IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

特開2024-55523バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法
<>
  • 特開-バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法 図1
  • 特開-バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法 図2
  • 特開-バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法 図3
  • 特開-バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法 図4
  • 特開-バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055523
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240411BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240411BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/00 P
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162536
(22)【出願日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉井 知子
(72)【発明者】
【氏名】小丸 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岡部 昌規
(72)【発明者】
【氏名】寺本 英司
(72)【発明者】
【氏名】福西 康平
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA02
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB21
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】回収された中古バッテリーからの放電電力の使用による外部供給電力のコスト低減の効果を高めることができるバッテリー管理システムを提供する。
【解決手段】外部供給電力の使用料金が所定の契約電力が大きいほど高く設定され、前記保管施設に供給される前記外部供給電力が前記契約電力を超えたときに前記契約電力が増大される。バッテリー管理システム1は、契約電力を示す契約電力情報を取得する契約電力情報取得部11と、保管施設おける今後の対象時間帯の使用電力を推定する使用電力推定部14と、使用電力推定部14により推定された対象時間帯の使用電力が契約電力を超える場合に、バッテリー51からの放電電力を、保管施設で使用される電力として供給する放電計画を作成する放電計画作成部15と、放電計画に基づいて、バッテリー51の放電を実施する放電制御部16と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部供給電力が供給される保管施設に保管されている中古のバッテリーの充放電を管理するバッテリー管理システムであって、
前記外部供給電力の使用料金が所定の契約電力が大きいほど高く設定され、前記保管施設に供給される前記外部供給電力が前記契約電力を超えたときに前記契約電力が増大され、
前記契約電力を示す契約電力情報を取得する契約電力情報取得部と、
前記保管施設おける今後の対象時間帯で使用される前記外部供給電力を推定する使用電力推定部と、
前記使用電力推定部により推定された前記対象時間帯で使用される前記外部供給電力が前記契約電力を超える場合に、前記バッテリーからの放電電力を、前記保管施設で使用される電力として供給する放電計画を作成する放電計画作成部と、
前記放電計画に基づいて、前記バッテリーの放電を実施する放電制御部と、
を備えるバッテリー管理システム。
【請求項2】
前記保管施設で使用されている前記外部供給電力を認識する外部供給電力認識部を備え、
前記放電制御部は、前記外部供給電力認識部により認識される前記外部供給電力が、前記契約電力未満に設定された判定電力を超えた場合に、前記バッテリーからの放電電力を前記保管施設で使用される電力として供給するための前記バッテリーの放電を行う
請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項3】
