(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055467
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】チューブ容器およびチューブ容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 35/10 20060101AFI20240411BHJP
B31B 50/64 20170101ALI20240411BHJP
【FI】
B65D35/10 A
B31B50/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162417
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲川 義則
(72)【発明者】
【氏名】小田切 俊
(72)【発明者】
【氏名】森田 皓介
【テーマコード(参考)】
3E065
3E075
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA12
3E065BB02
3E065CA09
3E065DA05
3E065DA11
3E065DB01
3E065DD05
3E065EA07
3E065GA10
3E065HA10
3E065JA18
3E075AA07
3E075BA66
3E075CA01
3E075CA04
3E075DD13
3E075DD30
3E075DD32
3E075DD42
3E075DD45
3E075FA06
3E075GA04
(57)【要約】
【課題】筒状胴部の注出側とは反対側の端部において良好な溶着状態が形成されたチューブ容器を提供する。
【解決手段】本開示に基づくチューブ容器1は、筒状胴部10と、注出部20と、扁平状底部30とを備えている。扁平状底部30は、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とをシートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成されたシートSの内周面を、上記軸方向DAに直交する第1方向D1につき合わせてさらに溶着させることで形成され、筒状胴部10の軸方向DAにおける他方端部14を閉塞する。予備溶着部33は、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに溶着することで形成されている。予備溶着部33が、平坦な第1面31の一部を構成する。第1対向部34が、凹凸状の第2面32の一部を構成する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のシートを湾曲または屈曲させて、前記シートの面方向における第1の側端部と、該第1の側端部の反対に位置する前記シートの第2の側端部とを、前記シートの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成された、帯状の溶着部を有する筒状胴部と、
前記筒状胴部の軸方向における一方端部に接合され、前記筒状胴部に収容された内容物を注出可能な注出部と、
前記第1の側端部と前記第2の側端部とを前記シートの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成された前記シートの内周面を、前記軸方向に直交する第1方向につき合わせてさらに溶着させることで形成され、前記筒状胴部の前記軸方向における他方端部を閉塞する扁平状底部とを備え、
前記扁平状底部は、前記第1の側端部と前記第2の側端部とが互いに溶着することで形成された予備溶着部と、前記シートのうち前記予備溶着部と前記第1方向においてさらに溶着される部分である第1対向部とを有し、
前記扁平状底部は、前記第1方向の一方側を向く平坦な第1面と、前記第1方向の他方側を向く凹凸状の第2面とをさらに有し、
前記予備溶着部が、平坦な前記第1面の一部を構成し、
前記第1対向部が、凹凸状の前記第2面の一部を構成する、チューブ容器。
【請求項2】
前記溶着部は、前記筒状胴部の径方向外側を向く溶着部外周面を有し、前記溶着部外周面は径方向外側において凹凸が形成されている、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記シートは、筒状に形成された前記シートの内周面を構成する第1基材層を有し、
前記第1基材層はポリエステル系樹脂を主成分として含み、
前記第1基材層は無延伸または一軸延伸フィルムから構成されている、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記シートは、前記第1基材層から見て筒状に形成された前記シートの径方向における外側に位置して、ポリエステル系樹脂を主成分として含む第2基材層を有し、
前記第2基材層は、二軸延伸フィルムから構成されている、請求項3に記載のチューブ容器。
【請求項5】
前記シートは、前記第2基材層から見て筒状に形成された前記シートの径方向における外側に位置して、ポリエステル系樹脂を主成分として含む第3基材層を有し、
前記第3基材層は、無延伸または一軸延伸フィルムから構成されている、請求項4に記載のチューブ容器。
【請求項6】
前記扁平状底部は、前記軸方向および前記第1方向の両方に直交する第2方向の両側において、面取りされた角部を有する、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項7】
前記扁平状底部は、前記第1方向の前記他方側の面の全体が凹凸状の前記第2面である、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項8】
前記扁平状底部は、前記第1方向の前記他方側において、前記第2面から見て筒状胴部側に位置する平坦な第3面と、前記第2面から見て筒状胴部側とは反対側に位置する平坦な第4面とをさらに有する、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の前記チューブ容器を製造する方法であって、
前記シートを準備する工程と、
準備された前記シートを、筒状に形成しつつ、前記第1の側端部と前記第2の側端部とを互いに重ね合わせる工程と、
筒状に形成された前記シートの径方向内側および径方向外側のうち一方側に位置させた超音波ホーンと、前記径方向内側および前記径方向外側のうち他方側に位置させたアンビルとで、前記第1の側端部および前記第2の側端部を挟み込んでこれらを互いに超音波溶着させることにより、筒状体を形成する工程と、
前記筒状体に前記注出部を接合する工程と、
前記筒状体の内周面同士を超音波溶着によりさらに溶着させることで、前記他方端部が閉塞された前記筒状胴部を形成するとともに、前記扁平状底部を形成する工程とを備え、
前記扁平状底部を形成する工程においては、底部用超音波ホーンおよび底部用アンビルの一方である第1溶着器具と、前記底部用超音波ホーンおよび前記底部用アンビルの他方である第2溶着器具とで、前記筒状体を挟み込むことにより、前記筒状体の前記内周面同士が溶着され、
前記第1溶着器具の表面が平坦であり、前記第2溶着器具の表面が凹凸状である、チューブ容器の製造方法。
【請求項10】
前記第1溶着器具が前記底部用超音波ホーンであり、
前記第2溶着器具が前記底部用アンビルである、請求項9に記載のチューブ容器の製造方法。
【請求項11】
前記第1溶着器具が前記底部用アンビルであり、
前記第2溶着器具が前記底部用超音波ホーンである、請求項9に記載のチューブ容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チューブ容器およびチューブ容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチューブ容器を開示した文献として、特許第4103891号公報(特許文献1)および特許第6207316号公報(特許文献2)が開示されている。
【0003】
特許文献1には、ラミネートチューブ用積層フィルムから超音波シールにより製造されたチューブ容器が開示されている。当該チューブ容器の製造方法は、ラミネートチューブ用積層フィルムを筒状にシールして筒状胴部を形成する工程と、筒状胴部の一方の開口部に肩部および口部を形成する工程と、筒状胴部の他方の開口部におけるシール部を両外側からシールバーと受け具とにより加圧状態で挟む工程と、挟まれた偏平形状のシール部にシールバーから超音波振動エネルギーを与える工程と、超音波振動エネルギーにより、偏平形状のシール部を振動させ、当該シール部の第1の樹脂層を熱融着する工程とを備えている。
【0004】
特許文献2には、外層、アルミニウム箔層、及び内層の順に積層されているチューブ容器用積層体を用いたチューブ容器が開示されている。当該チューブ容器の製造方法は、チューブ容器用積層体を形成する積層工程、チューブ容器用積層体の内面同士の超音波シールによりチューブ容器用積層体の尻シール部を形成する尻シール工程とを備えている。チューブ容器の尻部を形成するときには、チューブ用積層体は筒状に形成されているか、または折り曲げられているので、内面同士が向き合ってシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4103891号公報
【特許文献2】特許第6207316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2に開示されるように、従来のチューブ容器は、注出側とは反対側に位置する端部(尻シール部)において、筒状体の内面同士が溶着される。筒状体は、一枚のシート(フィルム)の側端部同士がシールされることで形成される。筒状体は、側端部同士が溶着されることで形成された帯状の溶着部を有している。
【0007】
筒状体の端部のうち、帯状の溶着部が位置する部分は比較的厚さが厚くなる。このため、筒状体の端部のうち帯状の溶着部が位置する部分においては、端部の溶着不良が生じやすい。そこで、溶着不良の発生を抑制するために端部の溶着時に高いエネルギーをかけることが考えられる。しかしながら、過剰に高いエネルギーをかけると、上述の部分の周辺において筒状胴部にピンホールが発生するおそれがある。
【0008】
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、筒状胴部の注出側とは反対側の端部において良好な溶着状態が形成されたチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に基づくチューブ容器は、筒状胴部と、注出部と、扁平状底部とを備えている。筒状胴部は、一枚のシートを湾曲または屈曲させて、シートの面方向における第1の側端部と、第1の側端部の反対に位置するシートの第2の側端部とを、シートの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されており、帯状の溶着部を有する。注出部は、筒状胴部の軸方向における一方端部に接合され、筒状胴部に収容された内容物を注出可能である。扁平状底部は、第1の側端部と第2の側端部とをシートの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成されたシートの内周面を、上記軸方向に直交する第1方向につき合わせてさらに溶着させることで形成され、筒状胴部の軸方向における他方端部を閉塞する。扁平状底部は、予備溶着部と第1対向部とを有している。予備溶着部は、第1の側端部と第2の側端部とが互いに溶着することで形成されている。第1対向部は、シートのうち予備溶着部と第1方向においてさらに溶着される部分である。扁平状底部は、第1方向の一方側を向く平坦な第1面と、第1方向の他方側を向く凹凸状の第2面とをさらに有している。予備溶着部が、平坦な第1面の一部を構成する。第1対向部が、凹凸状の第2面の一部を構成する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、筒状胴部の注出側とは反対側の端部において良好な溶着状態が形成されたチューブ容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係るチューブ容器を示す背面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るチューブ容器を示す正面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係るチューブ容器の、キャップ部が取り外された状態を示す背面図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るチューブ容器の、キャップ部が取り外された状態を示す側面図である。
【
図5】
