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特開2024-55522バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055522
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240411BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240411BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240411BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
H01M10/48 P
H01M10/42 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162535
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉井 知子
(72)【発明者】
【氏名】小丸 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岡部 昌規
(72)【発明者】
【氏名】寺本 英司
(72)【発明者】
【氏名】福西 康平
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC08
5G064CB03
5G064DA11
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503EA08
5G503FA06
5H030AS08
5H030BB21
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】複数のバッテリーモジュールの保管と出荷を効率的に行うことをサポートするバッテリー管理システムを提供する。
【解決手段】バッテリー管理システム1は、複数のバッテリーモジュール51を、2以上の所定数のバッテリーモジュール51からなるブロック52に分けて収容するバッテリーモジュール収容部41と、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の充放電を、ブロック52単位で行う充放電制御部23と、出荷対象とするバッテリーモジュール51を、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の中から、ブロック52単位で選択する出荷対象選択部26と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーモジュールの保管と出荷を管理するバッテリー管理システムであって、
複数の前記バッテリーモジュールを、2以上の所定数の前記バッテリーモジュールからなるブロックに分けて収容するバッテリーモジュール収容部と、
前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの充放電を、前記ブロック単位で行う充放電制御部と、
出荷対象とする前記バッテリーモジュールを、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの中から、前記ブロック単位で選択する出荷対象選択部と、
を備えるバッテリー管理システム。
【請求項2】
前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの状態を認識するバッテリーモジュール状態認識部を備え、
前記出荷対象選択部は、前記バッテリーモジュール状態認識部により、所定の不良状態であることが認識された前記バッテリーモジュールを含む前記ブロックを、出荷対象として優先的に選択する
請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項3】
所定の正常状態であることが確認された前記所定数以上の前記バッテリーモジュールを収容する予備バッテリーモジュール収容部と、
前記バッテリーモジュール状態認識部により、前記不良状態であることが認識された前記バッテリーモジュールが含まれる前記ブロックを、前記予備バッテリーモジュール収容部に収容された前記所定数のバッテリーモジュールと交換するための処理を実行するブロック交換手配部と、
を備える請求項2に記載のバッテリー管理システム。
【請求項4】
前記バッテリーモジュールは、電動車両から回収されたバッテリーパックから取り出され、
前記バッテリーパックが搭載されていた前記電動車両の製造時期と走行距離のうちの少なくともいずれか一方の情報を含むバッテリーパック情報を取得するバッテリーパック情報取得部と、
前記バッテリーパック情報に基づいて、前記バッテリーパックから取り出された前記バッテリーモジュールの中から、前記予備バッテリーモジュール収容部に収容する前記バッテリーモジュールを選択する予備バッテリーモジュール選択部を備える
請求項3に記載のバッテリー管理システム。
【請求項5】
複数のバッテリーモジュールの保管と出荷を管理するために、コンピュータにより実行される管理方法であって、
バッテリーモジュール収容部に収容される複数の前記バッテリーモジュールを、2以上の所定数の前記バッテリーモジュールからなるブロックに分けて登録するバッテリーモジュール登録ステップと、
