配設された第2回動軸32を介して、回動可能に配設されている。第2回動軸32には、第2の構成部材26と第3の構成部材28が相対回動した後に両構成部材26、28の相対位置状態をねじりばね46の弾性力により初期位置状態に戻す初期位置戻し手段34が備えられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と後輪との間の車体本体の下部位置に配設されて、駐車時に車体を地面に対して自立保持させる二輪車用スタンド装置であって、
前記車体本体側から前記地面側に向けて順に第1の構成部材と、第2の構成部材と、第3の構成部材とを備え、
前記第1の構成部材は、前記車体本体を構成する部材と一体的に形成されており、
前記第2の構成部材は、前記第1の構成部材と前記車体の車幅方向に向けて配設された第1回動軸を介して回動可能に連結して配設されており、
前記第3の構成部材は、前記車体の上下方向で見て上方部位が前記第2の構成部材との連結部位となっており、下方部位が前記地面に接地する接地部位とした構成となっており、
前記第3の構成部材の連結部位と前記第2の構成部材とは、前記車体の上下方向に向けて配設された第2回動軸を介して、当該第2回動軸回りに回動可能に連結されて配設されており、
前記第2回動軸には、前記第2の構成部材と前記第3の構成部材が相対回動した後に、両構成部材の相対位置状態を弾性力により初期位置状態に戻すことのできる初期位置戻し手段が備えられている、二輪車用スタンド装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二輪車用スタンド装置であって、
前記初期位置戻し手段はねじりばねを用いて構成されている、二輪車用スタンド装置。
【請求項3】
請求項1に記載の二輪車用スタンド装置であって
前記第2回動軸における第2の構成部材と第3の構成部材との相対許容回転角度範囲を規制する規制手段が、前記初期位置戻し手段に設定されている、二輪車用スタンド装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかの請求項に記載の二輪車用スタンド装置であって、
前記第3の構成部材の配設位置には、前記第3の構成部材の補助構成部材が配設されており、当該補助構成部材は前記第2の構成部材と前記第2回動軸を介して一体的連結関係として配設されており、当該補助構成部材の接地部位の位置は、前記第3の構成部材における接地部位の地面に対する位置より浮いた状態の位置とされている、二輪車用スタンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、二輪車用スタンド装置に関する。詳細には、前輪と後輪との間の車体本体の下部位置に配設されて、駐車時に車体を地面に対して自立保持させる二輪車用スタンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の二輪車には、駐車時に地面に対して車体を自立保持させるための二輪車用スタンド装置が設けられる。二輪車用スタンド装置は、通常、二輪車の前輪と後輪との間の車体本体の下部位置に配設される。そして、この二輪車用スタンド装置は、走行時には、車体本体の前後方向に倒して走行するようになっており、走行には支障の無い装置とされている。
【0003】
ところで、自動二輪車は、前進駆動のみの車両であり、かつ、結構な重量物車両であることから、自動二輪車の駐車状態の位置状態で、自動二輪車を方向転換させることは、難しい操作となっている。いわゆるバイク屋などの専門者では、例えば、サイドスタンドのみに荷重を集中させ、その場で車体の向きを変える操作が行われているが、通常の運転者にとっては、不可能に近い操作である。特に、女性等の非力な運転者にとっては不可能な操作である。
【0004】
このため、下記特許文献1における
図8及び
図9に示されるように、乗員の利便性を図るために、接地部(135)を形成した第2スタンド脚部(133)を車体本体に対して垂直方向に配設された垂直軸(1a)で連結する構成が提案されている。この構成によれば、自動二輪車の駐車時において、