図1の筒状胴部をV-V線矢印方向から見た断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係るチューブ容器の分解斜視図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る筒状胴部および扁平状底部を構成するシートの部分断面図である。
【
図8】
図1の筒状胴部をVIII-VIII線矢印方向から見た部分断面図である。
【
図9】
図1の扁平状底部をIX-IX線矢印方向から見た模式的な断面図である。
【
図10】扁平状底部が形成される直前のシートの状態を示す模式的な断面図である。
【
図11】本開示の一実施形態のチューブ容器の変形例を示す正面図である。
【
図12】本開示の一実施形態に係るチューブ容器において、扁平状底部を示す部分断面図である。
【
図13】
図1のチューブ容器をXIII-XIII線矢印方向から見たときの部分断面図である。
【
図14】本開示の一実施形態に係るチューブ容器の製造方法を示すフロー図である。
【
図15】重ね合わせ工程および筒状体形成工程におけるシートを示す模式的な図である。
【
図16】本開示の一実施形態に係るチューブ容器の製造方法に使用される超音波ホーンを、アンビルとの対向方向から見た平面図である。
【
図17】
図16の超音波ホーンをXVII-XVII線矢印方向から見た断面図である。
【
図18】本開示の一実施形態において凹凸形状の凸部が互いに接続されている超音波ホーンを示す平面図である。
【
図19】注出部接合工程において、インサート成形により注出部を筒状体に接合するときの金型および筒状体を示す模式的な断面図である。
【
図20】圧縮成形による注出部接合工程を示すフロー図である。
【
図21】圧縮成形により注出部を筒状体に接合するときの金型、成型材料および筒状体を示す模式的な断面図である。
【
図22】超音波溶着による注出部接合工程を示すフロー図である。
【
図23】超音波溶着により注出部を筒状体に接合するときに用いる装置を示す模式的な断面図である。
【
図24】扁平状底部形成工程における筒状体を示す模式的な断面図である。
【
図25】本開示の一実施形態に係るチューブ容器の製造方法に使用される第2溶着器具を、第1溶着器具との対向方向から見た平面図である。
【
図26】本開示の一実施形態における第2溶着器具の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施形態に係るチューブ容器について説明する。以下の一実施形態の説明においては、図中の同一部分または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0013】
<チューブ容器>
図1は、本開示の一実施形態に係るチューブ容器を示す背面図である。
図2は、本開示の一実施形態に係るチューブ容器を示す正面図である。
図3は、本開示の一実施形態に係るチューブ容器の、キャップ部が取り外された状態を示す背面図である。
図4は、本開示の一実施形態に係るチューブ容器の、キャップ部が取り外された状態を示す側面図である。
図1から
図4に示すように、本開示の一実施形態に係るチューブ容器1は、筒状胴部10と、注出部20と、扁平状底部30と、キャップ部40とを備えている。
【0014】
[筒状胴部]
図5は、
図1の筒状胴部をV-V線矢印方向から見た断面図である。
図1から
図5に示すように、筒状胴部10は、シート基部11と、溶着部12と、一方端部13と、他方端部14と、を有している。
【0015】
図6は、本開示の一実施形態に係るチューブ容器の分解斜視図である。
図5および
図6に示すように、シート基部11は、一枚のシートSの面方向DPにおける第1の側端部SE1と、該第1の側端部SE1の反対に位置する上記シートSの第2の側端部SE2との間に位置している。溶着部12は、上記シートSを湾曲または屈曲させて、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを上記シートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されている。上記厚さ方向とは、シートSの面方向DPに直交する方向である。
【0016】
このように、本実施形態において、筒状胴部10は一枚のシートSからなる。まず、シートSの詳細について説明する。
【0017】
第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを互いに溶着させる前の状態のシートSは、シートSの厚さ方向から見て、矩形状の外形を有している。ただし、シートSは、湾曲または屈曲させることで筒状胴部10を形成できるものであれば、厚さ方向から見たときの形状は限定されない。
【0018】
図7は、本開示の一実施形態に係る筒状胴部および扁平状底部を構成するシートの部分断面図である。
図7に示すように、シートSは、第1基材層SL1を少なくとも含んでいる。第1基材層SL1は、筒状胴部10の径方向において、筒状胴部10の中心側に位置している。すなわち、第1基材層SL1は、筒状胴部10の最内層である。
【0019】
第1基材層SL1は、樹脂成分を主成分として含んでおり、たとえば、ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含んでいる。リサイクル性を向上させる観点からは、第1基材層SL1はポリエステル系樹脂を主成分として含んでいることが好ましい。
【0020】
第1基材層SL1がポリオレフィン系樹脂を主成分として含む場合、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンポリマー等が挙げられる。リサイクル性の観点から、第1基材層SL1のポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンであることが好ましい。
【0021】
第1基材層SL1がポリエステル系樹脂を主成分として含む場合、当該ポリエステル系樹脂としては、チューブ容器1の筒状胴部10として使用できるものであれば特に限定されない。ポリエステル系樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG、グリコール成分の一部がシクロヘキサンジメタノール(CHDM)またはネオペンチルグリコール等で変性されたポリエチレンテレフタレート)、ポリ乳酸等が挙げられる。第1基材層SL1は、樹脂成分としてポリエステル系樹脂のみを含んでいることが好ましい。
【0022】
筒状胴部10のリサイクル性の観点から、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂は、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。また、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂は、溶着部12におけるシートS同士を比較的低いエネルギーで互いに溶着させる観点、および、超音波振動を効率良く伝達させる観点から、非晶性のポリエステル系樹脂(非晶性のポリエチレンテレフタレート、および、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートなど)であることが好ましい。よって、第1基材層SL1は、筒状胴部10のリサイクル性、ならびに、溶着部12および後述する扁平状底部30におけるシートSの接着性の両観点から、非晶性のホモポリエチレンテレフタレートであることが最も好ましい。環境負荷低減の観点からは、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂が、リサイクル原料またはバイオマス原料からなることが好ましいが、筒状胴部10の内側に内容物を収容させる場合には、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂が、バージン原料からなることが好ましい。
【0023】
また、第1基材層SL1は、単層フィルムでもよいし、または、積層フィルムの一部であってもよい。第1基材層SL1を構成するフィルム(単層フィルムまたは積層フィルム)は、無延伸、一軸延伸、または、二軸延伸フィルムであってもよい。筒状胴部10および後述する扁平状底部30におけるシートS同士の接着性、ならびに、筒状胴部10と注出部20との接合強度をより向上させる観点から、第1基材層SL1は、無延伸または一軸延伸フィルムで構成されていることが好ましく、無延伸フィルムで構成されていることがより好ましい。第1基材層SL1が無延伸または一軸延伸のフィルムで構成されていれば、第1基材層SL1の表面の結晶化が抑制されているため、超音波溶着を実施する際においては他の層との溶着性が向上する。第1基材層SL1は、ポリエステル系樹脂を主成分として含み、かつ、無延伸フィルムで構成されていることが特に好ましい。
【0024】
本実施形態において、シートSは、第2基材層SL2をさらに含んでいる。第2基材層SL2は、第1基材層SL1に積層されている。第2基材層SL2は、第1基材層SL1から見て筒状胴部10の径方向外側に位置している。シートSは、第2基材層SL2を含んでいなくてもよい。シートSは、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に他の層をさらに含んでいてもよい。
【0025】
本実施形態において、第2基材層SL2は樹脂成分を主成分として含んでおり、たとえば、ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂を主成分として含んでいる。リサイクル性を向上させる観点からは、第2基材層SL2は、第1基材層SL1と同様に、ポリエステル系樹脂を主成分として含んでいることが好ましい。
【0026】
第2基材層SL2のポリオレフィン系樹脂としては、第1基材層SL1のポリオレフィン系樹脂として採用可能なものを用いることができる。リサイクル性の観点から、第2基材層SL2のポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンであることが好ましい。
【0027】
第2基材層SL2のポリエステル系樹脂としては、第1基材層SL1のポリエステル系樹脂として採用可能なものと同様のものを用いることができる。第2基材層SL2は、樹脂成分としてポリエステル系樹脂のみを含んでいることが好ましい。リサイクル性の観点から、第2基材層SL2のポリエステル系樹脂は、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。環境負荷低減の観点からは、第2基材層SL2におけるポリエステル系樹脂が、リサイクル原料またはバイオマス原料からなることが好ましいが、筒状胴部10および後述する扁平状底部30の製造費用低減の観点からは、第2基材層SL2におけるポリエステル系樹脂は、バージン原料からなることも好ましい。
【0028】
第2基材層SL2は、単層フィルムであってもよいし、積層フィルムの一部であってもよい。第2基材層SL2を構成する単層フィルムまたは積層フィルムは、無延伸、一軸延伸、または、二軸延伸フィルムであってもよい。第2基材層SL2を構成するフィルムは、二軸延伸フィルムであることが好ましい。これにより、筒状胴部10を強靭に保ちつつ径方向厚さをより薄くできる。また、シートSが後述するバリア層BLを含む場合には、第2基材層SL2を構成するフィルムが二軸延伸フィルムであることにより、バリア層BLの割れなどを抑制できる。第2基材層SL2が積層フィルムの一部である場合、第2基材層SL2は、第1基材層SL1とともに積層フィルムの一層として構成されていてもよく、接着剤層などを介することなく直接第1基材層SL1に積層されていてもよい。第2基材層SL2は、ポリエステル系樹脂を主成分として含み、かつ、二軸延伸フィルムで構成されていることが特に好ましい。
【0029】
本実施形態において、シートSは、バリア層BLをさらに含んでいる。バリア層BLは、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1側に位置しているが、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1とは反対側に位置していてもよい。なお、シートSは、バリア層BLを含んでいなくてもよい。
【0030】
バリア層BLを構成する材料は特に限定されない。バリア層BLとしては、シリカバリア層もしくはアルミナバリア層などのセラミックバリア層、または、アルミバリア層などの金属バリア層などが挙げられる。本実施形態において、バリア層BLは、第2基材層SL2(具体的には第2基材層SL2を構成するフィルム)に蒸着により積層されている。
【0031】