前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの充放電を、前記ブロック単位で行う充放電制御ステップと、
出荷対象とする前記バッテリーモジュールを、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの中から、前記ブロック単位で選択する出荷対象選択ステップと、
を含むバッテリー管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池の再利用に関する研究開発が行われている。例えば、特許文献1,2は、中古バッテリーパックを保管する際に、各中古バッテリーパックの電流値及び電圧値と所定のSOC(State Of Charge)範囲とに基づいて、放電対象又は充電対象とする中古バッテリーパックを選択し、各中古バッテリーパックのSOCが所定範囲内となるように、放電対象の中古バッテリーパックから充電対象の中古バッテリーに充電電力を供給する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6869580号公報
【特許文献2】特許第6912125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動車両等から回収される中古のバッテリーパックを再利用して活用する場合に、回収されたバッテリーパックをそのまま再利用先に出荷する形態の他に、バッテリーパックを解体して、バッテリーパックを構成していたバッテリーモジュール単位で出荷する形態も考えられる。そこで、このようなバッテリーモジュール単位での保管と出荷を効率的に行うことが本開示の課題である。
本願は上記課題の解決のため、複数のバッテリーモジュールの保管と出荷を効率的に行うことをサポートするバッテリー管理システムの提供を目的としたものである。そして、延いてはエネルギー効率の改善に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、複数のバッテリーモジュールの保管と出荷を管理するバッテリー管理システムであって、複数の前記バッテリーモジュールを、2以上の所定数の前記バッテリーモジュールからなるブロックに分けて収容するバッテリーモジュール収容部と、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの充放電を、前記ブロック単位で行う充放電制御部と、出荷対象とする前記バッテリーモジュールを、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの中から、前記ブロック単位で選択する出荷対象選択部と、を備えるバッテリー管理システムが挙げられる。
【0006】
上記バッテリー管理システムにおいて、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの状態を認識するバッテリーモジュール状態認識部を備え、前記出荷対象選択部は、前記バッテリーモジュール状態認識部により、所定の不良状態であることが認識された前記バッテリーモジュールを含む前記ブロックを、出荷対象として優先的に選択する構成としてもよい。
【0007】
上記バッテリー管理システムにおいて、所定の正常状態であることが確認された前記所定数以上の前記バッテリーモジュールを収容する予備バッテリーモジュール収容部と、前記バッテリーモジュール状態認識部により、前記不良状態であることが認識された前記バッテリーモジュールが含まれる前記ブロックを、前記予備バッテリーモジュール収容部に収容された前記所定数のバッテリーモジュールと交換するための処理を実行するブロック交換手配部と、を備える構成としてもよい。
【0008】
上記バッテリー管理システムにおいて、前記バッテリーモジュールは、電動車両から回収されたバッテリーパックから取り出され、前記バッテリーパックが搭載されていた前記電動車両の製造時期と走行距離のうちの少なくともいずれか一方の情報を含むバッテリーパック情報を取得するバッテリーパック情報取得部と、前記バッテリーパック情報に基づいて、前記バッテリーパックから取り出された前記バッテリーモジュールの中から、前記予備バッテリーモジュール収容部に収容する前記バッテリーモジュールを選択する予備バッテリーモジュール選択部を備える構成としてもよい。
【0009】
上記目的を達成するための第2態様として、複数のバッテリーモジュールの保管と出荷を管理するために、コンピュータにより実行される管理方法であって、バッテリーモジュール収容部に収容される複数の前記バッテリーモジュールを、2以上の所定数の前記バッテリーモジュールからなるブロックに分けて登録するバッテリーモジュール登録ステップと、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの充放電を、前記ブロック単位で行う充放電制御ステップと、出荷対象とする前記バッテリーモジュールを、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの中から、前記ブロック単位で選択する出荷対象選択ステップと、を含むバッテリー管理方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
