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▶ 株式会社デンソーウェーブの特許一覧

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  • 特開-ロボットシステム 図1
  • 特開-ロボットシステム 図2
  • 特開-ロボットシステム 図3
  • 特開-ロボットシステム 図4
  • 特開-ロボットシステム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055477
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240411BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B25J19/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162431
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】奥原 啓司
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707JS02
3C707JS03
3C707JS07
3C707JU03
3C707MS28
(57)【要約】
【課題】編集端末が、編集対象とされたロボットコントローラとの通信を確実に行うことができるロボットシステムを提供する。
【解決手段】複数のロボットコントローラ3A~3Cと、編集ツールを有するPC2とを通信ネットワーク4を介して接続する。PC2が、コントローラ3を探索するための送信を行うと、それを受信したコントローラ3は自身に付与されているシリアル番号を識別情報としてPC2に送信する。また、PC2は、編集対象とされたコントローラ3より受信したパラメータのデータ値が編集ツールにより編集されると、再度ロボットコントローラ3を探索するための送信を行う。その送信に対して応答したコントローラ3の識別情報が編集対象とされたロボットコントローラ3の識別情報に一致すると、前記コントローラ3に編集されたパラメータのデータ値を送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロボットコントローラと、
これら複数のロボットコントローラに通信ネットワークを介して接続され、前記ロボットコントローラがそれぞれロボットを制御するために使用するパラメータのデータ値を編集する編集ツールを有する編集端末と、
を備えるロボットシステムにおいて、
前記編集端末が、ロボットコントローラを探索するための送信を行うと、それを受信したロボットコントローラは、自身に付与されている識別情報を前記編集端末に送信し、
前記編集端末は、編集対象とされたロボットコントローラより受信したパラメータのデータ値が前記編集ツールにより編集されると、再度ロボットコントローラを探索するための送信を行い、
前記送信に対して応答したロボットコントローラの識別情報が、前記編集対象とされたロボットコントローラの識別情報に一致すると、前記編集対象とされたロボットコントローラに編集されたパラメータのデータ値を送信するロボットシステム。
【請求項2】
前記編集端末は、ロボットコントローラに対して実機確認命令を送信し、
前記実機確認命令を受信したロボットコントローラは、受信したことを示す報知処理を行なう請求項1記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記編集端末は、表示部を備え、
編集対象とされたロボットコントローラより受信したパラメータのデータ値に含まれている、ロボットの手先の位置姿勢情報から、現在のロボットの位置姿勢を示す画像を前記表示部に表示させる請求項1又は2記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のロボットコントローラと、それらに通信ネットワークを介して接続され、パラメータを編集する編集ツールを有する編集端末とを備えるロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパーソナルコンピュータ;PCのような端末が、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して複数のロボットコントローラに接続されているシステムがある。PCには、複数のロボットコントローラがそれぞれのロボットを制御するために使用するパラメータのデータ値を編集する編集ツールが搭載されている。そして、作業者は、編集ツールを利用して、編集対象とされたロボットコントローラよりパラメータのデータ値を受信するとそのデータ値を編集し、編集後のデータ値を上記のロボットコントローラに送信する、という作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-302282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにネットワークを介して行う通信では、複数のロボットコントローラのそれぞれに通信用のアドレスが付与されており、そのアドレスを用いて通信を行なう。