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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055471
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20240411BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20240411BHJP
   A62C 35/02 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
E04H1/12 A
E04H1/12 302Z
A62C3/00 J
A62C35/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162421
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】武田 絢子
(72)【発明者】
【氏名】今井 良輔
(72)【発明者】
【氏名】平野 佑太
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189BA02
(57)【要約】
【課題】ブース設置時におけるブース上の作業高さを小さく抑えることができるブースを提供する。
【解決手段】天井面部材30と、立設され、天井面部材30を支持する壁面部材20と、天井面部材30に設けられた接続受けナット50と、壁面部材20における天井面部材30の下側の位置に設けられ、接続受けナット50に接続する接続ボルト40と、を備え、壁面部材20の少なくとも一部には、天井面部材30を下方から支持する天井面受け部25と、天井面部材30の側方に設けられ、天井面部材30の側面を支持するガイド部26と、備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面部材と、
立設され、前記天井面部材を支持する高さ部材と、
前記天井面部材に設けられた接続受け部材と、
前記高さ部材における前記天井面部材の下側の位置に設けられ、前記接続受け部材に接続する接続部材と、
を備えたブース。
【請求項2】
前記接続部材は内部空間に対して内面部材により覆われ、
前記内面部材の少なくとも一部が着脱可能に設けられ、
前記内面部材が取り外された状態で、前記内部空間と前記接続部材とが連通される、請求項1に記載のブース。
【請求項3】
前記高さ部材の少なくとも一部には、
前記天井面部材を下方から支持する天井面受け部と、
前記天井面部材の側方に設けられ、前記天井面部材の側面を支持するガイド部と、が備えられている、請求項1又は2に記載のブース。
【請求項4】
前記天井面受け部は、互いに対向し、それぞれが上下方向に交差する一方向に延びて設けられ、
前記天井面部材は、対向する一対の前記天井面受け部の上面に沿って前記一方向にスライド可能に設けられている、請求項3に記載のブース。
【請求項5】
ブース前面には、出入口となる扉が設けられ、
前記一対の天井面受け部は、前記扉の両側に設けられている、請求項4に記載のブース。
【請求項6】
前記接続部材は、前記高さ部材に対して下方から挿通する接続ボルトであり、
前記接続受け部材は、前記天井面部材の下面に固定され、前記接続ボルトが締め込み可能な接続受けナットである、
請求項1又は2に記載のブース。
【請求項7】
前記天井面部材には、消火設備を下方から固定可能な係合部が設けられている、請求項1又は2に記載のブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、オフィス、展示場及び公共施設等において、執務等を行うためのブースが設置されることがある。特に、近年、オフィスのフリーアドレス化や携帯端末やパソコン等のICT(情報通信技術)を活用したモバイルワークが進展している。そのため、各種の移動先で小スペースのブースを利用して執務等を行う機会が増加している。
【0003】
このようなブースでは、内部に作業空間を備えており、天井の上に消火器を設置して、消火器の消火剤噴射部および熱検知部を天井に設けた孔からブース内部に露出させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2には、消火器をブース内部から天井上に設置する構造のブースが記載されている。
【0004】
特許文献1に記載されるようなブースでは、消火器を天井の上に搭載した状態でブース全体を移動させることが可能であるが、ブース全体の重量が大きいため、運搬の作業性が悪く、手間がかかっていた。そのため、一般的には、ブースを床面、壁面(あるいは骨格材と壁面部材)、天井面に分割し、さらに消火器も分離した状態で設置個所に運搬してから組み立てている。そして、ブースを組み立てる際には、床面の上に壁面を立設し(あるいは骨格材を立設し)、その上に天井面を載せることが行われている。このとき、立設された壁面(あるいは骨格材)の上端よりも上側から天井面を壁面(あるいは骨格材)に固定し、さらに天井面の上側から消火器を載置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-204231号公報
