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特開2024-55517商標に関する出願支援装置、商標に関する出願支援方法、当該商標に関する出願支援方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055517
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】商標に関する出願支援装置、商標に関する出願支援方法、当該商標に関する出願支援方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20240411BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162522
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】300010899
【氏名又は名称】NGB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】金山 英嗣
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC33
5L050CC33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】指定商品役務に関する拒絶理由の発生可能性を低減させた状態で出願をすることを支援する商標の出願支援装置、出願支援方法、プログラム及びコンピュータ可読媒体を提供する。
【解決手段】出願支援システムにおいて、出願支援装置20は、商標に関する出願が可能な国のうち認可可能な指定商品役務の表現が互いに異なる特定の複数の国が各々基準国として設定され、その他の国について認可可能な指定商品役務の表現がどの基準国に近いかでグループ分けされた所属情報を記録した記録部231と、出願予定国および指定商品役務を入力するための入力部22と、入力部22に入力された出願予定国と、所属情報と、に基づいて、参照すべき基準国を決定する決定部232と、入力部22に入力された指定商品役務と、決定部で決定した基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、指定商品役務案を生成する生成部233と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商標に関する出願が可能な国のうち認可可能な指定商品役務の表現が互いに異なる特定の複数の国が各々基準国として設定され、その他の国について認可可能な指定商品役務の表現がどの基準国に近いかでグループ分けされた所属情報を記録した記録部と、
出願予定国および指定商品役務を入力するための入力部と、
前記入力部に入力された出願予定国と、前記所属情報と、に基づいて、参照すべき前記基準国を決定する決定部と、
前記入力部に入力された指定商品役務と、前記決定部によって決定された基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、指定商品役務案を生成する生成部と、を備える、商標に関する出願支援装置。
【請求項2】
前記指定商品役務案に前記入力部に入力された指定商品役務とは異なる指定商品役務が含まれる場合、前記入力部に入力された指定商品役務から変更されていない指定商品役務と前記異なる指定商品役務は表示形態が異なる、請求項1に記載の商標に関する出願支援装置。
【請求項3】
前記指定商品役務案は、前記決定部によって決定された前記基準国における認可記述および前記入力部に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述に近似する近似記述の少なくとも一つを含む、請求項1または請求項2に記載の商標に関する出願支援装置。
【請求項4】
前記指定商品役務案が前記近似記述を含む場合、前記生成部は、前記近似記述と前記近似記述に対応する認可記述の一致度を示す一致度情報を生成する、請求項3に記載の商標に関する出願支援装置。
【請求項5】
前記指定商品役務案が前記近似記述を含む場合、前記認可記述と前記近似記述は表示形態が異なる、請求項3に記載の商標に関する出願支援装置。
【請求項6】
前記記録部には、前記商標に関する出願が可能な国の各々が基準国か非基準国かを示す基準国情報が、前記商標に関する出願が可能な国ごとに記録されており、
前記生成部は、前記一致度情報および前記基準国情報に基づいて、前記入力部に入力された出願予定国において、前記決定部によって決定された前記基準国における認可記述および前記近似記述の少なくとも一つが認可される可能性を示す認可可能性情報を生成する、請求項4に記載の商標に関する出願支援装置。
【請求項7】
前記基準国における認可可能な指定商品役務の表現は、前記基準国ごとにまとめられた認可記述リストおよび前記基準国ごとにまとめられた前記基準国で過去に認可されたことがある指定商品役務の少なくとも一つに基づいている、請求項1または請求項2に記載の商標に関する出願支援装置。
【請求項8】
前記基準国は、少なくともアメリカ、日本国、欧州連合、中国を含む、請求項1または請求項2に記載の商標に関する出願支援装置。
【請求項9】
前記記録部は、前記入力部に入力された指定商品役務の少なくとも一部分を言い換え可能な語を示す情報である類義語情報をさらに記録しており、
前記生成部は、前記入力部に入力された指定商品役務と、前記類義語情報と、に基づいて、前記入力部に入力された指定商品役務を別の語句に変更し、
前記生成部は、前記別の語句と、前記決定部によって決定された基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、前記指定商品役務案を生成する、請求項1または請求項2に記載の商標に関する出願支援装置。
【請求項10】
コンピュータによって実行される商標に関する出願支援方法であって、
出願予定国および指定商品役務を入力するステップと、
入力された前記出願予定国と、商標に関する出願が可能な国のうち認可可能な指定商品役務の表現が互いに異なる特定の複数の国が各々基準国として設定され、その他の国について認可可能な指定商品役務の表現がどの基準国に近いかでグループ分けされた所属情報と、に基づいて、参照すべき前記基準国を決定するステップと、
入力された前記指定商品役務と、決定された前記基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、指定商品役務案を生成するステップと、を含む、商標に関する出願支援方法。
【請求項11】
請求項10に記載の商標に関する出願支援方法をコンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載されたコンピュータプログラムが記憶された、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商標に関する出願支援装置、商標に関する出願支援方法、当該商標に関する出願支援方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、インターネットを利用して、出願志望者にとって容易に商標登録出願を実現できる商標登録出願支援システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-259534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は特許権や商標権を含む産業財産権への注目度が高まってきている。また、近年では、自国のみならず海外においても産業財産権を取得する傾向が強まってきている。特に商標は、一般的に、特許や意匠と比べて、出願国数が多い傾向にある。しかし、商標に関する出願のプラクティスは国ごとに異なっているため、全ての出願国のプラクティスに合わせた最適な出願を行うことは難しい。特に、指定商品役務の記載に関するプラクティスは国ごとに大きく異なるので、各出願国のプラクティスに合わせた最適な指定商品役務で出願することは困難である。また、一般的に、出願人は可能な限り権利範囲が広い商標権を取得したいと考えるため、包括表示等を含む広い指定商品役務の範囲で出願することが多い。しかし、このような広い指定商品役務の範囲で外国へ出願すると、当該指定商品役務は外国では受け入れられない可能性が高く、指定商品役務の記載が不明確であるといった形式的な拒絶が発生することが多い。