本実施形態において、シートSは、第1接着剤層AL1をさらに含んでいる。第1接着剤層AL1は、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置している。より具体的には、第1接着剤層AL1は、第1基材層SL1とバリア層BLとの間に位置し、これらを互いに接合する。バリア層BLが第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置していない場合には、第1接着剤層AL1は、第1基材層SL1と第2基材層SL2とを互いに接合する。第1接着剤層AL1を構成する接着剤は特に限定されないが、ドライラミネート用接着剤を用いることが好ましい。ドライラミネート用接着剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0032】
本実施形態において、シートSは、第3基材層SL3をさらに含んでいる。第3基材層SL3は、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1とは反対側に積層されている。第3基材層SL3は、第1基材層SL1および第2基材層SL2から見て筒状胴部10の径方向外側に位置している。第3基材層SL3は、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置していてもよい。
【0033】
なお、シートSは、第1基材層SL1と第3基材層SL3との間に他の層をさらに含んでいてもよい。シートSは、第2基材層SL2と第3基材層SL3との間に他の層をさらに含んでいてもよい。シートSは第3基材層SL3を含んでいなくてもよい。
【0034】
本実施形態において、第3基材層SL3は樹脂成分を主成分として含んでおり、たとえば、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂を主成分として含んでいてもよい。第3基材層SL3の樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、または、第1基材層SL1および第2基材層SL2の主成分として採用可能なポリオレフィン系樹脂およびポリエステル系樹脂と同様のものが使用可能である。第3基材層SL3が、第2基材層SL2から見て第1基材層SL1の反対側に積層されている場合、溶着部12におけるシートS同士の接着性の観点から、第3基材層SL3は、第1基材層SL1の主成分と同種の樹脂成分を主成分として含むことが好ましい。これにより、溶着部12(および後述する扁平状底部30の予備溶着部)において、第1基材層SL1と第3基材層SL3とが互いに溶着し、溶着部12においてシートS同士の接合強度をより向上させることができる。
【0035】
第3基材層SL3の主成分として採用可能なポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートまたはグリコール変性ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。環境負荷低減の観点からは、第3基材層SL3におけるポリエステル系樹脂が、リサイクル原料またはバイオマス原料からなることが好ましいが、筒状胴部10の製造費用低減の観点からは、第3基材層SL3におけるポリエステル系樹脂は、バージン原料からなることも好ましい。
【0036】
第3基材層SL3は、単層フィルムでもよいし、または積層フィルムの一部であってもよい。第3基材層SL3を構成するフィルム(単層フィルムまたは積層フィルム)は、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、または、二軸延伸フィルムのいずれから構成されていてもよい。筒状胴部10におけるシートS同士の接着性(すなわち、溶着部12における第1基材層SL1と第3基材層SL3との溶着の容易さ)の観点から、第3基材層SL3は、無延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムで構成されていることが好ましく、無延伸フィルムで構成されていることがより好ましい。第3基材層SL3が無延伸または一軸延伸のフィルムで構成されていれば、第3基材層SL3の表面の結晶化が抑制されているため、超音波溶着を実施する際においては他の層との溶着性が向上する。第3基材層SL3は、ポリエステル系樹脂を主成分として含み、かつ、無延伸フィルムで構成されていることが特に好ましい。
【0037】
第3基材層SL3は、シートSの最外層であることが好ましく、少なくとも、溶着部12および扁平状底部30においてシートSの最外層であることが好ましい。
【0038】
本実施形態において、シートSは、第2接着剤層AL2をさらに含んでいる。第2接着剤層AL2は、第2基材層SL2と第3基材層SL3との間に位置しており、これらを互いに接合する。第2接着剤層AL2を構成する接着剤は特に限定されないが、ドライラミネート用接着剤を用いることが好ましい。ドライラミネート用接着剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0039】
シートSは、意匠性向上のための印刷層をさらに含んでいてもよい。印刷層は、筒状胴部10の最内層である第1基材層SL1より径方向外側に位置していれば、いずれの層間に位置していてもよい。たとえば第2基材層SL2から見て第1基材層SL1とは反対側に位置していてもよいし、第1基材層SL1と第2基材層SL2との間に位置していてもよいし、第1基材層SL1から見て第2基材層SL2とは反対側に位置していてもよい。印刷層は、第3基材層SL3から見て第2基材層SL2とは反対側に位置していてもよいし、第3基材層SL3と第2基材層SL2との間に位置していてもよい。印刷層は、第3基材層SL3から見て第2基材層SL2とは反対側に位置していることが好ましい。
【0040】
シートSは、溶着部12において印刷層を含まないことも好ましい。これにより、溶着部12の溶着時において印刷層が溶けてチューブ容器1の美粧性が低下することを抑制できる。また、後述する扁平状底部30においてシートSが印刷層を含まないことも好ましい。これにより、扁平状底部30に係る溶着時において印刷層が溶けてチューブ容器1の美粧性が低下することを抑制できる。
【0041】
印刷層は、たとえばインキからなる。インキとしては、たとえば油性インキ(溶媒に有機溶剤を用いた溶剤系インキを含む)、水性インキ(水分散系のエマルジョンインキを含む)、または、UV硬化型インキなどが挙げられる。
【0042】
シートSは、アンカーコート層をさらに含んでいてもよい。アンカーコート層は、印刷層と他の層との間に位置する。アンカーコート層は、印刷層と他の層との接着性を高める。アンカーコート層は従来公知のアンカーコート剤等により形成できる。
【0043】
シートSが印刷層を含む場合、印刷層にはさらに透明保護層が積層されていてもよい。透明保護層は、たとえばポリプロプレンフィルムなどの樹脂フィルムであってもよいし、透明インキからなる層であってもよい。
【0044】
シートSの合計厚さは、シートSを筒状に形成する観点およびチューブ容器1の取扱性の観点から、たとえば12μm以上300μm以下であることが好ましい。これにより、筒状胴部10を容器の一部として用いる場合には、容器に収容された内容物を押し出すようにして注出可能なスクイズ性を、筒状胴部10に付与できる。ひいては、シートSが、ポリエステル系樹脂を主成分として含む第1基材層SL1を含んでいる場合には、シートSの合計厚さが12μm以上300μm以下であることにより、筒状胴部10に折罫線を容易に形成することができる。これにより、筒状胴部10に良好なスクイズ性を付与できる。
【0045】
また、第1基材層SL1の厚さは、たとえば10μm以上300μm以下であることが好ましい。第2基材層SL2の厚さは、たとえば5μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上100μm以下であることがより好ましい。
【0046】
シートSが互いに積層された複数の層を含む場合、第1基材層SL1は、筒状胴部10の最内層であって溶着部12の溶着の際に必ず他の層と接着することになる観点から、第2基材層SL2より厚いことが好ましい。これにより、溶着部12における溶着の際に、第2基材層SL2に含まれる樹脂成分がシートS同士の溶着の強度に与える影響を小さくできる。当該影響をより小さくする観点から、第1基材層SL1の厚さは、第2基材層SL2の厚さの1.5倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましく、5倍以上であることがさらに好ましい。第1基材層SL1は、シートSにおいて最も厚い層であってもよい。なお、本明細書において、シートSおよびこれらを構成する層の厚さとは、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSおよびこれら構成する厚さをいい、シート基部11における、延在部113(詳細は後述)を構成する層の、筒状胴部10の径方向厚さに相当する。
【0047】
第3基材層SL3の厚さは、たとえば10μm以上300μm以下であることが好ましい。第3基材層SL3の厚さは、たとえば5μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上100μm以下であることがより好ましい。第3基材層SL3の厚さは、第1基材層SL1と同じであってもよい。これにより、第1基材層SL1を構成するフィルムと同じフィルムにて第3基材層SL3を構成することが可能となる。なお、第3基材層SL3の厚さは第1基材層SL1の厚さと異なっていてもよい。第3基材層SL3の厚さは、第1基材層SL1より厚いことも好ましい。第3基材層SL3の厚さが第1基材層SL1より厚いことで、シートSが第1基材層SL1側において凹状にカールしやすくなり、シートSの筒状化がより容易となる。第3基材層SL3は、シートSにおいて最も厚い層であってもよい。第3基材層SL3は、第2基材層SL2より厚いことが好ましい。
【0048】
次に、シート基部11および溶着部12の詳細について説明する。
図8は、
図1の筒状胴部をVIII-VIII線矢印方向から見た部分断面図である。
図1、
図5および
図8に示すように、シート基部11は、第1基端部111と、第2基端部112と、延在部113とを有している。
【0049】
第1基端部111は、シートSにおいて第2の側端部SE2と連続している部分である。第2基端部112は、シートSにおいて第1の側端部SE1と連続している部分である。第1基端部111および第2基端部112は、それぞれ溶着部12に沿って、筒状胴部10の一方端部13から他方端部14にかけて延びている(
図1および
図5参照)。
【0050】
第1基端部111および第2基端部112の平均厚さは、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSの厚さ(延在部113の径方向厚さ)と異なっている。
【0051】
第1基端部111および第2基端部112は、筒状胴部10形成前のシートSの厚さより径方向厚さが厚い部分および薄い部分の両方を有していてもよいし、厚い部分のみまたは薄い部分のから構成されていてもよい。たとえば、
図8に示す断面視においては、第1基端部111の径方向厚さは、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSの厚さ(延在部113の径方向厚さ)より厚い。また、第2基端部112は、筒状胴部10を形成する前の状態のシートSの厚さ(延在部113の径方向厚さ)よりの径方向厚さが薄い部分と、厚い部分とを有している。
【0052】
延在部113は、シートSの面方向DP(筒状胴部10の周方向DC)において第1基端部111と第2基端部112との間に位置している部分である(
図5参照)。延在部113は、筒状胴部10の軸方向DAから見て、略C字状の外形を有している。筒状胴部10の径方向における延在部113の厚さは、筒状胴部10形成前のシートSの厚さと等しい。
【0053】
帯状の溶着部12は、上記シートSを湾曲または屈曲させて、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを上記シートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されている。本実施形態においては、第1の側端部SE1の外周面と、第2の側端部SE2の内周面とが、互いに溶着されている(
図5参照)。溶着部12は、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延びている(
図3参照)。溶着部12は、一方端部13から他方端部14まで連続的に延びている。
【0054】