しかしながら、ネットワークには、上記以外に様々な機器が接続されている場合もあるため、ロボットコントローラに付与されていたアドレスが、変更されてしまうことがある。すると、PCが編集対象とは異なるロボットコントローラよりデータ値を受信したり、編集後のデータ値を編集対象とは異なるロボットコントローラに送信してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、編集端末が、編集対象とされたロボットコントローラとの通信を確実に行うことができるロボットシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のロボットシステムによれば、複数のロボットコントローラと、ロボットを制御するために使用するパラメータのデータ値を編集する編集ツールを有する編集端末とを通信ネットワークを介して接続する。編集端末が、ロボットコントローラを探索するための送信を行うと、それを受信したロボットコントローラは、自身に付与されている固有の識別情報を編集端末に送信する。
【0007】
また、編集端末は、編集対象とされたロボットコントローラより受信したパラメータのデータ値が編集ツールによって編集されると、再度ロボットコントローラを探索するための送信を行う。そして、その送信に対して応答したロボットコントローラの識別情報が、編集対象とされたロボットコントローラの識別情報に一致すると、編集対象とされたロボットコントローラに編集されたパラメータのデータ値を送信する。
【0008】
すなわち、通信ネットワークに、本システム以外のネットワーク機器が接続されているとしても、各ロボットコントローラに付与されている識別情報は、そのような機器等によって書き換えられる可能性がない。したがって、識別情報を用いて通信相手を確認することで、受信元や送信先を誤ることなくパラメータのデータ値を転送できる。
【0009】
請求項2記載のロボットシステムによれば、編集端末が、ロボットコントローラに対して実機確認命令を送信すると、その実機確認命令を受信したロボットコントローラは、受信したことを示す報知処理を行なう。これにより、作業者は、自身が選択したロボットコントローラとの通信が成立しているか否かを確認できる。
【0010】
請求項3記載のロボットシステムによれば、編集端末は、編集対象としたロボットコントローラより受信したパラメータのデータ値に含まれている、ロボットの手先の位置姿勢情報から、現在のロボットの位置姿勢を示す画像を表示部に表示させる。このように構成すれば、作業者は、パラメータのデータ値を受信した時点で、表示部の画像と、対応するロボットの現在の位置姿勢とが一致しているか否かによって、自身が選択したロボットコントローラとの通信が成立しているか否かを視覚的に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態であり、ロボットシステムの構成を示す機能ブロック図(送信処理に対応したイメージ図)
図2】ロボットシステムの構成を示す機能ブロック図(受信処理に対応したイメージ図)
図3】データ受信処理を示すシーケンス図
図4】データ編集処理-データ送信処理を示すシーケンス図
図5】PC側に保存されているものと送信先の固有データとが不一致の場合にディスプレイに表示されるエラーメッセージ画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態のロボットシステム1は、編集端末であるパーソナルコンピュータ;PC2と、複数のロボットコントローラ3A~3Cとが、例えばLAN等の通信ネットワーク4を介して接続されている。ロボットコントローラ3は、垂直6軸型のアームを有するロボットのイメージで示しているが、コントローラが内蔵されておりロボットと一体化されたものである。以下では、単にコントローラ3と称することがある。また、通信ネットワーク4には、コントローラ3以外の、例えばネットワークプリンタのようなネットワーク機器5も接続されている。
【0013】
PC2には、各ロボットコントローラ3がそれぞれ対象となるロボットを制御する際に使用するパラメータのデータ値を編集するための編集ツールが搭載されている。作業者は、編集対象となるロボットコントローラ3より現在保持しているパラメータのデータ値をPC2が受信すると、編集ツールを用いてデータ値を編集する。そして、編集したデータ値を上記のロボットコントローラ3に送信する。
【0014】
次に、本実施形態の作用について説明する。
<データ受信処理>