前記外部供給電力の使用料金が、所定の対象期間を分割した複数の分割時間帯ごとに設定され、
前記分割時間帯ごとに設定された前記外部供給電力の使用料金を示す電力料金情報を取得する電力料金情報取得部と、
前記電力料金情報に基づいて、複数の前記分割時間帯のうち、他の前記分割時間帯よりも前記外部供給電力の使用料金が割安に設定されている前記分割時間帯において、前記外部供給電力により前記バッテリーを充電する充電制御部と、を備える
請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項4】
前記放電制御部により、前記バッテリーからの放電電力を前記保管施設で使用される電力として供給するための前記バッテリーの放電が行われている間は、前記バッテリーの前記保管施設からの出荷を禁止するバッテリー出荷禁止部を備える
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項5】
前記バッテリー出荷禁止部は、前記保管施設において、所定数のバッテリーモジュールを一つのブロックとして構成されて管理されている前記バッテリーについて、前記ブロック単位で前記保管施設からの出荷を禁止する
請求項4に記載のバッテリー管理システム。
【請求項6】
外部供給電力が供給される保管施設に保管されている中古のバッテリーの充放電を管理するために、コンピュータにより実行されるバッテリー管理方法であって、
前記外部供給電力の使用料金が所定の契約電力が大きいほど高く設定されて、前記保管施設に供給される前記外部供給電力が前記契約電力を超えたときに前記契約電力が増大され、
前記契約電力を示す契約電力情報を取得する契約電力情報取得ステップと、
前記保管施設おける今後の対象時間帯の使用電力を推定する使用電力推定ステップと、
前記使用電力推定ステップにより推定された前記対象時間帯の使用電力が前記契約電力を超える場合に、前記バッテリーからの放電電力を、前記保管施設で使用される電力として供給する放電計画を作成する放電計画作成ステップと、
前記放電計画に基づいて、前記バッテリーの放電を実施する放電制御ステップと、
を含むバッテリー管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー管理システム、及びバッテリー管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池の再利用に関する研究開発が行われている。例えば、特許文献1,2は、中古バッテリーを保管する際に、各中古バッテリーの電流値及び電圧値と所定のSOC(State Of Charge)範囲とに基づいて、放電対象又は充電対象とする中古バッテリーを選択し、各中古バッテリーのSOCが所定範囲内となるように、放電対象の中古バッテリーから充電対象の中古バッテリーに充電電力を供給する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6869580号公報
【特許文献2】特許第6912125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、保管されている中古バッテリーからの放電電力の用途として、上記背景技術のように、他の中古バッテリーの充電に使用する場合の他に、中古バッテリーが保管されている施設で使用される設備の電源として使用ことが考えられる。このように、中古バッテリーからの放電電力を設備の電源として使用することにより、設備で使用される商用電力等の外部供給電力の消費量を減少させて、施設における外部供給電力のコストを低減することができる。そこで、このような中古バッテリーからの放電電力の使用による外部供給電力のコスト低減の効果を高めることが本開示の課題である。
本願は上記課題の解決のため、回収された中古バッテリーからの放電電力の使用による外部供給電力のコスト低減の効果を高めることができるバッテリー管理システムの提供を目的としたものである。そして、延いてはエネルギー効率の改善に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、外部供給電力が供給される保管施設に保管されている中古のバッテリーの充放電を管理するバッテリー管理システムであって、前記外部供給電力の使用料金が所定の契約電力が大きいほど高く設定され、前記保管施設に供給される前記外部供給電力が前記契約電力を超えたときに前記契約電力が増大され、前記契約電力を示す契約電力情報を取得する契約電力情報取得部と、前記保管施設おける今後の対象時間帯で使用される前記外部供給電力を推定する使用電力推定部と、前記使用電力推定部により推定された前記対象時間帯で使用される前記外部供給電力が前記契約電力を超える場合に、前記バッテリーからの放電電力を、前記保管施設で使用される電力として供給する放電計画を作成する放電計画作成部と、前記放電計画に基づいて、前記バッテリーの放電を実施する放電制御部と、を備えるバッテリー管理システムが挙げられる。
