(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055470
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】扉構造および該扉構造を用いたブース
(51)【国際特許分類】
E06B 7/36 20060101AFI20240411BHJP
E05F 5/00 20170101ALI20240411BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
E06B7/36 A
E05F5/00 C
E04H1/12 A
E04H1/12 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162420
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】武田 絢子
(72)【発明者】
【氏名】今井 良輔
(72)【発明者】
【氏名】平野 佑太
(57)【要約】
【課題】開き止め機能および指挟み防止機能を有する扉構造および該扉構造を用いたブースを提供する。
【解決手段】扉構造110は、戸板部1と、戸板部1の第二側の側端部に設けられて高さ方向Vに延びる吊元側端部2とを有し、吊元側端部2における高さ方向Vに延びる回転軸Rを中心に回動可能な扉部10と、開口部の第二側の縁部に配置され、高さ方向Vに延びる縦枠部20とを備え、縦枠部20は、第一側に延出して内部空間S2側に設けられた内側延出部3と、第一側に延出して外部空間S1側に設けられた外側延出部4とを有し、吊元側端部2は、第二側に延出した突部5を有し、扉部10が閉位置に位置するとき、回転軸Rと垂直な断面において、回転軸Rより第二側および内部空間S2側の範囲2sが回転軸Rを中心とする円弧形状であり、縦枠部20は、扉部10が開位置に位置するとき、扉部10の開き方向において突部5と接触する開き止め部6を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間と内部空間とを連通する開口部を開閉可能な扉構造であって、前記扉構造の開閉時に最も移動する自由端側を幅方向における第一側、前記第一側と反対側を幅方向における第二側としたとき、
略平板の戸板部と、前記戸板部の前記第二側の側端部に設けられて高さ方向に延びる吊元側端部と、を有し、前記吊元側端部における前記高さ方向に延びる回転軸を中心に回動可能な扉部と、
前記開口部の前記第二側の縁部に配置され、前記高さ方向に延びる縦枠部と、
を備え、
前記縦枠部は、前記第一側に延出して前記内部空間側に設けられた内側延出部と、前記第一側に延出して前記外部空間側に設けられた外側延出部と、を有し、
前記吊元側端部は、
前記第二側に延出した突部を有し、
前記扉部が閉位置に位置するとき、前記回転軸と垂直な断面において、前記回転軸より前記第二側および前記内部空間側の範囲が前記回転軸を中心とする円弧形状であり、
前記縦枠部は、前記扉部が開位置に位置するとき、前記扉部の開き方向において前記突部と接触する開き止め部を備える、
扉構造。
【請求項2】
前記内側延出部の最も前記第一側に位置する先端部と、前記吊元側端部との距離は、8mm未満である、
請求項1に記載の扉構造。
【請求項3】
前記外側延出部の最も前記第一側に位置する先端部と、前記吊元側端部との距離は、8mm未満である、
請求項2に記載の扉構造。
【請求項4】
前記縦枠部は、前記扉部が前記閉位置に位置するとき、前記扉部の閉じ方向において前記突部と接触する閉じ止め部を備える、
請求項3に記載の扉構造。
【請求項5】
前記扉部が前記閉位置に位置するときに前記突部と前記閉じ止め部との間に配置された遮音材を備え、
前記突部は、前記遮音材を介して前記閉じ止め部と接触する、
請求項4に記載の扉構造。
【請求項6】
前記内部空間を囲う壁体および前記開口部を有する箱体と、
前記箱体の前記開口部に取り付けられた請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の扉構造と、
を備える、
ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉構造および該扉構造を用いたブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部からの騒音に影響されずに執務する内部空間を備えた個室(ブース又は防音室)がある。このようなブースは、執務室や通路等の限られた空間に設置されることが多い。そのため、扉が想定された角度を超えて開くと、ブースが設置されている部屋の壁やブースの周囲を通行する人等に扉が接触し、部屋の壁やブースの扉の破損、通行人の怪我等が発生する虞がある。そのため、扉の開き角度を規制するための開き止め構造が求められる。
【0003】
開き止め構造を有する扉構造として、特許文献1に記載される開き戸がある。特許文献1に記載される開き戸は、戸体を全閉姿勢から全開姿勢に開閉するように構成された開き戸であり、戸体の吊元側端面部に形成されたストッパ面部と、吊元側端面部に対向する吊元側縦戸枠に形成された先端面を有し、ストッパ面部と先端面とが戸体の全開姿勢で互いに当接して戸体の回り止めをする。そのため、縦戸枠に、屋外側へ延長する延長部を形成して戸体の回り止めを計るような必要がなく、戸枠の寸法を小さくできる。また、ストッパ面部と先端面とは弾性材で形成されているため、扉を閉める際に指が引き込まれたとしても指は弾性材により保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される開き戸は、弾性材により形成された部品(ストッパ面部および先端面)を戸体および戸枠に配置することで開き止め機能と、指が挟まれても保護される機能とを付与しているが、指が挟まれるのを防止する機能は有していない。また、弾性材により形成された部品を用いることで費用が増加し、さらに、構造が複雑になる虞がある。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、開き止め機能および指挟み防止機能を有する扉構造および該扉構造を用いたブースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の扉構造は、外部空間と内部空間とを連通する開口部を開閉可能な扉構造であって、前記扉構造の開閉時に最も移動する自由端側を幅方向における第一側、前記第一側と反対側を幅方向における第二側としたとき、略平板の戸板部と、前記戸板部の前記第二側の側端部に設けられて高さ方向に延びる吊元側端部と、を有し、前記吊元側端部における前記高さ方向に延びる回転軸を中心に回動可能な扉部と、前記開口部の前記第二側の縁部に配置され、前記高さ方向に延びる縦枠部と、を備え、前記縦枠部は、前記第一側に延出して前記内部空間側に設けられた内側延出部と、前記第一側に延出して前記外部空間側に設けられた外側延出部と、を有し、前記吊元側端部は、前記第二側に延出した突部を有し、前記扉部が閉位置に位置するとき、前記回転軸と垂直な断面において、前記回転軸より前記第二側および前記内部空間側の範囲が前記回転軸を中心とする円弧形状であり、前記縦枠部は、前記扉部が開位置に位置するとき、前記扉部の開き方向において前記突部と接触する開き止め部を備える。
【0008】
本態様では、扉部が閉位置に位置するとき、回転軸と垂直な断面において、回転軸より第二側および内部空間側の範囲が回転軸を中心とする円弧形状であるため、内側延出部の最も第一側に位置する先端部から吊元側端部までの距離は、扉部が閉位置と開位置とを回動しても一定の距離に維持されるため、内部空間側において、扉部と縦枠部との隙間に使用者の指が挟まれるのを抑制できる。また、扉部が開位置に位置するとき、吊元側端部が有する突部と、縦枠部が有する開き止め部は、扉部の開き方向において接触するため、扉部の開き動作が規制され、扉部は、設定された開き角度以上に開かない。
【0009】
上記扉構造では、前記内側延出部の最も前記第一側に位置する先端部と、前記吊元側端部との距離は、8mm未満であってもよい。
【0010】
本態様では、内側延出部の最も第一側に位置する先端部から吊元側端部までの距離を8mm未満とすることで、内部空間側において、扉部と縦枠部との隙間に使用者の指が挟まれるのをより抑制できる。
【0011】