【特許文献2】特開2021-070973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ブース天井面からのブースの設置箇所の天井までの高さが十分に確保できない場合には、ブース天井面の上側から天井面を固定する作業、およびブース天井面の上側から消火器を載置する作業が困難になるという問題があった。また、消火器は定期的な点検・交換が必要になるが、設置時と同様にブース上での作業が困難となる。
また、特許文献1では、ブース天井面の上に天井内装パネル、天井内装フード、機器支持部、天井外装枠体、及び天井外装パネル等の付属設備を天井上から設置し、固定する必要がある。そのため、設置箇所の天井高さが十分に高く無い箇所への設置は困難であり、その点で改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ブース設置時におけるブース上の作業高さを小さく抑えることができるブースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
(1)本発明に係るブースの態様1は、天井面部材と、立設され、前記天井面部材を支持する高さ部材と、前記天井面部材に設けられた接続受け部材と、前記高さ部材における前記天井面部材の下側の位置に設けられ、前記接続受け部材に接続する接続部材と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
本発明に係るブースでは、天井面部材を、天井面部材の下側から接続部材によって高さ部材に接続することができる。そのため、天井面部材の上方で行われる作業を抑制することができ、ブース設置時におけるブース上の作業高さを小さく抑えることができる。
【0010】
(2)本発明の態様2は、態様1のブースにおいて、前記接続部材は内部空間に対して内面部材により覆われ、前記内面部材の少なくとも一部が着脱可能に設けられ、前記内面部材が取り外された状態で、前記内部空間と前記接続部材とが連通されることが好ましい。
【0011】
このように構成されたブースでは、内面部材を取り外すことで接続部材を接続受け部材に接続することが可能となる。すなわち、内面部材を取り外すことにより接続部材にブースの内部空間からアクセスすることが可能となり、例えばブースの周囲に作業空間を設けられない場合であっても、接続部材を使用して内部空間から高さ部材と天井面部材との接続作業を行うことができる。しかも、この場合には、接続部材が内面部材によって内側から見えないように隠すことができ、ブースの利用者からの見栄えを良好にできる。
【0012】
(3)本発明の態様3は、態様1又は態様2ブースにおいて、前記高さ部材の少なくとも一部には、前記天井面部材を下方から支持する天井面受け部と、前記天井面部材の側方に設けられ、前記天井面部材の側面を支持するガイド部と、が備えられていることが好ましい。
【0013】
このように構成されたブースでは、天井面部材を高さ部材に接続する際に、天井面部材が天井面受け部に載せた状態で、天井面部材より外側位置にガイド部が配置されることになる。そのため、高さ部材に対する天井面部材の位置決めが容易になる。また、天井面部材に不意に力がかかっても天井面部材が天井面受け部から脱落したり、大きくずれることを抑制できる。
また、この場合には、天井面部材がガイド部と天井面受け部との2面で支持された状態となるので、天井面部材を強固に保持できる。例えば天井面部材が下方からのみで支持される場合に比べて、固定状態の安定性を高めることができる。
【0014】
(4)本発明の態様4は、態様3のブースにおいて、前記天井面受け部は、互いに対向し、それぞれが上下方向に交差する一方向に延びて設けられ、前記天井面部材は、対向する一対の前記天井面受け部の上面に沿って前記一方向にスライド可能に設けられていることを特徴としてもよい。
【0015】
このように構成されたブースでは、高さ部材の上に天井面部材を配置する際に、天井面部材を、上下方向に移動させることなく、天井面受け部の上面に沿って、上下方向に交差する一方向にスライドさせて所定位置に配置することができる。すなわち、天井面部材を高さ部材に配置する作業においても、高さ部材の上方での作業を抑制することができ、ブース上の作業高さを小さく抑えることができる。
【0016】
(5)本発明の態様5は、態様3又は態様4のブースにおいて、ブース前面には、出入口となる扉が設けられ、前記一対の天井面受け部は、前記扉の両側に設けられていることを特徴としてもよい。
【0017】