溶着部12は、第1先端縁121と、第2先端縁122と、溶着部外周面123と、溶着部内周面124とを有している。
【0055】
図8に示すように、第1先端縁121は、筒状胴部10の周方向DCにおける第1の側端部SE1の先端縁である。第1先端縁121は、第1基端部111と接合している。これにより、溶着部12の溶着面積が比較的大きくなる。ひいては、溶着部12に剥離の応力がかかったときに、当該応力が分散される。よって、溶着部12の溶着強度が向上する。
【0056】
なお、本実施形態では、第1先端縁121において、第1の側端部SE1の第1基材層SL1と、第1基端部111の第1基材層SL1との間に境界があるが、当該境界はなくてもよい。すなわち、第1の側端部SE1の第1基材層SL1と、第1基端部111の第1基材層SL1とが互いに溶融して周方向DCに連続していてもよい。
【0057】
さらに、第1先端縁121は、上記周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置している。これにより、第1先端縁121が外部の物体に接触する機会を低減できる。特に、本実施形態においては、第1の側端部SE1の外周面と、第2の側端部SE2の内周面とが、互いに溶着されることで溶着部12が形成される(
図5参照)。したがって、第1先端縁121が、上記周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置していることにより、チューブ容器1の内容物が第1先端縁121と接触する機会を低減できる。このとき、第1先端縁121の少なくとも一部が、周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置していればよい。しかしながら、
図8に示すように、第1先端縁121の全部が、周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置していることが最も好ましい。
【0058】
また、第1の側端部SE1における第1基材層SL1と第2基材層SL2との第1層間部SB1は、周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内にて第1基端部111と接している。これにより、チューブ容器1の内容物が第1の側端部SE1における第1基材層SL1と第2基材層SL2との第1層間部SB1に接触しにくくなる。ひいては、内容物が第1層間部SB1に接触することによる第1基材層SL1と第2基材層SL2との層間剥離の発生を抑制できる。
【0059】
なお、
図5を参照すると、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2との境界面が形成されているように模式的に示されている。しかしながら、本実施形態において実際には、
図8を参照すると、第1の側端部SE1の第3基材層SL3と、第2の側端部SE2の第1基材層SL1とが互いに溶け合うことで、一体層MLが形成されている。このため、少なくとも、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とは、周方向DCに沿う境界面を明確には形成していない。一体層MLの詳細については後述する。
【0060】
第1先端縁121は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13から他方端部14まで延びている(
図3参照)。
【0061】
図8に示すように、第2先端縁122は、第2の側端部SE2の周方向DCにおける先端縁である。第2先端縁122は、第2基端部112と接合している。これにより、溶着部12の溶着面積が比較的大きくなる。ひいては、溶着部12に剥離の応力がかかったときに、この応力が分散される。
【0062】
なお、本実施形態では、第2先端縁122において、第2の側端部SE2の第3基材層SL3と、第2基端部112の第3基材層SL3との間に境界があるが、当該境界はなくてもよい。すなわち、第2の側端部SE2の第3基材層SL3と、第2基端部112の第3基材層SL3とが互いに溶融して周方向DCに連続していてもよい。
【0063】
さらに、第2先端縁122は、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置している。これにより、第2先端縁122が外部の物体に接触する機会を低減できる。このとき、第2先端縁122の少なくとも一部が、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置していればよい。しかしながら、
図8に示すように、第2先端縁122の全部が、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置していることが最も好ましい。
【0064】
また、第2の側端部SE2における第2基材層SL2と第3基材層SL3との第2層間部SB2は、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内にて第2基端部112と接している。これにより、筒状胴部10の外側に位置する他の物体が第2層間部SB2に接触しにくくなる、ひいては、上記他の物体が第2層間部SB2に接触することにより第2基材層SL2と第3基材層SL3との層間剥離の発生を抑制できる。
【0065】
第2先端縁122は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13から他方端部14まで延びている(
図3参照)。
【0066】
次に、一体層MLについて説明する。
図8に示すように、一体層MLは、第1の側端部SE1の第3基材層SL3と、第2の側端部SE2の第1基材層SL1とが互いに溶け合うことで、一つの層として形成された層である。このため、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに強固に接続される。
【0067】
一体層MLは、第1基端部111の第1基材層SL1と溶着している。具体的には、一体層MLが、第1基端部111の第1基材層SL1と境界を形成せず、第1基端部111の第1基材層SL1と周方向DCにおいて連続している。これにより、一体層MLが第1基端部111の第1基材層SL1と強固に接続される。また、一体層MLは、第2基端部112の第3基材層SL3と溶着している。具体的には、一体層MLが、第2基端部112の第3基材層SL3と境界を形成せず、第2基端部112の第3基材層SL3と周方向DCにおいて連続している。これにより、一体層MLと第2基端部112の第3基材層SL3とが互いに強固に接続される。
【0068】
図8に示すように、溶着部外周面123は、筒状胴部10の径方向外側を向いている。溶着部外周面123は、第2の側端部SE2で構成されている。溶着部外周面123には、凹凸が形成されている。すなわち、第2の側端部SE2には、径方向外側において凹凸が形成されている。溶着部外周面123に凹凸が形成されていることで、触覚による識別性を高めることができるとともに、筒状胴部10を把持したときに筒状胴部10が滑り落ちにくくなる。
【0069】
溶着部12においては、前記筒状胴部10の一方端部13から他方端部14にかけて、前記溶着部外周面123の前記周方向DCの全体に凹凸が形成されている(
図1および
図3参照)。そして、溶着部12(第2の側端部SE2)において、第2基材層SL2と第3基材層SL3との第2層間部SB2は、溶着部外周面123の凹凸の形状に沿うように延びている(
図8参照)。
【0070】
本実施形態において、溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125は、筒状胴部10の径方向から見て、格子状に形成されている(
図1参照)。ただし、筒状胴部10の径方向から見たときの凸部125の形状は特に限定されない。溶着部外周面123には、凹部が格子状に形成されていてもよい。溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125または凹部が、格子状に形成されていることにより、筒状胴部10の周方向DCおよび軸方向DAに沿う方向のいずれにおいても、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2との溶着面積を大きくすることができる。
【0071】
凸部125または凹部は、筒状胴部10の径方向から見て、複数のドット状に形成されていてもよいし、互いに平行な複数の線状に形成されていてもよい。また、溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125の高さ寸法は、筒状胴部10形成前のシートSの厚さ(113の厚さ)の寸法より大きくなっている。そして、溶着部外周面123に形成された凹凸における凸部125の高さ寸法は、筒状胴部10形成前のシートSの厚さ(延在部113の厚さ)の寸法の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、1.5倍以上がさらに好ましい。凸部125の高さ寸法が大きくなるほど、凹凸の形状に沿うように延びている第2層間部SB2の周方向DCに沿う方向における長さが長くなり、溶着部12にかかる剥離応力が分散され、溶着部12の強度が向上する。
【0072】
一方、溶着部内周面124は、筒状胴部10の径方向内側を向いている。溶着部内周面124は、周方向DCに沿うように滑らかである。
【0073】
上記のような溶着部外周面123および溶着部内周面124を有するため、溶着部12は、径方向厚さが比較的厚い部分(凸部125が位置している部分)と、径方向厚さが比較的薄い部分とを有している。溶着部12において、径方向厚さが最も厚い部分の径方向厚さ寸法は、たとえば、シート基部11の延在部113の径方向厚さ寸法(すなわち、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを互いに溶着させる前の状態のシートSの厚さ寸法)の、1.5倍超かつ3倍以下である。溶着部12において、径方向厚さが最も薄い部分の径方向厚さ寸法は、たとえば、シート基部11の延在部113の径方向厚さ寸法(すなわち、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とを互いに溶着させる前の状態のシートSの厚さ寸法)の0.3倍以上1.5倍以下である。
【0074】
なお、本実施形態において、凹凸形状が溶着部外周面123に形成されていたが、溶着部内周面124に凹凸形状が形成されていてもよい。溶着部内周面124に凹凸形状が形成される場合、当該凹凸形状の凸部は、上述した凸部125と同様の構成を有することができる。またこの場合、溶着部12(第1の側端部SE1)において、第1基材層SL1と第2基材層SL2との第1層間部SB1が、溶着部内周面124の凹凸の形状に沿うように延びていてもよい。さらにこの場合、溶着部外周面123は、周方向DCに沿うように滑らかであってもよい。
【0075】
筒状胴部10は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13において、注出部20と接合している。一方端部13は、注出部20と接合されることで、可撓性を有さず、その外形形状を維持可能に構成されていてもよい。一方端部13は、筒状胴部10の軸方向DAから見て、円環状の外形を有している。一方端部13は、筒状胴部10の軸方向DAから見て、楕円環状または多角形環状の外形を有していてもよい。
【0076】
筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13は、当該軸方向DAにおけるシート基部11の一方端部と、溶着部12の一方端部とからなる。一方端部13においても、第1先端縁121は、上記周方向DCに沿う方向から見て、第1基端部111の厚み内に位置することが好ましい。これにより、一方端部13の第1先端縁121近傍において筒状胴部10の内表面が比較的滑らかになり、筒状胴部10の内表面を注出部20に容易に接合できる。
【0077】
また、一方端部13において、第2先端縁122も、周方向DCに沿う方向から見て、第2基端部112の厚み内に位置していることも好ましい。これにより、一方端部13の第2先端縁122近傍において筒状胴部10の外表面が比較的滑らかになり、注出部20の少なくとも一部を筒状胴部10の外周側と接合させる場合には、筒状胴部10の外表面を注出部20に容易に接合できる。
【0078】
また、本実施形態においては、一方端部13においても、溶着部内周面124が周方向DCに沿うように滑らかである。このため、一方端部13において筒状胴部10の内周面と注出部20との接合が容易になる。
【0079】
