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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055475
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】弁システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20240411BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F02M25/08 D
F02M37/00 311K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162427
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山形 匡史
【テーマコード(参考)】
3G144
【Fターム(参考)】
3G144BA16
3G144DA03
3G144EA08
3G144EA17
3G144EA32
3G144EA40
3G144FA04
3G144GA03
3G144GA23
(57)【要約】
【課題】封鎖弁の開弁位置をより早く推定できる弁システムを提供すること。
【解決手段】弁システム1は、流体を貯留可能なタンク2と、タンク2の内圧を検出する圧力センサ6と、弁体11を有しタンク2を開閉するバルブ4と、バルブ4の弁体11をストロークさせるためのステッピングモータ12と、制御装置5を備える。制御装置5は、サイクル開始後にバルブ4を開弁方向に移動させ、バルブ4の弁体11の移動方向を反転して閉弁状態の待機位置まで移動させ、サイクルが開始してからの内圧の変化率である第1の圧力変化率を算出し、第1の圧力変化率が目標変化率よりも大きい場合にはサイクルの開始から終了までの内圧の変化率である内圧の第2の圧力変化率が目標変化率と等しくなるように待機時間を決定し、決定した待機時間が経過するまでステッピングモータ12を待機位置で停止させるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁システムであって、
流体を貯留可能なタンクと、該タンクの内圧を検出する圧力センサと、弁体を有し前記タンクを開閉するバルブと、該バルブの弁体をストロークさせるための駆動装置と、制御装置を備え、
該制御装置は、
サイクル開始後に前記バルブの弁体を開弁方向に移動させ、
前記バルブの弁体の移動方向を反転して閉弁状態の待機位置まで移動させ、
前記サイクルが開始してからの内圧の変化率である第1の圧力変化率を算出し、
前記第1の圧力変化率が目標変化率よりも大きい場合には前記サイクルの開始から終了までの内圧の変化率である第2の圧力変化率が前記目標変化率に等しくなるように待機時間を決定し、
決定した前記待機時間が経過するまで前記駆動装置を前記待機位置で待機させるように構成されている弁システム。
【請求項2】
請求項1に記載の弁システムであって、
前記制御装置が、
前記圧力センサにより前記タンクの内圧が一定値減少したことを検知した際に、前記バルブの弁体の移動方向を反転させるように構成されている弁システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の弁システムであって、
前記制御装置は、
前記第1の圧力変化率が前記目標変化率以下である場合には、前記待機時間を0に設定するように構成されている弁システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の弁システムであって、
前記制御装置が、
前記バルブの弁体を開弁方向に移動させたあと移動方向を反転させる前に前記サイクルが開始してからの内圧の変化率である第3の圧力変化率を算出し、
前記第3の圧力変化率が前記目標変化率以下である場合、前記バルブの移動方向を反転させずに開弁状態を継続させるように構成されている弁システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の弁システムであって、
前記サイクルの開始時に前記駆動装置への通電を開始し、前記待機時間の開始時に通電を終了し、前記変化率が前記駆動装置の通電時間に基づいて算出される弁システム。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の弁システムであって、