このように構成されたブースでは、扉のある面にガイド部を備えない構成とすることで、天井面部材を高さ部材上に配置する際に、扉側となる前方からスライドさせて載せることができる。例えば、複数のブースが横並びに配列される場合でも、扉がある面の前側は出入口となる前方作業空間を確保できるので、この前方作業空間を使用して前方から天井面部材をスライドさせて高さ部材上に配置することができる。
【0018】
(6)本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれか一つのブースにおいて、前記接続部材は、前記高さ部材に対して下方から挿通する接続ボルトであり、前記接続受け部材は、前記天井面部材の下面に固定され、前記接続ボルトが締め込み可能な接続受けナットであることを特徴としてもよい。
【0019】
このように構成されたブースでは、天井面部材の下側の空間において、接続ボルトを下方から天井面部材の下面に固定される接続受けナットに締め込むといった簡単な方法により、天井面部材を高さ部材に接続することができる。
【0020】
(7)本発明の態様7は、態様1から態様6のいずれか一つのブースにおいて、前記天井面部材には、消火設備を下方から固定可能な係合部が設けられていることを特徴としてもよい。
【0021】
このように構成されたブースでは、天井面部材を高さ部材に接続した後に、ブース内部から天井面部材の係合部に消火設備を固定することができる。すなわち、天井面部材の上側の空間を使用することなく、消火設備を天井面部材に固定できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るブースによれば、ブース設置時におけるブース上の作業高さを小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態によるブースを斜め前方から見た斜視図である。
図2】ブース内部の上部を斜め下方から見た斜視図である。
図3】ブース内部の上部を前方から見た断面図である。
図4】天井面部材の斜視図である。
図5】天井面部材を接続する前のブースを斜め上方から見た斜視図である。
図6図3に示す壁面部材と天井面部材との接続部の要部拡大図である。
図7図6の接続部の斜視図である。
図8】(a)~(c)は、壁面部材に天井面部材を取り付ける工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1から図8を参照して、本発明の一実施形態に係るブースについて説明する。
【0025】
本実施形態のブース1は、オフィスや公共機関等の床面上に設置され、外部空間K2から離隔された執務等を行う内部空間K1を形成するものである。
【0026】
ここで、以下の説明においては、図1から図8に示すように、ブース1の内部空間K1で作業を行う利用者が外部空間K2と内部空間K1との間で出入りする側を「前」、ブース1に対して前側から正対する利用者の右手側を「右」、左手側を「左」、ブース1に対して前側から正対する利用者から見てブース1の裏側を「後」とする。すなわち、外部空間K2と内部空間K1とを出入りする方向を前後方向X1とし、上から見て前後方向X1に直交する方向を左右方向X2、または幅方向とする。
【0027】
図1及び図2に示すように、本実施形態によるブース1は、床面部材11と、床面部材11に立設された壁面部材20(高さ部材)と、壁面部材20の上に載置された天井面部材30と、を備えている。ブース1は、上面視して矩形(本実施形態では略正方形)をなし、四方が壁面部材20によって囲まれている。
【0028】
また、図3に示すように、ブース1は、天井面部材30に設けられた接続受けナット50(接続受け部材)と、壁面部材20における天井面部材30の下側の位置に設けられ、接続受けナット50に接続する接続ボルト40(接続部材)と、を備えている。
【0029】
図1に示すように、床面部材11は、本実施形態のブース1が設置される床面F上に載置され、壁面部材20を下方から支持している。床面部材11の下面には、適宜な位置に複数のキャスタ(図示省略)や、高さ調整可能な複数のアジャスタ(図示省略)を備えていてもよい。キャスタは、床面Fに接地可能に設けられ、転動することによりブース1全体を容易に移動させることが可能である。また、ブース1を設置する際においては、アジャスタを床面Fに接地させることにより、キャスタが床面Fから離間してブース1の移動が規制される。
【0030】
図2及び図3に示すように、天井面部材30は、四辺部が壁面部材20によって下方から支持されることで内部空間K1を上方から閉塞している。具体的に天井面部材30の外周縁が後述する側壁22に設けられる上縁フレーム24の天井面受け部25上に載置された状態で、接続ボルト40によって固定されている。
図2から図4に示すように、天井面部材30は、上壁31と、上壁31の下方に対向する天壁32と、上壁31及び天壁32の四方を覆う側壁33と、を備え、中空薄板状に形成されている。側壁33は、右側壁33A、左側壁33B、前壁33C、および後壁33Dを有する。天壁32は、ブース1における内部空間K1の天井面を形成している。