上記扉構造では、前記外側延出部の最も前記第一側に位置する先端部と、前記吊元側端部との距離は、8mm未満であってもよい。
【0012】
本態様では、外側延出部の最も第一側に位置する先端部から縦枠部までの距離を8mm未満とすることで、外部空間側において、扉部と縦枠部との隙間に使用者の指が挟まれるのを抑制できる。
【0013】
上記扉構造では、前記縦枠部は、前記扉部が前記閉位置に位置するとき、前記扉部の閉じ方向において前記突部と接触する閉じ止め部を備えてもよい。
【0014】
本態様では、扉部が閉位置に位置するとき、突部が閉じ止め部に接触し、扉部の閉じ動作を規制する。そのため、扉部は、設定された閉位置より後側へ回転しない。
【0015】
上記扉構造では、前記扉部が前記閉位置に位置するときに前記突部と前記閉じ止め部との間に配置された遮音材を備え、前記突部は、前記遮音材を介して前記閉じ止め部と接触してもよい。
【0016】
本態様では、扉部が閉位置に位置するとき、吊元側端部と縦枠部との隙間は、突部および遮音材で塞がれて外部空間と内部空間とは連通していない。そのため、使用者が内部空間で執務する際、外部空間から内部空間へ音が伝わるのを抑制でき、使用者は、外部空間の騒音から遮断された静かな空間で執務することができる。
【0017】
本発明のブースは、前記内部空間を囲う壁体および前記開口部を有する箱体と、前記箱体の前記開口部に取り付けられた上記に記載のいずれかの扉構造と、を備える。
【0018】
本態様では、内部空間と外部空間とを箱体および扉構造で分割し、扉構造を開閉可能とすることで、使用者が内部空間で執務することができるブースを提供できる。また、上記の開き止め機能および指挟み防止機能を有する扉構造を備えることで、開き止め機能および指挟み防止機能を有するブースを提供できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の扉構造および該扉構造を用いたブースによれば、開き止め機能および指挟み防止機能を有する扉構造および該扉構造を用いたブースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係るブースの概略を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る扉構造を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について、
図1から
図4を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係るブース100の概略を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る扉構造110を模式的に示す正面図である。
図3は、扉構造110の閉位置P1を示す断面図である。
図4は、扉構造110の開位置P2を示す断面図である。
【0023】
ブース100は、ブース100の外部にある外部空間S1と、ブース100の内部にある内部空間S2とを分割可能な個室ブースである。使用者は、扉構造110を開けることで外部空間S1と内部空間S2とを連通してブース100の内部空間S2へ入ることができ、扉構造110を閉じることでブース100の外部空間S1と内部空間S2とを分割できる。
【0024】
本実施形態では、
図1に示すように、ブース100における鉛直方向を「高さ方向(上下方向)V」、鉛直上向きを高さ方向Vにおける「上側UP」、鉛直下向きを高さ方向Vにおける「下側LO」と定義する。また、ブース100における前後方向を「前後方向D」、ブース100において扉構造110が配置されている側を前後方向Dにおける「前側FR」、前側FRと反対側を前後方向Dにおける「後側RR」と定義する。また、ブース100における左右方向を「幅方向(左右方向)H」、扉構造110の開閉時に最も移動する自由端側を幅方向Hにおける「第一側(左側)LT」、第一側と反対側を幅方向Hにおける「第二側(右側)RT」と定義する。
【0025】
ブース100は、扉構造110と、箱体120とを備える。ブース100は、外部空間S1と内部空間S2とを分割する個室ブースである。扉構造110は、外部空間S1と内部空間S2とを連通する箱体120の開口部40を開閉可能な片開きの扉構造である。