【0005】
そこで、商標に関する出願を行う前に、出願国ごとに指定商品役務の記載について検討することが考えられる。しかし、指定商品役務の記載要件は国ごとに異なるため、出願国ごとに適切な指定商品役務の記載を検討することは非常に難しい。
【0006】
本開示は、指定商品役務に関する拒絶理由の発生可能性を低減させた状態で出願をすることを支援する商標に関する出願支援装置、商標に関する出願支援方法、当該商標に関する出願支援方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための一態様に係る商標に関する出願支援装置は、
商標に関する出願が可能な国のうち認可可能な指定商品役務の表現が互いに異なる特定の複数の国が各々基準国として設定され、その他の国について認可可能な指定商品役務の表現がどの基準国に近いかでグループ分けされた所属情報を記録した記録部と、
出願予定国および指定商品役務を入力するための入力部と、
前記入力部に入力された出願予定国と、前記所属情報と、に基づいて、参照すべき前記基準国を決定する決定部と、
前記入力部に入力された指定商品役務と、前記決定部によって決定された基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、指定商品役務案を生成する生成部と、を備える。
【0008】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る商標に関する出願支援方法は、
コンピュータによって実行される商標に関する出願支援方法であって、
出願予定国および指定商品役務を入力するステップと、
入力された前記出願予定国と、商標に関する出願が可能な国のうち認可可能な指定商品役務の表現が互いに異なる特定の複数の国が各々基準国として設定され、その他の国について認可可能な指定商品役務の表現がどの基準国に近いかでグループ分けされた所属情報と、に基づいて、参照すべき前記基準国を決定するステップと、
入力された前記指定商品役務と、決定された前記基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、指定商品役務案を生成するステップと、を含む。
【0009】
また、上記の目的を達成するための一態様に係るコンピュータプログラムは、
上記の商標に関する出願支援方法をコンピュータに実行させる。
【0010】
また、上記の目的を達成するための一態様に係るコンピュータ可読媒体は、
上記のコンピュータプログラムが記憶されている。
【0011】
上記構成に係る商標に関する出願支援装置によれば、生成部は、入力された指定商品役務と、入力された出願予定国および所属情報に基づいて決定された基準国における認可可能な指定商品役務の表現に基づいて、指定商品役務案情報を生成する。つまり、生成部は、出願予定国のプラクティスに近似するプラクティスを有する基準国において認可可能な指定商品役務の表現に基づいて、指定商品役務案情報を生成する。このため、全ての出願予定国に係るプラクティスに精通していないとしても、明らかに不適切な指定商品役務で商標に関する出願をしてしまうことを防ぐことができる。このように、上記構成によれば、指定商品役務に関する拒絶理由の発生可能性を低減させた状態で商標に関する出願をすることを支援することができる。また、上記構成に係る商標に関する出願支援方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体においても、同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、指定商品役務に関する拒絶理由の発生可能性を低減させた状態で出願をすることを支援する商標に関する出願支援装置、商標に関する出願支援方法、当該商標に関する出願支援方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る商標に関する出願支援システムのブロック図である。
図2図2は、所属グループデータベースに記憶されている所属情報および基準国情報を例示する図である。
図3図3は、認可記述データベースに記憶されている基準国における認可記述情報を例示する図である。
図4図4は、類義語データベースに記憶されている類義語情報を例示する図である。
図5図5は、本実施形態において出願支援装置が実行する処理を例示するフローチャート図である。
図6図6は、入力画面の一例を示す図である。
図7図7は、指定商品役務案の一例を示す図である。
図8図8は、入力画面の一例を示す図である。
図9図9は、指定商品役務案の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1から図4を参照しつつ、本実施形態の出願支援システム1について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る商標に関する出願支援システム1のブロック図である。図2は、所属グループデータベースに記憶されている所属情報および基準国情報を例示する図である。図3は、認可記述データベースに記憶されている基準国における認可記述情報を例示する図である。図4は、類義語データベースに記憶されている類義語情報を例示する図である。図1に例示するように、出願支援システム1は、外部データベース10と、出願支援装置20と、ユーザ端末装置30と、を含む。外部データベース10と出願支援装置20は、例えば、インターネット等を介して、通信可能である。出願支援装置20とユーザ端末装置30は、有線または無線により通信可能である。
【0016】
外部データベース10は、例えば、日本国特許庁のデータベース、アメリカ特許商標庁のデータベース、世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization:WIPO)のデータベース、商標サービスプロバイダーが提供する商用データベース等である。外部データベース10には、少なくとも一つの国において認可可能な指定商品役務の表現に関する認可記述情報が記憶されている。なお、本実施形態において「国」は、独立国のみならず、国際的には承認されていない国や欧州連合のような複数の国からなる組織も含む概念である。例えば、日本国特許庁のデータベースには、日本国特許庁が認可可能であることを公示している指定商品役務や日本国特許庁が過去に認可したことがある指定商品役務が記憶されている。
【0017】
図1に例示するように、出願支援装置20は、取得部21と、入力部22と、制御部23と、表示部24と、出力部25と、を備えている。これらはバス26を介して互いに通信可能に接続されている。
【0018】
取得部21は、例えば、外部データベース10から、外部データベース10に記憶されている認可記述情報を取得する。取得部21は、所定の時間間隔で外部データベース10から認可記述情報を取得してもよいし、任意のタイミングで外部データベース10から認可記述情報を取得してもよい。取得部21は、取得した認可記述情報を制御部23に送信する。
【0019】
入力部22は、出願支援装置20に対するユーザの入力操作を受け付けると共に、当該入力操作に対応する要求信号を生成するように構成されている。入力部22は、例えば、表示部24上に重ねて配置されたタッチパネルや、出願支援装置20に電気的に接続されたキーボード等の入力装置等である。ユーザは、出願予定国および指定商品役務を入力部22に入力する。入力部22は、入力された出願予定国および指定商品役務を制御部23に送信する。
【0020】