筒状胴部10の軸方向DAにおける他方端部14は、軸方向DAに直交する方向(具体的には後述する第2方向)に沿って延びている。他方端部14は、扁平状底部30により閉塞されている。他方端部14は、扁平状底部30に沿うように延びている。扁平状底部30の詳細な構成は後述する。
【0080】
[注出部]
図13は、
図1のチューブ容器をXIII-XIII線矢印方向から見たときの部分断面図である。
図1から
図4、
図6および
図13に示すように、注出部20は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13に接合されている。これにより、注出部20は、筒状胴部10に収容された内容物を注出可能である。本実施形態においては、注出部20も内容物を収容可能な形状を有しており、チューブ容器1は、筒状胴部10と注出部20とで形成された空間に内容物を収容可能である。
【0081】
具体的には、注出部20は、筒状胴部10の一方端部13の径方向内側に位置している。注出部20は、筒状胴部10の一方端部13の径方向外側に位置していてもよい。注出部20は、筒状胴部10の一方端部13の径方向外側および径方向内側の両方に位置していてもよい。
【0082】
注出部20は、注出口21と、肩部22と、延出部23とを有している。注出口21は、内容物を注出するために設けられている。換言すれば、注出口21は、キャップ部40が取り外された状態のチューブ容器1の内部と外部とを互いに連通させている。注出口21は、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延び、略筒状の外形を有している。
【0083】
肩部22は、筒状胴部10の軸方向DAから見た時に注出口21を中心として注出口21から径方向に拡がっている。本実施形態において、肩部22は、上記軸方向DAから見たときの外形が円形上であるが、楕円形状または多角形状であってもよい。また、本実施形態において肩部22は、略円錐台状の外形を有しているが、円盤状の外形を有していてもよい。
【0084】
肩部22の厚みは特に限定されないが、たとえば0.5mm以上2.0mm以下である。なお、肩部22の厚みとは、肩部22の外表面から内表面までの最短の厚みである。
【0085】
延出部23は、肩部22から、筒状胴部10の軸方向DAに沿って延出している。延出部23は、上記軸方向DAから見て、環状の外形を有している。
【0086】
本開示の一実施形態に係るチューブ容器1において、注出部20は、ポリエステル系樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなる。注出部20におけるポリエステル系樹脂は、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂と同様のものが使用可能である。チューブ容器1のリサイクル性の観点からは、注出部20のポリエステル系樹脂は、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。また、注出部20におけるポリエステル系樹脂は、注出部20の成形性の観点から、非晶性のポリエステル系樹脂(非晶性のポリエチレンテレフタレート、および、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートなど)であることが好ましい。なお、注出部20におけるポリエステル系樹脂は、結晶性のポリエステル系樹脂(たとえば、結晶性のポリエチレンテレフタレート)であってもよい。チューブ容器1のリサイクル性の観点から、注出部20を構成する樹脂組成物は、樹脂成分としてポリエステル系樹脂のみを含んでいることが好ましい。注出部20を構成する樹脂組成物は、従来公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。また、環境負荷低減の観点からは、当該樹脂組成物におけるポリエステル系樹脂が、リサイクル原料またはバイオマス由来の原料からなることが好ましいが、注出部20の製造費用低減の観点からは、当該樹脂組成物におけるポリエステル系樹脂は、バージン原料からなることも好ましい。
【0087】
注出部20を成形するために使用される、ポリエステル系樹脂材料の固有粘度(IV)の値は、JIS規格(K7390-1:2015)に準拠して測定したときに、たとえば0.60以上0.90以下であればよい。IV値が0.60以上0.90以下であれば、注出部20の成形が容易となる。
【0088】
[扁平状底部]
図9は、
図1の扁平状底部をIX-IX線矢印方向から見た模式的な断面図である。
図10は、扁平状底部が形成される直前のシートの状態を示す模式的な断面図である。
図10においては、
図9と同じ断面視にて断面図が図示されている。
【0089】
図9および
図10に示すように、扁平状底部30は、第1の側端部SE1と第2の側端部とをシートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成されたシートS(特に
図10参照)の内周面を、上記軸方向DAに直交する第1方向D1につき合わせてさらに溶着させることで形成されている。
【0090】
扁平状底部30は可撓性を有していてもよい。本明細書において扁平状底部30が説明される際は、扁平状底部30の状態に明記がない限りおいて、上記軸方向DAおよび第1方向D1の両方に直交する方向である第2方向D2に略平行に延びた状態の扁平状底部30が説明される。
【0091】
扁平状底部30は、第1方向D1の一方側を向く平坦な第1面31と、第1方向D1の他方側を向く凹凸状の第2面32とを有している。なお、「平坦な」第1面31とは、第2面32と比較してより平坦であることを意味する。
【0092】
扁平状底部30は、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに溶着することで形成された予備溶着部33と、シートSのうち予備溶着部33と第1方向D1においてさらに溶着される部分である第1対向部34とを有している。予備溶着部33は、軸方向DAにおいて溶着部12と隣接している(
図1参照)。
【0093】
本実施形態においては、予備溶着部33が、平坦な第1面31の一部を構成し、かつ、第1対向部34が、凹凸状の第2面32の一部を構成する。このように、予備溶着部33が平坦な第1面31の一部を構成することで、筒状胴部10の溶着部12と予備溶着部33との境界部分も平坦となり、当該境界部分近傍にピンホールが発生することを抑制できる。一方、第1対向部34が、凹凸状の第2面32の一部を構成することで、シートSの内周面同士をさらに溶着させる際においては、第2面32の凹部において比較的強い応力がかけられるため、シートSの内周面同士を強固に溶着させることができる。このように、筒状胴部10の注出側とは反対側の端部において良好な溶着状態が形成されている。
【0094】
さらに、本実施形態においては、筒状胴部10の第1基端部111および第2基端部112の平均厚さがシートSと異なっている場合がある(
図1および
図8参照)。しかしながら、予備溶着部33が平坦な第1面31の一部を構成することで、筒状胴部10の他方端部14のうち第1基端部111および第2基端部112が位置する部分においてピンホールの発生が抑制された状態となっている。
【0095】
特に、本実施形態においては、上述したように第1基材層SL1が、樹脂成分としてポリエステル系樹脂を主成分として含むことが好ましく、ポリエチレンテレフタレートからなる無延伸または一軸延伸フィルムであることが最も好ましい。ここでさらに、シートSが強度向上等のため第2基材層SL2としてポリエチレンテレフタレートからなる二軸延伸フィルムを含む場合には、シートSがポリエチレンテレフタレートからなる無延伸または一軸延伸フィルムから構成された基材層のみを含む場合に比べて、扁平状底部30の形成の際に比較的高いエネルギーをシートSに与える必要がある。このため、上記境界部近傍にピンホールが発生しやすい。しかしながら、予備溶着部33は、(後述する第1溶着器具によって)平坦な第1面31の一部を構成するように形成されるため、当該境界部分近傍におけるピンホールの発生が抑制される。
【0096】
扁平状底部30は、予備溶着部33および第1対向部34のそれぞれに隣接する、一対の第2対向部35および一対の第3対向部36をさらに有している。
【0097】
一対の第2対向部35は、筒状に形成されたシートS(
図10参照)のうち、第1方向D1にて対向する一対の部分同士が互いに溶着することで形成されており、かつ、一対の第2対向部35の一方は、シートSにおいては第1の側端部SE1と連続している。一対の第2対向部35の一方は、平坦な第1面31の一部を構成する。一対の第2対向部35の他方は、凹凸状の第2面32の一部を構成する。
【0098】
一対の第3対向部36は、筒状に形成されたシートS(
図10参照)のうち、第1方向D1にて対向する一対の部分同士が互いに溶着することで形成されており、かつ、一対の第3対向部36の一方は、シートSにおいては第2の側端部SE2と連続している。一対の第3対向部36の一方は、平坦な第1面31の一部を構成する。一対の第3対向部36の他方は、凹凸状の第2面32の一部を構成する。
【0099】
本実施形態においては、
図1および
図2に示すように、扁平状底部30が、第1方向D1の上記一方側を向く面の全体が平坦な第1面31となるように構成されている。また、扁平状底部30は、第1方向D1の上記他方側の面が、少なくとも第2方向D2における全体に亘って、凹凸状の第2面32を構成する。さらに本実施形態においては、扁平状底部30は、第1方向D1の上記他方側の面の全体が凹凸状の第2面32である。これにより、シートSの内周面同士をさらに溶着させる際においては、第2面32の凸部において比較的強い応力がかけられる範囲が拡がるため、シートSの内周面同士を強固に溶着させることができる。
【0100】
なお、扁平状底部30は、第1方向D1における上記他方側の面が軸方向DAの全体に亘って凹凸状の第2面32を構成していなくてもよい。
図11は、本開示の一実施形態のチューブ容器の変形例を示す正面図である。
【0101】
図11に示すように、本実施形態の変形例において扁平状底部30は、第1方向D1における上記他方側において(
図9参照)、第2面32aから見て筒状胴部側に位置する平坦な第3面37aと、第2面32aから見て筒状胴部側とは反対側に位置する平坦な第4面38aとをさらに有する。これにより、第2面32aにおいては凹部において筒状に形成されたシートS同士を比較的強固に溶着させつつ、第3面37aおよび第4面38aにおいては、溶着時の応力集中箇所の発生を抑制できるため、シートSの白化を抑制し、チューブ容器1の美観を向上させることができる。
【0102】
なお、扁平状底部30は、第1方向D1における上記他方側の表面が第2面32aおよび第3面37aのみで構成されていてもよい。扁平状底部30は、第1方向D1における上記他方側の表面が第2面32aおよび第4面38aのみで構成されていてもよい。
【0103】
また、第3面37aが第2面32aの凹凸状とは異なる形状の凹凸状であり、かつ、第4面38aが平坦であってもよい。第3面37aが平坦であり、かつ、第4面38aが第2面32aの凹凸状とは異なる形状の凹凸状であってもよい。第3面37aが第2面32aの凹凸状とは異なる形状の凹凸状であり、かつ、第4面38aも第2面32aの凹凸状とは異なる形状の凹凸状であってもよく、さらに第4面38aが第3面37aの凹凸状と異なる形状の凹凸状であってもよい。
【0104】
さらに、扁平状底部30は、本変形例において、シートSの内周面同士が溶着していない非溶着領域を有していてもよい。非溶着領域は、たとえば、軸方向DAにおいて、第4面38aが位置する部分から見て、筒状胴部側とは反対側に位置してもよい。非溶着領域は、たとえば第2方向D2に延びるように帯状に形成されていてもよい。
【0105】
図2に示すように、本開示の一実施形態に係るチューブ容器1において、第1方向D1から見た時に、第2面32の凹凸形状における凸部は、格子状に形成されている。ただし、第2面32の凹凸状における凸部の形状は特に限定されない。たとえば、第2面32の凹凸形状における凹部が、格子状に形成されていてもよい。
【0106】
また、扁平状底部30は、軸方向DAおよび第1方向D1の両方に直交する第2方向D2の両側において面取りされた角部39を有する。これにより、扁平状底部30の剛性が高くても、チューブ容器1を取り扱う者が角部39に触れた際に感じる触感を改善することができる。角部39は、本実施形態においていわゆるR面取り加工されているが、C面取り加工されていてもよい。
【0107】
次に、扁平状底部30の内部の構造について詳細に説明する。
図12は、本開示の一実施形態に係るチューブ容器において、扁平状底部を示す部分断面図である。