【0026】
扉構造110は、扉部10と、縦枠部20とを備える。扉部10は、回転軸Rを回転中心として閉位置P1と開位置P2とを縦枠部20に対して回動可能である。
【0027】
ここで、扉構造110が閉位置P1に位置するとき、扉構造110に対して、外部空間S1側は前側FRと一致する。また、内部空間S2側は後側RRと一致する。なお、扉構造110において、外部空間S1と内部空間S2とを分割しない扉構造も含まれるため、外部空間S1側が前側FRを示すとは限られない。また、内側空間S2側が後側RRを示すとは限られない。外部空間S1側と後側RRとが一致し、内部空間S2側と前側FRとが一致してもよい。
【0028】
扉部10は、戸板部1と、吊元側端部2と、突部5とを備える。戸板部1は、
図1に示すように、開口部40を閉塞可能な略平板状である。
【0029】
吊元側端部2は、戸板部1の第二側(右側)RTの側端部に設けられ、高さ方向(上下方向)Vに延びている。
図2に示すように、吊元側端部2は、上側UPに設けられた円柱状の第一軸部2aと、下側LOに設けられ、下側LOに縮径した円錐台状の第二軸部2bとを備える。
【0030】
ここで、第一軸部2aおよび第二軸部2bの中心軸を通る回転軸Rを中心に吊元側端部2を回動可能に支持する縦枠部20について説明する。
【0031】
縦枠部20は、高さ方向Vに延びる略棒状であり、開口部40の第二側RTの縁部に配置されている。縦枠部20は、上側UPに設けられて開孔を有する第一軸受け20aと、下側LOに設けられ、内周面が吊元側端部2の第二軸部2bの外周面と当接可能な窪みを有する第二軸受け20bとを備える。
【0032】
図2に示すように、上側UPにおいて、第一軸受け20aに設けられた開孔内に吊元側端部2の第一軸部2aが配置されている。また、下側LOにおいて、吊元側端部2の第二軸部2bは、第二軸部2bの外周面が第二軸受け20bの内周面と当接して配置されている。
【0033】
吊元側端部2は、高さ方向Vに延びる第一軸部2aおよび第二軸部2bの中心軸を通る回転軸Rを中心に回動可能に縦枠部20に支持されている。すなわち、扉部10は、吊元側端部2における高さ方向Vに延びる回転軸Rを回転中心として縦枠部20に対して回動可能である。
【0034】
突部5は、
図3に示すように、閉位置P1に位置する扉部10において、吊元側端部2の第二側RTの側端面から第二側RTへ延出している。
【0035】
また、縦枠部20は、内側延出部3と、外側延出部4と、開き止め部6と、閉じ止め部7とを備える。
図3に示すように、内側延出部3は、第一側(左側)LTに延出しており、内部空間S2側(後側RR)に設けられている。また、外側延出部4は、第一側LTに延出しており、外部空間S1側(前側FR)に設けられている。
【0036】
図3に示すように、回転中心Rに垂直な断面において、縦枠部20は、第一側LTに開口を向けた略U字形状をしている。内側延出部3は、縦枠部20における略U字形状の後側RRの端部を形成している。外側延出部4は、縦枠部20における略U字形状の前側FRの端部を形成している。外側延出部4の最も第一側LTに位置する先端部4tは、吊元側端部2の第二側RTに配置されている。
【0037】
また、内側延出部3の最も第一側LTに位置する先端部3tは、吊元側端部2の後側RRに配置され、外側延出部4の最も第一側LTに位置する先端部4tより第一側LTに配置されている。その結果、吊元側端部2と縦枠部20との隙間において、内側延出部3に遮られて、外側空間S1側から内側空間S2は見えない。
【0038】
開き止め部6は、内側延出部3の前側FRに設けられ、
図4に示すように、扉部10が開位置P2に位置するとき、扉部10の開き方向において突部5と対向して接触する。本実施形態において、開き止め部6は、内側延出部3の前側FRの面に設けられた溝形状であり、開位置P2において突部5と接触する平面を第二側RTに有する。扉部10が閉位置P1から開位置P2へ回転するとき、吊元側端部2の第二側RTに延出した突部5は、吊元側端部2とともに回転軸Rを中心として回転し、開き止め部6へ接近する。扉部10が閉位置P1から開位置P2まで回転すると、突部5は、第二側RTから開き止め部6に接触し、扉部10の開き動作を規制する。そのため、扉部10は、設定された開き角度以上に開かない。