【0006】
上記バッテリー管理システムにおいて、前記保管施設で使用されている前記外部供給電力を認識する外部供給電力認識部を備え、前記放電制御部は、前記外部供給電力認識部により認識される前記外部供給電力が、前記契約電力未満に設定された判定電力を超えた場合に、前記バッテリーからの放電電力を前記保管施設で使用される電力として供給するための前記バッテリーの放電を行う構成としてもよい。
【0007】
上記バッテリー管理システムにおいて、前記外部供給電力の使用料金が、所定の対象期間を分割した複数の分割時間帯ごとに設定され、前記分割時間帯ごとに設定された前記外部供給電力の使用料金を示す電力料金情報を取得する電力料金情報取得部と、前記電力料金情報に基づいて、複数の前記分割時間帯のうち、他の前記分割時間帯よりも前記外部供給電力の使用料金が割安に設定されている前記分割時間帯において、前記外部供給電力により前記バッテリーを充電する充電制御部と、を備える構成としてもよい。
【0008】
上記バッテリー管理システムにおいて、前記放電制御部により、前記バッテリーからの放電電力を前記保管施設で使用される電力として供給するための前記バッテリーの放電が行われている間は、前記バッテリーの前記保管施設からの出荷を禁止するバッテリー出荷禁止部を備える構成としてもよい。
【0009】
上記バッテリー管理システムにおいて、前記バッテリー出荷禁止部は、前記保管施設において、所定数のバッテリーモジュールを一つのブロックとして構成されて管理されている前記バッテリーについて、前記ブロック単位で前記保管施設からの出荷を禁止する構成としてもよい。
【0010】
上記目的を達成するための第2態様として、外部供給電力が供給される保管施設に保管されている中古のバッテリーの充放電を管理するために、コンピュータにより実行されるバッテリー管理方法であって、前記外部供給電力の使用料金が所定の契約電力が大きいほど高く設定されて、前記保管施設に供給される前記外部供給電力が前記契約電力を超えたときに前記契約電力が増大され、前記契約電力を示す契約電力情報を取得する契約電力情報取得ステップと、前記保管施設おける今後の対象時間帯の使用電力を推定する使用電力推定ステップと、前記使用電力推定ステップにより推定された前記対象時間帯の使用電力が前記契約電力を超える場合に、前記バッテリーからの放電電力を、前記保管施設で使用される電力として供給する放電計画を作成する放電計画作成ステップと、前記放電計画に基づいて、前記バッテリーの放電を実施する放電制御ステップと、を含むバッテリー管理方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
上記バッテリー管理システムによれば、回収された中古バッテリーからの放電電力の使用による外部供給電力のコスト低減の効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、バッテリー管理システムを活用したバッテリーの再利用の態様の説明図である。
図2図2は、バッテリー管理システムの構成図である。
図3図3は、商用電力の契約電力の説明図である。
図4図4は、時間帯に応じた商用電力の料金設定の説明図である。
図5図5は、充放電処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.バッテリーの再利用の態様]
図1を参照して、本開示のバッテリー管理システム1を適用したバッテリーの再利用の態様について説明する。本実施形態では、電動車両100に搭載されていたバッテリーパック50を回収し、バッテリーパック50を分解して取り出されたバッテリーモジュール51を保管した後に出荷する例を示している。
【0014】
電動車両100は、BEV(Battery Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug―in Hybrid Electric Vehicle)等のバッテリーを動力源とする車両である。バッテリーパック50は、複数のバッテリーモジュール51を直列又は並列に接続して構成されている。バッテリーモジュール51は、1つの正極及び負極と電解液で構成された単一の封入されたユニットであるセルを、複数個接続して構成され、バッテリーを再利用する際の最小の単位となっている。
【0015】
電動車両100から回収されたバッテリーパック50は、1次保管施設110に輸送(1次輸送)され、受付及び外観検査を受けた後に、1次保管施設110に保管される。1次保管施設110に保管されたバッテリーパック50は、輸送車両120によって、2次保管施設130に順次輸送される(2次輸送)。
