(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055472
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20240411BHJP
A62C 3/00 20060101ALI20240411BHJP
A62C 35/02 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
E04H1/12 A
E04H1/12 302Z
A62C3/00 J
A62C35/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162422
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】武田 絢子
(72)【発明者】
【氏名】今井 良輔
(72)【発明者】
【氏名】平野 佑太
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189BA05
(57)【要約】
【課題】消火設備の設置やメンテナンスを容易に行うことができるうえ、ブース外観の意匠性や内部空間の天井の見た目を良好にできるブースを提供する。
【解決手段】天井面より下方に内部空間K1を形成し、内部空間K1には、消火剤を収容した消火剤容器71が配置され、天井面には、消火剤容器71と分離され、消火剤容器71内の消火剤を内部空間K1に噴出する消火剤噴出部が設けられ、内部空間K1を囲む複数の壁面部材20が設けられ、消火剤容器71は、隣接する壁面部材20同士のなす角部20Aに設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面より下方に内部空間を形成したブースであって、
前記内部空間には、消火剤を収容した消火剤容器が配置され、
前記天井面には、前記消火剤容器と分離され、前記消火剤容器内の前記消火剤を前記内部空間に噴出する消火剤噴出部が設けられているブース。
【請求項2】
前記内部空間を囲む複数の壁面が設けられ、
前記消火剤容器は、隣接する前記壁面同士のなす角部に設けられている、請求項1に記載のブース。
【請求項3】
出入口となる扉が設けられ、
前記扉は、前記消火剤容器が配置される前記角部をなす前記壁面のうち少なくとも1つの壁面と同一面内で隣接している、請求項2に記載のブース。
【請求項4】
前記消火剤容器は、一方向に長い形状をなし、前記一方向を上下方向に平行に配置されている、請求項1に記載のブース。
【請求項5】
前記角部には、複数の前記消火剤容器が上下方向に設けられている、請求項2又は3に記載のブース。
【請求項6】
前記消火剤容器は、前記内部空間に備えられる天板より上に設けられている、請求項1乃至4いずれか1項に記載のブース。
【請求項7】
下方に内部空間を形成する天井面と、
出入口となる扉と、
前記扉と同一面内に設けられるサイドパネルと、
前記サイドパネルと角度をなして接続される壁面と、
消火設備と、を備えたブースであって、
前記消火設備は、消火剤を収容した消火剤容器と、前記消火剤容器から離れた箇所に設置可能な消火剤噴出部と、を備え、
前記天井面に前記消火剤噴出部が設けられ、
前記内部空間に配置され、前記サイドパネルと前記壁面とのなす角部の内側に前記消火剤容器が設けられているブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、オフィス、展示場及び公共施設等において、執務等を行うためのブースが設置されることがある。特に、近年、オフィスのフリーアドレス化や携帯端末やパソコン等のICT(情報通信技術)を活用したモバイルワークが進展している。そのため、各種の移動先で小スペースのブースを利用して執務等を行う機会が増加している。
【0003】
このようなブースでは、内部空間の天井部材に消火器を設置して、消火剤噴出部および熱検知部をブースの天井面に設けた孔から内部空間に露出させたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1に記載されるようなブースでは、消火剤容器、消火剤噴出部および熱検知部が一体となった消火器を天井の上に搭載している。
特許文献2には、消火剤容器と消火剤噴出部とを分離して配置可能な消火器について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-204231号公報
【特許文献2】特開2022-082402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1、2に示すような従来のブースでは、消火剤容器を天井面の上に搭載している。そのため、重量の大きな消火剤容器の設置やメンテナンスを行う際に、ブースの天井部材の上で作業を行う必要があり、作業効率が低下していた。