上記バッテリー管理システムによれば、複数のバッテリーモジュールの保管と出荷を効率的に行うことをサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、バッテリー管理システムを活用したバッテリーの再利用の態様の説明図である。
図2図2は、バッテリー管理システムの構成図である。
図3図3は、バッテリーモジュールの登録データの説明図である。
図4図4は、バッテリーモジュールの選定処理のフローチャートである。
図5図5は、バッテリーモジュールの交換処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.バッテリーの再利用の態様]
図1を参照して、本開示のバッテリー管理システム1を適用したバッテリーの再利用の態様について説明する。本実施形態では、電動車両100に搭載されていたバッテリーパック50を回収し、バッテリーパック50を分解して取り出されたバッテリーモジュール51を保管した後に出荷する例を示している。
【0013】
電動車両100は、BEV(Battery Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug―in Hybrid Electric Vehicle)等のバッテリーを動力源とする車両である。バッテリーパック50は、複数のバッテリーモジュール51を直列又は並列に接続して構成されている。バッテリーモジュール51は、1つの正極及び負極と電解液で構成された単一の封入されたユニットであるセルを、複数個接続して構成され、バッテリーを再利用する際の最小の単位となっている。
【0014】
電動車両100から回収されたバッテリーパック50は、1次保管施設110に輸送(1次輸送)され、受付及び外観検査を受けた後に、1次保管施設110に保管される。1次保管施設110に保管されたバッテリーパック50は、輸送車両120によって、2次保管施設130に順次輸送される(2次輸送)。
【0015】
2次保管施設130において、輸送車両120により輸送されて入荷されたバッテリーパック50が、作業者或いはロボットにより分解されて、バッテリーモジュール51が取り出される。また、バッテリーパック50のメモリに保存されていたバッテリーパック情報Bpiが、バッテリー管理システム1に転送される。バッテリーパック情報Bpiの転送は、バッテリーパック50とバッテリー管理システム1を接続して通信を行うことにより、或いは、作業者が、バッテリー管理システム1に接続された端末装置を操作して、バッテリーパック50から読み出した情報Bpiを入力する等によって、行われる。
【0016】
また、バッテリーパック50のメモリにバッテリーパック情報Bpiが記録されない場合には、電動車両100及びバッテリー管理システム1との間で通信を行うバッテリーデータサーバーからバッテリー管理システム1に、電動車両100から回収されたバッテリーパック50のバッテリーパック情報Bpiが転送される。バッテリーデータサーバーには、電動車両100から送信されるバッテリーパック情報Bpiが、電動車両100及びバッテリーパック50の識別情報と関連付けて保存され、バッテリーパック50の識別情報を参照することにより、バッテリーデータサーバーからバッテリー管理システム1にバッテリーパック情報Bpiが転送される。
【0017】
バッテリーパック情報Bpiには、バッテリーパック50が搭載されていた電動車両100の製造時期と総走行距離の情報が含まれる。電動車両100の製造時期から、バッテリーパック50の使用期間を認識することができ、電動車両100の総走行距離からバッテリーパック50の使用状況を認識することができる。なお、バッテリーパック情報Bpiに、電動車両100の製造時期と総走行距離のうちのいずれか一方のみが含まれていてもよく、或いは製造時期と総走行距離以外の情報(電動車両100が使用されていた環境等)が含まれていてもよい。
【0018】
バッテリー管理システム1は、複数のバッテリーモジュール51をバッテリーモジュール収容部41に、ブロック52単位ごとに収容して、ブロック52単位で管理する。本実施形態では、5個のバッテリーモジュール51を1つのブロック52として管理する例を示したが、ブロック52に含まれるバッテリーモジュール51の数は5(本開示の所定数に相当する)よりも少なくてもよく、5よりも多くてもよい。バッテリー管理システム1は、詳細は後述するが、バッテリーモジュール収容部41に収容されたバッテリーモジュール51を、充放電装置40によりブロック52単位で充放電を行いながら保管する。
【0019】
また、バッテリー管理システム1は、バッテリーモジュール収容部41に収容されたバッテリーモジュール51の良否判定を行い、良品と判定されたバッテリーモジュール51を出荷対象として選択し、不良品と判定されたバッテリーモジュールを廃棄対象とする。バッテリー管理システム1は、出荷対象として選択したバッテリーモジュール51の出荷を手配する。
【0020】
出荷の手配は、出荷作業がロボットにより行われる場合は、バッテリー管理システム1からロボットに対して、出荷対象のバッテリーモジュール51の識別情報を含む出荷指示情報を送信することにより行わる。また、出荷作業が作業者により行われる場合は、バッテリー管理システム1から、作業者により使用される端末装置(パソコン、タブレット端末等)に対して、出荷対象のバッテリーモジュール51の識別情報を含む出荷指示情報を送信することにより行われる。出荷作業によりバッテリーモジュール51が梱包されたパッケージ60が、2次保管施設130から出荷されて輸送車両140により配送先まで配送される。