図3に示すように、作業者は、PC2において、ブロードキャスト又はマルチキャストを使用してコントローラ3の探索を行う。尚、図3では、コントローラ3A,3Bのみを示している。コントローラ3は、その応答パケットに、それぞれに付与されている例えばシリアル番号のような固有情報を格納してPC2に送信する。図中では、固有情報を「固有データ」と示している。また、以上の処理に替えて、PC2は、ユニキャストにより、コントローラ3の固有データを取得しても良い。また、固有データに併せて、通信で使用しているIPアドレスを取得しても良い。
【0015】
PC2が取得した固有データ及びIPアドレスは、表示部であるディスプレイに表示される。図1では、コントローラ3A~3Cの固有データを、それぞれS/N:AAA~CCCとして示している。パラメータには、現在のロボットの手先の位置姿勢を示す各軸角度や座標データ等も含まれている。したがって、この時点で、それらのデータ値に応じた各ロボットの現在の位置姿勢を示す3Dモデルなどの画像をディスプレイに表示させても良い。これにより、作業者は、パラメータの編集対象とするコントローラ3を視覚的に確認できる。
【0016】
作業者は、ディスプレイに表示された一覧から、接続先、すなわちパラメータのデータ値を編集する対象とするコントローラ3を選択して接続を行う。ここで、オプションとして、編集対象とされたコントローラ3に実機確認命令を送信しても良い。実機確認命令を受信したコントローラ3は、LED等を点滅させたり、手先を僅かに動したり、モータ駆動音を鳴動させる等の報知処理を行う。これにより、作業者は、選択したコントローラ3を視覚的に確認できる。
【0017】
選択したコントローラ3、つまり実機を確認すると、PC2は、選択したコントローラ3よりパラメータのデータ値を受信する。尚、図3等では、前記データ値を「ロボットデータ」としている
【0018】
<データ編集処理>
図4に示すように、作業者は、受信したパラメータのデータ値を、編集ツールを用いて編集する。
【0019】
<データ送信処理>
作業者は、送信対象とするロボットデータを選択し、対応するコントローラ3の固有データを読み込む。それから、受信処理の場合と同様にして、コントローラ3の探索を行う。そして、この時受信した固有データと、編集対象とされたコントローラ3の固有データとが一致するコントローラ3に、編集したロボットデータを送信する。尚、図5は、編集対象としてPC2側に保存されている固有データと、送信処理時に行った探索で取得した固有データとが相違している場合に、PC2のディスプレイに表示されるエラーメッセージ画面の一例である。尚、編集されたロボットデータを受信したコントローラ3は、実機確認命令を受信した場合と同様に、LEDを点滅させる等の報知を行っても良い。図2は、送信処理に対応したイメージを示している。
【0020】
以上のように本実施形態によれば、複数のロボットコントローラ3A~3Cと、編集ツールを有するPC2とを通信ネットワーク4を介して接続する。PC2が、コントローラ3を探索するための送信を行うと、それを受信したコントローラ3は、自身に付与されている固有の識別情報であるシリアル番号をPC2に送信する。また、PC2は、編集対象とされたコントローラ3より受信したパラメータのデータ値が編集ツールにより編集されると、再度ロボットコントローラ3を探索するための送信を行う。そして、その送信に対して応答したコントローラ3の識別情報が、編集対象とされたロボットコントローラ3の識別情報に一致すると、前記コントローラ3に編集されたパラメータのデータ値を送信する。
【0021】
すなわち、通信ネットワーク4に、本システム以外のネットワーク機器が接続されているとしても、各コントローラ3に付与されているシリアル番号のような識別情報は、そのような機器等によって書き換えられる可能性がない。したがって、PC2が識別情報を用いて通信相手を確認することで、送信元や送信先を誤ることなくパラメータのデータ値を転送できる。
【0022】
また、PC2が送信した実機確認命令を受信したコントローラ3は、受信したことを示す報知処理を行なうので、作業者は、自身が選択したコントローラ3との通信が成立しているか否かを確認できる。
【0023】
更に、PC2は、編集対象とされたコントローラ3より受信したパラメータのデータ値に含まれているロボットの手先の位置姿勢情報から、現在のロボットの位置姿勢を示す3Dモデルの画像をディスプレイに表示させる。このように構成すれば、作業者は、パラメータのデータ値を受信した時点で、ディスプレイの画像と、対応するロボットの現在の位置姿勢とが一致しているか否かによって、自身が選択したコントローラ3との通信が成立しているか否かを視覚的に確認できる。
【0024】
本発明は上記した、又は図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
通信ネットワークは、LANに限らない。
固有情報は、シリアル番号に限らない。
コントローラ3の報知処理は、必要に応じて行えば良い。
コントローラ3の数は、2又は4以上でも良い。
【符号の説明】
【0025】
図面中、1はロボットシステム、2はパーソナルコンピュータ、3はロボットコントローラ、4は通信ネットワークを示す。
図1
図2
図3
図4
図5