また、消火剤容器が天井部材よりも上に配置されることから、消火剤容器を含む部分が天井部材よりも上に突出してしまい、外観が悪くなっていた。そのため、例えば天井部材から突出する消火剤容器を覆うカバーを設けると、設置箇所における天井高さを十分に高い空間を確保する必要があり、その点で改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、消火設備の設置やメンテナンスを容易に行うことができるうえ、ブース外観の意匠性や内部空間の天井の見た目を良好にできるブースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
(1)本発明に係るブースの態様1は、天井面より下方に内部空間を形成したブースであって、前記内部空間には、消火剤を収容した消火剤容器が配置され、前記天井面には、前記消火剤容器と分離され、前記消火剤容器内の前記消火剤を前記内部空間に噴出する消火剤噴出部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
本発明に係るブースでは、消火剤容器をブースの内部空間に設置し、消火剤容器と分離された消火剤噴出部のみを天井面に設置することができる。すなわち、消火設備を構成する物のうち容積が大きくて重量の大きな消火剤容器が内部空間に配置されることから、天井面に消火剤容器が設けられる場合に比べて、消火設備の設置作業やメンテナンスにかかる作業を容易に行うことができる。
また、本発明では、天井面に設けられる消火剤噴出部は消火剤容器に比べて小型であり、天井に大型な消火剤容器を設置する必要がないため、ブース外観の意匠性や内部空間の天井の見た目を良好にできる。
【0010】
(2)本発明の態様2は、態様1のブースにおいて、前記内部空間を囲む複数の壁面が設けられ、前記消火剤容器は、隣接する前記壁面同士のなす角部に設けられていることが好ましい。
【0011】
このように構成されたブースでは、消火剤容器が内部空間に位置する角部に設けられるため、内部空間を利用する際に消火剤容器が邪魔になることを抑制できる。
【0012】
(3)本発明の態様3は、態様2ブースにおいて、ブース前面には、出入口となる扉が設けられ、前記扉は、前記消火剤容器が配置される前記角部をなす前記壁面のうち少なくとも1つの壁面と同一面内で隣接していることが好ましい。
【0013】
このように構成されたブースでは、扉と面方向に隣接し角部を形成する扉横の壁面の内側は、扉の開閉や利用者の扉の出入りにも影響が少ないスペースとなる。このようなスペースに消火剤容器を設けることで、ブースの内部空間の利用効率を高めることができる。また、扉横の壁面の内面寄りの角部のスペースは、ブースの外から見て隠れた状態で見えにくい空間になるので、扉の外側から消火剤容器が見え難く、見栄えが良好になる。
【0014】
(4)本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つのブースにおいて、前記消火剤容器は、一方向に長い形状をなし、前記一方向を上下方向に平行に配置されていることを特徴としてもよい。
【0015】
このように構成されたブースでは、一方向に長く延びる消火剤容器の長手方向を上下方向に向けて角部に設置することで、内部空間を利用する際に消火剤容器が邪魔になることをより確実に抑制できる。
【0016】
(5)本発明の態様5は、態様2又は態様3のブースにおいて、前記角部には、複数の前記消火剤容器が上下方向に設けられていることを特徴としてもよい。
【0017】
このように構成されたブースでは、一方向に長く延びる消火剤容器の長手方向を上下方向に向けた状態で、角部に複数の消火剤容器を上下に直列となるように設置することができる。これにより、ブースの内部空間の利用効率を低下させることなく、複数の消火剤容器を設置することができる。
【0018】
(6)本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれか一つのブースにおいて、前記消火剤容器は、前記内部空間に備えられる天板より上に設けられていることを特徴としてもよい。
【0019】
このように構成されたブースでは、消火剤容器が天板より上に配置されるため、消火剤容器を内部空間に設置する際やメンテナンスする際に、設置者がかがむようにして低い姿勢で行う作業を少なく抑えることができ、これらの作業を容易に行うことができる。
また、この場合には、角部において消火剤容器を天井面に近い箇所に配置できるので、消火剤容器から消火剤噴出部までを接続する配管長を短くすることができる。
【0020】
(7)本発明に係るブースの態様7は、下方に内部空間を形成する天井面と、出入口となる扉と、前記扉と同一面内に設けられるサイドパネルと、前記サイドパネルと角度をなして接続される壁面と、消火設備と、を備えたブースであって、前記消火設備は、消火剤を収容した消火剤容器と、前記消火剤容器から離れた箇所に設置可能な消火剤噴出部と、を備え、前記天井面に前記消火剤噴出部が設けられ、前記内部空間に配置され、前記サイドパネルと前記壁面とのなす角部の内側に前記消火剤容器が設けられていることを特徴としてもよい。
【0021】
本発明に係るブースでは、消火剤容器をブースの内部空間に設置し、消火剤容器と分離された消火剤噴出部のみを天井面に設置することができる。すなわち、消火設備を構成する物のうち容積が大きくて重量の大きな消火剤容器が内部空間に配置されることから、天井面に消火剤容器が設けられる場合に比べて、消火設備の設置作業やメンテナンスにかかる作業を容易に行うことができる。