図9に示されるように、第3の軸の垂直軸(1a)廻りに、矢印(a2)で示されるような回動ができ、自動二輪車の方向転換が可能となっている。なお、当該説明におけるカッコ内の符号は、特許文献1での符号と同じ符号を用いており、後述する本実施形態の符号とは異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1の
図8及び
図9に示される構成においては、自動二輪車の車体を所定方向に回動させた状態後に、その位置状態で二輪車用スタンド装置の自立保持を解除して走行させようとした場合、次のような不具合が生じることがある。つまり、かかる状態では、二輪車用スタンド装置の位置状態は車体本体を回動させる前の位置状態にあって、回動後の二輪車の車体本体との位置関係は、いわゆるずれた位置関係となっている。そのため、かかる位置関係状態で二輪車用スタンド装置を走行状態にするために車体本体方向に傾動させると、車体の他の部位と干渉して、他の部位を傷付ける恐れがある。
【0007】
このため、常時、二輪車用スタンド装置と車体との位置関係を初期位置状態としておく必要がある。したがって、上述の特許文献1に示された装置にあっては、車体を所定方向に回動させた後に、いちいち二輪車用スタンド装置と車体とを初期位置状態に位置合わせする操作が必要となっている。このための操作が煩わしいという不便さがある。
【0008】
而して、本明細書に開示の技術が解決しようとする課題は、上述した点に鑑みて創案されたものであって、二輪車の車体を二輪車用スタンド装置に対して所定方向に回動可能とすると共に、車体を所定方向に回動させた場合に、当該回動後に、二輪車用スタンド装置の位置状態を回動後の二輪車の車体の位置状態に対して自動的に両者の初期位置状態とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本明細書に開示の二輪車用スタンド装置は、次の手段をとる。
【0010】
第1の手段は、前輪と後輪との間の車体本体の下部位置に配設されて、駐車時に車体を地面に対して自立保持させる二輪車用スタンド装置であって、前記車体本体側から前記地面側に向けて順に第1の構成部材と、第2の構成部材と、第3の構成部材とを備え、前記第1の構成部材は、前記車体本体を構成する部材と一体的に形成されており、前記第2の構成部材は、前記第1の構成部材と前記車体の車幅方向に向けて配設された第1回動軸を介して回動可能に連結して配設されており、前記第3の構成部材は、前記車体の上下方向で見て上方部位が前記第2の構成部材との連結部位となっており、下方部位が前記地面に接地する接地部位とした構成となっており、前記第3の構成部材の連結部位と前記第2の構成部材とは、前記車体の上下方向に向けて配設された第2回動軸を介して、当該第2回動軸回りに回動可能に連結されて配設されており、前記第2回動軸には、前記第2の構成部材と前記第3の構成部材が相対回動した後に、両構成部材の相対位置状態を弾性力により初期位置状態に戻すことのできる初期位置戻し手段が備えられている、二輪車用スタンド装置である。
【0011】
上記第1の手段によれば、先ず、二輪車用スタンド装置は、車体本体側から地面側に向けて順に第1の構成部材と、第2の構成部材と、第3の構成部材とを備える。そして、第1の構成部材は車体本体を構成する部材と一体的に形成されており、第2の構成部材は第1の構成部材と車体の車幅方向に向けて配設された第1回動軸を介して車体の前後方向に回動可能に連結されて配設されている。これにより、第2の構成部材を第3の構成部材と共に、第1回動軸を回動軸として車体本体方向に向けて回動することができて、二輪車を走行状態とすることができる。
【0012】
次に、上記第1の手段によれば、第3の構成部材の連結部位と、第2の構成部材とは、車体の上下方向に向けて配設された第2回動軸を介して、回動可能に連結されて配設されている。これにより、二輪車用スタンド装置は第3の構成部材が地面に自立した状態で、第2の構成部材すなわち二輪車の車体本体は第3の構成部材に対して第2回動軸を回動軸として回動可能とされる。これにより、二輪車の車体を所定方向に回動させることができる。
【0013】