【0016】
2次保管施設130には、商用電源設備131から商用電力(本開示の外部供給電力に相当する)が供給され、2次保管施設130で使用される電気設備等で消費される。なお、本開示の外部供給電力は、商用電力の他に、民間の工場に設定された自家発電設備等から供給される電力であってもよい。2次保管施設130において、輸送車両120により輸送されて入荷されたバッテリーパック50が、作業者或いはロボットにより分解されて、バッテリーモジュール51が取り出される。また、バッテリーパック50のメモリに保存されていたバッテリーパック情報Bpiが、バッテリー管理システム1に転送される。バッテリーパック情報Bpiの転送は、バッテリーパック50とバッテリー管理システム1を接続して通信を行うことにより、或いは、作業者が、バッテリー管理システム1に接続された端末装置を操作して、バッテリーパック50から読み出した情報Bpiを入力する等によって、行われる。
【0017】
また、バッテリーパック50のメモリにバッテリーパック情報Bpiが記録されない場合には、電動車両100及びバッテリー管理システム1との間で通信を行うバッテリーデータサーバーからバッテリー管理システム1に、電動車両100から回収されたバッテリーパック50のバッテリーパック情報Bpiが転送される。バッテリーデータサーバーには、電動車両100から送信されるバッテリーパック情報Bpiが、電動車両100及びバッテリーパック50の識別情報と関連付けて保存され、バッテリーパック50の識別情報を参照することにより、バッテリーデータサーバーからバッテリー管理システム1にバッテリーパック情報Bpiが転送される。
【0018】
バッテリーパック情報Bpiには、バッテリーパック50が搭載されていた電動車両100の製造時期と総走行距離の情報が含まれる。電動車両100の製造時期から、バッテリーパック50の使用期間を認識することができ、電動車両100の総走行距離からバッテリーパック50の使用状況を認識することができる。なお、バッテリーパック情報Bpiに、電動車両100の製造時期と総走行距離のうちのいずれか一方のみが含まれていてもよく、或いは製造時期と総走行距離以外の情報(電動車両100が使用されていた環境等)が含まれていてもよい。
【0019】
2次保管施設130においては、複数のバッテリーモジュール51がバッテリーモジュール収容部41に、ブロック52単位ごとに収容され、バッテリー管理システム1により、ブロック52単位で管理される。本実施形態では、5個のバッテリーモジュール51を1つのブロック52として管理する例を示したが、ブロック52に含まれるバッテリーモジュール51の数は5よりも少なくてもよく、5よりも多くてもよい。バッテリー管理システム1は、バッテリーモジュール収容部41に収容されたバッテリーモジュール51を、充放電装置40によりブロック52単位で充放電を行いながら保管する。
【0020】
また、バッテリー管理システム1は、バッテリーモジュール収容部41に収容されたバッテリーモジュール51の良否判定を行い、良品と判定されたバッテリーモジュール51を出荷対象として選択し、不良品と判定されたバッテリーモジュールを廃棄対象とする。バッテリー管理システム1は、出荷対象として選択したバッテリーモジュール51の出荷を手配する。
【0021】
出荷の手配は、出荷作業がロボットにより行われる場合は、バッテリー管理システム1からロボットに対して、出荷対象のバッテリーモジュール51の識別情報を含む出荷指示情報を送信することにより行わる。また、出荷作業が作業者により行われる場合は、バッテリー管理システム1から、作業者により使用される端末装置(パソコン、タブレット端末等)に対して、出荷対象のバッテリーモジュール51の識別情報を含む出荷指示情報を送信することにより行われる。出荷作業によりバッテリーモジュール51が梱包されたパッケージ60が、2次保管施設130から出荷されて輸送車両140により配送先まで配送される。
【0022】
商用電源設備131から供給される商用電力は、電力メーター45を介して2次保管施設130内の電気設備等に供給されると共に、充放電装置40に供給される。充放電装置40は、パワーコンディショナーの機能を有し、バッテリーモジュール51から放電される電力を商用電力と同仕様の交流電力に変換して、電力メーター45を介して2次保管施設130内の電気設備等に供給する。
【0023】
バッテリー管理システム1は、詳細は後述するが、商用電力の料金が割安に設定された時間帯に、商用電力を使用して、バッテリーモジュール収容部41に収容されたバッテリーモジュール51を、充放電装置40によって充電する。そして、バッテリー管理システム1は、商用電力の料金が割高になる状況で、バッテリーモジュール51からの放電電力を、2次保管施設130内で使用される電力として供給することにより、商用電力の使用量を減少させて、商用電力の使用料金を低減させる処理を実行する。