【0021】
[2.バッテリー管理システムの構成]
図2を参照して、バッテリー管理システム1の構成について説明する。バッテリー管理システム1は、制御装置10、充放電装置40、バッテリーモジュール収容部41、及び予備バッテリーモジュール収容部43を備えている。
【0022】
バッテリーモジュール収容部41は、複数のバッテリーモジュール51を、所定数(本実施形態では5を例示)のブロック52に分けて収容する。各ブロック52には、収容されているバッテリーモジュール51の状態(電圧、電流、温度等)を個別に検出するバッテリーセンサ42が設けられている。
【0023】
充放電装置40は、バッテリーモジュール収容部41と接続され、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51に対して電力を供給して、バッテリーモジュール51を充電すると共に、バッテリーモジュール51から出力される電力を回収して、バッテリーモジュール51を放電させる。充放電装置40には、バッテリーセンサ42による検出信号が入力される。
【0024】
充放電装置40は、制御装置10との間で通信を行い、制御装置10から送信される制御情報に基づいて、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の充放電を、ブロック52単位で実施する。また、充放電装置40は、バッテリーセンサ42による検出情報を制御装置10に送信する。予備バッテリーモジュール収容部43には、良品であることが確認されたバッテリーモジュール51gが収容されている。
【0025】
制御装置10は、通信ユニット11、プロセッサ20、メモリ30等を備えるコンピュータ装置である。通信ユニット11は、充放電装置40、2次保管施設130で稼働する作業ロボット、作業ロボットの管理装置、2次保管施設130に配置された作業者により使用される端末装置等との間で通信を行う。
【0026】
メモリ30には、制御装置10用のプログラム31、及び、バッテリーパック情報Bpiやバッテリーモジュール収容部41又は予備バッテリーモジュール収容部43に収容されているバッテリーモジュール51の情報が記録されたバッテリーDB(database、データベース)32が保存されている。プロセッサ20は、プログラム31を読み込んで実行することにより、バッテリーパック情報取得部21、バッテリーモジュール登録部22、充放電制御部23、バッテリーモジュール状態認識部24、予備バッテリーモジュール選択部25、出荷対象選択部26、及びブロック交換手配部27として機能する。
【0027】
バッテリーモジュール登録部22により実行される処理は、本開示のバッテリー管理方法におけるバッテリーモジュール登録ステップに相当する。充放電制御部23により実行される処理は、本開示のバッテリー管理方法における充放電制御ステップに相当する。出荷対象選択部26により実行される処理は、本開示のバッテリー管理方法における出荷対象選択ステップに相当する。
【0028】
バッテリーパック情報取得部21は、図1を参照して上述したように、バッテリーパック50が入荷された際に取得されたバッテリーパック情報Bpiを、通信ユニット11により受信して取得して、バッテリーDB32に記録する。バッテリーモジュール登録部22は、図3に示したように、入荷されたバッテリーモジュール51にID(identification)を設定して、ブロック52単位に分けて登録する。
【0029】
図3では、バッテリーモジュールIDとして、BM-001~BM-005が設定された5個のバッテリーモジュール51を、ブロックIDとしてBL-001が設定されたブロック52に登録した例を示している。バッテリーモジュールIDとしてBM-001,BM-002が設定された2個のバッテリーモジュール51は、同じバッテリーパック50から取り出されたものであるため、共通のバッテリーパック情報Bpi-001が記録されている。
【0030】
また、バッテリーモジュールIDとしてBM-003~BM-005が設定された3個のバッテリーモジュール51は、同じバッテリーパック50から取り出されたものであるため、共通のバッテリーパック情報Bpi-002が記録されている。各バッテリーモジュール51については、後述するバッテリーモジュール状態認識部24による認識結果に基づく良品又は不良品の判定結果、2次保管施設130への入荷日時、及び2次保管施設130からの出荷予定日時の情報が、バッテリーモジュールIDと関連付けて記録される。
【0031】
充放電制御部23は、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51に対して、充放電装置40によるブロック52ごとの充電と放電の実施を制御する。充放電制御部23は、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の充電レベルが、所定範囲内に維持されるように、バッテリーモジュール51の充電と放電を実施する。
【0032】