更に、上記第1の手段によれば、第3の構成部材が相対回動した後に、第2の構成部材と第3の構成部材の両構成部材の相対位置状態を弾性力により初期位置状態に戻すことのできる初期位置戻し手段が備えられている。これにより、車体を所定方向に回動させた後、第3の構成部材の車体本体との相対位置関係を、弾性力により自動的に初期位置状態に戻すことができる。
【0014】
第2の手段は、前述した第1の手段における二輪車用スタンド装置であって、前記初期位置戻し手段は、ねじりばねを用いて構成されている、二輪車用スタンド装置である。
【0015】
上記第2の手段によれば、初期位置戻し手段はねじりばねを用いて構成されており、比較的簡素な構成で初期位置戻し手段を構成することができると共に、確実に戻し作用がなされる。
【0016】
第3の手段は、前述した第1の手段における二輪車用スタンド装置であって、前記第2回動軸における第2の構成部材と第3の構成部材との相対許容回転角度範囲を規制する規制手段が、前記初期位置戻し手段に設定されている、二輪車用スタンド装置である。
【0017】
上記第3の手段によれば、第2回動軸における第2の構成部材と、第3の構成部材との相対許容回転角度範囲を規制する規制手段が設けられる。これによれば、車体を回転させすぎて、初期位置戻し手段を構成する部材を破損させる恐れがない。
【0018】
第4の手段は、前述した第1の手段から第3の手段にける何れかの手段における二輪車用スタンド装置であって、前記第3の構成部材の配設位置には、前記第3の構成部材の補助構成部材が配設されており、当該補助構成部材は前記第2の構成部材と前記第2回動軸を介して一体的連結関係として配設されており、当該補助構成部材の接地部位の位置は、前記第3の構成部材における接地部位の地面に対する位置より浮いた状態の位置とされている、二輪車用スタンド装置である。
【0019】
上記第4の手段によれば、第3の構成部材の配設位置には、第3の構成部材の補助構成部材が配設される。そして、補助構成部材の配置位置は、第3の構成部材における接地部位の地面に対する位置より上方に浮いた状態の位置とされている。これにより、車体本体の回転時に車体が仮に車体の幅方向に傾いたとしても、補助構成部材により支持することができて、車体が転倒することを抑制ないし防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本明細書に開示の二輪車用スタンド装置によれば、二輪車の車体を二輪車用スタンド装置に対して所定方向に回動可能とすると共に、車体を所定方向に回動させた場合に、当該回動後に、二輪車用スタンド装置の位置状態を回動後の二輪車の車体の位置状態に対して自動的に両者の初期位置状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】センタスタンド装置を備えた自動2輪車を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の自動二輪車の基本形態を示す模式図である。
【
図3】センタスタンド装置の第1実施形態を自動二輪車の車幅方向の断面で示す模式図である。
【
図4】センタスタンド装置の第2実施形態を自動二輪車の車幅方向の断面で示す模式図である。
【
図5】第2実施形態の具体的構成を車幅方向の断面で示す詳細構成図である。
【
図6】
図5に示す第2実施形態の具体的構成を下方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本明細書に開示の技術である二輪車用スタンド装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態の二輪車用スタンド装置は、自動二輪車のスタンド装置であり、スタンド装置としては、センタスタンドとサイドスタンドがあるが、本実施形態はセンタスタンドの場合である。なお、図の説明における左右、上下、前後等の方向表示は、当該図における方向を示すものであり、特に指定しない限り、自動二輪車の走行状態における方向を示すものではない。
【0023】
〔自動二輪車10の全体構成〕
自動二輪車10の全体構成は、
図1及び
図2に示される。
図1はセンタスタンド装置12を備えた自動2輪車10を示す斜視図であり、
図2は本実施形態の自動二輪車10の基本形態を示す模式図である。