前記駆動装置はステッピングモータとされる弁システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弁システムに関する。詳しくは、流体を貯留可能なタンクと、タンクを開閉可能なバルブとを備える弁システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを備えた自動車等の車両には、燃料タンクと、その燃料タンク内で発生した燃料蒸気(ベーパ)を吸着するキャニスタとを備える蒸発燃料処理システムが搭載されている。通常、燃料タンクとキャニスタとを繋ぐベーパ通路は封鎖弁で遮断されており、キャニスタに吸着させる必要がある時にだけ封鎖弁が開かれる。特開2019-183677号公報に開示されているシステムでは、燃料タンクの内圧の変化量から推定した流量に基づいてステッピングモータを動作させ弁体の開弁量を調整する。これにより内圧の変化量を制御することで、燃料タンクからキャニスタに送られる燃料蒸気の流量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-183677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弁体を移動させるための駆動装置(アクチュエータ)が動作信号を受けてからの応答性が十分でない場合には精度よく制御することが困難になる。また、上述の公報に開示されているシステムのように駆動装置としてステッピングモータを用いた場合、弁体の移動方向を反転させる際に脱調防止のための待機時間を設ける必要があるため、弁体の開弁量を細かく調整するのに限界がある。そこで、駆動装置の応答性や必要な待機時間に関係なく流量制御のための圧力制御をより精度よく実施できる弁システムを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様としての弁システムは、流体を貯留可能なタンクと、タンクの内圧を検出する圧力センサと、弁体を有しタンクを開閉するバルブと、バルブの弁体をストロークさせるための駆動装置と、制御装置を備える。制御装置は、サイクル開始後にバルブの弁体を開弁方向に移動させ、バルブの弁体の移動方向を反転して閉弁状態の待機位置まで移動させ、サイクルが開始してからの内圧の変化率である第1の圧力変化率を算出し、第1の圧力変化率が目標変化率よりも大きい場合にはサイクルの開始から終了までの内圧の変化率である第2の圧力変化率が目標変化率に等しくなるように待機時間を決定し、決定した待機時間が経過するまで駆動装置を待機位置で待機させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】弁システムの構成図である。
図2】タンク内圧の変化率の制御を行うための処理のルーチンを示すフローチャートである。
図3】閉弁後の時点までの圧力の変化率R2が目標変化率R0よりも大きい場合のタイムチャートである。
図4】変化率R2が目標変化率R0以下である場合のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<弁システム>
以下、種々の実施形態を図1~4を用いて説明する。弁システム1は、図1に示すように、流体を貯留する閉空間を成すタンク2と、タンク2内の流体の供給先7と、タンク2と供給先7とを繋ぐ供給路3を有する。弁システム1は、供給路3を開閉可能なバルブ4を有する。バルブ4を開くとタンク2の流体が供給路3を通って供給先7に流入する。弁システム1は、例えば水素タンクを備え燃料電池に水素燃料を供給する水素燃料供給システムに適用される。
【0008】
弁システム1は、タンク2の内圧Pを測定する圧力センサ6と、制御装置5を有する。制御装置5は、少なくとも一つのプロセッサと少なくとも一つのメモリとを有するコンピュータシステムである。制御装置5には、圧力センサ6からの測定信号が入力される。また制御装置5は、バルブ4の動作状態を制御するように制御信号を出力する。制御装置5のメモリには、バルブ4の制御のための各種プログラムや各種データ(マップを含む)が記憶されている。メモリに記憶されているプログラムがプロセッサで実行されることで、以下に説明する制御が実現される。例えば、バルブ4を通した流体の流量制御は、プログラムが実行されることによって実現される機能の一つである。
【0009】
<バルブ>