【0024】
[2.バッテリー管理システムの構成]
図2図4を参照して、バッテリー管理システム1の構成について説明する。バッテリー管理システム1は、通信ユニット2、プロセッサ10、メモリ20等を備えたコンピュータシステムである。通信ユニット2は、通信ネットワーク200を介して、電力会社サーバー210、気象情報サーバー220等の外部サーバーとの間で通信を行う。また、通信ユニット2は、2次保管施設130で使用されるロボットや、2次保管施設130内の作業者により使用される端末装置(パソコン、タブレット端末等)との間で通信を行う。
【0025】
バッテリー管理システム1は、充放電装置40と接続されて、バッテリーモジュール収容部41に収容されたバッテリーモジュール51の充放電装置40による充放電を制御する。バッテリーモジュール収容部41は、複数のバッテリーモジュール51を、所定数(本実施形態では5を例示)のブロック52に分けて収容する。各ブロック52には、収容されているバッテリーモジュール51の状態(電圧、電流、温度等)を個別に検出するバッテリーセンサ42が設けられている。
【0026】
充放電装置40は、バッテリーモジュール収容部41と接続され、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51に対して電力を供給して、バッテリーモジュール51を充電すると共に、バッテリーモジュール51から出力される電力を回収して、バッテリーモジュール51を放電させる。充放電装置40には、バッテリーセンサ42による検出信号が入力される。
【0027】
バッテリー管理システム1は、充放電装置40に制御信号を出力して、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の充放電を、ブロック52単位で実施する。また、バッテリー管理システム1は、充放電装置40から送信される、バッテリーセンサ42による検出情報が入力される。バッテリー管理システム1には、電力メーター45により検出される、商用電源設備131(図1参照)から供給されている商用電力と、2次保管施設130に供給されている電力(商用電力とバッテリーモジュール51からの放電電力の合計値)の検出情報が入力される。なお、バッテリーモジュール51から放電される電力を商用電源設備131に供給する売電を行う場合は、電力メーター45により、商用電源設備131に供給される電力が検出されて、売電される電力の検出情報が、バッテリー管理システム1に入力される。
【0028】
メモリ20には、バッテリー管理システム1用のプログラム21、2次保管施設130における過去の商用電力の消費実績の情報が記録された電力消費実績データ22等が保存されている。プロセッサ10は、プログラム21を読み込んで実行することにより、契約電力情報取得部11、電力料金情報取得部12、外部供給電力認識部13、使用電力推定部14、放電計画作成部15、充放電制御部16、及びバッテリー出荷禁止部17として機能する。充放電制御部16は、本開示の充電制御部と放電制御部の機能を有している。
【0029】
契約電力情報取得部11は、通信ユニット2により、通信ネットワーク200を介して電力会社サーバー210にアクセスすることによって、2次保管施設130に対して設定されている契約電力を示す契約電力情報Cpiを受信して取得する。ここで、図3を参照して、電力会社による契約電力の設定条件について説明する。
【0030】
図3は、過去の月単位での最大需要電力の推移を、縦軸を最大需要電力に設定し、横軸を月に設定して示したものである。最大需要電力とは、各月における測定単位期間(例えば30分)ごとの平均使用電力のうち、当該月で最も大きかった値である。契約電力は、当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力のうちで最も大きい値に設定される。
【0031】
図3の例では、当月である9月の契約電力が、過去1年間である前年の10月~当月までの各月の最大需要電力である1月の最大需要電力Cp2に設定されている。また、前年の9月~前月の8月までは、前年の9月の最大需要電力Cp1が契約電力として設定されている。契約電力が大きいほど、商用電力の使用料金が高くなる設定となっている。
【0032】
電力料金情報取得部12は、通信ユニット2により、通信ネットワーク200を介して電力会社サーバー210にアクセスすることによって、2次保管施設130に対して設定されている時間帯別の商用電力の使用料金を示す電力料金情報Eriを受信して取得する。ここで、図4を参照して、商用電力の時間帯別の使用料金の設定について説明する。