図12においては、扁平状底部30のうち予備溶着部33およびその近傍が示されている。
【0108】
図12に示すように、予備溶着部33において、実際には、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2の境界(
図9参照)が明確には形成されていない。すなわち、予備溶着部33においては、第1の側端部SE1の第3基材層SL3および第2の側端部SE2の第1基材層SL1(
図7参照)が互いに溶け合うことで、
図8に示す溶着部12と同様に、一体層MLが形成されている。これにより、予備溶着部33においても第1の側端部SE1および第2の側端部SE2が互いに強固に溶着されている。
【0109】
また、
図12に示すように、予備溶着部33および第1対向部34の境界(
図9参照)は明確に形成されていない。すなわち、予備溶着部33のうち第1の側端部SE1の第1基材層SL1および第1対向部34の第1基材層SL1(
図7参照)が互いに溶け合うことで、第1底部一体層MLE1が形成されている。これにより、予備溶着部33および第1対向部34が互いに強固に溶着されている。
【0110】
予備溶着部33および第1対向部34と同様に、一対の第2対向部35の境界(
図9参照)もまた、明確に形成されていない(
図12)。すなわち、一対の第2対向部35の各々の第1基材層SL1同士(
図7参照)が互いに溶け合うことで、第2底部一体層MLE2が形成されている。これにより、一対の第2対向部35同士が互いに強固に溶着されている。
【0111】
予備溶着部33および第1対向部34と同様に、一対の第3対向部36の境界(
図9参照)もまた、明確に形成されていない(
図12)。すなわち、一対の第3対向部36の各々の第1基材層SL1同士(
図7参照)が互いに溶け合うことで、第3底部一体層MLE3が形成されている。これにより、一対の第3対向部36同士が互いに強固に溶着されている。
【0112】
[キャップ部]
図1および
図3に示すように、キャップ部40は、注出部20に対して着脱可能に取り付けられている。
【0113】
図13に示すように、キャップ部40は、天面部41と、周側部42とを有している。天面部41は、筒状胴部10の軸方向DAにおいて、注出口21に当接している。天面部41にはスナップフィットが設けられており、当該スナップフィットが注出口と係合している。天面部41と注出口21との係合の態様は、スナップフィットによる係合に限定されず、たとえばネジ式であってもよい。
【0114】
キャップ部40(天面部41)が注出口21と係合している状態において、周側部42は、延出部23との間に一方端部13の少なくとも一部が位置するように構成され、具体的には一方端部13の全体が位置するように構成されている。なお、上記係合状態において、周側部42は、延出部23との間に一方端部13が位置していなくてもよい。周側部42は、延出部23の径方向外側に位置していてなくてもよい。
【0115】
本開示の一実施形態に係るチューブ容器1において、キャップ部40は、樹脂組成物からなる。キャップ部40は、チューブ容器1のリサイクル性の観点から、ポリエステル系樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなることが好ましい。
【0116】
キャップ部40におけるポリエステル系樹脂は、第1基材層SL1におけるポリエステル系樹脂と同様のものが使用可能である。チューブ容器1のリサイクル性の観点からは、キャップ部40のポリエステル系樹脂は、ホモポリエチレンテレフタレート、もしくは、エチレングリコールとテレフタル酸と第3成分とを共重合させてなる共重合ポリエチレンテレフタレートなどのポリエチレンテレフタレート、または、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。また、キャップ部40におけるポリエステル系樹脂は、キャップ部40の成形性の観点から、非晶性のポリエステル系樹脂(非晶性のポリエチレンテレフタレート、および、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートなど)であることが好ましい。
【0117】
<内容物入りチューブ容器>
チューブ容器1は、上述したように、筒状胴部10と、注出部20とで形成された内部空間に内容物を収容可能である。内容物は特に限定されないが、従来公知のチューブ容器に収容されるものであってもよい。内容物としては、たとえば、化粧料、食品、医薬品、または、口腔用組成物などが挙げられる。当該内容物は、ポリオレフィン系樹脂に吸着可能な油溶性化合物、油性成分、揮発性油性成分、香料または甘味料のうち少なくとも1つ、または、界面活性剤を含有してもよい。
【0118】
本実施形態に係るチューブ容器1において、内容物と直接接触する樹脂(第1基材層SL1)がポリエステル系樹脂であれば、ポリオレフィン系樹脂に吸着可能な上記成分がチューブ容器1に吸着したり、チューブ容器1がこれらの成分を吸収して膨潤することを比較的抑制できる。また、溶着部12が強固に接合されているため、界面活性剤が溶着部12から外部へ漏出することを抑制できる。本実施形態において、第1基材層SL1はポリエステル系樹脂を主成分として含んでいる。
【0119】
油溶性化合物としては、たとえば、DL-α-トコフェロール、D-δ-コフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、コハク酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸DL-α-トコフェロール、リノール酸DL-α-トコフェロール等のトコフェロール類;3-メチル-4-イソプロピルフェノール(別名イソプロピルメチルフェノール)等が挙げられる。油溶性化合物は、たとえば、上記内容物が医薬品、食品、化粧料である場合に、上記内容物に含まれる。上記トコフェロール類は、いわゆるビタミンEおよびその誘導体であり、老化防止作用、末梢血管拡張作用、血行促進作用等を期待して上記内容物に配合される。3-メチル-4-イソプロピルフェノールは、殺菌剤、防腐剤として、アクネ化粧料等の化粧料および医薬品等に配合される。
【0120】
油性成分としては、たとえば、ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル等の天然油脂類;流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類;流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル-2-エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル等の合成油性成分;および、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成することが可能なシリコーン樹脂、シリコーンゴム等の、シリコーン類が挙げられる。これらの油性成分は、たとえば、内容物が化粧料である場合に、上記内容物に含まれる。
【0121】
揮発性油性成分としては、比較的低分子量のシリコーン油、比較的低分子量の炭化水素油、エーテル油等が挙げられる。シリコーン油としては、直鎖状シリコーンまたは環状シリコーンが挙げられる。シリコーン油としては、具体的には、鎖状ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサンが挙げられる。鎖状ジメチルポリシロキサンとしては、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、直鎖のものとしては、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等が挙げられ、分岐鎖のもとしては、メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等が挙げられる。環状ジメチルポリシロキサンとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。炭化水素としては、イソドデカン、イソトリデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン等が挙げられ、エーテル油としては、エチルパーフルオロブチルエーテル等が挙げられる。これらの揮発性油性成分は、主に、内容物が日焼け止め水中油型乳化化粧料などの化粧料である場合に、上記内容物に含まれる。
【0122】
香料としては、たとえば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ピメント油、ティーツリー油、タバナ油、スターアニス油、フェンネル油、珪藻油、バジル油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー、ナツメグ等の天然香料もしくはこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料;カンファー、メントール、カルボン、ベンジルサクシネート、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、メチルオイゲノール、3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N-置換-パラメンタン-3-カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート、オシメン、n-デシルアルコール、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、エチルリナロール、ワニリン、ベンズアルデヒド、等の単品香料;および、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等が挙げられる。これらの香料は、たとえば、上記内容物が口腔用組成物である場合に、上記内容物に含まれる。また、香料は、わさび、からし、マスタード等の食品の香気成分として上記内容物に含まれるものであってもよい。
【0123】
甘味料としては、たとえば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトールなどが挙げられる。これらの甘味料は、たとえば、上記内容物が口腔用組成物である場合に、上記内容物に含まれる。
【0124】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、N-アシルサルコシン酸、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、リン酸エステル塩、スルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、N-アシルグルタミン酸塩、硫酸化油、POE-アルキルエーテルカルボン酸、POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、および、カゼインナトリウム等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム)、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POE -アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、および、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。両性界面活性剤としては、イミダゾリン系両性界面活性剤およびベタイン系界面活性剤等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルキロールアミド、および、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0125】
<チューブ容器の製造方法>
次に、本開示の一実施形態に係るチューブ容器1の製造方法について説明する。
図14は、本開示の一実施形態に係るチューブ容器の製造方法を示すフロー図である。
図14に示すように、本実施形態に係るチューブ容器1の製造方法は、シート準備工程S1と、重ね合わせ工程S2と、筒状体形成工程S3と、注出部接合工程S4と、キャップ部取り付け工程S5と、扁平状底部形成工程S6とを備えている。
【0126】
シート準備工程S1においては、複数の層を互いに積層することで、シートSを準備する。たとえば、単層フィルムからなる第1基材層SL1と、バリア層BLが蒸着された単層フィルムからなる第2基材層SL2とを、ドライラミネートにより第1接着剤層AL1で接合するとともに、第2基材層SL2と単層フィルムからなる第3基材層SL3とを、ドライラミネートにより第2接着剤層AL2で接合することで、シートSを準備してもよい。第1基材層SL1、第2基材層SL2および第3基材層SL3を含む市販の積層フィルムを準備してもよい。