バルブ4は、図1に示すように、弁体11と、この弁体11をストロークさせる駆動装置(アクチュエータ)とを有する。駆動装置は例えばロータとステータを備えるステッピングモータ12と、弁体11と一体に組み付けられた出力軸13を有する。出力軸13の表面には雄ねじが形成され、雌ねじが形成されたステッピングモータ12のロータと螺合した状態に組み付けられる。このため出力軸13は、ロータの回転により、軸方向(上下方向)に動く。出力軸13の上下移動に伴い、弁体11も上下に移動する。
【0010】
また、弁体11の下面にはゴム状のシール部材14が設けられている。弁体11がステッピングモータ12により下降すると、シール部材14が供給路3の座部3aに上方から押し付けられる。これにより、弁体11が供給路3を適切に遮断して、タンク2を封鎖することができる。そして、弁体11が上昇してシール部材14が座部3aから離されることで、上流路3bと下流路3cとが連通状態となる。これにより、タンク2から供給先7に向かって流体が流れるようになる。
【0011】
制御装置5は、ステップ数の制御によりステッピングモータ12を正転又は逆転方向に回転駆動させることができる。予め決められたステップ数だけステッピングモータ12を正転又は逆転方向に回転させることで、弁体11が上下方向(開閉方向)に予め決められたストローク量だけ移動する。すなわち、ステップ数の制御により弁体11のストローク量を調整することができるようになっている。
【0012】
<タンク内圧の変化率の制御方法>
タンク2から供給先7に流れる流体の流量は、バルブ4の開弁により減少するタンク2の内圧Pの時間あたりの変化量(変化率R)に依存する。したがって流量の制御は、以下に説明するようにタンク2の内圧Pの変化率Rが目標変化率R0となるように制御することを通して実現できる。しかし、当然ながら、タンク2の内圧Pの変化率Rの制御自体が目的である場合にも以下の方法を用いることができる。
【0013】
図2は、一つの具体的な実施形態としての内圧Pの変化率Rの制御を行うために制御装置5が実行する処理のルーチンを示すフローチャートである。図3~4にはそれぞれ制御例を表すタイムチャートが記載されている。各タイムチャートは上からタンク2の内圧P、ステッピングモータ12のステップ数(すなわち弁体11の位置)、ステッピングモータ12の通電状態、ステッピングモータ12の通電中のタイムカウント及び非通電中のタイムカウントをそれぞれ表している。タンク2の内圧Pは、圧力センサ6により一定周期毎に測定されて制御装置5に記録される。
【0014】
<制御方法の具体例>
初め、バルブ4の弁体11は開弁位置よりも所定のストローク量だけ閉弁方向に移動した待機位置に位置している。まず、バルブ4の開弁要求が出されているか否かを判定する(ステップS100)。開弁要求が出されていない場合は本サイクルを終了する。開弁要求が出されている場合、ステッピングモータ12に通電する(時刻ts)。通電後、ステッピングモータ12を脱調させないため弁体11を所定の時間Taだけ待機させる(ステップS102)。これにより、弁体11が移動する際のステッピングモータ12の脱調を防止できる。また、ステッピングモータ12の通電と同時に、通電中のタイムカウントを開始する。
【0015】
次に、弁体11を一定の開弁速度(例えば20ms/ステップ)で連続的に開弁方向に移動させる(ステップS104)。そして、移動した弁体11の位置(ステップ数)が、諸部品の寸法公差を考慮しても開弁位置を十分に超えている(弁体11が座部3aから十分に離間している)はずだと推測される所定の位置(ステップ数)を超えていないかを判定する(ステップS106)。弁体11が上記所定の位置を超えていない場合、通電開始(時刻ts)から現時点までのタンク2の内圧Pが判定基準圧ΔP(例えば0.2kPa)以上減少しかつ時刻tsから現時点までの内圧Pの(平均)変化率R1が目標変化率R0を超えているか否かを判定する(ステップS108)。
【0016】
内圧Pが判定基準圧ΔP以上減少しておらず、或いは判定基準圧ΔP以上減少しても内圧Pの変化率R1が目標変化率R0を超えていない場合(すなわちステップS108におけるNの場合)、ステップS104に処理を戻して継続して弁体11を開弁方向に移動させる。内圧Pが判定基準圧ΔP以上減少していないにもかかわらず、弁体11の位置が正常であれば既に十分に開弁しているはずだと推測される上述の所定の位置を超えている場合(すなわちステップS106におけるNの場合)、バルブ4の異常をカウントする異常カウンターAの値を1増加させる(ステップS128)。そして、上記異常カウンターAの値が2以上であるか否かを判定する(ステップS130)。異常カウンターAが2以上の場合は、バルブ4に異常が生じていると判定(ステップS134)して本サイクルを終了する。異常カウンターAが1の場合は、弁体11の位置をステッピングモータ12のステップ数が0となる位置まで移動させる(ステップS132)。その後、ステップS100に処理を戻す。