【0031】
天壁32は、平面視して略中央部に消火器70を下方から取り付けるための開口部32aが設けられている。なお、本実施形態では、消火剤が充填された消火剤容器を消火設備である消火器70(図8(b)、(c)参照)として説明する。
【0032】
消火器70は、下側に消火口72が設けられている。消火器70の下面側は、カバー73により覆われている。上壁31の下面で開口部32a上には、消火器70が固定可能な消火器係合部71(係合部)が設けられている。消火器係合部71は、本実施形態において板状の部材であり、開口部32aから例えば不図示の固定治具をボルトで固定し、その固定治具に消火器70が取り付けられる。
【0033】
図3及び図4に示すように、天壁32の左右両側には、上下に貫通する複数のボルト穴32bが前後方向X1に所定間隔をあけて設けられている(図6参照)。このボルト穴32bは、接続ボルト40の軸部41(図6参照)とほぼ同径であり、この軸部41が挿通される。天壁32の上面32cには、ボルト穴32bと同軸に上述した接続受けナット50が固着されている。
【0034】
図1及び図5に示すように、壁面部材20は、支柱21と、側壁22と、扉23と、を備えている。
【0035】
支柱21は、床面部材11上に立設された柱部材であり、上から見た平面視において、矩形状とされた床面部材11の4つの隅部の各々に配置されている。これらの4本の支柱21は、同一の高さ寸法とされている。
【0036】
図6に示すように、支柱21には、ブース内面を形成する内面部材27が設けられている。すなわち、接続ボルト40は、内部空間K1に対して内面部材27により覆われている。内面部材27の少なくとも一部は、支柱21に対して着脱可能に設けられている。内面部材27には、着脱部(図示省略)が取り外された状態で、ブース内側と接続ボルト40とを連通する開口が形成される。
【0037】
図1及び図5に示すように、側壁22は、支柱21同士の間の各々に配置されている。側壁22は、ブース1の右側に配置された右壁部22Aと、ブース1の左側に配置された左壁部22Bと、ブース1の前側の一部に配置された前壁部22Cと、ブース1の後側に配置された後壁部22Dと、を有する。
【0038】
壁面部材20の前側に設けられる一対の支柱21、21同士の間は、前壁部22Cと扉23とが配置される。左側の支柱21には、前壁部22Cが固定されている。右側の支柱21には、ヒンジ部22bを介して扉23が開閉可能に固定されている。扉23は、ブース1の利用者の出入口となる。
扉23は、ガラスによって形成されたパネル体であってもよいし、あるいは部分的にガラスパネルが組み込まれていてもよい。また、扉23としては、透光性が不要である場合には木製、あるいは樹脂製等の他の材質のパネル体を用いることも可能である。
【0039】
壁面部材20によって囲まれる内部空間K1の左側には、天板を備えたデスク60が設けられている(図5参照)。つまり、デスク60に向かって不図示の椅子に着座した利用者は、右壁部22Aを背にして左壁部22Bを向き、左手に扉23が設けられる位置となる。デスク60は、奥側が左壁部22Bの内面に当接して取り付けられている。デスク60の高さは、不図示の椅子に着座した利用者が利用できる高さに設定されている。
【0040】
図5から図7に示すように、側壁22の内部空間K1側の上縁部22aには、上縁部22aに沿って延びる上縁フレーム24が接合されている。上縁フレーム24は、板状部材が折り曲げられ、例えばアルミニウム合金によって形成されている。上縁フレーム24は、天井面部材30を下方から支持する天井面受け部25と、天井面部材30の側方に設けられたガイド部26と、を備えている。天井面受け部25及びガイド部26は、それぞれ上縁部22aの延在方向に延びて設けられている。すなわち、左右方向X2に互いに対向する一対の天井面受け部25は、扉23の左右両側で前後方向X1に延びて設けられている。天井面部材30は、左右一対で前後方向X1に延在する天井面受け部25の上面25aに沿って前後方向X1にスライド可能である。
【0041】
天井面受け部25は、天井面部材30の下面30aが上方から載置される受け壁25Aを有する。受け壁25Aと、受け壁25Aの下方に対向する下壁25Bと、のそれぞれには、接続ボルト40の軸部41が下方から挿通されるとともに、上面視して同軸となる一対の第2ボルト穴25c、25dが形成されている。一対の第2ボルト穴25c、25dは、それぞれが略同径であり、それぞれ接続ボルト40の軸径よりも大径である。第2ボルト穴25c、25dは、挿通される接続ボルト40の軸部41が第1ボルト穴32bにも挿通可能な位置に形成されている。
【0042】
接続ボルト40は、雄ねじが形成された軸部41と、軸部41の一端の頭部42と、を有する。接続ボルト40の軸部41は、第2ボルト穴25c、25dに下方から挿通された状態で、第1ボルト穴32bに挿通して接続受けナット50に螺合する。