また、本発明では、天井面に設けられる消火剤噴出部は消火剤容器に比べて小型であり、天井に大型な消火剤容器を設置する必要がないため、ブース外観の意匠性や内部空間の天井の見た目を良好にできる。
また、この場合には、消火剤容器が内部空間に位置する角部に設けられるため、内部空間を利用する際に消火剤容器が邪魔になることを抑制できる。
さらに、本発明では、扉と同一面内のサイドパネルと側面とのなす角部の内側は、扉の開閉や利用者の扉の出入りにも影響が少ないスペースとなる。このようなスペースに消火剤容器を設けることで、ブースの内部空間の利用効率を高めることができる。また、扉横のサイドパネルの内面寄りのスペースは、ブースの外から見て隠れた状態で見えにくい空間になるので、扉の外側から消火剤容器が見え難く、見栄えが良好になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るブースによれば、消火設備の設置やメンテナンスを容易に行うことができるうえ、ブース外観の意匠性や内部空間の天井の見た目を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態によるブースを斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】
図1において扉の一部を省略したブースの斜視図である。
【
図4】ブースの天井面を下方から見た平面図である。
【
図5】天井面部材を省略したブースを斜め上方から見た斜視図である。
【
図6】角部に設けられる消火剤容器を内部空間から見た斜視図であって、収容カバーの一部を省略した図である。
【
図7】収容カバーに収容された消火剤容器の設置状態を上方から見た要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1から
図7を参照して、本発明の一実施形態に係るブースについて説明する。
【0025】
本実施形態のブース1は、オフィスや公共機関等の床面上に設置され、外部空間K2から離隔された執務等を行う内部空間K1を形成するものである。
【0026】
ここで、以下の説明においては、
図1から
図7に示すように、ブース1の内部空間K1で作業を行う利用者が外部空間K2と内部空間K1との間で出入りする側を「前」、ブース1に対して前側から正対する利用者の右手側を「右」、左手側を「左」、ブース1に対して前側から正対する利用者から見てブース1の裏側を「後」とする。すなわち、外部空間K2と内部空間K1とを出入りする方向を前後方向X1とし、上から見て前後方向X1に直交する方向を左右方向X2とする。
【0027】
図1及び
図2に示すように、本実施形態によるブース1は、床面部材11と、床面部材11に立設された壁面部材20(壁面)と、壁面部材20の上に載置された天井面部材30と、を備えている。ブース1は、上面視して矩形(本実施形態では略正方形)をなし、四方が壁面部材20によって囲まれている。
【0028】
図1に示すように、床面部材11は、本実施形態のブース1が設置される床面F上に載置され、壁面部材20を下方から支持している。床面部材11の下面には、適宜な位置に複数のキャスタ(図示省略)や、高さ調整可能な複数のアジャスタ(図示省略)を備えていてもよい。キャスタは、床面Fに接地可能に設けられ、転動することによりブース1全体を容易に移動させることが可能である。また、ブース1を設置する際においては、アジャスタを床面Fに接地させることにより、キャスタが床面Fから離間してブース1の移動が規制される。
【0029】
図1及び
図2に示すように、天井面部材30は、四辺部が壁面部材20によって下方から支持されることで内部空間K1を上方から閉塞している。具体的に天井面部材30の外周縁が側壁21の上沿に沿って設けられる上縁フレーム(図示省略)上に載置された状態で、例えばボルト締結により固定されている。天井面部材30は、中空薄板状に形成され、ブース1における内部空間K1の天井面31を形成している。ブース1の内部空間K1は、天井面31より下方に形成される空間である。
【0030】
図1から
図5に示すように、壁面部材20は、側壁21と、扉22と、を備えている。
壁面部材20として、不図示の支柱が設けられている。支柱は、床面部材11上に立設された柱部材であり、上から見た平面視において、矩形状とされた床面部材11の4つの隅部の各々に配置されている。支柱には、ブース内面を形成する内面部材(図示省略)が設けられている。
【0031】
側壁21は、支柱同士の間の各々に配置されている。側壁21は、ブース1の右側に配置された右壁部21Aと、ブース1の左側に配置された左壁部21Bと、ブース1の前側の一部に配置されたサイドパネル21Cと、ブース1の後側に配置された後壁部21Dと、を有する。
【0032】
壁面部材20の前側に設けられる一対の支柱同士の間は、サイドパネル21Cと扉22とが配置される。左側の支柱には、サイドパネル21Cが固定されている。右側の支柱には、ヒンジ部22aを介して扉22が開閉可能に固定されている。扉22は、ブース1の利用者の出入口となる。