バッテリーモジュール状態認識部24は、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51について、バッテリーセンサ42による電圧、電流、温度等の検出情報と、充電の上限レベルに基づいて、バッテリーモジュール51が良品であるか不良品であるかを認識する。バッテリーモジュール状態認識部24は、例えば、認識対象のバッテリーモジュール51の満充電量が規定充電量の80%以上である場合に、バッテリーモジュール51は良品であると認識し、満充電量が規定充電量の80未満である場合に、バッテリーモジュール51は不良品であると認識する。
【0033】
予備バッテリーモジュール選択部25は、バッテリーパック情報Bpiから、搭載されていた電動車両100の製造時期と総走行距離を認識し、製造時期からの経過期間が所定期間よりも短く、且つ、総走行距離が所定距離以下であって、使用負荷が小さかったと推定されるバッテリーパック50を抽出する。そして、予備バッテリーモジュール選択部25は、抽出したバッテリーパック50から取り出されたバッテリーモジュール51を、予備バッテリーモジュール収容部43に収容するバッテリーモジュール51gとして選択する。
【0034】
出荷対象選択部26は、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の中から、出荷対象とするバッテリーモジュール51をブロック52単位で選択する。出荷対象選択部26は、バッテリーモジュール状態認識部24により不良品と認識されたバッテリーモジュール51が含まれるブロック52を、出荷対象として優先的に選択する。図2では、不良品と認識されたバッテリーモジュール51dが含まれるブロック52dが、出荷対象選択部26により、出荷対象として優先的に選択される場合を例示している。
【0035】
ブロック交換手配部27は、不良品と認識されたバッテリーモジュール51dが含まれるブロック52dが出荷対象として選択されたときに、ブロック52dに含まれるバッテリーモジュール51を、予備バッテリーモジュール収容部43に収容されているバッテリーモジュール51と交換する処理を手配する。図2の例では、不良品と認識されたバッテリーモジュール51dを含むブロック52dの全てのバッテリーモジュール51が、予備バッテリーモジュール収容部43に収容されている良品のバッテリーモジュール51gと交換される。
【0036】
ブロック52dに含まれていた不良品のバッテリーモジュール51dは廃棄され、他の良否のバッテリーモジュール51が出荷対象とされる。ブロック交換手配部27によるブロック52単位でのバッテリーモジュール51の交換は、交換作業がロボットにより行われる場合は、バッテリー管理システム1からロボットに対して、交換対象のブロック52dのIDを含む交換指示情報を送信することにより行わる。また、交換作業が作業者により行われる場合は、バッテリー管理システム1から、作業者により使用される端末装置(パソコン、タブレット端末等)に対して、交換対象のブロック52dのIDを含む交換指示情報を送信することにより行われる。
【0037】
[3.バッテリーモジュールの選定処理]
図4に示したフローチャートに従って、バッテリー管理システム1により実行される、入荷されたバッテリーモジュール51の選定処理について説明する。バッテリー管理システム1は、バッテリーパック50から取り出された各バッテリーモジュール51について、図4に示したフローチャートによる処理を実行する。以下では、処理の対象とするバッテリーモジュール51を、対象バッテリーモジュール51と称して説明する。
【0038】
図4のステップ1で、バッテリーパック情報取得部21は、対象バッテリーモジュール51が取り出されたバッテリーパック50のバッテリーパック情報Bpiを取得する。続くステップS2で、予備バッテリーモジュール選択部25は、バッテリーパック情報Bpiに基づいて、対象バッテリーモジュール51が取り出されたバッテリーパック50が、以下の予備品条件1,2をいずれも満たしているか否かを判断する。
予備品条件1…バッテリーパック50が搭載されていた電動車両100の製造時期からの経過期間が所定期間以下。
予備品条件2…バッテリーパック50が搭載されていた電動車両100の総走行距離が所定距離以下。
なお、予備品条件1と予備品条件2のいずれかのみを判断してもよい。
【0039】
バッテリーモジュール登録部22は、バッテリーパック50が予備品条件1,2をいずれも満たすときはステップS10に処理を進め、バッテリーパック50が予備品条件1,2の少なくともいずれか一方を満たさないときにはステップS3に処理を進める。ステップS3で、バッテリーモジュール登録部22は、対象バッテリーモジュール51を、バッテリーモジュール収容部41に収容するバッテリーモジュール51として、ブロック52に分けて、図3を参照して上述したようにバッテリーDB32に記録して登録する。
【0040】
次のステップS4で、バッテリーモジュール登録部22は、対象バッテリーモジュールのバッテリーモジュール収容部41の収容を手配する処理を実行する。この処理は、バッテリーモジュール登録部22が、対象バッテリーモジュールのバッテリーモジュール収容部41への収容を指示する指示情報を、作業ロボット又は作業者により使用される端末装置に送信することによって行われる。
【0041】