図1及び
図2に示すように、自動二輪車10は、自動二輪車10の車体14の前後位置に、前輪18と後輪20を備える。センタスタンド装置12は、前輪18と後輪20との間の自動二輪車10の車体14を形成する車体本体16の下部位置に配設されており、自動二輪車10の駐車時に車体14を地面22に対して自立保持させる。なお、本実施形態におけるセンタスタンド装置12が本明細書に開示の技術における二輪車用スタンド装置に相当する。また、本実施形態において車体14と車体本体16の区別は、自動二輪車全体を指称する際の車体の場合は車体14と称し、前輪18と後輪20とを連結して配設するフレーム構成物を指称する場合は車体本体16と称した。
【0024】
自動二輪車10の地面22に対する自立状態では、
図2に示すように、通常、前輪18とセンタスタンド装置12が、地面22に接触した状態となっている。この状態で、自動二輪車10の方向を転換させる場合には、前輪18を浮かせた状態として、センタスタンド装置12を支点として回動させることになるが、自動二輪車10は重量物であることから、結構大変な操作となる。
【0025】
このため、本実施形態が特徴とする基本的構成は、先ず、
図1に示すように、センタスタンド装置12に後述する回動する装置を設けて、回動軸線Cを中心として、車体本体16を所定方向に回動させることができるようにすることにある。そして、回動後に、センタスタンド装置12と車体本体16との相対位置関係を、自動的に両者の初期位置状態に戻すことができるようにすることにある。
【0026】
〔センタスタンド装置12の第1実施形態〕
センタスタンド装置12の第1実施形態は、
図3に示される。
図3はセンタスタンド装置12を自動二輪車の車幅方向の断面で示した模式図である。当該模式図において、第1ブロック枠B1で示す位置に後述の
図5で詳述する第1回動軸30が備えられており、第2ブロック枠B2で示す位置に後述の
図5で詳述する第2回動軸32が備えられている。そして、第2回動軸32が備えられる第2ブロック枠B2の位置には、第2回動軸32に関連して、車体本体16とセンタスタンド装置12との相対位置関係を自動的に初期位置に戻すことのできる初期位置戻し手段34が備えられている。初期位置戻し手段34は、後述で詳述するが弾性力により初期位置状態に戻すことのできる装置である。
【0027】
図3において、センタスタンド装置12の後述で詳述する第3の構成部材28の下方部位は地面22への接地部位28bとなっており、車体14の車幅方向に門型形状で形成されている。
【0028】
第1実施形態によれば、第1回動軸30を回動軸線としてセンタスタンド装置12を回動させることができて、車体14の前後方向に傾動させることができる。これにより、自動二輪車10を走行状態とすることができる。また、第2回動軸32を回動軸線として、車体14をセンタスタンド装置12に対して所定方向に回動させることができる。そして、初期位置戻し手段34により、車体14を回動させた後に、センタスタンド装置12を自動的に車体14との相対位置関係を初期位置状態とすることができる。
【0029】
〔センタスタンド装置12の第2実施形態〕
センタスタンド装置12の第2実施形態は、
図4に示される。
図4はセンタスタンド装置12を自動二輪車10の車幅方向の断面で示した模式図である。第2実施形態の基本的構成は前述した第1実施形態と同じである。相違する構成は、地面22に接地して配置される門型形状の第3の構成部材28の内側に、補助構成部材36が配設された構成の点である。補助構成部材36の構成も第3の構成部材28の接地部位28bと同様に門型形状である。なお、補助構成部材36の接地部位40は第3の構成部材28の接地部位28bの内側に配設されるため、第3の構成部材28よりわずか小形の門型形状となっている。そして、補助構成部材36の地面22と接地する接地部位40の位置は、第3の構成部材28における接地部位28bの地面22に対する位置より若干上方に浮いた状態の位置とされている。本実施形態の場合には、10mm上方に浮いた状態として配置されている。
【0030】
なお、補助構成部材36は、後述の
図5及び
図6で詳述するように、