【0039】
突部5と開き止め部6との位置関係は、扉部10が開位置P2に位置するときに突部5と開き止め部6とが接触する位置であればよい。また、開き止め部6の形状は本実施形態の形状に限られず、内側延出部3の前側FRに設けられて前後方向Dに延びる突起形状でもよい。開き止め部6を内側延出部3の前側FRに設け、開位置P2において突部5と接触する位置に配置することで、突部5および開き止め部6は内側延出部3に遮られて後側RRから見えないため、扉構造110は意匠性に優れる。
【0040】
閉じ止め部7は、外側延出部4の後側RRに設けられた段差形状である。閉じ止め部7は、遮音材7aを有する。
図3および
図4に示すように、遮音材7aは、閉じ止め部7の後側RRの面に配置されている。閉じ止め部7および遮音材7aは、扉部10が閉位置P1に位置する時、突部5の前側FRの面と対向する。
【0041】
扉部10が開位置P2から閉位置P1へ回転するとき、突部5は、吊元側端部2とともに回転軸Rを中心として回転し、閉じ止め部7へ接近する。扉部10が閉位置P1まで回転すると、突部5は、遮音材7aを介して閉じ止め部7に後側RRから接触し、扉部10の閉じ動作を規制する。そのため、扉部10は、設定された閉位置P1より後側RRへ回転しない。
【0042】
さらに、扉部10が閉位置P1に位置するとき、吊元側端部2と縦枠部20との隙間は、突部5および遮音材7aで塞がれて外部空間S1と内部空間S2とは連通していない。そのため、使用者が内部空間S2で執務する際、外部空間S1から内部空間S2へ音が伝わりにくく、使用者は、外部空間S1の騒音から遮断された静かな空間で執務することができる。遮音材7aとして、発泡ゴム等の弾性材を使用できる。遮音材7aとして弾性材を用いることで、突部5が閉じ止め部7に接触する際の打音を抑制できる。また、遮音材7aとして、吸音性能を有する材料を使用してもよい。遮音材7aとして吸音性能を有する材料を使用することで、より優れた遮音性を有する扉構造110を提供できる。
【0043】
縦枠部20の形状は、
図3に示す形状に限られず、例えば、開き止め部6と、閉じ止め部7とが、回転軸Rを中心とする円弧形状でなだらかに接続されていてもよい。その結果、外部空間S1側の吊元側端部2と縦枠部20との隙間から見える縦枠部20は、段差形状が少なく単純な形状であるため、意匠性に優れる。
【0044】
ここで、
図3に示すように、扉部10が閉位置P1に位置するとき、吊元側端部2の外部空間S1側の面と、縦枠部20の外部空間S1側の面とは同一平面を形成していてもよい。吊元側端部2の外部空間S1側の面と、縦枠部20の外部空間S1側の面とが同一平面を形成する範囲は、吊元側端部2と縦枠部20との隙間の近傍が望ましく、吊元側端部2および縦枠部20の外部空間S1側の幅方向Hにおける範囲において、吊元側端部2における第二側RTの端部から2mmの範囲と、縦枠部20における第一側LTの端部から2mmの範囲とが同一平面であることが望ましい。その結果、外部空間S1側から見た扉構造110は段差形状が少なく、優れた意匠性を有することができる。
【0045】
図3および
図4に示すように、閉位置P1と開位置P2とを回転する扉部10と、縦枠部20とは接触しない。また、本実施形態において、扉部10は、閉位置P1と開位置P2とを略90°回転可能である。
【0046】
ここで、吊元側端部2における回転軸Rより第二側RTおよび内部空間S2側の範囲2sは、回転軸Rを中心とする円弧形状である。その結果、吊元側端部2と、内側延出部3の最も第一側LTに位置する先端部3tとの距離D1は、扉部10が閉位置P1と開位置P2とを回転しても変わらずに一定の距離に維持される。その結果、内部空間S2側において、扉部10と縦枠部20との隙間に使用者の指が挟まれるのを抑制できる。
【0047】
扉部10の開閉角度が90°よりも大きい場合、開閉角度によって、吊元側端部2における円弧形状の範囲を回転中心Rより外側空間S1側へ広くすることで、開閉する扉部10における距離D1を一定に維持できる。