また、ステップS10で、予備バッテリーモジュール選択部25は、対象バッテリーモジュール51を、予備バッテリーモジュール収容部43に収容するバッテリーモジュール51として、バッテリーDB32に記録して登録する。次のステップS11で、予備バッテリーモジュール選択部25は、対象バッテリーモジュールを、予備バッテリーモジュール収容部43に収容することを手配する。この手配は、予備バッテリーモジュール選択部25が、対象バッテリーモジュールの予備バッテリーモジュール収容部43への収容を指示する指示情報を、作業ロボット又は作業者により使用される端末装置に送信することによって行われる。
【0042】
[4.バッテリーモジュールの良否判定処理]
図5に示したフローチャートに従って、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51に対するブロック52ごとの良否判定処理について説明する。図5に示したフローチャートによる処理は、各ブロック52について実行される。以下では、処理対象とするブロック52を対象ブロック52と称して説明する。
【0043】
ステップS20で、バッテリーモジュール状態認識部24は、対象ブロック52に属する各バッテリーモジュール51について、充放電制御部23により充放電を行って、バッテリーモジュール51の良否を判定する。対象ブロック52単位で充放電制御を所定期間実施することで、対象ブロック内に不良バッテリーモジュールが含まれるのか、また、さらなる使用で対象ブロック内の不良バッテリーモジュールはどの個体であるのかを認識することが可能である。そのため、ブロック単位で充放電制御と出荷対象選択を行うことで効率よく運用が可能である。バッテリーモジュール状態認識部24は、バッテリーモジュール51の満充電量が規定充電量の80%以上である場合に、バッテリーモジュール51は良品であると認識し、満充電量が規定充電量の80%未満である場合に、バッテリーモジュール51は不良品であると認識する。
【0044】
続くステップS21で、出荷対象選択部26は、対象ブロック52に不良品であると認識されたバッテリーモジュール51が含まれている場合はステップS30に進め、対象ブロック52に不良品であると対象バッテリーモジュール51が含まれていない場合にはステップS22に処理を進める。ステップS30で、出荷対象選択部26は、対象ブロック52に含まれる良品のバッテリーモジュール51を出荷対象として選択すると共に、対象ブロック52に含まれる不良品のバッテリーモジュール51(図2の例では、バッテリーモジュール51d)を廃棄対象として選択する。
【0045】
そして、出荷対象選択部26は、選択した良品のバッテリーモジュール51の出荷と不良品のバッテリーモジュール51の廃棄を手配する処理を実行する。また、ブロック交換手配部27は、出荷又は廃棄対象とされた対象ブロック52に含まれるバッテリーモジュール51を、予備バッテリーモジュール収容部43に収容されている良品のバッテリーモジュール51gと交換することを手配する処理を実行する。
【0046】
これらの手配の処理は、出荷対象選択部26及びブロック交換手配部27が、これらの手配を指示する指示情報を、作業ロボット又は作業者により使用される端末装置に送信することによって行われる。
【0047】
[5.他の実施形態]
上記実施形態では、図2に示したように、予備バッテリーモジュール収容部43を備えて、不良品のバッテリーモジュール51dが含まれるブロック52dについて、予備バッテリーモジュール収容部43に含まれる良品のバッテリーモジュール51gと交換することを手配した。他の実施形態として、予備バッテリーモジュール収容部43及びブロック交換手配部27を省略した構成としてもよい。
【0048】
上記実施形態では、図2に示したように、出荷対象選択部26は、不良品のバッテリーモジュール51dを含むブロック52dを、優先的に出荷対象として選択したが、このような優先的な選択を行わない構成としてもよい。
【0049】
上記実施形態では、図2に示したように、バッテリーパック情報取得部21を備えて、予備バッテリーモジュール選択部25は、バッテリーパック情報Bpiに基づいて、予備バッテリーモジュール収容部43に収容する良品のバッテリーモジュール51gを選択した。他の実施形態として、バッテリーパック情報Bpiを用いずに、バッテリーモジュール状態認識部24による認識結果に基づいて、予備バッテリーモジュール収容部43に収容するバッテリーモジュール51を選択してもよい。或いは、バッテリーパック情報Bpiとバッテリーモジュール状態認識部24による認識結果の双方に基づいて、予備バッテリーモジュール収容部43に収容するバッテリーモジュール51を選択してもよい。
【0050】
なお、図2は、本願発明の理解を容易にするために、バッテリー管理システム1の構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、バッテリー管理システム1を他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図4図5に示した各構成要素による処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0051】
[6.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0052】