扉22は、ガラスによって形成されたパネル体であってもよいし、あるいは部分的にガラスパネルが組み込まれていてもよい。また、扉22としては、透光性が不要である場合には木製、あるいは樹脂製等の他の材質のパネル体を用いることも可能である。
【0033】
図2及び
図3に示すように、壁面部材20によって囲まれる内部空間K1の左側には、デスクとして使用される天板60が設けられている。つまり、天板60に向かって不図示の椅子に着座した利用者は、右壁部21Aを背にして左壁部21Bを向き、左手に扉22が設けられる位置となる。天板60は、奥側が左壁部21Bの内面に当接して取り付けられている。天板60の高さは、不図示の椅子に着座した利用者が利用できる高さに設定されている。また、天板60の左右端面のうち少なくとも片方(ここでは扉23側)は、天板手前から奥に向けて広がる斜め端面が形成されている。
なお、椅子が設けられることに限定されることはなく、椅子が設けられない場合には、利用者が立った状態で使いやすい高さに天板が設定されている。
【0034】
図2から
図4に示すように、ブース1には、消火設備70が設けられている。消火設備70は、内部空間K1に設けられ消火剤を収容した消火剤容器71と、天井面31における平面視して略中央部に設けられた消火剤噴出部72と、を備えている。消火剤噴出部72は、消火剤容器71と分離されて配置され、消火剤容器71内の消火剤を内部空間K1に噴出する。消火剤容器71と消火剤噴出部72とは、任意に曲げが可能な配管部材73によって接続されている。また、天井面31には、不図示の熱検知部が消火剤噴出部72の近傍に設けられている。
【0035】
消火剤容器71は、隣接するサイドパネル21Cと左壁部21Bとのなす角部20Aに配置され、内部空間K1に備えられる天板60より上に設けられている。消火剤容器71は、一方向に長い円筒形状をなし、その長手方向を上下方向に平行に向けた姿勢で配置されている。角部20Aに配置された消火剤容器71は、収容カバー74によって覆われた状態で収容され、外方から見えないようになっている。
【0036】
図4から
図7に示すように、収容カバー74は、底板741と、角部20Aを形成するサイドパネル21C及び左壁部21Bに接してボルト等の固定手段によって固定される支持板742と、支持板742に接続され、角部20Aに配置される消火剤容器71を内部空間K1側から覆うカバー本体743と、を有している。
【0037】
カバー本体743は、中央板743Aと、中央板743Aの左右両側に配置される側面板743B、743Cと、を有する。一方の第1側面板743Bは、サイドパネル21Cに平行に配置され、他方の第2側面板743Cは左壁部21Bに平行に配置されている。第2側面板743Cはサイドパネル21Cの開口縁21aより扉22側に張り出さない位置に設けられている。
【0038】
中央板743Aは、扉22から奥側に向かうに従い漸次、左右方向で内部空間K1の中央側から左壁部21Bに向かうように斜めに配置されている。そのため、中央板743Aは、ブース外から内部空間K1を見たときにカバー本体743がさらに目立たないようになっている。
なお、カバー本体743は、平面で形成されるものに限定されることはなく、曲面によって形成されていてもよい。例えば、上から見た平面視で内部空間K1の中央側に凸となる曲面からなるカバー本体を採用してもよい。この場合もブース外から内部空間K1を見たときにカバー本体が目立たなくなる。
【0039】
図4及び
図6に示すように、配管部材73は、消火剤噴出部72から天井面31を這わせて収容カバー74内の消火剤容器71の上部に接続される。配管部材73の長さの余った部分は、収容カバー74内に収められている。そして、配管部材73のうち天井面31に配置される部分は、配管カバー75によって覆われている。
【0040】
このように構成されたブース1では、天井面31より下方に内部空間K1を形成している。内部空間K1には、消火剤を収容した消火剤容器71が配置されている。天井面31には、消火剤容器71と分離され、消火剤容器71内の消火剤を内部空間K1に噴出する消火剤噴出部72が設けられている。
【0041】
このように、本実施形態では、消火剤容器71をブース1の内部空間K1に設置し、消火剤容器71と分離された消火剤噴出部72のみを天井面31に設置することができる。すなわち、消火設備70を構成する物のうち容積が大きくて重量の大きな消火剤容器71が内部空間K1に配置されることから、天井面31に消火剤容器71が設けられる場合に比べて、消火設備70の設置作業やメンテナンスにかかる作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態では、天井面31に設けられる消火剤噴出部72は消火剤容器71に比べて小型であり、天井に大型な消火剤容器71を設置する必要がないため、ブース外観の意匠性や内部空間K1の天井の見た目を良好にできる。
【0042】
また、本実施形態によるブース1では、内部空間K1を囲む複数の壁面部材20が設けられている。消火剤容器71は、隣接する側壁21同士のなす角部20Aに設けられている。