【0033】
図4は、1日(0時~24時、本開示の対象期間に相当する)の時間帯の区分を、縦軸を電力料金に設定し、横軸を時刻に設定して示したものである。図4では、1日(0時~24時)を、第1時間帯Tz1(13時~16時)、第2時間帯(8時~13時、16時~22時)、及び第3時間帯(0時~8時、22時~24時)の3つの時間帯(本開示の分割時間帯に相当する)に区分した場合を例示している。
【0034】
図4は、夏季(7月~9月)を対象とした時間帯の設定であり、エアコンの稼働率が高くなると想定される第1時間帯Tz1の電力料金Er1が最も高く設定され、第1時間帯Tz1よりも気温が低い第2時間帯Tz2の電力料金Er2が、第1時間帯Tz1の電力料金Er1よりも低く設定されている。また、夜間~早朝の電力使用量が少なくなる第3時間帯Tz3の電力料金が、第2時間帯Tz2の電力料金Er2よりも低く設定されている。
【0035】
外部供給電力認識部13は、電力メーター45から出力される商用電力の検出情報に基づいて、使用されている商用電力を認識する。使用電力推定部14は、例えば、以下の第1推定条件~第5推定条件に基づいて、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の今後の対象時間帯(例えば、翌日以降の1時間単位の時間帯等)において、2次保管施設130で使用される商用電力を推定する。
【0036】
第1推定条件…電力消費実績データ22に記録された、2次保管施設130における過去の商用電力の使用実績。
第2推定条件…気象情報サーバー220から取得された気象情報Weiに基づく、2次保管施設130が位置するエリアの今後の予想気温から想定される、2次保管施設130におけるエアコンの稼働タイミングと消費電力。
第3推定条件…気象情報サーバー220から取得された気象情報Weiに基づく、2次保管施設130が位置するエリアの日の出時刻及び日の入時刻から想定される、2次保管施設130における照明の稼働タイミングと消費電力。
第4推定条件…バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の総数と、バッテリーモジュール51の充電に必要な予想電力。
第5推定条件…バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の総数と、バッテリーモジュール51の充放電を行う際の冷却に使用される予想電力。
【0037】
放電計画作成部15は、使用電力推定部14により推定された、2次保管施設130における今後の商用電力の使用状況に基づいて、使用される商用電力が契約電力を超えると推定される対象時間帯に、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の放電を実施して、バッテリーモジュール51からの放電電力を2次保管施設130で使用される電力として供給する放電計画を作成する。
【0038】
充放電制御部16は、以下の第1放電実施条件又は第2放電実施条件が成立したときに、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の放電を実施して、バッテリーモジュール51の放電電力を、充放電装置40及び電力メーター45を介して、2次保管施設130の電気設備等に供給する。
第1放電実施条件…現在時刻が、放電計画により設定された放電タイミングになった。
第2放電実施条件…外部供給電力認識部13により認識される商用電力が、契約電力に基づいて設定された判定電力を超えた。判定電力は、契約電力よりも小さい値に設定される。
【0039】
また、充放電制御部16は、以下の充電実施条件が成立したときに、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51を、充放電装置40により、商用電力を使用して充電する。
充電実施条件…図4を参照して上述したように、電力料金が割安に設定されている第3時間帯Tz3に、充電可能なバッテリーモジュール51が、バッテリーモジュール収容部41に収容されている。
【0040】
バッテリー出荷禁止部17は、充放電制御部16による制御によって放電を行っているバッテリーモジュール51の出荷を禁止して、バッテリーモジュール51からの放電が中止されることを回避する。
【0041】
[3.充放電処理]
図5に示したフローチャートに従って、バッテリー管理システム1により実行される、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51についての充放電処理の実行手順について説明する。