【0048】
さらに、内側延出部3の最も第一側LTに位置する先端部3tから吊元側端部2までの距離D1は、0mmより大きく、8mm未満が望ましい。距離D1を8mm未満とすることで、扉部10と縦枠部20との隙間に使用者の指が挟まれるのをより抑制できる。
【0049】
また、外側延出部4の最も第一側LTに位置する先端部4tから吊元側端部2までの距離D2は、0mmより大きく、8mm未満が望ましい。距離D2を8mm未満とすることで、外部空間S1側においても、扉部10と縦枠部20との隙間に使用者の指が挟まれるのを抑制できる。
【0050】
距離D1および距離D2は、扉部10の回転を阻害しないために0mmより大きいことが望ましいが、距離D1および距離D2が0mmでも扉部10の回転が阻害されない場合は、これに限られない。例えば、吊元側端部2の材質がゴム等の弾性材であり、吊元側端部2と縦枠部20とが接触していても扉部10が回転可能な場合、距離D1および距離D2は0mmでもよい。
【0051】
吊元側端部2の回転軸Rより外部空間S1側において、第二側RTの形状は、回転軸Rを中心とする円弧形状をしていてもよい。その結果、外部空間S1側においても、内部空間S2側と同様に、扉部10が閉位置P1と開位置P2とを回動しても距離D2は一定の距離に維持され、扉部10と縦枠部20との隙間に使用者の指が挟まれるのをより抑制できる。
【0052】
本実施形態において、縦枠部20は、吊元側端部2における第二側RTの円弧形状の範囲を覆って配置されている。
【0053】
吊元側端部2の第二側RTにおいて、縦枠部20に覆われた範囲を円弧形状とすることで、内部空間S2側および外部空間S1側において使用者が指を挟むのを抑制できる。例えば、吊元側端部2において、回転軸Rより第二側RTの範囲が回転軸Rを中心とする円弧形状でもよく、さらに、回転軸Rより第二側RTおよび外側空間S1の範囲は、中心角が30°以上90°未満の回転軸Rを中心とする円弧形状でもよい。
【0054】
また、本実施形態において、吊元側端部2における第二側RTの円弧形状の半径は、吊元側端部2の前後方向Dにおける厚さ(寸法)より小さく、吊元側端部2の前後方向Dにおける厚さの半分の値より大きい。また、回転軸Rは、吊元側端部2の前後方向Dにおける中心より外側空間S1側に配置されている。
【0055】
使用者が扉部10を閉めるときの動作において、扉部10の第一側LTに設けられたドアノブ等から手を離して勢いをつけて扉部10を閉める可能性がある。また、扉部10を容易に閉められるようにするため、扉部10を閉じる方向に対して付勢するバネ等の機構を取り付けてもよい。扉部10が閉まる方向に付勢されることで、扉部10と縦枠部20との隙間において、内部空間S2側の隙間は外部空間S1側の隙間よりも使用者が指を挟む可能性が高く、使用者が指を挟むのを抑制する構造がより求められる。
【0056】
箱体120は、外部空間S1と内部空間S2とを分割する壁体30と、壁体30に設けられた貫通孔であり外部空間S1と内部空間S2とを連通する開口部40とを備える。箱体120は、
図1に示すように、壁体30によって形成された直方体であり、前側FRの面の一部が開口部40によって開いている。
【0057】
ブース100は、箱体120の開口部40に扉構造110が取り付けられて形成されている。すなわち、ブース100の内部空間S2において、上側UP、下側LO、第一側LT、第二側RTおよび後側RRと、前側FRの開口部40以外の一部分とが壁体30によって囲われている。内部空間S2の壁体30によって囲われていない前側FRの一部分(開口部40)には扉構造110が配置されており、扉部10が閉位置P1に位置するとき、内部空間S2は、壁体30および扉構造110に囲われて外部空間S1と分割されている。
【0058】