制御部23は、ハードウェア構成として、メモリと、プロセッサと、を備えている。メモリは、例えば、各種コンピュータプログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)やプロセッサにより実行される各種コンピュータプログラム等が格納される複数ワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)等から構成される。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)であって、ROMに組み込まれた各種コンピュータプログラムから指定されたコンピュータプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。制御部23は、記録部231と、決定部232と、生成部233と、を備えている。
【0021】
なお、本実施形態においては、コンピュータ可読媒体が利用されうる。コンピュータ可読媒体は、プロセッサが読み取ることのできる情報やデータを記憶しうる、あらゆるタイプの物理メモリ(RAM、ROM等)を指す。コンピュータ可読媒体は、1つ以上のプロセッサによる実行処理に関する命令を記憶しうる。なお、「コンピュータ可読媒体」という用語は、有形の品目を包含し、かつ搬送波や一時的な信号は除外する(すなわち、非一時的なものを指す)。非一時的コンピュータ可読媒体とは、例えば、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM)である。
【0022】
記録部231は、所属情報および基準国情報が記録された所属グループデータベースと、認可記述情報が記録された認可記述データベースと、類義語情報が記録された類義語データベースと、を含む。所属グループデータベースおよび類義語データベースは、例えば、これらのデータベースの作成者によって、予め構成される。認可記述データベースは、例えば、取得部21を介して外部データベース10から認可記述情報を取得することで、構築される。所属情報とは、商標に関する出願が可能な国のうち認可可能な指定商品役務の表現が互いに異なる特定の複数の国が各々基準国として設定され、その他の国について認可可能な指定商品役務の表現がどの基準国に近いかでグループ分けするための情報である。なお、基準国とは、その国が属する地域(例えば、北米地域、欧州地域、中東地域等)を代表する国であったり、商標に関する特徴的なプラクティスを有する国である。商標に関する出願とは、例えば、商標登録出願、商標登記出願等である。認可可能な指定商品役務の表現は、基準国ごとにまとめられた認可記述リストおよび基準国ごとにまとめられた基準国で過去に認可されたことがある指定商品役務の少なくとも一つに基づいている。認可記述リストとは、基準国における関係官庁(特許庁や商標局等)が認可可能であることを公示している指定商品役務が羅列されたリストである。過去に認可されたことがある指定商品役務とは、基準国の関係官庁が過去に認可した実績がある指定商品役務である。記録部231には、商標に関する出願が可能な国の各々が基準国か非基準国かを示す基準国情報が、商標に関する出願が可能な国ごとに記録されている。なお、非基準国とは、基準国以外の国である。
【0023】
ここで、図2および図3を参照しつつ、所属情報、基準国情報および認可記述情報について詳細に説明する。図2に例示するように、本実施形態において、基準国は、アメリカ、日本国、欧州連合、中国である。また、本実施形態では、アメリカをグループA、日本国をグループB、欧州連合をグループC、中国をグループDとする。なお、これらのグループA、グループB、グループCおよびグループDは、所属情報に対応する。また、図2では、非基準国として、カナダおよびアルジェリアが例示されている。図2に例示するように、非基準国についても、それそれ所属するグループが設定されている。例えば、カナダが所属するグループはグループAである。なお、本実施形態において、非基準国がどのグループに属するかどうかは、その非基準国がどの基準国と最も関連性が強いかどうかで、記録部231に記録される所属グループデータベースの作成者が決定する。地理的に近い国同士の商標法、商標審査基準、裁判例等に基づく商標プラクティスは地理的に遠い国同士の商標プラクティスと比べて似ている傾向がある。また、旧従属国の商標プラクティスは旧宗主国の商標プラクティスに似ている傾向がある。このため、本実施形態では、これらの傾向を考慮して、基準国と非基準国の関連性は、地理的な関係性や歴史的な関係性により決定される。例えば、カナダは上記の四つの基準国の中でアメリカと最も地理的に近いため、アメリカと同じグループAに属する。アルジェリアの旧宗主国は欧州連合に属するフランスであるため、アルジェリアは欧州連合と同じグループCに属する。
【0024】
図3に例示するように、外部データベース10または記録部231には、基準国における認可記述情報が網羅的に記録されている。図3に例示するように、例えば、第5類の指定商品役務「pharmaceutical preparations for suppressing tumors」はアメリカの認可記述である。
【0025】
記録部231には、図4に例示する類義語情報が記録されている。類義語情報とは、語形は異なっているものの意味が似かよっている語に関する情報であり、入力部22に入力された指定商品役務の少なくとも一部分を言い換え可能な語を示す情報である。本実施形態において、類義語情報は、例えば、「medicines」は「pharmaceutical preparations」に、「cars」は「motor vehicles」にそれぞれ言い換えられることを示す情報である。
【0026】
図1に戻り、決定部232について説明する。決定部232は、入力部22に入力された出願予定国と、記録部231に記録されている所属情報と、に基づいて、参照すべき基準国を決定する。例えば、入力部22に入力された出願予定国がニカラグア(グループCに属する国の一例)である場合、決定部232は、参照すべき基準国はグループCに属する欧州連合であると決定する。
【0027】
生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務と、決定部232によって決定された基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、指定商品役務案を生成する。このとき、指定商品役務案に入力部22に入力された指定商品役務とは異なる指定商品役務が含まれている場合、生成部233は識別情報を生成する。識別情報とは、入力部22に入力された指定商品役務から変更されていない指定商品役務と、入力部22に入力された指定商品役務とは異なる指定商品役務と、を識別するための情報である。
【0028】
生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務が決定部232によって決定された基準国の認可記述と同じかどうか判断する。生成部233は、決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務を含む認可記述があるかどうか判断する。決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務を含む認可記述がある場合、生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務を当該認可記述に変更すると判断する。生成部233は、決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述があるかどうか判断する。決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述がある場合、生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務を当該認可記述に近似する指定商品役務に変更すると判断する。なお、本実施形態では、入力部22に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述に近似する指定商品役務を近似記述と称する。近似記述は、例えば、入力部22に入力された指定商品役務に、入力部22に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述の一部分を付加したものである。決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述がない場合、生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務は削除すべきであると判断する。