【0043】
このように構成されたブース1では、消火剤容器71が内部空間K1に位置する角部20Aに設けられるため、内部空間K1を利用する際に消火剤容器71が邪魔になることを抑制できる。
【0044】
また、本実施形態によるブース1では、ブース前面には、出入口となる扉22が設けられている。扉22は、消火剤容器71が配置される角部20Aをなす壁面のうち少なくとも1つの壁面と同一面内で隣接している。
【0045】
このように構成されたブース1では、扉22と面方向に隣接し角部20Aを形成する扉横のサイドパネル21Cの内側は、扉22の開閉や利用者の扉22の出入りにも影響が少ないスペースとなる。このようなスペースに消火剤容器71を設けることで、ブース1の内部空間K1の利用効率を高めることができる。また、扉横のサイドパネル21Cの内面寄りの角部20Aのスペースは、ブース1の外から見て隠れた状態で見えにくい空間になるので、扉22の外側から消火剤容器71が見え難く、見栄えが良好になる。
【0046】
また、本実施形態によるブース1では、消火剤容器71が一方向に長い形状をなし、一方向を上下方向に平行に配置されている。
【0047】
そのため、一方向に長く延びる消火剤容器71の長手方向を上下方向に向けて角部20Aに設置することで、内部空間K1を利用する際に消火剤容器71が邪魔になることをより確実に抑制できる。
【0048】
また、本実施形態によるブース1では、消火剤容器71は、内部空間K1に備えられる天板60より上に設けられている。
【0049】
そのため、消火剤容器71が天板60より上に配置されるため、消火剤容器71を内部空間K1に設置する際やメンテナンスする際に、設置者がかがむようにして低い姿勢で行う作業を少なく抑えることができ、これらの作業を容易に行うことができる。
また、この場合には、角部20Aにおいて消火剤容器71を天井面31に近い箇所に配置できるので、消火剤容器71から消火剤噴出部72までを接続する配管部材73の配管長を短くすることができる。
【0050】
また、本実施形態では、消火器容器71が左右方向で天板60が配置される左側の扉23寄りの角部20Aに設けられている。天板60の扉23寄りの領域に大きな物品を載置しているとブース1への出入りの際に手が触れるなどして邪魔になるため、扉23から奥側の天板領域の方が天板60として利用しやすい。そのため、あまり使われない天板領域の上側に消火器容器71を設置することで、消火器容器71が天板60を利用する際の邪魔になることがない。
さらに、本実施形態では、天板60の扉23側に形成される斜め端面部の奥側(左側)の上に消火剤容器71が配置されている。この天板60の斜め端面部は天板60上において主に作業を行う面ではなく、一時的に物を置くなどの面となる。そのため、この斜め端面部の上方に消火剤容器71を設けることにより、天板60を利用する際に邪魔になることを抑制できる利点がある。
【0051】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0052】
例えば、上記に示す実施形態では、内部空間K1を囲む複数の側壁21(壁面)同士のなす角部20Aに消火剤容器71が設けられているが、消火剤容器71の設置位置として角部20Aであることに限定されることはない。要は、消火剤噴出部72と分離された消火剤容器71がブース1の内部空間K1に配置されていればよいのである。そのため、例えばブース奥側の別の角部20Aに消火剤容器71を配置する構成であってもよい。さらに、消火剤容器71が配置される上下方向の位置も、本実施形態のように上部であって、天板60の上側であることにも限定されることはない。
【0053】
また、本実施形態では、消火剤容器71が収容カバー74に収容されて全体が覆われた構成としているが、収容カバー74を省略することも可能である。また、収容カバー74の形状、大きさについても消火剤容器71の形状やブースの大きさ、側壁の位置等の構成に合わせて適宜設定することができる。
【0054】
さらに、角部20Aにおいて、複数の消火剤容器71を上下方向に配列して設置するようにしてもよい。この場合には、一方向に長く延びる消火剤容器71の長手方向を上下方向に向けた状態で、角部20Aに複数の消火剤容器71を上下に直列となるように設置することができる。これにより、ブース1の内部空間K1の利用効率を低下させることなく、複数の消火剤容器71を設置することができる。
【0055】
また、実施形態では、内部空間K1に1人のみの利用者が入れるブース1について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、複数人が内部空間K1に入ることができるブースに適用することも可能である。
【0056】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 ブース
11 床面部材
20 壁面部材(壁面)
20A 角部
21 側壁
21B 左壁部
21C サイドパネル(壁面)
22 扉
30 天井面部材
31 天井面
70 消火設備
71 消火剤容器
72 消火剤噴出部
73 配管部材
74 収容カバー
K1 内部空間
K2 外部空間