【0127】
図15は、重ね合わせ工程および筒状体形成工程におけるシートを示す模式的な図である。
図15においては、
図5の断面視方向に対応する方向からシートSを図示している。
図15に示すように、重ね合わせ工程S2においては、準備されたシートSが、筒状に形成されつつ、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに重ね合わされる。
【0128】
筒状体形成工程S3においては、筒状に形成されたシートSの径方向内側および径方向外側のうち一方側に位置させた、超音波ホーン5と、径方向内側および径方向外側のうち他方側に位置させたアンビル6とにより、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2を挟み込むことでこれらを互いに超音波溶着させることにより、筒状体CB(
図10参照)を形成する。筒状体形成工程S3においては、溶着部12および扁平状底部30の予備溶着部33が形成される(
図1、
図5および
図10参照)
【0129】
なお、本明細書および図中において、筒状体CBのうち、筒状胴部10と同一部分または相当部分には同一符号を付して説明される。
【0130】
このとき、
図15に示すように、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2は、超音波ホーン5からの超音波により振動されつつ、超音波ホーン5およびアンビル6によりシートSの厚さ方向に加圧される。本実施形態においては、超音波ホーン5がシートSの径方向外側に位置し、アンビル6がシートSの径方向内側に位置している。なお、超音波ホーン5がシートSの径方向内側に位置し、アンビル6がシートSの径方向外側に位置してもよい。
【0131】
超音波ホーン5およびアンビル6の少なくとも一方は、シートSを挟み込む際にシートSに押し付けるための凹凸形状51を有している。本実施形態においては、超音波ホーン5のみが凹凸形状51を有している。なお、超音波ホーン5およびアンビル6の両方が当該凹凸形状を有していてもよいし、アンビル6のみが凹凸形状を有していてもよい。
【0132】
本実施形態においては、凹凸形状51を有する超音波ホーン5が、筒状に形成されたシートSの径方向外側に位置し、アンビル6が、筒状に形成されたシートSの径方向内側に位置する。このため、溶着部外周面123に、超音波ホーン5の凹凸形状51に沿うように凹凸が形成される(
図8参照)。なお、凹凸形状51を有する超音波ホーン5が、シートSの径方向内側に位置し、アンビル6が、シートSの径方向外側に位置してもよい。
【0133】
本実施形態においては、この凹凸形状51の凸部511により、第2の側端部SE2が、複数の箇所において局所的に第1の側端部SE1に押し込まれる。これにより、溶着部12および予備溶着部33において、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2の樹脂成分が互いに溶け合いやすくなる(
図5および
図9参照)。ひいては、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに強固に溶着される。より具体的には、溶着部12および予備溶着部33において、一体層MLが容易に形成される(
図8および
図12参照)。
【0134】
図15に示すように、凹凸形状51は、筒状に形成されたシートSの径方向から見て第1の側端部SE1および第2の側端部SE2の全体と重なるように位置する。これにより、本実施形態においては、溶着部12において、周方向DCの全体に凹凸が形成される。
【0135】
また、筒状に形成されたシートSの径方向から見て、筒状に形成されたシートSの周方向における凹凸形状51の幅寸法は、シートSにおいて第1の側端部SE1および第2の側端部SE2が互いに重なっている領域の幅寸法より大きいことが好ましい。これにより、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2が互いに重なっている領域の幅寸法の長さが設計寸法から変化したり、超音波ホーン5およびアンビル6の位置ずれが生じた場合においても、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2をより確実に互いに溶着させることができる。
【0136】
図16は、本開示の一実施形態に係るチューブ容器の製造方法に使用される超音波ホーンを、アンビルとの対向方向から見た平面図である。
図17は、
図16の超音波ホーンをXVII-XVII線矢印方向から見た断面図である。
【0137】
図16および
図17に示すように、凹凸形状51の凸部511の高さ寸法DHは、シートSの厚さの寸法より大きいことが好ましい。高さ寸法DHは、シートSの厚さの寸法の1.1倍以上でことがより好ましく、1.2倍以上であることがさらに好ましく、1.5倍以上であることが最も好ましい。
【0138】
凸部511にて第1の側端部SE1および第2の側端部SE2の重ね合わせた部分を局所的に加圧することで、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2との重ね合わせ面に、超音波による摩擦熱がかかりやすくなる。そして、高さ寸法DHがシートSの厚さの寸法より大きければ、溶融したシートSの樹脂成分が凸部511間に流れ込むとともに、シートSにおいて凸部511と当接する部分においては高い応力をかけることができる。よって、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに強固に溶着できる。また本実施形態においては、容易に一体層MLを形成できる。
【0139】
また、当該高さ寸法DHは、シートSの厚さの寸法の3倍以下であることが好ましい。高さ寸法DHが3倍以下であれば、凸部511がシートSを貫通することを抑制できる。高さ寸法DHは、たとえば300μm程度である。
【0140】
複数の凸部511の各々の形状は特に限定されないが、たとえば、略四角錐状であることが好ましい。また、複数の凸部511は、超音波ホーン5とアンビル6との対向方向から見て、一方向およびこれに直交する方向の各々に沿って並ぶように位置している。これにより、溶着部12の凸部125が、格子状に形成される。
【0141】
複数の凸部511の頂点同士の離隔距離の寸法DWは、0.4mm以上2.0mm以下であることが好ましい。離隔距離の寸法DWが0.4mm以上であれば、シートSの樹脂成分がより流れこみやすくなる。離隔距離の寸法DWが2.0mm以下であれば、凸部511同士の間に流れ込んだシートSの樹脂成分が凹凸形状51から漏出することを抑制できる。なお、凹凸形状51は、第1の側端部SE1および第2の側端部SE2の全体と重なるように形成されていなくてもよいが、これらの全体と重なるように形成されていることが好ましい。
【0142】
なお、凹凸形状51は、上述の形状に限定されない。
図18は、本開示の一実施形態において凹凸形状の凸部が互いに接続されている超音波ホーンを示す平面図である。
図18に示すように、上記対向方向から見て、複数の凸部511はそれぞれ最も近くに位置する凸部511と繋がっていてもよい。すなわち、凸部511が、凹凸形状51全体に拡がる格子状に形成されていてもよい。この場合、凹凸形状51において凸部511で構成された格子の各交差点511Cは、0.4mm以上2.0mm以下の間隔で並んでいることが好ましい。これにより、シートSの樹脂成分が凹凸形状51の凹部により流れこみやすくなる。
【0143】
注出部接合工程S4においては、筒状体CBに注出部20が接合される。本実施形態において、注出部20は、いわゆるインサート成形により筒状体CBに接合される。
図14に示すように、注出部接合工程S4は、筒状体配置工程S41と、射出成形工程S42とを有している。
【0144】
図19は、注出部接合工程において、インサート成形により注出部を筒状体に接合するときの金型および筒状体を示す模式的な断面図である。
図19に示すように、筒状体配置工程S41においては、金型7の内部に筒状体CBが配置される。具体的には、筒状体CBの一方端部13が少なくとも金型7の内部に配置される。射出成形工程S42においては、内部に筒状体CBの一方端部13が配置された状態で金型7内において筒状体CB(の一方端部13)上に溶融した樹脂組成物を充填することで、筒状体CB上に注出部20を射出成形する。
【0145】
なお、注出部接合工程S4においては、上記のインサート成形に代えて、いわゆる圧縮成型により注出部20が筒状体CBに接合されてもよい。
図20は、圧縮成形による注出部接合工程を示すフロー図である。
図21は、圧縮成形により注出部を筒状体に接合するときの金型、成型材料および筒状体を示す模式的な断面図である。
【0146】
図20および
図21に示すように、圧縮成形による注出部接合工程S4は、筒状体配置工程S41a、成形材料配置工程S42aおよび圧縮成形工程S43aを有する。筒状体配置工程S41aにおいては、第1の金型71a上に筒状体CBが配置される。成形材料配置工程S42aにおいては、第1の金型71a上に樹脂組成物からなる成形材料Mが配置される。圧縮成形工程S43aにおいては、第1の金型71aと、成形材料Mを介して第1の金型71aと対向するように配置された第2の金型72aとにより成形材料Mを圧縮加工することで、筒状体CB(の一方端部13)上に注出部20が圧縮成形される。
【0147】
さらに、注出部接合工程S4においては、上記のインサート成形および圧縮成形に代えて、超音波溶着により注出部20が筒状体CBに接合されてもよい。超音波溶着により注出部20が筒状体CBに接合される場合は、肩部22にも筒状体CBの一方端部13が接合されることが好ましい。このため、当該超音波溶着においては、肩部22にも一方端部13が接合される場合について説明する。
【0148】
図22は、超音波溶着による注出部接合工程を示すフロー図である。
図22に示すように、注出部20を接合する工程S4は、成形された注出部20を準備する工程S41bと、準備された注出部20を、筒状体CBと超音波により溶着させる工程S42bとを有する。注出部20の成形方法は、射出成形または圧縮成形など、従来公知の方法を採用できる。
【0149】
図23は、超音波溶着により注出部を筒状体に接合するときに用いる装置を示す模式的な断面図である。
図23に示すように、注出部超音波溶着工程S42bにおいては、注出部用アンビル81を筒状体CBの内部に配置し、かつ、注出部用アンビル81の上部に注出部20を載置する。注出部用アンビル81の上部は、注出口21の内面、肩部22の内面、および延出部23の内面に沿う外形を有している。このため、注出部用アンビル81上の注出部20は容易に位置決めされる。
【0150】
そして、筒状体CBの一方端部13側から、筒状体CBの軸方向DAに沿って、一方端部13に注出部用超音波ホーン82を押し当てる。このとき、一方端部13は、筒状体CBの径方向内側に向かって折り曲がる。折り曲がった一方端部13は、肩部22の一部に沿うように位置する。肩部22の一部および延出部23に沿って位置した一方端部13は、上述のように配置された注出部用アンビル81と、一方端部13を折り曲げた注出部用超音波ホーン82とによって挟み込まれる。この状態で、注出部20の肩部22の一部および延出部23と、一方端部13とが、注出部用超音波ホーン82により互いに超音波溶着される。
【0151】
キャップ部取り付け工程S5においては、予め成形されたキャップ部40を、注出部20に取り付ける。キャップ部40の成形方法は、射出成形または圧縮成形など、従来公知の方法を採用できる。
【0152】
図24は、扁平状底部形成工程における筒状体を示す模式的な断面図である。
図24においては、筒状体CBを、
図9および
図10と同様の断面視にて図示している。
【0153】
図24に示すように、扁平状底部形成工程S6においては、筒状体CBの内周面同士を超音波溶着によりさらに溶着させることで、他方端部14が閉塞された筒状胴部10(
図1等参照)を形成するとともに、扁平状底部30を形成する(
図9および
図10参照)。
【0154】
扁平状底部形成工程S6においては、底部用超音波ホーンおよび底部用アンビルの一方である第1溶着器具91と、底部用超音波ホーンおよび底部用アンビルの他方である第2溶着器具92とで、筒状体CBを挟み込むことにより、筒状体CBの内周面同士が超音波により振動されることでその摩擦熱により溶着される。
【0155】
第1溶着器具91の筒状体側の表面が平坦であり、第2溶着器具92の筒状体側の表面が凹凸状である。これにより、筒状体CBのうち第1溶着器具側を向く面が、扁平状底部30の第1面31となり、筒状体CBのうち第2溶着器具側を向く面が、扁平状底部30の第2面32となるように、筒状体CBを加工できる(