【0042】
図5のステップS1で、契約電力情報取得部11は、電力会社サーバー210にアクセスして2次保管施設130についての契約電力情報Cpiを取得し、契約電力情報Cpiをメモリ20に保存する。続くステップS2で、電力料金情報取得部12は、電力会社サーバー210にアクセスして2次保管施設130についての電力料金情報Eriを取得し、電力料金情報Eriをメモリ20に保存する。
【0043】
次のステップS3で、放電計画作成部15は、気象情報サーバー220にアクセスして、2次保管施設130が位置しているエリアの気象情報Weiを取得する。次のステップS4で、使用電力推定部14は、上記第1推定条件~第5推定条件により、第2次保管施設130で使用される今後の商用電力を推定する。そして、放電計画作成部15は、2次保管施設130で使用される商用電力が契約電力を超えると推定される対象時間帯に、バッテリーモジュール収容部41に収容されているバッテリーモジュール51の放電を実施する放電計画を作成する。
【0044】
続くステップS5とステップS10のループ処理により、充放電制御部16は、ステップS5で、上記第1放電実施条件又は第2放電実施条件が成立したか否かを判断し、ステップS10で、上記充電実施条件が成立したか否かを判断する。そして、充放電制御部16は、上記第1放電実施条件又は上記第2放電実施条件が成立したときに、ステップS6に処理を進める。
【0045】
ステップS6で、バッテリー出荷禁止部17は、上記第1放電実施条件又は第2放電実施条件による放電の対象となっているバッテリーモジュール51の出荷を禁止する。この場合、充放電制御部16は、基本的には、ブロック52単位でバッテリーモジュール51の放電を実施するため、バッテリー出荷禁止部17は、放電の対象となっているバッテリーモジュール51が属するブロック52単位で出荷を禁止してもよい。次のステップS7で、充放電制御部16は、上記第1放電実施条件又は第2放電実施条件による放電の対象となったバッテリーモジュール51の放電を実施する。
【0046】
また、充放電制御部16は、上記充電実施条件が成立したときに、ステップS10からステップS11に処理を進め、上記充電実施条件による充電の対象となったバッテリーモジュール51の充電を実施する。
【0047】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、充放電制御部16は、上記第1放電実施条件と又第2放電実施条件が成立したときに、バッテリーモジュール51の放電を実施して、バッテリーモジュール51の放電電力を2次保管施設130で使用される電力として供給した。他の実施形態として、第2放電実施条件については判断せず、第1放電実施条件のみを判断して、バッテリーモジュール51の放電を実施してもよい。
【0048】
上記実施形態では、充放電制御部16は、図4に示したように時間帯別に設定された電力料金に基づいて、電力料金が割安な時間帯に、商用電力によるバッテリーモジュール51の充電を行った。他の実施形態として、かかる電力料金が割安な時間帯に充電を行う処理を行わない構成としてもよい。
【0049】
上記実施形態では、バッテリー出荷禁止部17を備えて、上記第1放電実施条件又は第2放電実施条件による放電の対象となったバッテリーモジュール51の出荷を禁止したが、バッテリー出荷禁止部17を省略した構成としてもよい。
【0050】
なお、図2は、本願発明の理解を容易にするために、バッテリー管理システム1の構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、バッテリー管理システム1を他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図5に示した各構成要素による処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0051】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0052】
(構成1)外部供給電力が供給される保管施設に保管されている中古のバッテリーの充放電を管理するバッテリー管理システムであって、前記外部供給電力の使用料金が所定の契約電力が大きいほど高く設定され、前記保管施設に供給される前記外部供給電力が前記契約電力を超えたときに前記契約電力が増大され、前記契約電力を示す契約電力情報を取得する契約電力情報取得部と、前記保管施設おける今後の対象時間帯で使用される前記外部供給電力を推定する使用電力推定部と、前記使用電力推定部により推定された前記対象時間帯で使用される前記外部供給電力が前記契約電力を超える場合に、前記バッテリーからの放電電力を、前記保管施設で使用される電力として供給する放電計画を作成する放電計画作成部と、前記放電計画に基づいて、前記バッテリーの放電を実施する放電制御部と、を備えるバッテリー管理システム。