図4における第1ブロック枠B1及び第2ブロック枠B2を貫通して配設されている。すなわち、車体本体16の部材(本実施形態では
図5に示す第2の構成部材26)と車体14の回動方向に対しては一体的とされた構成とされている。これにより、補助構成部材36は、車体14が回動させられる際には、車体14と共に一緒になって回動する。すなわち、車体14を回動させる際には、センタスタンド装置12の第3の構成部材28は静止状態にあるが、内側に配置されている補助構成部材36は、車体本体16と一緒に回動する。
【0031】
第2実施形態の構成によれば、上述した第1実施形態における作用と同じ作用をなすと共に、補助構成部材36により、追加して次の作用をなす。すなわち、車体14を回動させる際に、車体14が左右(車幅方向)に傾いたとしても、補助構成部材36の接地部位40が、車体14の傾いた方向の地面22に接地するため、車体14の傾きを阻止する。これにより、車体14を回動する際における車体の転倒を抑制ないし阻止することができる。
【0032】
〔第2実施形態の具体的構成の詳細〕
次に、上述したセンタスタンド装置12についての第2実施形態の具体的構成の詳細を説明する。第2実施形態の具体的構成の詳細は、
図5及び
図6に示される。
図5は車幅方向の断面を示し、
図6は平面図を示す。
図5に示すように、センタスタンド装置12は、車体本体16側から地面22側に向けて順に第1の構成部材24と、第2の構成部材26と、第3の構成部材28とを備えて構成される。
【0033】
第1の構成部材24は車体本体16を構成する一部の部材16aと一体的に形成されている。第2の構成部材26はこの車体本体16と一体的の第1の構成部材24と、車体14の車幅方向に向けて配設された第1回動軸30を介して連結されている。この第1回動軸30により、第2の構成部材26から下方位置の構成部材、すなわち第2の構成部材26及び第3の構成部材28は、車体本体16に対して第1回動軸30を回動軸線として車体14に向けて回動可能な構成となっている。
【0034】
第2の構成部材26は、第1回動軸30が配設される位置の軸構成部材26aと、この軸構成部材26aの下方位置に一体的に連結される軸部26bと、この軸部26bと一体的に連結形成され、更に、その下方に一体的に連結される軸部26c、26dとからなっている。そして、軸部26c、26dには後述する初期位置戻し手段34が装備される。なお、第2の構成部材26を構成する各軸部26b、26c、26dは、その軸線方向が車体14の上下方向となっている。そして、上方位置の軸部材26bと下方位置の軸部26dの径は、同じ径とされており、中間位置の軸部26cより相対的に大きい径とされている。すなわち、第2の構成部材26を構成する各軸部26b、26c、26dは、段差のある軸形状に形成されており、中間部の軸部26cが小径とされた段差形状とされている。
【0035】
第3の構成部材28は、車体14の上下方向で見て、その上方部位が第2の構成部材26と連結される連結部位28aとなっており、下方部位が地面22に接地する接地部位28bとなっている。上方部位の連結部位28aは
図5に示すように上部が閉鎖された円筒形状とされており、上部には第2の構成部材26の軸部26cが貫通する軸孔42が形成されている。下方部位の接地部位28bは、前述もしたように、門型形状とされており、複数本、本実施形態では両側に2本の脚部位を有し、2本の脚部位は、センタスタンド装置12の通常の自立駐車状態では、車幅方向に離間して位置している。
【0036】
図5に示されるように、本実施形態では、第2の構成部材26の軸部26cが第3の構成部材28の上方部位の連結部位28aに形成された軸孔42に貫通嵌合して配設されており、第2回動軸32を構成している。この第2回動軸32の軸線方向は、車体14の上下方向となっている。
【0037】
第3の構成部材28の連結部位28aは、第2の構成部材26の軸部材26bと軸部26dとの間に挟まれて配設されており、これにより、第3の構成部材28は第2の構成部材26に対して上下方向に支持された構成となっている。なお、第3の構成部材28の連結部位28aと第2の構成部材26の軸構成部材26aとの間における第2構成部材の軸部材26bの外周には転がり軸受44が配設されており、軸構成部材26aと連結部位28aとは相対回動可能となっている。したがって、第2の構成部材26と第3の構成部材28とは、車体14の水平方向で見て、相対回動可能な構成となっている。