(構成1)複数のバッテリーモジュールの保管と出荷を管理するバッテリー管理システムであって、複数の前記バッテリーモジュールを、2以上の所定数の前記バッテリーモジュールからなるブロックに分けて収容するバッテリーモジュール収容部と、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの充放電を、前記ブロック単位で行う充放電制御部と、出荷対象とする前記バッテリーモジュールを、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの中から、前記ブロック単位で選択する出荷対象選択部と、を備えるバッテリー管理システム。
構成1のバッテリー管理システムによれば、複数のバッテリーモジュールの保管と出荷を効率的に行うことをサポートすることができる。
【0053】
(構成2)前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの状態を認識するバッテリーモジュール状態認識部を備え、前記出荷対象選択部は、前記バッテリーモジュール状態認識部により、所定の不良状態であることが認識された前記バッテリーモジュールを含む前記ブロックを、出荷対象として優先的に選択する構成1に記載のバッテリー管理システム。
構成2のバッテリー管理システムによれば、不良状態であるバッテリーモジュールが含まれるブロックを、出荷対象として優先的に選択することにより、不良状態のバッテリーを速やかにバッテリーモジュール収容部から排出すると共に、ブロックの残りのバッテリーモジュールをバッテリーモジュール収容部に滞留させずに出荷することができる。
【0054】
(構成3)所定の正常状態であることが確認された前記所定数以上の前記バッテリーモジュールを収容する予備バッテリーモジュール収容部と、前記バッテリーモジュール状態認識部により、前記不良状態であることが認識された前記バッテリーモジュールが含まれる前記ブロックを、前記予備バッテリーモジュール収容部に収容された前記所定数のバッテリーモジュールと交換するための処理を実行するブロック交換手配部と、を備える構成2に記載のバッテリー管理システム。
構成3のバッテリー管理システムによれば、不良状態であるバッテリーモジュールが含まれるブロックを、予め準備された正常状態のバッテリーモジュールとブロック単位で交換することにより、不良状態であるバッテリーモジュールをバッテリーモジュール収容部から速やかに排出して、バッテリーモジュール収容部をより有効に利用することができる。
【0055】
(構成4)前記バッテリーモジュールは、電動車両から回収されたバッテリーパックから取り出され、前記バッテリーパックが搭載されていた前記電動車両の製造時期と走行距離のうちの少なくともいずれか一方の情報を含むバッテリーパック情報を取得するバッテリーパック情報取得部と、前記バッテリーパック情報に基づいて、前記バッテリーパックから取り出された前記バッテリーモジュールの中から、前記予備バッテリーモジュール収容部に収容する前記バッテリーモジュールを選択する予備バッテリーモジュール選択部を備える構成3に記載のバッテリー管理システム。
構成4のバッテリー管理システムによれば、バッテリーパック情報に基づいて、使用期間が短い、或いは搭載されていた車両の走行距離が短いという条件により、状態が良いと推定されるバッテリーモジュールを選択して、予備バッテリーモジュール収容部に収容することができる。
【0056】
(構成5)複数のバッテリーモジュールの保管と出荷を管理するために、コンピュータにより実行される管理方法であって、バッテリーモジュール収容部に収容される複数の前記バッテリーモジュールを、2以上の所定数の前記バッテリーモジュールからなるブロックに分けて登録するバッテリーモジュール登録ステップと、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの充放電を、前記ブロック単位で行う充放電制御ステップと、出荷対象とする前記バッテリーモジュールを、前記バッテリーモジュール収容部に収容されている前記バッテリーモジュールの中から、前記ブロック単位で選択する出荷対象選択ステップと、を含むバッテリー管理方法。
構成5のバッテリー管理方法をコンピュータにより実行することにより、複数のバッテリーモジュールをブロック単位で登録して、バッテリーモジュールをブロック単位で効率良く充放電を行って保管すると共に、出荷対象とするバッテリーモジュールをブロック単位で効率良く選択することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…バッテリー管理システム、10…制御装置、11…通信ユニット、20…プロセッサ、21…バッテリーパック情報取得部、22…バッテリーモジュール登録部、23…充放電制御部、24…バッテリーモジュール状態認識部、25…予備バッテリーモジュール選択部、26…出荷対象選択部、27…ブロック交換手配部、30…メモリ、31…プログラム、32…バッテリーDB、40…充放電装置、41…4モジュール収容部、42…バッテリーセンサ、43…予備バッテリーモジュール収容部、50…バッテリーパック、51…バッテリーモジュール、52…ブロック、51d…不良品のバッテリーモジュール、51g…良品のバッテリーモジュール、60…パッケージ、100…電動車両、110…1次保管施設、120…輸送車両、130…2次保管施設、140…輸送車両。
図1
図2
図3
図4
図5