図9参照)。さらには、筒状体CBにおいて予備溶着部33がシートSの厚さより厚くなっていても、第1溶着器具91によって、一様に平坦な第1面31を形成することが可能となる。
【0156】
また、本実施形態において、第1溶着器具91は、筒状体CBを予備溶着部33側から押圧し、第2溶着器具92は、筒状体CBを第1対向部34側から押圧する。これにより、扁平状底部30において、予備溶着部33が平坦な第1面31の一部を構成し、かつ、第1対向部34が凹凸状の第2面32の一部を構成するように、扁平状底部30を形成できる(
図9参照)。ひいては、予備溶着部33を平坦な第1溶着器具91で応力をかけることで、筒状体CBにおいて予備溶着部33の厚さが比較的薄い部分およびその近傍にてピンホールが発生することを抑制ですることができる。
【0157】
本実施形態においては、第1溶着器具91が底部用超音波ホーンであり、第2溶着器具92が底部用アンビルである。このように、底部用アンビルの表面が凹凸状であることで筒状体CBに対して局所的にある程度強い応力をかけつつも、底部用超音波ホーンの表面が平坦であることにより、底部用超音波ホーンからは筒状体CBに対して比較的均一な応力をかけることができる。よって、筒状体CBの内面同士をある程度強固に溶着させつつ、扁平状底部30が部分的に白化することを抑制してチューブ容器1の美称性を向上させることができるとともに、扁平状底部30と筒状胴部10の他方端部14との境界近傍においてピンホールが発生することを抑制できる。
【0158】
なお、第1溶着器具91が底部用アンビルであり、第2溶着器具92が底部用超音波ホーンであってもよい。このように、底部用超音波ホーンの表面が凹凸状であることにより、底部用超音波ホーンから筒状体CBに対して局所的に比較的強い応力をかけることができる。よって、筒状体CBの内面同士をより強固に溶着させることができる。
【0159】
図25は、本開示の一実施形態に係るチューブ容器の製造方法に使用される第2溶着器具を、第1溶着器具との対向方向から見た平面図である。第2溶着器具の凹凸面の形状は特に限定されないが、
図25に示すように、本実施形態の第2溶着器具92の凹凸面には複数の凸部921が形成されている。
【0160】
複数の凸部921の形状は特に限定されないが、たとえば、略四角錐状であることが好ましい。また、本実施形態において複数の凸部921の形状は、第1溶着器具91と第2溶着器具92との対向方向から見て、一方向およびこれに直交する方向のそれぞれに沿って並ぶように位置している。これにより、扁平状底部30の第2面32の凹凸形状における凸部が格子状に形成される。複数の凸部921は、互いに等間隔に配置されることも好ましい。
【0161】
なお、第2溶着器具92は、複数の凸部921が配置された面の他に、平坦面をさらに有していてもよい。
図26は、本開示の一実施形態における第2溶着器具の変形例を示す平面図である。
図26に示すように、第2溶着器具92aは、複数の凸部921の他、一対の平坦部922を有していてもよい。
【0162】
一対の平坦部922は、筒状体CBの軸方向DAにおいて、複数の凸部921の両側に位置している。一対の平坦部922は、第2方向D2に沿って延びている。これにより、
図11に示される変形例における第2面32a、第3面37a、および第4面38aが形成される。
【0163】
上述のようにして、本実施形態に係るチューブ容器1が製造される。なお、本実施形態に係るチューブ容器1の製造方法は、キャップ部取り付け工程S5と、扁平状底部形成工程S6とをこの順に備えているが、この順序は逆であってもよい。また、内容物入りチューブ容器を製造する場合は、たとえば、注出部接合工程S4またはキャップ部取り付け工程S5の後、扁平状底部形成工程S6の前に、筒状体CBの内部に他方端部14側から内容物を充填すればよい。
【0164】
上述したように、本開示の一実施形態に係るチューブ容器1は、筒状胴部10と、注出部20と、扁平状底部30とを備えている。筒状胴部10は、一枚のシートSを湾曲または屈曲させて、シートSの面方向DPにおける第1の側端部SE1と、第1の側端部SE1の反対に位置するシートSの第2の側端部SE2とを、シートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成されており、帯状の溶着部12を有する。注出部20は、筒状胴部10の軸方向DAにおける一方端部13に接合され、筒状胴部10に収容された内容物を注出可能である。扁平状底部30は、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とをシートSの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成されたシートSの内周面を、上記軸方向DAに直交する第1方向D1につき合わせてさらに溶着させることで形成され、筒状胴部10の軸方向DAにおける他方端部14を閉塞する。扁平状底部30は、予備溶着部33と第1対向部34とを有している。予備溶着部33は、第1の側端部SE1と第2の側端部SE2とが互いに溶着することで形成されている。第1対向部34は、シートSのうち予備溶着部33と第1方向D1においてさらに溶着される部分である。扁平状底部30は、第1方向D1の一方側を向く平坦な第1面31と、第1方向D1の他方側を向く凹凸状の第2面32とをさらに有している。予備溶着部33が、平坦な第1面31の一部を構成する。第1対向部34が、凹凸状の第2面32の一部を構成する。
【0165】
予備溶着部33が平坦な第1面31の一部を構成することで、筒状胴部10の溶着部12と予備溶着部33との境界部分も平坦となり、当該境界部分近傍にピンホールが発生することを抑制できる。一方、第1対向部34が、凹凸状の第2面32の一部を構成することで、シートSの内周面同士をさらに溶着させる際においては、第2面32の凹部において比較的強い応力がかけられるため、シートSの内周面同士を強固に溶着させることができる。このように、筒状胴部10の注出側とは反対側の端部において良好な溶着状態が形成されている。
【0166】
さらに、本開示の一実施形態に係るチューブ容器1は、シートSがポリエステル系樹脂を主成分として含み得るため、リサイクル性に優れる。よって、本開示の一実施形態に係るチューブ容器1は、SDGs(持続可能な開発目標)が求める持続循環経済に沿うものであり、プラスチックごみの削減に大きく貢献することができる。
【0167】
(付記)
以上のように、本開示の実施形態は以下のような開示を含む。
【0168】
<構成1>
一枚のシートを湾曲または屈曲させて、前記シートの面方向における第1の側端部と、該第1の側端部の反対に位置する前記シートの第2の側端部とを、前記シートの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで形成された、帯状の溶着部を有する筒状胴部と、
前記筒状胴部の軸方向における一方端部に接合され、前記筒状胴部に収容された内容物を注出可能な注出部と、
前記第1の側端部と前記第2の側端部とを前記シートの厚さ方向に互いに重ね合わせて溶着させることで筒状に形成された前記シートの内周面を、前記軸方向に直交する第1方向につき合わせてさらに溶着させることで形成され、前記筒状胴部の前記軸方向における他方端部を閉塞する扁平状底部とを備え、
前記扁平状底部は、前記第1の側端部と前記第2の側端部とが互いに溶着することで形成された予備溶着部と、前記シートのうち前記予備溶着部と前記第1方向においてさらに溶着される部分である第1対向部とを有し、
前記扁平状底部は、前記第1方向の一方側を向く平坦な第1面と、前記第1方向の他方側を向く凹凸状の第2面とをさらに有し、
前記予備溶着部が、平坦な前記第1面の一部を構成し、
前記第1対向部が、凹凸状の前記第2面の一部を構成する、チューブ容器。
【0169】
<構成2>
前記溶着部は、前記筒状胴部の径方向外側を向く溶着部外周面を有し、前記溶着部外周面は径方向外側において凹凸が形成されている、構成1に記載のチューブ容器。
【0170】
<構成3>
前記シートは、筒状に形成された前記シートの内周面を構成する第1基材層を有し、
前記第1基材層はポリエステル系樹脂を主成分として含み、
前記第1基材層は無延伸または一軸延伸フィルムから構成されている、構成1または構成2に記載のチューブ容器。
【0171】
<構成4>
前記シートは、前記第1基材層から見て筒状に形成された前記シートの径方向における外側に位置して、ポリエステル系樹脂を主成分として含む第2基材層を有し、
前記第2基材層は、二軸延伸フィルムから構成されている、構成3に記載のチューブ容器。
【0172】
<構成5>
前記シートは、前記第2基材層から見て筒状に形成された前記シートの径方向における外側に位置して、ポリエステル系樹脂を主成分として含む第3基材層を有し、
前記第3基材層は、無延伸または一軸延伸フィルムから構成されている、構成4に記載のチューブ容器。
【0173】
<構成6>
前記扁平状底部は、前記軸方向および前記第1方向の両方に直交する第2方向の両側において、面取りされた角部を有する、構成1から構成5のいずれか1つに記載のチューブ容器。
【0174】
<構成7>
前記扁平状底部は、前記第1方向の前記他方側の面の全体が凹凸状の前記第2面である、構成1から構成6のいずれか1つに記載のチューブ容器。
【0175】
<構成8>
前記扁平状底部は、前記第1方向の前記他方側において、前記第2面から見て筒状胴部側に位置する平坦な第3面と、前記第2面から見て筒状胴部側とは反対側に位置する平坦な第4面とをさらに有する、構成1から構成6のいずれか1つに記載のチューブ容器。
【0176】
<構成9>
構成1から構成8のいずれか1つに記載の前記チューブ容器を製造する方法であって、
前記シートを準備する工程と、
準備された前記シートを、筒状に形成しつつ、前記第1の側端部と前記第2の側端部とを互いに重ね合わせる工程と、
筒状に形成された前記シートの径方向内側および径方向外側のうち一方側に位置させた超音波ホーンと、前記径方向内側および前記径方向外側のうち他方側に位置させたアンビルとで、前記第1の側端部および前記第2の側端部を挟み込んでこれらを互いに超音波溶着させることにより、筒状体を形成する工程と、
前記筒状体に前記注出部を接合する工程と、
前記筒状体の内周面同士を超音波溶着によりさらに溶着させることで、前記他方端部が閉塞された前記筒状胴部を形成するとともに、前記扁平状底部を形成する工程とを備え、
前記扁平状底部を形成する工程においては、底部用超音波ホーンおよび底部用アンビルの一方である第1溶着器具と、前記底部用超音波ホーンおよび前記底部用アンビルの他方である第2溶着器具とで、前記筒状体を挟み込むことにより、前記筒状体の前記内周面同士が溶着され、
前記第1溶着器具の表面が平坦であり、前記第2溶着器具の表面が凹凸状である、チューブ容器の製造方法。
【0177】
<構成10>
前記第1溶着器具が前記底部用超音波ホーンであり、
前記第2溶着器具が前記底部用アンビルである、構成9に記載のチューブ容器の製造方法。
【0178】
<構成11>
前記第1溶着器具が前記底部用アンビルであり、
前記第2溶着器具が前記底部用超音波ホーンである、構成9に記載のチューブ容器の製造方法。
【0179】
上記の実施形態においては、互いに組み合わせ可能な構成を適宜組み合わせてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0180】
1 チューブ容器、10 筒状胴部、11 シート基部、111 第1基端部、112 第2基端部、113 延在部、12 溶着部、121 第1先端縁、122 第2先端縁、123 溶着部外周面、124 溶着部内周面、125 凸部、13 一方端部、14 他方端部、20 注出部、21 注出口、22 肩部、23 延出部、30 扁平状底部、31 第1面、32,32a 第2面、33 予備溶着部、34 第1対向部、35 第2対向部、36 第3対向部、37a 第3面、38a 第4面、39 角部、40 キャップ部、41 天面部、42 周側部、5 超音波ホーン、51 凹凸形状、511 凸部、511C 交差点、6 アンビル、7 金型、71a 第1の金型、72a 第2の金型、81 注出部用アンビル、82 注出部用超音波ホーン、91 第1溶着器具、92,92a 第2溶着器具、921 凸部、922 平坦部、AL1 第1接着剤層、AL2 第2接着剤層、BL バリア層、CB 筒状体、M 成形材料、ML 一体層、MLE1 第1底部一体層、MLE2 第2底部一体層、MLE3 第3底部一体層、S シート、SB1 第1層間部、SB2 第2層間部、SE1 第1の側端部、SE2 第2の側端部、SL1 第1基材層、SL2 第2基材層、SL3 第3基材層。