【0038】
図5に示される第3の構成部材28の上方部位の円筒形状の連結部位28aの内部における、第2の構成部材26の軸部26dとの間には、初期位置戻し手段34が構成されている。初期位置戻し手段34は、第2の構成部材26と第3の構成部材28とが相対回動した後に当該両構成部材26、28の相対位置状態を弾性力により初期位置状態に戻すための手段である。すなわち、車体14を所定方向に回動させた場合に、回動後の車体14の位置状態に対応させてセンタスタンド装置12を位置合わせする装置である。
【0039】
初期位置戻し手段34は、
図5及び
図6に示されるように、コイルスプリング46のねじりばねを備える。コイルスプリング46は第2の構成部材26の下方部の軸部26dに巻装して配置されている。コイルスプリング46の巻部の最上端巻片46aは、径方向外方に延設して形成されており、連結部位28aの内筒面に上下方向に形成された第1係止部48に係止された配置の装着状態とされている。
図6に示されるように、第1係止部48は連結部位28aの内筒面から径方向内方に向けて突設した形状として形成されている。そして、
図5に示されるように、第1係止部48は連結部位28aにおける円筒形状の垂直形成部の上端から下端まで全長に亘って形成されている。
【0040】
コイルスプリング46の巻部の最下端巻片46bは、径方向外方に延設して形成されており、第2の構成部材26における軸部26dに形成された第2係止部50に係止された配置の装着状態とされている。
図6に示されるように、第2係止部50は第2の構成部材26の軸部26dの外周面から径方向外方に向けて突設した形態として形成されている。そして、
図5に示されるように、第2係止部50は軸部26dにおける最下端巻片46bが存在する位置に対応する位置のみに形成されている。
【0041】
初期位置戻し手段34は、上記の構成であることにより、地面22側の第3の構成部材28の連結部位28aに対して、車体14側となる第2の構成部材26の軸部26c及び26dが相対回動すると、コイルスプリング46には戻り弾性力が生じる。この戻り弾性力の作用により、地面22に接地している第3の構成部材28の接地部位28bが、地面から解放された自由状態になると、
図6に示される最初の状態となる作用がなされる。すなわち、車体本体16とセンタスタンド装置12の相対位置関係が、通常の初期位置状態とされる作用がなされる。
【0042】
本実施形態においては、当該初期位置戻し手段34に第2の構成部材26と第3の構成部材28との相対許容回転角度範囲を規制する規制手段が組み込まれている。当該規制手段の構成は、第1係止部48と第2係止部50の組合せ構成である。
図6において、第2の構成部材26の軸部26cと第3の構成部材28の連結部位28aとが相対回動すると、第1係止部48と第2係止部50は当接して、その相対回動が阻止される。通常は、第3の構成部材28が接地状態にあるため、車体14側の第2の構成部材26の地面22に対する許容回転角度範囲が規制される。
【0043】
次に、補助構成部材36について説明する。
図5に補助構成部材36が良く示されている。補助構成部材36は、前述もしたように、第3の構成部材28の接地部位28bの内側に配設されており、センタスタンド装置12の補助作用をなすために配置されている。補助構成部材36は、第3の構成部材28の接地部位28bと同様に門型形状に形成されている。しかし、第3の構成部材28の接地部位28bの内側に配設されるため、第3の構成部材28よりわずか小形の門型形状となっている。そして、補助構成部材36の地面22と接地する接地部位40の位置は、第3の構成部材28における接地部位28bの地面22に対する位置より若干上方に浮いた状態の位置とされている。本実施形態の場合には、前述もしたように、10mm上方に浮いた状態として配置されている。
【0044】