構成1のバッテリー管理システムによれば、回収された中古バッテリーからの放電電力の使用による外部供給電力のコスト低減の効果を高めることができる。
【0053】
(構成2)前記保管施設で使用されている前記外部供給電力を認識する外部供給電力認識部を備え、前記放電制御部は、前記外部供給電力認識部により認識される前記外部供給電力が、前記契約電力未満に設定された判定電力を超えた場合に、前記バッテリーからの放電電力を前記保管施設で使用される電力として供給するための前記バッテリーの放電を行う構成1に記載のバッテリー管理システム。
構成2のバッテリー管理システムによれば、外部供給電力の実際の使用状況に応じてバッテリーの放電を行うことにより、外部供給電力を契約電力以下に維持して、外部供給電力のコストを低減することができる。
【0054】
(構成3)前記外部供給電力の使用料金が、所定の対象期間を分割した複数の分割時間帯ごとに設定され、前記分割時間帯ごとに設定された前記外部供給電力の使用料金を示す電力料金情報を取得する電力料金情報取得部と、前記電力料金情報に基づいて、複数の前記分割時間帯のうち、他の前記分割時間帯よりも前記外部供給電力の使用料金が割安に設定されている前記分割時間帯において、前記外部供給電力により前記バッテリーを充電する充電制御部と、を備える構成1又は構成2に記載のバッテリー管理システム。
構成3のバッテリー管理システムによれば、使用料金が割安に設定された分割時間帯に、外部供給電力によるバッテリーの充電を行うことによって、バッテリーの充電に要するコストを低減することができる。
【0055】
(構成4)前記放電制御部により、前記バッテリーからの放電電力を前記保管施設で使用される電力として供給するための前記バッテリーの放電が行われている間は、前記バッテリーの前記保管施設からの出荷を禁止するバッテリー出荷禁止部を備える構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載のバッテリー管理システム。
構成4のバッテリー管理システムによれば、バッテリーが出荷されることによって、バッテリーからの放電による外部供給電力の使用料金の低減効果を得られなくなることを回避することができる。
【0056】
(構成5)前記バッテリー出荷禁止部は、前記保管施設において、所定数のバッテリーモジュールを一つのブロックとして構成されて管理されている前記バッテリーについて、前記ブロック単位で前記保管施設からの出荷を禁止する、構成4に記載のバッテリー管理システム。
構成5のバッテリー管理システムによれば、ブロック単位で管理されて、外部供給電力の使用料金を低減するための放電を行っているバッテリーについて、ブロック単位で容易に出荷禁止の対応をすることができる。
【0057】
(構成5)外部供給電力が供給される保管施設に保管されている中古のバッテリーの充放電を管理するために、コンピュータにより実行されるバッテリー管理方法であって、前記外部供給電力の使用料金が所定の契約電力が大きいほど高く設定されて、前記保管施設に供給される前記外部供給電力が前記契約電力を超えたときに前記契約電力が増大され、前記契約電力を示す契約電力情報を取得する契約電力情報取得ステップと、前記保管施設おける今後の対象時間帯の使用電力を推定する使用電力推定ステップと、前記使用電力推定ステップにより推定された前記対象時間帯の使用電力が前記契約電力を超える場合に、前記バッテリーからの放電電力を、前記保管施設で使用される電力として供給する放電計画を作成する放電計画作成ステップと、前記放電計画に基づいて、前記バッテリーの放電を実施する放電制御ステップと、を含むバッテリー管理方法。
構成5のバッテリー管理方法をコンピュータにより実行することにより、構成1のバッテリー管理システムと同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1…バッテリー管理システム、2…通信ユニット、10…プロセッサ、11…契約電力情報取得部、12…電力料金情報取得部、13…外部供給電力認識部、14…使用電力推定部、15…放電計画作成部、16…充放電制御部、17…バッテリー出荷禁止部、20…メモリ、21…プログラム、22…電力消費実績データ、40…充放電装置、41…4モジュール収容部、42…バッテリーセンサ、45…電力メーター、50…バッテリーパック、51…バッテリーモジュール、52…ブロック、60…パッケージ、100…電動車両、110…1次保管施設、120…輸送車両、130…2次保管施設、131…商用電源設備、140…輸送車両。
図1
図2
図3
図4
図5