【0029】
生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務を近似記述に変更する場合、近似記述と当該近似記述に対応する認可記述との一致度を示す一致度情報を生成してもよい。例えば、近似記述が4語から構成されており、当該近似記述に対応する認可記述が近似記述を構成する4語を含む5語から構成されている場合、生成部233は、近似記述と当該近似記述に対応する認可記述との一致度は80%であると判断する。また、生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務を変更しない場合、または入力部22に入力された指定商品役務を基準国の認可記述に変更する場合、入力部22に入力された指定商品役務または変更した指定商品役務と認可記述との一致度は100%であることを示す一致度情報を生成してもよい。
【0030】
生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務を近似記述に変更する場合、認可記述と近似記述を区別するための区別情報を生成してもよい。区別情報とは、例えば、認可記述と近似記述の文字の色、大きさ、書体等の差異である。
【0031】
生成部233は、一致度情報および基準国情報に基づいて、入力部22に入力された出願予定国において、決定部232によって決定された基準国における認可記述および近似記述の少なくとも一つが認可される可能性(認可可能性)を判断しうる。生成部233は、認可可能性を判断すると、当該判断に基づいて、入力部22に入力された出願予定国において、決定部232によって決定された基準国における認可記述および近似記述の少なくとも一つが認可される可能性を示す認可可能性情報を生成する。例えば、一致度が100%であり、かつ出願予定国が基準国である場合、生成部233は、認可可能性は100%と判断する。一致度が100%であり、かつ出願予定国が非基準国である場合、生成部233は、認可可能性は90%と判断する。つまり、出願予定国が基準国である場合、認可可能性と一致度は同じ値であるが、出願予定国が非基準国である場合、認可可能性は一致度の値から10%減算した値である。ただし、減算する値は10%に限られず、任意に定められうる。
【0032】
生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務と、記録部231に記録されている類義語情報と、に基づいて、入力部22に入力された指定商品役務の少なくとも一部分を別の語句に変更しうる。入力部22に入力された指定商品役務の少なくとも一部分を別の語句に変更した場合、生成部233は、変更後の指定商品役務にも基づいて、上記の判断や各種情報の生成を行う。
【0033】
生成部233は、生成した当該指定商品役務案を表示部24または出力部25に送信する。なお、生成部233は、識別情報、一致度情報、区別情報および認可可能性情報の少なくとも一つを生成した場合、生成部233から送信される指定商品役務案には、識別情報、一致度情報、区別情報および認可可能性情報の少なくとも一つが含まれる。
【0034】
表示部24は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のタッチスクリーン型のディスプレイ等である。表示部24は、例えば、生成部233から受信した指定商品役務案を表示するように構成されている。
【0035】
出力部25は、生成部233から受信した指定商品役務案をユーザ端末装置30に出力する。
【0036】
ユーザ端末装置30は、出願支援装置20のユーザによって操作される端末装置である。ユーザ端末装置30は、例えば、デスクトップタイプのPC、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等の電子機器である。ユーザ端末装置30は、表示部31を備えている。表示部31は、例えば、液晶ディスプレイ等である。表示部31は、生成部233から受信した指定商品役務案を表示するように構成されている。
【0037】
(第一実施例)
次に、図5から図7を参照しつつ、第一実施例において出願支援装置20が実行する出願支援方法に係る処理について説明する。図5は、本実施形態において出願支援装置20が実行する処理を例示するフローチャート図である。なお、本実施例において、出願予定国は日本国とカナダの2ヵ国であり、入力部22に入力される指定商品役務は第9類の「computer programs」、「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks」および「computer peripherals」の3つである。
【0038】
図5に例示するように、出願支援装置20の取得部21は、外部データベース10から認可記述情報を取得する(STEP01)。
【0039】
入力部22に出願予定国および指定商品役務が入力される(STEP02)。図6に例示するように、本実施例において、ユーザは、出願予定国として日本国とカナダの2ヵ国を入力し、指定商品役務として「computer programs」、「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks」および「computer peripherals」の3つを入力する。ユーザによって入力部22に出願予定国および指定商品役務が入力されると、入力部22は、入力された出願予定国および指定商品役務を制御部23に送信する。
【0040】
図5に例示するように、制御部23の決定部232は、入力部22から受信した出願予定国情報と、記録部231に記録されている所属情報と、に基づいて、参照すべき基準国を決定する(STEP03)。本実施例において、出願予定国は日本国とカナダである。日本国は基準国であり、かつ日本国が属するグループはグループBであるため、決定部232は、日本国について参照すべき基準国は日本国であると決定する。一方で、カナダは非基準国であり、かつカナダが所属するグループはグループAであるため、決定部232は、カナダについて参照すべき基準国はアメリカであると決定する。
【0041】
生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務が決定部232によって決定された基準国の認可記述と同じかどうか、出願予定国ごとに判断する(STEP04)。本実施例において、日本国については、入力部22に入力された3つの指定商品役務の全てが日本国の認可記述と同じであるため、当該3つの指定商品役務はグループBの基準国である日本国の認可記述と同じであると判断する(STEP04においてYES)。一方で、カナダについて、生成部233は、「computer peripherals」はカナダの基準国であるアメリカの認可記述と同じと判断するが(STEP04においてYES)、「computer programs」および「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks」はアメリカの認可記述と同じではないと判断する(STEP04においてNO)。
【0042】
生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務が決定部232によって決定された基準国の認可記述と同じと判断すると(STEP04においてYES)、一致度情報および認可可能性情報を生成する(STEP05)。生成部233は、STEP05を実行すると、STEP13を実行する。一方で、生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務が決定部232によって決定された基準国の認可記述と同じではないと判断すると(STEP04においてNO)、STEP06を実行する。