【0017】
内圧Pが判定基準圧ΔP以上減少したことを検知し、時刻tsから検知の時点(時刻t1)までの内圧Pの変化率R1が目標変化率R0を超えていた場合、その時点で弁体11の移動を停止させる。なお、判定基準圧ΔPは内圧Pの目標変化率R0に比例した可変値(例えば目標変化率R0が0.2kPa/sのときこれと数値的に等しい0.2kPa)に設定することができるが、これに限定されない。例えば圧力センサ6の分解能(例えば0.1kPa)を基準にその倍数(例えば2倍)として設定しても良いし、その他任意の数値を設定しても良い。また、弁体11の開弁速度は任意の速度を設定しても良い。
【0018】
そして、異常カウンターAの値を0にリセットし(ステップS110)し、弁体11を所定の時間Tb(例えば100ms)だけ待機させる(ステップS112)。弁体11を所定の時間Tbだけ待機させたら、弁体11を一定の閉弁速度(例えば20ms/ステップ)で連続的に閉弁方向に移動させる(ステップS114)。このように、弁体11を開弁方向から閉弁方向に反転させる前に所定時間待機させることで、弁体11の移動速度の急激な変化を抑制する。これによりステッピングモータ12の脱調を防止できる。
【0019】
次に、弁体11が待機位置に到達したら移動を停止させ、ステッピングモータ12を脱調させないため弁体11の停止後に所定の時間Tcだけ待機させる(ステップS116)。弁体11を待機させたのち、ステッピングモータ12への通電を停止させる(ステップS118)。
【0020】
次に、通電開始(時刻ts)から通電停止(時刻t2)までの経過時間(通電継続時間)を測定し、時刻tsから時刻t2までの内圧Pの(平均)変化率R2を算出する。そして、算出された変化率R2と目標変化率R0とを比較する(ステップS120)。R2>R0となる場合には、図3に示すように、ステッピングモータ12への通電を停止させる。そして、図3に示すように、ステッピングモータ12を再度通電させる時刻t3までの間、非通電状態のまま待機させる(待機時間Td)。この待機時間Tdの長さを調整することで内圧Pの変化率Rを調整することができる。すなわち、内圧Pが変化しない待機時間Tdを設けることで、通電を開始してからの内圧Pの平均的な変化率Rが減少する。制御装置5は、算出した時刻t2までの内圧Pの変化率R2から、変化率R3が目標変化率R0と等しくなるように待機時間Tdを決定する(ステップS122)。
【0021】
例えば通電継続時間が1000msであり、内圧Pの変化量が0.4kPaであり、目標変化率R0が0.2kPa/sであったとすると、待機時間Tdは1000msに決定される。これにより、時刻tsから時刻t3までの内圧Pの(平均)変化率R3は、
3=0.4kPa/(1000+1000)ms=0.2kPa/s
となり目標変化率R0と等しくなる。このように、制御装置5は、待機時間Tdを用いて経過時間を調整することで内圧Pの変化率Rを調整することができる(ステップS126)。変化率Rを調整した後は、ステップS100に処理を戻す。
【0022】
ステップS120においてR2≦R0となる場合には、図4に示すように、待機時間Tdを0に設定し、ステップS126に処理を進める(ステップS124)。この場合、待機時間Tdが0のため、待機することなくステップS100に処理を戻す。
【0023】
別の実施形態として、ステップS108において、内圧Pの変化量が判定基準圧ΔPに達した際に、内圧Pの変化率R1が目標変化率R0以下である場合に、弁体11の移動を停止させて開弁状態を継続させてもよい。また、その際に通電中のタイムカウントをリセットして、その時点からの内圧Pの変化量を測定して内圧Pの変化率Rを算出してもよい。また、ステップS108において、内圧Pの変化率R1に関わらず、内圧Pの変化量が判定基準圧ΔP以上減少した時点でステップS110に処理を進めてもよい。
【0024】
<利点>