【0043】
ガイド部26は、天井面受け部25の上面25aより上方に位置し、内部空間K1側を向くガイド面26aを有する。ガイド面26aは、側壁22の面に平行である。左右一対で対向する上縁フレーム24におけるガイド部26のガイド面26a同士の左右方向X2の離間は、天井面部材30の左右方向X2の幅寸法と一致、あるいは幅寸法より僅かに大きく設定されている。なお、前後方向X1に対向するガイド部26が設けられる場合には、その前後方向X1に対向するガイド面26a同士の離間が天井面部材30の前後方向X1の奥行き長と一致、あるいは奥行き長より僅かに大きく設定されている。対向するガイド面26aは、天井面受け部25に天井面部材30が載置された状態で天井面部材30の側壁33に接触、または近接している。
【0044】
次に、天井面部材30を壁面部材20に取り付ける作業手順について説明する。
先ず、図5に示すように、床面部材11(図1参照)上に、支柱21、側壁22、及び扉23を設置して壁面部材20を取り付けた状態にする。デスク60は、天井面部材30の設置後に取り付けてもよいし、設置前に取り付けてもよい。そして、壁面部材20の側壁22の上部に上縁フレーム24を取り付ける。
なお、本実施形態では、上縁フレーム24が側壁22に対して別体で設けられているが、側壁22と上縁フレーム24とが一体で設けられていてもよい。
【0045】
次に、図6図7及び図8(a)~(c)に示すように、上縁フレーム24の天井面受け部25の上面25aに対して上方から天井面部材30を載置する。
その後、接続ボルト40を上縁フレーム24の下方から挿通させて天井面部材30に固定される接続受けナット50に螺合させる。そして、天井面部材30を壁面部材20に接続した後、内部空間K1より天井面部材30の開口部32aを使用して消火器70を天井面部材30に取り付ける。
【0046】
このように構成されたブース1では、天井面部材30と、立設され、天井面部材30を支持する壁面部材20と、天井面部材30に設けられた接続受けナット50と、壁面部材20における天井面部材30の下側の位置に設けられ、接続受けナット50に接続する接続ボルト40と、を備えている。
このように、本実施形態では、天井面部材30を、天井面部材30の下側から接続ボルト40によって壁面部材20に接続することができる。そのため、天井面部材30の上方で行われる作業を抑制することができ、ブース設置時におけるブース上の作業高さを小さく抑えることができる。
【0047】
また、本実施形態によるブース1では、接続ボルト40が内部空間K1に対して内面部材27により覆われている。内面部材27の少なくとも一部が着脱可能に設けられ、内面部材27が取り外された状態で、内部空間K1と接続ボルト40とが連通される。
【0048】
そのため、内面部材27を取り外すことで接続ボルト40を接続受けナット50に接続することが可能となる。すなわち、内面部材27を取り外すことにより接続ボルト40に内部空間K1からアクセスすることが可能となり、例えばブースの周囲に作業空間を設けられない場合であっても、接続ボルト40を使用して内部空間K1から壁面部材20と天井面部材30との接続作業を行うことができる。
しかも、本実施形態では、接続ボルト40が内面部材27によって内側から見えないように隠すことができ、ブース1の利用者からの見栄えを良好にできる。
【0049】
また、本実施形態によるブース1では、壁面部材20の少なくとも一部には、天井面部材30を下方から支持する天井面受け部25と、天井面部材30の側方に設けられ、天井面部材30の側面を支持するガイド部26と、が備えられている。
【0050】
この場合には、天井面部材30を壁面部材20に接続する際に、天井面部材30が天井面受け部25に載せた状態で、天井面部材30より外側位置にガイド部26が配置されることになる。そのため、壁面部材20に対する天井面部材30の位置決めが容易になる。また、天井面部材30に不意に力がかかっても天井面部材30が天井面受け部25から脱落したり、大きくずれることを抑制できる。
また、この場合には、天井面部材30がガイド部26と天井面受け部25との2面で支持された状態となるので、天井面部材30を強固に保持できる。例えば天井面部材30が下方からのみで支持される場合に比べて、固定状態の安定性を高めることができる。
【0051】
また、本実施形態によるブース1では、天井面受け部25は、互いに対向し、それぞれが上下方向に交差する一方向に延びて設けられている。天井面部材30は、対向する一対の天井面受け部25の上面25aに沿って一方向(前後方向X1)にスライド可能に設けられている。
【0052】
そのため、壁面部材20の上に天井面部材30を配置する際に、天井面部材30を、上下方向に移動させることなく、天井面受け部25の上面25aに沿って上下方向に交差する一方向(前後方向X1)にスライドさせて所定位置に配置することができる。すなわち、天井面部材30を壁面部材20に配置する作業においても、壁面部材20の上方での作業を抑制することができ、ブース上の作業高さを小さく抑えることができる。