【0043】
本実施例において、日本国については、いずれの指定商品役務も日本国の認可記述であるので(STEP04においてYES)、生成部233は、全ての指定商品役務につき、一致度は100%であることを示す一致度情報と、認可可能性は100%であることを示す認可可能性情報と、を生成する(STEP05)。
【0044】
本実施例において、カナダについては、「computer peripherals」はカナダの基準国であるアメリカの認可記述であるので(STEP04においてYES)、生成部233は、「computer peripherals」に係る一致度は100%であることを示す一致度情報と、認可可能性は90%であることを示す認可可能性情報と、を生成する(STEP05)。一方で、「computer programs」および「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks」については、カナダの基準国であるアメリカの認可記述と同じではないので(STEP04においてNO)、生成部233はSTEP06を実行する。
【0045】
STEP06において、生成部233は、決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務を含む認可記述があるかどうか判断する。決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務を含む認可記述がある場合(STEP06においてYES)、生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務を当該認可記述に変更すると判断する(STEP07)。生成部233は、STEP07を実行すると、識別情報、一致度情報および認可可能性情報を生成する(STEP08)。生成部233は、STEP08を実行すると、次いでSTEP13を実行する。一方で、決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務を含む認可記述がない場合(STEP06においてNO)、生成部233は、STEP09を実行する。
【0046】
本実施例では、カナダにおいて、「computer programs」は、カナダの基準国であるアメリカの認可記述「downloadable computer programs for connecting remotely to computers or computer networks」に含まれるので(STEP06においてYES)、生成部233は、「computer programs」を「downloadable computer programs for connecting remotely to computers or computer networks」に変更すると判断する(STEP07)。変更後の指定商品役務である「downloadable computer programs for connecting remotely to computers or computer networks」はカナダの基準国であるアメリカの認可記述である。したがって、生成部233は、「computer programs」については、識別情報と、当該変更後の指定商品役務に係る一致度は100%であることを示す一致度情報と、当該変更後の指定商品役務に係る認可可能性は90%であることを示す認可可能性情報と、を生成する(STEP08)。一方で、「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks」については、カナダの基準国であるアメリカの認可記述に、これを含む認可記述がないため(STEP06においてNO)、生成部233はSTEP09を実行する。
【0047】
STEP09において、生成部233は、決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述があるかどうか判断する。決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述がある場合(STEP09においてYES)、生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務を入力部22に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述に近似する近似記述に変更すると判断する(STEP10)。生成部233は、STEP10を実行すると、識別情報、区別情報、一致度情報および認可可能性情報を生成する(STEP11)。生成部233は、STEP11を実行すると、次いでSTEP13を実行する。一方で、決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に入力部22に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述がない場合(STEP09においてNO)、生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務を削除すると判断する(STEP12)。生成部233は、STEP12を実行すると、STEP13を実行する。
【0048】
本実施例では、カナダにおいて、「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks」の一部分である「software for setting up and configuring local area networks」は、カナダの基準国であるアメリカの認可記述「computer hardware and recorded software for setting up and configuring local area networks sold as a unit」に含まれるので(STEP09においてYES)、生成部233は、「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks」の末尾に「computer hardware and recorded software for setting up and configuring local area networks sold as a unit」中の「sold as a unit」の部分を付加した「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks sold as a unit」(近似記述の一例)に変更すると判断する(STEP10)。当該近似記述は16語から構成されているのに対して、カナダの基準国であるアメリカにおける認可記述「computer hardware and recorded software for setting up and configuring local area networks sold as a unit」は当該近似記述を構成する16語を含む17語から構成されている。したがって、生成部233は、「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks」については、識別情報と、区別情報と、当該変更後の指定商品役務(近似記述)に係る一致度は94%であることを示す一致度情報と、当該変更後の指定商品役務に係る認可可能性は84%であることを示す認可可能性情報と、を生成する(STEP11)。
【0049】