以上をまとめると、弁システム1は、流体を貯留可能なタンク2と、タンク2の内圧Pを検出する圧力センサ6と、弁体11を有しタンク2を開閉するバルブ4と、バルブ4の弁体11をストロークさせるための駆動装置(ステッピングモータ12)と、制御装置5を備える。制御装置5は、サイクル開始後にバルブ4の弁体11を開弁方向に移動させ、バルブ4の弁体11の移動方向を反転して閉弁状態の待機位置まで移動させ、サイクルが開始してからの内圧Pの変化率Rである第1の圧力変化率R2を算出し、第1の圧力変化率R2が目標変化率R0よりも大きい場合にはサイクルの開始から終了までの内圧Pの変化率Rである第2の圧力変化率R3が目標変化率R0に等しくなるように待機時間を決定し、決定した待機時間が経過するまで駆動装置(ステッピングモータ12)を待機位置で待機させるように構成されている。
【0025】
このような構成となっていることにより、バルブ4の開弁量の調整によりタンク2の内圧Pを目標変化率R0に一致させることができなくても、サイクルごとに閉弁状態での待機時間を調整することで結果的に内圧Pの平均的な変化率Rを目標変化率R0に合わせることができ、精度の良い制御が可能となる。
【0026】
また、制御装置5が、圧力センサ6によりタンク2の内圧Pが一定値減少したことを検知した際に、バルブ4の弁体11の移動方向を反転させるように構成されている。このような構成となっていることにより、内圧Pの十分な変化量を確保してより精度よく内圧Pの変化率Rを制御することができる。
【0027】
また、制御装置5は、第1の圧力変化率R2が目標変化率R0以下である場合には、待機時間を0に設定するように構成されている。このような構成となっていることにより、応答性よく処理を進行させることができる。
【0028】
また、制御装置5が、バルブ4の弁体11を開弁方向に移動させたあと移動方向を反転させる前にサイクルが開始してからの内圧Pの変化率Rである第3の圧力変化率R1を算出し、第3の圧力変化率R1が目標変化率R0以下である場合、バルブ4の移動方向を反転させずに開弁状態を継続させるように構成されている。このような構成となっていることにより、内圧Pの変化率Rが小さい場合に無駄にバルブ4の移動方向を反転させないようにすることができる。
【0029】
また、サイクルの開始時に駆動装置(ステッピングモータ12)への通電を開始し、待機時間の開始時に通電を終了し、変化率Rが駆動装置(ステッピングモータ12)の通電時間に基づいて算出される。このような構成となっていることにより、高応答な駆動装置(ステッピングモータ12)への通電又は非通電を基準とすることで変化率Rを算出する際の時間の管理を容易に行うことができる。
【0030】
また、駆動装置(ステッピングモータ12)はステッピングモータ12とされる。このような構成となっていることにより、一般に脱調防止のための待機時間が必要とされるステッピングモータ12を駆動装置(ステッピングモータ12)に用いても制御の精度を向上させることができる。また、電磁弁を用いて同様の制御を行う場合と比べると、製造コストや電力消費を抑えることができる。
【0031】
<その他の実施形態>
以上に説明した弁システム1は、水素燃料供給システムの他、例えば燃料を貯留する燃料タンクと燃料タンクから蒸発する燃料蒸気を吸着させるキャニスタとを備えた蒸発燃料処理システムに適用しても良い。弁システムは、その他流体を貯留するタンクとそのタンクを開閉するバルブとを備えたシステムであれば広く適用することができる。
【0032】
別の実施形態として、サイクルの開始や待機時間の開始は必ずしも通電の開始や終了に合わせる必要はなく任意に設定しても良い。また圧力変化率を算出するための時間を通電時間とは関係なく設定しても良い。
【0033】
上述の実施形態ではバルブ4を閉弁方向に反転すべきかを判断するために判定基準圧ΔPの減少を検知するまでの内圧Pの変化率R1を用いたが、別の実施形態として例えば通電の開始や弁体11の移動の開始から一定の時間が経過した時点等、他の任意の適切な時点までの内圧Pの変化率Rを用いても良い。
【0034】
別の実施形態として、駆動装置はステッピングモータの他にリニアソレノイド、DCモータ方式等を用いても良い。その他、バルブの弁体を電気的に駆動できるものであればどのような装置であっても良い。
【0035】
以上、様々な実施形態を説明したが、本開示はそれらの実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば他にも各種の変形、置換、改良などが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 弁システム
2 タンク
3 供給路
4 バルブ
5 制御装置
6 圧力センサ
7 供給先
11 弁体
12 ステッピングモータ
13 出力軸
14 シール部材
図1
図2
図3
図4