箱体120および扉構造110に囲われた内部空間S2は、使用者が執務等の作業をするのに十分な大きさを有する。使用者は、扉部10を回転軸Rを回転中心として回動させることで閉位置P1から開位置P2に移動させ、外部空間S1とブース100の内部空間S2とを行き来できる。また、扉部10を閉位置P1にすることで、外部空間S1と内部空間S2とを分割できる。さらに、開き止め機能を有する扉構造110を用いることで、使用者がブース100の扉構造110を開閉する際、扉部10が設定された角度以上に開くことがなく、扉部10が周囲の壁や人等と接触するのを抑制できる。また、指挟み防止機能を有する扉構造110を用いることで、使用者がブース100の扉構造110を開閉する際、吊元側端部2と縦枠部20との隙間に指を挟んで怪我をするのを抑制できる。
【0059】
本実施形態の扉構造110および扉構造110を用いたブース100によれば、回転軸Rと垂直な断面において、吊元側端部2は、回転軸Rより第二側RTおよび内部空間S2側の範囲2sが回転軸Rを中心とする円弧形状である。そのため、内側延出部3の最も第一側LTに位置する先端部3tから吊元側端部2までの距離D1は、扉部10が閉位置P1と開位置P2とを回動しても一定の距離に維持され、内部空間S2側において、扉部10と縦枠部20との隙間に使用者の指が挟まれるのを抑制できる。また、縦枠部20が有する開き止め部6は、扉部10が開位置P2に位置するとき、扉部10の開き方向において突部5と接触する。そのため、扉部10の開き動作が規制され、扉部10は、設定された開き角度以上に開かない。
【0060】
その結果、開き止め機能および指挟み防止機能を有する扉構造110および扉構造110を用いたブース100を提供することができる。
【0061】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0062】
(変形例1)
上記実施形態において、
図3および
図4に示すように、扉部10は、戸板部1の第二側RTの側端部に吊元側端部2が接続されているが、扉部の態様はこれに限定されない。扉部は、戸板部と吊元側端部が一体に形成されてもよい。例えば、戸板部と吊元側端部とが一体に形成された平板状の扉部において、第二側RTの形状が上記実施形態の吊元側端部2の形状をしていれば開き止め機能および指挟み防止機能を有することができる。
【0063】
(変形例2)
上記実施形態において、ブース100は、片開きの扉構造110を備えるが、ブースの態様はこれに限定されない。ブースは、両開きの扉構造を備えてもよい。ブースが両開きの扉構造を備える場合、例えば、上記実施形態の扉構造110と、扉構造110を幅方向Hに反転した構造の扉構造とを備える両開きの扉構造とすることで、上記実施形態と同様に、ブースおよび扉構造は開き止め機能および指挟み防止機能を有することができる。
【0064】
(変形例3)
上記実施形態において、閉じ止め部7は、遮音材7aを備えるが、閉じ止め部の態様はこれに限定されない。閉じ止め部は、遮音材7aを備えなくてもよい。閉位置P1に位置する扉構造において、突部5が遮音材7aを介さずに閉じ止め部と接触しても、突部5と閉じ止め部との接触によって扉部10の閉じ方向の回転動作を規制できる。
【0065】
(変形例4)
上記実施形態において、遮音材7aは閉じ止め部7に配置されるが、遮音材7aの態様はこれに限定されない。遮音材は、突部に配置されてもよい。例えば、シート状の遮音材が突部5を覆って貼り付けられることで、突部における開き止め部6と接触する面および閉じ止め部と接触する面の両方に遮音材を配置できる。その結果、突部が閉じ止め部と接触する際の打音だけでなく、突部が開き止め部6と接触する際の打音も抑制できる。
【符号の説明】
【0066】
100 ブース
110 扉構造
10 扉部
1 戸板部
2 吊元側端部
2s 吊元側端部における回転軸より第二側および内部空間側の範囲
20 縦枠部
3 内側延出部
3t 内側延出部の第一側の先端部
4 外側延出部
4t 外側延出部の第一側の先端部
5 突部
6 開き止め部
7 閉じ止め部
7a 遮音材
120 箱体
30 壁体
40 開口部
S1 外部空間
S2 内部空間
R 回転軸
V 高さ方向(上下方向)
UP 上側
LO 下側
H 幅方向(左右方向)
LT 第一側(左側)
RT 第二側(右側)
P1 閉位置
P2 開位置
D1 内側延出部の最も第一側に位置する先端部から吊元側端部までの距離
D2 外側延出部の最も第一側に位置する先端部から吊元側端部までの距離