補助構成部材36は、第2の構成部材26の軸部26d、26c、26b及び軸構成部材26aと一体的連結関係として配設されている。すなわち、第2回動軸32を介して第2の構成部材26と回転方向に対して一体的連結関係として配設されている。したがって、第3の構成部材28の接地部位28bと補助構成部材36とは、相対回動可能な構成配置となっている。これにより、第2実施形態において説明した作用をなすことができる。
【0045】
〔第2実施形態の具体的構成の作用効果〕
本実施形態によれば、先ず、センタスタンド装置12の接地部位28bは第1回動軸30を回動軸線として、回動可能とされている。これにより、センタスタンド装置12の接地部位28bを車体本体方向に向けて回動させることにより、自動二輪車10を走行状態とすることができる。
【0046】
次に、第3の構成部材28の連結部位28aと、第2の構成部材26の軸部26cとは、第2回動軸32を介して回動可能に配設されている。これにより、センタスタンド装置12は第3の構成部材28の接地部位28bが地面22に自立した状態で、自動二輪車10の車体本体16を所定方向に回動させることができる。
【0047】
更に、上記第1の手段によれば、車体14を回動した後に第2の構成部材26と第3の構成部材28の両構成部材26、28の相対位置状態を弾性力により初期位置状態に戻すことのできる初期位置戻し手段34が備えられている。これにより、車体14を所定方向に回動させた後、第3の構成部材28との相対位置関係を、コイルスプリング46の弾性力により、自動的に第3の構成部材28を車体本体16との初期位置状態に戻すことができる。したがって、従来のように、車体を所定方向に回動させた後に、かかる位置関係状態で二輪車用スタンド装置12を走行状態にするために車体本体16方向に戻す際に、車体14の他の部位と干渉して、他の部位を傷付ける問題を生じることがない。
【0048】
本実施形態は、初期位置戻し手段34を備える。初期位置戻し手段34は、コイルスプリング46のねじりばねを用いて構成されているので、比較的簡素に構成できると共に、確実に戻し作用がなされる。
【0049】
また、本実施形態は、初期位置戻し手段34に、第2回動軸32における第2の構成部材26と第3の構成部材28との相対許容回転角度範囲を規制する規制手段が備えられている。当該規制手段は、第3の構成部材28における連結部位28aの円筒形状の内壁に形成された第1係止部48と、第2の構成部材26の軸部26dに形成された第2係止部50により構成される。これにより、初期位置戻し手段34を構成する部材を破損させる恐れがない。
【0050】
更に、本実施形態においては、第3の構成部材28の接地部位28bの位置には、補助構成部材36の接地部位40が配設される。そして、補助構成部材36の接地部位40の地面22に対する接地位置は、第3の構成部材28における接地部位28bの地面22に対する位置より、上方に浮いた位置とされている。これにより、車体本体16の回転時に車体14が仮に車体14の幅方向に傾いたとしても、補助構成部材36により支持することができて、車体14が転倒することが抑制ないし防止できる。
【0051】
<他の実施形態>
本明細書に開示の技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、上述した実施形態は自動二輪車10について説明したが、重量のある二輪自転車や、通常の自転車にも応用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 自動二輪車
12 センタスタンド装置(二輪車用スタンド装置)
14 車体
16 車体本体
16a 車体本体の一部の部材
18 前輪
20 後輪
22 地面
24 第1の構成部材
26 第2の構成部材
26a 軸構成部材
26b 軸部
26c 軸部(第2回動軸)
26d 軸部
28 第3の構成部材
28a 連結部位
28b 接地部位
30 第1回動軸
32 第2回動軸
34 初期位置戻し手段
36 補助構成部材
40 補助構成部材の接地部位
42 軸孔
44 転がり軸受
46 コイルスプリング(ねじりばね)
46a 最上端巻片
46b 最下端巻片
48 第1係止部
50 第2係止部
B1 第1ブロック枠
B2 第2ブロック枠