【0053】
また、本実施形態によるブース1では、ブース前面には、出入口となる扉23が設けられている。一対の天井面受け部25は、扉23の両側に設けられている。
【0054】
そのため、扉23のある面にガイド部26を備えない構成とすることで、天井面部材30を壁面部材20上に配置する際に、扉側となる前方からスライドさせて載せることができる。例えば、複数のブース1が横並びに配列される場合でも、扉23がある面の前側は出入口となる前方作業空間を確保できるので、この前方作業空間を使用して前方から天井面部材30をスライドさせて壁面部材20上に配置することができる。
【0055】
また、本実施形態によるブース1では、接続ボルト40は、壁面部材20に対して下方から挿通する。接続受けナット50は、天井面部材30の下面に固定され、接続ボルト40が締め込み可能である。
そのため、天井面部材30の下側の空間において、接続ボルト40を下方から天井面部材30の下面に固定される接続受けナット50に締め込むといった簡単な方法により、天井面部材30を壁面部材20に接続することができる。
【0056】
また、本実施形態によるブース1では、天井面部材30には、消火器70を下方から固定可能な消火器係合部71が設けられている。
そのため、天井面部材30を壁面部材20に接続した後に、ブース1の内部空間K1から天井面部材30の消火器係合部71に消火器70を固定することができる。すなわち、天井面部材30の上側の空間を使用することなく、消火器70を天井面部材30に固定できる。
【0057】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0058】
例えば、上記に示す実施形態では、天井面部材30に接続受けナット50を設け、壁面部材20における天井面部材30の下側の位置に接続ボルト40を設けた構成としているが、これに限定されることはない。例えば、天井面部材30の接続受け部材がボルトであり、壁面部材20側の接続部材がナットであってもよい。この場合、例えば、天井面部材30にボルトを下向きに突出するように設けておき、天井面部材30を壁面部材20に載置した後に、ボルトに対してナットを締め込み接続する構成となる。
【0059】
また、接続部材と接続受け部材とを接続した状態で、必ずしも天井面部材30が壁面部材20(高さ部材)に載置されていなくてもよい。要は、接続部材と接続受け部材とを接続状態において、天井面部材30が壁面部材20(高さ部材)が固定されていればよいのである。
【0060】
さらに、接続部材と接続受け部材とが、ボルトナットの部材であることに限定されず、ピン部材、クリップ材等の固定部材を採用することができる。また、接続部材と接続受け部材との接続方向も、本実施形態のように上下方向の接続であることに制限されることはなく、上下方向に交差する方向を接続方法としてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、高さ部材として壁面部材20の側壁22の上縁フレーム24を対象としているが、これに限らず、支柱21が高さ部材であってもよい。さらに、上縁フレーム24を省略して側壁22を高さ部材とし、その側壁22の上部に天井面部材30を固定するようにしてもよい。
【0062】
さらに、本実施形態では、接続ボルト40(接続部材)を内部空間K1側から覆う内面部材27を設けた構成としているが、この内面部材27を省略することも可能である。
【0063】
また、上縁フレーム24の天井面受け部25やガイド部26を省略してもよい。また、本実施形態では、天井面受け部25とガイド部26とで断面L形状に形成されるガイド部形状をなしているが、ガイド部の断面形状としてはこのようなL形状であることに限定されることはない。例えば、上向き凸形状、下向き凹形状、あるいは内部空間に対して外側が低い段差形状のガイド部であってもよい。
【0064】
また、実施形態では、内部空間K1に1人のみの利用者が入れるブース1について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、複数人が内部空間K1に入ることができるブースに適用することも可能である。
【0065】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 ブース
11 床面部材
20 壁面部材(高さ部材)
21 支柱
22 側壁
23 扉
24 上縁フレーム
25 天井面受け部
26 ガイド部
27 内面部材
30 天井面部材
32 天壁
40 接続ボルト(接続部材)
41 軸部
50 接続受けナット(接続受け部材)
70 消火器(消火設備)
K1 内部空間
K2 外部空間
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8