生成部233は、入力部22に入力された全ての指定商品役務に対して、上述のSTEP04からSTEP12までの処理を行ったかどうか判断する(STEP13)。入力部22に入力された全ての指定商品役務に対して上述のSTEP04からSTEP12までの処理を行った場合(STEP13においてYES)、生成部233はSTEP14を実行する。一方で、入力部22に入力された指定商品役務のうち上述のSTEP04からSTEP12までの処理を行っていない指定商品役務がある場合(STEP13においてNO)、生成部233はSTEP04を再び実行する。本実施例では、入力部22に入力された3つの指定商品役務「computer programs」、「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks」に対して、上述のSTEP04からSTEP12までの処理が行われると、生成部233はSTEP14を実行する。
【0050】
生成部233は、上述したSTEP04からSTEP12までで行った判断に基づいて、出願予定国ごとに指定商品役務案を生成する(STEP14)。したがって、本実施例において、日本国用に生成される指定商品役務案には一致度情報および認可可能性情報が含まれている。一方で、カナダ用に生成される指定商品役務案には識別情報、区別情報、一致度情報および認可可能性情報が含まれている。
【0051】
出願支援装置20の生成部233または出力部25は、生成した指定商品役務案を表示部24またはユーザ端末装置30に出力する(STEP15)。表示部24またはユーザ端末装置30の表示部31には、生成部233または出力部25から受信した指定商品役務案が表示される(STEP16)。本実施例において、表示部24またはユーザ端末装置30の表示部31には、図7に例示する画面が表示される。
【0052】
ここで、図7を参照しつつ、本実施例において表示部24またはユーザ端末装置30の表示部31に表示される画面について詳細に説明する。図7に例示するように、日本国においては、入力部22に入力された全ての指定商品役務が日本国の認可記述と同一であるので、領域R1に表示されている指定商品役務と領域R2に表示されている指定商品役務は同じである。また、日本国は基準国であり、かつ入力部22に入力された指定商品役務はいずれも日本国の認可記述であるので、領域R3に表示されている認可可能性はいずれも100%である。
【0053】
カナダにおいては、入力部22に入力された指定商品役務のうち、「computer peripherals」についてはカナダの基準国であるアメリカの認可記述と同一であるので、領域R4に表示されている指定商品役務と領域R5に表示されている指定商品役務は同じである。一方で、「computer programs」および「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks」については、カナダの基準国であるアメリカの認可記述と同じではないため、領域R6におよび領域R7に表示されている指定商品役務と領域R8および領域R9に表示されている指定商品役務は異なっている。なお、本実施例において、領域R8には「downloadable computer programs for connecting remotely to computers or computer networks」が表示されている。領域R9には「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks sold as a unit」が表示されている。「downloadable computer programs for connecting remotely to computers or computer networks」および「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks sold as a unit」は共に入力部22に入力された指定商品役務と異なるので、各指定商品役務の上方には、識別情報に基づく「<変更提案>」という文字が表示されている。このように、本実施例では、入力部22に入力された指定商品役務から変更されていない指定商品役務と異なる指定商品役務は表示形態が異なる。また、「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks sold as a unit」は近似記述であるため、区別情報に基づき、他の指定商品役務の書体(Century)とは異なる書体(HGPゴシックM)で表示されている。このように、本実施例では、認可記述と近似記述は表示形態が異なる。
【0054】
領域R10には、「downloadable computer programs for connecting remotely to computers or computer networks」に係る認可可能性情報に基づく認可可能性(90%)が表示されている。領域R11には、「computer hardware and software for setting up and configuring local area networks sold as a unit」に係る認可可能性情報に基づく認可可能性(84%)が表示されている。領域R12には、「computer peripherals」に係る認可可能性情報に基づく認可可能性(90%)が表示されている。
【0055】
ところで、近年では、自国のみならず海外においても商標権を含む産業財産権を取得する傾向が強まってきている。特に商標は、一般的に、特許や意匠等と比べて、出願国数が多い傾向にある。しかし、商標に関する出願のプラクティスは国ごとに異なっているため、全ての出願国のプラクティスに合わせた最適な出願を行うことは難しい。特に、指定商品役務の記載に関するプラクティスは国ごとに大きく異なるので、各出願国のプラクティスに合わせた最適な指定商品役務で出願することは困難である。また、一般的に、出願人は可能な限り権利範囲が広い商標権を取得したいと考えるため、包括表示等を含む広い指定商品役務の範囲で出願することが多い。しかし、このような広い指定商品役務の範囲で外国へ出願すると、当該指定商品役務は外国では受け入れられない可能性が高く、指定商品役務の記載が不明確であるといった形式的な拒絶が発生することが多い。
【0056】
上述した形式的な拒絶を回避する方法としては、商標に関する出願を行う前に、出願国ごとに指定商品役務の記載について検討することが考えられる。しかし、指定商品役務の記載要件は国ごとに異なるため、出願国ごとに適切な指定商品役務の記載を検討することは非常に難しい。
【0057】
上記構成に係る出願支援装置20によれば、生成部233は、入力された指定商品役務と、入力された出願予定国および所属情報に基づいて決定された基準国における認可可能な指定商品役務の表現に基づいて、指定商品役務案情報を生成する。つまり、生成部233は、出願予定国のプラクティスに近似するプラクティスを有する基準国において認可可能な指定商品役務の表現に基づいて、指定商品役務案情報を生成する。このため、全ての出願予定国に係るプラクティスに精通していないとしても、明らかに不適切な指定商品役務で商標に関する出願をしてしまうことを防ぐことができる。このように、出願支援装置20によれば、指定商品役務に関する拒絶理由の発生可能性を低減させた状態で商標に関する出願をすることを支援することができる。また、上記構成に係る出願支援方法、当該出願支援方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体においても、同様の効果を奏することができる。
【0058】
また、上記構成に係る出願支援装置20によれば、指定商品役務案に入力部22に入力された指定商品役務とは異なる指定商品役務が含まれる場合、入力部22に入力された指定商品役務から変更されていない指定商品役務と当該異なる指定商品役務は表示形態が異なる。したがって、ユーザは、入力部22に入力された指定商品役務から変更されていない指定商品役務と当該異なる指定商品役務を容易に識別することができる。
【0059】
また、上記構成に係る出願支援装置20によれば、指定商品役務案には基準国における認可記述および入力部22に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述に近似する近似記述の少なくとも一つを含む。したがって、生成部233によって生成された指定商品役務案は出願予定国において、比較的認可されやすい。
【0060】
また、上記構成に係る出願支援装置20によれば、ユーザは、生成部233によって生成された一致度情報を利用することで、近似記述が出願予定国において認可される可能性を推測することができる。
【0061】
また、上記構成に係る出願支援装置20によれば、指定商品役務案が近似記述を含む場合、認可記述と近似記述は表示形態が異なる。したがって、ユーザは、認可記述と近似記述を容易に区別することができる。
【0062】
また、上記構成に係る出願支援装置20によれば、生成部233は、一致度情報および基準国情報に基づいて、入力部22に入力された出願予定国において、決定部232によって決定された基準国における認可記述および近似記述の少なくとも一つが認可される可能性を示す認可可能性情報を生成する。したがって、ユーザは、このような認可可能性情報を用いることで、決定部232によって決定された基準国における認可記述および近似記述の少なくとも一つが出願予定国において認可される可能性を推測することができる。
【0063】
また、上記構成に係る出願支援装置20によれば、基準国における認可可能な指定商品役務の表現は、基準国ごとにまとめられた認可記述リストおよび基準国ごとにまとめられた基準国で過去に認可されたことがある指定商品役務の少なくとも一つに基づいている。したがって、生成部233によって生成された指定商品役務案は出願予定国において認可される可能性が比較的高い。
【0064】
また、上記構成に係る出願支援装置20によれば、基準国は、北米地域を代表する国であるアメリカ、欧州地域を代表する欧州連合、特徴的なプラクティスを有する日本国および中国である。つまり、基準国には、少なくともアメリカ、日本国、欧州連合、中国が含まれている。発明者は、多くの国の指定商品役務に関するプラクティスはこれらの基準国のいずれかにおける指定商品役務に関するプラクティスに近似していることに気が付いた。このため、本開示では、アメリカ、日本国、欧州連合、中国を基準国とした。出願支援装置20によれば、出願予定国に基準国以外の国が含まれていたとしても、指定商品役務に関する拒絶理由の発生可能性を低減させた状態で商標に関する出願をすることを支援することができる。
【0065】
(第二実施例)
次に、図5図8および図9を参照しつつ、第二実施例において出願支援装置20が実行する処理について説明する。なお、本実施例においても、出願支援装置20は図5に例示する出願支援方法に係る処理を実行する。また、本実施例では、第一実施例と同様の部分については第一実施例と同じ符号を用いて説明し、重複する部分の説明は適宜省略する。本実施例において、出願予定国は日本国とカナダの2ヵ国であり、入力部22に入力される指定商品役務は第5類の「medicines」の1つである。
【0066】
STEP01からSTEP04は第一実施例と同様である。ただし、図8に例示するように、本実施例のSTEP02において、ユーザは、出願予定国として日本国とカナダの2ヵ国を入力し、指定商品役務として「medicines」のみを入力する。なお、「medicines」は日本国およびカナダの基準国であるアメリカの認可記述と同じではないので(STEP04においてNO)、生成部233はSTEP04の次にSTEP06を実行する。
【0067】
STEP06において、生成部233は、第一実施例と同様の処理に加え、入力部22に入力された指定商品役務と、記録部231に記録されている類義語情報(図4参照)と、に基づいて、「medicines」を「pharmaceutical preparations」(別の語句の一例)に変更した上でSTEP06の処理を実行する。つまり、本実施例では、生成部233は、「medicines」のみならず、「pharmaceutical preparations」に対しても、STEP06の処理を実行する。生成部233は、決定部232によって決定された基準国の認可記述の中に当該変更後の指定商品役務を含む認可記述があるかどうか、出願予定国ごとに判断する(STEP06)。日本国については、「pharmaceutical preparations」は、日本国の認可記述「pharmaceutical preparations」に含まれるため(STEP06においてYES)、生成部233は、「medicines」を「pharmaceutical preparations」に変更すると判断する(STEP07)。変更後の指定商品役務である「pharmaceutical preparations」は日本国の認可記述である。したがって、生成部233は、「medicines (pharmaceutical preparations)」につき、識別情報と、一致度は100%であることを示す一致度情報と、認可可能性は100%であることを示す認可可能性情報と、を生成する(STEP08)。
【0068】
一方で、カナダについては、「pharmaceutical preparations」はカナダの基準国であるアメリカの認可記述「pharmaceutical preparations for suppressing tumors」に含まれるので(STEP06においてYES)、生成部233は、「medicines」を「pharmaceutical preparations for suppressing tumors」に変更すると判断する(STEP07)。変更後の指定商品役務である「pharmaceutical preparations for suppressing tumors」はカナダの基準国であるアメリカの認可記述である。したがって、生成部233は、「medicines (pharmaceutical preparations)」につき、識別情報と、当該変更後の指定商品役務に係る一致度は100%であることを示す一致度情報と、当該変更後の指定商品役務に係る認可可能性は90%であることを示す認可可能性情報と、を生成する(STEP08)。生成部233は、STEP08を実行すると、STEP13を実行する。
【0069】
STEP13からSTEP16は第一実施例と同様である。ただし、本実施例において、STEP16において出願支援装置20の表示部24またはユーザ端末装置30の表示部31に表示される画面は、図9に例示する画面である。
【0070】
ここで、図9を参照しつつ、本実施例において表示部24またはユーザ端末装置30の表示部31に表示される画面について詳細に説明する。図9に例示するように、入力部22に入力された指定商品役務「medicines」は、日本国の認可記述と同一ではないため、領域R13に表示されている指定商品役務と領域R14に表示されている指定商品役務は異なっている。入力部22に入力された指定商品役務「medicines」は、カナダの基準国であるアメリカの認可記述と同一ではないため、領域R15に表示されている指定商品役務と領域R16に表示されている指定商品役務は異なっている。なお、本実施例において、領域R14には「pharmaceutical preparations」が表示されており、領域R16には「pharmaceutical preparations for suppressing tumors」が表示されている。「pharmaceutical preparations」は入力部22に入力された指定商品役務と異なるので、識別情報に基づき、当該指定商品役務の上方に「<変更提案>」という文字が表示されている。「pharmaceutical preparations for suppressing tumors」は入力部22に入力された指定商品役務と異なるので、識別情報に基づき、当該指定商品役務の上方に「<変更提案>」という文字が表示されている。
【0071】
領域R17には、日本国における、「pharmaceutical preparations」に係る認可可能性情報に基づく認可可能性(100%)が表示されている。領域R18には、カナダにおける、「pharmaceutical preparations for suppressing tumors」に係る認可可能性情報に基づく認可可能性(90%)が表示されている。
【0072】
本実施例においても、出願支援装置20および出願支援方法、当該出願支援方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムによれば、第一実施例と同様の効果を奏する。
【0073】
また、上記構成に係る出願支援装置20によれば、生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務と、類義語情報と、に基づいて、入力部22に入力された指定商品役務を別の語句に変更する。そして、生成部233は、当該別の語句と、決定部232によって決定された基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、指定商品役務案を生成する。このように、生成部233は、入力部22に入力された指定商品役務の類義語を考慮した上で指定商品役務案を生成するので、出願支援装置20によれば、入力する指定商品役務を検討するというユーザ側の負担を低減させることができる。
【0074】
上記の実施形態は本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示を限定するものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されうる。
【0075】
上記の実施形態において、基準国は、アメリカ、日本国、欧州連合、中国であるが、これらの国以外の国を基準国としてもよい。
【0076】
上記の実施形態では、識別情報に基づく表示として、各指定商品役務の上方に表示された「<変更提案>」という文字を例示して説明したが、識別情報に基づく表示はこれに限られない。識別情報に基づく表示は、例えば、幾何学的な模様が各指定商品役務の上方に表示されてもよい。
【0077】
上記の実施形態では、区別情報に基づく表示として、他の指定商品役務の書体(Century)とは異なる書体(HGPゴシックM)で近似記述を表示する例を用いて説明したが、区別情報に基づく表示はこれに限られない。区別情報に基づく表示は、例えば、他の指定商品役務の文字の色とは異なる色の文字で近似記述を表示してもよい。
【0078】
上記の実施形態では、入力部22に入力されたある一つの指定商品役務から別の指定商品役務に変更する場合、当該別の指定商品役務の数は一つであるが、二つ以上の別の指定商品役務に変更してもよい。
【0079】
上記の実施形態において、生成部233は、識別情報、区別情報、一致度情報および認可可能性情報を生成しているが、これらの情報は生成されなくてもよい。
【0080】
上記の実施形態において、STEP01は、STEP02よりも先に実行されているが、例えば、STEP02の後に実行されてもよい。この場合、取得部21は、例えば、入力部22に入力された出願予定国に基づいて、当該出願予定国の認可記述情報が記憶されている外部データベース10を特定し、特定した外部データベース10から当該出願予定国の認可記述情報を取得する。
【0081】
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
(1)商標に関する出願が可能な国のうち認可可能な指定商品役務の表現が互いに異なる特定の複数の国が各々基準国として設定され、その他の国について認可可能な指定商品役務の表現がどの基準国に近いかでグループ分けされた所属情報を記録した記録部と、
出願予定国および指定商品役務を入力するための入力部と、
前記入力部に入力された出願予定国と、前記所属情報と、に基づいて、参照すべき前記基準国を決定する決定部と、
前記入力部に入力された指定商品役務と、前記決定部によって決定された基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、指定商品役務案を生成する生成部と、を備える、商標に関する出願支援装置。
(2)前記指定商品役務案に前記入力部に入力された指定商品役務とは異なる指定商品役務が含まれる場合、前記入力部に入力された指定商品役務から変更されていない指定商品役務と前記異なる指定商品役務は表示形態が異なる、(1)に記載の商標に関する出願支援装置。
(3)前記指定商品役務案は、前記決定部によって決定された前記基準国における認可記述および前記入力部に入力された指定商品役務の一部分を含む認可記述に近似する近似記述の少なくとも一つを含む、(1)または(2)に記載の商標に関する出願支援装置。
(4)前記指定商品役務案が前記近似記述を含む場合、前記生成部は、前記近似記述と前記近似記述に対応する認可記述の一致度を示す一致度情報を生成する、(3)に記載の商標に関する出願支援装置。
(5)前記指定商品役務案が前記近似記述を含む場合、前記認可記述と前記近似記述は表示形態が異なる、(3)または(4)に記載の商標に関する出願支援装置。
(6)前記記録部には、前記商標に関する出願が可能な国の各々が基準国か非基準国かを示す基準国情報が、前記商標に関する出願が可能な国ごとに記録されており、
前記生成部は、前記一致度情報および前記基準国情報に基づいて、前記入力部に入力された出願予定国において、前記決定部によって決定された前記基準国における認可記述および前記近似記述の少なくとも一つが認可される可能性を示す認可可能性情報を生成する、(4)に記載の商標に関する出願支援装置。
(7)前記基準国における認可可能な指定商品役務の表現は、前記基準国ごとにまとめられた認可記述リストおよび前記基準国ごとにまとめられた前記基準国で過去に認可されたことがある指定商品役務の少なくとも一つに基づいている、(1)から(6)のいずれか一つに記載の商標に関する出願支援装置。
(8)前記基準国は、少なくともアメリカ、日本国、欧州連合、中国を含む、(1)から(7)のいずれか一つに記載の商標に関する出願支援装置。
(9)前記記録部は、前記入力部に入力された指定商品役務の少なくとも一部分を言い換え可能な語を示す情報である類義語情報をさらに記録しており、
前記生成部は、前記入力部に入力された指定商品役務と、前記類義語情報と、に基づいて、前記入力部に入力された指定商品役務を別の語句に変更し、
前記生成部は、前記別の語句と、前記決定部によって決定された基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、前記指定商品役務案を生成する、(1)から(8)のいずれか一つに記載の商標に関する出願支援装置。
(10)コンピュータによって実行される商標に関する出願支援方法であって、
出願予定国および指定商品役務を入力するステップと、
入力された前記出願予定国と、商標に関する出願が可能な国のうち認可可能な指定商品役務の表現が互いに異なる特定の複数の国が各々基準国として設定され、その他の国について認可可能な指定商品役務の表現がどの基準国に近いかでグループ分けされた所属情報と、に基づいて、参照すべき前記基準国を決定するステップと、
入力された前記指定商品役務と、決定された基準国における認可可能な指定商品役務の表現と、に基づいて、指定商品役務案を生成するステップと、を含む、商標に関する出願支援方法。
(11)(10)に記載の商標に関する出願支援方法をコンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
(12)(11)に記載されたコンピュータプログラムが記憶された、コンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0082】
1:出願支援システム
10:外部データベース
20:出願支援装置
21:取得部
22:入力部
23:制御部
24:表示部
25:出力部
26:バス
30:ユーザ端末装置
31:表示部
231:記録部
232:決定部
233:生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9